JP2001513321A - L−アラニノールおよびγ−グルタミルイソプロピルアミドを製造するための微生物学的方法 - Google Patents
L−アラニノールおよびγ−グルタミルイソプロピルアミドを製造するための微生物学的方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 L−アラニノールおよびγ−グルタミルイソプロピルアミドを製造するための微生物学的方法を提供する。
【解決手段】 式(I)で表されるL−アラニノールの製造方法および式(III)で表されるγ−グルタミルイソプロピルアミドの製造方法であって、イソプロピルアミンからL−アラニノールを製造することができるか、又はイソプロピルアミンを唯一の炭素および窒素の供給源とすることができる新規な微生物を利用する方法。
【化1】
【化2】
Description
【0001】 本発明は、イソプロピルアミンを唯一の炭素及び/又は窒素の供給源として増
殖することができる新規な微生物に関する。本発明はまた、イソプロピルアミン
からL−アラニノールを製造し、かつ該L−アラニノールを異化しない微生物に
関する。後者の微生物は、イソプロピルアミンから出発してL−アラニノール(
S(+)−2−アミノ−1−プロパノール)を製造するための新規な方法に使用
される。
殖することができる新規な微生物に関する。本発明はまた、イソプロピルアミン
からL−アラニノールを製造し、かつ該L−アラニノールを異化しない微生物に
関する。後者の微生物は、イソプロピルアミンから出発してL−アラニノール(
S(+)−2−アミノ−1−プロパノール)を製造するための新規な方法に使用
される。
【0002】 L−アラニノールは重要な医薬用中間体、一例を挙げれば、オフロキサチン(
ofloxacin)製造のための中間体である(J. Med. Chem 1997, 30, 2283-2286) 。
ofloxacin)製造のための中間体である(J. Med. Chem 1997, 30, 2283-2286) 。
【0003】 これまで、L−アラニノールを製造するための化学的方法しか知られていない
。
。
【0004】 本発明の目的は、L−アラニノールを製造するための簡易且つ経済的な方法を
提供することである。この目的は、請求項1の微生物、並びに請求項6の方法を
使用することにより達成される。 本発明の微生物は、以下の手段により得られる。 a)イソプロピルアミンおよびL−アラニノールを唯一の炭素の供給源として増
殖することができる微生物の突然変異誘発、 b)L−アラニンを唯一の炭素の供給源として増殖することができ、L−アラニ
ノールおよびイソプロピルアミンを唯一の炭素の供給源として増殖することはで
きない突然変異体の選別。
提供することである。この目的は、請求項1の微生物、並びに請求項6の方法を
使用することにより達成される。 本発明の微生物は、以下の手段により得られる。 a)イソプロピルアミンおよびL−アラニノールを唯一の炭素の供給源として増
殖することができる微生物の突然変異誘発、 b)L−アラニンを唯一の炭素の供給源として増殖することができ、L−アラニ
ノールおよびイソプロピルアミンを唯一の炭素の供給源として増殖することはで
きない突然変異体の選別。
【0005】 L−アラニノールおよびイソプロピルアミンを唯一の炭素及び/又は窒素の供
給源として増殖することができる微生物は、土壌試料、スラッジ又は廃水から通
常の微生物学的技術により分離することができ、特に汚染された土壌および汚水
スラッジから分離することができる。
給源として増殖することができる微生物は、土壌試料、スラッジ又は廃水から通
常の微生物学的技術により分離することができ、特に汚染された土壌および汚水
スラッジから分離することができる。
【0006】 試料からの上記の分離は、微生物を、唯一の炭素及び/又は窒素の供給源とし
てイソプロピルアミンを用いた選別により前記微生物を豊化することによって行
うのが有利である。このようにして得た微生物から出発し、唯一の炭素及び/又
は窒素の供給源としてL−アラニノールおよびイソプロピルアミンを用いて、同
様に選別的に豊化することにより、L−アラニノールおよびイソプロピルアミン
を唯一の炭素および窒素の供給源として増殖することができる安定した微生物が
得られる。
てイソプロピルアミンを用いた選別により前記微生物を豊化することによって行
うのが有利である。このようにして得た微生物から出発し、唯一の炭素及び/又
は窒素の供給源としてL−アラニノールおよびイソプロピルアミンを用いて、同
様に選別的に豊化することにより、L−アラニノールおよびイソプロピルアミン
を唯一の炭素および窒素の供給源として増殖することができる安定した微生物が
得られる。
【0007】 このようにして得られる「野生型」菌株に、次いで、突然変異誘発を施す。こ
の突然変異誘発は既知の方法(J.H.ミラー、分子遺伝学、コールド・スプリ
ング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1972 年)により行うことができる。突然変異法としては、点突然変異法(例えば突然
変異促進性因子若しくはUV照射による点突然変異法)、フレームシフト法、デ
ィリーション法又はトランスポゾン−インサーション法が有利である。
の突然変異誘発は既知の方法(J.H.ミラー、分子遺伝学、コールド・スプリ
ング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1972 年)により行うことができる。突然変異法としては、点突然変異法(例えば突然
変異促進性因子若しくはUV照射による点突然変異法)、フレームシフト法、デ
ィリーション法又はトランスポゾン−インサーション法が有利である。
【0008】 イソプロピルアミン、L−アラニノール、さらにL−アラニノールの分解生成
物各々を、唯一の炭素及び/又は窒素の供給源として利用した増殖試験により、
培養により得られる微生物の突然変異体の培養物から、イソプロピルアミンから
L−アラニノールを生成し、かつ該L−アラニノールを異化しない微生物を選別
することができる。「野生型」菌株によりイソプロピルアミンが分解し、アラニ
ノールを経由してL−アラニンが生成することが好ましいことを見出した。従っ
て、本発明による微生物の選別は、好ましくは、炭素及び/又は窒素の供給源と
してイソプロピルアミン、L−アラニノール及びL−アラニン各々に基づいて行
う。所望される微生物は、イソプロピルアミンおよびL−アラニノールを炭素及
び/又は窒素の供給源としてはもはや増殖することはできないが、L−アラニン
を炭素及び/又は窒素の供給源として増殖できることに基づいて検出することが
できる。この菌株を以下「アラニノール生産体」という。
物各々を、唯一の炭素及び/又は窒素の供給源として利用した増殖試験により、
培養により得られる微生物の突然変異体の培養物から、イソプロピルアミンから
L−アラニノールを生成し、かつ該L−アラニノールを異化しない微生物を選別
することができる。「野生型」菌株によりイソプロピルアミンが分解し、アラニ
ノールを経由してL−アラニンが生成することが好ましいことを見出した。従っ
て、本発明による微生物の選別は、好ましくは、炭素及び/又は窒素の供給源と
してイソプロピルアミン、L−アラニノール及びL−アラニン各々に基づいて行
う。所望される微生物は、イソプロピルアミンおよびL−アラニノールを炭素及
び/又は窒素の供給源としてはもはや増殖することはできないが、L−アラニン
を炭素及び/又は窒素の供給源として増殖できることに基づいて検出することが
できる。この菌株を以下「アラニノール生産体」という。
【0009】 「野生型」菌株と「アラニノール生産体」は、共にシュードモナス属に属する
ことが好ましく、特にシュードモナスsp. Kei 171、Kie171-B(DSM 11521)およ
びKie 171-B1(DSM 11629)種に属することが好ましい。該菌株には、これらと 機能的に同等である変異種および突然変異体も含まれる。これらの微生物は、ブ
タペスト条約の下、シュードモナスsp. Kie 171-B(DSM 11521)が1997年4
月23日に、Kie-B1(DSM 11629)が1997年6月25日に、Kie 171(DSM 12
360)が1998年8月5日にドイチェ・ザムルング・フォン・ミクロオルガニ ズメン・ウント・ツェルクルトゥーレンGmbH「微生物および細胞培養物のド
イツ寄託所」、マシェローダーヴェク 1b、D−38124 ブラウンシュバイ
クに寄託されている。
ことが好ましく、特にシュードモナスsp. Kei 171、Kie171-B(DSM 11521)およ
びKie 171-B1(DSM 11629)種に属することが好ましい。該菌株には、これらと 機能的に同等である変異種および突然変異体も含まれる。これらの微生物は、ブ
タペスト条約の下、シュードモナスsp. Kie 171-B(DSM 11521)が1997年4
月23日に、Kie-B1(DSM 11629)が1997年6月25日に、Kie 171(DSM 12
360)が1998年8月5日にドイチェ・ザムルング・フォン・ミクロオルガニ ズメン・ウント・ツェルクルトゥーレンGmbH「微生物および細胞培養物のド
イツ寄託所」、マシェローダーヴェク 1b、D−38124 ブラウンシュバイ
クに寄託されている。
【0010】 本発明の目的において、「機能的に同等である変異種および突然変異体」とは
、親微生物から誘導され、実質的に同じ特徴及び機能を有する微生物をいう。こ
のような変異種および突然変異体は、例えばUV照射により任意に形成され得る
。 Kie 171-B(DSM 11521)の科学的説明 シュードモナスsp. RNAグループ1 菌株の特徴 細胞形状 ロッド状 幅 μm 0.7〜0.8 長さ μm 1.5〜3.5 可動性 + べん毛 モノポラー、1 グラム反応 − 3%KOH溶菌 + アミノペプチダーゼ(セルニー) + オキシダーゼ + カタラーゼ w 蛍光性 − 緑膿菌 − ADH + ウリアーゼ − ゼラチン加水分解 − 硝酸塩還元 + 脱窒素 − 基質利用性 クエン酸塩 + リンゴ酸塩 + フェニル酢酸塩 + D−グルコース + マルトース − トレハロース − マンニトール − 馬尿酸塩 − アラビノース − マンノース − m−イノシトール − ゲラニオール + アゼライン酸塩 + α−ケトグルコン酸塩 − レシチナーゼ − スクロー
スからの生成物(Laevan) − ADH: アルコール デヒドロナーゼ の略語 培養温度41℃ 16S DNA分析により、この菌株はシュードモナス シトロネラソウと同じ
であることがわかった。
、親微生物から誘導され、実質的に同じ特徴及び機能を有する微生物をいう。こ
のような変異種および突然変異体は、例えばUV照射により任意に形成され得る
。 Kie 171-B(DSM 11521)の科学的説明 シュードモナスsp. RNAグループ1 菌株の特徴 細胞形状 ロッド状 幅 μm 0.7〜0.8 長さ μm 1.5〜3.5 可動性 + べん毛 モノポラー、1 グラム反応 − 3%KOH溶菌 + アミノペプチダーゼ(セルニー) + オキシダーゼ + カタラーゼ w 蛍光性 − 緑膿菌 − ADH + ウリアーゼ − ゼラチン加水分解 − 硝酸塩還元 + 脱窒素 − 基質利用性 クエン酸塩 + リンゴ酸塩 + フェニル酢酸塩 + D−グルコース + マルトース − トレハロース − マンニトール − 馬尿酸塩 − アラビノース − マンノース − m−イノシトール − ゲラニオール + アゼライン酸塩 + α−ケトグルコン酸塩 − レシチナーゼ − スクロー
スからの生成物(Laevan) − ADH: アルコール デヒドロナーゼ の略語 培養温度41℃ 16S DNA分析により、この菌株はシュードモナス シトロネラソウと同じ
であることがわかった。
【0011】 当業者に通常知られた培養基中での選別後、生体内変化が実際に起こる前に、
微生物は一般的に、当業者に通常知られた培養基中で培養される。表1に記載の
培養基は、選別および培養として使用することができる。
微生物は一般的に、当業者に通常知られた培養基中で培養される。表1に記載の
培養基は、選別および培養として使用することができる。
【0012】 式
【化5】
【0013】 で表されるL−アラニノールを製造するための本発明の方法は、 式
【化6】
【0014】 で表されるイソプロピルアミン(以下、IPAと略記する)を、「アラニノール
生産体」を用いて変換する態様で実行する。
生産体」を用いて変換する態様で実行する。
【0015】 上記シュードモナス属の「アラニノール生産体」が該方法に適切であり、特に
シュードモナスsp. Kie 171-B(DSM 11521)およびKie-B1(DSM 11629)、並び にこれらと機能的に同等である変異種および突然変異体が適切である。生体内変
化は、休止細胞(もはや炭素およびエネルギーの供給源を必要としない非増殖細
胞)又は増殖細胞を用いて行われ得る。生体内変化用の培養基としては、当業者
に通常知られた培養基を使用することができ、例えば、低濃度リン酸塩緩衝液、
ヘペス緩衝液および「栄養酵母肉汁」(Nutrient Yeast Broth;NYB)のような 完全培地、若しくはクーラ等により記載された鉱物塩培養基(Arch. Microbiol.
135, 1 (1983))又は表1に記載された鉱物塩培養基を挙げることができる。
シュードモナスsp. Kie 171-B(DSM 11521)およびKie-B1(DSM 11629)、並び にこれらと機能的に同等である変異種および突然変異体が適切である。生体内変
化は、休止細胞(もはや炭素およびエネルギーの供給源を必要としない非増殖細
胞)又は増殖細胞を用いて行われ得る。生体内変化用の培養基としては、当業者
に通常知られた培養基を使用することができ、例えば、低濃度リン酸塩緩衝液、
ヘペス緩衝液および「栄養酵母肉汁」(Nutrient Yeast Broth;NYB)のような 完全培地、若しくはクーラ等により記載された鉱物塩培養基(Arch. Microbiol.
135, 1 (1983))又は表1に記載された鉱物塩培養基を挙げることができる。
【0016】 生体内変化は、IPAを、IPA濃度が10質量%を超えないように、好まし
くは1質量%を超えないように一度に、または連続的に加えて行うことが有利で
ある。
くは1質量%を超えないように一度に、または連続的に加えて行うことが有利で
ある。
【0017】 生体内変化は、pH4〜10、好ましくは5〜9の領域をとり得、10〜50
℃、好ましくは20〜40℃の温度で行うことが有利である。 L−アラニノールは、1〜100時間の通常の変換時間が経過した後、通常の
ワークアップ法(例えば、基本的な、細胞を含まない発酵肉汁の蒸留)により分
離することができる。
℃、好ましくは20〜40℃の温度で行うことが有利である。 L−アラニノールは、1〜100時間の通常の変換時間が経過した後、通常の
ワークアップ法(例えば、基本的な、細胞を含まない発酵肉汁の蒸留)により分
離することができる。
【0018】 驚くべきことに、「野生型」菌株および「アラニノール生産体」は、 式
【化7】
【0019】 で表されるγ−グルタミルイソプロピルアミドを生成することもまた見出された
。該γ−グルタミルイソプロピルアミドは、グルタミン移送抑制薬を製造するた
めの重要な中間体である(WO 91/12232)。
。該γ−グルタミルイソプロピルアミドは、グルタミン移送抑制薬を製造するた
めの重要な中間体である(WO 91/12232)。
【0020】 γ−グルタミルイソプロピルアミドを製造するための本発明の方法は、 式
【化8】
【0021】 で表されるIPAを、「野生型」菌株又は「アラニノール生産体」の増殖細胞を
用いて変換する態様で実行される。
用いて変換する態様で実行される。
【0022】 上記シュードモナス属の「野生型」菌株又は「アラニノール生産体」が本方法
には特に適切であり、中でもシュードモナスsp. Kie 171、Kie 171Bおよびこれ らと機能的に同等である変異種および突然変異体が適切である。
には特に適切であり、中でもシュードモナスsp. Kie 171、Kie 171Bおよびこれ らと機能的に同等である変異種および突然変異体が適切である。
【0023】 さもなければ、γ−グルタミルイソプロピルアミドを製造するための方法は、
L−アラニノールの製造方法と同様の条件下で行われる。
L−アラニノールの製造方法と同様の条件下で行われる。
【0024】
実施例1 イソプロピルアミンを唯一の炭素および窒素の供給源として利用することがで きる微生物の分離 IPAを唯一の炭素および窒素の供給源として利用することができる好気性の
微生物を、最小培地(表1)上で、唯一の炭素の供給源として25mMのIPA
の存在下で濃縮した。この培養基100mlを300mlエルレンマイヤーフラ
スコに入れ、各々にロンザAG、ヴィスプ、スイス、の下水処理設備から得られ
た異なる下水スラッジ試料(2ml)を接種した。該フラスコを5日間、30℃
において振とうせずに培養した。次いでこれらの培養基1mlを、新しい培養基
を含むフラスコにさらに接種し、該フラスコを同様の条件下で培養した。この全
濃縮サイクルを5回繰り返した。次いでこの濃縮バクテリアを、寒天(15g/
l)およびIPA(25mM)を含有する最小培地上にすじ状に塗り付け、個々
のコロニーを形成した。
微生物を、最小培地(表1)上で、唯一の炭素の供給源として25mMのIPA
の存在下で濃縮した。この培養基100mlを300mlエルレンマイヤーフラ
スコに入れ、各々にロンザAG、ヴィスプ、スイス、の下水処理設備から得られ
た異なる下水スラッジ試料(2ml)を接種した。該フラスコを5日間、30℃
において振とうせずに培養した。次いでこれらの培養基1mlを、新しい培養基
を含むフラスコにさらに接種し、該フラスコを同様の条件下で培養した。この全
濃縮サイクルを5回繰り返した。次いでこの濃縮バクテリアを、寒天(15g/
l)およびIPA(25mM)を含有する最小培地上にすじ状に塗り付け、個々
のコロニーを形成した。
【0025】 この分離されたIPA利用型微生物の中から、L−アラニノールを唯一の炭素
の供給源として利用することができるものがさらに選別された。このようにして
、菌株シュードモナスsp. Kie-171(野生型菌株)が最後に分離された。
の供給源として利用することができるものがさらに選別された。このようにして
、菌株シュードモナスsp. Kie-171(野生型菌株)が最後に分離された。
【0026】
【表1】
【0027】 IPAの異化経路を決定するために、様々な炭素の供給源(各々20mM、p
H7.0)について、菌株Kie 171の増殖試験を25mlの最小培地中で行った 。増殖に続いて、650nmにおける光学密度(OD650)を測定した。結果
を表2に示す。増殖は以下の炭素供給源について生じた。すなわち、イソプロピ
ルアミン、L−アラニノール、L−アラニン、D−アラニン、L−乳酸塩、D、
L−乳酸塩、プロピオン酸、プロパン−1,2−ジオール、エタノールアミンお
よびプロピオンアルデヒドである。以下の炭素供給源については増殖が生じなか
った。すなわち、D−アラニノール、D、L−アラニノール、アセトン、2−プ
ロパノール、1−プロパノール、プロピルアミン、メチルアミン、2−アミノペ
ンタン、tert−ブチルアミン、イソプロパノール、L−セリン、L−2−ア
ミノ−1−ブタノール、D、L−プロパン−1,2−ジオール、L−プロパン−
1,2−ジオール、D−プロパン−1,2−ジオール、エチルアミン、D−2−
アミノブタン、マロン酸、メチルアミンおよびヒドロキシアセトンである。
H7.0)について、菌株Kie 171の増殖試験を25mlの最小培地中で行った 。増殖に続いて、650nmにおける光学密度(OD650)を測定した。結果
を表2に示す。増殖は以下の炭素供給源について生じた。すなわち、イソプロピ
ルアミン、L−アラニノール、L−アラニン、D−アラニン、L−乳酸塩、D、
L−乳酸塩、プロピオン酸、プロパン−1,2−ジオール、エタノールアミンお
よびプロピオンアルデヒドである。以下の炭素供給源については増殖が生じなか
った。すなわち、D−アラニノール、D、L−アラニノール、アセトン、2−プ
ロパノール、1−プロパノール、プロピルアミン、メチルアミン、2−アミノペ
ンタン、tert−ブチルアミン、イソプロパノール、L−セリン、L−2−ア
ミノ−1−ブタノール、D、L−プロパン−1,2−ジオール、L−プロパン−
1,2−ジオール、D−プロパン−1,2−ジオール、エチルアミン、D−2−
アミノブタン、マロン酸、メチルアミンおよびヒドロキシアセトンである。
【表2】
【0028】 実施例2IPAの異化経過が停止している菌株 Kie 171の突然変異体の分離 a)点突然変異法の利用 IPAからL−アラニノールを製造するための突然変異体は、IPA又は
L−アラニノールのいずれをも利用することができるものであってはならない。
該変異体は、唯一、IPAをL−アラニノールに変換するものでなければならな
い。このような突然変異体を製造するために、Kie 171 を、650nmにおける
光学密度(OD650)が0.6(指数増殖相)になるまで20mMのIPA上
で培養した。突然変異誘発物質として、炭素を含有しない培養基中の菌株Kie 17
1 懸濁液[細胞(2.5×109cells/ml)の0.5μg/mlの濃度]にN−メ
チル−N‘−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)を加えた。30分間
培養した後、MNNGを炭素を含有しない最小培地で洗浄することにより抽出し
た。炭素を含有しない最小培地(表1)中の一連の稀釈液を調製し、生成した調
製物を固体のL−グルタミン酸塩培養基(最小培地、L−グルタミン酸塩20m
Mと寒天15g/l)上に広げ、30℃で培養した。次いで得られたコロニーに
ついて、様々な炭素の供給源(濃度20mMのIPA、L−アラニノール、L−
アラニンおよびL−プロピオン酸)に関して増殖試験を行った。増殖は、まず、
固体培養基上で起こり、次いで液体培養物中で起こった。IPAおよびL−アラ
ニノールを利用することができない突然変異体についてさらに研究した。突然変
異体であるシュードモナスsp. Kie 171-B(DSM 11521)を分離した。該突然変異
体はIPAおよびL−アラニノール上のいずれにおいても増殖しないが、L−ア
ラニン、プロピオン酸およびL−グルタミン酸を利用することができた。 b)トランスポゾン−インサーション法の利用 トランスポゾン突然変異体を製造するために、「Tn5およびTn10誘
導ミニトランスポゾンのグラム陰性菌中の安定した表現型の分析および構造」de
V. およびチミス K. N.、Meth. Enzymol. 第235巻、386〜405頁、1 994年、(実質的なLorenzoプロトコル)には、以下の記載がされている。す なわち、 カナマイシン(Km)耐性遺伝子を有するプラスミドpUT mini-Tn5を含有す
るE. coli S17-1 λ pirを、シュードモナス sp. Kie 171と共役させた。このた
めに菌株E. coli S17-1 λ pir供与体を、1ml当たり200μgのアンピシリン
を含有する新しいルリア肉汁(Luria broth;LB)平板上において37℃で増 殖した。シュードモナスsp. Kie 171 を、20mMのIPAを含有するMM(最
小培地)平板(表1)上において30℃において培養した。E. coli S17-1 λ p
ir コロニーに、200μg/mlのアンピシリンと50μg/mlのKmを含有す るLB培養基25mlを接種した。この培養物を150rpm、37℃で一晩培養し た。同様に、シュードモナスsp. Kie 171 を、20mMのIPAを含有するMM
25ml中で、150rpm、30℃において振とうした。
L−アラニノールのいずれをも利用することができるものであってはならない。
該変異体は、唯一、IPAをL−アラニノールに変換するものでなければならな
い。このような突然変異体を製造するために、Kie 171 を、650nmにおける
光学密度(OD650)が0.6(指数増殖相)になるまで20mMのIPA上
で培養した。突然変異誘発物質として、炭素を含有しない培養基中の菌株Kie 17
1 懸濁液[細胞(2.5×109cells/ml)の0.5μg/mlの濃度]にN−メ
チル−N‘−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)を加えた。30分間
培養した後、MNNGを炭素を含有しない最小培地で洗浄することにより抽出し
た。炭素を含有しない最小培地(表1)中の一連の稀釈液を調製し、生成した調
製物を固体のL−グルタミン酸塩培養基(最小培地、L−グルタミン酸塩20m
Mと寒天15g/l)上に広げ、30℃で培養した。次いで得られたコロニーに
ついて、様々な炭素の供給源(濃度20mMのIPA、L−アラニノール、L−
アラニンおよびL−プロピオン酸)に関して増殖試験を行った。増殖は、まず、
固体培養基上で起こり、次いで液体培養物中で起こった。IPAおよびL−アラ
ニノールを利用することができない突然変異体についてさらに研究した。突然変
異体であるシュードモナスsp. Kie 171-B(DSM 11521)を分離した。該突然変異
体はIPAおよびL−アラニノール上のいずれにおいても増殖しないが、L−ア
ラニン、プロピオン酸およびL−グルタミン酸を利用することができた。 b)トランスポゾン−インサーション法の利用 トランスポゾン突然変異体を製造するために、「Tn5およびTn10誘
導ミニトランスポゾンのグラム陰性菌中の安定した表現型の分析および構造」de
V. およびチミス K. N.、Meth. Enzymol. 第235巻、386〜405頁、1 994年、(実質的なLorenzoプロトコル)には、以下の記載がされている。す なわち、 カナマイシン(Km)耐性遺伝子を有するプラスミドpUT mini-Tn5を含有す
るE. coli S17-1 λ pirを、シュードモナス sp. Kie 171と共役させた。このた
めに菌株E. coli S17-1 λ pir供与体を、1ml当たり200μgのアンピシリン
を含有する新しいルリア肉汁(Luria broth;LB)平板上において37℃で増 殖した。シュードモナスsp. Kie 171 を、20mMのIPAを含有するMM(最
小培地)平板(表1)上において30℃において培養した。E. coli S17-1 λ p
ir コロニーに、200μg/mlのアンピシリンと50μg/mlのKmを含有す るLB培養基25mlを接種した。この培養物を150rpm、37℃で一晩培養し た。同様に、シュードモナスsp. Kie 171 を、20mMのIPAを含有するMM
25ml中で、150rpm、30℃において振とうした。
【0029】 次いでシュードモナスsp. Kie 171およびE. coli S17-1 λ pirの細胞を 4000rpmで15分間遠心分離により収穫し、これを0.9%のNaCl 5ml
で2回洗浄した。最後の洗浄後、細胞を0.9%のNaCl 500μl中に取 り入れた。500μlのE. coli と500μlのシュードモナスsp. Kie171とを
KmのないLB平板上で互いに混合した。この場合、E. coli 細胞懸濁液を平板
の中央に一滴たらし、その後素早くシュードモナスsp. Kie 171 を同じ箇所にピ
ペットで移した。このようにすることにより、微生物は接合に有利なように極め
て近接する。このプレートを30℃で8時間培養した。次いで該細胞を0.9%
のNaCl 2mlに取り入れた。細胞懸濁液のアリコート300μlを、50μ g/mlのKm、10mMのL−乳酸塩および10mMのL−アラニンを含有する
MM平板上で直接平板培養し、30℃で保温した。次いで得られたコロニーにつ
いて、50μg/mlのKmの存在下、様々な炭素の供給源(IPA、L−アラニ
ノール、L−アラニン、L−乳酸塩、L−アラニンとL−グルタミン酸塩)に関
して増殖試験を行った。まず、該試験を固体培養基上で行い、次いで液体培養物
中で行った。IPA又はL−アラニノールを利用することができない突然変異体
についてさらに研究した。突然変異体Kie 171-B1を分離した。該変異体は、IP
AおよびL−アラニノールのいずれについても増殖しないが、L−アラニン、L
−乳酸塩、およびL−アラニンとL−グルタミン酸塩を利用することができる。 実施例3IPAのL−アラニノールへの生体内変化 IPAのL−アラニノールへの生体内変化用に、Kie 171-B(DSM 11521)の一
晩の前培養物25mlを使用した。これを、20mMのL−グルタミン酸塩を含有
する最小培地上で培養し、1 lフラスコ内の同じ培養基250mlの培養物に接種
した。
で2回洗浄した。最後の洗浄後、細胞を0.9%のNaCl 500μl中に取 り入れた。500μlのE. coli と500μlのシュードモナスsp. Kie171とを
KmのないLB平板上で互いに混合した。この場合、E. coli 細胞懸濁液を平板
の中央に一滴たらし、その後素早くシュードモナスsp. Kie 171 を同じ箇所にピ
ペットで移した。このようにすることにより、微生物は接合に有利なように極め
て近接する。このプレートを30℃で8時間培養した。次いで該細胞を0.9%
のNaCl 2mlに取り入れた。細胞懸濁液のアリコート300μlを、50μ g/mlのKm、10mMのL−乳酸塩および10mMのL−アラニンを含有する
MM平板上で直接平板培養し、30℃で保温した。次いで得られたコロニーにつ
いて、50μg/mlのKmの存在下、様々な炭素の供給源(IPA、L−アラニ
ノール、L−アラニン、L−乳酸塩、L−アラニンとL−グルタミン酸塩)に関
して増殖試験を行った。まず、該試験を固体培養基上で行い、次いで液体培養物
中で行った。IPA又はL−アラニノールを利用することができない突然変異体
についてさらに研究した。突然変異体Kie 171-B1を分離した。該変異体は、IP
AおよびL−アラニノールのいずれについても増殖しないが、L−アラニン、L
−乳酸塩、およびL−アラニンとL−グルタミン酸塩を利用することができる。 実施例3IPAのL−アラニノールへの生体内変化 IPAのL−アラニノールへの生体内変化用に、Kie 171-B(DSM 11521)の一
晩の前培養物25mlを使用した。これを、20mMのL−グルタミン酸塩を含有
する最小培地上で培養し、1 lフラスコ内の同じ培養基250mlの培養物に接種
した。
【0030】 指数増殖相の開始(650nmにおける光学密度(OD650)が0.4〜0
.6)までKie 171-B を培養した後、IPA(10mM)を加えた。OD650 が1〜1.3に達した後、培養物を4000rpmで15分間遠心分離し、沈渣を 炭素の供給源を含有しない培地の半量で2回洗浄した。次いで該細胞を、炭素の
供給源のない所望の容積の最小培地(表1)に取り入れ、これにより5mlの濃縮
された細胞懸濁液(OD650が約13)を得た。10又は20mMのIPAを
加えた後、この休止細胞の培養物を150rpm、30℃で振とうした。該試料を さまざまな時間(16時間、25時間および40時間)において回収した。IP
A初濃度が10mMおよび20mMの双方とも、生体内変化後、L−アラニノー
ルの最終濃度は7mMに達した。これは37%又は59%の収量に相当する。残
りのIPAは代謝されなかった。GC−MSによるアラニノールの検出 生体内変化により生成したアラニノールがGC−MSにより細胞を含有しない
溶液中で検出された。分裂パターンは参照化合物のものと同定された。 HPLCによるL−アラニノールの検出 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノジルイソチオ
シアネートによりL−アラニノールを誘導した。分析には、Macherey−
NUCLEOSIL 120 3 C18ABカラムを40℃において使用した 。検出は250nmで行った。 可動性相: 溶液A H2O 溶液B アセトニトリル 溶液C 250mMKH2PO4(pH2.3)
.6)までKie 171-B を培養した後、IPA(10mM)を加えた。OD650 が1〜1.3に達した後、培養物を4000rpmで15分間遠心分離し、沈渣を 炭素の供給源を含有しない培地の半量で2回洗浄した。次いで該細胞を、炭素の
供給源のない所望の容積の最小培地(表1)に取り入れ、これにより5mlの濃縮
された細胞懸濁液(OD650が約13)を得た。10又は20mMのIPAを
加えた後、この休止細胞の培養物を150rpm、30℃で振とうした。該試料を さまざまな時間(16時間、25時間および40時間)において回収した。IP
A初濃度が10mMおよび20mMの双方とも、生体内変化後、L−アラニノー
ルの最終濃度は7mMに達した。これは37%又は59%の収量に相当する。残
りのIPAは代謝されなかった。GC−MSによるアラニノールの検出 生体内変化により生成したアラニノールがGC−MSにより細胞を含有しない
溶液中で検出された。分裂パターンは参照化合物のものと同定された。 HPLCによるL−アラニノールの検出 2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノジルイソチオ
シアネートによりL−アラニノールを誘導した。分析には、Macherey−
NUCLEOSIL 120 3 C18ABカラムを40℃において使用した 。検出は250nmで行った。 可動性相: 溶液A H2O 溶液B アセトニトリル 溶液C 250mMKH2PO4(pH2.3)
【表3】
【0031】 保留時間: L−アラニノール 5.46 分 D−アラニノール 5.69 分 実施例4シュードモナスsp. Kie 171-B1 によるIPAのL−アラニノールへの生体内変 化 。
【0032】 IPAのL−アラニノールへの生体内変化用に、シュードモナス sp. Kie 171
-B1 の一晩の前培養物を使用した。これを、20mMのL−グルタミン酸塩およ
び50mg/mlのKmを含有するMM培養基上で培養し、1 lフラスコ中の同 じ培養基の250ml培養物に接種した。Kie 171-B1 を指数増殖相(0.4〜0 .6のOD650)に培養した後、10mMのIPAを加えた。この培養物をさ
らに30℃、150rpmで振とうした。72時間後、この培地60mlを取り出し 、該細胞を4000rpmで20分間遠心分離にかけた。液体窒素中で凍結した後 、さらなる処理をすることなく細胞を含有しない上澄み30mlを凍結乾燥して固
体にした。20倍の濃度の溶液がこの凍結乾燥体から得られ、GC測定によりそ
の中からアラニノールが検出された。 実施例5γ−グルタミルイソプロピルアミド(γ−GIPA)の形成 シュードモナスKie 171 およびシュードモナス sp. Kie 171-B はIPA上で増 殖中にγ−GIPAを排出。
-B1 の一晩の前培養物を使用した。これを、20mMのL−グルタミン酸塩およ
び50mg/mlのKmを含有するMM培養基上で培養し、1 lフラスコ中の同 じ培養基の250ml培養物に接種した。Kie 171-B1 を指数増殖相(0.4〜0 .6のOD650)に培養した後、10mMのIPAを加えた。この培養物をさ
らに30℃、150rpmで振とうした。72時間後、この培地60mlを取り出し 、該細胞を4000rpmで20分間遠心分離にかけた。液体窒素中で凍結した後 、さらなる処理をすることなく細胞を含有しない上澄み30mlを凍結乾燥して固
体にした。20倍の濃度の溶液がこの凍結乾燥体から得られ、GC測定によりそ
の中からアラニノールが検出された。 実施例5γ−グルタミルイソプロピルアミド(γ−GIPA)の形成 シュードモナスKie 171 およびシュードモナス sp. Kie 171-B はIPA上で増 殖中にγ−GIPAを排出。
【0033】 IPA上でのシュードモナス sp. Kie 171の増殖中、およびIPAの存在下L
−グルタミン酸塩上での該菌株の突然変異体であるシュードモナス sp. Kie 171
-B の増殖中に、γ−GIPAが培養基中に排出された。比較的大量のバイオマ スを培養することにより、該化合物100mgを分離し、その構造を1H−NM
R、13C−NMRおよびMSを用いて同定した。シュードモナス sp. Kie 171
-B の休止細胞によりIPAがL−アラニノールに変換されるとき、γ−GIP Aは形成されなかった。
−グルタミン酸塩上での該菌株の突然変異体であるシュードモナス sp. Kie 171
-B の増殖中に、γ−GIPAが培養基中に排出された。比較的大量のバイオマ スを培養することにより、該化合物100mgを分離し、その構造を1H−NM
R、13C−NMRおよびMSを用いて同定した。シュードモナス sp. Kie 171
-B の休止細胞によりIPAがL−アラニノールに変換されるとき、γ−GIP Aは形成されなかった。
【0034】 これはHPLC測定により証明された。従って、γ−GIPAは増殖中の細胞
によってのみ形成される。
によってのみ形成される。
【表4】
【0035】 実施例6 18O2の存在下における、IPAのL−アラニノールへの生体内変化 。
【0036】 本実験にはシュードモナス sp. Kie 171-B1 を使用した。この菌株は、グルタ
ミン酸塩およびカナマイシンを含有するMM培養基上で実施例4と同様の態様で
培養した。指数増殖相まで培養した後、酵素誘発のためにIPA10mMを加え
た。この培養物を、30℃、150rpmでさらに3時間振とうした。次いでこの 細胞を遠心分離し、MM培養基で洗浄し、546nmにおける光学密度(OD5 46 )が約13になるまで濃縮した。続いてこの細胞懸濁液13.25mlを10
0mlの漿液瓶に注ぎ、ゴム製の栓で閉じた。試料1では雰囲気を未処理のままと
した。試料2では全雰囲気を2回、18O2(96%)と交換した。生体内変化
の開始時に、1MのIPA溶液(pH7.0)0.5mlを両試料に加えた(溶液
中のIPA濃度:20mM)。
ミン酸塩およびカナマイシンを含有するMM培養基上で実施例4と同様の態様で
培養した。指数増殖相まで培養した後、酵素誘発のためにIPA10mMを加え
た。この培養物を、30℃、150rpmでさらに3時間振とうした。次いでこの 細胞を遠心分離し、MM培養基で洗浄し、546nmにおける光学密度(OD5 46 )が約13になるまで濃縮した。続いてこの細胞懸濁液13.25mlを10
0mlの漿液瓶に注ぎ、ゴム製の栓で閉じた。試料1では雰囲気を未処理のままと
した。試料2では全雰囲気を2回、18O2(96%)と交換した。生体内変化
の開始時に、1MのIPA溶液(pH7.0)0.5mlを両試料に加えた(溶液
中のIPA濃度:20mM)。
【0037】 該試料を、30℃、150rpmでさらに8時間振とうした。試料1では6.9 mMのアラニノールが検出され、試料2では0.48mMのアラニノールが検出
された。次いで該細胞を遠心分離し、細胞を含有しない上澄み液中の水を回転式
エバポレーターで除去した。トリフルオロ無水酢酸を残渣に加え、N−トリフル
オロアセチルアラニノールを形成した。この化合物から、GC/MSにより18 O取り込み率を決定した。
された。次いで該細胞を遠心分離し、細胞を含有しない上澄み液中の水を回転式
エバポレーターで除去した。トリフルオロ無水酢酸を残渣に加え、N−トリフル
オロアセチルアラニノールを形成した。この化合物から、GC/MSにより18 O取り込み率を決定した。
【0038】 次のトリフルオロアセチル誘導体のピークを用いて取り込み率を決定した。
【表5】
【0039】 SIMスペクトル評価により、試料2の18O取り込み率は37.2%である
ことがわかった。 従って、IPAのアラニノールへの生体内変化は、オキシゲナーゼがこの反応
を引き起こすという事実により説明することができる。試料2における18O取
り込み量が比較的低いのは、細胞の不十分な洗浄の際に、16O−標識アラニノ
ールがキャリーオーバーされたという事実により説明することができる。
ことがわかった。 従って、IPAのアラニノールへの生体内変化は、オキシゲナーゼがこの反応
を引き起こすという事実により説明することができる。試料2における18O取
り込み量が比較的低いのは、細胞の不十分な洗浄の際に、16O−標識アラニノ
ールがキャリーオーバーされたという事実により説明することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:38) C12R 1:38) (C12P 13/02 (C12P 13/02 C12R 1:38) C12R 1:38) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ライジンガー、トーマス スイス国、シーエイチ − 8032 チュー リヒ、チューリヒベルクシュトラーセ 7 (72)発明者 キーナー、アンドレアス スイス国、シーエイチ − 3930 ビス プ、マイゼンベーク 5 (72)発明者 ハインツマン、クラウス スイス国、シーエイチ − 3932 ビスペ ーターミネン、ウンターシュタルデン (番地なし) (72)発明者 ギリガン、トーマス アメリカ合衆国、ニュージャージー州 07450 リッジウッド、ウッドサイド・ア ベニュー 130 Fターム(参考) 4B064 AE01 AE19 CD12 DA01 4B065 AA41X AC14 BA18 CA16 CA17
Claims (10)
- 【請求項1】 イソプロピルアミンをL−アラニノールに変換することがで
き、かつ後者を異化しないことを特徴とする微生物。 - 【請求項2】 下記(a)および(b)により得られる請求項1に記載の微
生物。 a)イソプロピルアミンおよびL−アラニノールを唯一の炭素の供給源とし
て増殖することができる微生物を突然変異誘発すること、 b)L−アラニンを唯一の炭素の供給源として増殖することができるが、L
−アラニノールおよびイソプロピルアミンを唯一の炭素の供給源として増殖する
ことができない突然変異体の選別。 - 【請求項3】 シュードモナス属に属する請求項1又は2に記載の微生物。
- 【請求項4】 シュードモナス sp.Kie 171−B種(DSM115
21)およびKie 171−B1種(DSM11629)、並びにこれらと機 能的に同等である変異種および突然変異体である請求項1〜3のいずれか1項に
記載の微生物。 - 【請求項5】 イソプロピルアミンを唯一の炭素の供給源として増殖するこ
とができることを特徴とする微生物。 - 【請求項6】 式 【化1】 で表されるL−アラニノールの製造方法であって、 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微生物を利用して 式 【化2】 で表されるイソプロピルアミンをL−アラニノールに変換することを特徴とする
製造方法。 - 【請求項7】 シュードモナス属の微生物を利用して生体内変化を行うこと
を特徴とする請求項6に記載の製造方法。 - 【請求項8】 イソプロピルアミンを、その濃度が10質量%を超えないよ
うに加えて生体内変化を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の製造方法
。 - 【請求項9】 生体内変化を、温度10〜50℃、pH4〜10で行うこと
を特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。 - 【請求項10】 式 【化3】 で表されるγ−グルタミルイソプロピルアミドの製造方法であって、 請求項1〜6のいずれか1項に記載の微生物の増殖中の細胞を利用して 式 【化4】 で表されるイソプロピルアミンを式IIIで表される生成物に変換することを特徴 とする製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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CH1876/97 | 1997-08-08 | ||
CH189797 | 1997-08-12 | ||
CH1897/97 | 1997-08-12 | ||
PCT/EP1998/005029 WO1999007199A2 (de) | 1997-08-08 | 1998-08-07 | Verfahren zur herstellung von l-alaninol und gamma-glutamylisopropylamid und mikroorganismusstamm des genus pseudomonas |
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Publication Number | Publication Date |
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---|---|---|---|
JP2000506811A Pending JP2001513321A (ja) | 1997-08-08 | 1998-08-07 | L−アラニノールおよびγ−グルタミルイソプロピルアミドを製造するための微生物学的方法 |
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---|---|
EP (1) | EP1002121A1 (ja) |
JP (1) | JP2001513321A (ja) |
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WO (1) | WO1999007199A2 (ja) |
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JP5361904B2 (ja) | 2007-12-20 | 2013-12-04 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア | (s)−1−メトキシ−2−プロピルアミンからの(s)−2−アミノ−1−プロパノール(l−アラニノール)の製造方法 |
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GB8503666D0 (en) * | 1985-02-13 | 1985-03-13 | Shell Int Research | Producing 4-(2-methoxyethyl)-phenylglycidyl ether |
JPH01287064A (ja) * | 1988-05-13 | 1989-11-17 | Lion Corp | 光学活性アミノプロパノール誘導体の製造方法 |
JPH02295970A (ja) * | 1989-05-10 | 1990-12-06 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 光学活性なプロパン―2―オール誘導体の製造法 |
WO1991012232A1 (en) * | 1990-02-06 | 1991-08-22 | Australian Commercial Research & Development Limited | Compounds and methods for the treatment and diagnosis of cancer |
JPH06199747A (ja) * | 1992-12-28 | 1994-07-19 | Sumika Fine Kemu Kk | L−アラニノールの製造方法 |
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- 1998-08-07 AU AU94347/98A patent/AU9434798A/en not_active Abandoned
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- 1998-08-07 EP EP98947422A patent/EP1002121A1/de not_active Withdrawn
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