【発明の詳細な説明】
保護されたアミノ糖
本発明は、オリゴ糖、特にアミノ糖残基を含有するオリゴ糖の合成方法に関す
る。特に、本発明は、オリゴ糖の液相、固相又は組み合わせでの合成方法に関す
る。本発明の背景
アミノ糖は、種々の糖複合体(glycoconjugates)の重要な構成要素である(Sch
midt and kinzy,1994)。例示として、ペプチドグリカン、ムコ多糖、糖ペプチ
ド及び蛋白質、ヒト乳のオリゴ糖、並びに血液型決定基が含まれる。それらは、
しばしば、細菌性の及び腫瘍−関連炭水化物抗原中、主としてアスパラギン酸残
基のN-アセチル化形態又はN-アシル化に見られる(Toyokuni and Singhal,1995
)。それゆえ、これら生物学的糖複合体は、薬化学者にとって非常に興味を有す
るものであり、よって、容易に及びコスト効果的な方法で、これら化合物を合成
できるようにすることは、当分野において多大な必要性を有することは明らかで
ある。
アミノ糖を用いたオリゴ糖の合成には、適当なアミノ
保護基の存在が要求される。多くの保護基が提案されてきたが、これまでのとこ
ろ、利用可能な剤のすべてが、重大な不利益を欠点として有している。例えば、
2-N-アセチルで保護されたアミノ糖由来の供与体のグリコシル化は、近接する基
の関与を介して進行する;しかしながら、比較的安定なオキサゾリン中間体の形
成が、反応の全体の速度及び収率を、劇的に減少させる(Zurabyan et al,1994
)。それゆえ、上述の近接基活性を示すが安定なオキサゾリンを形成する能力を
欠如する種々の2-デオキシ-2-アミノ糖供与体が開発されてきた;これらのなか
で最も広く使用されたものは、フタルイミドで保護されたモノマー(Sasaki et
al,1978)である。フタルイミド基は、グリコシド形成の間強く関与し、1,2-tr
ans-グリコシド生成物の優れた立体調節を与え(Lemieux et al,1982)、更に
、アミノ糖供与体は、安定なオルトアミドを形成せず(Lemieux et al,1982)
、オキサゾリンを形成することができない。フタルイミド基を用いることの主た
る欠点は、その除去において要求される強い条件にある、即ち、メタノール性ヒ
ドラジンと共に加熱すると、しばしば部分的な生成物の分解を招く。強塩基の条
件は、また、N-スルホニル(Griffith and Danishefsky,1990)及びN-ハロアセ
チル保護基(Shapiro et al,
1967)の除去においても要求され、同様な問題を招く。
アリルオキシカルボニル(Alloc)で保護されたアミノ糖供与体は、ルイス酸
−触媒の条件下で使用されると、それらのフタルイミド対応物と同様な活性を示
す。しかしながら、Alloc基は、弱塩基の存在下テトラキス(トリフェニルホス
フィン)パラジウムを用いた、非常に緩和な条件下で除去できるという利点を有
している(Hayakawa et al,1986)。Alloc基に関連する主たる欠点は、安定な
オキサゾリジノン中間体を形成する能力にあり、それは、非反応性の受容体の存
在下、主生成物として残存する傾向があり、反応の速度及び収率を減少させる(
Boullanger et al,1987)。2,2,2,-トリクロロエチル−保護されたアミノ糖は
、強く関与する基を含んでおり、フタルイミドと異なり、グリコシル受容体とし
てその後要求される隣接したヒドロキシル基を不活性化しない。それらは、亜鉛
及び酢酸を用いた、比較的温和で選択的な条件下で除去することができ、グリコ
シル化の間オキサゾリン中間体を形成しない。しかしながら、この保護基は、同
様に、ベンジル基を保護基の尚早の喪失なしには導入することができないという
欠点を有している(Imoto et al,1987)。
テトラクロロフタロイル−保護されたアミノ糖供与体
が、不十分な反応性受容体の存在下でさえも、1,2-trans-グリコシドを高い収率
で与えることが示された(Castro-Palomino及びSchmidt,1995)。しかしながら、
もう一度、NABH4-仲介脱保護は、この特別な保護基においては、制限因子である
。
アジド基は、アミノ糖化学において多くの注意を受けてきた、なぜなら、それ
は、マスクされた、非−関与アミノ官能基として役立つからであり、それゆえ、
1,2-cis-連結2-アミノ-2-デオキシグリコシドの合成を可能にする(Palsen,198
2)。しかしながら、2-アジド-2-デオキシ糖の調製は、アジドニトロ化(Lemieu
x及びRatcliffe,1979)、ジアゾ転移反応(Buskas et al,1994)、アジドクロ
ル化(Bovin et al)、N-ベンジル誘導体のニトロソ化(Dasgupta及びGaregg,1
989)又は1,6-無水糖の反応(Tailler et al,1991及びPaulsen及びStenzel,19
78)を用いると、遅延性であり、高価であって、しばしば、危険である。
他の報告されている非−関与保護基は、2,4-ジニトロフェニル(Kaifu及びOsa
wa,1977)及びp-メトキシベンジルイミノ(Mootoo及びFraser-Reid,1989)が
あるが、それらは共に複雑な導入と過酷な脱保護条件を要求し、その結果、生成
物の損失を招く。
ヒドラジンに不安定な1級アミノ保護基である、N-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオ
キソシクロヘキシリデン)エチル(Dde)は、SPPSの間のリシン側鎖の保護として
報告されている(Bycroft et al,1993)。この基は、2-アセチルジメドンのア
ナログである2-(3-メチルブチリル)ジメドンを、4-アミノベンジルアルコールと
縮合させ、4-[N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロ-ヘキシリデン)-3-メチ
ルブチル]-アミノ}ベンジルエステル(ODmab)を得る時に、SPPSにおけるカルボ
キシ保護基として使用するために修飾された(Chan et al.1995)。これら2種
の保護基は、固相ペプチド合成(SPPS)に広く使用されるFmoc脱保護条件、即ち
、20%ピペリジンを含むジメチルホルミアミド(DMF)溶液に安定であることが報
告された。
Ddeは広くSPPSの領域で、十分確立されたFmoc/t-Boc方法論に直交性のアミノ
保護基として使用されてきた(Field及びNoble,1990)。いままでこの使用は、
該領域内にとどまっており、それゆえ、炭水化物化学領域において保護基として
のその使用は、新規である。特に、オリゴ糖合成におけるDde又はODMabの使用は
、示唆されていない。
我々は、驚くべきことに、Ddeを非−関連アミノ糖保護基として使用すること
ができ、それが容易におよびコス
ト効果的な方法で導入及び除去できることを発見した。我々は、Dde型基によっ
て得られるビニログアミド保護は、単に前駆体、例えば、Ddeの場合は無水エタ
ノール中2-アセチルジメドンと共に保護されていないアミノ糖を還流することに
よって、達成できることを示した。Dde-保護されたアミノ糖を使用することによ
って、我々は、炭水化物修飾に含まれる一般的に遭遇する反応に対するこのビニ
ログアミド型保護の安定性を示すために、保護された分子における種々の化学的
修飾を行った。発明の概要
一つの側面として、本発明は、一般式I又は一般式II:
式中、
R1及びR2は、同一又は異なって、各々水素又はC1-4アルキルであり、
R'は、アミノ糖、グリコシルアミン、又は少なくとも一つのアミノ糖若しく
はグリコシルアミン単位を含有するオリゴ糖(糖はアミノ基を介して結合する)
であり、
並びにR''は、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリ
ール、シクロアルキル又は置換されたシクロアルキルである、
の2-置換-1,3-ジオキソ化合物で保護された1又は2以上の第1級アミン基を有
する糖を包含する糖含有化合物の溶液及び/又は固相合成用の試薬として有用な
化合物を提供する。
アミノ基を有する全ての糖又はオリゴ糖を使用できる。
好ましい態様として、本発明は、前記の一般式I又はIIで表され、R'が前記の
とおりである環状2-置換-1,3-ジオキソ化合物を包含する糖含有化合物の溶液相
合成用の試薬を提供する。
本発明の化合物は、糖単位が共有結合的に樹脂と結合した、固相オリゴ糖合成
方法における使用に適する。全ての好適なリンカー化合物を使用できる。例えば
、樹脂への共有結合は、好適には、-CONH-、-O-、-S-、-COO-、-CH=N-、-NHCONH
-、-NHCSNH-、又は-NHNH-基によって提供され得、例えば、スペーサー-ONH-樹脂
、スペーサー
-O-樹脂、スペーサー-S-樹脂、スペーサー-CO2-樹脂、スペーサー-CH=N-樹脂、
スペーサー-NHCONH-樹脂、スペーサー-NHCSNH-樹脂、スペーサーNHNH-樹脂であ
る。他にも可能性ある共有結合性結合基が当業者に知られている。1997年8月26
日出願の我々の国際特許出願No.PCT/AU97/00544に記載されたリンカー及び方法
は、本発明の化合物とともに使用することに適しているということが考慮される
。PCT/AU97/00544の全体の開示は、この相互参照により、本明細書に組み込まれ
る。これらリンカーシステムは、SPPSに使用されるのと類似の緩和な条件下での
オリゴ糖の固相合成を可能にする。
樹脂は、水及び/又は有機溶媒中で膨張し、並びに、以下の置換基:ハロゲン
、ヒドロキシ、カルボキシル、SH、NH2、ホルミル、SO2NH2、またはNHNH2の1つ
を含む任意の樹脂、例えば、メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂、アミノ又
はカルボキシテンタゲル(tentagel)樹脂、パラアミノメチルベンジル(PAM)樹
脂、又は4-スルファミルベンジルAM樹脂であり得る。他の好適な樹脂は、当業
者に公知である。
例えば、第2の側面として、本発明は、リンカー基並びにR'が前記のとおりで
ある前記の一般式I又はIIの保護基を有する糖化合物を含有するリンカー−糖複
合体を
提供する。
第3の側面として、本発明は、リンカー基、樹脂及びR'が前記のとおりであり
前記の一般式I又はIIの保護基を有する原料糖化合物を含有する固相オリゴ糖合
成用の樹脂−リンカー−糖支持体を提供する。
任意の適切なリンカーが使用され得る。再度、PCT/AU97/00544に記載のリンカ
ー及び方法が使用され得ることが考慮される。
第4の側面として、本発明は、前記のごとく保護された1又は2以上のモノ又
はオリゴ糖基を前記の樹脂−リンカー−糖支持体に連続的に結合する工程を含有
するオリゴ糖の固相合成方法を提供する。
第5の側面として、本発明は、モノ又はオリゴ糖基を前記のリンカー−糖複合
体に連続的に結合する工程を含有するオリゴ糖の溶液相合成方法を提供する。
これら方法は、組み合わせ合成用途に特に有用である。本発明の固相又は溶液
相方法は、例えば、アミノグリコシド化合物の組み合わせの合成に使用され得る
。連続的な結合は、酵素的又は化学的手段のどちらか一方で実施し得るというこ
とが理解されるであろう。
本発明は、オリゴ糖の固相合成、溶液相合成又は組み合わせ合成用のキットも
提供し、該キットは、前記のよ
うに、本発明によるリンカー−糖複合体又は樹脂−リンカー−糖支持体を含有す
る。キットはまた、必要に応じて、固相又は組み合わせ合成に好適な、部分的に
若しくは差別的に活性化され、十分に保護された糖、保護試薬、脱保護試薬、樹
脂及び/又は溶媒のような1又は2以上のさらなる試薬を任意に含み得る。当業
者は、好適な他の試薬を認識し得るであろう。次に異なるタイプのキットは、所
望の用途に従って選択され得る。
本明細書のため、用語"包含している(comprising)"は、"含むが制限されな
い"を意味し、用語"包含する(comprises)"は、対応する意味であることが明白
に理解される。発明の詳細な説明
本明細書で使用される略語は以下の通りである:
Ac アセチル
Bu ブチル
Dde N-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-エチル
DMF N,N'-ジメチルホルムアミド
EtOH エタノール
FAB-MS 高速原子衝撃質量分析法
Me メチル
MeOH メタノール
Nde 1-(4-ニトロ-1,3-ジオキソインダン-2-イリデン)エチル
NHNde NH-1-(4-ニトロ-1,3-ジオキソインダン-2-イリデン)エチル
NMR 核磁気共鳴分析法
ODmab 4-{N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロ-ヘキシリデン)-3-メチル
ブチル]-アミノ}ベンジルアルコール
SPPS 固相ペプチド合成
TBDMS tert-ブチルジメチルシリル
tBu tert-ブチル
Trt トリチル
本発明は、以下の非制限的な実施例のみを参照して、詳細に記載される。ここ
で、個々の化合物の構造は以下の表に集約されるとおりである。 実施例1 Dde 保護されたアミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキ-1-シリデン)エチ
ルアミノ]-D-グルコピラノース(1)
ナトリウム(143mg,6.21mmol)を無水メタノール(30ml)に加え、反応混合
物を5分間攪拌した。D-グルコサミン塩酸塩(1.34g,6.21mmol)を、得られた
透明な溶液に加え、反応混合物を室温で更に5分間攪拌した。2-アセチルジメド
ン(1.69g,9.32mmol)を加え、反応混合物を5時間還流下攪拌した。反応混合
物を冷却し、生成物をエーテル(200ml)で沈殿させ、2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジ
メチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチルアミノ]-D-グルコピラノー
ス(1)(1.66g,77.9%)を得た。
実施例2 Dde 保護されたO-アシル化されたアミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチ
ルアミノ]-1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノース(2)
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチル
アミノ]-D-グルコピラノース(1.55g,4.51mmol)、ピリジン(11ml)及び無水
酢酸(20ml)の混合物を終夜室温で攪拌した。反応混合物を蒸発させ、生成物を
-15℃でMeOH(10ml)から結晶化させ、2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジ
オキソシクロヘキ-1-シリデン)エチル-アミノ]-1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-
D-グルコピラノース(2)(1.95g,86%)を得た。
実施例3 Dde 保護されたハロゲン化されたアミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチ
ルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシルブロミド(3)
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチル
アミノ]-1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノース(100mg,0.19mmol
)及びHBrの酢酸中(45%)(1.0ml)の混合物を、30分間室温で攪拌した。反応
混合物を冷CH2Cl2(10ml)で希釈し、冷H2O(30ml)で2回、飽和NaHCO3溶液(20ml)
及び再度H2O(20ml)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、蒸発させて、2-デオ
キシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチルアミノ]
-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシルブロミド(3)(95mg,9
1%)を得た。 実施例4 Dde 保護されたO-アルキル化されたアミノ糖の合成
メチル2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン
)エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド(4)
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチル
アミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシルブロミド(60mg,0.11m
mol)
をCH2Cl2(5ml)に溶解し-15℃まで冷却した後、トリフルオロ−メタンスルホン酸
銀(43mg,0.16mmol)のMeOH溶液(1ml)を加えた。反応混合物を終夜攪拌し、濾過
した後、濾液を蒸発させた。残渣を飽和NaHCO3溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥させ
、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィーによって精製し、メチル2-デオキシ-2
-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-3,4,6-
トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド(4)(40mg,75%)を得た。メチル2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エ
チルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシド(4α)(3mg,6%
)
実施例5 Dde 保護されたアミノ糖ウロニウム塩の合成
S-[2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エ
チルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチルーβ-D-グルコピラノシル]-イソチオウロニ
ウムブロミド(5)
チオ尿素(14mg,0.18mmol)を、2-デオキシ-2-[1-(4,
4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-
アセチル-α-D-グルコピラノシルブロミド(100mg,0.18mmol)のアセトン溶液(
0.5ml)に加えた。混合物を15分間還流後、蒸発させた。残渣を移動相としてCHCl3
/MeOH 5:1を用いたクロマトグラフィーによって精製し、S-[2-デオキシ-2-[1-(
4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-3,4,6-トリ-
O-アセチル-β-D-グルコ-ピラノシル]イソチオウロニウムブロミド(5)を得た
。
実施例6 Dde 保護されたアルキルチオ化されたアミノ糖の合成
メチル2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)
エチルアミノ]-1-チオ-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド(6)
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチル
アミノ]-1-チオ-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース(72mg,0.148m
mol)をアセトン(0.15ml)に溶解し、K2CO3(23mg)水溶液(0.15ml)を加えた。反応
混合物を室温でN2下攪拌し、ヨウ化メチル(23mg,0.163mmol)を加えた。30分間
の攪拌の後、反応混合物を減圧下濃縮した。CH2Cl2(2ml)を反応混合物に加え、
各相を分離した。有機相を水(0.5ml)で洗浄し、MgS4で乾燥させ、蒸発させた。
残渣をEtOAc/ヘキサン3:1を用いたクロマトグラフィーによって精製し、メチル2
-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルア
ミノ]-1-チオ-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド(6)(50mg,67
%)を得た。
実施例7 Dde 保護されたベンジル化アミノ糖の合成
ベンジル2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデ
ン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシド(7)
ベンジル2-アセトアミド-2-デオキシ-α-D-グルコピラノシド(4.70g,15.11m
mol)の1M NaOH溶液を、15時間120℃で還流した。反応混合物を室温まで冷却し
、1M HCl溶液で中和した後濃縮した。残渣を乾燥EtOH(50ml)に溶解させ、濾過し
た。2-アセチルジメドン(4.11g,22.6mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミ
ン(2ml)を濾液に加え、混合物を2時間還流した。反応混合物を、蒸発乾固し、
残渣をEtOAc(50ml)中に加え、1M KHSO4溶液、ブラインで洗浄し、蒸発させて、
ベンジル2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデ
ン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシド(7)(3.78g,58%)を得た。
実施例8 アミノ糖のDde保護されたアジド誘導体の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチ
ルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルアジド(8)
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチル
アミノ]-3,4,6-トリ-O-α-D-グルコピラノシルブロミド(100mg,0.18mmol)、
アジ化ナトリウム(100mg,1.56mmol)のDMF(5ml)中の混合物を、
80℃で2時間攪拌した。反応混合物を蒸発させ、CH2Cl2(10ml)中に加えた後、H2O
(2×2ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させて濃縮した。残渣を移動相としてヘキサン/
EtOAc 1:1を用いたクロマトグラフィーによって精製し、2-デオキシ-2-[1-(4,4-
ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-ア
セチル-β-D-グルコピラノシルアジド(8)(65mg,70%)を得た。 実施例9 Dde 保護されたチオラート化されたアミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロ
ヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-1-チオ-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピ
ラノース(9)
S-[2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エ
チルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル]イソチオウロニウ
ムブロミド(136mg,0.22mmol)に、Na2S2O5(43mg,0.225mmol)水(0.2ml)溶液及
び1,2-ジクロロエタン(0.24ml)を加えた。反応混合物を、20分間85℃で還流下に
おいた。CH2Cl2(5ml)で希釈後、各相を分離し、有機相を水(3ml)で洗浄後、MgSO4
で乾燥させて減圧下濃縮し、エーテル/MeOH 10:1を用いたクロマトグラフィー
を行い、2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)
エチルアミノ]-1-チオ-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース(9)(
95mg,87%)を得た。 実施例10 アミノ糖のDde保護されたベンジリデン誘導体の合成
ベンジル 4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキ
ソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシド(10)
ベンズアルデヒド(1ml)、蟻酸(1ml)及びベンジル2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメ
チル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシ
ド(433mg,1mmol)の混合物を、室温で2時間攪拌した。反応混合物を、高真
空ロータリーエバポレーターを用いて、蒸発乾固させた。残渣をエーテル(40ml)
で処理して、懸濁液を濾過した。固体を移動相としてCHCl3-EtOA 10:4を用いた
クロマトグラフィーによって精製し、ベンジル4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-
2-[1-(4,4-ジメチルー-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチルアミノ]-α
-D-グルコピラノシド(10)(340mg,65%)を得た。
実施例11 Dde 保護された還元アミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチ
ルアミノ1-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノース(12)
ベンジル2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデ
ン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシド(400mg,0.92mmol)を、ピリジン(6m
l)に溶解させ、0℃まで冷却後、無水酢酸(10ml)を滴下した。溶液を終夜室温で
攪拌し、その後蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン3:1を用いたクロマトグラ
フィーによっ
て精製し、ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ
-1-シリデン)-エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシド(
11)(465mg,90%)を得た。 ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリ
デン)-エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシド(11)
(100mg,0.17mmol)をMeOH(5ml)に溶解し、Pd/C(10%)(20m
g)で終夜水素化を行った。懸濁液を濾過し、濾液を蒸発させて、2-デオキシ-2-[
1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-3,4,6-ト
リ-O-アセチル-α-D-グルコピラノース(12)(75mg,90%)を得た。 実施例12 アミノ糖のDde保護されたトリクロロアセトイミデートの合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチ
ルアミノ1-3,4,6-トリ-O-アセチル-α,β-D-グルコピラノシル トリクロロアセ
トイミデ
ート(13)
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチル
アミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノース(100mg,0.21mmol)及
びトリクロロアセトニトリルのCH2Cl2溶液の混合物を、0℃まで冷却し、1,8-ジ
アザビシクロ(5.4.0)-ウンデセ-7-ン(2mg)を加えた。反応混合物を0℃で1.5時間
及び室温で2時間攪拌した。溶液を蒸発させ、残渣を移動相としてCHCl3/EtOAc 1
:1を用いたクロマトグラフィーを行い、2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジ
オキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α,β-D-
グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(13)(71mg,55%)を得た
。 実施例13 Dde- 保護化O-トリフェニルメチル化アミノ糖の合成
ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン
)エチルアミノ]-6-O-トリフェニルメチル-α-D-グルコピラノシド(14)
ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデ
ン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシド(100mg,0.23mmol)とトリフェニル
メチルブロミド(149mg,0.46mmol)との混合物を、DMF/ピリジン1:1(2ml)
中にて、100℃で15時間撹拌した。反応混合物を留去し、残渣をCHCl3(10ml)に
溶解し、水(3ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。残渣を、移動相として
CHCl3/MeOH 10:1を用いたクロマトグラフィーで精製し、ベンジル 2-デオキシ
-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-6-O-
トリフェニルメチル-α-D-グルコピラノシド(14)(104mg,64%)を得た。 実施例14 Dde- 保護化O-シリル化アミノ糖の合成
ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン
)エチルアミノ]-6-O-t-ブチルジメチルシリル-α-D-グルコピラノシド(15)
ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデ
ン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシド(100mg,0.23mmol)を乾燥ピリジン
(2ml)中に溶解し、0℃に冷却し、t-ブチルジメチルシリルクロライド(39mg,
0.26mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を留去し、残渣
をCHCl3(10ml)に
溶解し、水(3ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。残渣を、移動相としてCH
Cl3/MeOH 10:1を用いたクロマトグラフィーで精製し、ベンジル2 -デオキシ-2
-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-6-O-t-
ブチルジメチルシリル-α-D-グルコピラノシド(15)(77mg,61%)を得た。 実施例15 部分的に保護されたポリアミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチル
アミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル
-β-D-グルコピラノシルアミン(16)
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチ
ルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルアミン(60mg,0.12m
mol)をMeOH(5ml)中に溶解し、Pd/C(10%)(10mg)で一晩水素化した。懸濁液
を濾過し、濾液を留去し、2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロ
ヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシ
ルアミン(16)(45mg,80%)を得た。 実施例16 Dmab- 保護化糖の合成
4-[N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデ
ン)-エチル]-アミノ]ベンジル(1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノ
ース)-ウロネート(17)
1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-β-D-グルクロン酸(100mg,0.27mmol)、4-[N-[
1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]アミノ]ベンジルア
ルコール(79mg,0.27mmol)、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(62mg,0.
30mmol)の混合物をCH2Cl2中にて室温で一晩撹拌した。反応混合物を留去し、残
渣を、CHCl3/EtOAc 10:4を用いたクロマトグラフィーで精製し、4-[N-[1-(4,4
-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-エチル]-アミノ]ベンジル(1,2,3,
4-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース)ウロネート(17)(92mg,53%
)を得た。 実施例17 Dde- 及びN-アシル-保護化ポリアミノ糖の合成
2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-1,2-ジデオキシ-1-[1-(4,4-ジメチル-2
,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-β-D-グルコピラノース(1
9)
2-アセトアミド-2-デオキシ-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル
アジド(100mg,0.26mmol)をMeOH(5ml)中に溶解し、Pd/C(10%)(10mg)で5時
間水素化した。懸濁液を濾過し、濾液を留去し、2-アセトアミド-2-デオキシ-3,
4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルアミン(18)(80mg,86%)を得
た。 2-アセトアミド-2-デオキシ-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル
アミン(80mg,0.23mmol)及び2-アセチルジメドン(55mg,0.30mmol)の混合物
をMeOH(5ml)中で5時間還流した。反応混合物を留去し、残渣を、移動相として
CHCl3/MeOH 10:0.5を用いたクロマトグラフィーで精製し、2-アセトアミド-3,
4,6-トリ-O-アセチル-1,2-ジデオキシ-1-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロ
ヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-β-D-グルコピラノース(19)(70mg,60%)
を得た。
実施例18 アミノ糖のDde-保護化O-イソプロピリデン誘導体の合成
ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン
)エチルアミノ]-4,6-O-イソプロピリデン-α-D-グルコピラノシド(20)
ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデ
ン)エチルアミノ]-α-D-グルコピラノシド(100mg,0.23mmol)及び(+/-)-10-樟
脳スルホン酸(5mg)の混合物を2,2-ジメトキシプロパン(10ml)中で2時間還流
した。反応混合物を留去し、残渣をCH2Cl2(10ml)に溶解し、飽和NaHCO3溶液(
3ml)で洗浄し、濃縮した。残渣を、移動相としてCH2Cl2/MeOH 10:1を用いた
クロマトグラフィーで精製し、ベンジル 2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-
ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-4,6-O-イソプロピリデン-α-D-
グルコピラノシド(20)(82mg,75%)を得た。
実施例19 Dde- 保護化ガラクトアミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチル
アミノ]-D-ガラクトピラノース(21)
ナトリウム(22mg,0.95mmol)を無水メタノール(10ml)に添加し、反応混合
物を5分間撹拌した。D-ガラクトサミンハイドロクロライド(206mg,0.95mmol
)を、得られた透明な溶液に添加し、反応混合物を室温でさらに5分間撹拌した
。2-アセチルジメドン(261mg,1.43mmol)を添加し、反応混合物を還流下で5時
間撹拌した。溶液を冷却し、生成物をエーテル(100ml)で沈殿させ、2-デオキ
シ-2-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)エチルアミノ]-D-
ガラクトピラノース(21)(270mg,75%)を得た。
実施例20 Nde- 保護化アミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4-ニトロ-1,3-ジオキソインダン-2-イリデン)-エチル-アミノ
]-D-グルコピラノース(22)
ナトリウム(126mg,5.47mmol)を無水メタノール(50ml)に添加し、反応混
合物を5分間撹拌した。D-グルコサミンハイドロクロライド(1.18g,5.47mmol
)を、得られた透明な溶液に添加し、反応混合物を室温でさらに5分間撹拌した
。2-アセチル-4-ニトロインダン-1,3-ジオン(1.91g,8.21mmol)を添加し、反
応混合物を還流下で5時間撹拌した。溶液を冷却し、生成物を濾別した。固体
をMeOH(10ml)、エーテル(50ml)で洗浄し、乾燥させ、2-デオキシ-2-[1-(4-
ニトロ-1,3-ジオキソインダン-2-イリデン)エチルアミノ]-D-グルコピラノース(
22)(1.10g,55%)を得た。
実施例21 Nde- 保護化O-アセチル化アミノ糖の合成
2-デオキシ-2-[1-(4-ニトロ-1,3-ジオキソインダン-2-イリデン)-エチルアミノ]
-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノース(23)
2-デオキシ-2-[1-(4-ニトロ-1,3-ジオキソインダン-2-イリデン)エチルアミノ
]-D-グルコピラノース(100mg,0.23mmol)、ピリジン(2ml)及び無水酢酸(3m
l)の混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を留去し、残渣を、移動相とし
てCHCl3/EtOAc 10:4を用いたクロマトグ
ラフィーで精製し、2-デオキシ-2-[1-(4-ニトロ-1,3-ジオキソインダン-2-イリ
デン)-エチルアミノ]-3,4,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノース(23)
(165mg,79%)を得た。 実施例22 フラノース環を伴ったDde-保護化デオキシアミノ糖の合成
3'-デオキシ-3'-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチ
ルアミノ]-チミジン(24)
3'-デオキシ-3'-アジド-チミジン(200mg,0.75mmol)をMeOH(25ml)に溶解
し、Pd/C(40mg)を添加した。懸濁液を、H2の一定の気流下で一晩撹拌した。反
応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を無水EtOH(5ml)に溶解
し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.1ml)及び2-アセチルジメドン(204mg
,1.12mmol)を添加し、溶液を5時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、
生成物をエーテル(50ml)を添加することにより沈殿させ、3'-デオキシ-3'-[1-
(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シリデン)-エチルアミノ]-チミジン
(24)(200mg,66%)を得た。 実施例23 オリゴ糖を含有するDde-保護化アミノ糖の合成
4-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-ガラクトピラノ
シル)-2,3,6-トリ-O-アセチル-N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-
シリデン)エチル]-β-D-グルコピラノシルアミン(27)
β-ラクトースオクタアセテート(203mg,0.3mmol)、トリメチルシリルアジ
ド(41mg,0.35mmol)、及びSnCl4(40mg,0.15mmol)の混合物を、CH2Cl2(1.5
ml)中にて室温で一晩撹拌した。溶液をCH2Cl2(20ml)で希釈し、1Mのフッ化カ
リウム溶液(5ml)、水(5ml)で2度洗浄し、留去し、4-O-(2,3,4,6-テトラ-O-
アセチル-α-D-ガラクトピラノシル)-2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラ
ノシルアジド(25)(178mg 90%)を得た。 4-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-ガラクト-ピラ
ノシル)-2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルアジド(178mg,0.26mm
ol)をMeOH(5ml)に溶解し、Pd/C(10%)(10mg)で5時間水素化した。懸濁液を
濾過し、濾液を留去し、4-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-ガラクト-ピラ
ノシル)-2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルアミン(26)(157mg
,92%)を得た。
4-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-ガラクトピラノシル)-2,3,6-トリ-O-
アセチル-β-D-グルコピラノシルアミン(157mg,0.24mmol)及び2-アセチルジ
メドン(81mg,0.45mmol)の混合物を、MeOH(5ml)中で5時間還流した。反応混
合物を留去し、残渣を、移動相としてCHCl3/EtOAc 1:1を用いたクロマトグラ
フィーで精製し、4-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-ガラクトピラノシ
ル)-2,3,6-トリ-O-アセチル-N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキ-1-シ
リデン)エチル]-β-D-グルコピラノシルアミン(27)(106mg,54%)を得た。
実施例24 2- アセチル-4-ニトロインダン-1,3-ジオンの合成
2-アセチル-4-ニトロインダン-1,3-ジオン
3-ニトロ無水フタル酸(12g,60mmol)、無水ピリジン(25ml)、ピペリジン
(0.2ml)及び2,4-ペンタンジオン(6.25g,60mmol)の混合物を40℃で6時間撹
拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、結晶質の塊をポンプで集め、エーテルで
洗浄し、乾燥して、黄色のピリジニウム塩を
得た。該塩を6M HCl(100ml)で処理し、固体を濾別した。生成物をイソプロパ
ノールから結晶化し、2-アセチル-4-ニトロインダン-1,3-ジオン(8.74g,79%)
を得た。 本発明は明瞭さと理解を目的として幾分詳細に記載されるが、本明細書に記載
された具体例及び方法に対する各種の改良や変更は、本発明において開示された
本発明の概念から逸脱することなく成し得ることは、当業者にとって明らかであ
ろう。
本明細書で引用された参考文献を、次ページに列挙し、この参考文献を援用す
る。
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フロントページの続き
(72)発明者 デカニィ ギュラ
イギリス国 エイチエー4 6エイチエス
ミドルセックス ルイスリップ ハール
ウィン アベニュー 157
(72)発明者 ケラム バリー
イギリス国 エムイー16 0エーエル ケ
ント メイドストーン ポプラー グロー
ブ 93