JP2001347408A

JP2001347408A - 難加工材の穴開け加工装置

Info

Publication number: JP2001347408A
Application number: JP2000171229A
Authority: JP
Inventors: Hideaki Kitazawa; 英明北澤; Yoshio Kido; 義勇木戸
Original assignee: National Institute for Materials Science
Current assignee: National Institute for Materials Science
Priority date: 2000-06-07
Filing date: 2000-06-07
Publication date: 2001-12-18

Abstract

(57)【要約】【課題】タングステンをはじめとする難加工性の金
属、セラミックスの難加工材を穴開け加工する際の穴開
け加工時間を短縮し、切削工具の消耗を抑えるととも
に、難加工材の割れ等を解消する。【解決手段】加工対象の難加工材(11)をその下面から
鉛直上方に向かって切削する切削工具(12)と、難加工材
又は切削工具の少なくともいずれか一方を回転させる回
転手段(13)とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この出願の発明は、難加工材
の穴開け加工装置に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、難加工材を穴開け加工する際
に、穴開け加工時間を短縮し、切削工具の消耗を抑える
とともに、難加工材の割れ等を解消することのできる難
加工材の穴開け加工装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】量子機能性材料や希土類希薄磁性半導体
に用いられる希土類金属とリン、硫黄等のV族、VI族元
素との金属間化合物を単結晶育成する際には、超高融点（2,000〜3,000℃）高蒸気圧坩堝材料との反応性の３つの観点から、図３に示したような超高融点タング
ステン坩堝（１）に原料（２）を封入するようにしてい
る。

【０００３】超高融点タングステン坩堝（１）は、タン
グステン丸棒をその上部より鉛直下方に穴開け加工して
作製される。この穴開け加工には、一般的な機械研削装
置に超硬度金属切削用ドリルを装着したものが広く採用
されている。それというのも、放電、レーザー、超音波
等を利用した加工機等も考えられるが、直径数mm以上、
深さ10mm以上の長尺の穴を開けるには、加工速度の点で
機械研削装置の方が断然に優れているからである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、タング
ステンは高硬度、高脆性を有する。この特性に起因して
穴開け加工に要する時間は長時間となっており、また、
切削工具が極度に消耗するとともに、タングステン丸棒
に割れが発生する等の問題がある。

【０００５】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、タングステンをはじめとする
難加工性の金属、セラミックスの難加工材を穴開け加工
する際に、穴開け加工時間を短縮し、切削工具の消耗を
抑えるとともに、難加工材の割れ等を解消することので
きる難加工材の穴開け加工装置を提供することを目的と
している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、加工対象の難加工材をそ
の下面から鉛直上方に向かって切削する切削工具と、難
加工材又は切削工具の少なくともいずれか一方を回転さ
せる回転手段とを備えたことを特徴とする難加工材の穴
開け加工装置（請求項１）を提供する。

【０００７】またこの出願の発明は、難加工材又は切削
工具の少なくともいずれか一方が鉛直方向に自動的に移
動可能とされるとともに、回転手段の回転軸上に切削工
具の摩耗度を検出する負荷センサーが配設され、難加工
材の穴開け加工装置は、切削工具の交換が必要と判断し
た時に、穴開け加工を一時停止して摩耗した切削工具を
配備しておいたスペア用切削工具と自動的に交換し、こ
の後、穴開け加工を再開してあらかじめ設定された所定
径、所定深さの穴を難加工材に形成し、自動的に穴開け
加工を終了すること（請求項２）を好ましい態様として
提供する。

【０００８】以下、図面に沿ってこの出願の発明の難加
工材の穴開け加工装置についてさらに詳しく説明する。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は、この出願の発明の難加工
材の穴開け加工装置の一実施形態を概略的に示した断面
図である。

【００１０】例えばこの図１に示したように、この出願
の発明の難加工材の穴開け加工装置は、加工対象の難加
工材（１１）をその下面から鉛直上方に向かって切削す
る切削工具（１２）と、難加工材（１１）又は切削工具
（１２）の少なくともいずれか一方を回転させるモータ
ー等の回転手段（１３）とを備える。

【００１１】機械研削装置による穴開け加工の前述の問
題を解消するために、この出願の発明者等が鋭意検討を
加えたところ、それらの問題は、切削によって生じた高
硬度切削屑が、加工対象である難加工材（１１）に形成
された穴に留まり、排出されないことに端を発している
ことが明らかとなった。

【００１２】この出願の発明の難加工材の穴開け加工装
置は、以上の技術的知見に基づき、切削工具（１２）に
より加工対象の難加工材（１１）の下面から鉛直上方に
向かって切削するようにし、切削により生ずる高硬度切
削屑を重力により速やかに落下させ、形成された穴から
排出することができるようにしている。これにより、超
硬ドリル、超硬エンドミル等の切削工具（１２）の研削
面の消耗が抑えられ、その結果、穴開け加工時間が短縮
化され、また、難加工材（１１）の割れ等の問題が解消
される。

【００１３】具体的には、切削工具（１２）は、例えば
装置本体（１４）に備えることのできる上下、左右の少
なくともいずれか一方向に移動可能な可動ステージ（１
５）に万力（１６）等を介して固定することができる。
加工対象の難加工材（１１）は、装置本体（１４）にお
いて切削工具（１２）の先端よりも高い位置に備えるこ
とのできる例えばチャック（１７）に固定し、切削工具
（１２）の上方に配置することができる。

【００１４】この出願の発明の難加工材の穴開け加工装
置では、前述の通り、回転手段（１３）により難加工材
（１１）又は切削工具（１２）の少なくともいずれか一
方が回転する。図１に示した難加工材の穴開け加工装置
では、回転手段（１３）は、加工対象の難加工材（１
１）を回転させる。難加工材（１１）を穴開け加工する
際には、可動ステージ（１５）を調節し、固定した切削
工具（１２）が難加工材（１１）の回転中心に一致する
ように配置した後（あるいは、切削工具（１２）は、可
動ステージ（１５）に固定された時点で難加工材（１
１）の回転中心に一致するように設計することもでき
る）、回転手段（１３）の作動により難加工材（１１）
を回転させる。次いで、難加工材（１１）を手動又は自
動により鉛直下方に移動させ、切削工具（１２）により
下面から鉛直上方に向かって穴開け加工を行う。勿論、
後述の実施形態のように、難加工材（１１）の位置は固
定しておき、可動ステージ（１５）を移動させる等して
切削工具（１２）を鉛直上方に移動させることもでき
る。

【００１５】なお、図１に示した難加工材の穴開け加工
装置は、ボール盤を改良して簡単に作製することもで
き、装置コストの低減が可能である。

【００１６】また、この出願の発明の難加工材の穴開け
加工装置には、図１に示したように、穴開け加工時に加
工対象の難加工材（１１）を外部より加熱するヒーター
（１８）を必要に応じて設けることもできる。加熱によ
り切削性が改善される難加工材（１１）にヒーター（１
８）の配設は効果的となる。一方、加熱によって切削性
が劣化する難加工材（１１）もある。したがって、ヒー
ター（１８）の配設若しくはその作動は難加工材（１
１）の特性に応じて決定する。

【００１７】図２は、この出願の発明の難加工材の穴開
け加工装置の別の実施形態を概略的に示した断面図であ
る。

【００１８】この図２に示した難加工材の穴開け加工装
置では、図１に示した難加工材の穴開け加工装置と異な
り、難加工材（１１）の位置は固定され、可動ステージ
（１５）を移動させる等して切削工具（１２）が自動的
に鉛直方向に移動することができるようになっている。
また、回転手段（１３）の回転軸上に負荷センサー（１
９）が配設され、この負荷センサー（１９）により切削
工具（１２）の摩耗度を検出し、切削工具（１２）の交
換が必要と判断した時に、穴開け加工を一時停止して摩
耗した切削工具（１２）を配備しておいたスペア用切削
工具（１２ａ）と自動的に交換し、この後、穴開け加工
を再開し、あらかじめ設定された所定径、所定深さの穴
を難加工材（１１）に形成し、自動的に穴開け加工を終
了するようにもなっている。このような自動システムを
採用することにより、難加工材（１１）の穴開け加工の
省力化が図られ、また、生産効率が高まり、加工コスト
の低減に有効となる。

【００１９】

【実施例】図１に示したこの出願の発明の難加工材の穴
開け加工装置と従来の横型旋盤によりタングステン丸棒
（直径20mm、長さ100mm）の穴開け加工（直径14mm、長
さ60mmの長穴）を行い、比較した。切削工具（１２）に
は、直径14mmの超硬ドリルを使用した。

【００２０】この出願の発明の難加工材の穴開け加工装
置は、ボール盤を改良して作製し、回転手段（１３）の
回転数は50〜640rpmである。加工対象のタングステン丸
棒には、ヒーター（１８）で加熱しない、500〜550℃に
加熱するの二通りで穴開け加工を行った。加熱しない場
合には穴開け加工は18分で完了した。その間、超硬ドリ
ルは研磨の必要がなかった。一方、500〜550℃に加熱し
て穴開け加工した場合には、穴開け加工は90分で終了
し、途中超硬ドリルの研磨は４回であった。

【００２１】なお、いずれの場合にも、切削屑は、その
自重により速やかに外部に排出された。

【００２２】横型旋盤には汎用の旋盤を用いた。旋盤の
回転数は50〜500rpmであり、約270rpmが最適であった。
タングステン丸棒の穴開け加工には５時間程要し、途中
超硬ドリルの刃先の消耗が激しく、１０数回にわたり刃
先をグラインダーで研磨した。穴開け作業の中断は余儀
なくされた。また、切削油の有無にかかわらず、約１mm
の切削毎に超硬ドリルを引き抜き、形成された穴から切
削屑を取り除く必要があった。超硬ドリルの刃先の激し
い消耗は、タングステンは比重が19.3g/cm³と大きく、
粉末焼結による高脆性のため、粒度の細かい高硬度切削
屑が生じ、形成された穴に留まり、刃先とタングステン
丸棒との間に切削屑がより長く留まってお互いが研磨さ
れたためと考えられる。

【００２３】したがって、この出願の発明の難加工材の
穴開け加工装置では、自重により速やかに切削屑が外部
に排出されるため、超硬ドリルの刃先の摩耗が激減する
と考えられる。

【００２４】勿論、この出願の発明は、以上の実施形態
及び実施例によって限定されるものではない。装置本体
の細部の構成及び構造については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。

【００２５】

【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発
明によって、タングステンをはじめとする難加工性の金
属、セラミックスの難加工材を穴開け加工する際の穴開
け加工時間が短縮され、切削工具の消耗が抑えられる。
また、難加工材の割れ等が解消される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この出願の発明の難加工材の穴開け加工装置の
一実施形態を概略的に示した断面図である。

【図２】この出願の発明の難加工材の穴開け加工装置の
別の実施形態を概略的に示した断面図である。

【図３】超高融点タングステン坩堝を例示した断面図で
ある。

【符号の説明】

１１難加工材１２、１２ａ切削工具１３回転手段１４装置本体１５可動ステージ１６万力１７チャック１８ヒーター１９負荷センサー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者北澤英明茨城県つくば市千現１丁目２番１号科学技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者木戸義勇茨城県つくば市千現１丁目２番１号科学技術庁金属材料技術研究所内Ｆターム(参考） 3C029 DD11 3C036 AA24 DD10 LL09

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】加工対象の難加工材をその下面から鉛直
上方に向かって切削する切削工具と、難加工材又は切削
工具の少なくともいずれか一方を回転させる回転手段と
を備えたことを特徴とする難加工材の穴開け加工装置。
【請求項２】難加工材又は切削工具の少なくともいず
れか一方が鉛直方向に自動的に移動可能とされるととも
に、回転手段の回転軸上に切削工具の摩耗度を検出する
負荷センサーが配設され、難加工材の穴開け加工装置
は、切削工具の交換が必要と判断した時に、穴開け加工
を一時停止して摩耗した切削工具を配備しておいたスペ
ア用切削工具と自動的に交換し、この後、穴開け加工を
再開してあらかじめ設定された所定径、所定深さの穴を
難加工材に形成し、自動的に穴開け加工を終了する請求
項１記載の難加工材の穴開け加工装置。