JP2001329840A - サーモスタットの故障診断装置 - Google Patents

サーモスタットの故障診断装置

Info

Publication number
JP2001329840A
JP2001329840A JP2000145413A JP2000145413A JP2001329840A JP 2001329840 A JP2001329840 A JP 2001329840A JP 2000145413 A JP2000145413 A JP 2000145413A JP 2000145413 A JP2000145413 A JP 2000145413A JP 2001329840 A JP2001329840 A JP 2001329840A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
target temperature
cooling water
failure
engine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000145413A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4385492B2 (ja
Inventor
Futoshi Nishioka
太 西岡
Tetsushi Hosogai
徹志 細貝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2000145413A priority Critical patent/JP4385492B2/ja
Publication of JP2001329840A publication Critical patent/JP2001329840A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4385492B2 publication Critical patent/JP4385492B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成でサーモスタット弁の故障を正確
に検出できるようにする。 【解決手段】 エンジンの冷却水温度が目標温度よりも
高いときに冷却水をラジエータに循環させるために開弁
され、冷却水温度が目標温度よりも低いときに閉弁され
る電気制御式のサーモスタット弁10と、上記目標温度
をエンジンの運転状態に対応させて設定する目標温度設
定手段11と、上記サーモスタット弁10の開故障を、
その閉弁温度領域で検出する故障検出手段13と、上記
目標温度設定手段11により目標温度が通常時よりも低
温側に設定されたときに、上記故障検出手段による開故
障検出を禁止する故障検出禁止手段14とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの冷却系
に設けられたサーモスタットの故障診断装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特開平4−339127
号公報に示すように、冷却装置と、この冷却装置を制御
する制御装置とを有し、この制御装置に対してエンジン
(内燃機関)の種々の運転パラメータに従って異なる温
度目標値が設定されるエンジンの温度制御装置におい
て、制御装置に目標値発生器が設けられ、この目標値発
生器によって種々の使用状態に従って制御装置に対して
異なる温度目標値を設定することが行われている。
【0003】上記温度制御装置の冷却装置には、エンジ
ンの冷却水をラジエータ(クーラ)側に流通させて冷却
する状態と、上記ラジエータ側に供給することなく短絡
パイプを介してエンジンに戻す状態とに切り換えるサー
モスタット弁(混合弁)が設けられている。そして、エ
ンジンの運転状態に応じて設定された上記温度目標値
と、実際のエンジン温度とを比較し、このエンジン温度
が温度目標値以上のときには、上記サーモスタット弁を
開弁して冷却水をラジエータ側に流通させることによ
り、冷却水温度の上昇を抑制し、上記エンジン温度が温
度目標値よりも低いときには、上記サーモスタット弁を
閉弁してラジエータをバイパスさせるように冷却水を循
環させることにより、冷却水の温度を速やかに上昇させ
ることが行われている。
【0004】また、上記サーモスタット弁の故障を診断
するため、上記サーモスタット弁を意図的に閉じた状態
で、エンジン温度の上昇が生じているか否かを検出し、
このエンジン温度の上昇が発生しない場合には、上記サ
ーモスタット弁に故障が生じていると診断することが行
われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにサーモス
タット弁の開閉制御を実行するための基準となる温度目
標値を、エンジンの運転状態に応じて制御するように構
成された上記温度制御装置において、サーモスタット弁
を意図的に閉じた状態におけるエンジン温度の上昇度合
いに基づき、上記サーモスタット弁の故障を検出するよ
うに構成した場合には、上記温度目標値の制御に応じて
エンジン温度が変化するため、このエンジン温度の上昇
度合いに基づく上記サーモスタット弁の故障を正確に診
断することが困難であるという問題がある。
【0006】例えば上記温度目標値を低温側に設定して
エンジンの冷却水温度を低めに制御している場合には、
上記サーモスタット弁を閉じても冷却水温度がそれ程顕
著に変化することはないので、サーモスタット弁が正常
であるにも拘わらず、開故障状態にあると誤診断された
り、サーモスタット弁が異常であるにも拘わらず、正常
であると誤診断されたりし易い等の問題がある。
【0007】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、簡単な構成でサーモスタット弁の故障を正確に
診断することができるサーモスタットの故障診断装置を
提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
エンジンの冷却水温度が目標温度よりも高いときに冷却
水をラジエータに循環させるために開弁され、冷却水が
目標温度よりも低いときに閉弁される電気制御式のサー
モスタット弁と、上記目標温度をエンジンの運転状態に
対応させて設定する目標温度設定手段と、上記サーモス
タット弁の開故障を、その閉弁温度領域で検出する故障
検出手段と、上記目標温度設定手段により目標温度が通
常時よりも低温側に設定されたときに、上記故障検出手
段による開故障検出を禁止する故障検出禁止手段とを備
えたものである。
【0009】上記構成によれば、冷却水温度が目標温度
よりも低い閉弁温度領域で、上記故障検出手段によりサ
ーモスタット弁の開故障を検出する際に、目標温度設定
手段により目標温度が通常時よりも低温側に設定されて
いることが、上記故障検出禁止手段において確認された
場合には、上記開故障の検出が禁止されるため、上記目
標温度と実冷却水温度とに差がないことに起因した誤診
断の発生が防止されることになる。
【0010】請求項2に係る発明は、エンジンの冷却水
温度が目標温度よりも高いときに冷却水をラジエータに
循環させるために開弁され、冷却水温度が目標温度より
も低いときに閉弁される電気制御式のサーモスタット弁
と、上記目標温度をエンジンの運転状態に対応させて設
定する目標温度設定手段と、上記サーモスタット弁の閉
故障を、その開弁温度領域で検出する故障検出手段と、
上記目標温度制御手段により目標温度が通常時よりも高
温側に設定されたときに、上記故障検出手段による閉故
障検出を禁止する故障検出禁止手段とを備えたものであ
る。
【0011】上記構成によれば、冷却水温度が目標温度
よりも高い開弁温度領域で、上記故障検出手段によりサ
ーモスタット弁の閉故障を検出する際に、目標温度設定
手段により目標温度が通常時よりも高温側に設定されて
いることが、上記故障検出禁止手段において確認された
場合には、上記閉故障の検出が禁止されるため、上記目
標温度と実冷却水温度とに差がないことに起因した誤診
断の発生が防止されることになる。
【0012】請求項3に係る発明は、エンジンの冷却水
温度が目標温度よりも高いときに冷却水をラジエータに
循環させるために開弁され、冷却水温度が目標温度より
も低いときに閉弁される電気制御式のサーモスタット弁
と、上記目標温度をエンジンの運転状態に対応させて設
定する目標温度設定手段と、上記サーモスタット弁の開
故障を、その閉弁温度領域で検出する故障検出手段とを
備え、この故障検出手段による開故障検出が終了するま
で上記目標温度を通常時よりも高温側に設定するように
構成したものである。
【0013】上記構成によれば、冷却水温度が目標温度
よりも低い閉弁温度領域で、上記故障検出手段によりサ
ーモスタット弁の開故障を検出する際に、目標温度設定
手段により目標温度が通常時よりも高温側に設定される
ため、上記目標温度と実冷却水温度とに差がないことに
起因した誤診断の発生が防止されることになる。
【0014】請求項4に係る発明は、エンジンの冷却水
温度が目標温度よりも高いときに冷却水をラジエータに
循環させるために開弁され、冷却水温度が目標温度より
も低いときに閉弁される電気制御式のサーモスタット弁
と、上記目標温度をエンジンの運転状態に対応させて設
定する目標温度設定手段と、上記サーモスタット弁の閉
故障を、その開弁温度領域で検出する故障検出手段とを
備え、この故障検出手段による閉故障検出が終了するま
で上記目標温度を通常時よりも低温側に設定するように
構成したものである。
【0015】上記構成によれば、冷却水温度が目標温度
よりも高い開弁温度領域で、上記故障検出手段によりサ
ーモスタット弁の閉故障を検出する際に、目標温度設定
手段により目標温度が通常時よりも低温側に設定される
ため、上記目標温度と実冷却水温度とに差がないことに
起因した誤診断の発生が防止されることになる。
【0016】請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何
れかに記載のサーモスタットの故障診断装置において、
実冷却水温度を目標温度に近付けるようにサーモスタッ
ト弁をフィードバック制御するフィードバック制御手段
を備え、上記フィードバック制御時の目標温度と実冷却
水温度との偏差に基づいて故障検出手段によりサーモス
タット弁の故障を検出するように構成したものである。
【0017】上記構成によれば、例えば冷却水温度が目
標温度よりも低い閉弁温度領域で、上記故障検出手段に
よりサーモスタット弁の開故障を検出する際に、上記フ
ィードバック制御手段において求められた目標温度と実
冷却水温度との偏差が、所定値よりも大きい状態が所定
時間に亘り継続されたか否かを判別することにより、上
記開故障が発生しているか否かが正確に診断されること
になる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態に係る
サーモスタットの故障診断装置を有する車両用エンジン
の冷却系を示している。この冷却系には、エンジン本体
1から導出された冷却水をラジエータ2に供給する第1
配管3と、ラジエータ2により冷却された冷却水をエン
ジン本体1に供給する第2配管4とを備え、この第2配
管4には、エンジン本体1に冷却水を供給する冷却水ポ
ンプ5と、上記冷却水の温度を検出する温度センサ6と
が設けられている。
【0019】上記第1配管3と第2配管4とは、第1バ
イパス配管7及び第2バイパス配管8により二個所にお
いて接続されている。また、上記両バイパス配管7,8
のうちエンジン本体1側の第1バイパス配管7には、暖
房装置のヒータコア9が配設され、ラジエータ2側の第
2バイパス配管8と第2配管4との接続部には、電気制
御式のサーモスタット弁10が配設されている。なお、
上記第1バイパス通路7には、室内暖房を行わないとき
に、第1バイパス通路7への冷却水の流入を阻止する開
閉弁(図示せず)が設けられている。
【0020】上記サーモスタット弁10は、エンジンの
冷却水温度が目標温度よりも高いときに、電気的に開弁
状態とされて、第2配管4の上流側部4aと下流側部4
bとを連通させるとともに、第2バイパス配管7と第2
配管4とを遮断状態とすることにより、エンジン本体1
から導出された高温の冷却水をラジエータ2に供給して
冷却した後、上記第2配管4を介してエンジン本体1に
供給するように構成されている。
【0021】また、サーモスタット弁10は、エンジン
の冷却水温度が目標温度よりも低い場合に、電気的に閉
弁状態とされて、第2配管4の上流側部4aと下流側部
4bとを遮断するとともに、第2バイパス配管7と第2
配管4とを連通させることにより、エンジン本体1から
導出された高温の冷却水を、ラジエータ2に供給するこ
となく、上記第2バイパス配管7から第2配管4の下流
側部4bを介してエンジン本体1に循環させる三方切換
弁からなっている。
【0022】上記サーモスタットの故障診断装置には、
エンジンの運転状態に対応させて上記目標温度を設定す
る目標温度設定手段11と、この目標温度設定手段11
により設定された目標温度に基づいて上記サーモスタッ
ト弁10をフィードバック制御するフィードバック制御
手段12と、上記サーモスタット弁10の開故障及び閉
故障を検出する故障検出手段13と、この故障検出手段
13による故障検出を必要に応じて禁止する故障検出禁
止手段14と、上記故障検出手段13から出力される故
障検出信号に応じて上記サーモスタット弁10に故障が
発生したことを報知する警報手段15とが設けられてい
る。
【0023】上記目標温度設定手段11は、エンジンの
通常運転時、例えば極低負荷時または極高負荷時を除く
温間時等に、冷却水温度を最適値とするために、上記目
標温度を例えば80°C程度に設定するとともに、エン
ジンの低負荷運転時等に冷却水温度を早期に上昇させる
ために上記目標温度を例えば90°C程度に設定し、か
つエンジンの高負荷運転時等にエンジン本体1等の温度
が過度に上昇するのを防止するために上記目標温度を8
0°C未満に設定するように構成されている。
【0024】上記フィードバック制御手段12は、目標
温度設定手段11により設定された目標温度と、温度セ
ンサ6により検出された実冷却水温度との偏差を求め、
この偏差に対応した開閉信号を上記サーモスタット弁1
0に出力することにより、実冷却水温度を上記目標温度
に一致させるフィードバック制御を実行するように構成
されている。
【0025】上記故障検出手段13は、フィードバック
制御手段12において求めた目標温度と実冷却水温度と
の偏差に基づいて上記サーモスタット弁10に開故障ま
たは閉故障が発生したか否かを検出し、この検出信号を
上記警報手段15に出力するように構成されている。
【0026】すなわち、上記実冷却水温度が目標温度よ
りも低い閉弁温度領域で、上記偏差の絶対値が所定値以
上である状態が一定時間に亘り継続され、冷却水温度が
上昇していないことが確認された場合に、サーモスタッ
ト弁10に開故障が発生したことを示す開故障検出信号
が上記警報手段15に出力されるようになっている。
【0027】また、上記実冷却水温度が目標温度よりも
高い開弁温度領域で、上記偏差の絶対値が所定値以上で
ある状態が一定時間に亘り継続され、冷却水温度が低下
していないことが確認された場合に、サーモスタット弁
10に閉故障が発生したことを示す閉故障検出信号が上
記警報手段15に出力されるようになっている。
【0028】上記故障検出禁止手段14は、エンジンの
高負荷運転時等に上記目標温度設定手段11により目標
温度が80°C未満に設定されたときに、上記故障検出
手段13によるサーモスタット弁10の開故障検出を禁
止し、かつエンジンの低負荷運転時等に上記目標温度設
定手段11により目標温度が90°C程度に設定された
ときに、上記故障検出手段13によるサーモスタット弁
10の閉故障検出を禁止するように構成されている。
【0029】上記構成の故障診断装置において実行され
る基本制御動作を図2に示すフローチャートに基づいて
説明する。上記制御動作がスタートすると、目標温度設
定手段11において設定された目標温度TTが、温度セ
ンサ6によって検出された実冷却水温度TSよりも大き
いか否かを判定する(ステップS1)。
【0030】上記ステップS1でYESと判定され、目
標温度TTが実冷却水温度TSよりも大きい状態、つま
りサーモスタット弁10の閉弁温度領域にあることが確
認された場合には、上記目標温度設定手段11において
設定された目標温度TTが、通常時よりも低温側に設定
されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0031】上記ステップS2でNOと判定されて上記
目標温度TTが80°C程度の通常温度又は90°C程
度の高温側に設定されていることが確認された場合に
は、後述する故障検出制御を実行した後(ステップS
3)、上記目標温度TTと実冷却水温度TSの偏差に基
づくサーモスタット弁10の開閉制御を実行する(ステ
ップS4)。
【0032】一方、上記ステップS2でYESと判定さ
れて上記目標温度TTが80°C未満の低温側、例えば
70°C程度に設定されていることが確認された場合に
は、上記故障検出制御を禁止した後(ステップS5)、
上記ステップS4に移行してサーモスタット弁10の開
閉制御を実行する。
【0033】また、上記ステップS1でNOと判定さ
れ、目標温度TTが実冷却水温度TSよりも小さい状
態、つまりサーモスタット弁10の開弁温度領域にある
ことが確認された場合には、上記目標温度設定手段11
において設定された目標温度TTが、通常時よりも高温
側に設定されているか否かを判定する(ステップS
6)。このステップS6でNOと判定されて上記目標温
度TTが80°C程度の通常温度又は80°C未満の低
温側に設定されていることが確認された場合には、上記
ステップS3に移行してサーモスタット弁10の故障検
出制御を実行する。
【0034】一方、上記ステップS2でYESと判定さ
れて上記目標温度TTが90°C程度の高温側に設定さ
れていることが確認された場合には、上記ステップS5
に移行してサーモスタット弁10の故障検出制御を禁止
する。
【0035】次に、上記基本制御のステップS3におい
て実行される故障検出制御を、図3に示すフローチャー
トに基づいて説明する。上記制御動作がスタートする
と、エンジンの始動後に所定時間、例えば300秒程度
が経過して冷却水温度がある程度上昇した状態にあるか
否かを判定し(ステップS11)、YESと判定された
場合には、サーモスタット弁10の故障診断が未完了の
状態にあるか否かを判定する(ステップS12)。
【0036】上記ステップS12でYESと判定された
場合には、上記目標温度設定手段11において設定され
た目標温度TTと、上記温度センサ6によって検出され
た実冷却水温度TSとの偏差ΔTを求めた後(ステップ
S13)、この偏差の絶対値|ΔT|が、予め設定され
た基準偏差αよりも大きいか否かを判定する(ステップ
S14)。このステップS14でYESと判定された場
合には、故障判定用カウンタのカウント値Cを1だけイ
ンクリメントした後(ステップS15)、このカウント
値Cと、予め設定された基準時間βとを比較することに
より、所定時間が経過したか否か判定する(ステップS
16)。
【0037】上記ステップS16でYESと判定され、
上記偏差の絶対値|ΔT|が基準偏差αよりも大きい状
態が、所定時間以上に亘った継続されたことが確認され
た場合には、上記サーモスタット弁10に開故障または
閉故障が発生したことを示す検出信号を上記警報手段1
5に出力することにより、故障が発生したことを報知す
る(ステップS17)。
【0038】例えば目標温度TTが実冷却水温度TSよ
りも大きい閉弁温度領域で実行されるサーモスタット弁
10の開故障検出時に、実冷却水温度TSが目標温度T
Tよりも所定値以上小さい状態が所定時間に亘り継続さ
れ、エンジンの冷却水温度が目標温度の近くまで上昇し
ていないことが確認された場合には、サーモスタット弁
10が何らかの原因で開状態に固着した開故障が発生し
たと判断して上記警報手段15に開故障検出信号を出力
する。
【0039】また、目標温度TTが実冷却水温度TSよ
りも小さい開弁温度領域で実行されるサーモスタット弁
10の閉故障検出時に、実冷却水温度TSが目標温度T
Tよりも所定値以上大きい状態が所定時間に亘り継続さ
れ、エンジンの冷却水温度を目標温度の近くまで低下し
ていないことが確認された場合には、サーモスタット弁
10が何らかの原因で閉状態に固着した閉故障が発生し
たと判断して上記警報手段15に閉故障検出信号を出力
する。
【0040】なお、上記ステップS14でNOと判定さ
れ、上記偏差の絶対値|ΔT|が、予め所定値に設定さ
れた基準偏差α以下であることが確認された場合には、
上記カウント値Cを0にリセットした後(ステップS1
8)、リターンする。また、上記ステップS16でNO
と判定され、故障判定用カウンタのカウント値Cが基準
値β以下であることが確認された場合には、そのままリ
ターンして上記制御動作を繰り返す。
【0041】上記のようにエンジンの冷却水温度が目標
温度よりも高いときに冷却水をラジエータ2に循環させ
るために開弁され、冷却水温度が目標温度よりも低いと
きに閉弁される電気制御式のサーモスタット弁10と、
上記目標温度をエンジンの運転状態に応じて設定する目
標温度設定手段11と、上記サーモスタット弁10の開
故障を、その閉弁温度領域で検出する故障検出手段13
と、上記目標温度設定手段11により目標温度が通常時
よりも低温側に設定されたときに、上記故障検出手段1
3による開故障検出を禁止する故障検出禁止手段14と
を設けたため、簡単な構成で上記サーモスタット弁10
の故障を正確に診断することができる。
【0042】すなわち、上記のように目標温度TTが低
温側に設定された運転状態を除く領域、例えば目標温度
TTが90°C程度に設定された高温領域で上記開故障
の有無が検出されるため、上記サーモスタット弁10が
正常であるならば、実冷却水温度TSを、図4の実線で
示すように、上記目標温度TTに近付けるフィードバッ
ク制御が実行されることになる。そして上記サーモスタ
ット弁10に開故障が発生している場合には、実冷却水
温度TSが、図4の破線で示すように、上記目標温度T
Tよりもかなり低い状態に保持されるため、上記目標温
度TTと上記実冷却水温度TSとの偏差が大きくなる。
【0043】これに対して上記目標温度TTが70°C
程度に設定された低温領域では、上記サーモスタット弁
10に開故障が発生している場合でも、目標温度TTと
実冷却水温度TSが略一致する状態となってサーモスタ
ット弁10が正常であると誤診断されたり、逆にサーモ
スタット弁10が正常であるのに異常であると誤診断さ
れたりする可能性がある。
【0044】したがって、上記のように上記目標温度設
定手段11により目標温度が通常時よりも低温側に設定
されたときに、上記故障検出手段13による開故障検出
を禁止することにより、上記目標温度TTと上記実冷却
水温度TSとの偏差が小さいことに起因した誤診断が生
じるのを防止し、上記偏差に基づいてサーモスタット弁
10の開故障を正確に検出することができる。
【0045】また、上記のように目標温度設定手段11
により目標温度が通常時よりも低温側に設定されたとき
に、上記故障検出手段13によるサーモスタット弁10
の閉故障の検出を、上記故障検出禁止手段14により禁
止するように構成した場合には、目標温度TTが高温側
に設定された運転状態を除く領域、例えば目標温度TT
が70°C程度に設定された低温領域で上記閉故障検出
が実行されることになる。このため、上記偏差に基づ
き、実冷却水温度TSを低温の目標温度TTに近付ける
フィードバック制御が適正に実行されているか否かを判
別することにより、上記目標温度TTと上記実冷却水温
度TSとの偏差が小さいことに起因した誤診断を生じる
ことなく、サーモスタット弁10の閉故障を正確に検出
することができる。
【0046】上記故障検出禁止手段14を設けることに
より、サーモスタット弁10の故障検出時における誤検
出を防止するように構成された上記実施形態に代え、図
5に示すように、サーモスタット弁10の開故障を、そ
の閉弁温度領域で実行する際に、上記故障検出手段13
による故障検出が終了するまで上記目標温度設定手段1
1により目標温度を通常時よりも高温側に設定し、また
サーモスタット弁10の閉故障を、その開弁温度領域で
実行する際に、上記故障検出手段13による故障検出が
終了するまで上記目標温度設定手段11により目標温度
TTを通常時よりも低温側に設定することにより、サー
モスタット弁10の開故障及び閉故障を正確に検出でき
るようにしてもよい。
【0047】すなわち、上記目標温度設定手段11にお
いて設定された目標温度TTが、温度センサ6によって
検出された実冷却水温度TSよりも大きいか否かを判定
し(ステップS21)、このステップS21でYESと
判定され、目標温度TTが実冷却水温度TSよりも大き
い状態、つまりサーモスタット弁10の閉弁温度領域に
あることが確認された場合には、上記目標温度設定手段
11において目標温度TTを通常時よりも高温側に設定
する(ステップS22)。
【0048】次いで、上記故障検出手段13による故障
検出制御を実行することにより、サーモスタット弁10
の開故障を検出した後(ステップS23)、上記目標温
度TTと実冷却水温度TSの偏差に基づくサーモスタッ
ト弁の開閉制御を実行する(ステップS24)。
【0049】また、上記ステップS21でNOと判定さ
れて目標温度TTが実冷却水温度よりも小さい状態、つ
まりサーモスタット弁10の開弁温度領域にあることが
確認された場合には、上記目標温度設定手段11におい
て通常時よりも低温側に設定した後(ステップS2
5)、上記ステップS23に移行して故障検出手段13
による故障検出制御を実行することにより、サーモスタ
ット弁10の閉故障を検出する。
【0050】上記のようにサーモスタット弁10の開故
障を検出する際に、上記目標温度TTを強制的に高温側
に設定するように構成した場合には、上記偏差に基づ
き、実冷却水温度TSを高温の目標温度TTに近付ける
フィードバック制御が適正に実行されているか否かを判
別することにより、目標温度TTと上記実冷却水温度T
Sとの偏差が小さいことに起因した誤診断を生じること
なく、サーモスタット弁10の開故障を正確に検出する
ことができる。
【0051】また、上記のようにサーモスタット弁10
の閉故障を検出する際に、上記目標温度TTを強制的に
低温側に設定するように構成した場合には、上記偏差に
基づき、実冷却水温度TSを低温の目標温度TTに近付
けるフィードバック制御が適正に実行されているか否か
を判別することにより、目標温度TTと上記実冷却水温
度TSとの偏差が小さいことに起因した誤診断を生じる
ことなく、サーモスタット弁10の閉故障を正確に検出
することができる。
【0052】上記実施形態では、図3に示すように、上
記フィードバック制御時の目標温度TTと実冷却水温度
TSとの偏差ΔTに基づいて故障検出手段13によりサ
ーモスタット弁10の開故障または閉故障を検出するよ
うに構成したため、簡単な構成でサーモスタット弁10
の故障を正確に診断することができる。
【0053】なお、上記ステップS21の判定を省略
し、目標温度TTを高温側に設定した状態における開故
障の診断制御と、目標温度TTを低温側に設定した状態
における閉故障の診断制御とを連続して行うことによ
り、上記サーモスタット弁10の開故障または閉故障を
検出するようにしてもよい。
【0054】また、上記実施形態に代え、図6に示すよ
うに、高負荷かつ高車速状態が所定時間以上に亘った継
続された場合に、実冷却水温度が上昇しているか否か判
定する等により、上記サーモスタット弁10の開故障を
検出するようにしてもよい。
【0055】すなわち、エンジンの始動後に故障診断用
カウンタのカウント値Cを0にリセットした後(ステッ
プQ1)、エンジン負荷が所定値よりも大きい高負荷の
運転状態にあるか否かを判定する(ステップQ2)。こ
のステップQ2でYESと判定された場合には、車速が
所定値よりも大きい高車速の運転状態にあるか否かを判
定し(ステップQ3)、YESと判定された場合には、
上記カウント値Cを1だけインクリメントする(ステッ
プQ4)。なお、上記ステップQ2,Q3の何れかにお
いて、NOと判定された場合には、上記カウント値Cを
0にリセットした後(ステップQ12)、下記のステッ
プQ5に移行する。
【0056】次いで、上記カウント値Cに基づく故障診
断を実行するための基準時間CHを、エンジン始動時の
冷却水温度に基づいて設定する(ステップQ5)。すな
わち、エンジン及び車両の運転状態が同じでも、そのと
きの冷却水温度に応じて冷却水の温度上昇勾配が変化す
ることを補償すべく、上記基準時間CHを適正値に設定
する。
【0057】そして、上記カウンタのカウント値Cが基
準時間CHよりも大きいか否かを判定し(ステップQ
6)、NOと判定された場合には、上記ステップQ2に
戻る。また、上記ステップQ6でYESと判定されて上
記カウント値Cが基準時間CHよりも大きいことが確認
された場合には、エンジンの運転状態から予測される冷
却水の予測温度が、所定の第1基準温度t1よりも大き
いか否かを判定する(ステップQ7)。
【0058】上記冷却水の予測温度は、例えば吸入空気
量に対応したエンジン負荷と、車速と、吸気温度とをパ
ラメータとして所定の短時間における温度上昇分を算出
し、この温度上昇分を前回の予測温度に加算することに
より算出される。なお、上記予測温度の初期値は、エン
ジン始動時に検出された実際の冷却水温度とされる。ま
た、上記第1基準温度t1は、サーモスタット弁10の
開閉基準となる目標温度以下の温度に設定されている。
【0059】上記ステップQ7でYESと判定された場
合には、上記温度センサ6により検出された実冷却水温
度が、所定の第2基準温度t2よりも小さいか否かを判
別する(ステップQ8)。上記第2基準温度t2は、サ
ーモスタット弁10の目標温度以下で、上記第1基準温
度t1に対応して設定される。上記第2基準温度t2
は、第1基準温度t1よりも若干低い温度に設定しても
よく、あるいは上記第1基準温度t1と第2基準温度t
2とを同じ温度に設定してもよい。
【0060】上記ステップQ8でNOと判定され、実際
の冷却水温度が十分に高い温度になっていること、つま
りラジエータ2による冷却が実行されていないことが確
認された場合には、サーモスタット弁10が閉状態とな
っていると考えられるため、正常であると判定される
(ステップQ9)。
【0061】上記ステップQ8でYESと判定され、サ
ーモスタット弁10が目標温度よりもかなり低い温度で
開状態となったことが確認された場合には、サーモスタ
ット弁10に開故障が発生したと判定し(ステップQ1
0)、警報手段15を作動させる作動信号を出力する
(ステップQ11)。
【0062】このように高負荷かつ高車速状態が所定時
間以上に亘った継続された時点で、サーモスタット弁1
0の開故障を検出するようにした構成によれば、エンジ
ン始動後に、アイドル運転状態が長く続いたり、急な上
り坂を加速状態で走行したりする等の特殊な運転が行わ
れることに起因して、サーモスタット弁10が開故障し
ていないにも拘わらず、開故障であると誤検出されるこ
と等を効果的に防止し、上記サーモスタット弁10の故
障を正確に診断することができる。
【0063】次に、上記故障検出制御のさらに別の具体
例を、図7及び図8に示すフローチャートに基づいて説
明する。上記制御動作がスタートすると、温度センサ6
によって検出された実冷却水温度を、予測冷却水温度の
初期値として設定した後(ステップQ21)、エンジン
負荷と、車速と、吸気温度とをパラメータとして演算さ
れた冷却水温度に基づき、上記予測冷却水温度の値を更
新する(ステップQ22)。
【0064】そして、エンジン始動時の実冷却水温度
が、35°C程度に設定された比較的低温の所定温度よ
りも低いか否かを判定し(ステップQ23)、NOと判
定された場合には、上記故障判定を行うことなく、その
まま制御動作を終了する。
【0065】また、上記ステップQ23でYESと判定
された場合には、エンジン始動時の実冷却水温度から吸
気温度を差し引いた温度偏差を求めた後(ステップQ2
4)、この温度偏差が、例えば10°C程度の十分に低
い値よりも小さいかか否かを判定し(ステップQ2
5)、NOと判定された場合には、故障判定を行うこと
なく、そのまま制御動作を終了する。
【0066】上記ステップQ25でYESと判定されて
実冷却水温度が低い値にあり、冷機状態から冷却水温度
の上昇を利用した故障診断が可能な状態にあることが確
認された場合には、予測冷却水温度が、例えば40°C
程度の中温領域に設定された所定温度よりも大きいか否
かを判定し(ステップQ26)、NOと判定された場合
には、上記ステップQ22に戻る。
【0067】上記ステップQ26でYESと判定された
場合には、後述するようにラジエータ2からの放熱量Q
orhを算出するとともに、冷却水のエンジンからの受
熱量Qigを算出した後(ステップQ27,Q28)、
この受熱量Qigに対する放熱量Qorhの比からなる
熱量比Rを算出する(ステップQ29)。この熱量比R
が大きいほど、ラジエータ2により冷却水が冷却されて
いる可能性が高いことを示すものとなる。
【0068】次いで、予測冷却水温度が、サーモスタッ
ト弁10の開閉制御基準となる目標温度以下の所定温度
(例えば76°C)よりも大きいか否かを判定し(ステ
ップQ30)、NOと判定された場合には、上記ステッ
プQ22に戻る。
【0069】上記ステップQ30でYESと判定された
場合には、エンジン始動時の実冷却水温度に基づいて、
故障判定用のしきい値α1を設定した後(ステップQ4
1)、上記熱量比Rが、上記しきい値α1よりも大きい
か否かを判定する(ステップQ42)。このステップQ
42でYESと判定された場合には、サーモスタット弁
10に開故障が発生したと判定し(ステップQ43)、
警報手段15を作動させる制御信号を出力する(ステッ
プQ44)。
【0070】また、上記ステップQ42でNOと判定さ
れた場合には、エンジン始動時の実冷却水温度に基づい
て、正常判定用のしきい値α2を設定した後(ステップ
Q45)、上記熱量比Rが上記しきい値α2よりも小さ
いか否かを判定する(ステップQ46)。このステップ
Q46でYESと判定された場合には、サーモスタット
弁10の開故障が発生していない正常な状態であると判
定される(ステップQ47)。
【0071】上記ステップQ47でNOと判定された場
合には、サーモスタット弁10が正常であるか否かを正
確に判定することができないグレーゾーンであるとして
判定不能とされる(ステップQ48)。なお、上記しき
い値α1,α2は、図5におけるステップQ5と同様
に、冷却水温度の上昇度合いが、制御開始時の冷却水温
度に応じて変化することを補償するために設定されるも
のである。
【0072】上記放熱量Qorhは、以下に示すように
予測冷却水温度θcpと冷却水温度θeaに基づいて算
出され、受熱量Qigは、エンジンの運転状態を示す運
転パラメータに基づいて算出される。
【0073】まず、冷却水に伝熱される単位時間当たり
の熱量の代数和は、冷却水の熱容量と単位時間当たり温
度上昇率との積に比例する。この関係を図1に示す冷却
系のモデルに適用することにより、次式(1)のような
微分式が得られる。
【0074】 CM・dθe/dt=qig−qoe−qor−qoh…(1) 但し、 C :冷却水の比熱[kcal/kg・°K] M :冷却水の質量[kg] θe :冷却水の温度[°K] qig :燃焼ガスから冷却水に伝熱する単位時間当た
りの熱量[kcal/s] qoe :エンジン表面から雰囲気中へ伝熱する単位時
間当たりの熱量[kcal/s] qor :ラジエータ表面から雰囲気中へ伝熱する単位
時間当たりの熱量[kcal/s] qoh :ヒータコア表面から雰囲気中へ伝熱する単位
時間当たりの熱量[kcal/s] エンジン本体1の燃焼ガスから冷却水へ伝熱する単位時
間当たりの熱量及び総熱量は、噴射燃料のうち燃焼に寄
与した燃料の発熱量に基づき、次式(2)に従って求め
られる。
【0075】 qig=Rcηg(γ)Huγgf…(2) 但し、 Rc :燃焼ガスの供給量のうち冷却水へ伝熱する熱量
の割合 ηg :燃焼ガスの発熱量のうち燃焼ガス温度の上昇に
寄与する割合 γ :λ≧1のときはγ=λ,λ<1のときはγ=1 λ :燃焼ガスの空気過剰率 gf :単位時間当たりの燃料供給量[kg/s] Hu :燃料の低発熱量[kcal/kg] エンジン表面、ラジエータ表面、ヒータコア表面から雰
囲気中へ伝熱する単位時間当たりの熱量及び総熱量は、
エンジン表面については次式(3)、ラジエータ表面に
ついては次式(4)、ヒータコア表面については次式
(4)に示すように表すことができる。
【0076】 qoe=koe(Vs)(θe−θae)…(3) 但し、 koe :エンジン表面からの雰囲気中への熱伝導度 Vs :車速[km/h] θae :エンジン表面の雰囲気温度[°K] qor=kor(Vs)(θe−θar)…(4) 但し、 kor :ラジエータ表面からの雰囲気中への熱伝導度 θar :ラジエータ表面の雰囲気温度[°K] qoh=koh(Voh)(θe−θah)…(5) 但し、 koh :ヒータコア表面からの雰囲気中への熱伝導度 Voh :ヒータコア表面を通過する雰囲気の流速[k
m/h] θah :ヒータコア表面の雰囲気温度[°K] 上記式(3)〜(5)を式(1)に代入することによ
り、次式(6)の微分式を得られる。
【0077】 CM・dθe/dt=qig−koe(Vs)(θe−θae)−kor(V s)(θe−θar)−koh(Voh)(θe−θah)…(6) ここで、実用化に際して、サーモスタット弁10の開弁
領域において開故障を検出することに限定して、簡略化
ために冷却系モデルはサーモスタット弁10の開弁温度
以下を対象とする。また、上記θae,θar,θa
h,Vohを、それぞれ吸入空気の温度θiaに置き換
えるものとする。また、koh(Voh)を、Voh=
0における定数項と、それからの増分に分けて次式
(7)のようにおくと、上記qoe,qor,qoh
は、次式(8)〜(10)のようになる。
【0078】 koh(Voh)=Δkoh(Voh)+koh0…(7) 但し、Δkoh(0)=0 qoe=koe(Vs)(θe−θia)…(8) qor=kor(Vs)(θe−θia)…(9) qoh=[Δkoh(Voh)+koh0](θe−θia)…(10) 従って、上記式(6)より下式(11)が得られる。
【0079】 CM・dθe/dt=qig−k(Vs)(θe−θia)−qorh…(1 1) 但し、 qorh=qor+Δkoh(Voh)(θe−θi
a) k(Vs)=koe(Vs)+koh0 現在、サーモスタット弁10が正常に作動しているかど
うかが未知、つまり上記qorhが未知であるとして、
このときの冷却水温度を温度センサ6によって検出され
た実冷却水温度とおくと(θe=θea)、上記式(1
1)より、次式(12)が得られる。
【0080】 CM・dθea/dt=qig−k(Vs)(θea−θia)−qorh… (12) 次に、サーモスタット弁10が正常に作動し、かつ暖房
用のブロアファンが作動していないと仮定した場合の冷
却水温度を未知数としてθe=θepとする。この場合
もラジエータ2への経路は切り離されていると考えて、
qorh=Qorh=0とおくことができるため、上記
式(11)より、次式(13)が得られる。
【0081】 CM・dθep/dt=qig−k(Vs)(θep−θia)…(13) 上記式(13)から式(12)を減算し、qorhにつ
いて整理すると、次式(14)が得られる。
【0082】 qorh=CM・d(θep−θea)/dt+k(Vs)(θep−θea )…(14) 上記式(14)の両辺を積分すると、次式(15)が得
られる。
【0083】 Qorh=CM(θep−θea)+∫k(Vs)(θep−θea)dt… (15) したがって、上記QorhのQigに対する熱量比R
は、上記式(15)及び式(2)により、次式(16)
に示すようになる。
【0084】R=Qorh/Qig=[CM(θep−
θea)+∫k(Vs)(θep−θea)dt]/∫
qigdt 上記式(16)において、分子における左辺は、現在の
予測冷却水温度と実冷却水温度との偏差に関する項であ
り、分子における右辺は、上記両温度の偏差の積分値に
関する項(車速を乗算した値の積算値)となる。このよ
うにして予測冷却水温度と実例冷却水温度とに基づい
て、放熱量Qorhを損出することが可能となる。そし
て、上記熱量比Rが大きいほど放熱量Qorhが大きい
と考えられるため、サーモスタット弁10が開状態にあ
ると想定される。
【0085】上記のようにラジエータ9における冷却水
の放熱量Qorhと、エンジン本体1から冷却水に付与
される受熱量Qigとの比からなる上記熱量比Rに基づ
いてがサーモスタット弁10の開故障を検出するように
した場合には、運転状態に適合した正確な故障診断を実
行できるという利点がある。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、エンジ
ンの冷却水温度が目標温度よりも高いときに冷却水をラ
ジエータに循環させるために開弁され、冷却水温度が目
標温度よりも低いときに閉弁される電気制御式のサーモ
スタット弁と、上記目標温度をエンジンの運転状態に対
応させて設定する目標温度設定手段と、上記サーモスタ
ット弁の開故障または閉故障を、その閉弁温度領域また
は開弁温度領域で検出する故障検出手段と、上記目標温
度設定手段により目標温度が通常時よりも低温側あるい
は高温側に設定されたときに、上記故障検出手段による
開故障検出を禁止する故障検出禁止手段とを設けたた
め、上記目標温度と実冷却水温度との偏差が小さいこと
等に起因した誤検出を生じることなく、サーモスタット
弁の開故障または閉故障を正確に検出できるという利点
がある。
【0087】また、本発明は、エンジンの冷却水温度が
目標温度よりも高いときに冷却水をラジエータに循環さ
せるために開弁され、冷却水温度が目標温度よりも低い
ときに閉弁される電気制御式のサーモスタット弁と、上
記目標温度をエンジンの運転状態に対応させて設定する
目標温度設定手段と、上記サーモスタット弁の開故障ま
たは閉故障を、その閉弁温度領域または開弁温度領域で
検出する故障検出手段と設け、この故障検出手段による
故障検出が終了するまで上記目標温度を通常時よりも高
温側または低温側に設定するように構成したため、上記
目標温度と実冷却水温度との偏差が小さいこと等に起因
した誤検出を生じることなく、サーモスタット弁の開故
障または閉故障を正確に検出できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るサーモスタットの故障
診断装置を備えた冷却系の一例を示す説明図である。
【図2】故障診断の基本制御動作を示すフローチャート
である。
【図3】故障検出制御の具体例を示すフローチャートで
ある。
【図4】冷却水温度の変化状態を示すグラフである。
【図5】故障診断の基本制御動作の別の例を示すフロー
チャートである。
【図6】故障検出制御の別の具体例を示すフローチャー
トである。
【図7】故障検出制御のさらに別の具体例の前半部を示
すフローチャートである。
【図8】上記故障検出制御の後半部を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
1 エンジン本体 2 ラジエータ 10 サーモスタット弁 11 目標温度設定手段 12 フィードバック制御手段 13 故障検出手段 14 故障検出禁止手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの冷却水温度が目標温度よりも
    高いときに冷却水をラジエータに循環させるために開弁
    され、冷却水が目標温度よりも低いときに閉弁される電
    気制御式のサーモスタット弁と、上記目標温度をエンジ
    ンの運転状態に対応させて設定する目標温度設定手段
    と、上記サーモスタット弁の開故障を、その閉弁温度領
    域で検出する故障検出手段と、上記目標温度設定手段に
    より目標温度が通常時よりも低温側に設定されたとき
    に、上記故障検出手段による開故障検出を禁止する故障
    検出禁止手段とを備えたことを特徴とするサーモスタッ
    トの故障診断装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの冷却水温度が目標温度よりも
    高いときに冷却水をラジエータに循環させるために開弁
    され、冷却水温度が目標温度よりも低いときに閉弁され
    る電気制御式のサーモスタット弁と、上記目標温度をエ
    ンジンの運転状態に対応させて設定する目標温度設定手
    段と、上記サーモスタット弁の閉故障を、その開弁温度
    領域で検出する故障検出手段と、上記目標温度制御手段
    により目標温度が通常時よりも高温側に設定されたとき
    に、上記故障検出手段による閉故障検出を禁止する故障
    検出禁止手段とを備えたことを特徴とするサーモスタッ
    トの故障診断装置。
  3. 【請求項3】 エンジンの冷却水温度が目標温度よりも
    高いときに冷却水をラジエータに循環させるために開弁
    され、冷却水が目標温度よりも低いときに閉弁される電
    気制御式のサーモスタット弁と、上記目標温度をエンジ
    ンの運転状態に対応させて設定する目標温度設定手段
    と、上記サーモスタット弁の開故障を、その閉弁温度領
    域で検出する故障検出手段とを備え、この故障検出手段
    による開故障検出が終了するまで上記目標温度を通常時
    よりも高温側に設定するように構成したことを特徴とす
    るサーモスタットの故障診断装置。
  4. 【請求項4】 エンジンの冷却水温度が目標温度よりも
    高いときに冷却水をラジエータに循環させるために開弁
    され、冷却水が目標温度よりも低いときに閉弁される電
    気制御式のサーモスタット弁と、上記目標温度をエンジ
    ンの運転状態に対応させて設定する目標温度設定手段
    と、上記サーモスタット弁の閉故障を、その開弁温度領
    域で検出する故障検出手段とを備え、この故障検出手段
    による閉故障検出が終了するまで上記目標温度を通常時
    よりも低温側に設定するように構成したことを特徴とす
    るサーモスタットの故障診断装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載のサーモス
    タットの故障診断装置において、実冷却水温度を目標温
    度に近付けるようにサーモスタット弁をフィードバック
    制御するフィードバック制御手段を備え、上記フィード
    バック制御時の目標温度と実冷却水温度との偏差に基づ
    いて故障検出手段によりサーモスタット弁の故障を検出
    するように構成したことを特徴とするサーモスタットの
    故障診断装置。
JP2000145413A 2000-05-17 2000-05-17 サーモスタットの故障診断装置 Expired - Fee Related JP4385492B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000145413A JP4385492B2 (ja) 2000-05-17 2000-05-17 サーモスタットの故障診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000145413A JP4385492B2 (ja) 2000-05-17 2000-05-17 サーモスタットの故障診断装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001329840A true JP2001329840A (ja) 2001-11-30
JP4385492B2 JP4385492B2 (ja) 2009-12-16

Family

ID=18651927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000145413A Expired - Fee Related JP4385492B2 (ja) 2000-05-17 2000-05-17 サーモスタットの故障診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4385492B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6694246B2 (en) * 2001-04-24 2004-02-17 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Controller of an internal combustion engine for determining a failure of a thermostat
JP2004076647A (ja) * 2002-08-19 2004-03-11 Denso Corp エンジンおよび燃料電池の冷却装置
JP2005149897A (ja) * 2003-11-14 2005-06-09 Honda Motor Co Ltd 燃料電池用加湿システム及び燃料電池用加湿システムの故障検知方法
KR101008455B1 (ko) * 2008-07-29 2011-01-14 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 자동차의 써모스테이트 고장 진단 방법
JP2011021482A (ja) * 2009-07-13 2011-02-03 Denso Corp 車両用冷却システムの制御装置
WO2011039591A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-07 Nissan Motor Co., Ltd. Thermostat diagnostic apparatus
JP2012193746A (ja) * 2012-07-18 2012-10-11 Nissan Motor Co Ltd 診断装置
CN103362623A (zh) * 2012-04-10 2013-10-23 现代自动车株式会社 发动机冷却系统、电子恒温器控制系统及其控制方法
JP2016524083A (ja) * 2013-07-04 2016-08-12 バレオ システム テルミクValeo Systemes Thermiques 熱交換器、特には自動車エンジン用の給気冷却器の冷却液の循環を調整する装置
WO2019100887A1 (zh) * 2017-11-24 2019-05-31 广州汽车集团股份有限公司 节温器故障诊断方法、装置、计算机设备以及存储介质
US10519875B2 (en) 2015-07-28 2019-12-31 Denso Corporation Diagnostic device
CN114575989A (zh) * 2022-03-11 2022-06-03 浙江吉利控股集团有限公司 一种节温器的故障诊断方法及故障诊断系统

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2674586A4 (en) * 2011-02-07 2017-10-18 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Cooling system for internal combustion engine

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6694246B2 (en) * 2001-04-24 2004-02-17 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Controller of an internal combustion engine for determining a failure of a thermostat
JP2004076647A (ja) * 2002-08-19 2004-03-11 Denso Corp エンジンおよび燃料電池の冷却装置
JP4707948B2 (ja) * 2003-11-14 2011-06-22 本田技研工業株式会社 燃料電池用加湿システム
JP2005149897A (ja) * 2003-11-14 2005-06-09 Honda Motor Co Ltd 燃料電池用加湿システム及び燃料電池用加湿システムの故障検知方法
KR101008455B1 (ko) * 2008-07-29 2011-01-14 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 자동차의 써모스테이트 고장 진단 방법
JP2011021482A (ja) * 2009-07-13 2011-02-03 Denso Corp 車両用冷却システムの制御装置
RU2496013C1 (ru) * 2009-09-30 2013-10-20 Ниссан Мотор Ко., Лтд. Диагностическое устройство для термостата
CN102482985A (zh) * 2009-09-30 2012-05-30 日产自动车株式会社 恒温器诊断设备
WO2011039591A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-07 Nissan Motor Co., Ltd. Thermostat diagnostic apparatus
US8770834B2 (en) 2009-09-30 2014-07-08 Nissan Motor Co., Ltd. Thermostat diagnostic apparatus
JP2011074829A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Nissan Motor Co Ltd 診断装置
US10400661B2 (en) 2012-04-10 2019-09-03 Hyundai Motor Company Engine cooling system, electronic thermostat control system and control method for the same
CN103362623A (zh) * 2012-04-10 2013-10-23 现代自动车株式会社 发动机冷却系统、电子恒温器控制系统及其控制方法
US9759121B2 (en) 2012-04-10 2017-09-12 Hyundai Motor Company Engine cooling system, electronic thermostat control system and control method for the same
KR101875620B1 (ko) * 2012-04-10 2018-07-06 현대자동차 주식회사 엔진 냉각 시스템과 전자식 서모스탯 제어장치 및 방법
DE102013100604B4 (de) 2012-04-10 2022-10-06 Hyundai Motor Company Verbrennungsmotorkühlsystem, elektronisches Thermostatsteuersystem und Steuerverfahren für diese
JP2012193746A (ja) * 2012-07-18 2012-10-11 Nissan Motor Co Ltd 診断装置
JP2016524083A (ja) * 2013-07-04 2016-08-12 バレオ システム テルミクValeo Systemes Thermiques 熱交換器、特には自動車エンジン用の給気冷却器の冷却液の循環を調整する装置
US10519875B2 (en) 2015-07-28 2019-12-31 Denso Corporation Diagnostic device
US11454161B2 (en) 2017-11-24 2022-09-27 Guangzhou Automobile Group Co., Ltd. Thermostat fault diagnosis method and device, computer device and storage medium
WO2019100887A1 (zh) * 2017-11-24 2019-05-31 广州汽车集团股份有限公司 节温器故障诊断方法、装置、计算机设备以及存储介质
CN114575989A (zh) * 2022-03-11 2022-06-03 浙江吉利控股集团有限公司 一种节温器的故障诊断方法及故障诊断系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP4385492B2 (ja) 2009-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4304782B2 (ja) エンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置
JP3932035B2 (ja) 内燃機関の冷却系の異常診断装置
JP4122731B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP3896288B2 (ja) 冷却系の温度推定装置
JP4883225B2 (ja) 車両の冷却装置
JP5251844B2 (ja) 冷却装置の異常判定装置および冷却装置の異常判定方法
JP4385492B2 (ja) サーモスタットの故障診断装置
JP5839021B2 (ja) 内燃機関の冷却装置
JP2011074829A (ja) 診断装置
JP2008111414A (ja) エンジン冷却系の故障診断装置
JPH10176534A (ja) エンジン冷却系のサーモスタット故障検出装置
JP2005163795A (ja) 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP4677973B2 (ja) エンジン冷却系の故障診断装置
US20170268410A1 (en) Abnormality diagnosis device of thermostat
JP2000104549A (ja) エンジンの冷却装置の異常診断装置
JP4304781B2 (ja) エンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置
WO2018155499A1 (ja) エンジンの冷却装置
JP5878052B2 (ja) エンジンの制御装置
JP3719515B2 (ja) エンジン冷却系のサーモスタット故障検出装置
KR100410518B1 (ko) 자동차 엔진의 서모스탯 진단방법
JP2001329841A (ja) サーモスタットの故障診断装置
JP4066728B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP2016215863A (ja) ハイブリッド車両
JP6547694B2 (ja) 熱電発電装置
JP2020084774A (ja) サーモスタットの異常検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090430

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090519

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090908

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090921

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131009

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees