JP2001316439A - グリオキシル酸(塩)系重合体の製造方法 - Google Patents

グリオキシル酸(塩)系重合体の製造方法

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JP2001316439A
JP2001316439A JP2001051188A JP2001051188A JP2001316439A JP 2001316439 A JP2001316439 A JP 2001316439A JP 2001051188 A JP2001051188 A JP 2001051188A JP 2001051188 A JP2001051188 A JP 2001051188A JP 2001316439 A JP2001316439 A JP 2001316439A
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JP2001051188A
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Takuya Saeki
卓哉 佐伯
Akihiko Kanzaki
明彦 神崎
Junichi Nakamura
潤一 中村
Giichi Fujii
義一 藤井
Shigeru Yamaguchi
繁 山口
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産効率を低下させることなく、重合終了後
(加水分解開始前)または加水分解終了後に行う重合溶
媒の回収・除去の量を低減することができる、末端安定
化グリオキシル酸(塩)系重合体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 グリオキシル酸エステルを含む単量体成
分を重合し、末端が安定化されたグリオキシル酸(塩)
系重合体を製造する方法において、末端安定化剤を前記
重合の反応媒体として用いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリオキシル酸
(塩)系重合体の製造方法、さらに詳しくは、末端安定
化されたグリオキシル酸(塩)系重合体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】グリオキシル酸(塩)系重合体は、分子
内に多数のカルボキシル基を有しているので、水中に存
在するカルシウムイオンやマグネシウムイオンを捕捉
(キレート化)する作用、さらにクレーおよび汚れを分
散させる作用に優れており、かつ、河川等の富栄養化等
の環境汚染を招来するリンを含んでいないため、従来よ
り、洗剤用ビルダーとして好適に用いられている。グリ
オキシル酸(塩)系重合体の製造方法として、例えば、
特開昭54−52196号公報や特開昭62−5031
6号公報(対応米国特許第4600750号)には、ア
ルキルニトリルやハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホ
キシド、アセトン等の溶媒を用いて、グリオキシル酸エ
ステルを重合してグリオキシル酸系重合体を得る方法、
さらに、該重合体をケン化(加水分解)することによっ
てグリオキシル酸塩系重合体とする方法が記載されてい
る。
【0003】また、グリオキシル酸(塩)系重合体は、
主鎖がアセタール構造となっているので、末端部が不安
定である。このため、グリオキシル酸(塩)系重合体を
単離するために、例えば、該重合体を含む反応液を加熱
して溶媒等を除去すると、主鎖が末端部から切断され、
該重合体が分解(解重合)してしまう。つまり、グリオ
キシル酸(塩)系重合体を安定的に、かつ高収率で、単
離・精製することが困難である。そこで、グリオキシル
酸(塩)系重合体の末端部を、末端安定化剤で処理する
ことにより安定化する方法が開示されており、例えば、
米国特許第4144226号、米国特許第420405
2号、米国特許第4225685号、米国特許第422
6960号等には、アルキルニトリルやハロゲン化炭化
水素、ジメチルスルホキシド、アセトン等の溶媒を用い
て、グリオキシル酸エステルを重合する際に、末端安定
化剤を重合中または重合後に投入する方法が開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
製造方法では、重合終了後(加水分解開始前)または加
水分解終了後に重合溶媒を回収・除去しなければなら
ず、生産効率、コストの面で問題があった。また、重合
溶媒の回収・除去量を低減するべく、重合溶媒の使用量
を減らすと、重合液の粘度が上昇して攪拌効率が悪くな
る問題があった。さらに、従来は、重合溶媒として、ア
ルキルニトリルやハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホ
キシド、アセトン等の有機溶媒を用いているので、回収
・除去の際にこれらの溶媒が一部残存してしまうと、安
全性や耐環境汚染性の面で問題となる場合もあった。
【0005】従って、本発明の課題は、生産効率を低下
させることなく、重合終了後(加水分解開始前)または
加水分解終了後に行う重合溶媒の回収・除去の量を低減
することができる、末端安定化グリオキシル酸(塩)系
重合体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するべく鋭意検討を行った。その結果、(1)従来は
グリオキシル酸(塩)系重合体の末端安定化のために重
合中または重合後に投入していた末端安定化剤を、重合
の反応媒体として利用すること、そして(2)グリオキ
シル酸エステルを含む単量体成分の重合反応と末端安定
化反応とがそれぞれ異なる作用の触媒によって進行する
ことができれば、重合反応中は末端安定化剤は反応する
ことなく反応媒体として働き、重合後、系中に末端安定
化のための触媒を添加することによって末端安定化剤が
反応できることを着想した。そして、これらの着想によ
り、上述の課題が解決できることを見い出した。本発明
はこのようにして完成した。
【0007】即ち、本発明に係る末端安定化グリオキシ
ル酸(塩)系重合体の製造方法は、グリオキシル酸エス
テルを含む単量体成分を重合し、末端が安定化されたグ
リオキシル酸(塩)系重合体を製造する方法において、
末端安定化剤を前記重合の反応媒体として用いることを
特徴とする。好ましくは、グリオキシル酸エステルを含
む単量体成分の重合をアニオン重合として行い、末端安
定化剤としてカチオン重合性のものを用いれば、酸性触
媒を重合系中に添加するまでは末端安定化剤は反応する
ことなく反応媒体として働き、酸性触媒を添加すること
によって末端安定化剤が、グリオキシル酸エステルを含
む単量体成分をアニオン重合して得られたグリオキシル
酸(塩)系重合体の末端に反応して、該重合体の末端を
安定化する。
【0008】この構成を採用することで、生産効率を低
下させることなく、かつ、重合溶媒の回収・除去の工程
を簡素化でき、グリオキシル酸(塩)系重合体をより簡
便に製造することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る末端安定化グ
リオキシル酸(塩)系重合体の製造方法について詳細に
説明する。 (グリオキシル酸エステルを含む単量体成分)本発明の
製造方法において用いる、グリオキシル酸エステルを含
む単量体成分について、先ず説明する。上記単量体成分
に含まれるグリオキシル酸エステルは、一般式(1) OHC−CO−OR1 ……(1) (式中、R1 は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2
〜18のアルケニル基、または芳香族炭化水素基を表
す)で表される。
【0010】上記のグリオキシル酸エステルは、式中、
1 で表される置換基が炭素数1〜4のアルキル基であ
ることが、重合時における立体障害を低減することがで
きるので、より好ましい。該グリオキシル酸エステルと
しては、具体的には、グリオキシル酸メチル、グリオキ
シル酸エチル、グリオキシル酸n−プロピル、グリオキ
シル酸イソプロピル、グリオキシル酸n−ブチル、グリ
オキシル酸イソブチル、グリオキシル酸 sec−ブチル、
グリオキシル酸t−ブチルが挙げられる。これらグリオ
キシル酸エステルは、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。上記グリオキシル酸
エステルのうち、グリオキシル酸メチルおよびグリオキ
シル酸エチルがより好ましく、グリオキシル酸メチルが
さらに好ましい。
【0011】グリオキシル酸エステルの製造方法は、特
に限定されるものではない。グリオキシル酸エステル
は、例えば、グリオキシル酸の水和物とアルコールとを
反応させて得られる、グリオキシル酸のヘミアセタール
エステルを、五酸化リンまたは硫酸を用いて脱水するこ
とによって、容易に製造することができる。尚、グリオ
キシル酸エステルは、貯蔵時(保存時)においても、貯
蔵の条件によっては、重合が徐々に進行する場合があ
る。従って、グリオキシル酸エステルは、使用時に先立
って蒸留等の操作を行うことにより、重合物等の不純物
を除去して精製することが望ましい。つまり、重合に用
いるグリオキシル酸エステルは、できる限り高純度であ
ることが望ましい。また、精製したグリオキシル酸エス
テルは、速やかに重合に供することが好ましい。
【0012】単量体成分は、グリオキシル酸エステルの
他に、必要に応じて、該グリオキシル酸エステルと共重
合可能な単量体(コモノマー)を含んでいてもよい。重
合のコントロール、分子量制御のためには、アニオン重
合により共重合可能なコモノマーの方が好ましい。該単
量体としては、具体的には、例えば、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド等の、炭素数1〜20のアルデヒ
ド;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
これら単量体は、必要に応じて、一種類を用いてもよ
く、また、二種類以上を用いてもよい。上記例示の単量
体のうち、炭素数1〜4の化合物がより好適である。上
記の単量体は、できる限り高純度であることが望まし
く、特に酸成分や活性水素含有化合物の含有量が低い方
が好ましい。従って、本発明において「グリオキシル酸
系重合体」とは、グリオキシル酸エステルの単独重合体
または共重合体を示す。
【0013】単量体成分が上記単量体を含む場合におけ
る該単量体の含有量は、特に限定されるものではない
が、グリオキシル酸エステル1モルに対して、5〜0モ
ルであることがより好ましく、さらには3〜0モルであ
ることがより好ましく、1〜0モルであることがさらに
より好ましく、0.5〜0モルであることが特に好まし
い。単量体の含有量が5モルを越えると、前記各種用途
に好適なグリオキシル酸塩系重合体を得ることができな
い場合がある。そして、本発明にかかるグリオキシル酸
系重合体はグリオキシル酸エステルの単独重合体である
ことが特に好ましい。 (末端安定化剤)本発明の製造方法において用いる末端
安定化剤としては、グリオキシル酸エステルを含む単量
体成分を重合中に反応性を有しないものであれば限定さ
れないが、カチオン重合性を有するものが好ましい。具
体的には、例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビ
ニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニ
ルエーテル;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、
エピクロロヒドリン等のエポキシド;等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これらの中でも、本
発明の効果を十分に発揮する点でプロピレンオキシド、
エチルビニルエーテルが好ましい。これら末端安定化剤
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。
【0014】末端安定化剤は、安定化されていない、言
い換えれば、容易に解重合してしまう末端と反応し、そ
の末端を安定化するものである。具体例のひとつとして
は、グリオキシル酸系重合体の安定化されていない末端
はヒドロキシ基(−OH)またはアルコラート(−
- )となるので、末端安定化剤はこれらの官能基と反
応して、グリオキシル酸系重合体の加水分解が容易に起
こるのを防ぐのである。 (重合反応)本発明の製造方法においては、上記のグリ
オキシル酸エステルを含む単量体成分の重合を行うが、
この重合の反応媒体として、上記末端安定化剤を用いる
ことが、本発明の特徴の一つである。
【0015】本発明における重合反応媒体としての末端
安定化剤の使用量は、その種類やグリオキシル酸系重合
体の分子量等に応じて設定すればよく、特に限定される
ものではないが、グリオキシル酸系重合体の末端部に対
して、モル比で1.1〜50の範囲内となる量がより好
ましい。末端安定化化合物のモル比が1.1よりも小さ
い場合には、グリオキシル酸系重合体を充分に安定化さ
せることができない場合がある。また、該モル比が50
よりも大きい場合には、未反応の末端安定化化合物が多
量に残ることになるので、付加反応以外の副反応が起こ
り易くなる。末端安定化剤がアルキレンオキシドの場合
には、未反応物が多量に残っても、グリオキシル酸系重
合体をケン化するのであれば、未反応物はアルキレング
リコールとなるので、特に問題はない。
【0016】本発明に係る末端安定化グリオキシル酸
(塩)系重合体の製造方法においては、上述のようにグ
リオキシル酸エステルを含む単量体成分の重合の反応媒
体として末端安定化剤を用いることを特徴とするが、当
該反応媒体として、少量の有機溶媒を末端安定化剤と併
用してもよい。重合に用いる反応媒体中に必要により含
まれる有機溶媒の量は、好ましくは0〜20重量%、よ
り好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5
重量%である。また、有機溶媒を併用しない場合には、
残存有機溶媒が存在しないので、安全性、耐環境汚染性
の面で特に好ましい形態である。反応媒体中の有機溶媒
の割合が20重量%を超えると、本発明の効果が十分に
発揮できないので好ましくない。
【0017】また、本発明に係る末端安定化グリオキシ
ル酸(塩)系重合体の製造方法において、グリオキシル
酸エステルを含む単量体成分の重合濃度は、好ましくは
20〜99重量%、より好ましくは40〜98重量%、
さらに好ましくは50〜95重量%である。末端安定化
剤と併用できる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサ
ン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;塩化メチレン等
のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボ
ン酸エステル;アセトン等のケトン化合物;テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;アセトニト
リル、プロピオニトリル等のアルキルニトリル;ジメチ
ルスルホキシド等が挙げられ、特にカルボン酸エステル
が好ましい。
【0018】なお、末端安定化剤と併用できる有機溶媒
であるが、併用すると所望の分子量のグリオキシル酸
(塩)系重合体が得られにくい有機溶媒がある。例え
ば、メタノール、エタノール等のアルコール;第一アミ
ン、第二アミン;酢酸等のカルボン酸;フェノール、ク
レゾール等のフェノール類;その他の活性水素を有する
化合物が挙げられる。これらは、重合の開始剤となるた
め、開始剤としては使用できるが、溶媒として用いる
と、所望の分子量のグリオキシル酸(塩)系重合体が得
られにくい場合がある。上述のように重合反応媒体とし
て末端安定化剤を用いれば、少量で用いても反応媒体と
して働き、少量であっても重合時の粘度上昇を抑制して
攪拌効率を落とさずに重合することが可能となる。した
がって、従来のように、グリオキシル酸(塩)系重合体
の製造において、大量の溶媒を用いる際に必要であった
溶媒回収・除去プロセスの規模が縮小でき、あるいは場
合によっては当該プロセスが不要となる。さらに、従来
のように溶媒の回収・除去を行う場合は、そのプロセス
における熱処理等の条件により、重合体の分解が起こる
ことがあったが、本発明の製造方法ではそのような恐れ
を回避できる。また、従来のように毒性の高いハロゲン
化炭化水素等の有機溶媒を極力低減できたり、あるい
は、用いる必要がなくなるので、安全性や環境汚染の面
で非常に優れたグリオキシル酸(塩)系重合体の製造方
法として提案できる。
【0019】また、本発明の製造方法においては、より
好ましくは、末端安定化剤の種類を選別し、グリオキシ
ル酸系単量体を含む単量体成分の重合反応と、製造され
たグリオキシル酸(塩)系重合体の末端安定化反応とを
異なる作用の触媒によって進行させれば、重合反応中は
末端安定化剤は反応することなく反応媒体として働き、
重合後、系中に末端安定化のための触媒を添加すること
によって末端安定化剤が反応できるという特徴を有す
る。すなわち、重合反応をアニオン重合で行う場合は、
末端安定化剤として酸性触媒で反応する化合物を使用
し、また、重合反応をカチオン重合で行う場合には、末
端安定化剤として塩基性触媒で反応する化合物を使用す
ることである。好ましくは、重合反応をアニオン重合で
行い、末端安定化剤を酸性触媒で反応させる。
【0020】重合開始剤としては、本発明の効果を十分
に発揮させるためには、アニオン重合開始剤が好まし
く、具体的には、例えば、水;メチルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、ドデシルアル
コール等のアルコール(ヒドロキシル系重合開始剤);
グリコール酸アルキル;ポリアルキレングリコール、ポ
リアルキレングリコールモノアルキルエーテル;アルキ
ルタルトロン酸ジアルキル;等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類の
みを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。上記例示の重合開始剤のうち、メチルアルコールが
より好ましい。重合開始剤の使用量は、所望するグリオ
キシル酸系重合体の分子量等に応じて調節すればよく、
特に限定されるものではない。
【0021】なお、本発明において重合開始剤として用
いられる上記メチルアルコールやポリアルキレングリコ
ール(ポリエチレングリコール等)などは、本発明にお
ける末端安定化剤とは区別されるものである。すなわ
ち、メチルアルコールやポリアルキレングリコールなど
の重合開始剤は、使用することにより構造上重合体の片
末端を封鎖しており、一見、末端安定化剤のような働き
をするが、それは片側の末端のみの封鎖であり、本願発
明で用いる末端安定化剤のように重合体の「両末端」を
「安定化」するものとは異なる。重合触媒としては、グ
リオキシル酸エステルの重合に選択的に寄与する触媒が
好ましく、塩基性触媒が好適である。つまり、上記の単
量体成分をアニオン重合させることがより好ましい。該
塩基性触媒としては特に限定されないが、例えば、水酸
化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化
物、アルカリ金属アルコキシド、アミン、ピリジン、2
−ヒドロキシピリジン・H2 O錯体、メチルマロン酸モ
ノエステル・ナトリウム塩等が挙げられ、特に、アミ
ン、ピリジン、2−ヒドロキシピリジン・H2 O錯体が
好ましい。これら塩基性触媒は、一種類のみを用いても
よく、また、二種類以上を併用してもよい。重合触媒の
使用量は、所望するグリオキシル酸系重合体の分子量等
に応じて調節すればよく、特に限定されるものではな
い。
【0022】重合方法としては、具体的には、例えば、
反応器に、重合開始剤や重合触媒、溶媒と共に単量体成
分を予め一括して仕込んだ後、重合させる方法;反応器
に、重合開始剤や重合触媒、溶媒を仕込んだ後、該反応
器に単量体成分を逐次添加(例えば滴下)しながら重合
させる方法;等を採用することができるが、特に限定さ
れるものではない。重合温度や重合時間等の重合条件
は、特に限定されるものではないが、該重合は発熱反応
であるため、重合温度を−50℃〜50℃の範囲内に調
節することがより好ましい。また、重合の最終段階にお
いては、重合温度を−30℃〜30℃の範囲内に調節す
ることがより好ましい。重合時間は、重合温度等に応じ
て、適宜調節すればよい。そして、グリオキシル酸エス
テルは酸素や水と容易に反応するので、上記重合は、酸
素や水の不存在下で行うこと、つまり、窒素ガス等の不
活性ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。さらに、グ
リオキシル酸系重合体の製造にかかる全工程を、不活性
ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。尚、重合は、常
圧(大気圧)下で行えばよいが、減圧下や加圧下で行う
こともできる。
【0023】上記の重合を行うことにより、グリオキシ
ル酸系重合体が、溶媒に溶解した溶液の状態で得られ
る。該グリオキシル酸系重合体の分子量は、特に限定さ
れるものではないが、使用する用途に応じて設定すれば
良い。例えば、グリオキシル酸(塩)系重合体を洗剤ビ
ルターとして用いる場合には、水に対する溶解速度が所
望の値に達しない時があるので、グリオキシル酸系重合
体は、グリオキシル酸エステルの重合度が5〜1000
の範囲内であることがより好ましく、15〜300の範
囲内であることがさらに好ましい。 (触媒添加による末端安定化)グリオキシル酸エステル
等のグリオキシル酸系単量体を含む単量体成分を重合し
て得られるグリオキシル酸系重合体は、主鎖がアセター
ル構造となっているので、末端部が不安定である。この
ため、グリオキシル酸系重合体を単離するために、例え
ば該重合体を含む反応液を加熱して溶媒等を除去する
と、主鎖が末端部から切断され、該重合体が分解(解重
合)してしまう。つまり、グリオキシル酸系重合体を安
定的にかつ高収率で以て単離・精製することができな
い。このため、グリオキシル酸系重合体を単離するため
には、該グリオキシル酸系重合体の末端部を安定化する
必要がある。
【0024】本発明の製造方法における末端安定化の方
法としては、前記の重合反応の反応系中に重合反応に用
いる触媒と異なる作用の触媒を添加することにより行
う。すなわち、重合の際には反応媒体として用いている
末端安定化剤に対し、前記触媒を添加することにより、
本来の末端安定化反応を起こさせるのである。末端安定
化反応に用いる触媒としては、好ましくは酸性触媒であ
り、具体的には、例えば、塩酸等のハロゲン化水素、臭
化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフルオロ酢酸、リン酸等
のプロトン酸;塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化
物、アルキルアルミニウムハライドやトリアルキルアル
ミニウム等の有機アルミニウム化合物、等のルイス酸;
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これ
ら酸性触媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種
類以上を併用してもよい。なお、酸性触媒は、必要に応
じて、ヘキサン等の脂肪族炭化水素に溶解させた状態
で、反応に用いることもできる。
【0025】グリオキシル酸系重合体または末端安定化
化合物に対する酸性触媒の使用量は、該酸性触媒の種
類、グリオキシル酸系重合体や末端安定化化合物との組
み合わせ、グリオキシル酸系重合体の分子量等に応じて
設定すればよく、特に限定されるものではない。但し、
グリオキシル酸系重合体の溶液には、重合時に用いた重
合触媒等の塩基性物質Bが含まれている。従って、酸性
触媒は、これら塩基性物質Bを中和するのに要する量よ
りも多量に使用する必要がある。上記酸性触媒の好まし
い使用量は、反応系内に存在する塩基性物質の量に対し
て、1.1〜200倍モルの酸性触媒を用いることが好
ましい。より好ましくは、1.5〜100倍モル、さら
に好ましくは、2〜50倍モルである。
【0026】末端安定化剤を反応させる際の反応条件
は、特に限定されるものではないが、反応温度は−50
℃〜50℃の範囲内であることがより好ましく、−30
℃〜40℃の範囲内であることがさらに好ましく、−2
0℃〜35℃の範囲内であることが特に好ましい。反応
時間は、反応温度等に応じて、適宜調節すればよい。そ
して、上記反応は、酸素や水の不存在下で行うこと、つ
まり、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが
望ましい。さらに、グリオキシル酸系重合体の安定化に
かかる全工程を、不活性ガスの雰囲気下で行うことが望
ましい。尚、反応は、常圧(大気圧)下で行えばよい
が、減圧下や加圧下で行うこともできる。
【0027】上記の付加反応を行うことにより、末端安
定化剤が末端基としてグリオキシル酸系重合体に導入さ
れ、該重合体が安定化される。本発明の製造方法におい
ては、上記酸性触媒の添加による末端安定化反応の後、
必要に応じ、塩基性化合物Aを添加することにより、系
内に残る酸性物質を失活させてもよい。上記の塩基性化
合物Aとしては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カ
リウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコ
キシド、アルカリ金属炭酸塩、アミン等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。上記アミンとして
は、具体的には、例えば、エチルアミン、n−プロピル
アミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、 sec
−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ドデシルアミン、
オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジ
メチルドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシク
ロヘキシルアミン等の脂肪族アミン;アリルアミン;ベ
ンジルアミン、アニリン等の芳香族アミン;ピリジン;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン等のアルカノールアミン;等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これら塩基性化合物
Aは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を
併用してもよい。
【0028】上記例示の塩基性化合物Aのうち、アミン
がより好ましい。そして、上記例示のアミンのうち、沸
点が80℃以上のアミンがより好ましく、100℃以上
のアミンがさらに好ましく、120℃以上のアミンが特
に好ましい。また、アルカノールアミンがさらに好まし
く、3級アミンが着色がより少ないという点で特に好ま
しく、トリエタノールアミンが、より安全性に優れかつ
無臭であるので、最も好ましい。酸性触媒に対する塩基
性化合物Aの使用量は、両者の種類や組み合わせ等に応
じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、
反応時に添加した酸性触媒に対して、10モル%〜20
0モル%の範囲内となる量、より好ましくは50モル%
〜150モル%の範囲内となる量を、反応系、即ち、反
応液(付加反応混合物)に添加することがより好まし
い。これにより、該反応液に含まれる酸性触媒を失活さ
せることができる。尚、酸性触媒は付加反応時に或る程
度消費されるので、始めに添加した酸性触媒に対して等
モルの塩基性化合物Aを添加しなくとも、酸性触媒を失
活させることができる場合がある。 (末端安定化グリオキシル酸系重合体)安定化されたグ
リオキシル酸系重合体を単離・精製する方法は、特に限
定されるものではない。
【0029】本発明の製造方法により得られる末端安定
化グリオキシル酸系重合体においては、毒性の高いハロ
ゲン化炭化水素等の有機溶媒が実質的に重合体中に残存
しないので、安全性や環境汚染の面で非常に優れてい
る。さらに、本発明の製造方法で得られる重合体には、
溶媒の残存量が極めて少なく、実質的に残存しない場合
も実現しうるので、重合体の純度が高まるため、好まし
い。 (末端安定化グリオキシル酸塩系重合体)本発明の製造
方法においては、必要により、グリオキシル酸系重合体
をケン化(加水分解)してグリオキシル酸塩系重合体と
してもよい。すなわち、上記の方法によって安定化され
たグリオキシル酸系重合体は、強塩基でありかつ水溶性
を有する金属水酸化物、具体的には、アルカリ金属水酸
化物やアルカリ土類金属水酸化物等の、一価金属、二価
金属または三価金属の水酸化物を用いて、ケン化(加水
分解)することができる。グリオキシル酸系重合体をケ
ン化することにより、例えば、該重合体に水溶性を付与
する(水溶性重合体とする)ことができる。
【0030】上記のアルカリ金属水酸化物としては、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が
挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。こ
れら金属水酸化物は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。上記例示の金属水酸
化物のうち、グリオキシル酸塩系重合体を例えば洗剤用
ビルダーとして用いる場合には、水酸化ナトリウムおよ
び水酸化カリウムがより好ましく、水酸化ナトリウムが
特に好ましい。グリオキシル酸系重合体に対する金属水
酸化物の使用量は、理論量よりも5%〜50%程度過剰
となる量であることが望ましい。
【0031】ケン化の反応方法は、特に限定されるもの
ではないが、上記方法によって安定化されたグリオキシ
ル酸系重合体に、金属水酸化物の水溶液を、一括して添
加するか、若しくは、逐次添加(例えば滴下)してケン
化する方法が好適である。また、ケン化させる際には、
必要に応じて、グリオキシル酸系重合体に水を予め添加
しておいてもよい。尚、上記水溶液の濃度や、添加する
水の量は、特に限定されるものではない。また、必要に
応じて、グリオキシル酸系重合体を単離することなく、
反応液(付加反応混合物)の状態でケン化することもで
きる。ケン化させる際の反応条件は、特に限定されるも
のではないが、反応温度は35℃〜75℃の範囲内であ
ることがより好ましく、45℃〜65℃の範囲内である
ことがさらに好ましい。反応時間は、反応温度等に応じ
て、適宜調節すればよい。尚、ケン化は、常圧(大気
圧)下で行えばよいが、減圧下や加圧下で行うこともで
きる。
【0032】上記のケン化(加水分解)により、グリオ
キシル酸系重合体の金属塩、すなわちグリオキシル酸塩
系重合体が、溶液やスラリー、ゲル等の状態で得られ
る。ケン化後の反応液のpHは、9.5よりも大きい
値、より好ましくは10.0よりも大きい値に保つこと
が望ましい。グリオキシル酸塩系重合体を単離・精製す
る方法としては、具体的には、例えば、該重合体を含む
反応液を加熱してケン化によって副生するアルコール等
を除去すればよいが、特に限定されるものではない。こ
れにより、グリオキシル酸塩系重合体を、乾燥した固体
状、或いは、湿潤したケーキ状で、安定的にかつ高収率
で以て単離・精製することができる。該グリオキシル酸
塩系重合体は、例えば、洗剤用ビルダーやキレート剤、
錯化剤、金属イオン封鎖剤や各種分散剤等として好適に
用いられる。具体的には下記に示す。
【0033】また、本発明の製造方法により得られる末
端安定化グリオキシル酸塩系重合体においては、毒性の
高いハロゲン化炭化水素等の有機溶媒が実質的に重合体
中に残存しないので、安全性や環境汚染の面で非常に優
れている。また、本発明にかかる製造方法において、グ
リオキシル酸系重合体を単離しない場合には、より具体
的には、ケン化の実施に先立って溶媒を除去・回収しな
い場合には、反応液(付加反応混合物)に塩基性化合物
Aを添加して酸性触媒を失活させる工程と、グリオキシ
ル酸系重合体をケン化(加水分解)してグリオキシル酸
塩系重合体を得る工程とを、一段階で実施することもで
きる。即ち、前記塩基性化合物Aとして金属水酸化物を
用いることにより、酸性触媒の失活、並びに、グリオキ
シル酸系重合体のケン化を、一つの工程で以て実施する
こともできる。この場合における金属水酸化物(塩基性
化合物A)の使用量は、重合時に仕込んだグリオキシル
酸エステル、並びに、付加反応時に添加した酸性触媒の
量を考慮して設定すればよい。 (用途)本発明の製造方法によって得られる末端安定化
グリオキシル酸(塩)系重合体は、上述したように、毒
性の高いハロゲン化炭化水素等の有機溶媒が実質的に重
合体中に残存しない、安全性に優れた、かつ、環境汚染
対策に優れた重合体であるので、特に、洗剤ビルダー、
洗剤組成物、キレート剤、繊維処理剤、製紙用薬剤、水
処理剤、顔料分散剤、粘着剤、接着剤、バインダー、フ
ィルム等に好適である。
【0034】
【実施例】以下に本発明を、その実施例と比較例によっ
て、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。 [実施例1]温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、および還流冷却器を備えたガラス製の反応器に、
溶媒かつ末端安定化剤としてのエチルビニルエーテル
3.5ml、重合開始剤としてのメチルアルコール0.
2ml、および、重合触媒としてのピリジン9μlを仕
込んだ。一方、グリオキシル酸エステルとしての粗製の
グリオキシル酸メチルを単蒸留することにより精製し
た。そして滴下ロートに、精製したグリオキシル酸メチ
ル(単量体成分)50gを仕込んだ。
【0035】そして、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容
物を攪拌しながら、滴下ロート内のグリオキシル酸メチ
ルを30分間かけて滴下することにより、重合を行っ
た。滴下期間中においては、反応器を適宜冷却すること
により、内容物である反応液の温度(重合温度)を40
℃以下に制御した。滴下終了後、得られた反応液を25
℃に冷却した。これにより、グリオキシル酸系重合体と
してのポリ(グリオキシル酸メチル)の溶液(反応混合
物)を得た。次いで、窒素雰囲気下、上記の反応液を攪
拌しながら、酸性触媒としてのトリエチルアルミニウム
0.05gを添加し付加反応を行った。添加終了後、反
応器を適宜冷却することにより、内容物である反応液の
温度(反応温度)を、30℃程度に制御し4時間攪拌し
た。これにより、エチルビニルエーテルで末端安定化さ
れたポリ(グリオキシル酸メチル)(付加反応混合物)
を得た。
【0036】続いて、この溶液に、48重量%水酸化ナ
トリウム(金属水酸化物)水溶液を添加して攪拌するこ
とにより、ポリ(グリオキシル酸メチル)のケン化を行
った。該水酸化ナトリウムの使用量は、上記グリオキシ
ル酸メチルに対するモル比が1.1となるように設定し
た。これにより、本発明にかかるグリオキシル酸塩系重
合体としてのポリ(グリオキシル酸ナトリウム)の水溶
液を得た。得られたポリ(グリオキシル酸ナトリウム)
の水溶液から、エバポレータを用いて減圧度400hP
a(300mmHg)、温度50℃の条件下で、ケン化
によって生成したメチルアルコールを含む揮発分を30
分間かけて留去した。
【0037】得られたポリ(グリオキシル酸ナトリウ
ム)水溶液を、GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)を用いて分析し、面積比から、そのポリマ
ー収率を算出した。その結果、ポリマー収率は93重量
%であった。 [実施例2]溶媒かつ末端安定化剤としてのエチルビニ
ルエーテルを16.5ml、酸性触媒としてのトリエチ
ルアルミニウムを0.2g用いた以外は、実施例1と同
様の反応および操作を行って、ポリ(グリオキシル酸ナ
トリウム)を得た。実施例1と同様にして求めたポリマ
ー収率は95重量%であった。
【0038】[実施例3]エチルビニルエーテルの代わ
りに溶媒かつ末端安定化剤としてのプロピレンオキシド
を12ml用い、トリエチルアルミニウムの代わりに酸
性触媒としての三フッ化ホウ素エーテラートを0.17
g用いた以外は、実施例1と同様の反応および操作を行
って、プロピレンオキシドにより末端安定化されたポリ
(グリオキシル酸ナトリウム)を得た。実施例1と同様
にして求めたポリマー収率は60重量%であった。 [実施例4]温度計、滴下ロート、攪拌機、窒素ガス導
入管、および還流冷却器を備えたガラス製の反応器に、
溶媒かつ末端安定化剤としてのプロピレンオキシド13
ml、重合開始剤としてのメチルアルコール0.1m
l、および、重合触媒としてのピリジン7μlを仕込ん
だ。一方、グリオキシル酸エステルとしての粗製のグリ
オキシル酸メチルを単蒸留することにより精製した。そ
して滴下ロートに、精製したグリオキシル酸メチル(単
量体成分)60gを仕込んだ。
【0039】そして、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容
物を攪拌しながら、滴下ロート内のグリオキシル酸メチ
ルを30分間かけて滴下することにより、重合を行っ
た。滴下期間中においては、反応器を適宜冷却すること
により、内容物である反応液の温度(重合温度)を40
℃以下に制御した。滴下終了後、得られた反応液を25
℃に冷却した。これにより、グリオキシル酸系重合体と
してのポリ(グリオキシル酸メチル)の溶液(反応混合
物)を得た。次いで、窒素雰囲気下、上記の反応液を攪
拌しながら、酸性触媒としての三フッ化ホウ素エーテラ
ート0.1gを添加し30分間攪拌し、付加反応を行っ
た。付加反応中は反応器を適宜冷却することにより、内
容物である反応液の温度(反応温度)を、30℃程度に
制御した。
【0040】さらに上記の反応液に、末端安定化剤とし
てのエチルビニルエーテル4mlを添加して5分間攪拌
し完全に溶解させた。そして、窒素雰囲気下、上記の反
応液を攪拌しながら、酸性触媒としてのトリエチルアル
ミニウム0.05gを添加し付加反応をさらに行った。
添加終了後、反応器を適宜冷却することにより、内容物
である反応液の温度(反応温度)を、30℃程度に制御
し4時間攪拌した。これにより、プロピレンオキシドお
よびエチルビニルエーテルで末端安定化されたポリ(グ
リオキシル酸メチル)(付加反応混合物)を得た。
【0041】続いて、実施例1と同様の操作によりポリ
(グリオキシル酸メチル)のケン化を行い、グリオキシ
ル酸塩系重合体としてのポリ(グリオキシル酸ナトリウ
ム)の水溶液を得た。実施例1と同様にして求めたポリ
マー収率は90重量%であった。 [実施例5]グリオキシル酸メチル54gを滴下ロート
に仕込み、有機溶媒として酢酸メチル6gをガラス製の
反応器に仕込んだ以外は、実施例4と同様に重合を行っ
た。実施例1と同様にして求めたポリマー収率は80重
量%であった。
【0042】[比較例1]実施例1と同様の反応器に、
従来の溶媒である塩化メチレン10ml、重合開始剤と
してのメチルアルコール0.2ml、および、重合触媒
としてのピリジン9μlを仕込んだ。一方、グリオキシ
ル酸エステルとしての粗製のグリオキシル酸メチルを単
蒸留することにより精製した。そして滴下ロートに、精
製したグリオキシル酸メチル(単量体成分)50gを仕
込んだ。そして、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を
攪拌しながら、滴下ロート内のグリオキシル酸メチルを
30分間かけて滴下することにより、重合を行った。滴
下期間中においては、反応器を適宜冷却することによ
り、内容物である反応液の温度(重合温度)を40℃以
下に制御した。滴下終了後、得られた反応液を25℃に
冷却した。これにより、グリオキシル酸系重合体として
のポリ(グリオキシル酸メチル)の溶液(反応混合物)
を得た。
【0043】次いで、窒素雰囲気下、上記の反応液を攪
拌しながら、酸性触媒としてのトリエチルアルミニウム
0.05gを添加して、5分間攪拌して完全に溶解させ
た。一方、滴下ロートに、末端安定化剤としてのエチル
ビニルエーテル3.5mlを仕込んだ。そして、窒素ガ
ス雰囲気下、反応器の反応液を攪拌しながら、滴下ロー
ト内のエチルビニルエーテルを滴下することにより、付
加反応を行った。添加終了後、反応器を適宜冷却するこ
とにより、内容物である反応液の温度(反応温度)を、
30℃程度に制御し4時間攪拌した。これにより、エチ
ルビニルエーテルで末端安定化されたポリ(グリオキシ
ル酸メチル)(付加反応混合物)を得た。
【0044】続いて、得られた混合物を50℃で2時
間、減圧乾燥することにより、溶媒である塩化メチレン
を除去した。次に、得られた乾燥物を、48重量%水酸
化ナトリウム水溶液を用いてケン化して、ポリ(グリオ
キシル酸ナトリウム)の水溶液を得た。得られたポリ
(グリオキシル酸ナトリウム)の水溶液から、エバポレ
ータを用いて減圧度400hPa(300mmHg)、
温度50℃の条件下で、ケン化によって生成したメチル
アルコールを含む揮発分を30分間かけて留去した。そ
して、得られた水溶液を、ガスクロマトグラフィー(G
C)を用いて分析した。その結果、得られた水溶液には
塩化メチレンが520ppmの割合で残存していた。ま
た、実施例1と同様にしてGPC分析した結果、ポリマ
ー収率は83重量%であった。
【0045】[比較例2]エチルビニルエーテルの代わ
りに末端安定化剤としてのプロピレンオキシドを12m
l用い、トリエチルアルミニウムの代わりに酸性触媒と
しての三フッ化ホウ素エーテラートを0.17g用いた
以外は、比較例1と同様の反応および操作を行って、プ
ロピレンオキシドにより末端安定化されたポリ(グリオ
キシル酸ナトリウム)を得た。実施例1と同様にして求
めたポリマー収率は55重量%であった。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、生産効率を低下させる
ことなく、重合終了後(加水分解開始前)または加水分
解終了後に行う重合溶媒の回収・除去の量を低減するこ
とができる、末端安定化グリオキシル酸(塩)系重合体
の製造方法が提供できる。
フロントページの続き (72)発明者 中村 潤一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 藤井 義一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 山口 繁 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J032 AA02 AA07 AA19 AB01 AB05 AB12 AB31 AB32 AB35 AC02 AC12 AC13 AC14 AC17 AC32 AC34 AD07 AD08 AD21 AD23 AD50 AD52 AE02 AE03 AF03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリオキシル酸エステルを含む単量体成分
    を重合し、末端が安定化されたグリオキシル酸(塩)系
    重合体を製造する方法において、 末端安定化剤を前記重合の反応媒体として用いることを
    特徴とする、 末端安定化グリオキシル酸(塩)系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記重合は、アニオン重合開始剤を用いて
    行う、 請求項1に記載の末端安定化グリオキシル酸(塩)系重
    合体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記末端安定化剤は、アルキレンオキシ
    ド、アルキルビニルエーテルから選ばれる少なくとも1
    種である、 請求項1または2に記載の末端安定化グリオキシル酸
    (塩)系重合体の製造方法。
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