JP2001311262A - アスファルト防水層の施工構造 - Google Patents

アスファルト防水層の施工構造

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JP2001311262A
JP2001311262A JP2000132491A JP2000132491A JP2001311262A JP 2001311262 A JP2001311262 A JP 2001311262A JP 2000132491 A JP2000132491 A JP 2000132491A JP 2000132491 A JP2000132491 A JP 2000132491A JP 2001311262 A JP2001311262 A JP 2001311262A
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electromagnetic wave
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irradiation
waterproofing layer
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JP2000132491A
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English (en)
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Kenichi Harakawa
健一 原川
Kenji Kageyama
健二 影山
Hajime Okamoto
肇 岡本
Koji Ichikawa
浩司 市川
Takeshi Kunishima
武史 国島
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Takenaka Komuten Co Ltd
Takenaka Road Construction Co Ltd
Original Assignee
Takenaka Komuten Co Ltd
Takenaka Road Construction Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスファルト防水層の施工が制限されること
を防止しかつ簡単にアスファルト防水層を施工及び補修
できるアスファルト防水層の施工構造を得る。 【解決手段】 屋根部10では、アスファルト20と防
水シート22とが積層されて形成されたアスファルト防
水層12がスラブ14を被覆しており、アスファルト防
水層12に電磁波を照射して電磁波吸収発熱体24を発
熱させることでアスファルト20を溶融させる。これに
より、アスファルト20をスラブ14及び防水シート2
2に接着して、アスファルト防水層12を施工する。こ
のため、簡単にアスファルト防水層12を施工できると
共に、火気の使用を不要としてアスファルト防水層12
の施工が制限されることを防止できる。また、アスファ
ルト防水層12にひび割れが入った場合には、再度アス
ファルト防水層12に電磁波を照射することで簡単にア
スファルト防水層12を補修できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物等の防水に
使用されるアスファルト防水層の施工構造に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物等の防水に使用される防水層に
は、アスファルト防水層が多く使用されている。このよ
うなアスファルト防水層の施工においては、例えば、所
謂密着式熱工法が使用される。この密着式熱工法では、
例えば、先ず防水性を有しかつ火気により高温に加熱し
て溶融させたアスファルトで防水を目的とするコンクリ
ート製のスラブを被覆し、次にこのアスファルトに防水
性を有する所謂ストレッチルーフィング(合成繊維ベー
スのルーフィング)を積層する。これにより、アスファ
ルトをスラブ及びストレッチルーフィングに接着して、
アスファルト防水層を施工する。
【0003】また、最近では、アスファルト防水層の施
工に所謂トーチ工法が使用されている。このトーチ工法
では、例えば、先ず防水性を有しかつポリマーを混合し
て改質されたアスファルトを防水性を有するシートに融
着させる。次に、このシート及びアスファルトによって
防水を目的とするコンクリート製のスラブを被覆し(ア
スファルトをスラブ側に配置した状態とされている)、
その後、シート及びアスファルトをトーチバーナであぶ
ってアスファルトを溶融させることにより、アスファル
トをスラブに接着して、アスファルト防水層を施工す
る。
【0004】しかしながら、上記密着式熱工法及びトー
チ工法では、火気を使用する必要があることや火気の使
用により臭気が発生する可能性がある等のために、アス
ファルト防水層の施工が制限される場合があるという問
題がある。
【0005】さらに、火気を使用してアスファルトを高
温に加熱するため、アスファルトを高温に加熱し過ぎた
場合にはアスファルトが変成劣化するという問題があ
る。
【0006】またここで、スラブがひび割れした際やア
スファルト防水層が長期間暴露された後には、アスファ
ルト防水層にひび割れが入る場合がある。この場合に、
トーチバーナでアスファルト防水層を反スラブ側の面か
ら高温に加熱してアスファルトを溶融させることでひび
割れを補修しようとしても、アスファルト防水層には熱
伝導により熱が伝わるため、アスファルト防水層のスラ
ブ側の面まで熱が伝わりにくい。このため、アスファル
ト防水層を長時間加熱する必要があり、これでは、アス
ファルトが熱のために変成劣化する可能性がある。ま
た、特に密着式熱工法により形成されたアスファルト防
水層を補修する場合には、ストレッチルーフィングを痛
めることを防止しなければならないため、トーチバーナ
でアスファルト全体が溶融するまで加熱することは難し
い。これにより、アスファルトの変成劣化及びストレッ
チルーフィングの傷みを防止しつつアスファルト防水層
を補修することが困難であるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事実を
考慮し、アスファルト防水層の施工が制限されることを
防止できると共に簡単にアスファルト防水層を施工及び
補修できるアスファルト防水層の施工構造を得ることが
目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のアスフ
ァルト防水層の施工構造は、防水性を有すると共に一時
的に加熱されて溶融されることで接着性を発現するアス
ファルトと防水性を有する防水シートとが積層されて形
成されたアスファルト防水層によって防水を目的とする
下地を被覆した状態で前記アスファルトを一時的に溶融
させて前記アスファルトを前記防水シート及び前記下地
に接着させることで施工されるアスファルト防水層の施
工構造において、前記アスファルト防水層に電磁波を照
射する電磁波照射手段と、前記アスファルトに混入さ
れ、前記電磁波を吸収することで発熱する電磁波吸収発
熱体と、を備え、前記電磁波を吸収して発熱した前記電
磁波吸収発熱体によって前記アスファルトを一時的に加
熱して溶融させることで前記アスファルトを前記下地及
び前記防水シートに接着させる、ことを特徴としてい
る。
【0009】請求項1に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、防水性を有するアスファルトと防水性を有
する防水シートとが積層されてアスファルト防水層が形
成されており、アスファルト防水層は防水を目的とする
下地を被覆した状態とされている。
【0010】ここで、アスファルトには電磁波吸収発熱
体が混入されており、電磁波照射手段によってアスファ
ルト防水層に電磁波を照射することで、この電磁波を電
磁波吸収発熱体が吸収して発熱する。これにより、アス
ファルトが一時的に加熱されて溶融され、このため、ア
スファルトが下地及び防水シートに接着されてアスファ
ルト防水層が施工される。
【0011】このように、電磁波照射手段によってアス
ファルト防水層に電磁波を照射するのみでアスファルト
を溶融できるため、簡単にアスファルト防水層を施工で
きる。またこのため、アスファルト防水層の施工の際に
火気を使用する必要がなくなると共に臭気を発生するこ
とがなく、これにより、アスファルト防水層の施工が制
限されることを防止できる。
【0012】またここで、下地がひび割れした際やアス
ファルト防水層が長期間暴露された後には、アスファル
ト防水層にひび割れが入る場合がある。この場合には、
再度電磁波照射手段によってアスファルト防水層に電磁
波を照射してアスファルトに混入された電磁波吸収発熱
体を発熱させることで、アスファルトを溶融させてアス
ファルト防水層のひび割れを補修することができる。こ
のように、電磁波照射手段によってアスファルト防水層
に電磁波を照射するのみでよいため、簡単にアスファル
ト防水層を補修できると共に、アスファルト防水層の補
修が制限されることを防止できる。
【0013】また、上述の如くアスファルトに混入され
た電磁波吸収発熱体を発熱させることでアスファルトを
溶融させるため、従来の如くアスファルト防水層を片側
から加熱して熱伝導によりアスファルト全体を加熱する
という困難性がなく、容易にアスファルト全体を溶融さ
せることができる。これにより、アスファルトの変成劣
化及び防水シートの傷みを防止しつつアスファルト防水
層を施工及び補修することができる。
【0014】請求項2に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、防水性を有すると共に一時的に加熱されて溶
融されることで接着性を発現するアスファルトによって
形成されたアスファルト防水層によって防水を目的とす
る下地を被覆した状態で前記アスファルトを一時的に溶
融させて前記アスファルトを前記下地に接着させること
で施工されるアスファルト防水層の施工構造において、
前記アスファルト防水層に電磁波を照射する電磁波照射
手段と、前記アスファルトに混入され、前記電磁波を吸
収することで発熱する電磁波吸収発熱体と、を備え、前
記電磁波を吸収して発熱した前記電磁波吸収発熱体によ
って前記アスファルトを一時的に加熱して溶融させるこ
とで前記アスファルトを前記下地に接着させる、ことを
特徴としている。
【0015】請求項2に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、防水性を有するアスファルトによってアス
ファルト防水層が形成されており、アスファルト防水層
は防水を目的とする下地を被覆した状態とされている。
【0016】ここで、アスファルトには電磁波吸収発熱
体が混入されており、電磁波照射手段によってアスファ
ルト防水層に電磁波を照射することで、この電磁波を電
磁波吸収発熱体が吸収して発熱する。これにより、アス
ファルトが一時的に加熱されて溶融され、このため、ア
スファルトが下地に接着されてアスファルト防水層が施
工される。
【0017】このように、電磁波照射手段によってアス
ファルト防水層に電磁波を照射するのみでアスファルト
を溶融できるため、簡単にアスファルト防水層を施工で
きる。またこのため、アスファルト防水層の施工の際に
火気を使用する必要がなくなると共に臭気を発生するこ
とがなく、これにより、アスファルト防水層の施工が制
限されることを防止できる。
【0018】またここで、下地がひび割れした際やアス
ファルト防水層が長期間暴露された後には、アスファル
ト防水層にひび割れが入る場合がある。この場合には、
再度電磁波照射手段によってアスファルト防水層に電磁
波を照射してアスファルトに混入された電磁波吸収発熱
体を発熱させることで、アスファルトを溶融させてアス
ファルト防水層のひび割れを補修することができる。こ
のように、電磁波照射手段によってアスファルト防水層
に電磁波を照射するのみでよいため、簡単にアスファル
ト防水層を補修できると共に、アスファルト防水層の補
修が制限されることを防止できる。
【0019】また、上述の如くアスファルトに混入され
た電磁波吸収発熱体を発熱させることでアスファルトを
溶融させるため、従来の如くアスファルト防水層を片側
から加熱して熱伝導によりアスファルト全体を加熱する
という困難性がなく、容易にアスファルト全体を溶融さ
せることができる。これにより、アスファルトの変成劣
化及び防水シートの傷みを防止しつつアスファルト防水
層を施工及び補修することができる。
【0020】請求項3に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、請求項1または請求項2に記載のアスファル
ト防水層の施工構造において、前記電磁波照射手段に設
けられ、前記アスファルト防水層に前記電磁波が照射さ
れる際に前記アスファルト防水層の温度を検出する温度
検出手段と、前記電磁波照射手段に設けられ、前記温度
検出手段により検出された前記アスファルト防水層の温
度に基づいて前記電磁波の照射強度を制御する温度制御
手段と、を備えたことを特徴としている。
【0021】請求項3に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、電磁波照射手段によってアスファルト防水
層に電磁波が照射される際に温度検出手段がアスファル
ト防水層の温度を検出し、この検出温度に基づいて温度
制御手段が電磁波の照射強度を制御する。これにより、
アスファルト防水層の施工及び補修の際にアスファルト
を高温に加熱し過ぎることを防止でき、アスファルトの
変成劣化や防水シートの傷みを一層防止できる。
【0022】請求項4に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、請求項3に記載のアスファルト防水層の施工
構造において、前記電磁波照射手段に設けられ、前記温
度検出手段により検出された前記アスファルト防水層の
温度を報知する温度報知手段を備えたことを特徴として
いる。
【0023】請求項4に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、温度検出手段により検出されたアスファル
ト防水層の温度を温度報知手段が報知するため、作業者
がアスファルト防水層の温度に基づいて電磁波の照射を
制御することができ、これにより、アスファルトの変成
劣化や防水シートの傷みを更に一層防止できる。
【0024】請求項5に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の
アスファルト防水層の施工構造において、前記電磁波照
射手段に設けられ、前記アスファルトを震動させる加震
手段と、前記電磁波照射手段に設けられ、前記アスファ
ルトを加圧する加圧手段と、を備えたことを特徴として
いる。
【0025】請求項5に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、電磁波照射手段には加震手段及び加圧手段
が設けられており、加震手段がアスファルトを震動させ
ると共に加圧手段がアスファルトを加圧する。このた
め、アスファルト防水層の施工の際には、アスファルト
を効果的に下地や防水シートに接着できると共に、アス
ファルトを効果的に整形することができる。さらに、ア
スファルト防水層の補修の際には、アスファルト防水層
のひび割れを効果的に取り除くことができると共に、ア
スファルトを効果的に整形することができる。
【0026】請求項6に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載のア
スファルト防水層の施工構造において、前記電磁波照射
手段に設けられ、前記アスファルト防水層に略接触して
前記電磁波を照射する照射部を備えたことを特徴として
いる。
【0027】請求項6に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、電磁波照射手段の電磁波を照射する照射部
がアスファルト防水層に略接触しているため、電磁波が
外部に漏洩することを防止できる。これにより、外部に
漏洩した電磁波による人体への悪影響を防止できる。
【0028】請求項7に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、請求項6に記載のアスファルト防水層の施工
構造において、前記照射部の外周に設けられ、前記電磁
波を反射または吸収する漏洩防止部を備えたことを特徴
としている。
【0029】請求項7に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、照射部の外周に設けられた漏洩防止部が照
射部から照射された電磁波を反射または吸収するため、
電磁波が外部に漏洩することを確実に防止できる。これ
により、外部に漏洩した電磁波による人体への悪影響を
確実に防止できる。
【0030】請求項8に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、請求項6または請求項7に記載のアスファル
ト防水層の施工構造において、前記電磁波照射手段に設
けられ、前記照射部が前記アスファルト防水層から離間
したことを検出する離間検出手段と、前記電磁波照射手
段に設けられ、前記離間検出手段によって前記照射部が
前記アスファルト防水層から離間したことが検出された
際に前記電磁波の照射を中止する照射中止手段と、を備
えたことを特徴としている。
【0031】請求項8に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、照射部がアスファルト防水層から離間した
ことが離間検出手段によって検出された際には、照射部
からの電磁波の照射が照射中止手段によって中止され
る。これにより、照射部がアスファルト防水層から離間
した際でも、電磁波による人体への悪影響を防止でき
る。
【0032】請求項9に記載のアスファルト防水層の施
工構造は、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の
アスファルト防水層の施工構造において、前記下地の表
面に設けられ、前記電磁波を反射する電磁波反射シート
を備えたことを特徴としている。
【0033】請求項9に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、下地の表面に設けられた電磁波反射シート
が電磁波を反射するため、アスファルト防水層に照射さ
れた電磁波が下地を通過することを防止できる。これに
より、下地を通過した電磁波による人体への悪影響を防
止できる。
【0034】さらに、電磁波照射手段から直接照射され
た電磁波のみならず電磁波反射シートにより反射された
電磁波をも電磁波吸収発熱体が吸収するため、効果的に
アスファルトを溶融させることができる。
【0035】請求項10に記載のアスファルト防水層の
施工構造は、請求項9に記載のアスファルト防水層の施
工構造において、前記下地と前記アスファルト防水層と
を連通させかつ前記電磁波が通過しない連通孔を前記電
磁波反射シートに設けたことを特徴としている。
【0036】請求項10に記載のアスファルト防水層の
施工構造では、電磁波反射シートに設けられた連通孔が
下地とアスファルト防水層とを連通させるため、電磁波
反射シートが接着性を有していなくても連通孔を介して
アスファルトを下地に接着することができる。
【0037】また、アスファルト防水層に照射された電
磁波が連通孔を通過しないため、依然として電磁波が下
地を通過することを防止できる。
【0038】請求項11に記載のアスファルト防水層の
施工構造は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記
載のアスファルト防水層の施工構造において、前記電磁
波照射手段に設けられ、前記電磁波照射手段が電力を受
給する電源部と、前記電源部に対応して設けられ、前記
電源部を冷却する冷却部と、を備えたことを特徴として
いる。
【0039】請求項11に記載のアスファルト防水層の
施工構造では、電磁波照射手段が電力を受給する電源部
を冷却部によって冷却するため、電源部が高温となるこ
とを防止できる。
【0040】請求項12に記載のアスファルト防水層の
施工構造は、請求項1乃至請求項11の何れか1項に記
載のアスファルト防水層の施工構造において、前記電磁
波照射手段は、所定範囲を自動で走行すると共に所定手
順で自動で前記電磁波を前記アスファルト防水層に照射
することを特徴としている。
【0041】請求項12に記載のアスファルト防水層の
施工構造では、電磁波照射手段が所定範囲を自動で走行
すると共に所定手順で自動で電磁波をアスファルト防水
層に照射するため、アスファルト防水層に電磁波を照射
するための作業員を不要にすることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】図1には、本発明のアスファルト
防水層の施工構造が適用されて構成された実施の形態に
係る建築物の屋根部10が概略的に分解斜視図にて示さ
れている。さらに、図2には、建築物の屋根部10にお
けるアスファルト防水層12の施工状態が概略的に側面
図(一部断面図)にて示されている。
【0043】本実施の形態に係る建築物の屋根部10
は、下地としてのスラブ14を備えており、スラブ14
はコンクリート製とされて防水が必要とされている。ス
ラブ14の表面(上面)は、電磁波反射シートとしての
エキスパンドメタルシート16で被覆されており、エキ
スパンドメタルシート16は電磁波を反射する性質を有
している。エキスパンドメタルシート16には多数の連
通孔18が設けられており、各連通孔18によってスラ
ブ14とアスファルト防水層12とが連通されている。
また、各連通孔18は後記電磁波照射装置26が照射す
る電磁波の波長の1/20から1/4の大きさとされて
おり、これにより、この電磁波が各連通孔18を通過し
ない構成とされている。
【0044】アスファルト防水層12は、エキスパンド
メタルシート16の上面を被覆している。アスファルト
防水層12は、所定数のアスファルト20と所定数の防
水シート22とが交互に積層されて形成されており、ア
スファルト防水層12のエキスパンドメタルシート16
側(スラブ14側)の層はアスファルト20とされてい
る。アスファルト20は、防水性を有すると共に一時的
に加熱されて溶融されることで接着性を発現する性質を
有しており、アスファルト20としては、例えばポリマ
ーを混合して改質されたアスファルトが使用される。ま
た、アスファルト20の厚さは、1mmから50mmと
されている。一方、防水シート22は、防水性を有する
と共に電磁波を透過する性質を有している。
【0045】アスファルト20には電磁波吸収発熱体2
4が混入されており、電磁波吸収発熱体24は、電磁波
を吸収すると発熱する性質を有している。なお、電磁波
吸収発熱体24としては、例えばカーボンファイバー、
カーボン、メタルファイバー及びフェライト粉等の磁性
体が使用される。また、電磁波吸収発熱体24としてカ
ーボンファイバーを使用する場合には、カーボンファイ
バーの長さを5mmから30mmとし、かつ、アスファ
ルト20へのカーボンファイバーの混入比をアスファル
ト20に対するカーボンファイバーの重量比で0.01
%から10%程度とすればよい。さらに、このカーボン
ファイバーの断面の直径は5μmから30μmとされ
る。
【0046】アスファルト防水層12が施工される際に
は、電磁波照射手段としての電磁波照射装置26が使用
される(図2及び図3参照)。電磁波照射装置26はハ
ンディタイプのものであり、小型のハウジング28を備
えると共に、ハウジング28には把持部30が形成され
ており、作業者が把持部30を把持して電磁波照射装置
26を移動可能とされている。
【0047】ハウジング28内には電源部32、電磁波
発信源34及びマイクロコンピュータ36が設けられる
と共に、ハウジング28にはスイッチ38が取り付けら
れている。電源部32、電磁波発信源34及びスイッチ
38はマイクロコンピュータ36に接続されており、ス
イッチ38がON操作されると電源部32が電力を受給
して電磁波発信源34により電磁波(マイクロ波)が発
信される。また、ハウジング28内には放射アンテナ4
0を有すると共に放射アンテナ40は照射部42を有し
ており、照射部42は、アスファルト防水層12側に開
口されると共に、アスファルト防水層12に接触してい
る。これにより、電磁波発信源34により発信された電
磁波が放射アンテナ40の照射部42からアスファルト
防水層12に照射される。このため、この電磁波を電磁
波吸収発熱体24が吸収して発熱し、この電磁波吸収発
熱体24によってアスファルト20が一時的に加熱され
て溶融される。これにより、アスファルト20が上記連
通孔18を介してスラブ14に接着されると共にアスフ
ァルト20が防水シート22に接着されて、アスファル
ト防水層12が施工される。なお、電磁波発信源34と
しては例えばマグネトロンが使用され、放射アンテナ4
0としては例えばホーンアンテナ、スリットアンテナ及
びパッチアンテナ等が使用される。また、電磁波照射装
置26には、必要に応じて整合器、方向性結合器、サー
キュレータ及びパワーメータ用プローブ等が付加され
る。
【0048】照射部42の外周には漏洩防止部としての
電磁波吸収体44が設けられており、電磁波吸収体44
はスカート状に形成されている。ここで、電磁波吸収体
44が照射部42から照射された電磁波を吸収すること
で、この電磁波が電磁波照射装置26の外部に漏洩する
ことが防止される。
【0049】照射部42の内部は加震手段及び加圧手段
としての圧接部材46で充填されており、照射部42を
アスファルト防水層12に接触させる際には圧接部材4
6によりアスファルト防水層12が震動されると共に、
電磁波照射装置26により電磁波をアスファルト防水層
12に照射する際には圧接部材46によりアスファルト
防水層12が加圧される。また、圧接部材46として
は、例えばテフロン(登録商標)等の電磁波(高周波)
低損失材料が使用されると共に、圧接部材46はインピ
ーダンスマッチングが配慮されている。
【0050】ハウジング28内には電源部32に対応し
て冷却部としての冷却ファン48が設けられており、冷
却ファン48は上記マイクロコンピュータ36に接続さ
れている。電源部32が電力を受給する際には冷却ファ
ン48が回転される構成とされており、このため、冷却
ファン48によって電源部32が冷却される。また、ハ
ウジング28には電源部32に対応して通気孔50が設
けられており、通気孔50によっても電源部32が冷却
される。
【0051】ハウジング28内には温度検出手段として
の温度センサ52が設けられており、アスファルト防水
層12に電磁波が照射される際には温度センサ52がア
スファルト防水層12(アスファルト20)の温度を検
出する。さらに、温度センサ52は上記マイクロコンピ
ュータ36に接続されると共に、マイクロコンピュータ
36は温度制御手段としての機構を有しており、温度セ
ンサ52により検出されたアスファルト防水層12の温
度に基づいてマイクロコンピュータ36が電磁波の照射
強度(電磁波発信源34の電磁波発信強度)を制御す
る。これにより、アスファルト防水層12が必要以上に
加熱されない構成とされている。また、ハウジング28
には、温度報知手段としての温度インジケータ54が取
り付けられている。温度インジケータ54はマイクロコ
ンピュータ36に接続されており、温度センサ52によ
るアスファルト防水層12の検出温度が温度インジケー
タ54により作業者に報知される。なお、マイクロコン
ピュータ36の温度制御手段としての機構としては、例
えばPAM(パルス・アンプリチュード・モデュレーシ
ョン)等の出力制御機構や制御信号入力機構等が使用さ
れる。
【0052】ハウジング28内には離間検出手段として
の接触センサ56が設けられており、接触センサ56
は、電磁波照射装置26が持ち上げられた等の原因で上
記照射部42がアスファルト防水層12から離間したこ
とを検出する。さらに、接触センサ56は上記マイクロ
コンピュータ36に接続されると共に、マイクロコンピ
ュータ36は照射中止手段としての機構を有しており、
照射部42がアスファルト防水層12から離間したこと
を接触センサ56が検出した際には、マイクロコンピュ
ータ36の制御により電磁波の照射が中止される構成と
されている。
【0053】次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0054】以上の構成の建築物の屋根部10では、防
水性を有するアスファルト20と防水性を有する防水シ
ート22とが積層されてアスファルト防水層12が形成
されており、アスファルト防水層12は防水を目的とす
るスラブ14を被覆した状態とされている。
【0055】ここで、アスファルト20には電磁波吸収
発熱体24が混入されており、電磁波照射装置26によ
ってアスファルト防水層12に電磁波を照射すること
で、この電磁波を電磁波吸収発熱体24が吸収して発熱
する。これにより、アスファルト20が一時的に加熱さ
れて溶融され、このため、アスファルト20が連通孔1
8を介してスラブ14に接着されると共に、アスファル
ト20が防水シート22に接着されて、アスファルト防
水層12が施工される。
【0056】このように、電磁波照射装置26によって
アスファルト防水層12に電磁波を照射するのみでアス
ファルト20を溶融できるため、簡単にアスファルト防
水層12を施工できる。またこのため、アスファルト防
水層12の施工の際に火気を使用する必要がなくなると
共に臭気を発生することがなく、これにより、アスファ
ルト防水層12の施工が制限されることを防止できる。
【0057】またここで、スラブ14がひび割れした際
やアスファルト防水層12が長期間暴露された後には、
アスファルト防水層12にひび割れが入る場合がある。
この場合には、再度電磁波照射装置26によってアスフ
ァルト防水層12に電磁波を照射してアスファルト20
に混入された電磁波吸収発熱体24を発熱させること
で、アスファルト20を溶融させてアスファルト防水層
12のひび割れを補修することができる。しかも、アス
ファルト防水層12のひび割れが入った部位を特定でき
ない場合でも、アスファルト防水層12に電磁波を広く
全体的に照射することで、アスファルト防水層12を補
修してアスファルト防水層12の防水機能を回復させる
ことができる。このように、電磁波照射装置26によっ
てアスファルト防水層12に電磁波を照射するのみでよ
いため、簡単にアスファルト防水層12を補修できると
共に、アスファルト防水層の補修が制限されることを防
止できる。
【0058】また、上述の如くアスファルト20に混入
された電磁波吸収発熱体24を発熱させることでアスフ
ァルト20を溶融させるため、従来の如くアスファルト
防水層を片側から加熱して熱伝導によりアスファルト全
体を加熱するという困難性がなく、容易にアスファルト
20全体を溶融させることができる。これにより、アス
ファルト20の変成劣化及び防水シート22の傷みを防
止しつつアスファルト防水層12を施工及び補修するこ
とができる。
【0059】さらに、電磁波照射装置26によってアス
ファルト防水層12に電磁波が照射される際に温度セン
サ52がアスファルト防水層12の温度を検出し、この
検出温度に基づいてマイクロコンピュータ36により電
磁波の照射強度が制御される。これにより、アスファル
ト防水層12の施工及び補修の際にアスファルト20を
高温に加熱し過ぎることを防止でき、アスファルト20
の変成劣化や防水シート22の傷みを一層防止できる。
したがって、信頼性の高いアスファルト防水層12を提
供することができる。
【0060】また、温度センサ52によるアスファルト
防水層12の検出温度が温度インジケータ54により作
業者に報知される。このため、作業者がアスファルト防
水層12の温度に基づいて電磁波の照射を制御すること
ができ、これにより、アスファルト20の変成劣化や防
水シート22の傷みを更に一層防止できる。
【0061】さらに、電磁波照射装置26の照射部42
内部は圧接部材46で充填されており、照射部42をア
スファルト防水層12に接触させる際には圧接部材46
によりアスファルト防水層12が震動されると共に、電
磁波照射装置26により電磁波をアスファルト防水層1
2に照射する際には圧接部材46によりアスファルト防
水層12が加圧される。このため、アスファルト防水層
12の施工の際には、アスファルト20を効果的にスラ
ブ14や防水シート22に接着できると共に、アスファ
ルト20を効果的に整形することができる。さらに、ア
スファルト防水層12の補修の際には、アスファルト防
水層12のひび割れを効果的に取り除くことができると
共に、アスファルト20を効果的に整形することができ
る。
【0062】さらにまた、電磁波照射装置26の照射部
42がアスファルト防水層12に接触しているため、電
磁波が電磁波照射装置26の外部に漏洩することを防止
できる。これにより、外部に漏洩した電磁波による人体
への悪影響を防止できる。
【0063】また、照射部42の外周に設けられた電磁
波吸収体44が照射部42から照射される電磁波を吸収
するため、電磁波が電磁波照射装置26の外部に漏洩す
ることを確実に防止できる。これにより、外部に漏洩し
た電磁波による人体への悪影響を確実に防止できる。し
たがって、安全性の高いアスファルト防水層12を提供
することができる。
【0064】さらに、電磁波照射装置26が持ち上げら
れた等の原因で照射部42がアスファルト防水層12か
ら離間したことが接触センサ56によって検出された際
には、照射部42からの電磁波の照射がマイクロコンピ
ュータ36の制御で中止される。これにより、照射部4
2がアスファルト防水層12から離間した際でも、電磁
波による人体への悪影響を防止できる。
【0065】またここで、スラブ14の表面に設けられ
たエキスパンドメタルシート16が電磁波を反射するた
め、アスファルト防水層12に照射された電磁波がスラ
ブ14を通過することを防止できる。これにより、スラ
ブ14を通過した電磁波による人体への悪影響を防止で
きる。
【0066】さらに、電磁波照射装置26から直接照射
された電磁波のみならずエキスパンドメタルシート16
により反射された電磁波をも電磁波吸収発熱体24が吸
収するため、効果的にアスファルト20を溶融させるこ
とができる。
【0067】また、エキスパンドメタルシート16に設
けられた連通孔18がスラブ14とアスファルト防水層
12とを連通させるため、溶融したアスファルト20が
連通孔18を介してスラブ14に到達することで、連通
孔18を介してアスファルト20をスラブ14に接着す
ることができる。なお、アスファルト防水層12に照射
された電磁波が連通孔18を通過しないため、依然とし
て電磁波がスラブ14を通過することを防止できる。
【0068】さらにまた、電磁波照射装置26が電力を
受給するための電源部32を冷却ファン48によって冷
却するため、電源部32が高温となることを防止でき
る。
【0069】なお、本実施の形態では電磁波照射手段と
してハンディタイプの電磁波照射装置26を使用した構
成としたが、図4に示す如く、電磁波照射手段として手
押しタイプの電磁波照射装置70を使用した構成として
もよい。この電磁波照射装置70は、大型で箱状のハウ
ジング72を備えると共に、ハウジング72の下部には
複数の車輪74が設けられており、電磁波照射装置70
を押して車輪74を回転させることによって電磁波照射
装置70が移動される。さらに、ハウジング72には、
加震手段としてのバイブレータ等の加震装置(図示省
略)及び加圧手段としての油圧等による圧接装置(図示
省略)が設けられており、電磁波照射装置70により電
磁波が照射される際に、加震装置によってアスファルト
防水層12が震動されると共に圧接装置によってアスフ
ァルト防水層12が加圧される。また、これら以外の電
磁波照射装置70の構成は上記電磁波照射装置26の構
成と同様の構成(スカート状の電磁波吸収体76含む)
とされている。なお、この電磁波照射装置70に、必要
に応じて走行動力機能を付加してもよく、これに伴い操
作用ハンドル、ブレーキ及びアクセル等を設けてもよ
い。
【0070】さらに、図5に示す如く、電磁波照射手段
として掃除機タイプの電磁波照射装置80を使用した構
成としてもよい。この電磁波照射装置80は、掃除機型
のハウジング82を備えると共に、ハウジング82の上
部には把持部84が形成されいる。さらに、ハウジング
82の下部には漏洩防止部としての電磁波シールドブラ
シ86が設けられており、電磁波シールドブラシ86が
電磁波照射装置80により照射された電磁波を反射する
ことで電磁波照射装置80の外部に電磁波が漏洩するこ
とが防止される。また、これ以外の電磁波照射装置80
の構成は上記電磁波照射装置26の構成と同様の構成と
されている。
【0071】また、図6に示す如く、電磁波照射手段と
して自走タイプの電磁波照射装置90を使用した構成と
してもよい。この電磁波照射装置90は、略円筒状のハ
ウジング92を備えると共に、ハウジング92の下部に
は複数の車輪94が設けられており、車輪94が回転さ
れることで電磁波照射装置90が移動される。さらに、
ハウジング92の下部には漏洩防止部としての電磁波シ
ールドブラシ96が設けられており、電磁波シールドブ
ラシ96が電磁波照射装置90により照射された電磁波
を反射することで電磁波照射装置90の外部に電磁波が
漏洩することが防止される。さらにまた、この電磁波照
射装置90には、位置センサ、傷害物センサ、制御機構
及び自動走行機構(以上図示省略)等が設けられてお
り、これにより、電磁波照射装置90が所定範囲を自動
で走行すると共に所定手順で自動で電磁波をアスファル
ト防水層12に照射する構成とされている。また、これ
以外の電磁波照射装置90の構成は上記電磁波照射装置
26の構成と同様の構成とされている。この電磁波照射
装置90では、アスファルト防水層12に電磁波を照射
するための作業員を不要にすることができる。なお、こ
の電磁波照射装置90に無線操縦機構を付加して無線で
電磁波照射装置90を操縦できる構成としてもよい。
【0072】さらにまた、本実施の形態では、所定数の
アスファルト20と所定枚の防水シート22とを交互に
積層してアスファルト防水層12を形成した構成とした
が、アスファルト防水層をアスファルトのみにより形成
した構成としてもよい。
【0073】さらに、本実施の形態では、エキスパンド
メタルシート16(電磁波反射シート)をスラブ14
(下地)の表面に設けた構成としたが、エキスパンドメ
タルシート(電磁波反射シート)をスラブ(下地)の内
部または下部に設けた構成としてもよい。
【0074】また、本実施の形態では、電磁波反射シー
トとして多数の連通孔18が設けられたエキスパンドメ
タルシート16を使用した構成としたが、電磁波反射シ
ートとして多数の連通孔(電磁波照射装置26、70、
80、90が照射する電磁波の波長の1/20から1/
4の大きさの連通孔)が設けられたパンチスルーメタル
シート等を使用した構成としてもよい。さらに、電磁波
反射シートとしてアルミ蒸着シート(プラカバー付きの
もの)及び銅箔等を使用した構成としてもよく、この場
合には、電磁波が照射されることで加熱されたアスファ
ルトによってアルミ蒸着シートのアルミや銅箔が一時的
に溶融されることにより、アルミ蒸着シートや銅箔をス
ラブ(下地)及びアスファルト防水層に接着することが
できる。
【0075】さらに、本実施の形態では、離間検出手段
として接触センサ56を使用した構成としたが、離間検
出手段として近接センサを使用した構成としてもよい。
【0076】次に、アスファルトへの電磁波(マイクロ
波)の照射時間とアスファルトの温度との関係について
の実験例を示す。
【0077】図7は、アスファルトに混入したカーボン
ファイバー(電磁波吸収発熱体)の長さが25mmの場
合における電磁波の照射時間とアスファルトの温度との
関係を示すグラフである。図7において、線Aは、アス
ファルトにカーボンファイバーを混入していない場合で
あり、線Bは、アスファルトに対するカーボンファイバ
ーの混入比を重量比で0.1%とした場合であり、線C
は、アスファルトに対するカーボンファイバーの混入比
を重量比で0.3%とした場合であり、線Dは、アスフ
ァルトに対するカーボンファイバーの混入比を重量比で
0.5%とした場合である。
【0078】図7に示す如く、アスファルトにカーボン
ファイバーを混入していない場合(線Aの場合)に対し
て、アスファルトにカーボンファイバーを混入した場合
(線B、線C及び線Dの場合)には、急速にアスファル
トの温度が上昇する。
【0079】一方、図8は、アスファルトに混入したカ
ーボンファイバー(電磁波吸収発熱体)の長さが10m
mの場合における電磁波の照射時間とアスファルトの温
度との関係を示すグラフである。図8において、線A
は、アスファルトにカーボンファイバーを混入していな
い場合であり、線Bは、アスファルトに対するカーボン
ファイバーの混入比を重量比で0.1%とした場合であ
り、線Cは、アスファルトに対するカーボンファイバー
の混入比を重量比で0.3%とした場合であり、線D
は、アスファルトに対するカーボンファイバーの混入比
を重量比で0.5%とした場合である。
【0080】図8に示す如く、アスファルトに混入した
カーボンファイバーの長さが10mmの場合には、図8
の線B、線C及び線Dの何れの混入比でも、カーボンフ
ァイバーの長さが25mmの場合(図7の場合)と同様
に充分に高いアスファルト加熱性能(カーボンファイバ
ーの電磁波吸収性能)を有している。特に図8の線Bの
混入比とされた場合であっても、充分に高いアスファル
ト加熱性能を有している。ここで、アスファルトに混入
するカーボンファイバーが長くなればなる程このアスフ
ァルトが攪拌される際にカーボンファイバーが折れる確
率が高くなるが、上述の如くアスファルトに混入したカ
ーボンファイバーの長さが10mmの場合でも充分に高
いアスファルト加熱性能を有しているため、アスファル
トが攪拌される際にカーボンファイバーが折れることは
問題にならない。これにより、カーボンファイバーを混
入したアスファルトの取り扱い(攪拌)が容易である。
【0081】
【発明の効果】請求項1に記載のアスファルト防水層の
施工構造では、電磁波照射手段によってアスファルト防
水層に電磁波を照射するのみでアスファルトを溶融でき
るため、簡単にアスファルト防水層を施工できると共
に、アスファルト防水層の施工が制限されることを防止
できる。さらに、アスファルト防水層を補修する際にも
アスファルト防水層に電磁波を照射するのみでよいた
め、簡単にアスファルト防水層を補修できる。また、ア
スファルトに混入された電磁波吸収発熱体を発熱させる
ことでアスファルトを溶融させるため、アスファルトの
変成劣化及び防水シートの傷みを防止しつつアスファル
ト防水層を施工及び補修することができる。
【0082】請求項2に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、電磁波照射手段によってアスファルト防水
層に電磁波を照射するのみでアスファルトを溶融できる
ため、簡単にアスファルト防水層を施工できると共に、
アスファルト防水層の施工が制限されることを防止でき
る。さらに、アスファルト防水層を補修する際にもアス
ファルト防水層に電磁波を照射するのみでよいため、簡
単にアスファルト防水層を補修できる。また、アスファ
ルトに混入された電磁波吸収発熱体を発熱させることで
アスファルトを溶融させるため、アスファルトの変成劣
化及び防水シートの傷みを防止しつつアスファルト防水
層を補修することができる。
【0083】請求項3に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、温度検出手段がアスファルト防水層の温度
を検出して温度制御手段が電磁波の照射強度を制御する
ため、アスファルトを高温に加熱し過ぎることを防止で
き、アスファルトの変成劣化や防水シートの傷みを一層
防止できる。
【0084】請求項4に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、アスファルト防水層の温度を温度報知手段
が報知するため、アスファルトの変成劣化や防水シート
の傷みを更に一層防止できる。
【0085】請求項5に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、加震手段がアスファルトを震動させると共
に加圧手段がアスファルトを加圧するため、アスファル
トを効果的に下地や防水シートに接着できると共に、ア
スファルトを効果的に整形でき、かつ、アスファルト防
水層のひび割れを効果的に取り除くことができる。
【0086】請求項6に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、電磁波照射手段の照射部がアスファルト防
水層に略接触しているため、電磁波が外部に漏洩するこ
とを防止して、漏洩した電磁波による人体への悪影響を
防止できる。
【0087】請求項7に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、漏洩防止部が照射部から照射された電磁波
を反射または吸収するため、電磁波が外部に漏洩するこ
とを確実に防止して、漏洩した電磁波による人体への悪
影響を確実に防止できる。
【0088】請求項8に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、照射部がアスファルト防水層から離間した
際には電磁波の照射が中止されるため、電磁波による人
体への悪影響を防止できる。
【0089】請求項9に記載のアスファルト防水層の施
工構造では、下地の表面に設けられた電磁波反射シート
が電磁波を反射するため、下地を通過した電磁波による
人体への悪影響を防止できる。さらに、電磁波照射手段
から直接照射された電磁波のみならず電磁波反射シート
により反射された電磁波をも電磁波吸収発熱体が吸収す
るため、効果的にアスファルトを溶融させることができ
る。
【0090】請求項10に記載のアスファルト防水層の
施工構造では、電磁波反射シートの連通孔が下地とアス
ファルト防水層とを連通させるため、連通孔を介してア
スファルトを下地に接着することができる。また、アス
ファルト防水層に照射された電磁波が連通孔を通過しな
いため、依然として電磁波が下地を通過することを防止
できる。
【0091】請求項11に記載のアスファルト防水層の
施工構造では、電磁波照射手段の電源部を冷却部によっ
て冷却するため、電源部が高温となることを防止でき
る。
【0092】請求項12に記載のアスファルト防水層の
施工構造では、電磁波照射手段が所定範囲を自動で走行
すると共に所定手順で自動で電磁波をアスファルト防水
層に照射するため、電磁波を照射するための作業員を不
要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアスファルト防水層の施工構造が適用
されて構成された実施の形態に係る建築物の屋根部を概
略的に示す分解斜視図である。
【図2】本発明のアスファルト防水層の施工構造が適用
されて構成された実施の形態に係る建築物の屋根部にお
けるアスファルト防水層の施工状態を概略的に示す側面
図(一部断面図)である。
【図3】ハンディータイプの電磁波照射装置を示す斜視
図である。
【図4】手押しタイプの電磁波照射装置を示す側面図で
ある。
【図5】掃除機タイプの電磁波照射装置を示す斜視図で
ある。
【図6】自走タイプの電磁波照射装置を示す斜視図であ
る。
【図7】アスファルトに混入したカーボンファイバー
(電磁波吸収発熱体)の長さが25mmの場合における
電磁波の照射時間とアスファルトの温度との関係を示す
グラフである。
【図8】アスファルトに混入したカーボンファイバー
(電磁波吸収発熱体)の長さが10mmの場合における
電磁波の照射時間とアスファルトの温度との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
12 アスファルト防水層 14 スラブ(下地) 16 エキスパンドメタルシート(電磁波反射シー
ト) 18 連通孔 20 アスファルト 22 防水シート 24 電磁波吸収発熱体 26 電磁波照射装置 32 電源部 36 マイクロコンピュータ(温度制御手段及び照射
中止手段) 42 照射部 44 電磁波吸収体(漏洩防止部) 46 圧接部材(加震手段及び加圧手段) 48 冷却ファン(冷却部) 52 温度センサ(温度検出手段) 54 温度インジケータ(温度報知手段) 56 接触センサ(離間検出手段) 70 電磁波照射装置 76 電磁波吸収体(漏洩防止部) 80 電磁波照射装置 86 電磁波シールドブラシ(漏洩防止部) 90 電磁波照射装置 96 電磁波シールドブラシ(漏洩防止部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 影山 健二 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 岡本 肇 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 市川 浩司 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 国島 武史 東京都中央区銀座8丁目21番1号 株式会 社竹中道路内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防水性を有すると共に一時的に加熱され
    て溶融されることで接着性を発現するアスファルトと防
    水性を有する防水シートとが積層されて形成されたアス
    ファルト防水層によって防水を目的とする下地を被覆し
    た状態で前記アスファルトを一時的に溶融させて前記ア
    スファルトを前記防水シート及び前記下地に接着させる
    ことで施工されるアスファルト防水層の施工構造におい
    て、 前記アスファルト防水層に電磁波を照射する電磁波照射
    手段と、 前記アスファルトに混入され、前記電磁波を吸収するこ
    とで発熱する電磁波吸収発熱体と、 を備え、前記電磁波を吸収して発熱した前記電磁波吸収
    発熱体によって前記アスファルトを一時的に加熱して溶
    融させることで前記アスファルトを前記防水シート及び
    前記下地に接着させる、 ことを特徴とするアスファルト防水層の施工構造。
  2. 【請求項2】 防水性を有すると共に一時的に加熱され
    て溶融されることで接着性を発現するアスファルトによ
    って形成されたアスファルト防水層によって防水を目的
    とする下地を被覆した状態で前記アスファルトを一時的
    に溶融させて前記アスファルトを前記下地に接着させる
    ことで施工されるアスファルト防水層の施工構造におい
    て、 前記アスファルト防水層に電磁波を照射する電磁波照射
    手段と、 前記アスファルトに混入され、前記電磁波を吸収するこ
    とで発熱する電磁波吸収発熱体と、 を備え、前記電磁波を吸収して発熱した前記電磁波吸収
    発熱体によって前記アスファルトを一時的に加熱して溶
    融させることで前記アスファルトを前記下地に接着させ
    る、 ことを特徴とするアスファルト防水層の施工構造。
  3. 【請求項3】 前記電磁波照射手段に設けられ、前記ア
    スファルト防水層に前記電磁波が照射される際に前記ア
    スファルト防水層の温度を検出する温度検出手段と、 前記電磁波照射手段に設けられ、前記温度検出手段によ
    り検出された前記アスファルト防水層の温度に基づいて
    前記電磁波の照射強度を制御する温度制御手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載
    のアスファルト防水層の施工構造。
  4. 【請求項4】 前記電磁波照射手段に設けられ、前記温
    度検出手段により検出された前記アスファルト防水層の
    温度を報知する温度報知手段を備えたことを特徴とする
    請求項3記載のアスファルト防水層の施工構造。
  5. 【請求項5】 前記電磁波照射手段に設けられ、前記ア
    スファルトを震動させる加震手段と、 前記電磁波照射手段に設けられ、前記アスファルトを加
    圧する加圧手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れ
    か1項記載のアスファルト防水層の施工構造。
  6. 【請求項6】 前記電磁波照射手段に設けられ、前記ア
    スファルト防水層に略接触して前記電磁波を照射する照
    射部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の
    何れか1項記載のアスファルト防水層の施工構造。
  7. 【請求項7】 前記照射部の外周に設けられ、前記電磁
    波を反射または吸収する漏洩防止部を備えたことを特徴
    とする請求項6記載のアスファルト防水層の施工構造。
  8. 【請求項8】 前記電磁波照射手段に設けられ、前記照
    射部が前記アスファルト防水層から離間したことを検出
    する離間検出手段と、 前記電磁波照射手段に設けられ、前記離間検出手段によ
    って前記照射部が前記アスファルト防水層から離間した
    ことが検出された際に前記電磁波の照射を中止する照射
    中止手段と、 を備えたことを特徴とする請求項6または請求項7記載
    のアスファルト防水層の施工構造。
  9. 【請求項9】 前記下地に設けられ、前記電磁波を反射
    する電磁波反射シートを備えたことを特徴とする請求項
    1乃至請求項8の何れか1項記載のアスファルト防水層
    の施工構造。
  10. 【請求項10】 前記下地と前記アスファルト防水層と
    を連通させかつ前記電磁波が通過しない連通孔を前記電
    磁波反射シートに設けたことを特徴とする請求項9記載
    のアスファルト防水層の施工構造。
  11. 【請求項11】 前記電磁波照射手段に設けられ、前記
    電磁波照射手段が電力を受給する電源部と、 前記電源部に対応して設けられ、前記電源部を冷却する
    冷却部と、 を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何
    れか1項記載のアスファルト防水層の施工構造。
  12. 【請求項12】 前記電磁波照射手段は、所定範囲を自
    動で走行すると共に所定手順で自動で前記電磁波を前記
    アスファルト防水層に照射することを特徴とする請求項
    1乃至請求項11の何れか1項記載のアスファルト防水
    層の施工構造。
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