JP2001301096A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JP2001301096A
JP2001301096A JP2000120580A JP2000120580A JP2001301096A JP 2001301096 A JP2001301096 A JP 2001301096A JP 2000120580 A JP2000120580 A JP 2000120580A JP 2000120580 A JP2000120580 A JP 2000120580A JP 2001301096 A JP2001301096 A JP 2001301096A
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孝教 松沢
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洋 柴田
Takashi Kada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面の電離放射線硬化型樹脂層による高い表面
硬度を有し、しかも使用環境における温度変化のために
経時により電離放射線硬化型樹脂層の密着性が低下する
ことのない、耐久密着性を備えた化粧シートを提供す
る。 【解決手段】熱可塑性樹脂層1の表面にアンカー層2を
介して電離放射線硬化型樹脂層3を具備してなり、前記
アンカー層2の線膨張係数が25×10-6/℃以上20
0×10-6/℃以下である化粧シートである。このアン
カー層2が、熱可塑性樹脂層1と電離放射線硬化型樹脂
層3との熱伸縮挙動の差を吸収して、両者間での歪の蓄
積を防止し、剥離に繋がる密着性の低下を阻止すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の建築物の
壁面、床面、天井面等の内外装や、車両等の輸送機器の
内外装、家具、什器、住設機器、家電製品等の表面化粧
に使用するための化粧シートに関するものであり、特
に、高度の表面硬度が要求される床材、階段踏板、収納
家具天板、テーブル天板、カウンター、出窓カウンター
等の水平面の用途にも好適に使用可能な化粧シートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より係る化粧シートとして、例えば
ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂からなるフィルム
乃至シート状物に、絵柄の印刷や表面エンボス等の各種
の装飾加工を施してなる、各種の化粧シートが広く使用
されている。こうした化粧シートには、例えば基材への
ラミネート加工やVカット加工等の二次加工のための適
度の柔軟性や接着性、切削性、耐破断性等の加工適性、
使用状態における耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐
溶剤性、表面硬度、耐磨耗性、耐擦傷性等、用途により
程度は相違するが種々の優れた特性が要求される。
【0003】係る種々の要求物性を満足するために、従
来は係る化粧シートを構成する熱可塑性樹脂としては、
各種の物理的・化学的物性のバランスの良いポリ塩化ビ
ニル樹脂が、殆ど専ら使用されて来た。しかし、近年に
なって、ポリ塩化ビニル樹脂には例えば燃焼時に塩化水
素ガス等の有毒ガスやダイオキシン類等の猛毒物質を発
生する場合がある等の問題点が指摘され、環境問題への
対応の観点から、塩素を含有しない非ハロゲン系樹脂か
らなる化粧シートへの切替が要望されるようになってい
る。
【0004】係る要望に応える為に近年になって、上記
ポリ塩化ビニル樹脂に替えて、例えばポリオレフィン系
樹脂やポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の、非ハ
ロゲン系の熱可塑性樹脂を使用した化粧シートが各種提
案され、実用化されるようになっている。中でも、各種
物性面で最もポリ塩化ビニル樹脂に近似しており、しか
も安価なポリオレフィン系樹脂を使用したものが、最も
有望視されている。係るポリオレフィン系樹脂として
は、汎用的なポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂で
は各種物性面で不十分な場合があり、多くの場合には例
えば非晶質の軟質成分やジエン系等のエラストマー成分
等の添加により樹脂の改質が図られ、よりポリ塩化ビニ
ル樹脂に近い物性を実現するための努力が現在も続けら
れている。
【0005】しかしながら、上記した各種の代替樹脂と
いえども、従来のポリ塩化ビニル樹脂と同等の特性を満
足したものは得られていないのが実情である。つまり、
従来の化粧シートに使用されていたポリ塩化ビニル樹脂
は、可塑剤等の添加剤の配合の変更によって任意の所望
の物性の樹脂を比較的容易に得ることができたのに対
し、上記各種の代替樹脂の場合は、添加剤の配合の変更
や樹脂の改質等による物性の調節の幅が比較的に狭く、
例えば、二次加工適性上要求される柔軟性と、使用上要
求される耐擦傷性や耐磨耗性との様に、本質的に矛盾す
る複数の特性を同時に満足する樹脂はなかなか得られて
いないのが実情である。
【0006】そこで、樹脂自体としては加工適性上要求
される柔軟性を十分満足したものとする一方、使用上要
求される耐擦傷性や耐磨耗性等は、当該樹脂の層の表面
に耐擦傷性や耐磨耗性に優れた硬質の樹脂からなる電離
放射線硬化型樹脂層を設けることで対処しようとする試
みがなされている。具体的には、熱可塑性樹脂からなる
化粧シートの表面に、ポリオール化合物とポリイソシア
ネート化合物との混合組成物を塗工し架橋硬化させて得
る、2液熱硬化型ウレタン樹脂系のトップコート層を施
す方法が、最も一般的に用いられている。
【0007】しかしながら、従来のポリ塩化ビニル樹脂
系の化粧シートの構成樹脂として最も代表的なものであ
る、フタル酸エステル等の可塑剤が20PHR前後添加
された所謂半硬質ポリ塩化ビニル樹脂が、鉛筆硬度2B
乃至HB程度の表面硬度を有していたのに対し、例えば
ポリ塩化ビニル樹脂と同等の柔軟性を得るべく改質され
たポリオレフィン系樹脂にあっては、一般に鉛筆硬度6
B乃至4B程度の表面硬度しか得ることができず、これ
に如何に硬質のウレタン系トップコート剤を選択してト
ップコート層を施しても、得られる表面硬度には自ずと
限界があり、例えば従来もポリ塩化ビニル樹脂系のシー
トの更にウレタン系トップコート層を施して使用されて
いた水平面の用途、すなわち例えば床材、階段踏板、収
納家具天板、テーブル天板、カウンター、出窓カウンタ
ー等の用途に十分に堪える化粧シートを実現するのは、
極めて困難であった。
【0008】そこで、2液熱硬化型ウレタン樹脂系トッ
プコート剤に代えて、より架橋密度が高く硬質の皮膜が
得られる、アクリレート系樹脂又はメタクリレート系樹
脂等の電離放射線硬化型樹脂系のトップコート剤を採用
する試みもなされている。これは、表面硬度の面では確
かに極めて有効な手段であるが、電離放射線硬化型樹脂
は内部凝集力は極めて高いものの、ポリオレフィン系樹
脂に代表される一般の熱可塑性樹脂に対する密着性に乏
しく、硬化時の収縮応力や使用時の外力により剥離し易
いという欠点もある。この欠点を解消するために、トッ
プコート層を形成する電離放射線硬化型樹脂に、活性水
素基を有する化合物及び/又はイソシアネート基を有す
る化合物を添加する方法や、熱可塑性樹脂層と電離放射
線硬化型樹脂層との間に、それらのいずれとも良好に密
着する樹脂組成物からなるアンカー層を設ける方法など
の試みもなされている。
【0009】しかしながら、上記のような方法により熱
可塑性樹脂層と電離放射線硬化型樹脂層との間の初期的
な密着性は確かに向上したのであるが、係る化粧シート
は建築部材や家具等の表面材として長期に亘り使用され
るものであり、その使用期間中の経時により両者の密着
性が低下し、耐セロハンテープ性が悪化するという問題
が残された。この問題点について本発明者らが鋭意研究
した結果、熱可塑性樹脂層と電離放射線硬化型樹脂層と
は架橋密度の相違により熱膨張係数が大幅に異なってい
るために、使用環境の温度の上下変動が繰り返されると
両者間に歪が蓄積され、遂には剥離に至る場合があるこ
とが判明した。この問題は、直射日光に曝される機会が
多く温度の日較差が大きい、玄関部や縁側部等の床材、
玄関収納天板や出窓カウンター、屋外テラス用テーブル
の天板等の用途において、特に顕著である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける上記した問題点を解決するためになされたもので
あって、表面に電離放射線硬化型樹脂層を具備すること
により床材や収納家具天板、テーブル天板、出窓カウン
ター等の様に過酷な用途にも堪える表面硬度を有し、し
かも使用環境における温度変化のために経時により電離
放射線硬化型樹脂層の密着性が低下することのない、耐
久密着性を備えた化粧シートを提供しようとするもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の化粧シートは、
熱可塑性樹脂層の表面にアンカー層を介して電離放射線
硬化型樹脂層を具備してなる化粧シートであって、前記
アンカー層の線膨張係数が25×10-6/℃以上200
×10-6/℃以下であることを特徴とするものである。
【0012】また特に本発明の化粧シートは、上記化粧
シートにおいて、前記アンカー層がウレタン系樹脂から
なることを特徴とするものである。
【0013】また特に本発明の化粧シートは、上記化粧
シートにおいて、前記熱可塑性樹脂層が1層若しくは2
層以上からなり、そのうち少なくとも前記アンカー層に
接する層がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴と
するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】図1に示すのは本発明の化粧シー
トの実施の形態の一例であって、必要に応じて所望の適
宜の絵柄模様の絵柄層4を設けた透明乃至半透明の熱可
塑性樹脂層1の表面に、アンカー層2を介して、紫外線
又は電子線等の照射により硬化させた電離放射線硬化型
樹脂層3を設けて構成されたものである。そして、本発
明の化粧シートは、上記熱可塑性樹脂層1と上記電離放
射線硬化型樹脂層3との間に耐久密着性を具備させるた
めに、上記アンカー層2の線膨張係数が25×10-6
℃以上200×10-6/℃以下であることを特徴とする
ものである。
【0015】アンカー層2の線膨張係数が上記範囲であ
ることにより、アンカー層2の線膨張係数は、ポリオレ
フィン系樹脂等の熱可塑性樹脂層1の線膨張係数(一般
的には120×10-6/℃〜250×10-6/℃程度で
ある)と、(メタ)アクリレート系樹脂等の電離放射線
硬化型樹脂層3の線膨張係数(一般的には10×10 -6
/℃〜60×10-6/℃程度である)とのほぼ中間程度
となり、環境温度の上下変動による熱可塑性樹脂層1と
電離放射線硬化型樹脂層3との熱伸縮挙動の差を吸収し
て、両者間での歪の蓄積を防止し、以て耐久密着性の向
上を図ることができる。
【0016】本発明の化粧シートにおいて熱可塑性樹脂
層1を構成する熱可塑性樹脂としては、従来より一般的
に化粧シートの構成材料として使用されて来た任意の公
知の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−
1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン
系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化
物、エチレン−(メタ)アクリレート(エステル)共重
合体等のオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポ
リエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアク
リル系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等の
スチレン系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、
6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、酢酸繊維
素、硝酸繊維素等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エ
チレン−テトラフロロエチレン共重合体、テトラフロロ
エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体
等のフッ素系樹脂等、又はそれら各種の混合物、共重合
体、複合体、積層体等を使用することができる。
【0017】但し、既に従来の技術の項において言及し
た様に、近年頓に社会的に関心が高まりつつある環境問
題への対応を考慮すると、上記した塩素系樹脂やフッ素
系樹脂の使用は余り好ましいものとは言えず、塩素やフ
ッ素等のハロゲン元素を含有しない樹脂、すなわち非ハ
ロゲン系樹脂を使用することが好ましい。中でも特に、
化粧シート用素材としての適度の柔軟性と強度のバラン
スや、折り曲げや切断・切削等の加工適性、耐磨耗性や
耐溶剤性等の表面物性、耐候性等の各種の側面から見
て、オレフィン系樹脂が最も優れている。
【0018】係るオレフィン系樹脂としては上掲したも
のを始め種々の単独重合体や共重合体が知られている
が、中でも化粧シート用素材として最も好適なのはポリ
プロピレン系樹脂、すなわちポリプロピレンを主成分と
する単独又は共重合体であり、具体的には、例えばホモ
ポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブ
ロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶
部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−
オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メ
チルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1、の
コモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−
オレフィン共重合体などを例示することができる。ま
た、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられるエ
チレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレ
ン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共
重合体ゴム等の改質剤を添加することもできる。
【0019】上記熱可塑性樹脂層1を構成する熱可塑性
樹脂には、目的の化粧シートの用途により必要に応じ
て、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安
定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の
従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても
良い。
【0020】酸化防止剤としては例えばフェノール系、
硫黄系、リン系等、紫外線吸収剤としては例えばベンゾ
フェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、
シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリ
ド系等、光安定剤としては例えばヒンダードアミン系、
ニッケル錯体系等、熱安定剤としては例えばヒンダード
フェノール系、硫黄系、ヒドラジン系等、可塑剤として
は樹脂の種類にもよるが例えばフタル酸エステル系、リ
ン酸エステル系、脂肪酸エステル系、脂肪族二塩基酸エ
ステル系、オキシ安息香酸エステル系、エポキシ系、ポ
リエステル系等、滑剤としては例えば脂肪酸エステル
系、脂肪酸系、金属石鹸系、脂肪酸アミド系、高級アル
コール系、パラフィン系等、帯電防止剤としては例えば
カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両イオン系等、
難燃剤としては例えば臭素系、リン系、塩素系、窒素
系、アルミニウム系、アンチモン系、マグネシウム系、
硼素系、ジルコニウム系等、充填剤としては例えば炭酸
カルシウム、滑石、蝋石、カオリン等から選ばれる1種
又は2種以上の混合系で使用されている。
【0021】熱可塑性樹脂層1の厚さには特に制限はな
く、従来の一般の化粧シートの場合と同様の厚さのもの
を使用することができる。具体的には、化粧シートの用
途や樹脂の種類等にもよるが、通常は20〜300μm
程度の範囲から選ばれるのが一般的である。
【0022】絵柄層4は、化粧シートに所望の絵柄の意
匠性を付与する目的で設けられるものであって、その絵
柄の種類や、絵柄層1の構成材料、形成方法等には特に
制限はなく、例えば従来公知の化粧シートと全く同一の
要領で設けることができる。絵柄の種類として具体的に
は、木目柄、石目柄、抽象柄、幾何学模様、単色無地等
を挙げることができる。勿論、絵柄の必要がない場合に
は、絵柄層4は設けられていなくても良い。
【0023】絵柄層4の構成材料として一般的には、染
料又は顔料等の着色剤を、適当な結着剤樹脂と共に、適
当な溶剤中に溶解又は分散してなる印刷インキ又はコー
ティング剤が使用される。前記着色剤としては、例えば
カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、黄鉛、紺
青、カドミウムレッド等の無機顔料や、アゾ顔料、レー
キ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、イ
ソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料
等、又はこれらの2種以上の混合物等を使用することが
できる。
【0024】また、前記結着剤樹脂としては、例えばア
クリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド系樹脂、
石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、
合成ゴム類等の各種合成樹脂類、またはそれらの混合
物、共重合体等を使用することができる。また、前記溶
剤としては、例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサ
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノー
ル、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、水
等、又はそれらの混合物等を使用することができる。そ
の他、必要に応じて体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活
性剤、粘着付与剤、接着助剤、硬化剤、硬化促進剤又は
硬化遅延剤等の各種添加剤を適宜添加することもでき
る。
【0025】絵柄層4の形成方法は、例えばグラビア印
刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ
印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の各種の
適宜の印刷方法によるのが最も一般的であるが、本発明
においては必ずしもこれらに限定されるものではなく、
例えば全面ベタ状の場合にはロールコート法やナイフコ
ート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップ
コート法、コンマコート法、キスコート法、フローコー
ト法、ディップコート法等の各種のコーティング方法を
適用することも可能である。また、以上の如き印刷法乃
至コーティング法による他、例えば手描き法、墨流し
法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金
属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法
を複数組み合わせて行うこともできる。
【0026】なお、熱可塑性樹脂層1に絵柄層4等を施
すにあたり、予め熱可塑性樹脂層1の表面に例えばコロ
ナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、
重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の適宜
の表面処理を施すことによって、熱可塑性樹脂層1と絵
柄層4等との密着性を向上することもできる。
【0027】本発明の如き化粧シートには一般に、貼付
対象物である各種基材の表面の好ましくない色彩や傷等
の欠陥を隠蔽するために、所定の隠蔽性が要求される場
合が多い。係る化粧シートに必要とされる隠蔽性を付与
する目的で、上記した絵柄層4とは別に隠蔽層5を設け
ることもできる。隠蔽層5は、従来周知の様に、隠蔽性
の印刷インキ又はコーティング剤をベタ状に印刷又はコ
ーティングすることによって設けられるものである。
【0028】上記隠蔽性の印刷インキ又はコーティング
剤とは、通常使用する結着剤樹脂よりも高屈折率の隠蔽
性顔料を高濃度に分散した印刷インキ又はコーティング
剤であって、上記隠蔽性顔料としては、例えば酸化チタ
ン系又は酸化鉄系等の無機顔料及び/又は鱗片状アルミ
ニウム粉等の金属粉顔料を少なくとも使用することが望
ましい。結着剤樹脂や溶剤、添加剤等は、前記した絵柄
層4に使用する印刷インキ又はコーティング剤の場合と
同様のものが使用可能である。また、隠蔽層5を設ける
為の印刷方法又はコーティング方法も、絵柄層4の場合
と同様、従来公知の任意の印刷方法又はコーティング方
法を適宜適用することができる。
【0029】本発明の化粧シートにあっては、前記した
熱可塑性樹脂層1の表面上に、アンカー層2を介して、
電離放射線硬化型樹脂層3が設けられる。アンカー層2
は、前述した様に、熱可塑性樹脂層1と電離放射線硬化
型樹脂層3との間の密着性を向上する目的で設けられる
ものであり、その材質は、熱可塑性樹脂層1と電離放射
線硬化型樹脂層3との両者に対して良好な接着性を示す
樹脂組成物であれば何であっても良く、具体的には例え
ば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系
樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体系樹脂等の接着性樹脂を使用す
ることもでき、中でも各種の熱可塑性樹脂や電離放射線
硬化型樹脂との密着性や耐候性等の観点から、アクリル
系樹脂又はウレタン系樹脂を使用することが好ましい。
【0030】より好適には、活性水素基とイソシアネー
ト基とを含有するウレタン系樹脂組成物によってアンカ
ー層2を構成することが好ましく、それは、活性水素基
とイソシアネート基との反応によってアンカー層2の内
部に強固な凝集力が形成される一方、イソシアネート基
の作用によって熱可塑性樹脂層1との間に強固な密着が
形成されるからである。更に好ましくは、上記活性水素
基とイソシアネート基とに加えて、重合性二重結合をも
含有する樹脂組成物によってアンカー層2を構成するこ
とが好ましく、それは、重合性二重結合が、電離放射線
硬化型樹脂層3を構成する電離放射線硬化型樹脂に含有
される重合性二重結合と、電離放射線の作用によって架
橋反応を起こすことにより、電離放射線硬化型樹脂層3
との間にも強固な密着が形成されるからである。
【0031】上記活性水素基とは、例えば水酸基やカル
ボキシル基、アミノ基等、イソシアネートと架橋反応可
能な水素原子を含有する官能基のことであり、一般的に
は水酸基を含有する組成物が使用される。具体的には例
えばアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオール等の化合物が使用される。イソシ
アネート基を含有する化合物としては、例えばトリレン
ジイソシアネート、メシチレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート等を使用することができる
が、耐候性を考慮するとヘキサメチレンジイソシアネー
ト等の非芳香族系のイソシアネート化合物を使用するこ
とが好ましい。なお、熱可塑性樹脂層1との密着力を確
保する為に、イソシアネート基を理論上活性水素基との
反応に必要とされる量よりも過剰に含有させることが好
ましい。
【0032】上記イソシアネート基は、各種の熱可塑性
樹脂に対して良好な密着を形成する作用を有しており、
特に、本発明において熱可塑性樹脂層1として推奨した
ポリオレフィン系樹脂に対しては、優れた密着性を得る
ことができる。また、ポリオレフィン系樹脂等からなる
熱可塑性樹脂層1の表面に予め例えばコロナ処理、オゾ
ン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処
理等の表面処理を施しておくと、密着性は更に向上す
る。これは、係る表面処理によって熱可塑性樹脂層1の
表面に例えば水酸基やカルボキシル基等の活性水素基が
形成され、これらの活性水素基とアンカー層2に含有さ
れるイソシアネート基との間の架橋反応によって化学的
に強固に結合するためと考えられている。
【0033】なお、上記の如く、活性水素基とイソシア
ネート基とを含有する樹脂組成物からなるアンカー層2
を設ける場合にあっては、当該活性水素基とイソシアネ
ート基との反応が完結する以前に、電離放射線硬化型樹
脂層3を形成し、電離放射線の照射により硬化させる
と、アンカー層2と電離放射線硬化型樹脂層3との密着
性がより向上するので好ましい。この密着性向上の機構
は必ずしも明らかではないが、電離放射線硬化型樹脂の
ラジカル重合反応の過程で生じるラジカルの一部が、何
らかの形でイソシアネート基等との間に化学反応による
架橋を生じるためと考えられている。
【0034】また、アンカー層2を構成する樹脂組成物
に、重合性二重結合を含有する化合物を配合すること
も、電離放射線硬化型樹脂層3との密着性の向上に有効
である。重合性二重結合を含有する化合物としては、例
えばポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレー
ト、エポキシアクリレート等のアクリレート類、ポリエ
ステルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポ
キシメタクリレート等のメタクリレート類等のプレポリ
マー又はオリゴマーや、各種のアクリレート系又はメタ
クリレート系のモノマー等を適宜配合して使用すること
ができる。なお、電離放射線硬化型樹脂層3を紫外線の
照射によって硬化させる場合には、必要に応じてアンカ
ー層2にも、後述する電離放射線硬化型樹脂層3に添加
するものと同様の光重合開始剤や光増感剤を添加するこ
ともできる。
【0035】なお、上記の如く、重合性二重結合を含有
する化合物を配合した樹脂組成物からアンカー層2を構
成した場合には、当該アンカー層2中に含有される重合
性二重結合が電離放射線照射等による架橋反応によって
消費される以前に、電離放射線硬化型樹脂層3を形成
し、電離放射線の照射により硬化させることが好まし
い。アンカー層2中に含有される重合性二重結合が架橋
して消費された後では、電離放射線硬化型樹脂層3を構
成する電離放射線硬化型樹脂中の重合性二重結合との間
での架橋が行われず、十分な密着性が達成されなくなっ
てしまうからである。
【0036】そして、本発明においては、アンカー層2
の線膨張係数が25×10-6/℃以上200×10-6
℃以下の範囲内となるように、アンカー層2を構成する
樹脂組成物の分子量や架橋密度等を適宜設計する必要が
ある。特に架橋密度は線膨張係数に大きく影響するの
で、例えば前記した活性水素基とイソシアネート基とを
含有するウレタン系樹脂組成物を使用する場合には、水
酸基等の活性水素基を含有するポリオール系樹脂等の主
剤樹脂に対するポリイソシアネート化合物等の配合比を
1〜5重量%程度とするのが良い。ポリイソシアネート
化合物としては、芳香族系よりも脂肪族系や脂環族系の
ものを使用した方が線膨張係数が大きくなる傾向がある
ので、これらの選択により線膨張係数を適宜調整するこ
ともできる。また、アンカー層2に重合性二重結合を含
有する化合物を配合する場合には、重合性二重結合を含
有する化合物の配合比が過大であると、アンカー層2の
線膨張係数が小さくなり過ぎ、本発明の効果が達成され
なくなる場合があるので、重合性二重結合を含有する化
合物の配合比は、1〜10重量%程度とするのが良い。
【0037】アンカー層2の厚さには特に制限はなく、
要するに熱可塑性樹脂層1と電離放射線硬化型樹脂層3
との密着性を十分に確保でき、しかも化粧シート全体と
しての可撓性や柔軟性等を妨げることのない範囲であれ
ば良い。一般的には0.1〜10μm程度、より好まし
くは1〜5μm程度の範囲に設定される。
【0038】上記したアンカー層2の上に設けられる電
離放射線硬化型樹脂層3に使用する電離放射線硬化型樹
脂とは、樹脂分子中に紫外線又は電子線等の電離放射線
の作用によって反応する重合性不飽和結合を有するプレ
ポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを適宜配合し
た組成物を主成分とし、必要に応じて更に光重合開始
剤、光増感剤等の添加剤を適宜添加して構成したもので
ある。
【0039】ここで、前記プレポリマーやオリゴマーと
しては、例えばポリエステルアクリレート、ウレタンア
クリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート
類、ポリエステルメタクリレート、ウレタンメタクリレ
ート、エポキシメタクリレート等のメタクリレート類等
を挙げることができる。
【0040】また、前記モノマーとしては、例えばn−
アルキルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イ
ソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、
ポリエチレングリコールアクリレート、β−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、エチ
レングリコールジアクリレート、ジエチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエ
チレングリコールジアクリレート、ジアルキルアミノエ
チルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、β
−エトキシエチルアクリレート、アリールアクリレー
ト、ベンゾイルオキシエチルアクリレート、ベンジルア
クリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキ
シジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ
−3−フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロ
フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアル
コール・ε−カプロラクトン付加物アクリレート、イソ
ボロニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチ
ルアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9
−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアク
リレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコー
ルジアクリレート、アセタールグリコールジアクリレー
ト、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール・ε
−カプロラクトン付加物アクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンポ
リエトキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート、ジペンタエリスリレート・ε−カプロラ
クトン付加物ヘキサアクリレート、アクリロキシエチル
フォスフェート、フロロアルキルアクリレート、スルホ
プロピルアクリレート等のアクリレートモノマー類や、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピ
ルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec
−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレ
ート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレー
ト、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタ
クリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−t
ert−ブチルアミノエチルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキ
シルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ノニル
フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジ
シクロペンテニルメタクリレート、ボルニルメタクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,
3−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、
テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメ
タクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリ
セロールメタクリレート、メタクリロキシエチルフォス
フェート、ビスメタクリロキシエチルフォスフェート等
のメタクリレートモノマー類等を挙げることができる。
【0041】係る電離放射線硬化型樹脂を紫外線の照射
によって硬化させる場合には、適宜の光重合開始剤(ラ
ジカル重合開始剤)が添加される。具体的には、例えば
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベ
ンゾイン又はそのアルキルエーテル類、アセトフェノ
ン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の
アセトフェノン類、チオキサントン、2,4−ジエチル
チオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサント
ン等のチオキサントン類、 アセトフェノンジメチルケタ
ール、ベンジルメチルケタール等のケタール類、ベンゾ
フェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノン等
のベンゾフェノン類、アゾ化合物等から選ばれる1種又
は2種以上が使用される。また必要に応じて、例えばト
リエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の第
3級アミン類、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4
−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体等
から選ばれる1種又は2種以上の光増感剤が併せて使用
される。
【0042】なお、上記電離放射線硬化型樹脂層3に
は、必要に応じて例えば着色剤、充填剤、体質顔料、減
摩剤、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、安定剤、
難燃剤、消泡剤、酸化防止剤、抗菌剤、芳香剤等の添加
剤を適宜添加することもできる。また、表面の艶状態の
異なる2層以上から構成し、その内の1層以上を任意の
所望の模様状に形成することにより、表面の艶状態の変
化による視覚的な立体感や意匠感を得ることもできる。
【0043】係る如く、電離放射線硬化型樹脂層3を形
成する電離放射線硬化型樹脂に、艶調整剤(特に艶消
剤)や減摩剤等の粒状固形物を添加した場合には、これ
を熱可塑性樹脂層1の表面に直接塗工すると、熱可塑性
樹脂層1と電離放射線硬化型樹脂層3との密着性が低下
する傾向があるが、本発明では両者の間にアンカー層2
を設けたことにより、電離放射線硬化型樹脂層3に粒状
固形物を添加した場合にあっても、十分な密着性を容易
に確保することができる。
【0044】電離放射線硬化型樹脂層3の厚さは、薄す
ぎると表面物性が十分に得られず、厚すぎるとシート全
体としての柔軟性が悪化する他、熱可塑性樹脂層1との
硬度のバランスが悪化して密着性が低下するので、1〜
30μm程度、より好ましくは5〜10μm程度の範囲
とするのがよい。電離放射線硬化型樹脂層3の形成方法
には特に制限はなく、例えばグラビアコーティング法、
ダイコーティング法、リップコーティング法、ナイフコ
ーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコ
ーティング法、フローコーティング法、ロールコーティ
ング法、ディップコーティング法等、従来公知の任意の
塗工方法を使用することができる。また、電離放射線硬
化型樹脂の塗工に先立ち、予め熱可塑性樹脂層1の表面
に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離
放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー
処理等の適宜の表面処理を施すことによって、熱可塑性
樹脂層1と電離放射線硬化型樹脂層3との密着性を向上
することもできる。
【0045】電離放射線硬化型樹脂層3を硬化させるた
めの電離放射線照射装置には特に制限はなく、従来公知
の各種の電離放射線源の中から任意のものを適宜選択し
て使用することができる。具体的には、紫外線を使用す
る場合には例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀
灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯等の各種
の紫外線源を、電子線を使用する場合には例えばコック
ロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧器型、絶
縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型
等の各種の電子線加速器を、それぞれ使用することがで
きる。
【0046】本発明の化粧シートには、表面の光沢の変
化や立体的な意匠感を得る目的で、熱可塑性樹脂層1の
表面にエンボス6を施すこともできる。エンボス6の模
様の種類には特に制限はなく、例えば木目状や木目導管
模様状、石目状、布目調、和紙調、抽象模様状、幾何学
模様状、砂目状、ヘアライン状、平行直線群又は曲線群
状等、又はそれらの複数の組み合わせ状等とすることが
できる。エンボス6は絵柄層4の絵柄と同調していても
良いが同調していなくても良く、絵柄層4の絵柄と同調
した模様と同調しない模様との組み合わせ状であっても
良い。また、エンボス6の凹部にワイピング7を施して
も良い。
【0047】また、係る化粧シートが一般に例えば木質
系基材や無機質系基材、金属系基材、合成樹脂系基材等
の各種の基材の表面に貼付して使用されることに鑑み、
係る基材との接着に使用される接着剤との接着性を改善
する目的で、化粧シートの裏面にプライマー層8を設け
ることもできる。プライマー層8を構成するプライマー
剤の種類には特に制限はなく、例えばアクリル系樹脂、
ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸
ビニル共重合体系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体系樹脂等の合成樹脂を主成分とする従来公知の各種の
プライマー剤の中から、用途に応じ適宜選択して使用す
ることができる。
【0048】以上の説明では、熱可塑性樹脂層1の裏面
に絵柄層4を、表面にアンカー層2を介して電離放射線
硬化型樹脂層3をそれぞれ具備した構成を念頭に置いて
いたが、本発明の化粧シートはこれに限定されるもので
はない。例えば、図2に示す様に、熱可塑性樹脂層1の
表面上に絵柄層4等を設け、該絵柄層4等の上にアンカ
ー層2を介して電離放射線硬化型樹脂層3を設けた構成
とすることもできる。
【0049】この構成の場合には、熱可塑性樹脂層1は
透明又は半透明である必要性は必ずしもなく、隠蔽性の
顔料を添加した隠蔽性の着色熱可塑性樹脂フィルム乃至
シートを使用することもでき、その場合には隠蔽層5を
省略しても十分な隠蔽性を確保することができる。ま
た、絵柄層4や隠蔽層5を構成する印刷インキ又はコー
ティング剤の結着剤樹脂として、前述したアンカー層2
を構成する樹脂組成物として挙げたものを使用すること
によって、アンカー層2を設けずにその機能を絵柄層4
や隠蔽層5に兼ねさせることもできる。
【0050】また、以上の様な単層型の化粧シートのみ
ならず、図3に示す様に、基材シート9上に絵柄層4を
介して透明又は半透明の熱可塑性樹脂層1を設け、その
表面上に、必要に応じてアンカー層2を介して、電離放
射線硬化型樹脂層3を設けた構成の複層型の化粧シート
とすることもできる。係る構成の化粧シートにあって
は、通常その総厚が50〜300μm程度の範囲となる
べく設計され、基材シート9と熱可塑性樹脂層1との厚
さは同一であっても異なっていても良いが、共に20〜
150μm程度の範囲で設計されるのが一般的である。
【0051】上記複層型の化粧シートにあって、基材シ
ート9としては、化粧シート用の基材シートとして相応
しい強度や可撓性、柔軟性を備えた材質であれば任意の
材質のフィルム乃至シート状体を使用することができ、
例えば熱可塑性樹脂層1を構成する熱可塑性樹脂として
挙げたものと同様の各種の熱可塑性樹脂や、その他、例
えば紙類、織布、不織布、金属箔等、又はそれらから選
ばれる複数種の複合体、積層体等を使用することができ
る。一般的には、熱可塑性樹脂からなるフィルム乃至シ
ート状体を使用することが好ましく、中でもポリオレフ
ィン系樹脂からなるフィルム乃至シート状体を使用する
ことが、熱可塑性樹脂層1に関して既に述べたのと同様
の理由により、最も好ましい。
【0052】係る複層型の化粧シートにあって、基材シ
ート9と熱可塑性樹脂層1との積層方法には特に制限は
なく、例えば予めフィルム状乃至シート状に成形された
基材シート9と熱可塑性樹脂層1との一方又は両方に絵
柄層4を施した後にこれらをドライラミネート法又は熱
ラミネート法等の手段により積層する方法や、表面に絵
柄層4を施した基材シート9の該絵柄層面に、加熱溶融
した熱可塑性樹脂層を押出しラミネートして冷却固化さ
せる方法等を採用することができる。また該積層の際
に、必要に応じて両者の間に接着剤やアンカー剤、プラ
イマー剤等を介在させても良い。
【0053】また、熱可塑性樹脂層1の表面にエンボス
6を施す場合にあっては、エンボス6を施す時期は基材
シート9との積層前であっても積層後であっても、また
積層と同時であっても良く、これらから選ばれる複数の
時期に同一又は異なるエンボス6を複数回に亘って施す
ことも可能である。
【0054】上記の他、例えば3層以上のシート体を、
その層間の1箇所又は2箇所以上に必要に応じて絵柄層
4等を挟持して積層した構成の多層構成の化粧シートで
あっても良く、要するに、化粧シートを構成する複数の
シート体の内の少なくとも最表面側のシート体を熱可塑
性樹脂から構成したものであれば、本発明の技術を適用
することができる。そして特に、少なくとも上記最表面
側のシート体をポリオレフィン系樹脂から構成した化粧
シートに対して、本発明の技術を良好に適用することが
できる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を
挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0056】<実施例1>ポリエチレン系シート(理研
ビニル工業株式会社製、厚さ70μm)のコロナ放電処
理面に、ウレタン系インキ(東洋インキ製造株式会社
製、タイプX)により任意の絵柄をグラビア印刷法によ
り印刷し、更に該絵柄印刷面に、乾燥後の塗布厚2〜3
μmの2液硬化型ウレタン系接着剤(東洋モートン株式
会社製、AD−X)を介して、ポリエチレン系クリアー
シート(理研ビニル工業株式会社製、厚さ70μm)を
接着積層し、該積層の際に、ポリエチレンクリアーシー
ト面に導管溝模様の加熱立体エンボスを施した。
【0057】しかる後、ポリエチレン系クリアーシート
面に、アンカー層として硬化後の線膨張係数が100×
10-6/℃の2液硬化型ウレタン系アンカー剤(東洋イ
ンキ製造株式会社製、アンカーX)を乾燥後の塗布厚2
〜3μmに塗布し、該塗布面にインラインで紫外線硬化
型樹脂(東洋インキ製造株式会社製、UV−X)を硬化
後の塗布厚5μmに塗布し、高圧水銀灯(80W/c
m)により紫外線を照射して硬化させ、本発明の化粧シ
ートを完成した。
【0058】この化粧シートの表面の鉛筆硬度はHBで
あり、通常のウレタン系トップコートによるオレフィン
系化粧シートの4B〜5Bと比較して表面硬度の優れる
ものであった。さらに、上記本発明の化粧シートを、J
IS規格の寒熱繰り返し試験により2000時間後、表
面のセロハンテープ剥離試験を行ったところ、紫外線硬
化型樹脂層の剥離は全く見られず、耐久密着性に優れた
化粧シートであることが確認された。
【0059】<比較例1>上記実施例1において、アン
カー層を乾燥後の線膨張係数が230×10-6/℃であ
る熱可塑性エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂に変更
し、その他は上記実施例1と同様の要領で化粧シートを
作成した。この化粧シートの表面の鉛筆硬度はBであ
り、寒熱繰り返し試験後の表面のセロハンテープ剥離試
験では紫外線硬化型樹脂層の剥離が認められた。
【0060】<比較例2>上記実施例1において、アン
カー層の2液硬化型ウレタン系アンカー剤に芳香族イソ
シアネート系硬化剤を大過剰量配合して硬化後の線膨張
係数を15×10 -6/℃とし、その他は上記実施例1と
同様の要領で化粧シートを作成した。この化粧シートの
表面の鉛筆硬度はHBであり、寒熱繰り返し試験後の表
面のセロハンテープ剥離試験では紫外線硬化型樹脂層の
剥離が認められた。
【0061】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の化粧シート
は、熱可塑性樹脂層の表面にアンカー層を介して電離放
射線硬化型樹脂層を具備してなる化粧シートであって、
前記アンカー層の線膨張係数を25×10-6/℃以上2
00×10-6/℃以下としたことにより、従来の2液熱
硬化型ウレタン樹脂系の電離放射線硬化型樹脂層を具備
した化粧シートと比較して、表面硬度、耐磨耗性、耐擦
傷性、耐溶剤性等の表面物性に優れ、耐熱性も高いこと
は勿論のこと、使用環境における温度変化のために経時
により電離放射線硬化型樹脂層の密着性が低下すること
のない耐久密着性を備えており、直射日光に曝される機
会が多く温度の日較差が大きい、例えば玄関部や縁側部
等の床材、玄関収納天板や出窓カウンター、屋外テラス
用テーブルの天板等の用途にも十分に堪えることができ
る化粧シートであるという優れた効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図3】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂層 2 アンカー層 3 電離放射線硬化型樹脂層 4 絵柄層 5 隠蔽層 6 エンボス 7 ワイピング 8 プライマー層 9 基材シート
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 仁 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 4D075 DA04 DB50 DC02 DC11 DC18 DC31 DC38 EA21 4F100 AK01A AK01B AK01C AK01D AK03D AK04 AK51B AK51H AS00B BA03 BA04 BA10A BA10C BA10D CC00 EH462 EJ082 EJ542 EJ551 GB08 GB33 HB00 HB21 HB31 JA02B JB14C JB16A JB16D JK09 JK12 JK14 YY00B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂層の表面にアンカー層を介し
    て電離放射線硬化型樹脂層を具備してなる化粧シートで
    あって、前記アンカー層の線膨張係数が25×10-6
    ℃以上200×10-6/℃以下であることを特徴とする
    化粧シート。
  2. 【請求項2】前記アンカー層がウレタン系樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 【請求項3】前記熱可塑性樹脂層が1層若しくは2層以
    上からなり、そのうち少なくとも前記アンカー層に接す
    る層がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の化粧シート。
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JP2008044150A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Dainippon Ink & Chem Inc 積層体

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JP2006095736A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Kurabo Ind Ltd 加飾性多層共押出成形体
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