JP2001299455A - 歯間ブラシおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 清掃機能および使用感に優れた歯間ブラシを
極力低コストで提供する。 【解決手段】 所定長さに切断したフィラメントの束を
用意し、その中間部を保持しつつ、先ず一端を回転ヤス
リに一定長だけ押圧して当該毛先部分をテーパ状に研磨
した後、中間部の保持手段を回転させて他端に同様の研
磨を施す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、フィラメントの
先端をテーパ状に加工した歯間ブラシの改良に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来から歯間ブラシは公知であり、その
基本的な構造はフィラメントを撚り線ステムで支持し、
該ステムの一端側をハンドルに埋め込んでなり、その付
加価値を高めるために、ハンドルやステムの埋め込みの
態様に特徴をもたせたものも種々提供されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の歯間ブ
ラシで採用されるフィラメントは、細さや色こそ種々の
ものが用意されているものの、その先端は図７に示すよ
うに、切りっぱなしの状態で切断面が鋭角状になってい
る。このようなフィラメントを有する歯間ブラシを使用
した場合、その鋭角状先端によって歯表面や歯茎を傷付
けるおそれがある。

【０００４】また、使用感を向上させる観点からも、改
良が望まれていたのである。即ち、歯間ブラシの機能と
しては、先ず歯間に挿入しやすいことが要求されるが、
この目的のみでフィラメントを細くすると、いわゆる腰
がないブラシとなり、清掃機能はもとより使用感も悪化
する。特に口腔内という敏感な部分での使用であるの
で、この使用感の悪化は顕著である。また、細いフィラ
メントはへたりが早く、耐久性の面でも最良の手段とは
いえない。

【０００５】この点、フィラメントの材質そのものを改
良することも考えられるが、この手段では往々にしてコ
スト高となるなど、メーカーとユーザーの双方が満足の
いくものを開発することは極めて困難であった。

【０００６】さらに従来のフィラメントは太さが一定で
あるため、細部を清掃することはできなかった。

【０００７】ところで、通常の歯ブラシにおいては、先
端をテーパ状としたフィラメントを植毛したものが既に
知られているが、その目的は歯周ポケットを確実に清掃
することである。そして、上述したところから明らかな
ように、フィラメントの先端形状について歯間ブラシと
通常の歯ブラシとは、課題に共通性がないのである。

【０００８】本発明は上述した課題に基づいてなされた
ものであり、その目的とするところは、清掃機能および
使用感に優れた歯間ブラシを極力低コストで提供するこ
とである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明で講じた手段は、フィラメントの先端形状をテ
ーパ状とするというものである。フィラメント先端をテ
ーパ状とするには、フィラメントを撚り線ステムに支持
する前に加工を施す場合と、当該支持をした後に行う場
合とに大別される。先ず撚り線ステムに支持する前の段
階でテーパ加工を行う手段について説明すると、所定長
さに切断したフィラメントの束を用意し、その中間部を
保持しつつ、先ず一端を回転ヤスリに一定長だけ押圧し
て当該毛先部分をテーパ状に研磨した後、中間部の保持
手段を回転させて他端に同様の研磨を施すのである。

【００１０】なお、ここでは一端ずつテーパ加工を施す
ことを説明したが、一対の回転ヤスリを使用すればフィ
ラメントの両端を同時にテーパ加工することも可能であ
る。即ち、フィラメント束の中間部を保持しておき、こ
の状態のフィラメント束に対して上下あるいは左右から
一対の回転ヤスリそれぞれを一定力だけ毛先に押圧する
ことで、フィラメントの両端を同時にテーパ加工するこ
とができる。この後、テーパ加工処理したフィラメント
を撚り線ステムで支持する手段は通常通りであることは
もちろんである。

【００１１】他方、フィラメントを撚り線ステムで支持
した後にテーパ加工を施す手段とは、撚り線ステムで支
持したフィラメントの毛先を一定長だけ回転ヤスリに押
圧しつつ、撚り線ステムあるいはこれを埋め込んだハン
ドルを一定速度で回転させるというものである。また、
この手段において回転ヤスリは内面にヤスリを備えた円
錐すり鉢状のものを用いることもある（請求項４）。

【００１２】さらに請求項５では、別の製造方法とし
て、所定長に切断したフィラメントを撚り線ステムで支
持した後、これを内面にヤスリを備えた円筒状の回転ヤ
スリにその毛先が一定長だけ押圧するように挿入して、
フィラメントの先端をテーパ状に研磨するという手段を
用いた。この手段によれば、ヤスリ側のみを回転させる
だけでフィラメントの先端をテーパ状とした歯間ブラシ
を得ることができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を添付した図面に従って説明する。図１は実施形態に
係る歯間ブラシの要部拡大図であって、１はフィラメン
ト、２はフィラメント１を支持する撚り線ステムであ
る。即ち、フィラメント１は二つ折りしたワイヤに挟ん
だ状態で、このワイヤに多数回の捻りを加えて支持され
たものであり、歯間ブラシのブラシ部に相当するもので
ある。なお、ブラシ部の構成は、この他の従来公知の方
法によって実現することも可能である。

【００１４】そして、この歯間ブラシの最大の特徴は、
図２に示したように、先端をテーパ状３に加工したフィ
ラメント１を採用したことにある。即ち、ブラシ部を先
鋭のフィラメントから構成することにより、ブラッシン
グ時に歯表面や歯茎を傷付けることがない。また、この
歯間ブラシのフィラメントは、太さが一定であった従来
のものよりも撓みやすいため、歯間への挿入が容易とな
り、使用感に優れる。さらに、単に太さを細くしたので
はなく、先端に向かって徐々に細くなる構造であり、そ
の根本は通常のフィラメントと同様の太さに保たれてい
るため、単に細いだけのフィラメントと比較すれば可撓
性に富みので、使用感の向上に寄与している。このこと
は同時に、単に細いだけのフィラメントと比べてヘタリ
難く、耐久性に優れていることを意味する。

【００１５】このような歯間ブラシにおいて、フィラメ
ント１の先端をテーパ加工する手段は大別して２つあ
る。図３は、その一つを示したものであり、フィラメン
ト１を撚り線ステム２で支持する前にテーパ加工を施す
ようにしたものである。同図中、４は所定長さに切断し
たフィラメント１の中間部を保持する保持部、５は回転
ヤスリである。この加工技術を説明すると、先ずフィラ
メントの毛先部分を回転ヤスリ５のヤスリ面に一定時間
だけ押圧する。この時間があまり長いとテーパ角度が深
くなるので、適度な時間に設定する。

【００１６】このようにして一方の毛先のテーパ加工が
完了すれば、保持部４を１８０度回転して、未加工の毛
先についても同様に上記要領でテーパ加工する。そし
て、両端のテーパ加工が完了すれば、通法に従ってフィ
ラメント１を撚り線ステム２に支持し、歯間ブラシを完
成させる。

【００１７】なお、ここではフィラメントの先端を片方
ずつテーパ加工するようにしたが、両方の毛先を同時に
テーパ加工することも可能である。つまり、回転ヤスリ
５を一対に備え、中間部を保持したフィラメントの両端
に上記回転ヤスリそれぞれを一定長だけ押圧することに
よって、両端を同時にテーパ加工することができる。

【００１８】他方、図４はフィラメントを撚り線ステム
で支持した状態、即ち歯間ブラシの基本的な構造が完成
した状態でフィラメントの先端にテーパ加工を施す方法
を示したものである。この方法によれば、歯間ブラシの
ハンドル６は回転ロッド７によりその軸を中心として一
方向に回転するように支持される。そして、フィラメン
トに回転ヤスリ５を一定長だけ押圧させながら、回転ロ
ッド７により歯間ブラシを回転させることによって、ブ
ラシの全周にわたってフィラメントの先端をテーパ状に
加工することができる。

【００１９】なお、ここではハンドル６を回転すること
を説明したが、ハンドル６に固定する前の撚り線ステム
を回転ロッド７により回転させ、テーパ加工が完了した
後に、このステムをハンドル６に固定することであって
も、本発明の目的は達成される。

【００２０】続いて図５は、回転ヤスリ５の変形例を示
したものであり、ここでは図４に示した円盤状のヤスリ
に代えて、内面にヤスリを備えた円錐すり鉢状の回転ヤ
スリを採用したものである。この変形例によっても、回
転ヤスリ５を回転させつつ、歯間ブラシを回すことで、
フィラメントの先端をテーパ状に加工することができ
る。この変形例の利点は、歯間ブラシを寝かせず、斜め
の状態でテーパ加工できるので、装置の設置幅が少なく
て済むことである。

【００２１】さらに図６は本発明の別実施形態を示した
もので、特に円筒状の回転ヤスリ５を採用したことに特
徴を有する。つまり、この回転ヤスリは内面にヤスリを
備えたもので、その内径は歯間ブラシのブラシ径よりも
若干小さめとしている。よって、この円筒状回転ヤスリ
５にブラシ部を挿入することによって、フィラメントの
先端をヤスリに一定長押圧した状態とすることができ、
当該先端をテーパ加工することができる。この別実施形
態の利点は、歯間ブラシを回転することなく、回転ヤス
リ５の回転だけでテーパ加工できることにある。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば先
端をテーパ状としたフィラメントを採用したので、ブラ
ッシング時に歯表面や歯茎を傷付ける心配がないと共
に、適度な弾力性をもってフィラメントが撓むので使用
感にも優れる。また、先端をテーパ状としたのみである
ので、全体として細い場合とは異なり、へたりが少な
く、耐久性も維持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施形態に係る歯間ブラシの要部拡大図

【図２】同フィラメント先端のさらなる拡大図

【図３】歯間ブラシの一製造方法を示した説明図

【図４】他の製造方法を示した説明図

【図５】他の回転ヤスリを採用した製造方法の説明図

【図６】本発明の別実施形態に係る製造方法を示した説
明図

【図７】従来の歯間ブラシにおけるフィラメント先端の
拡大図

【符号の説明】

１ フィラメント ２ 撚り線ステム ３ テーパ状先端 ４ 中間保持部 ５ 回転ヤスリ ６ 歯間ブラシのハンドル ７ 回転ロッド

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フィラメントの先端をテーパ状としたこと
   を特徴とする歯間ブラシ。
2. 【請求項２】所定長に切断したフィラメントの中間部を
   保持し、その毛先を回転ヤスリに一定長だけ押圧してフ
   ィラメントの先端をテーパ状に研磨した後、当該フィラ
   メントを撚り線ステムで支持し、さらに該ステムをハン
   ドルに固定することを特徴とした歯間ブラシの製造方
   法。
3. 【請求項３】所定長に切断したフィラメントを撚り線ス
   テムで支持した後、フィラメントの毛先を回転ヤスリに
   一定長だけ押圧してフィラメントの先端をテーパ状に研
   磨しつつ、フィラメントを上記ステムを回転軸として一
   方向に回転させることを特徴とした歯間ブラシの製造方
   法。
4. 【請求項４】回転ヤスリは、内面にヤスリを備えた円錐
   すり鉢状である請求項３記載の歯間ブラシの製造方法。
5. 【請求項５】所定長に切断したフィラメントを撚り線ス
   テムで支持した後、これを内面にヤスリを備えた円筒状
   の回転ヤスリにその毛先が一定長だけ押圧するように挿
   入して、フィラメントの先端をテーパ状に研磨すること
   を特徴とした歯間ブラシの製造方法。