JP2001286904A - ステンレス鋼箔の圧延方法およびステンレス鋼箔 - Google Patents

ステンレス鋼箔の圧延方法およびステンレス鋼箔

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JP2001286904A JP2000109024A JP2000109024A JP2001286904A JP 2001286904 A JP2001286904 A JP 2001286904A JP 2000109024 A JP2000109024 A JP 2000109024A JP 2000109024 A JP2000109024 A JP 2000109024A JP 2001286904 A JP2001286904 A JP 2001286904A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚さ30μm以下であり平坦度が高く、かつ
高硬度のオーステナイト系ステンレス鋼箔を提供する。 【解決手段】 可逆式多段圧延機により厚さ30μm以
下のステンレス鋼箔を圧延する方法において、ステンレ
ス鋼箔の素材を複数の圧延パスで圧延し、この複数の圧
延パスの各圧下率を20%以下にして圧延する。また、
可逆式多段圧延機により厚さが30μm以下、幅が31
0〜550mmに圧延されたステンレス鋼箔であって、
前記ステンレス鋼箔を圧延方向の両端部を所定の幅ほど
除去して圧延方向の長さが300〜500mmに切断し
た箔片を定盤上に静置したときに、定盤面から箔片まで
の高さが1.5mm以下であるステンレス鋼箔である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タクトスイッチ用
バネ(以下、ドーム接片という)、ハードディスク装置
のサスペンション等に使用されるステンレス鋼箔の圧延
方法及びステンレス鋼箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】OA機器、AV機器、携帯用電子機器等
においては、小型化、薄型化指向により、これらの機器
に用いられるドーム接片の長寿命化が要求されている。
また、ハードディスク装置の磁気ヘッドを支持するサス
ペンションバネ、ジンバルバネ、あるいはプリンタ用イ
ンクジェットのヘッドについても小型化、薄型化が要求
されている。これらのドーム接片、サスペンションバ
ネ、ジンバルバネ、インクジェットのヘッドにはオース
テナイト系ステンレス鋼(SUS301、304等)の
素材を冷間圧延した金属箔が使用されている。この理由
は、オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS30
1、304は、冷間圧延による加工変態によりオーステ
ナイト相がマルテンサイト相に変態して硬化するため
に、高い強度と硬度を有する良質なバネ材として利用で
きるからである。
【0003】従来から、オーステナイト系ステンレス鋼
をバネ材として圧延する技術については種々提案されて
いる。例えば、特開平6−279952号公報には、自
動車のシートベルト用バネとして加工性に優れた高強度
ステンレスバネ鋼の提供を目的として、溶体化熱処理後
に圧下率20〜70%の冷間圧延を行ってオーステナイ
ト相とマルテンサイト相の2相からなり、ビッカース硬
度を400〜580に調整した高強度バネ用ステンレス
鋼が開示されている。さらに、同公報では、時効熱処理
を実施することによりビッカース硬度を600以上に調
整した高強度バネ用ステンレス鋼が開示されている。特
開平7−216450号公報には、高硬度でかつ高強度
のバネ性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造
方法の提供を目的として、オーステナイト系ステンレス
鋼素材を、圧下率20%以上の冷間圧延により硬化させ
ながら所望の板厚とした後、650〜900℃の熱処理
により軟化させながら所望の硬さに調整する方法が開示
されている。特開平9−192712号公報には、目標
とする板厚、硬度を有するオーステナイト系ステンレス
鋼板を圧延により製造する方法の提供を目的として、圧
延するオーステナイト系ステンレス鋼の圧延温度と圧下
率と硬度との相関関係を求めておき、その相関関係に基
づいて最終パスで目的の板厚と硬度になるように圧延パ
ス回数、目標の各圧延温度、圧下率及び各圧延パス後の
硬度とを決定して圧延する方法が開示されている。
【0004】特開平10−263621号公報には、光
沢の良好なばね用ステンレス冷延鋼帯の製造方法の提供
を目的として、オーステナイト系ステンレス冷延鋼帯を
焼鈍し、次いで50〜200℃に加熱し、ワークロール
径が250mm以下の圧延機により、300m/分以下
の圧延速度、22%以上の圧下率で1パス圧延する冷延
鋼帯の製造方法が開示されている。特開平8−1655
19号公報には、片面エッチング後の反りの小さいバネ
用オーステナイト系ステンレス鋼箔の製造方法の提供を
目的として、冷間圧延した0.04〜0.30mm板厚
のオーステナイト系ステンレス鋼板を窒素濃度10Vo
l%以下の非酸化性ガス雰囲気中で光輝焼鈍し、続いで
圧下率35%以上の調質圧延を行う製造方法が開示され
ている。さらに特開昭62−199214号公報には、
オーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼帯を目標硬度
になるように圧延することを目的として、予め求めてお
いた目標硬度に対応する加工誘起マルテンサイト量と圧
延率との相関を制御目標パターンとして、各圧延パスに
おける圧延速度と圧下量とを操作因子として制御する方
法が開示されている。
【0005】近年、前記のようにOA機器等の小型化要
求は一層強くなり、これらの機器に用いられるステンレ
ス鋼製バネ材の厚さは30μm以下、かつビッカース硬
さも400以上が要求されてきている。また、従来では
圧延した金属箔の幅は300mm程度であったが、でき
るだけ幅広に圧延した方が生産効率が高くコスト低減の
効果は大きくなる。このために、12段、あるいは20
段の多段圧延機を用いて極力幅広、例えば400mm〜
550mm幅の圧延を行うことが要求されている。幅広
の圧延を行う場合には、圧延した金属箔の平坦度が最終
製品の品質に影響を与えることになる。例えば、サスペ
ンションバネを製造するときには、この金属箔にエッチ
ング処理を行うが、圧延した金属箔の平坦度が低いとエ
ッチング処理等を行った時に反りが発生するからであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術におい
ては、ステンレス鋼箔の厚さを30μm以下の極薄に圧
延することについては開示されていない。オーステナイ
ト系ステンレス鋼の素材コイルから、厚さ30μm以下
で平坦度が高くかつ高硬度のステンレス鋼箔を冷間圧延
により得るためには、上記従来の技術は一概に適用でき
ない。本発明の目的は、オーステナイト系ステンレス鋼
箔の素材から冷間圧延により厚さ30μm以下で平坦度
が高く、かつ高硬度のバネ用ステンレス鋼箔を提供する
ことにある。本発明者は、可逆式の多段圧延機を用い
て、オーステナイト系ステンレス鋼箔の素材コイルか
ら、厚さ30μm以下で平坦度が高く、かつ高硬度のス
テンレス鋼箔を製造するためには、全圧下率と圧延温
度、及び各圧延パスにおける圧下率が最も大きな要因で
あることを見出したのである。さらに本発明者は、最終
圧延したステンレス鋼箔片の平坦度を所定の値にすれ
ば、サスペンションバネ材等としてエッチング処理等を
施しても反り量が目標の範囲内である高品質のステンレ
ス鋼箔を得ることができることを見出したのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、可逆式多段圧
延機により厚さ30μm以下のステンレス鋼箔を圧延す
る方法において、ステンレス鋼箔の素材を複数の圧延パ
スで圧延し、前記複数の圧延パスの各圧下率を20%以
下にするステンレス鋼箔の圧延方法である。さらに本発
明においては、この複数の圧延パスのうち全圧下率が6
0%を超える圧延パスは、ステンレス鋼箔を50〜80
℃の温度で圧延する圧延方法である。また本発明は、最
終の仕上圧延パスで圧延したステンレス鋼箔の厚さが3
0μm以下、幅が310〜550mmであり、このステ
ンレス鋼箔を圧延方向の両端部を所定の幅ほど除去して
圧延方向の長さが300〜500mmになるように切断
した箔片を定盤上に静置したときに、定盤面から箔片ま
での高さが1.5mm以下であるステンレス鋼箔であ
る。さらに本発明は、このステンレス鋼箔片を定盤上に
静置したときに、この定盤面からステンレス鋼箔片の中
央部近傍までの高さAが0.2mm以下、同じく定盤面
からこの箔片の圧延方向の端部近傍までの高さBが1.
5mm以下であるステンレス鋼箔であり、さらに最終の
仕上圧延パスで圧延したステンレス鋼箔のビッカース硬
さが400以上のステンレス鋼箔である。
【0008】本発明においては、オーステナイト系ステ
ンレス鋼箔の圧延前の素材コイルは、その厚さが40〜
80μmのものを使用する。可逆式多段圧延機により複
数パスの圧延を経て厚さ30μm以下に圧延しようとす
る場合に、各圧延パスの圧下率を20%以下の圧下率で
圧延し、複数パスの圧延のうち全圧下率が60%を超え
る圧延パスは、被圧延材であるステンレス鋼箔を50〜
80℃の温度にして圧延すると、オーステナイト相をよ
り多くマルテンサイト相に変態させることができ、厚さ
30μm以下かつビッカース硬さ400以上のステンレ
ス鋼箔を得ることができる。さらに、上記のように各圧
延パスの圧下率を20%以下にして圧延すると、圧延に
よる加工硬化が一層向上するのみならず、圧延時に発生
する圧延熱を低く押さえることができるため、圧延油の
温度管理を適切に行えば、被圧延材の圧延温度の管理が
容易にできるようになる。
【0009】さらに本発明は、最終の仕上圧延パスで圧
延したステンレス鋼箔の厚さを30μm以下、幅が31
0〜550mmに圧延し、このステンレス鋼箔を圧延方
向の両端部を所定の幅ほど除去し、圧延方向の長さが3
00〜500mmになるように切断した箔片(縦横30
0mm〜500mm)を定盤上に静置したときに、前記
定盤面から箔片までの垂直高さが1.5mm以下、望ま
しくは前記定盤面から箔片の中央部近傍までの垂直高さ
Aが0.2mm以下、同じく定盤面から圧延方向の端部
近傍までの垂直高さBが1.5mm以下になるように圧
延したステンレス鋼箔は、その内部に残留している圧延
加工歪み(残留応力)が少なくなっている。このため、
最終の仕上圧延が終了したステンレス鋼箔に通常の残留
応力を除去するための熱処理を行うのみで、エッチング
処理等を行った時の反り量を目標範囲内にすることがで
きる。
【0010】
【発明の実施の形態】(実施の形態)図1は、本発明を
実施するための可逆式20段圧延機の概要を示す。図1
に示す圧延機において、圧延材であるステンレス鋼箔1
の巻取り、巻戻しを行うために一対のテンションリール
2を設けている。これら左右のテンションリール2間に
は、ワークロール3、第1中間ロール4a、第2中間ロ
ール4b、バックアップロール5が設けられている。ま
た図示していないが、中間ロール4a、4bの近辺には
圧延油を噴射するノズルが設置されている。
【0011】ワークロール3とテンションリール2の間
には、ステンレス鋼箔1を挟んで上下一対のスクイジン
グローラ6が設置されている。このスクイジングローラ
6は圧延したステンレス鋼箔1の表面に付着している圧
延油を一定の膜厚にするためのローラであり、図示しな
いシリンダ装置により上下スクイジングローラ6の間隙
が調整できるようになっている。スクイジングローラ6
の下流側には、合成ゴム等のローラから構成された上下
一対のワイパー装置8が設置されている。ワイパー装置
8の下流側にはデフレクタロール9を設置し、圧延作業
時にステンレス鋼箔1の巻戻し、巻取りが正常に行われ
るようにステンレス鋼箔1に所定の張力を与えるように
している。また、複数の圧延パスごとにその圧延方向を
逆にして圧延する。
【0012】続いて、本発明のステンレス鋼箔の圧延方
法について説明する。表1は、図1に示す20段圧延機
を使用して、材質がSUS304からなる厚さ300μ
mの素材コイル(鋼帯)を3工程の圧延を経て厚さ15
μmのステンレス鋼箔に圧延(全圧下率95.0%)す
るときの工程の一例を示す。表1において、本発明の対
象となる工程は圧延の工程、すなわち最終の仕上圧延
工程である。なお、圧延及び圧延の工程には、その
いずれかの圧延パスが終了後あるいはその工程の全圧延
パスが終了した後に軟化焼鈍の工程が含まれている。こ
の軟化焼鈍はステンレス鋼箔の材質を軟らかくして、圧
延加工性を増加させるために行う熱処理である。圧延
工程を構成する複数の圧延パスの間には、上記軟化焼鈍
の工程を設ける必要はない。
【0013】
【表1】
【0014】表1に示す例では、本発明の対象である圧
延の工程には、計7パスの圧延パスが設定されてい
る。この圧延工程の各圧延パスの仕様(各パスの目標
圧延厚さ、各パスの圧下率、全圧下率、圧延温度)の一
例を表2に示す。表2に示すように、全圧下率が60%
以上になるパス5、6、7では、圧延するステンレス鋼
箔の温度を50〜80℃の範囲にして圧延するようにす
る。圧延するステンレス鋼箔の温度は、圧延油の適切な
温度管理により50〜80℃の範囲にすることができ
る。この理由は、放熱効果が良い厚さ40〜80μm以
下の素材コイルから30μm以下の極薄のステンレス鋼
箔を圧延すること、及び各圧延パスの圧下率を20%以
下と極力小さくして圧延熱の発生を少なくしているため
に、圧延油の温度管理を正確に行えば、ステンレス鋼箔
の圧延温度を適切に制御できるからである。なお、表
1、表2では圧延工程で厚さ45μmのステンレス鋼
箔を15μmの厚さに圧延するための圧延パスについて
示したが、例えば、厚さ45μmのステンレス鋼箔の素
材コイルを、厚さ20〜30μmの範囲に圧延する場合
には、表2に示す圧延総パス数7を4〜6に減らし、か
つ各圧延パスの圧下率を20%以下にする。
【0015】
【表2】
【0016】本発明の対象である圧延の工程において
は、最初の圧延パスから全圧下率が60%より低い圧延
パスでは、オーステナイト相がマルテンサイト相に完全
に変態せずに両相が混合した組織になっていると推測で
きる。そして本発明においては、全圧下率が60%を超
える圧延パスにおいて圧延温度を50〜80℃にして圧
延すると、この両相が混合した相をより多くのマルテン
サイト相に変態させてビッカース硬さを一層向上させる
ことができる。さらに、各圧延パスの圧下率を20%以
下にして圧延すると、圧延熱の発生を低く押さえること
が可能になって圧延温度の管理が容易になる。このた
め、各圧延パスの間に軟化焼鈍を行わなくても平坦度が
高く、かつビッカース硬さが400以上である厚さ30
μm以下のステンレス鋼箔を得ることができるのであ
る。
【0017】
【実施例】(実施例1)図1に示す20段圧延機を用い
て、厚さ60μmと45μmのステンレス鋼箔を厚さ1
5μmに圧延したときに、圧延したステンレス鋼箔の平
坦度を測定した。平坦度については、まず最終の仕上圧
延パスで550mm幅に圧延したステンレス鋼箔の圧延
方向Lの両端部を各25mmほどスリットして除去し、
圧延方向Lの長さが500mmになるように切断したス
テンレス鋼箔片(縦横500×500mm)を作成し
た。続いて、図3(a)に示す三次元測定器の定盤10
上にこのステンレス鋼箔片1aを静置(張力をかけない
状態)し、定盤10面からステンレス鋼箔片1aまでの
垂直高さの分布をレーザ式測定器で測定した。この測定
結果を等高線分布図として表示した一例を図6に示す。
そして上記測定した高さの分布値から、図3(a)
(b)に示すようにステンレス鋼箔片1aの中央部近傍
の高さ分布の最大値A、スリットした両端部近傍の高さ
分布の最大値Bを求めた。この測定結果を表3に示す。
なお、圧延したステンレス鋼箔の圧延方向Lの両端部を
所定の幅ほどスリットして除去する理由は、多段圧延機
の各ロールの構造上から、圧延材の圧延方向Lの両端部
近辺は平坦度が低くなるからである。従って、この両端
部をスリットして除去する幅は、最終の圧延パスで得ら
れる圧延材の幅を考慮して適切な値(除去する片側(一
端部)の幅は、圧延幅の約5%程度)にすればよい。な
お、上記のステンレス鋼箔片1aの中央部近傍とは、図
6に示す等高線図において、圧延方向Lの端部から幅H
1を除いた中央部分H2を示す。このH1の幅は、ステ
ンレス鋼箔の圧延幅が310〜550mmのときには、
25〜75mm程度でよい。
【0018】表3から明らかなように、各圧延パスにお
いてその圧下率が20%を超えた圧延パスを設定してい
ると、平坦度を示す中央部近傍の高さAが0.2mm、
あるいは端部近傍の高さBが1.5mmを超えていた。
このように平坦度が低下する理由は、1パス当たりの圧
下率を20%以上の大きな値にすると、圧延したステン
レス鋼箔に残留応力が発生している。この状態でステン
レス鋼箔片1aとして切断して定盤10上に静置する
と、残留応力が顕在化して微少な高低差となって現れる
ものと推測される。なお、この測定時の圧延条件は次の
通りである。 圧延材 :SUS304 圧延機 :ワークロール径 30mmと60mmをパス毎に使い分けて使用 ワークロール長さ 750mm 圧延速度 120m/秒 圧延荷重 110トン
【0019】
【表3】
【0020】(実施例2)図1に示す20段圧延機を使
用して厚さ45μmのオーステナイト系ステンレス鋼箔
(SUS304)の素材を、厚さ15μm、幅550m
mに圧延したときに、圧延温度、全圧下率と圧延したス
テンレス鋼箔のビッカース硬さとの関係について測定し
た。なお、このときの圧延総パス数は7、各圧延パスの
圧下率は20%以下にした。図2はこの測定結果の一例
を示すもので、ステンレス鋼箔の圧延温度を変えたとき
に全圧下率と圧延したステンレス鋼箔のビッカース硬さ
との関係を示す線図である。なお、この測定時の圧延条
件は前記実施例1とほぼ同じである。図2に示すよう
に、全圧下率が50%以上になる圧延パスにおいて、圧
延温度を50〜80℃で圧延すると、ビッカース硬さが
350以上になり、さらに全圧下率が60%を超えた圧
延パスにおいて圧延温度を50〜80℃にすると、ビッ
カース硬さが400以上のステンレス鋼箔が得られた。
【0021】本発明で得たステンレス鋼箔をドーム接
片、ハードディスク装置用サスペンションバネ等として
使用する場合には、プレス打ち抜き、あるいはエッチン
グ処理により微小な所定の形状にする。しかし、ステン
レス鋼箔の平坦度が低いか、ステンレス鋼箔に圧延加工
による残留応力があると、このプレス打ち抜きあるいは
エッチング処理を行った後に反りが発生し、不良品とな
る。この不具合を防止するために、従来から最終の仕上
圧延を行った後、残留応力を除去するためのテンション
アニーリング処理が行われている。本発明においては、
上記のように、仕上げ圧延を完了したステンレス鋼箔の
平坦度を示す数値、すなわち、所定の大きさに切断した
ステンレス鋼箔片を定盤上に静置したときに、定盤面か
らステンレス鋼箔までの垂直高さが1.5mm以下、特
に中央部近傍の垂直高さAを0.2mm以下、圧延方向
の端部近傍の垂直高さBを1.5mm以下にすれば、平
坦度が高く、プレス打ち抜きあるいはエッチング処理後
に反りの発生量が少ないステンレス鋼箔を得ることがで
きる。
【0022】(実施例3)表3に示すテスト番号3(平
坦度A:0.31mm、B:2.10mm)とテスト番
号4(平坦度A:0.18mm、B:1.50mm)に
示す圧延後の厚さ15μmのステンレス鋼箔について、
残留応力を除去する熱処理を行った後、長さ15mm、
幅10mmのエッチング処理用試験片を作成してエッチ
ング処理を行った。この試験片は、圧延の幅方向の各位
置に対応した試験片を作成した。そして、図5に示す方
法によりエッチング処理後の反り量Sを測定した。この
反り量の測定方法は、試験片1cの一端を固定し固定部
から直線距離で10mm離れた箇所の反り量Sを測定し
た。なお、この測定でエッチング処理後の反り量Sの目
標値は10mm当たり±50μm以内とした。図4はこ
の測定結果を示す(反り量Sは絶対値で示している)も
ので、試験片1Cの圧延幅方向位置と反り量Sとの関係
を表わしている。図4から明らかなように、最終の仕上
圧延が終了したときの中央部近傍の高さAが0.2mm
以下、端部近傍の高さBが1.5mm以下であれば、エ
ッチング処理による反り量Sは、目標の±50μm以内
にすることができた。なお、多段圧延機の形状制御を最
適に行っても、最終の仕上圧延が終了したときには、圧
延したステンレス鋼箔の平坦度を示す値、すなわち圧延
方向の端部近傍の高さBはどうしても中央部近傍の高A
より大きくなる。しかし、本発明においては、圧延幅が
310mm以上、特に400mm〜550mmの幅広の
圧延を行った場合でも、圧延方向の所定の幅ほど除去し
た箔片の端部近傍の高さBを1.5mm以下にすれば、
残留応力除去の熱処理を行うことにより、エッチング処
理を行っても反りが少ない厚さ30μm以下のステンレ
ス鋼箔を得ることができる。
【0023】以上の本発明の実施の形態では、ステンレ
ス鋼箔の材質としてSUS304について説明したが、
本発明はオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS3
01、SUS316等にも適用できる。また、本発明の
ステンレス鋼箔について、20段圧延機を用いて圧延す
る実施例について説明したが、20段圧延機の他に12
段圧延機等の多段圧延機を用いて圧延することができ
る。なお、本発明により得られるステンレス鋼箔の厚さ
は6〜7μm程度まで可能である。
【0024】
【発明の効果】以上に説明した本発明は、次の効果を有
している。 1)厚さ30μm以下、幅広で平坦度が高くかつ高硬度
のステンレス鋼箔を圧延により得ることができるので、
ドーム接片の長寿命化、ハードディスク装置等の小型
化、薄型化に貢献することができる。 2)最終の圧延工程の圧延パス間に軟化焼鈍を行わなく
ても幅が310mm以上、特に400mm以上の幅広で
厚さ30μm以下、平坦度が高くかつ高硬度のステンレ
ス鋼箔を得ることができる。このため、圧延の生産効率
を著しく向上することができ、圧延のコスト低減の他
に、ステンレス鋼箔の品質向上に貢献することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するための圧延機の概要を示す
説明図である。
【図2】 圧延温度を変えたときに全圧下率と圧延した
ステンレス鋼箔の硬度との関係を示す図である。
【図3】 圧延したステンレス鋼箔片の平坦度の測定方
法の概要を示す説明図であり、(a)は全体図、(b)
はステンレス鋼箔片の中央部の高さを示す断面図であ
る。
【図4】 ステンレス鋼箔の試験片にエッチング処理し
たとき、この試験片の圧延幅方向の位置と反り量との関
係を測定した結果を示す図である。
【図5】 反り量を測定する方法を示す説明図であり、
(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】 圧延したステンレス鋼箔片をレーザ測定器に
より平坦度を測定したときの等高線分布図の一例を示す
図である。
【符号の説明】
1 :ステンレス鋼箔 1a:ステンレス鋼箔
片 :ワークロール 10 :定盤 A :ステンレス鋼箔の中央部近傍の高さ B :ステンレス鋼箔の端部をスリットして除去した後
のその端部近傍の高さ L :圧延方向 S :反り量

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可逆式多段圧延機により厚さ30μm
    以下のステンレス鋼箔を圧延する方法において、ステン
    レス鋼箔の素材を複数の圧延パスで圧延し、前記複数の
    圧延パスの各圧下率を20%以下にすることを特徴とす
    るステンレス鋼箔の圧延方法。
  2. 【請求項2】 複数の圧延パスのうち全圧下率が60
    %を超える圧延パスは、ステンレス鋼箔を50〜80℃
    の温度で圧延することを特徴とする請求項1記載の圧延
    方法。
  3. 【請求項3】 可逆式多段圧延機により厚さが30μ
    m以下、幅が310〜550mmに圧延されたステンレ
    ス鋼箔であって、前記ステンレス鋼箔を圧延方向の両端
    部を所定の幅ほど除去して圧延方向の長さが300〜5
    00mmに切断した箔片を定盤上に静置したときに、前
    記定盤面から前記箔片までの高さが1.5mm以下であ
    ることを特徴とするステンレス鋼箔。
  4. 【請求項4】 箔片を定盤上に静置したときに、前記
    定盤面から前記箔片の中央部近傍までの高さAが0.2
    mm以下、同じく前記定盤面から前記箔片の圧延方向の
    端部近傍までの高さBが1.5mm以下であることを特
    徴とする請求項3に記載のステンレス鋼箔。
  5. 【請求項5】 ステンレス鋼箔のビッカース硬さが4
    00以上であることを特徴とする請求項3または請求項
    4に記載のステンレス鋼箔。
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