JP2001271735A - ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置 - Google Patents

ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置

Info

Publication number
JP2001271735A
JP2001271735A JP2000128632A JP2000128632A JP2001271735A JP 2001271735 A JP2001271735 A JP 2001271735A JP 2000128632 A JP2000128632 A JP 2000128632A JP 2000128632 A JP2000128632 A JP 2000128632A JP 2001271735 A JP2001271735 A JP 2001271735A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pendulum
wave
caisson
water chamber
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000128632A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomiji Watabe
富治 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2000128632A priority Critical patent/JP2001271735A/ja
Publication of JP2001271735A publication Critical patent/JP2001271735A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/30Energy from the sea, e.g. using wave energy or salinity gradient

Landscapes

  • Other Liquid Machine Or Engine Such As Wave Power Use (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 エネルギー取得効率の高い振り子式波力発電
装置において、波長が長くエネルギー密度も高い海外の
沿岸への設置に適する、高効率を維持しながらケーソン
長さ増大を抑制し、発電コストを下げ、荒天時の安全性
を高めた改良型の波力発電装置を得ることである。 【解決手段】 ケーソン1内に定常波を形成し、定常波
の節に振り子2を取り付けた振り子式波力発電装置にお
いて、振り子の後側の固定壁4までの水室3の水深を浅
くすることで定常波の節が発生する位置を固定壁側に移
動させ、この後側の水室幅を広げた寸法形状とした。ま
た、荒天時の過大入力に備え、振り子振れ角が過大入力
警戒域を超えた時、振り子の両脇から水漏れによるスピ
ル流発生を促進する位置に、水室幅を広げる境界線を置
いた。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
【0001】本発明は、海洋の波浪エネルギーを機械力
に変換し発電する装置の技術分野に属し、とりわけケー
ソン内部に進行波と後退波の干渉による定常波を作り出
すことで、性格の異なる位置エネルギーと運動エネルギ
ーに二分された波浪エネルギーを取り出しやすい単一形
態に変換した上で、運動エネルギーの吸収に適した定常
波節部分に振り子を設けた波力発電装置の改良に関す
る。ただし、この装置で得られる動力は全部電力に変換
されなくとも、海水淡水化装置や養殖漁業、深層水汲み
上げ用等のポンプ動力用に直接利用することもでき、発
電用にのみ用途を限定するものではない。
【0002】
【従来の技術】従来の波力発電装置は、性格の異なる位
置エネルギーと運動エネルギーに二分された波浪エネル
ギーの吸収にあたり、一方のエネルギー吸収のみに焦点
を当てた装置が多く、両方のエネルギー吸収を狙ってい
ても、中途半端な装置が殆どを占めていた。その中で、
本発明者は室蘭工大式ペンデュラ波力発電装置の計画と
実地テストに、深く関わり合ってきた。その技術の核心
部分は、日本国特許第2539742号及び特開平7−
119608号により開示してきた。この新しい技術
は、波浪の波動としての性質をうまく利用し、ケーソン
内に進行波と、頑丈な固定壁にぶつかって沖合いに後退
する後退波との干渉波による定常波を実現させることに
より、位置エネルギーを零とし運動エネルギーを倍加さ
せた定常波の節部分で、波に共振する振り子を使用し、
世界一の60%以上という一次エネルギー変換効率を達
成してきた。しかし、振り子の取り付け位置から波のぶ
つかる固定壁面までの距離は、波の波長の1/4という
比較的長い長さとなり、ケーソン建造費用が総コストの
7〜8割を占めてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する第一の課題は、高い変換効率の振り子式波力発電装
置の効率を低下させることなく、装置全体のコストを低
下させることである。第二の課題は、日本沿岸における
波長の凡そ2倍程度の波長で、エネルギー密度も大きい
波が得られる海外の低開発国等での、振り子式波力発電
装置実用化の気運高まりにも応えられるような、荒天時
の安全性を高めケーソン寸法増大を抑えた振り子式波力
発電装置を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに発明者が考えたのは、定常波の節が発生する位置を
固定壁である後壁側に移動させ、従って振り子の取り付
け位置も後壁側に移動させる工夫である。ケーソン内部
の水室水深は、従来の技術では一定としてきた。しかし
水深と波の波長との間には、水深が浅くなると波長も短
くなるという関係がある。この関係を利用し、水室の水
深を振り子取り付け位置から後壁に向かって滑らかに浅
くすることにより、定常波の節発生位置を後壁側に移動
させることができると考えた。この効果は実験により確
かめることができたが、振り子の後壁側水面に現れる水
位上昇も相当な高さとなって、振り子の波との共振条件
にもかなり影響を与える。振り子の調整だけで共振条件
を満足させることができなくなると、装置の高効率を保
てなくなり、なんらかの補正手段が必要となってくる。
振り子の後壁側水面の過度な水位上昇を緩和する手段と
して、振り子の取り付け位置から後壁に至るまでの、ケ
ーソンに設けた水室の幅を滑らかに広げ適度な寸法とす
ることで、振り子が波に共振するよう復元モーメントを
調整可能とした。この結果、波がぶつかる後壁の幅も広
がり、荒天時のケーソンの後壁部の安全性が高まるばか
りでなく、水室の幅が広がる位置を、振り子が定格出力
の揺動角を超えて過大入力警戒角度まで振れた時、振り
子の両脇から積極的に水漏れを促しスピル流を発生させ
る位置とすることで、振り子に連動している機械系統に
過大波力が及び難い構造としている。
【0005】
【作用】上記のように、振り子取り付け位置から後壁に
向かって、滑らかに水深を浅くしてケーソン長さを短縮
した振り子式波力発電装置に進行波が押し寄せると、板
状の振り子は後壁の方に揺れるが、この振れ角にほぼ比
例する体積の海水が後壁の方に移動する。この移動する
海水も進行波からエネルギーを受け取り、これを後壁の
方に伝える波を形成するが、水室内の水深の減少によ
り、元の進行波よりも波長の短い波となる。水室内で水
深が深い断面と浅い断面とで比較すると、この間でエネ
ルギーの授受がなければ、エネルギー保存の法則が当て
はまることになるが、この両断面においてエネルギーの
伝達に関わる水分子の量は異なっている。即ち、同一の
エネルギーを伝達しているのに水深の浅い断面の水分子
は少ない量であり、エネルギー密度を高めていることは
当然の現象である。波の形態でエネルギー密度を高める
方法は、振動数を高めることであり、それはとりもなお
さず波長が短くなることでもある。定常波の節が現れる
位置は、後壁からの距離が波長の1/4に相当する位置
であり、ここに振り子を取り付ける波力発電装置のケー
ソンは、波長の短縮による分だけその長さが短くなって
いる。
【0006】ケーソンの内部に設けられる水室の水深
が、振り子取り付け位置から後壁に向かって滑らかに浅
くなっていると、振り子の後壁に向かう揺動の後に、水
深の浅い水室の水位はかなり上昇する。水深が一定であ
った従来の水室でも、この水位の上昇が現れて、これに
よる静水圧が板状の振り子の全面に及び、振り子を沖に
向かって揺り戻すばね作用を果たしていると考えられ
る。振り子は波と共振することが発電効率を最大にする
ポイントであった。従来の振り子を水深が浅くなった水
室に設置すると、従来の水室で波と共振するように調整
された振り子は、より早くより大きなばね作用力を受け
ることになり、波との共振条件を見直さなければならな
くなる。このため振り子自身の設計変更で対処し難い場
合に備え、前記水室内の水位上昇を緩和すべく、振り子
取り付け位置から後壁に向かって水室の幅を広げてい
る。この結果、ケーソン内の水室寸法の適度な選択が、
振り子の波との共振条件の調整を容易にさせているの
で、波力発電装置の高効率運転を常に維持しやすくして
いる。尤も、波力発電装置の効率を高める上では、もう
ひとつ負荷とのマッチングを図ることも重要であるが、
インピーダンスマッチングの調整作業は、多くの他の装
置でも行われている作業で、特に波力発電装置に特有の
詳細な部分は、本発明の理解の助けにはならず、説明を
省略することにした。
【0007】本発明では、ケーソン内部の水室の幅を、
振り子の取り付け位置から後壁に向かって広げている
が、この水室の幅を広げる位置を、振り子が定格運転の
振れ角を超えて過大入力警戒振れ角となる位置としてい
るので、荒天時には振り子の振れ角が過大入力警戒振れ
角を超えると、振り子の両脇から水漏れとなるスピル流
が発生する。スピル流となる海水は振り子に圧力を及ぼ
さずに後壁側の水室水位を上昇させる。この結果、過大
な進行波の圧力に対抗する水圧が振り子の反対面に生
じ、過大入力を緩和する作用を果たす。更に、水室幅の
拡大は、波がぶつかる後壁の面積が増大することなの
で、過大入力を分散する作用があり、後壁となるケーソ
ンの強度を相対的に高める結果となる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を詳述するにあたり、従来
の振り子式波力発電装置におけるケーソン内部の断面図
や、波長、波周期と水深の関係を示す線図、定常波その
ものの説明のための線図等を参照しながら、本発明との
関連を説明する。振り子式波力発電装置の本格的な実用
化のための大型プラントは、残念ながらまだ建設されて
いないが、そのイメージ図は末尾の参考文献を参照され
たい。実証のためのテストプラントは、室蘭工大式ペン
デュラ波力発電装置として、長年の実績がある。そこで
の一次エネルギー変換効率が、60%以上になるという
世界最高の実績を示した装置の基本原理は、図1のケー
ソン断面図により説明する。図1において、1で示すケ
ーソンの内部には水室3が形成されており、水室の右端
は海面に向かって開放されており、左端は波がぶつかる
固定壁の後壁4となっている。水室3の右端から流入す
る進行波は左方向へと進み、後壁4にぶつかって反射波
となり右方向へ引き返す。この左方向へ進む進行波と右
方向へ進む反射波である後退波とは互いに干渉する結
果、定常波がケーソン1の内部に形成される。ここで波
浪のエネルギーを機械力に変換し、それを発電エネルギ
ーにするための振り子2は、後壁4からの距離が波長の
1/4に相当するdだけ離れた位置に取り付けられる。
振り子2はポンプ5の回転軸を兼ねている揺動軸6に固
定されており、波力を効率良くポンプ5の仕事に変える
ことができる。ここにおいて水粒子の上下方向運動成分
からなる位置エネルギーと、水平方向運動成分からなる
運動エネルギーは、定常波というケーソン内部の振動の
腹と節になる特異点において、互いのエネルギーを交換
し合い、腹では位置エネルギー、節では運動エネルギー
に特化している。後壁4は腹であり、ここからdだけ離
れた振り子2の取り付け位置は節である。従って、後壁
4では水粒子は上下動のみを繰り返し、振り子板附近で
は水粒子は水平往復運動をくりかえす。その中間位置で
は両者が混合した斜めの往復運動が観察される。この中
で、振り子2は水粒子の水平往復運動によるエネルギー
だけの吸収に特化した機構なので、定常波をケーソン内
に形成し、振り子により波浪エネルギーを吸収する本発
明の基本着想の合理性が理解されよう。
【0009】一般的な理解力を有する人達に対して、定
常波がなぜ生まれ、波長の1/4に相当する位置になぜ
節が生ずるかという基本点に関し、判りやすい説明は少
なかった。そこで数式を一切用いずに12枚の時系列線
図によって、この点を判りやすく説明することを試み
た。図2は、360°回転する速度ベクトルを有する波
が、30°ずつ回転した時の12枚の線図であり、沖の
方からケーソン内の固定壁に向かう進行波を実線の曲線
で表し、固定壁でぶつかり沖の方に反射する後退波を破
線で表している。波面の小さな矢印は速度ベクトルの3
0°毎の方向を表し、固定壁での衝突で、速度ベクトル
は水平方向成分の向きだけを反転させている。このか
ら▲12▼に至る12枚の線図は、全体で波の周期を1
2等分し反時計回りに順次周期をずらせて並べた時系列
図であり、進行波と、固定壁で反射した後退波が夫々左
方向と右方向とに移動していく様子を表しているので、
アナログ的な感覚で順次に比較していくことができる。
▲12▼の次はとなり、反時計回りでエンドレスに繋
がっている。ここで、進行波と後退波の干渉によって生
ずる定常波は、実線と破線の曲線を単純に足して求める
ことができる。水位変化を表す縦軸上で静水面を0位置
にとれば、12枚の線図から絶えず水位が0となる特異
点が存在することに気が付く。それは壁面からの距離が
波長の1/4となる点であり、ここでは二つの波の水位
はプラスとマイナスに別れ、絶対値が等しいから、足せ
ば常に0となる。壁面では反対にプラスマイナスの符号
は同じで、絶対値が等しいから、水位はいつも倍加して
いる。即ち、壁面が腹となり、そこから波長の1/4だ
け離れた位置が節になっている。節では、二つの波の速
度ベクトルを加えると、静水面上の矢標で示すように、
運動エネルギーが倍加され、向きと大きさを周期的に変
えている。ここでは、波面上の総ての速度ベクトルを記
載すると煩わしくなるので、との線図を中心に記載
した。
【0010】図3は、水深が5m、3m、1mと変化し
た時の、波長と周期の変化を示す線図である。縦軸は波
長λをメートルの単位で示し、横軸は波周期Tを秒単位
で示している。この関係は本発明を構成するうえで最も
重要な点であるが、水深が浅くなれば波長も短くなるこ
とを容易に理解できよう。
【0011】
【実施例】図4、図5、図6に示した本発明の実施例
は、ケーソン1の長さが短縮された振り子式波力発電装
置である。このような発明が生まれたのは、海外におけ
る振り子式波力発電装置の実用化の気運の高まりが契機
となった。20世紀は、ひたすら資源とエネルギーを浪
費し、地球温暖化を招き、人類の未来を危惧せざるを得
ない間違った発展を遂げた。その反省のもとに、21世
紀は持続可能な循環型社会を築くことが強く求められて
いる。その一環として、クリーンな自然エネルギーを利
用する波力発電装置も注目されつつある。別けても、エ
ネルギー密度の高い波浪が得やすい発展途上国では、将
来の電力需要の増大を波力発電装置で大部分賄おうと考
えたとしても、おかしくはない。ところが、インド洋沿
岸の一例では、日本沿岸の50m以下の波長に比較し、
倍に近い80〜100mの波長の波が押し寄せる。従来
の振り子式波力発電装置では、波長の1/4以上のケー
ソン長さが必要であり、このままでは総コストの7〜8
割を占めるケーソン建造費を更に大きく押し上げ、経済
性という側面から致命的な弱点を抱えることになりかね
ない。加えて、波長の長い波はエネルギーも大きいこと
から、荒天時の安全対策、即ち、過大な波力から装置を
守る対策も充実させる必要が高まった。更に、発電単価
を下げる上で、可能な限りエレルギー密度の高い海面を
選んで波力発電装置を設置することも効果的である。そ
こで本発明は、前記の図3に示した水深と波長の関係に
着目し、ケーソン内部の水深を浅くすることで、振り子
から後壁に向かう波の波長を短くし、ケーソン長さの短
縮を図ることに主眼を置いた。
【0011】図4は本発明のケーソン長さ短縮型波力発
電装置の一実施例の縦断面図であり、図5はその実施例
の平面図である。図中に二点鎖線で示したのは、従来型
のケーソンと振り子の位置である。図4で示すように、
ケーソン1内部で振り子2の後壁4側の水室3は、水深
が徐々に浅くなっている。同時に図5で示すように、水
室3の幅も、水深が浅くなるにつれてBからBへと
広がっている。これら水深や幅寸法の変化は、エネルギ
ーロスを招くことがないように、滑らかに変化させてい
る。これらの図で、従来装置における振り子取り付け位
置から後壁4までの距離に相当する水室長:dと、本
発明実施例の水室長:dとで具体的にどの程度の差が
出るかを求めてみる。この時、波力発電装置を設置する
海面として、水深:hが5m、波浪周期:Tが12秒で
ある場合を想定すると、その波の波長:λは図3より8
2mとなる。従来の水室長:dは、波長の1/4であ
るから20.5mとなる。これに対し本発明の水室長:
は、波長に0.15を乗じた長さになる。即ち、お
よそ12.3mと見積もることができる。ケーソン1の
固定壁厚さを除く全長は、これらの長さに振り子取り付
け位置からケーソンの開放端までの張り出し長さの3.
5mを加えたものとなり、24.0mと15.8mの差
となる。その差はおよそ8.2mである。比率で示す
と、ケーソン内の水室全長24mに対し、34%の短縮
になる。
【0012】図5に示すように、実施例の水室幅B
従来の水室幅Bに対して広がっているが、このために
振り子2の波との共振条件の設定が、水室の水深がh
と浅くなっていても容易になっていることを先に述べて
きた。次に図6に示す振り子の揺動状態でのモーメント
の関係式から、この点を説明してみたい。このため、図
6に示した水室3の水位上昇をΔhとし、振り子のモー
メントを考える。図6において、振り子の固有周期T
は数式 数1で示される。
【0013】
【数1】
【0014】ここでI:付加水を含む振り子2の機械系
の軸6を中心とする慣性モーメント K:振り子2の機械系の復元モーメント係数 ただしKはKとKの和であり、これらは次の様に定
義する。 K:振り子2の重心の平衡位置からのずれによる復元
力による係数 K:水室内水位上昇Δhの水圧力による係数 復元モーメント係数Kは上記二つの作用力に基ずくので
あるが、一般にこの二つの作用力の比較において、K
≪K の関係にある。重心の復元力よりも水圧力の影
響が遥かに大きい。振り子2の揺動に伴って生ずる水粒
子の移動は、水室3の水位上昇Δhとなって現れる。振
れ角θが小さいとして、細かな誤差を無視する時、水位
上昇Δhは数式数2で表現できる。
【0015】
【数2】
【0016】ここでθ:振り子2の振れ角、 A
:水室内水面の表面積 水位上昇Δhに支配される復元モーメントMは数式 数
3で表せるので、復元モーメントMは水位上昇Δhに比
例する。
【0017】
【数3】
【0018】従って、復元モーメント係数Kは表面積A
に反比例する。このことは、水室3の幅が広がると、
水位上昇Δh の水圧力の影響が、水室内水面の表面積
に反比例して減殺されることを示すもので、水室幅
を適当に選び、共振条件を満足する復元モーメント
係数Kを容易に得ることができることを示している。
【0019】本発明の目的の一つは、エネルギー密度の
高い波浪を対象とする波力発電装置の安全性を高めるこ
とであった。荒天時を想定した安全性の向上について、
更に図6について説明する。発明者の経験では、片振幅
である振り子の振れ角θは、およそ±60度以内に制限
するのが良い。このためには、適当なストッパー等が必
要である。定格運転では適度な振れ角θは±30度程度
である。そこに嵐になって強大な波力が働く時、振り子
の振れ角θは容易に60度を超え、発電装置を破壊する
危険が生ずる。図6は、定格以上の強い波で振り子2が
時計回り方向に揺動している状態を示す。振り子2には
左向きの水圧pが働き、振り子2を左側に向かって押し
ている。水室内部には前述の水位上昇Δhが生じており
これによって加圧された圧力Δpが振り子2を右側に押
し、復元モーメントを発生している。この時振り子2と
交差する垂直な縦線10は、ここから左に向かい水室幅
の増大が始まる位置にある。図示の状態では振り子2の
先端部が縦線10の左側にあり、そのために振り子2の
下部には水室両側壁との間に、開口部11が開いた状態
にある。従って、水圧pは開口部11を経て左の水室に
及び、その圧力で開口部11を通過する水流を生じてい
る。この結果圧力Δpを更に押し上げている。即ち、開
口部11が開くことによって左向きの水圧pは、ここか
らの漏れによるスピル流を生じて低下し、進行波の大き
な圧力に対抗し振り子2を右方向へ押している水圧Δp
は、流入による追加が生じている。図示の位置よりさら
に振り子2が左に振れたとしても、振り子2を右向きに
押す力がさらに大きくなることは容易に理解できよう。
この後にΔp>pとなって振り子2が図示位置で反時計
回り方向に揺り戻す時は、開口部11からの漏れは右向
きに流れ、圧力Δpによる振り子駆動モーメントも減少
させる。このように、振り子2の振れ角θが一定値以上
になると、開口部11からの水漏れを生じ、振り子2の
両脇からの相当量のスピル流となり、その結果、振り子
2への過大入力を低減させる。ここで振り子の揺動角度
の限界範囲は、縦線10の位置をどこに設定するかによ
って決定される。例えば、θ>30°の範囲で水漏れを
起こさせるようにすることも簡単にできる。このように
本発明の水室には、過大入力警戒域を超えた振り子の揺
動に対してダンパー作用が付加されるので、実用的見地
から大変に効果がある。
【0020】
【発明の効果】ケーソン長さを短縮し水室幅を広げた本
発明の波力発電装置によれば、装置全体の建造費用の7
〜8割を占めるケーソン自体を、効率を低下することな
く合理的に小型化することが可能となり、振り子式波力
発電装置の総コストと発電単価の切り下げに大きな効果
を発揮する。ケーソン製作費が全体コストの75%を占
めるとした時、その25%が削減可能とすれば、波力発
電施設全体では建造費用の18%相当分が削減できると
見積もられる。加えて、ケーソン内部の水室幅を広げて
おり、荒天時の波浪エネルギー分散によりケーソン強度
を相対的に高めているだけでなく、水室幅を広げる位置
を、振り子の振れ角度が過大入力警戒域に達する位置に
選択することで、振り子の揺動角が大きくなり過ぎない
ように抑圧される効果を持たせることができた。従っ
て、波力のエネルギー密度が高い海外の沿岸に設置する
装置に対しても、波長の長い波浪に対応してケーソン長
さを過大に長くすることを抑え、コスト上昇を避けなが
ら荒天時に波力発電装置を過大な波浪エネルギーから守
るための、安全対策を充実させることができた。参考文
献 日本機械学会誌 Vol.102 No.973
P720 飯島、渡部”振り子式波力発電装置「ペン
デュラ」”
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎となる従来の振り子式波力発電装
置のケーソン内部の縦断面図。
【図2】本発明の基本概念の定常波の形成を、進行波を
実線、反射した後退波を破線とし、周期を1/12毎に
ずらせて反時計回りに順次並べて示した12の時系列線
図。
【図3】水深が5m、3m、1mとなった時波長を縦軸
に、周期を横軸にとり水深、波長、周期の関係をそれぞ
れ実線、一点鎖線、破線で示す線図。
【図4】本発明の一実施例のケーソン短縮型振り子式波
力発電装置のケーソン内部縦断面図。
【図5】図4に示した本発明の一実施例の波力発電装置
の平面図。
【図6】図4に示した本発明の一実施例の波力発電装置
の振り子に、定格を超える波力が加わり、過大入力警戒
域を超えて揺動した時の水室内部水位上昇を示すケーソ
ン内部縦断面図。
【符号の説明】
1 ケーソン 2 振り子 3 水室 4 後壁 5 ポンプ 6 振り子揺動軸 10 縦線 11 開口部 10 縦線 11 開口部 d 後壁から振り子取り付け位置までの水室長 B 本発明の幅が広がった水室幅 B 従来の水室幅 h 本発明の水室の浅くなった水深 Δh 本発明の水室内の水位上昇 θ 振り子の振れ角 p 進行波が振り子前面に及ぼす圧力 Δp 水室内の水位上昇が振り子裏面に及ぼす圧力

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーソンによって構成する水室内に、沖
    合いから海岸に向かって進行する進行波と、頑丈な固定
    壁にぶつかって沖合いに向かい後退する後退波との干渉
    により定常波を発生させると共に、この定常波の節に相
    当する位置に波と共振する振り子を配置した振り子式波
    力発電装置において、ケーソンに設けた水室の水深を、
    振り子取り付け位置から後壁となる前記固定壁に向かい
    滑らかに浅くすることにより、定常波の節の発生位置を
    後壁側に移動させたことを特徴とするケーソン長さ短縮
    型振り子式波力発電装置
  2. 【請求項2】 ケーソンに設けた水室の幅を、振り子取
    り付け位置から後壁に向かって滑らかに広げることによ
    り、水室の水深が浅くなることで振り子の後壁側に生ず
    る水位上昇を減殺し振り子の波との共振条件変動を抑え
    る水室寸法を有する請求項1に記載のケーソン長さ短縮
    型振り子式波力発電装置
  3. 【請求項3】前記の水室の幅を広げる位置は、振り子振
    れ角が定格域を超え過大入力警戒域に達した時、振り子
    板の両脇から積極的に水漏れするスピル流発生を促す配
    置としたことを特徴とする請求項1若しくは2に記載の
    ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置
JP2000128632A 2000-03-24 2000-03-24 ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置 Pending JP2001271735A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000128632A JP2001271735A (ja) 2000-03-24 2000-03-24 ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000128632A JP2001271735A (ja) 2000-03-24 2000-03-24 ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001271735A true JP2001271735A (ja) 2001-10-05

Family

ID=18638042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000128632A Pending JP2001271735A (ja) 2000-03-24 2000-03-24 ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001271735A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2337858A1 (es) * 2007-05-25 2010-04-29 Dragados, S.A. Dique portuario.
US8004104B2 (en) 2006-10-24 2011-08-23 Neptune Wave Power, Llc Method and apparatus for converting ocean wave energy into electricity
WO2011129642A2 (ko) 2010-04-17 2011-10-20 한국해양연구원 찰과부식 대응 요동베인형 펌프 엑츄에이터
US8046108B2 (en) * 2006-10-24 2011-10-25 Neptune Wave Power, Llc System and method for converting ocean wave energy into electricity
CN103527394A (zh) * 2013-10-25 2014-01-22 浙江大学舟山海洋研究中心 可调节悬挂摆波浪能转换器固有频率的水室
CN113477689A (zh) * 2021-07-27 2021-10-08 六安市叶集区长塔农业科技有限公司 一种能够自动进料的土壤修复设备

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8004104B2 (en) 2006-10-24 2011-08-23 Neptune Wave Power, Llc Method and apparatus for converting ocean wave energy into electricity
US8046108B2 (en) * 2006-10-24 2011-10-25 Neptune Wave Power, Llc System and method for converting ocean wave energy into electricity
ES2337858A1 (es) * 2007-05-25 2010-04-29 Dragados, S.A. Dique portuario.
WO2011129642A2 (ko) 2010-04-17 2011-10-20 한국해양연구원 찰과부식 대응 요동베인형 펌프 엑츄에이터
US8899948B2 (en) 2010-04-17 2014-12-02 Korea Ocean Research And Development Institute Fretting-corrosion-prevention oscillating vane type pump actuator
CN103527394A (zh) * 2013-10-25 2014-01-22 浙江大学舟山海洋研究中心 可调节悬挂摆波浪能转换器固有频率的水室
CN113477689A (zh) * 2021-07-27 2021-10-08 六安市叶集区长塔农业科技有限公司 一种能够自动进料的土壤修复设备
CN113477689B (zh) * 2021-07-27 2022-09-06 中煤科工集团武汉设计研究院有限公司 一种能够自动进料的土壤修复设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101194421B1 (ko) 파랑발전기
Mei Hydrodynamic principles of wave power extraction
Whittaker et al. Nearshore oscillating wave surge converters and the development of Oyster
Cretel et al. An application of model predictive control to a wave energy point absorber
CN206017037U (zh) 一种新型点吸收式波浪能发电装置
Mayon et al. Wave energy capture by an omnidirectional point sink oscillating water column system
Heikkinen et al. Analytical study of the interaction between waves and cylindrical wave energy converters oscillating in two modes
CN101718247A (zh) 一种鱼形筏式液态金属磁流体波浪能直接发电装置
JP5579735B2 (ja) 波エネルギーを捕捉するためのプラットホーム
US4464578A (en) Wave energy converter
Zhao et al. Enhancing efficiency of a point absorber bistable wave energy converter under low wave excitations
JP2003307173A (ja) 浮力式発電装置
JP2001271735A (ja) ケーソン長さ短縮型振り子式波力発電装置
Crowley et al. A submerged cylinder wave energy converter with internal sloshing power take off
Cho et al. Modeling and control of a 75 kW class variable liquid-column oscillator for highly efficient wave energy converter
Xu et al. Experimental study of the hydrodynamic performance of a U-oscillating water column wave energy converter
JP3530871B2 (ja) 水力、波力、および、風力のエネルギー変換装置
Naik et al. Wave power extraction by a dual OWC chambers over an undulated bottom
JP2007162669A (ja) 波エネルギー変換装置
JP3218462B2 (ja) 波力エネルギー変換装置
CN214464639U (zh) 一种集成透空消浪结构的岸基式振荡水柱波浪能发电装置
CN105332358B (zh) 双收缩波道发电防波堤
CN210317588U (zh) 一种组合式波浪能发电装置
CN115111106A (zh) 一种集成透空消浪结构的岸基式振荡水柱波浪能发电装置
Nam et al. Performance evaluation of the floating pendulum wave energy converter in regular and irregular waves