JP2001268767A - 防水グロメットの固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 取付作業性が良く、ケーブルの保護並びにシ
ール性安定を確実に図ることができる良好な防水グロメ
ットの固定構造を提供する。 【解決手段】 防水グロメット１は、取付体１０の取付
孔１１を貫通した取付ネジ部２ｂに螺合された本体固定
用ナット３により該取付体１１に固定されるグロメット
本体２と、該グロメット本体２の締付けネジ部２ａに螺
合されることによって、前記グロメット本体２に貫通さ
れたケーブル１５を締付け固定するケーブル締付け用ナ
ット４とを備える。前記取付体１０には、前記グロメッ
ト本体２に係合して該グロメット本体２の共回りを阻止
すると共に、前記ケーブル締付け用ナット４に係合して
該ケーブル締付け用ナット４の締付け量を規制するスト
ッパー２０が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は防水グロメットの固
定構造に関し、特に、電気・電子機器類あるいは車両な
どの配線構造において、隔壁などの取付体を貫通するケ
ーブルとの間に高いシール性が要求される防水グロメッ
トの固定構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、電気・電子機器類や車両等の
配線構造において、電線等のケーブルを電気接続箱の隔
壁などの取付体に貫通させる際には、高いシール性を備
えた防水グロメットが用いられている。この様な防水グ
ロメットには、従来から各種構造のものがあるが、例え
ば、電気接続箱の隔壁などの取付体の取付孔を貫通した
取付ネジ部に螺合された本体固定用ナットによって該取
付体に固定されるグロメット本体と、該グロメット本体
の締付けネジ部に螺合されることによって、前記グロメ
ット本体に貫通されたケーブルを締付け固定するケーブ
ル締付け用ナットとを備えた防水グロメットがある。

【０００３】前記防水グロメットを取付体に固定する際
には、先ず、取付体の取付孔を貫通させたグロメット本
体の取付ネジ部に本体固定用ナットを螺合し、取付体に
グロメット本体を締付け固定する。次に、グロメット本
体の貫通穴にケーブルを貫通した後、該グロメット本体
の締付けネジ部に螺合したケーブル締付け用ナットを締
付けることによって、該締付けネジ部の内径を縮径させ
てケーブルをグロメット本体に締付け固定する。従っ
て、グロメット本体に貫通されたケーブルは、高いシー
ル性をもって取付体の取付孔を貫通した状態に固定され
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
如き防水グロメットを電気接続箱の隔壁などの取付体に
取り付ける作業においては、取付孔を貫通させたグロメ
ット本体の取付ネジ部に本体固定用ナットを螺合する
際、グロメット本体が固定用ナットと共に回ってしまう
ことにより、締め付けトルクの管理が難しかった。特
に、取付体の裏側に手指や工具が届かない箇所において
は、取り付け作業性が極めて良くなかった。

【０００５】又、グロメット本体を貫通させたケーブル
をケーブル締付け用ナットで締付け固定する作業におい
て、ケーブルの締め付け加減を一定に保つことは、ケー
ブル保護並びにシール性安定の両面において重要である
が、締付けトルクの管理が困難であり、従来におけるケ
ーブル締付け用ナットの締め付け加減は作業者の熟練性
に頼るなど大きな問題があった。

【０００６】従って、本発明の目的は上記課題を解消す
ることに係り、取付作業性が良く、ケーブルの保護並び
にシール性安定を確実に図ることができる良好な防水グ
ロメットの固定構造を提供することにある。

【０００７】

【発明を解決するための手段】本発明の上記目的は、取
付体の取付孔を貫通した取付ネジ部に螺合された本体固
定用ナットによって該取付体に固定されるグロメット本
体と、該グロメット本体の締付けネジ部に螺合されるこ
とによって、前記グロメット本体に貫通されたケーブル
を締付け固定するケーブル締付け用ナットとを備えた防
水グロメットの固定構造であって、前記取付体には、前
記グロメット本体に係合して該グロメット本体の共回り
を阻止すると共に、前記ケーブル締付け用ナットに係合
して該ケーブル締付け用ナットの締付け量を規制するス
トッパーが設けられていることを特徴とする防水グロメ
ットの固定構造により達成することができる。

【０００８】上記構成によれば、取付体に設けられたス
トッパーが、グロメット本体に係合して本体固定用ナッ
トを締め付ける際のグロメット本体の共回りを阻止する
と共に、ケーブル締付け用ナットに係合して該ケーブル
締付け用ナットを締め付ける際の軸方向の移動を阻止し
て締付け量を規制することができる。

【０００９】尚、好ましくは前記ストッパーが、取付体
表面に固定される取付部と、該取付部に垂設されて前記
グロメット本体の外側平面に当接すると共に前記ケーブ
ル締付け用ナットの端面に当接する平板状の当接部とを
備えた断面Ｌ字形部品から成る。この場合、ストッパー
を極めて簡単な構成とでき、取付部は例えばスポット溶
接や接着等の固定手段により取付体表面に容易に固定す
ることができる。

【００１０】又、好ましくは前記ストッパーは、前記取
付体の取付孔を囲む位置に複数設けられると共に、前記
グロメット本体と前記取付体との間に介装されてシール
を行うシール部材を仮係止可能な仮係止穴が設けられて
いる。そこで、グロメット本体を取付体に取り付ける
際、グロメット本体と取付体との間にシール部材を介装
する場合には、該シール部材を取付体に仮係止すること
ができ、例えば、シール部材が脱落し易いような向きに
よる取付作業でも容易に作業ができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の一実施形態を詳細に説明する。図１は本発明の一実施
形態に係る防水グロメットの固定構造を示す分解斜視
図、図２は図１におけるＢ−Ｂ線に沿った位置の部分断
面、図３は図２に示した防水グロメットのケーブル締め
付け作業途中を示す説明図、図４は図３に示した防水グ
ロメットのケーブル締め付け作業完了を示す説明図、図
５は図１に示した防水グロメットの取付け作業終了状態
を示す要部斜視図である。

【００１２】本実施形態の防水グロメット１の固定構造
は、図１に示すように、電気接続箱の金属製隔壁などの
取付体１０に電線や光ファイバー等のケーブル１５を貫
通させる際に使用される防水グロメット１を取り付ける
場合を説明する。本実施形態における防水グロメット１
は、大きく分けて、グロメット本体２，本体固定用ナッ
ト３、ケーブル締付け用ナット４、シール部材５から構
成されている。また、本実施形態の防水グロメット１の
固定構造においては、組み立てられた状態は、図５に示
すような状態となる。

【００１３】前記グロメット本体２は、図２に示すよう
に、ほぼ中程の大径部分が外側平面２Ａを形成する外周
十二面体に構成されており、一端側には取付体１０の取
付孔１１に挿入される取付ネジ部２ｂが設けられ、前記
外側平面２Ａを挟んで反対側にはケーブル締付け用ナッ
ト４と螺合する締付けネジ部２ａが設けられている。ま
た、前記締付けネジ部２ａよりも先端側には、多数のス
リット７ａが形成されて弾性変形可能な縮径部７が設け
られている。この縮径部７の内側には、ケーブル１５の
表面に当接する円環状のゴムパッキン６が嵌装されてい
る。

【００１４】前記ケーブル締付け用ナット４は、図２乃
至図４に示すように、取付ネジ部２ｂと螺合する雌ねじ
部４ａと、この雌ねじ部４ａの奥側において前記縮径部
７に接触可能で、ナット締め付けに伴って縮径部７を強
く縮径方向へ押圧する加圧面４ｂとを備えている。ま
た、ケーブル締付け用ナット４には、後述するストッパ
ー２０に当接する端面４ｃが形成されている。

【００１５】前記取付体１０の取付孔１１を囲む位置に
は、一対のストッパー２０が設けられている。該ストッ
パー２０は、取付体１０の取付体表面１０ａに固定され
る取付部２３と、該取付部２３に垂設されて前記グロメ
ット本体２の外側平面２Ａに当接すると共に前記ケーブ
ル締付け用ナット４の端面４ｃに当接する平板状の当接
部２２とを備えた断面Ｌ字形部品から成り、例えば金属
板をプレス成形して形成されている。そして、取付部２
３が、例えばスポット溶接などにより、取付体表面１０
ａに固定される。

【００１６】前記防水グロメット１は、グロメット本体
２が前記取付孔１１を貫通する取付ネジ部２ｂを有して
おり、この取付ネジ部２ｂに螺合された本体固定用ナッ
ト３を締め付けることにより、前記取付体１１にグロメ
ット本体２が締付け固定される。この取付体１１へのグ
ロメット本体２の固定に際しては、取付体１０に設けら
れた一対のストッパー２０の各当接部２２が、それぞれ
対向するグロメット本体２の外側平面２Ａ，２Ａに係合
する。

【００１７】即ち、ストッパー２０の各当接部２２が、
前記グロメット本体２の二面幅となる外側平面２Ａ，２
Ａに面接触状態に係合することにより、グロメット本体
２は前記取付体１０に対する回転が規制される。そこ
で、前記本体固定用ナット３を締め付ける際のグロメッ
ト本体２の共回りを阻止した状態で、グロメット本体２
の取付ができる。従って、グロメット本体２を取付体１
０に取り付ける際の本体固定用ナット３の締め付けトル
ク管理が容易となり、特に、取付体１０の裏側に手指や
工具が届かない箇所においても、取り付け作業性が容易
となる。

【００１８】また、前記ストッパー２０には、図１に示
したように、グロメット本体２と取付体１０との間に介
装されてシールを行うシール部材５を仮係止可能な仮係
止穴２１が設けられている。そこで、この仮係止穴２１
にシール部材５の周端部をはめ込むようにすれば、グロ
メット本体２を取付体１０に取り付ける際、グロメット
本体２と取付体１０との間にシール部材５を介装する場
合には、該シール部材５を取付体１０に仮係止すること
ができ、例えば、シール部材５が脱落し易いような向き
による取付作業でも容易に作業ができる。従って、シー
ル部材５を挟んでグロメット本体２に対して本体固定用
ナット３を締め付けることにより、グロメット本体２は
取付体１１との間で容易に良好なシール性を維持するこ
とができる。

【００１９】以下、図２乃至図４を参照して、グロメッ
ト本体２の締付けネジ部２ａにケーブル締付け用ナット
４を螺合する際の操作を説明する。図２に示すように、
グロメット本体２が本体固定用ナット３にて固定された
状態で、且つケーブル１５がグロメット本体２内に貫通
された状態とする。その後、図３に示すように、ケーブ
ル締付け用ナット４の雌ねじ部４ａを締付けネジ部２ａ
に螺合させて締め付けていく。そして、この締め付け
（図３における矢印Ａ方向の回転）に伴って、ケーブル
締付け用ナット４は、雌ねじ部４ａの奥側に設けられた
加圧面４ｂが、グロメット本体２の縮径部７を徐々に縮
径方向へ押圧していく。

【００２０】更に、前記ケーブル締付け用ナット４の締
め付けによって、加圧面４ｂによるグロメット本体２の
縮径部７が縮径方向へ弾性変形した結果、図４に示すよ
うに、該縮径部７の内側のゴムパッキン６が、若干の弾
性変形を伴ってケーブル１５の外周面を押圧する状態に
なる。

【００２１】このケーブル１５の適宜押圧状態が達成さ
れるのと略同時に、ケーブル締付け用ナット４の端面４
ｃとストッパー２０の当接部２２の先端とが当接し、該
ケーブル締付け用ナット４を締め付ける際の軸方向の移
動を阻止するので、図４及び図５に示すように、ケーブ
ル締付け用ナット４はねじ込みができなくなり、締付け
量が規制される。そこで、締付けトルクの管理が容易と
なり、作業者の熟練性に頼ることなく、ケーブル１５の
締め付け加減を一定に保つことができ、ケーブル保護並
びにシール性安定を容易に図ることができる。

【００２２】尚、本発明の防水グロメットの固定構造
は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本
発明の趣旨に基づいて種々の構成を採りうることは云う
までも無い。例えば、上記実施形態においては、ストッ
パー２０が２個設けられた構成としたが、本発明のスト
ッパー２０は１個であっても、３個以上であってもよ
い。また、上記実施形態においては、断面Ｌ字形部品と
したが、この形状に何ら限定されるものではない。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の防水グロメ
ットの固定構造によれば、取付体に設けられたストッパ
ーが、グロメット本体に係合して本体固定用ナットを締
め付ける際のグロメット本体の共回りを阻止すると共
に、ケーブル締付け用ナットに係合して該ケーブル締付
け用ナットを締め付ける際の軸方向の移動を阻止して締
付け量を規制することができる。従って、取付作業性が
良く、ケーブルの保護並びにシール性安定を確実に図る
ことができる良好な防水グロメットの固定構造を提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る防水グロメットの固
定構造を示す分解斜視図である。

【図２】図１におけるＢ−Ｂ線に沿った位置の部分断面
である。

【図３】図２に示した防水グロメットのケーブル締め付
け作業途中を示す説明図である。

【図４】図３に示した防水グロメットのケーブル締め付
け作業完了を示す説明図である。

【図５】図１に示した防水グロメットの取付け作業終了
状態を示す要部斜視図である。

【符号の説明】

１ 防水グロメット ２ グロメット本体 ３ 本体固定用ナット ４ ケーブル締付け用ナット ５ シール部材 １０ 取付体 １５ ケーブル ２０ ストッパー ２１ 仮係止穴 ２２ 当接部 ２３ 固定部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3J040 AA17 BA01 EA15 EA25 EA50 HA04 5G363 AA01 BA01 CA15 CB01 CB08 5G375 AA02 BA02 BA26 BB03 BB19 BB24 BB29 DB04

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 取付体の取付孔を貫通した取付ネジ部に
   螺合された本体固定用ナットによって該取付体に固定さ
   れるグロメット本体と、該グロメット本体の締付けネジ
   部に螺合されることによって、前記グロメット本体に貫
   通されたケーブルを締付け固定するケーブル締付け用ナ
   ットとを備えた防水グロメットの固定構造であって、 前記取付体には、前記グロメット本体に係合して該グロ
   メット本体の共回りを阻止すると共に、前記ケーブル締
   付け用ナットに係合して該ケーブル締付け用ナットの締
   付け量を規制するストッパーが設けられていることを特
   徴とする防水グロメットの固定構造。
2. 【請求項２】 前記ストッパーが、取付体表面に固定さ
   れる取付部と、該取付部に垂設されて前記グロメット本
   体の外側平面に当接すると共に前記ケーブル締付け用ナ
   ットの端面に当接する平板状の当接部とを備えた断面Ｌ
   字形部品から成ることを特徴とする請求項１に記載の防
   水グロメットの固定構造。
3. 【請求項３】 前記ストッパーは、前記取付体の取付孔
   を囲む位置に複数設けられると共に、前記グロメット本
   体と前記取付体との間に介装されてシールを行うシール
   部材を仮係止可能な仮係止穴が設けられていることを特
   徴とする請求項１又は２に記載の防水グロメットの固定
   構造。