JP2001251138A - 平面構造放射型発振装置 - Google Patents

平面構造放射型発振装置

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JP2001251138A JP2000060115A JP2000060115A JP2001251138A JP 2001251138 A JP2001251138 A JP 2001251138A JP 2000060115 A JP2000060115 A JP 2000060115A JP 2000060115 A JP2000060115 A JP 2000060115A JP 2001251138 A JP2001251138 A JP 2001251138A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射型発振装置の発振効率の最適化の条件と
して必要な、共振器と空間との結合係数や、増幅素子と
共振器との結合係数のパラメータを調整する自由度を持
つ放射型発振装置の構成を実現し、また、装置間の相互
干渉を分離し易く、独立した通信周波数チャンネルの利
用等ができるようにする。 【解決手段】 この発明の平面構造放射型発振装置10
0は、誘電体基板10上に並列に配置した一対の導体パ
ッチ1a,1bと、誘電体基板10上に各導体パッチ1
a,1bとは空隙を保って配置した接地導体面3と、導
体パッチ1a,1bの各々と接地導体面3とにその端子
を接続して配置した高周波増幅素子4と、直流電源6
a,6bと、を備え、導体パッチ1a,1bの各々と接
地導体面3とでそれぞれ共振器A,Bを構成しマイクロ
波ミリ波帯の高周波発振出力を空間に取り出すようにし
た、ことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波発振のため
の共振器を空間への電磁波放射のためのアンテナ機能と
共用し、高い周波数領域で問題となる導波路の損失と結
合部・変換部での特性劣化を避け、高い効率のマイクロ
波ミリ波帯の無線通信装置、電波計測装置技術に利用で
きるマイクロ波ミリ波帯の無線装置技術に関する。
【0002】
【従来の技術】現在実用化されている各種の無線通信装
置の他に、レーダ装置及びラジオメータ等の電波計測装
置を含む従来からの無線装置は、アンテナ装置技術と、
高周波回路技術を主体とした送信・受信装置技術との組
み合わせで構成されている。
【0003】目的に応じた電磁波の放射及び到来する電
磁波信号の受信を効率よく行うためのアンテナ装置技術
と、信号処理・制御を扱う送信装置と、受信装置のため
の高周波回路技術とは、長い間に亘って相互に独立した
技術分野を形成してきた。
【0004】共通の基本条件は、アンテナ入力インピー
ダンスと回路の出力インピーダンスとの整合を確保する
ことであった。
【0005】一方、通信装置に関連する技術的及び社会
的背景の大きな変化が生じつつある。最近の半導体デバ
イス技術の進展により、増幅、発振、及び逓倍ミキシン
グ等の高周波回路素子機能を平面回路として集積化する
技術が開発され、それらの高周波集積回路技術は、従来
からの導波管や同軸型の各種の回路部品を相互に接続し
て装置を構成する方式に代わって、平面化且つ集積回路
化による小型軽量で高性能、且つ高信頼性と低コスト化
を同時に達成する将来の無線通信装置技術として期待さ
れるようになっている。
【0006】このような技術状況の下に、アンテナと集
積回路との一体化を想定した新しいマイクロ波ミリ波技
術の開発が必要となってきている。
【0007】高周波回路用半導体デバイス技術の進展
は、マイクロ波ミリ波帯の移動通信システム構成技術上
から要求される新しい装置機能や、更に高機能なアンテ
ナビーム形成技術及びマイクロ波ミリ波帯のイメージン
グ技術等の、通信・計測制御システム上の新しい機能を
実現するための技術開発への要求を生みだしている。
【0008】マイクロ波からミリ波にかけて周波数の上
昇とともに誘電損失と導体表面での導体損の増加により
伝送線路上での損失が大きな問題となり、平面アンテナ
のアレー化によるアンテナの高利得化は、給電線路上で
の損失が大きくなる他に、マイクロ波ミリ波無線装置内
での長い伝送路による接続はシステムの全体性能及び効
率を大きく低下させる。
【0009】そのため、アンテナと高周波平面回路を一
体化する新しい技術の開発が重要となっているが、その
技術の開発には、今後解決されるべき困難な技術課題が
多く残されている。
【0010】以下に図面を用いて、本発明に関連する従
来技術について述べ、本発明の目的と技術上の位置づけ
を明らかにするために具体例を用いて説明する。
【0011】図15は、公知の高周波帯発振装置の一構
成の概念を示す説明図であり、共振器60と負性抵抗増
幅回路62が導波路61により接続され、負荷64は負
性抵抗増幅回路62の他の端子に導波路63によって取
り付けられ、発振電力が共振器60とは別のポートから
取り出される場合を示している。これは、マイクロ波以
下の周波数帯の携帯用通信装置等に広く用いられている
発振装置の構成であり、共振器60には小型化した高誘
電率の誘電体共振器等が組み込まれている。
【0012】これに対し、図16は、発振用共振器が電
磁波の出力部分を兼ねる公知の発振装置の一構成の概念
を示す説明図であり、共振器60の内部に負性抵抗増幅
回路62が組み込まれ、負荷64は発振電力を共振器外
部へ取り出すことによる損失の付加分を表している。
【0013】この構成例を代表するものに、増幅媒質を
共振器内部に具備するレーザー発振装置があり、この場
合に、レーザー共振器の部分透過性の反射鏡面から空間
にビームとして発振電力を取り出すことが、負荷64に
対応している。
【0014】図17は、発振用共振器が電磁波の出力部
分を兼ねる公知の放射型発振装置の他の構成の概念を示
す説明図であり、共振器60と負性抵抗増幅回路62が
導波路61により接続され、インピーダンスZLで表現
される負荷64は高周波発振電力をビーム63aの形で
共振器外部へ取り出すことによる損失の付加分を表して
いる。
【0015】この構成例は、本願の発明者等によって、
ガウシアンビーム共振器と負性抵抗増幅素子を一体化し
たマイクロ波・ミリ波帯発振装置(U.S.Patent No. 5,45
0,040)として、開示された。
【0016】図17による公知の発振装置は、原理的に
は図16の構成に基づく装置の変形であるが、増幅媒質
を共振器外部に取り出すことにより、発振条件の制御が
可能なパラメータを2つ確保でき発振装置の技術上の有
利な条件を達成している。
【0017】図18は、図17の構成の具体的な実施例
の一つである公知のビーム出力型マイクロ波ミリ波発振
装置の構成の概念を示す説明図であり、ここで、図17
の共振器60は、部分透過性の反射鏡面601と導体反
射鏡面602から成るファブリペロー型の共振器600
であり、負性抵抗増幅回路62は、共振器600の導体
反射鏡面602の一部を成す結合領域603と導波路6
1とにより接続され、部分透過性の反射鏡面601とし
ては、2次元の導体薄膜格子等が用いられ、反射鏡面6
01及び導体反射鏡面602のいずれかは、球面鏡であ
るので、共振モードは光軸を中心としたガウス分布を成
す。
【0018】更に、反射鏡面601の反射率は、他方の
導体反射鏡面602の反射率に比べて高く設定され、負
性抵抗増幅回路62側から見た共振器600は、見かけ
上一端子の共振器となるように、空間と弱く結合する共
振器として構成されており、共振器と負性抵抗増幅回路
62との相互作用により発振が成長し、共振器内に蓄積
される高周波エネルギーが増加し、それとともに部分透
過性の反射鏡面601からガウシアンビームとして漏れ
出るビーム出力604の電力が増加し、負性抵抗増幅回
路62による利得と発振出力を含むトータルの損失が釣
り合った状態で定常状態となる。
【0019】図18に開示の構成では、部分透過性反射
鏡面601及び導体反射鏡面602の反射率、即ち空間
との結合強度と負性抵抗増幅回路との結合強度を独立に
設定できることから、結合領域603と導波路61の組
み合わせによる位相調整を含め、発振装置としての基本
的な二つの調整項目が実質的に制御できる。しかし、一
方で、ガウシアンビーム共振器が、数波長以上の開口寸
法を具備することによる応用上の制限があり、更に高Q
値の共振器としての基本的性質があるので、広い周波数
帯域を用いる無線通信装置や、多周波数の共用等の利用
目的には適していない。また、平面回路との積層化等に
適しているが、一方を球面鏡とする平凸レンズ状共振器
の製造コストが割高になる問題があり、低コスト化の面
での新しい解決策が必要である。
【0020】これに対し、平面の回路とアンテナを一体
化して装置を構成する試みがある。図19は、負性抵抗
増幅回路とアンテナ素子を同一平面に近接して配置する
公知の発振装置の構成を示す説明図である。図19にお
いて、高周波トランジスタ69は、ストリップラインか
ら成る共振器60と一体化され、負性抵抗増幅回路とし
て発振器が構成され、且つ直流バイアスライン66から
供給される直流電力は高周波電力に変換され、一体化し
て接続されアンテナとして機能する方形導体パッチ65
を通じて空間へ放射される。
【0021】この場合に、発振はスタブ68やストリッ
プライン共振器60、直流バイアスライン66及び方形
導体パッチ65アンテナの相互間に避けがたい結合があ
るので、インピーダンス整合や共振周波数、配線位置等
の僅かな違いで複雑に影響し合い、発振スペクトル、発
振出力、及び放射パターン特性に敏感に影響するので、
現実的に扱い難い構成である。
【0022】上記の様な発振回路とアンテナの集積化の
試みと並行して、上記構成における困難を克服する試み
として平面共振器構造を発振の為の共振器として用いる
と同時に、電磁波放射器として利用する方法が研究され
てきた。図20にR.A. York等によって開示された平面
導体パッチが発振用共振器と電磁波の出力部分を兼ねる
公知の放射型発振装置の一構成例を示す(R.A. York and
R.C. Compton, "Quasi-Optical Power Combining Usin
g Mutually Synchronized Oscillator Arrays", IEEE T
rans. Microwave Theory Tech.,Vol.MTT-39,pp1000-100
9,1991)。
【0023】幅の広い二つの低インピーダンスマイクロ
ストリップ線路となる方形導体パッチ65を狭いギャッ
プ70を隔てて配置し、ソース接地の電界効果型(FE
T)の高周波トランジスタ69のドレインとゲートを、
それぞれの低インピーダンスマイクロストリップ線路に
接続し、この二つの低インピーダンスマイクロストリッ
プ線路に、それぞれ直流バイアスライン66により直接
バイアスを取り、且つこの狭いギャップ70による容量
的な結合を増幅器の正帰還回路とすることにより、高周
波的に共振器側から見て負性抵抗増幅回路となるように
し、且つ簡易な平面放射型発振装置を構成する方法とし
て開示されている。
【0024】発振が成長し共振器内に電磁波エネルギー
が蓄積されるためには、FET(電界効果トランジス
タ)のゲート側への帰還が適当な位相と比率で行われる
必要がある。帰還位相と振幅の組み合わせが共振器から
みて、負性抵抗増幅回路の条件になる時に、発振が可能
となり、共振器に高周波電磁界が蓄積される。
【0025】その際に、共振器から見て負性抵抗回路に
見えるためには、トランジスタ増幅器への正帰還条件が
満足される必要があり、更に共振器と空間との間の弱い
結合が確保されることが基本条件として要求される。
【0026】従って、図20に開示のアンテナ機能を兼
ねる共振器を用いた放射型発振装置の場合に、高周波ト
ランジスタ69への正帰還条件についてキャパシタンス
により調整できるように、工夫されている。しかし、二
つの方形導体パッチ65の間の狭いギャップ70の幅を
変化させ、キャパシタンスを調整する図20に開示の方
式は、それ以外の調整機能が無く、放射型発振装置とし
て調整の自由度に欠ける。従って、アンテナ機能を兼ね
る共振器を用いた放射型発振装置として、最適な発振状
態を実現する手法は開示されていなかった。
【0027】これに対し、図21は、本願の発明者等に
よって開示されている「マイクロ波ミリ波放射型発振装
置」(特願平9−220579号)の平面構成を示す説
明図であり、当該開示の技術によって、平面構成の共振
器を用いた放射型発振装置の、放射機能を兼ねる平面共
振器と空間との結合強度と、該平面共振器と増幅素子と
の結合関係を最適化し、高能率な放射型発振装置が実現
できる様になった。
【0028】図21に開示の構成では、一対の扇状導体
パッチ71は、その尖鋭部72が互いに近接し、且つ円
弧部が互いに相対する様に配置され、該一対の扇状導体
パッチ71の中央部にゲート及びドレインを当該一対の
扇状導体パッチの異なる一方にそれぞれ接続し、ソース
を接地した電界効果型の高周波トランジスタ69と、当
該各一対の扇状導体パッチ71と平行に広がる導体平面
とからなり、上記一対の扇状導体パッチ71面と平行に
広がる上記導体平面との間隔は波長の1/15〜1/5
倍の間であり、上記扇状導体パッチ71の半径は、発振
波長の約1/4の長さであり、扇状導体パッチは直流バ
イアスライン66により、それぞれソースを接地電位と
する別々の直流電源に接続される。
【0029】図21に開示の技術によれば、一対の扇状
導体パッチ71と平行に広がる上記導体平面との間隔の
調整と、及び扇状導体パッチ71の広がり角θの調整の
自由度がある点において、他の従来技術に比較して優れ
ており、図18に開示のファブリペロー型の共振器を用
いた発振用共振器が電磁波の出力部分を兼ねる公知の放
射型発振装置で実現しているのと同様に、平面導体パッ
チが発振用共振器と電磁波の出力部分を兼ねる放射型発
振装置として作用し、発振条件の最適化に必要な制御可
能なパラメータを2つ確保し、高い効率で高周波発振出
力を空間に取り出すこと、更にそれらを同一平面にアレ
ー状に配置し、空間的な相互位相同期による高能率な電
力合成の実現に適した平面放射型発振装置の基本構成が
開示されている。
【0030】しかし、上記「平面放射型発振装置」(特
願平11−59070号)に依れば、隣接配置の放射型
発振装置の相互結合効果が高く、効率の良い空間電力合
成に適している反面、異なる周波数もしくは、異なる指
向ビームにより複数の通信回線を並列に確保する場合に
は隣接する放射型発振装置間の相互干渉が生じ易く、適
していない問題があった。
【0031】これに対し、放射型発振装置を同一平面に
複数配置した場合の相互干渉を防ぎ、独立した放射型発
振装置の平面的配置を実現し易い構成として、接地導体
面を共有するスロット型共振器の構成が考えられる。
【0032】図22は、公知の放射型発振装置であって
導体平面上に形成されたリングスロット型アンテナを発
振用の共振器として用いた放射型発振装置(Electronic
s Letters Vol.29, No.6, pp.521-522, 1993)の構成を
示す説明図である。導体平面80上に、導体面81及び
82の間にリングスロット83を形成し、電界効果型の
高周波トランジスタ69のゲート69a及びドレイン6
9bをそれぞれ導体面81及び82に接合し、ソース6
9cを導体平面80に接合し接地とし、該導体面81及
び82は、狭い空隙84によって直流的に分離され、前
記接地を共有する直流電源に接続される。当該公知の放
射型発振装置は、発振用のリングスロット83共振器の
周辺が導体平面80で囲まれた構成であり、同一平面上
に当該リングスロット83をアンテナとして放射型発振
装置を配置した場合にも、該放射型発振装置間の相互干
渉を分離し易い特徴がある。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
開示のリングスロット83のアンテナを発振用の共振器
として用いた放射型発振装置の共振周波数は、リングス
ロット83の長さπLで決まり、該リングスロット83
の幅Gが、特性インピーダンスを調整する唯一の可変パ
ラメータであり、これは、空間を出力とする放射型発振
装置の発振効率を最適化するための条件として必要な、
共振器と空間との結合係数、増幅素子と共振器との結合
係数のパラメータ調整する自由度が無く、原理的に発振
の最適化が不可能であった。この問題は、円形状のリン
グスロット83を方形リングスロットやその他の形状に
変更しても同じであり、放射型発振装置として最適化す
るための調整パラメータの自由度が不足しており、放射
型発振装置として最適な発振状態を実現するのに必要な
手法は開示されていなかった。
【0034】放射型発振装置を同一平面上に複数配置
し、異なる周波数により複数の独立した通信回線を構成
する場合や、多チャンネンル計測装置システムを構成す
るためには、隣接する放射型発振装置間の相互干渉が分
離し易く、高能率の発振特性が得られる新しい構成の平
面構造放射型発振装置の開発が必要となっていた。
【0035】本発明は、上記の問題点を解決するために
行ったもので、放射型発振装置の発振効率の最適化の条
件として必要な、共振器と空間との結合係数や、増幅素
子と共振器との結合係数のパラメータを調整する自由度
を持つ放射型発振装置の構成を実現し、同一平面上に複
数の該放射型発振装置を隣接して配置した場合にも該放
射型発振装置間の相互干渉を分離し易く、独立した通信
周波数チャンネルの利用や、独立した位相制御等を可能
とする効率の良い平面構造の放射型発振装置を提供する
ことを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、平面構造放射型発振装置
であって、誘電体基板上に並列に配置した一対の導体パ
ッチと、上記誘電体基板上に各導体パッチとは空隙を保
って配置した接地導体面と、上記導体パッチの各々と接
地導体面とにその端子を接続して配置した高周波増幅素
子と、上記導体パッチの各々に接続した直流電源と、を
備え、上記導体パッチの各々と接地導体面とでそれぞれ
共振器を構成し、その共振器の各々に直流電源からの電
力を高周波増幅素子を介して入力し、マイクロ波ミリ波
帯の高周波発振出力を空間に取り出すようにした、こと
を特徴としている。
【0037】また、請求項2に記載の発明は、上記した
請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記共振器の各
々は、導体パッチの幅および長さ、導体パッチ間の距
離、並びに導体パッチと接地導体面との空隙幅をパラメ
ータとしてその高周波発振出力が制御される、ことを特
徴としている。
【0038】また、請求項3に記載の発明は、上記した
請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記導体パッチ
間の距離を、発振波長の1/90〜1/15とする、こ
とを特徴としている。
【0039】請求項4に記載の発明は、上記した請求項
1に記載の発明の構成に加えて、上記導体パッチの長さ
を、発振波長の2/5〜3/5とする、ことを特徴とし
ている。
【0040】請求項5に記載の発明は、上記した請求項
1に記載の発明の構成に加えて、上記誘電体基板上の導
体パッチおよび接地導体面から下方で発振波長の1/4
の距離に、平行に導体平面を配置した、ことを特徴とし
ている。
【0041】また、請求項6に記載の発明は、上記した
請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記誘電体基板
上の導体パッチおよび接地導体面から下方で発振波長の
1/4の距離に、集束性の反射鏡面を配置した、ことを
特徴としている。
【0042】また、請求項7に記載の発明は、上記した
請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記誘電体基板
上の導体パッチおよび接地導体面から下方で発振波長の
1/30〜1/10の距離に平行に導体平面を配置し
た、ことを特徴としている。
【0043】さらに、請求項8に記載の発明は、上記し
た請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記高周波増
幅素子は、電界効果型高周波トランジスタであって、ゲ
ートは一方の導体パッチに、ドレインは他方の導体パッ
チに、またソースは接地導体面にそれぞれ接続し、直流
電源は少なくともドレインを接続した導体パッチに接続
する、ことを特徴としている。
【0044】請求項9に記載の発明は、上記した請求項
1に記載の発明の構成に加えて、上記高周波増幅素子
は、接合型高周波トランジスタであって、ベースは一方
の導体パッチに、コレクタは他方の導体パッチに、また
エミッタは接地導体面にそれぞれ接続し、直流電源は少
なくともコレクタを接続した導体パッチに接続する、こ
とを特徴としている。
【0045】また、請求項10に記載の発明は、上記し
た請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記誘電体基
板は、高周波誘電損失の小さい、高純度シリコン、石
英、サファイア、アルミナ、PTFE、ポリエチレン等
の材料から成る、ことを特徴としている。
【0046】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図
面に基づいて詳細に説明する。先ず第1の実施形態を図
1、図2を用いて説明する。
【0047】図1は本発明の平面構造放射型発振装置の
第1の構成例を示す斜視図、図2はその要部を示す平面
図、図3は図2のI−I線断面図である。これらの図に
おいて、この発明の平面構造放射型発振装置100は、
誘電体基板10上に並列に配置した一対の矩形状の導体
パッチ1a,1bと、誘電体基板10上に各導体パッチ
1a,1bとは空隙を保って配置した接地導体面3と、
導体パッチ1a,1bの各々と接地導体面3とにその端
子7,8,9を接続して配置した高周波増幅素子4と、
導体パッチ1a,1bの各々に接続した直流電源6a,
6bと、を備えている。ここで、高周波増幅素子4は、
例えば電界効果型の高周波トランジスタであって、ゲー
ト8は一方の導体パッチ1aに、ドレイン7は他方の導
体パッチ1bに、またソース9,9は接地導体面3にそ
れぞれ接続し、直流電源6a,6bはそれぞれ直流バイ
アスライン14により低域フィルタ5a,5bを介して
導体パッチ1a,1bに接続されている。
【0048】そして、導体パッチ1aと、この導体パッ
チ1aをその周囲の空隙領域2を介して囲む接地導体面
3とで共振器Aを構成し、また、導体パッチ1bと、こ
の導体パッチ1bをその周囲の空隙領域2bを介して囲
む接地導体面3とで共振器Bを構成し、その共振器A,
Bの各々に直流電源6a,6bからの電力を、低域フィ
ルタ5a,5bおよび高周波トランジスタ4を介して入
力し、マイクロ波ミリ波帯の高周波発振出力を空間に取
り出すようになっている。
【0049】なお、誘電体基板10は高周波誘電損失の
小さい、高純度シリコン、石英、サファイア、アルミ
ナ、PTFE、ポリエチレン等の材料で形成されてい
る。また、導体パッチ1a,1b、接地導体面3の導体
表面での高周波電流損失の影響を最小限にするために該
導体表面は高品質な高導電性膜である必要があり、それ
らが形成される誘電体基板の表面は、滑らかな面である
ことが重要である。
【0050】上記構成の平面構造放射型発振装置100
において、ゲート8に接続した導体パッチ1aと接地導
体面3との間(すなわち共振器A)に発生した雑音信号
は増幅され、ドレイン7に接続した導体パッチ1bと接
地導体面3との間(すなわち共振器B)に高周波電界を
誘起し、共振器A,Bの共振周波数に一致する成分は、
効率よく振動が保持され、導体パッチ1a,1bの長さ
方向に磁界を発生させ、一部は空間へ放射される。
【0051】このとき、導体パッチ1a,1b間の距離
D1(=2×G(空隙領域2の幅)+D(導体パッチ1
a,1bの間の接地導体面3の幅)を、発振波長の1/
90から1/15に設定すると、導体パッチ1a,1b
は相互に十分近接した配置となり、したがって、ゲート
8側へ同位相の電磁界が誘起されて正帰還条件が満足さ
れ、発振が成長し、大振幅動作の状態で、空間への電磁
界の放射を含めた損失の和が、高周波トランジスタ4に
よる高周波電力の供給と釣り合った状態で定常状態に達
する。
【0052】共振器A,Bに蓄積された電磁界エネルギ
ーは、定常状態において一定の割合で空間に放射され、
ほぼ対称な放射パターンを持つ平面構造放射型発振装置
となる。
【0053】また、導体パッチ1a、1b及び接地導体
面3と空隙領域2とで形成される共振器での実効波長
は、導体パッチ1a、1bの幅W、空隙領域2の幅G及
び接地導体面3と平行に配置される導体平面11との間
隔等に依存し、誘電体基板の比誘電率の効果を含め、
0.8〜1.2倍の程度の範囲でずれを生じることか
ら、導体パッチ1a、1bの長さLを、上記のパラメー
タの条件にあわせて発振波長の2/5〜3/5の間で選
ぶことで発振周波数を設定することができる。さらに、
上記のパラメータの条件の選択により発振のための共振
器のQ値を調整できることから、相対的に高いスペクト
ル純度の発振が得られる状態からスペクトルの純度は多
少劣るが、広い同期可能周波数帯域特性を持つ発振状態
を選択できるようになる。一般には、共振器A,Bは、
空間と整合が採れた平面アンテナとはならず、空間に対
して弱く結合する平面共振器となる。
【0054】このように、本発明の平面構造放射型発振
装置100の構成によれば、導体パッチ1a,1bの幅
Wおよび長さL、導体パッチ1a,1b間の距離D1、
および導体パッチ1a,1bと接地導体面3との空隙幅
Gをパラメータとすることで、共振器A,Bの空間との
結合、共振器A,B相互間の空間結合、及び高周波トラ
ンジスタ4と各共振器A,Bとの結合の各度合いを広い
範囲で選択調整することが可能となる。
【0055】これにより、直流バイアスライン14によ
り低域フィルター5a,5bを介して高周波トランジス
タ4に接続された直流電源6a,6bからのDC電力を
高い効率でマイクロ波ミリ波帯の高周波発振出力(RF
電力)として空間に取り出すことができる。すなわち、
平面構造放射型発振装置100の発振出力の最適化が可
能となる。
【0056】また、本発明による一対の共振器A,B
は、導体パッチ1a,1bと、その導体パッチ1a,1
bの周囲に空隙領域2を介して拡がる接地導体面3とで
形成されることから、この一つの共振器A,Bからなる
平面構造放射型発振装置100を同一平面上に複数配置
した場合でも装置間の相互干渉を分離することができ、
したがって、互いに異なる周波数を持つ複数の独立した
通信回線を構成できすることができる。また、異なる指
向ビームにより複数の通信回線を並列に確保することが
でき、さらにアレー構成によるビーム形成へ応用するこ
とができる。
【0057】図4は本発明の平面構造放射型発振装置の
第2の構成例を示す断面図である。この第2の構成例で
は、図に示すように、誘電体基板10上の導体パッチ1
a,1bと接地導体面3との下方に、発振波長の1/4
の距離に平行な導体平面11が配置されている。したが
って、上記した第1の構成例の場合と同様に、発振出力
の最適化等の効果を奏するとともに、さらに次のような
効果を発揮するにいたる。すなわち、導体パッチ1a,
1b及び接地導体面3の両側にほぼ対称な放射パターン
で放射される電磁界の内、導体パッチ1a,1b及び接
地導体面3の下方に放射される成分は、当該平行な導体
平面11で反射され、導体平面11での位相ずれを含め
一波長に相当する位相差で重畳されるため強め合い、単
一指向性の平面構造放射型発振装置とすることができ
る。
【0058】なお、第2の構成例および以下に説明する
各構成例において、誘電体基板10の下方に導体平面1
1を設ける場合、その導体平面11はここでは図示され
ていないが、低損失で表面が滑らかな誘電体基板上に設
けるものとする。また、誘電体基板10と導体平面11
との間には、さらに誘電体基板を介在させるようにして
もよいし、単に空気層として構成してもよい。空気層と
する場合は、装置外周に支持機構を設け、誘電体基板1
0と、導体平面11が設けられている誘電体基板との双
方を支持するようにすればよい。
【0059】図5、図6および図7は第2の構成例にお
いて集束性の反射鏡面が配置される構成を示す図であ
る。図5では、凸レンズ状の誘電体12と導体平面11
の組み合わせにより、凹面反射鏡と等価な集束性の反射
鏡面を構成している。また、図6では、図5の場合のレ
ンズ状の誘電体12に換えて、円柱状の誘電体121と
導体平面11とを組み合わせた場合であり、この場合に
は、円柱状の誘電体121の径と厚さの組み合わせを適
当に選択することで、十分効果的な集束効果のある反射
鏡面を構成することができる。さらに、図7では、集束
効果のある凹面反射鏡13そのものを用いた場合であ
る。
【0060】このように、図5、図6および図7では、
導体パッチ1a,1bと接地導体面3との下方に、集束
効果のある反射鏡面を配置するようにしたので、導体パ
ッチ1a,1b及び接地導体面3の両側にほぼ対称な放
射パターンで放射される電磁界の内、導体パッチ1a,
1b及び接地導体面3の下方に放射される成分は、集束
性の導体反射鏡面(12+11、121+11、13)
で反射され、導体面での位相ずれを含め一波長に相当す
る位相差で重畳されるため強め合い、図4の場合と同様
に、単一指向性の平面構造放射型発振装置とすることが
できる。
【0061】図8は本発明の平面構造放射型発振装置の
第3の構成例を示す断面図である。この第3の構成例で
は、導体パッチ1a,1bと接地導体面3との下方に、
発振波長の1/30〜1/10の間隔を保って平行な導
体平面11が配置される。
【0062】このように、導体パッチ1a,1bと接地
導体面3との下方で、発振波長の1/30〜1/10の
距離に、平行に導体平面11を配置したので、上記した
第1の構成例の場合と同様に、発振出力の最適化等の効
果を奏するとともに、さらに次のような効果を発揮する
にいたる。すなわち、上記した共振器A,Bの各々は、
バックプレート付き共振器となり、共振器A,Bのイン
ピーダンスを、導体平面11が平行に配置されていない
場合と比較して低減することができるようになる。その
結果、平行に配置される導体平面11が無い場合、及び
平行に配置される導体平面11が発振波長の1/4の距
離に配置される場合に比べ、導体パッチ1a、1bの幅
Wに対する空隙領域2の幅Gを相対的に大きくとること
ができ、短波長のミリ波帯で微細化する加工寸法上の条
件を和らげる効果が得られる他、単一指向性が容易に実
現できる等の利点がある。
【0063】図9は本発明の平面構造放射型発振装置の
第4の構成例を示す説明図である。この第4の構成例で
は、導体パッチ1a,1bを矩形状ではなく半楕円状に
形成している。したがって、導体パッチ1a,1bと、
周囲の接地導体面3との間の空隙幅が一定でなく、外周
側で変化するようになっている。すなわち、導体パッチ
1a,1bが相対する領域にある接地導体面3との間で
の空隙幅G1は一定であるが、それ以外の領域にある接
地導体面3との間での空隙幅G2は変化している。
【0064】上記のように、導体パッチ1a,1b間の
距離D1は、発振波長の1/90〜1/15として互い
に近接させる必要があることから、空隙幅G1は、発振
波長の1/100〜1/20の範囲であることが必要と
なる。一方、外周側の空隙幅G2は、発振波長の1/2
0〜1/4程度の相対的に大きな空隙とすることが可能
である。
【0065】このように、導体パッチ1a,1bを半楕
円状に形成するようにしたので、上記した第1の構成例
の場合と同様に、発振出力の最適化等の効果を奏すると
ともに、さらに次のような効果を発揮するにいたる。す
なわち、導体パッチ1a,1b同士を近接させる必要が
ある領域での空隙幅G1は小さく設定でき、一方、近接
させる必要のない領域での空隙幅G2は変化を持たせる
ことができ、したがって、放射パターンの対称性を含め
た調整を、簡単にかつ有効に行えるようになる。
【0066】なお、導体パッチ1a,1bは半楕円状で
あるとして説明したが、相対する側の形状が直線であれ
ば、外周側は任意の形状をとるようにしてもよい。
【0067】図10は本発明の第5の構成例を示す斜視
図である。この第5の構成例が上記した第1の構成例と
異なるのは、接地導体面3等の下方で発振波長の1/3
0〜1/10の間隔を保って平行に導体平面11を設け
たこと、およびドレイン7を接続した導体パッチ1b
は、直流バイアスライン14により直流電源6に接続し
ているが、ゲート8側は無バイアスとしていることの2
点である。
【0068】この第5の構成例では、上記した第1の構
成例の場合と同様に、発振出力の最適化等の効果を奏す
るとともに、さらに次のような効果を発揮するにいた
る。すなわち、導体平面11を設けたので、第2の構成
例の場合と同様に、単一指向性の平面構造放射型発振装
置とすることができる。また、ゲート側を無バイアスと
したので、発振動作状態でゲート側はセルフバイアスの
状態となって駆動するし、直流電源が一つで済むので、
構成が簡単となり、複数の平面構造放射型発振装置を動
作させる際にも有効となる。
【0069】図11は本発明の第6の構成例を示す斜視
図である。この第6の構成例では、導体平面11を設
け、またゲート側を無バイアスとした点では、上記した
第5の構成例の場合と同様であるが、この第6の構成例
は、さらに導体パッチ1a,1bのそれぞれに、複数の
チップ状高周波トランジスタ15を、フリップチップ構
成で接合させている。したがって、ミリ波帯における平
面構造放射型発振装置として実用的な構成となってお
り、チップ状高周波トランジスタ15の並列運転により
高出力化及び高スペクトル純度化の効果を得ることがで
きる。
【0070】図12は本発明の平面構造放射型発振装置
の発振スペクトルの一例を示す図である。本発明では、
導体パッチ1a,1bの幅Wおよび長さL、導体パッチ
1a,1b間の距離D1、並びに導体パッチ1a,1b
とその周囲の接地導体面3と間の空隙幅G(G1,G
2)をパラメータとすることで、共振器A,Bの空間と
の結合、共振器A,B相互間の空間結合、及び高周波ト
ランジスタ4(15)と各共振器A,Bとの結合の各度
合いを広い範囲で選択調整することが可能となる。した
がって、その選択調整により、発振スペクトルを鋭く高
い純度のスペクトルとしたり、より広い周波数同期帯域
幅を持つものとしたり、その用途に応じて自在に制御す
ることができる。
【0071】図13は本発明の平面構造放射型発振装置
の放射パターンの一例を示す図である。導体パッチ1
a,1bと接地導体面3とからなる面に平行に導体平面
11を持つ構成の場合であって、正面方向に相対的に強
い放射パターン特性を示している。水平(±90度)方
向の放射レベルが低く抑えられている。したがって、こ
の一対の共振器からなる平面構造放射型発振装置を同一
平面上に複数配置した場合、その装置間の相互干渉を分
離することができるようになる。
【0072】図14は公知の一対の対称平面パッチを用
いた放射型発振装置(特願平11−59070号)の放
射パターンの一例を示す説明図であるが、本発明による
平面構造放射型発振装置の放射パターンと対照的に、水
平方向(±90度)放射レベルが高いことが分かる。こ
の放射パターン特性の差は、本発明による平面構造放射
型発振装置における発振及び放射のための共振器構造
が、接地導体面3で囲まれている構造であることに関係
している。
【0073】なお、上記の説明では導体パッチ1a,1
bは対称な形状のものを使用するようにしたが、必ずし
も対称な形状でなくともよい。
【0074】また、高周波トランジスタ4に電解効果型
のものを使用するようにしたが、その他のタイプ、例え
ば接合型のものを使用するようにしてもよい。接合型高
周波トランジスタを使用する場合は、ベース及びコレク
タを導体パッチの異なる一方にそれぞれ接続し、エミッ
タを接地導体面に接続する。特にヘテロバイポーラトラ
ンジスタ(HBT)等の利用により、接合型の高周波ト
ランジスタの特性を活かした低雑音の平面構造放射型発
振装置が実現できる。
【0075】
【発明の効果】この発明は上記した構成からなるので、
以下に説明するような効果を奏することができる。
【0076】請求項1に記載の発明では、誘電体基板上
に一対の導体パッチと、その各導体パッチとは空隙を保
つ接地導体面とを配置して、一対の共振器を構成したの
で、共振器の各々は、導体パッチの幅および長さ、導体
パッチ間の距離、並びに導体パッチと接地導体面との空
隙幅をパラメータとすることで、共振器の空間との結
合、共振器相互間の空間結合、及び高周波増幅素子と各
共振器との結合の各度合いを広い範囲で選択調整するこ
とが可能となる。
【0077】これにより、直流バイアスラインにより高
周波増幅素子に接続された直流電源からのDC電力を高
い効率でマイクロ波ミリ波帯の高周波発振出力(RF電
力)として空間に取り出すことができる。すなわち、平
面構造放射型発振装置の発振出力の最適化が可能とな
る。
【0078】また、本発明による一対の共振器は、一対
の導体パッチと、その導体パッチの周囲に空隙を介して
囲む接地導体面とで形成されることから、この一対の共
振器からなる平面構造放射型発振装置を同一平面上に複
数配置した場合でも装置間の相互干渉を分離することが
でき、したがって、互いに異なる周波数を持つ複数の独
立した通信回線を構成できすることができる。また、異
なる指向ビームにより複数の通信回線を並列に確保する
ことができ、さらにアレー構成によるビーム形成へ応用
することができる。
【0079】請求項3に記載の発明では、導体パッチ間
の距離を発振波長の1/90から1/15と近接配置と
した構成により、ゲート側へ同位相の電磁界が誘起され
やすく、正帰還条件が満足され、発振が成長し大振幅動
作の状態で、空間への電磁界の放射を含めた損失の和
が、高周波増幅素子による高周波電力の供給と釣り合っ
た状態で定常状態に達する。一対の共振器に蓄積された
電磁界エネルギーは、定常状態において一定の割合で空
間に放射され、ほぼ対称な放射パターンを持つ平面構造
放射型発振装置となる。
【0080】また、請求項4に記載の発明では、導体パ
ッチの長さを、発振波長の2/5〜3/5としたので次
のような効果を奏する。すなわち、導体パッチと接地導
体面と空隙領域とで形成される共振器での実効波長は、
導体パッチの幅、空隙領域の幅及び接地導体面と平行に
配置される導体平面との間隔等に依存し、誘電体基板の
比誘電率の効果を含め、0.8〜1.2倍の程度の範囲
でずれを生じることから、導体パッチの長さを、上記の
パラメータの条件にあわせて発振波長の2/5〜3/5
の間で選ぶことで発振周波数を設定することができる。
さらに、上記のパラメータの条件の選択により発振のた
めの共振器のQ値を調整できることから、相対的に高い
スペクトル純度の発振が得られる状態からスペクトルの
純度は多少劣るが、広い同期可能周波数帯域特性を持つ
発振状態を選択できるようになる。一般には、共振器
は、空間と整合が採れた平面アンテナとはならず、空間
に対して弱く結合する平面共振器となる。
【0081】また、請求項5に記載の発明では、導体パ
ッチおよび接地導体面から下方で発振波長の1/4の距
離に、平行に導体平面を配置したので、一対の導体パッ
チ及び接地導体面の両側にほぼ対称な放射パターンで放
射される電磁界の内、該一対の導体パッチ及び接地導体
面の下方に放射される成分は、当該平行な導体平面で反
射され、導体面での位相ずれを含め一波長に相当する位
相差で重畳されるため強め合い、単一指向性の平面構造
放射型発振装置となる。
【0082】請求項6に記載の発明では、導体パッチお
よび接地導体面から下方で発振波長の1/4の距離に、
集束性の反射鏡面を配置したので、一対の導体パッチ及
び接地導体面の両側にほぼ対称な放射パターンで放射さ
れる電磁界の内、該一対の導体パッチ及び接地導体面の
下方に放射される成分は、当該平行な導体平面で反射さ
れ、導体面での位相ずれを含め一波長に相当する位相差
で重畳されるため強め合い、単一指向性の平面構造放射
型発振装置となる。
【0083】請求項7に記載の発明では、誘電体基板上
の導体パッチおよび接地導体面から下方で発振波長の1
/30〜1/10の距離に、平行に導体平面を配置した
ので、共振器の各々は、バックプレート付き共振器とな
り、共振器のインピーダンスを、導体平面が平行に配置
されていない場合と比較して、低減することができる。
【0084】また、請求項8に記載の発明では、電界効
果型高周波トランジスタを用い、ゲートは一方の導体パ
ッチに、ドレインは他方の導体パッチに、またソースは
接地導体面にそれぞれ接続し、直流電源は少なくともド
レインを接続した導体パッチに接続するようにしたの
で、電解効果型の高周波トランジスタの特性を活かした
低雑音の平面構造放射型発振装置を実現することができ
る。
【0085】さらに、請求項9に記載の発明では、接合
型高周波トランジスタを用い、ベースは一方の導体パッ
チに、コレクタは他方の導体パッチに、またエミッタは
接地導体面にそれぞれ接続し、直流電源は少なくともコ
レクタを接続した導体パッチに接続するようにしたの
で、接合型の高周波トランジスタの特性を活かした低雑
音の平面構造放射型発振装置を実現することができる。
【0086】また、請求項10に記載の発明では、誘電
体基板は、高周波誘電損失の小さい、高純度シリコン、
石英、サファイア、アルミナ、PTFE、ポリエチレン
等の材料で形成したので、実用的で高効率な平面構造放
射型発振装置が実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面構造放射型発振装置の第1の構成
例を示す斜視図である。
【図2】本発明の平面構造放射型発振装置の第1の構成
例の要部を示す平面図である。
【図3】図2のI−I線断面図である。
【図4】本発明の平面構造放射型発振装置の第2の構成
例を示す断面図である。
【図5】本発明の平面構造放射型発振装置の第2の構成
例のうち、集束性反射鏡を用いた例を示す断面図であ
る。
【図6】本発明の平面構造放射型発振装置の第2の構成
例のうち、集束性反射鏡を用いた例を示す断面図であ
る。
【図7】本発明の平面構造放射型発振装置の第2の構成
例のうち、集束性反射鏡を用いた例を示す断面図であ
る。
【図8】本発明の平面構造放射型発振装置の第3の構成
例を示す断面図である。
【図9】本発明の平面構造放射型発振装置の第4の構成
例の要部を示す平面図である。
【図10】本発明の平面構造放射型発振装置の第5の構
成例を示す斜視図である。
【図11】本発明の平面構造放射型発振装置の第6の構
成例を示す斜視図である。
【図12】本発明の平面構造放射型発振装置の発振スペ
クトルの一例を示す図である。
【図13】本発明の平面構造放射型発振装置の放射パタ
ーンの一例を示す図である。
【図14】公知の一対の対称平面パッチを用いた放射型
発振装置の放射パターンの一例を示す図である。
【図15】公知の高周波帯発振装置の一構成の概念を示
す説明図である。
【図16】公知の発振用共振器が電磁波の出力部分を兼
ねる放射型発振装置の一構成の概念を示す説明図であ
る。
【図17】公知の発振用共振器が電磁波の出力部分を兼
ねる放射型発振装置の他の構成の概念を示す説明図であ
る。
【図18】公知の発振用共振器が電磁波の出力部分を兼
ねる放射型発振装置の具体的な構成を示す説明図であ
る。
【図19】公知の負性抵抗増幅回路とアンテナ素子を同
一平面に近接して配置する公知の発振装置の構成を示す
説明図である。
【図20】公知のアンテナ機能を兼ねる共振器を用いた
放射型発振装置の他の構成を示す説明図である。
【図21】公知の平面パッチ共振器を用いた放射型発振
装置の別の構成を示す説明図である。
【図22】公知のリングスロット型アンテナを発振用の
共振器として用いた放射型発振装置の構成を示す説明図
である。
【符号の説明】
1a,1b 導体パッチ 2 空隙領域 3 接地導体面 4 高周波トランジスタ 5a,5b 低域フィルタ 6a,6b 直流電源 7 ドレイン 8 ゲート 9 ソース 10 誘電体基板 11 導体平面 12 凸レンズ状の誘電体 13 凹面反射鏡 14 直流バイアスライン 15 チップ状高周波トランジスタ 121 円柱状の誘電体 A 共振器 B 共振器 D 導体パッチ間の接地導体面の幅 D1 導体パッチ間の距離 G 導体パッチと接地導体面と間の空隙幅 L 導体パッチの長さ W 導体パッチの幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J021 AA02 AA09 AB06 CA06 FA24 FA26 FA32 GA08 HA04 HA05 HA10 JA07 JA08 5J045 AA01 AA07 DA10 EA07 FA02 HA03 NA01 5J081 AA11 BB01 CC11 CC24 DD02 EE06 EE09 EE10 FF04 GG01 MM04 MM05 MM07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板上に並列に配置した一対の導
    体パッチと、 上記誘電体基板上に各導体パッチとは空隙を保って配置
    した接地導体面と、 上記導体パッチの各々と接地導体面とにその端子を接続
    して配置した高周波増幅素子と、 上記導体パッチの各々に接続した直流電源と、 を備え、 上記導体パッチの各々と接地導体面とでそれぞれ共振器
    を構成し、その共振器の各々に直流電源からの電力を高
    周波増幅素子を介して入力し、マイクロ波ミリ波帯の高
    周波発振出力を空間に取り出すようにした、 ことを特徴とする平面構造放射型発振装置。
  2. 【請求項2】 上記共振器の各々は、導体パッチの幅お
    よび長さ、導体パッチ間の距離、並びに導体パッチと接
    地導体面との空隙幅をパラメータとしてその高周波発振
    出力が制御される、請求項1に記載の平面構造放射型発
    振装置。
  3. 【請求項3】 上記導体パッチ間の距離を、発振波長の
    1/90〜1/15とする、請求項1に記載の平面構造
    放射型発振装置。
  4. 【請求項4】 上記導体パッチの長さを、発振波長の2
    /5〜3/5とする、請求項1に記載の平面構造放射型
    発振装置。
  5. 【請求項5】 上記誘電体基板上の導体パッチおよび接
    地導体面から下方で発振波長の1/4の距離に、平行に
    導体平面を配置した、請求項1に記載の平面構造放射型
    発振装置。
  6. 【請求項6】 上記誘電体基板上の導体パッチおよび接
    地導体面から下方で発振波長の1/4の距離に、集束性
    の反射鏡面を配置した、請求項1に記載の平面構造放射
    型発振装置。
  7. 【請求項7】 上記誘電体基板上の導体パッチおよび接
    地導体面から下方で発振波長の1/30〜1/10の距
    離に、平行に導体平面を配置した、請求項1に記載の平
    面構造放射型発振装置。
  8. 【請求項8】 上記高周波増幅素子は、電界効果型高周
    波トランジスタであって、ゲートは一方の導体パッチ
    に、ドレインは他方の導体パッチに、またソースは接地
    導体面にそれぞれ接続し、直流電源は少なくともドレイ
    ンを接続した導体パッチに接続する、請求項1に記載の
    平面構造放射型発振装置。
  9. 【請求項9】 上記高周波増幅素子は、接合型高周波ト
    ランジスタであって、ベースは一方の導体パッチに、コ
    レクタは他方の導体パッチに、またエミッタは接地導体
    面にそれぞれ接続し、直流電源は少なくともコレクタを
    接続した導体パッチに接続する、請求項1に記載の平面
    構造放射型発振装置。
  10. 【請求項10】 上記誘電体基板は、高周波誘電損失の
    小さい、高純度シリコン、石英、サファイア、アルミ
    ナ、PTFE、ポリエチレン等の材料から成る、請求項
    1に記載の平面構造放射型発振装置。
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