JP2001242438A - 液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示部の液晶の温度を精度高く制御して
良好な表示作動を行う液晶表示装置を合理的に構成す
る。 【解決手段】 液晶表示部を加熱する電気ヒータ３に電
力を供給する給電線にダミー抵抗器７を直列に備えると
共に、このダミー抵抗器７の温度を計測する温度センサ
９の計測結果に基づいて電気ヒータ３に対する電力の制
御を行う制御部４を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示部と、こ
の液晶表示部を加熱する電気ヒータとを備えた液晶表示
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記のように、液晶表示部を加熱する電
気ヒータを備えた液晶表示装置として特開平８‐２９７
６０号公報に示されるものが存在し、この従来技術では
スーパーツイストネマティック型の液晶表示部に隣接す
る空間を加熱する抵抗発熱体（電気ヒータ）と、この加
熱空間の温度を計測するサミスター等の温度センサとを
備えると共に、この温度センサの計測結果に基づいて抵
抗発熱体に供給する電力の制御を行う制御系を備えるこ
とにより、加熱空間の温度を一定に保つものとなってお
り、液晶表示部を使用する環境の温度が低い場合でも抵
抗発熱体の発熱で液晶表示部の温度を上昇させて表示の
応答性を高めるものにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ここで、前述のように
液晶表示部の温度をフィードバックして液晶表示装置の
温度制御を行うことを考えるに、温度センサを用いる場
合には液晶表示部の中央部の温度を計測することが望ま
しい。しかし、液晶表示部の裏面側であっても表示領域
と重複する位置に温度センサ配置した場合には、その温
度センサが液晶表示装置の表示領域に対して陰となって
現れるため配置することはなく、やむなく液晶表示部の
表示領域から外れた位置や、液晶表示部の側面に接触さ
せる状態で温度センサを備えていた。しかし、このよう
にセンサを配置したものでは液晶表示部からセンサまで
の距離が長くなるので、例えば、電気ヒータの加熱によ
って液晶表示部の温度が充分に高まっていても、熱伝導
の遅れからセンサの部位の温度は高まらず、不必要に加
熱を継続する制御に繋がり、これとは逆に、電気ヒータ
によって液晶表示部の温度が適温まで上昇した状態で電
源スイッチを切り、液晶表示部が放熱した後に電源スイ
ッチを再度入り操作した場合のように、液晶表示部の温
度が低下しているにも拘わらず、センサの部位の温度が
高い状態を維持している状況では、逆の制御が行われる
こととなり、液晶表示装置の温度に基づいた精度の高い
制御を行い難いものとなっていた。しかし、寒冷地で液
晶表示装置を良好な状態で表示させるため加熱すること
は必要であり、無理のない状態で適正な温度に制御する
技術が望まれている。

【０００４】本発明の目的は、液晶表示部の液晶の温度
を精度高く制御して良好な表示作動を行う液晶表示装置
を合理的に構成する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の特徴（請
求項１）は、液晶表示部と、この液晶表示部を加熱する
電気ヒータとを備えた液晶表示装置において、前記電気
ヒータに電力を供給する給電線に抵抗器を直列に備え、
この抵抗器の温度に基づいて前記電気ヒータに対する供
給電力を制御する制御手段を備えている点にあり、その
作用、及び、効果は次の通りである。

【０００６】本発明の第２の特徴（請求項２）は請求項
１において、前記制御手段が、前記抵抗器の温度を計測
する温度センサと、この温度センサで計測される温度に
基づいて前記電気ヒータに供給する電力を調節する制御
部とで構成されている点にあり、その作用、及び、効果
は次の通りである。

【０００７】本発明の第３の特徴（請求項３）は請求項
１において、前記制御手段が、低温時には導通状態を維
持し、温度上昇に基づいて遮断状態に切換わる温度スイ
ッチで構成され、この温度スイッチを前記抵抗器の温度
が作用する部位に配置して構成されている点にあり、そ
の作用、及び、効果は次の通りである。

【０００８】本発明の第４の特徴（請求項４）は請求項
１〜３のいずれか１項において、前記抵抗器の温度が予
め設定された値を超えると電流を遮断する温度ヒューズ
を、前記電気ヒータに電力を供給する給電線に対して直
列に備えて構成されている点にあり、その作用、及び、
効果は次の通りである。

【０００９】〔作用〕

【００１０】上記第１の特徴によると、電気ヒータに電
力を供給する給電線に抵抗器を直列に介装しているの
で、電気ヒータに電力を供給した場合には、電気ヒータ
に流れた電流値と同じ電流値の電流が抵抗器に流れ、抵
抗器が、その電流値の２乗に比例した熱を発生するもの
となる。そして、この抵抗器の温度に基づいて電気ヒー
タに供給する電力を制御することで、液晶表示部の温度
を計測しなくとも液晶表示部の温度を適正な値に維持す
るよう電気ヒータを制御できるものとなる。つまり、液
晶表示部の裏面側にセンサ等を配置したもののように表
示の妨げになる構成を採用する必要がなく、しかも、液
晶表示部の側部にセンサを配置したもののように制御に
熱伝導の遅れに起因するタイムラグを解消した制御も可
能になる。基本的には電気ヒータの消費電力と熱容量、
抵抗器の消費電力と熱容量とが固定であれば、ヒータ部
分の温度と抵抗器の温度は相関がとれるのである。

【００１１】上記第２の特徴によると、抵抗器の温度を
計測する温度センサを備え、この温度センサの計測結果
に基づいて制御部が電気ヒータに供給する電力を調節す
ることになるので、電気ヒータに対する電力を単純にＯ
Ｎ・ＯＦＦする制御ばかりでなく、ＰＷＭ式の電力制御
を行うことや、温度センサで計測される単位時間あたり
温度変化に基づいてＰＩ制御やＰＩＤ制御を行うことも
可能となり、精度の高い温度管理も行い得るものとな
る。

【００１２】上記第３の特徴によると、抵抗器が低温で
ある場合には温度スイッチが導通状態を維持して電気ヒ
ータによる加熱状態を維持すると共に、抵抗器の温度が
上昇した場合には温度スイッチが遮断状態に自動的に切
換わるので、このように遮断状態に切換わる温度を液晶
表示部の表示に適した温度に近い値に設定しておくだけ
で、特別な制御装置類を備えずとも液晶表示部を表示に
適した温度に維持できるものとなる。

【００１３】上記第４の特徴によると、制御手段に異常
が発生して電気ヒータに対する電力の供給を停止できな
くなった場合には、電気ヒータの温度と比例した形で抵
抗器の温度が上昇するものであるが、この温度上昇によ
って抵抗器の温度が異常に高い値まで上昇した場合には
温度ヒューズが電流の供給を遮断するので、液晶表示部
の温度を異常に高い温度まで上昇させる不都合を発生さ
せることもない。

【００１４】〔発明の効果〕従って、視認性を悪化させ
ることなく液晶表示部の液晶の温度を精度高く制御して
良好に表示作動を行い得る液晶表示装置が合理的に構成
されたのである。又、センサの計測結果に基づいた精度
の高い制御を可能にするものとなり、簡単な構造で液晶
表示部の温度を適切な値に維持することが可能となり、
制御手段に異常が発生した場合でも液晶表示部を異常な
高温状態にすることがない。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１に示すように、透明電極膜が
形成された一対の透明基板の間に液晶を封入し、夫々の
透明基板に偏向板を貼り合わせてＳＴＮ型（超ねじれネ
マティック型）液晶表示部１が形成されると共に、この
液晶表示部１の裏面側に冷陰極線管で成るバックライト
２を配置し、これら液晶表示部１とバックライト２との
間に透光性でプレート状の電気ヒータ３を備え、又、こ
れら液晶表示部１、バックライト２、電気ヒータ３夫々
を制御する制御部４を備えて液晶表示装置が構成されて
いる。

【００１６】この液晶表示装置では、図２に示すように
制御部４で制御されるスイッチング素子５を介して電源
６からの電流を電気ヒータ３に供給する給電線を形成す
ると共に、この給電線に対して直列にダミー抵抗器７と
温度ヒューズ８とを備え、この温度ヒューズ８をダミー
抵抗器７からの熱が良好に伝わる位置に配置してある。
更に、ダミー抵抗器７からの熱が良好に伝わる位置にサ
ーミスタで成る温度センサ９を配置し、この温度センサ
９からの信号を制御部４に入力する信号系が形成されて
いる。前記電気ヒータ３は従来例と同様に真空蒸着の技
術やスパッタリングの技術によって透明板に対して導体
を形成して成り、この導体に対する通電によってジュー
ル熱を発するよう構成されている。

【００１７】前記ダミー抵抗器７の発熱量を電気ヒータ
３の発熱量より小さく設定し、又、このダミー抵抗器７
の部位の放熱特性（例えば、単位時間あたりの放熱率）
を液晶表示部１の放熱特性と等しく設定してあることか
ら、例えば、電気ヒータ３に電力を供給した場合には、
図３のグラフに示す如くダミー抵抗器７の温度ＴＤは液
晶表示部１の温度ＴＨと正比例の関係で上昇するものと
なる（図示しないが、電気ヒータ３に対する電力の供給
を停止して液晶表示部１の温度が低下する際にも、液晶
表示部１の温度とダミー抵抗器７の温度とが正比例の関
係で低下するものとなる）。このことから、温度センサ
９で計測されるダミー抵抗器７の温度を計測すること
で、液晶表示部１の温度を判別することが可能であり、
液晶表示部１において最適な表示性能を得る温度域に対
応した温度域にダミー抵抗器７の温度を維持するよう、
温度センサ９で計測される温度を制御部にフィードバッ
クして電気ヒータ３に対する電力を制御することによ
り、液晶表示部１を目標とする温度域に維持できるもの
となっている。又、前記スイッチング素子はトランジス
タで構成され、制御部４はマイクロプロセッサを内蔵す
ると共に、このマイクロプロセッサに予め設定された処
理を行わせるプログラムを備えて構成され、このプログ
ラムに従う制御によりスイッチング素子５を間歇信号で
駆動してＰＷＭ式に電気ヒータ３に供給する電力を制御
するものとなっている。

【００１８】つまり、温度センサ９とスイッチング素子
５と制御部４とで制御手段が構成され、この制御部４
は、電源スイッチ１０をＯＮ操作して制御を開始した場
合には、液晶表示部１に対する表示の開始と、バックラ
イト２の点灯とを行うと共に、ＰＷＭ制御のデューティ
比（ＯＮ時間とＯＦＦ時間との比率）を高くセットして
電気ヒータ３の急速な温度上昇を図り、又、温度センサ
９で計測される温度が予め設定された温度域に達した際
には、温度センサ９で単位時間あたりに計測される温度
の変化を求め、この変化率からＰＩあるいはＰＩＤ等の
制御によって温度センサ９で計測される温度を目標とす
る温度域に維持するようディーティ比を調節する制御を
行うことで制御にタイムラグを発生させることなく効率
的に電力を供給して温度制御を行うものとなっている。
特に、制御部４が故障した場合や異常な制御を行った場
合のように電気ヒータ３に対して電力を供給し続けて、
電気ヒータ３の温度が高まり過ぎる状況が発生する場合
には、温度ヒューズ８が溶断して強制的に電力の供給を
阻止する結果、電気ヒータ３や液晶表示部１の保護が図
られるものとなっている。

【００１９】このように本発明の液晶表示装置では、液
晶表示部１の温度を直接計測できるようハードウエアを
構成しなくとも、電気ヒータ３に電力を供給する給電線
に対して直列に備えたダミー抵抗器７の温度を計測する
温度センサ９を備えることで液晶表示部１の温度を求め
得るものとなっており、更に、この温度センサ９の計測
結果に基づいて電気ヒータ３に供給する電力を制御する
よう制御動作を設定するだけで、液晶表示部１を最適な
温度に維持して反応の良い表示を行わせるものとなって
いる。

【００２０】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態
以外に、例えば、図４に示すように、低温時には導通状
態を維持し、温度上昇に基づいて遮断状態に切換わるバ
イメタル等を用いた温度スイッチ１１をダミー抵抗器７
の温度が伝わる部位に配置すると共に、この温度スイッ
チ１１を給電線に直列で介装する形態で備えることで、
この温度スイッチ１１を制御手段として構成して実施す
ることも可能である。つまり、この構成によると、前述
した実施の形態のように温度センサや制御部等を備える
必要がないばかりか、単純で故障し難い構造でありなが
ら、液晶表示部１の温度を適正な値に維持できるのであ
る。尚、この別実施の形態では前記実施の形態と同じ機
能を有するものには共通する番号・符号を付した。

【００２１】又、本発明では、電気ヒータに電力を供給
する給電線にリレースイッチやサイリスタを備えて、温
度センサの計測結果に基づいて単純なＯＮ・ＯＦＦ制御
によって電気ヒータに対する電力の制御を行うよう実施
形態を設定することも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】制御系の概要を示すブロック図

【図２】電気ヒータの制御回路図

【図３】液晶表示部の温度とダミー抵抗器の温度との関
係をグラフ化した図

【図４】別実施の形態の電気ヒータの制御回路図

【符号の説明】

１ 液晶表示部 ３ 電気ヒータ ４ 制御部 ７ 抵抗器 ８ 温度ヒューズ ９ 温度センサ １１ 温度スイッチ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶表示部と、この液晶表示部を加熱す
   る電気ヒータとを備えた液晶表示装置であって、 前記電気ヒータに電力を供給する給電線に抵抗器を直列
   に備え、この抵抗器の温度に基づいて前記電気ヒータに
   対する供給電力を制御する制御手段を備えている液晶表
   示装置。
2. 【請求項２】 前記制御手段が、前記抵抗器の温度を計
   測する温度センサと、この温度センサで計測される温度
   に基づいて前記電気ヒータに供給する電力を調節する制
   御部とで構成されている請求項１記載の液晶表示装置。
3. 【請求項３】 前記制御手段が、低温時には導通状態を
   維持し、温度上昇に基づいて遮断状態に切換わる温度ス
   イッチで構成され、この温度スイッチを前記抵抗器の温
   度が作用する部位に配置して構成されている請求項１記
   載の液晶表示装置。
4. 【請求項４】 前記抵抗器の温度が予め設定された値を
   超えると電流を遮断する温度ヒューズを、前記電気ヒー
   タに電力を供給する給電線に対して直列に備えて構成さ
   れている請求項１〜３のいずれか１項に記載の液晶表示
   装置。