JP2001226376A - 酸化還元活性を有する縫い込み型インターカレータ - Google Patents

酸化還元活性を有する縫い込み型インターカレータ

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JP2001226376A
JP2001226376A JP2000375019A JP2000375019A JP2001226376A JP 2001226376 A JP2001226376 A JP 2001226376A JP 2000375019 A JP2000375019 A JP 2000375019A JP 2000375019 A JP2000375019 A JP 2000375019A JP 2001226376 A JP2001226376 A JP 2001226376A
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誠 高木
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繁織 竹中
Kenichi Yamashita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 核酸断片試料の相補性の電気化学的な検出に
おいて、特に有効に用いることができる新規な電気化学
活性縫い込み型インターカレータとして有用な化合物を
提供する。 【解決手段】 電気化学活性縫い込み型インターカレー
タとして有用な下記式の化合物: 【化1】Ea−La−X−Lb−Eb [EaとEbとは、酸化還元活性を示し、かつ共役系を含
む基を表わし、Xは二価の環状基を表わし、そしてLa
およびLbは、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長
される共役系を形成することのない連結基であって、少
なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する
部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変
換し得る部位を有する連結基である。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に固定され
たヌクレオチド誘導体もしくはその類縁体などのプロー
ブ分子と相補性を有する核酸断片などのポリヌクレオチ
ド試料もしくはオリゴヌクレオチド試料を電気化学的に
検出する際に電気化学活性な縫い込み型インターカレー
タとして有利に用いることのできる化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】生物学や医学分野での遺伝子発現のモニ
タリング、核酸の塩基配列の決定、遺伝子変異解析、遺
伝子多型解析等においては、特定の配列を有する核酸を
検出する方法として、サザンハイブリダイゼーション法
に代表されるハイブリダイゼーション法が用いられてい
る。サザンハイブリダイゼーション法などの従来公知の
方法では通常、標識としてRI(放射性標識)が用いら
れている。ただし、サザンハイブリダイゼーション法で
は、RIの代わりに蛍光を用いる手法も知られている。
【0003】近年、DNA断片などのポリヌクレオチド
試料あるいはオリゴヌクレオチド試料を、当該DNA断
片と相補性を示すヌクレオチド誘導体もしくはその類縁
体を基板表面に固定した検出用具(一般に、DNAチッ
プあるいはDNAアレイと呼ばれている)を用い、その
相補性を利用して、ハイブリダイゼーションにより、基
板上に固定して、その塩基配列などの分析を行なう技術
が開発され、遺伝子の塩基配列の決定などの目的で利用
されている。このDNAチップ(あるいはDNAアレ
イ)を用いる検出方法では、DNA断片に蛍光標識を付
して、ハイブリダイゼーションにより基板に固定された
DNA断片を検出する手段が利用されている。標識手段
として蛍光を用いる方法は、蛍光の内部消光のために、
一定以上の蛍光物質を標識として導入することは困難で
あるという欠点を有するものの、アトモルのレベルの極
度に少ない量のDNA断片試料の解析が可能な点で有効
な方法であるとされている。
【0004】一方、特開平9−288080号公報に
は、標識手段として導電性物質を使用する方法が開示さ
れている。この方法によると、核酸断片などのヌクレオ
チド誘導体プローブ分子を電極表面に静電的に固定し、
ここに、該ヌクレオチド誘導体に相補性を示すDNA断
片試料、そして酸化還元活性を有する下記式で表される
フェロセンカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエ
ステルで標識された導電性の縫い込み型インターカレー
タを接触させると、プローブ分子とDNA断片試料との
ハイブリダイゼーションによってらせん構造体などの複
合体が形成され、その複合体の内部に導電性インターカ
レータが挿入されるため、電極に電位を印加すると、別
に設けた対極と電極との間に導電性インターカレータを
介して電流が流れるため、その電流量を測定することに
よって、ハイブリッドらせん構造体などの複合体の生成
が検出できる。
【0005】
【化4】
【0006】上記の導電性縫い込み型インターカレータ
は、ナフタレンジイミド環状基をコア(中央核部分)と
し、その両端部に鎖状のリンカー部分を有し、そして、
リンカー部分の先端体部には酸化還元活性を持ち、共役
系を有する導電性フェロセン分子が付いている。
【0007】電極上のプローブ分子に相補性を有する試
料DNA断片の検出では、電極に電位を印加して得られ
る電流量は、プローブ分子、DNA断片試料、測定緩衝
液の塩濃度等の条件によって若干変動するが、上記の導
電性縫い込み型インターカレータを使用した場合には、
流れる電流量は、約450乃至約620mVの範囲にあ
る電位を印加した場合にピーク値を示すため、通常、そ
のピーク電流値を与える約450mVより高い電位を印
加することによって行なわれる。
【0008】上記のピーク電流が発生する電位範囲の約
450乃至約620mVは比較的高い値であるため、そ
のような電位を電極に与える測定装置の製造は、製造コ
スト面で不利になる。また、電極表面に静電結合などの
比較的弱い結合状態で固定されたプローブ分子は、高い
電位の付与によって電極表面から離脱しやすくなるた
め、検出対象となるDNA断片試料の検出感度や検出精
度の低下が問題となる。特に、プローブ分子を有する電
極を、一旦結合したDNA断片試料とインターカレータ
とを離脱させたのち、同様の操作に繰り返し用いる場合
には、検出感度や検出精度の低下が発生しやすい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヌクレオチ
ド誘導体あるいはその類縁体が電極表面に固定されたD
NAチップを用い、DNA断片試料などのポリヌクレオ
チド試料もしくはオリゴヌクレオチド試料を導電性縫い
込み型インターカレータを利用して電気化学的に検出す
る操作の実施に於いて、相対的に低い電位の使用によっ
ても高い検出感度や検出精度での検出操作を可能にする
導電性縫い込み型インターカレータとして有用な化合物
を提供することを主な課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式(1)
で表わされる化合物にある。
【0011】
【化5】Ea−La−X−Lb−Eb −− (1)
【0012】[ただし、EaおよびEbは、互いに独立
に、酸化還元活性を示し、かつ共役系を含む基を表わ
し、Xは二価の環状基を表わし、そしてLaおよびL
bは、互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系
が延長される共役系を形成することのない連結基であっ
て、少なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付
与する部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部
位に変換し得る部位を有する連結基である。]
【0013】上記式(1)において、EaとEb、そして
aとLbとが、それぞれ、互いに同一の基であることが
好ましい。また、La−X−Lbで表わされる連結部の主
鎖の最短の結合路を構成する原子の数が10乃至100
の間、なかでも15乃至70の間、特に20乃至50の
間にあることが好ましい。なお、この連結部の主鎖の最
短の結合路を構成する原子の数の計算を、前記のフェロ
センカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
に適用すると、その原子の数は32となる。
【0014】また、EaおよびEbは、互いに独立に、そ
れぞれ置換基を有していてもよい、一もしくは二以上の
結合手を持つメタロセン、2,2’−ビピリジン錯体、
シクロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、
1,10−フェナントロリン錯体、トリフェニルホスフ
ィン錯体、カテコールアミンおよびビオローゲンからな
る群より選ばれる酸化還元活性基であることが好まし
い。
【0015】上記式(1)の化合物は、特に下記式
(2)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0016】
【化6】 Ea−L1a−L2a−X−L2b−L1b−Eb −− (2)
【0017】[但し、EaおよびEbは、互いに独立に、
酸化還元活性を有し、かつ共役系を含む基を表わし、L
1aおよびL1bは、互いに独立に、それぞれがEaおよび
bの共役系が延長される共役系を形成しない基を表わ
し、L2aおよびL2bは、互いに独立に、水溶性を付与す
る部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に
変換し得る部位を有する連結基を表わし、そしてXは二
価の環状基を表わす。]
【0018】L1aおよびL1bは、互いに独立に、置換基
を有していてもよい炭化水素基、特に、置換基を有して
いてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン基あるい
は置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のア
ルケニレン基であることが好ましい。
【0019】L2aおよびL2bは、互いに独立に、炭素元
素以外の元素(例、N、O、もしくはS)を含む連結基
であることが好ましく、特に、置換基を有していてもよ
い、アミド結合基、エステル結合基、エーテル結合基、
チオエーテル結合基、ジイミド結合基、チオジイミド結
合基、チオアミド結合基、イミノ結合基、カルボニル結
合基、チオカルボニル結合基および1,4−ピペラジニ
ル基からなる群より選ばれる基を含む連結基であること
が好ましい。最も好ましいのは、−NHCO−基、もし
くは−CONH−基である。なお、EaとEb、L1aとL
1b、そしてL2aとL2bとが、それぞれ、互いに同一の基
であることが有利である。
【0020】本発明はまた、 前記式(1)もしくは
(2)で表わされる化合物からなる酸化還元活性を有す
る縫い込み型インターカレータにもある。この縫い込み
型インターカレータは、特にオリゴヌクレオチド試料も
しくはポリヌクレオチド試料の分析のための電気化学的
分析法に有利に用いられる。
【0021】本発明の縫い込み型インターカレータは、
下記のオリゴヌクレオチド試料もしくはポリヌクレオチ
ド試料の分析のための電気化学的分析法に特に有利に用
いられる。 (1)電極基板の表面に備えられた一群のヌクレオチド
誘導体もしくはその類縁体からなるプローブ分子と、該
プローブ分子と相補的な関係にあるオリゴヌクレオチド
試料もしくはポリヌクレオチド試料とを水性媒体と縫い
込み型インターカレータの存在下でハイブリダイズさせ
て、該縫い込み型インターカレータが挿入された、該プ
ローブ分子とオリゴヌクレオチド試料もしくはポリヌク
レオチド試料とのらせん構造体などの複合体を形成させ
る工程、そして上記電極基板に電位を付与し、これによ
り発生する電流を検知する工程を含むオリゴヌクレオチ
ド試料もしくはポリヌクレオチド試料の分析方法。
【0022】(2)電極基板の表面に備えられた一群の
ヌクレオチド誘導体もしくはその類縁体からなるプロー
ブ分子と、該プローブ分子と相補的な関係にあるオリゴ
ヌクレオチド試料もしくはポリヌクレオチド試料とを水
性媒体の存在下でハイブリダイズさせ、次いで縫い込み
型インターカレータを接触させることにより、該縫い込
み型インターカレータが挿入された、該プローブ分子と
オリゴヌクレオチド試料もしくはポリヌクレオチド試料
とのらせん構造体などの複合体を形成させる工程、そし
て上記電極基板に電位を付与し、これにより発生する電
流を検知する工程を含むオリゴヌクレオチド試料もしく
はポリヌクレオチド試料の分析方法。
【0023】上記の分析方法に於いて、本発明の縫い込
み型インターカレータを用いると、電極基板付与する電
位として、100乃至400mVの範囲内の相対的に低
い電位が利用できる。
【0024】なお、本発明の縫い込み型インターカレー
タは、一群のヌクレオチド誘導体もしくはその類縁体か
らなるプローブ分子が備えられた電極基板と組合わせた
分析キットとして利用することもできる。上記の、ヌク
レオチド誘導体もしくはその類縁体の代表例としては、
オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、もしくはペプ
チド核酸を挙げることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の発明者は、公知の導電性
縫い込み型インターカレータを用いてのDNA断片試料
の電気化学的検出操作において必要となる高い電位は、
酸化還元活性を持ち、共役系を有する導電性フェロセン
分子などの導電性基の共役系が、アミド結合部分などの
π結合系にまで拡大した共役系を形成するため、導電性
基における移動性電子密度が低下することに関連がある
という推定のもとに、導電性基の共役系をリンカー部分
にまで拡大させないことにより、検出操作において必要
な電位の低下が実現できるのではないかと期待して、そ
のような化学構造の化合物を合成し、その化合物を導電
性縫い込み型インターカレータと使用して、DNA断片
試料の電気化学的検出操作を実施したところ、その期待
通りの低電圧(低電圧)で電流検出が可能になった。本
発明は、上記の新規な知見に基づいて完成されたもので
ある。
【0026】本発明において導電性縫い込み型インター
カレータとして有利に用いられる化合物は、下記式
(1)で表わされる化合物である。
【0027】
【化7】Ea−La−X−Lb−Eb −− (1)
【0028】本発明において導電性縫い込み型インター
カレータとして特に有利に用いられる化合物は、下記式
(2)で表わされる化合物である。
【0029】
【化8】 Ea−L1a−L2a−X−L2b−L1b−Eb −− (2)
【0030】式(1)および式(2)において、Xは、
置換基を有していてもよい二価の環状基を表す。二価の
環状基としては、平面性を有する環状基であることが好
ましく、二つの窒素原子に結合手を有するナフタレンジ
イミド基、2位と6位、もしくは1位と5位(好ましく
は2位と6位)とに結合手を有するアントラセン基、ア
ントラセン基と同じ位置に結合手を有するアントラキノ
ン基、2位と6位とに結合手を有するフルオレン基、2
位と6位とに結合手を有するビフェニレン基、2位と7
位とに結合手を有するフェナントレン基、および2位と
7位とに結合手を有するピレン基からなる群より選ばれ
る環状基であることが好ましく、二つの窒素原子に結合
手を有するナフタレンジイミド基であることが特に好ま
しい。置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(F、
Cl、Br等)、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキ
ル基であることが好ましいが、水素原子であることが好
ましい。炭素原子数1乃至6のアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、もしくはn−プロピル基であること
が好ましい。
【0031】前記式(1)において、LaおよびLbは、
互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長
される共役系を形成することのない連結基であって、少
なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する
部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変
換し得る部位を有する連結基である。ここで、「水溶性
を付与する部位に変換し得る部位」とは、たとえば、メ
チル基を置換基として有するイミノ基のように、硫酸な
どの酸と接触した場合に、硫酸塩部位に変換され、水溶
性を示すように変化する部位を有する。勿論、「本化合
物に水溶性を付与する部位」に塩部分のような荷電部分
を持っていてもよい。
【0032】LaおよびLbは、互いに独立に、Eaおよ
びEbに隣接する側に、置換基を有していてもよい炭化
水素基(前記式(2)のL1aとL1bに相当する基)を有
し、一方、Xに隣接する側に炭素元素以外の元素を含む
連結基(前記式(2)のL2aとL2bに相当する基)とか
らなる連結基であることが好ましい。従って、Laおよ
びLbは、それぞれ、前記式(2)の−L1a−L2a−、
そして−L2b−L1b−に該当する連結基であることが望
ましい。ここで、L1aとL1bは、互いに独立に、置換基
を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン
基あるいは置換基を有していてもよい炭素原子数が2乃
至6のアルケニレン基であることが好ましく、一方、L
2aとL2bとは、互いに独立に、N、O、もしくはSを含
む連結基であることが望ましい。
【0033】L1aおよびL1bの置換基としては、ヒドロ
キシル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、
シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ホルミルアミノ基、
炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃
至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロ
ゲン化アルキル基、炭素原子数が5乃至7のシクロアル
キルアミノ基、炭素原子数が2乃至12のジアルキルア
ミノ基、炭素原子数が6乃至12のアリール基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至18のアラルキル基、1乃至6のアルキル基を有する
炭素原子数が7乃至18のアラルキルアミノ基、炭素原
子数が2乃至7のアルカノイル基、炭素原子数が2乃至
7のアルカノイルアミノ基、炭素原子数が3乃至10の
N−アルカノイル−N−アルキルアミノ基、アミノカル
ボニル基、炭素原子数が2乃至7のアルコキシカルボニ
ル基、S、NおよびOからなる群より選ばれるヘテロ原
子を1乃至4個含む炭素原子数2乃至10の複素環基、
並びに置換基として炭素原子数1乃至6のアルキル基、
炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、もしくはハロゲン
原子を1乃至5個有していてもよい環構成炭素原子数の
数が6乃至12のアリール基からなる群より選ばれる原
子もしくは基である。置換基の数は、炭素原子数が1乃
至6のアルキレン基では、1乃至12個であることが好
ましく、1乃至3個であることが特に好ましい。炭素原
子数が2乃至6のアルケニレン基については、その数は
1乃至10個であることが好ましく、1乃至3個である
ことが特に好ましい。
【0034】L2aとL2bとは、互いに独立に、それぞ
れ、置換基を有していてもよい、アミド結合基、エステ
ル結合基、エーテル結合基、チオエーテル結合基、ジイ
ミド結合基、チオジイミド結合基、チオアミド結合基、
イミノ結合基、カルボニル結合基、チオカルボニル結合
基および1,4−ピペラジニル基からなる群より選ばれ
る基を一個もしくは複数個含む連結基であることが好ま
しく、特に好ましいのはアミド基(−NHCO−基、も
しくは−CONH−基)である。
【0035】L2aとL2bの置換基の例としては、炭素原
子数が1乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4の
アシル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および
炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数
が7乃至23のアラルキル基からなる群より選ばれる基
で置換されていてもよい。炭素原子数が1乃至3のアル
キル基としては、メチル基もしくはエチル基であること
が好ましく、メチル基であることが特に好ましい。炭素
原子数が2乃至4のアシル基としては、アセチル基であ
ることが好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール
基としては、フェニル基もしくはナフチル基であること
が好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。炭
素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が
7乃至23のアラルキル基としては、ベンジル基である
ことが好ましい。
【0036】L2aとL2bがイミノ結合基である場合、そ
の置換基としては、メチル基であることが特に好まし
い。従って、L2aとL2bは、それぞれ独立に、N−メチ
ル−ジ(n−プロピレニル)イミノ基、1,4−ジ(n
−プロピレニル)−ピペラジニル基であることがさらに
好ましく、N−メチル−ジ(n−プロピレニル)イミノ
基であることが特に好ましい。
【0037】EaおよびEbは、酸化還元活性を有し、こ
れによって導電性を付与する基であり、互いに独立に、
置換基を有していてもよい、一つ以上の結合手を持つメ
タロセン、2,2’−ビピリジン錯体、シクロブタジエ
ン錯体、シクロペンタジエニル錯体、1,10−フェナ
ントロリン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、カテコ
ールアミン、あるいはビオローゲンなどであることが好
ましい。置換基を有していてもよい一つの結合手を持つ
フェロセンであることが特に好ましい。EaおよびEb
互いに同一の基であることが好ましい。次に、置換基を
有するフェロセンの具体例を示す。置換基の位置は、シ
クロペンタジエニル基の何れの位置であってもよい。
【0038】
【化9】
【0039】本発明の縫い込み型インターカレータとし
て有利に用いることのできる化合物は、例えば、公知の
ジアミン化合物を原料として、公知の方法(特開平9−
288080号公報)に準じる製造方法によって簡便に
製造することができる。
【0040】また、本発明の化合物は、公知のジアミン
化合物を出発物質とする下記の式で代表される合成ルー
トによっても安価に、かつ収率良く製造することができ
る。
【0041】
【化10】
【0042】上記合成ルートは、反応<a>、<b>、
および<c>からなる。公知のジアミン化合物を二種類
以上使用し、ナフタレンジイミド構造(コア)に対して
互いに異なるリンカー部分を縮合させてもよいが、本合
成ルートでは、代表的な製造方法を示すこととする。
【0043】以下、それぞれの反応について分説する。
【0044】上記合成ルートの(4)の化合物:A−N
H−R−NH2は、(5)で表わされる公知のジアミン
から、公知の方法(Green T.W.,Wuts.P.G.M,Protective
Groups in Organic Synthesis(2nd Edition,Wiley,New
York,1991,315-345,349-358)に準じる方法を利用して
合成することができる。
【0045】Aは、炭素原子数が2乃至5のアシル基、
炭素原子数が2乃至5のアルコキシカルボニル基、およ
び置換基を有していてもよいベンゾイル基もしくはベン
ジルオキシカルボニル基からなる群より選ばれる基であ
ることが好ましく、アセチル基、t−ブチルカルボニル
基(ピバロイル基)、t−ブトキシカルボニル基、もし
くは置換基を有していてもよいベンジルオキシカルボニ
ル基であることが特に好ましい。ベンゾイル基もしくは
ベンジルオキシカルボニル基が有していてもよい置換基
としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数が
1乃至6のアルキル基、および炭素原子数が1乃至6の
アルコキシ基からなる群より選ばれる原子もしくは基を
挙げることができる。置換基の数は、1乃至5個である
ことが好ましく、1個であることが特に好ましい。
【0046】(4)の保護アミンは、一般的には、ジア
ミン化合物(5)に、Aに対応する酸ハライド、もしく
はAに対応する酸無水物を反応させることによって得る
ことができる。Aに対応する酸ハライド、もしくはAに
対応する酸無水物としては、ベンゾトリアゾール−1−
イル−オキシ(OBt)基、スクシンイミジルオキシ
(OSu)基、3−チアゾリジン−2−チオン基等を脱
離基として有する反応試薬であることが好ましい。この
ような試薬としては、3−ベンジルオキシカルボニル−
1,3−チアゾリジン−2−チオンを用いることが特に
好ましい。上記反応試薬に対して、ジアミン(5)を過
剰量加えることが好ましく、その割合は、3乃至10倍
モルの範囲にあることが特に好ましい。
【0047】反応は、有機塩基もしくは無機塩基を用い
て行なってもよい。有機塩基としては、ピリジン、トリ
エチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等を挙げる
ことができる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等を挙げることができる。塩基の添加
量の割合は、酸ハライド等の反応試薬に対して、0.1
倍乃至大過剰モルの範囲にあることが好ましく、1乃至
10倍モルの範囲にあることが特に好ましい。
【0048】反応は、溶媒中にて実施することが好まし
いが、無溶媒で実施することもできる。溶媒としては、
原料もしくは生成物の全部あるいは一部を溶解すること
ができ、かつ、反応に実質的に不活性の溶媒であれば何
れの溶媒であってもよい。具体的には、アルコール類
(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、エチレングリコール等)、アミド類(例えば、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセト
アミド、N−メチルピロリドン等)、ニトリル類(例え
ば、アセトニトリル、n−ブチロニトリル)、エーテル
類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等)、ジメチルスルホキシド、スル
ホランおよび水を挙げることができる。これらの溶媒を
二種類以上混合して用いてもよい。反応は、冷却下でも
加熱下でも行うことができるが、その温度は、−50乃
至150℃の範囲にあることが好ましく、−10乃至1
00℃の範囲にあることがさらに好ましく、0乃至50
℃の範囲にあることが特に好ましい。
【0049】(3)の化合物:A−NH−R−NHCO
−Q−Eは、(4)の保護アミン化合物と、MO2C−
Q−E、あるいはM1OC−Q−Eとを縮合させること
によって製造することができる(反応<a>)。Mは、
水素原子、アルカリ金属原子(ナトリウム原子、カリウ
ム原子等)、あるいは窒素原子に結合手を有するイミド
基を表す。窒素原子に結合手を有するイミド基として
は、スクシンイミド基、フタルイミド基、グルタルイミ
ド基等を挙げることができる。M1は、活性基を表し、
ハロゲン原子、−SO2Cl基、あるいは後述する縮合
剤との反応中間体の該当する基であることが好ましい。
【0050】反応<a>は、アミノ基とカルボン酸基と
の縮合反応である。縮合反応は、Larock R.C.,Comprehe
nsive Organic Transformations(VCH,New York,1989,97
2-976)に記載されている方法により行うことができる。
縮合反応は、縮合剤を用いて行うことが好ましい。縮合
剤としては、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド等を用いることが好ましい。反応
は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒として
は、原料もしくは生成物の全部あるいは一部を溶解する
ことができ、かつ、反応に実質的に不活性の溶媒であれ
ば何れの溶媒であってもよい。具体的には、前述の反応
<a>で示した有機溶媒に加え、ハロゲン系溶媒(ジク
ロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン
等)、およびエステル類(酢酸エステル等)を挙げるこ
とができる。これらの有機溶媒を混合して用いてもよ
く、水、あるいは水とこれらの有機溶媒との混合溶媒も
好ましく用いることができる。この反応では、(4)の
化合物に対して、例えば、(6)のカルボン酸を過剰量
加えることが好ましく、その割合は1乃至2倍モルの範
囲にあることが好ましい。また、(4)の化合物に対し
ては、M1OC−Q−Eの化合物を、過剰量加えること
が好ましく、その割合は、1乃至3倍モルの範囲にある
ことが好ましい。
【0051】縮合剤として、1,3−ジシクロヘキシル
カルボジイミド、1−エチル−3−(3’−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミド等を用いる場合には、更
に、酸性の添加剤もしくは塩基性の添加剤を用いること
ができる。酸性の添加剤としては、N−ヒドロキシスク
シンイミド、N−ヒドキシベンゾトリアゾール、もしく
は3,4−ジヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベ
ンゾトリアジンを用いることが好ましい。塩基性の添加
剤としては、第三アミン、例えば、トリエチルアミン、
ピリジン、もしくは4−ジメチルアミノピリジンを用い
ることが好ましい。添加剤の添加量は、縮合剤に対し
て、0.1倍乃至大過剰モルの範囲にあることが好まし
く、1乃至3倍モルの範囲にあることが特に好ましい。
反応は、冷却下でも加熱下でも行うことができるが、そ
の温度は、−50乃至150℃の範囲にあることが好ま
しく、−10乃至100℃の範囲にあることがさらに好
ましく、0乃至50℃の範囲にあることが特に好まし
い。
【0052】反応<b>は、アミノ基の脱保護反応であ
る。保護基Aにより脱保護の条件を決定する。一般的に
は、Protective Groups in Organic Synthesisに記載さ
れている条件を用いることができる。その中でも、ヨー
ドトリメチルシランを用いる方法が特に好ましい。この
反応は、溶媒中にて実施することが好ましいが、無溶媒
で実施することもできる。溶媒としては、原料もしくは
生成物の全部あるいは一部を溶解することができ、か
つ、反応に実質的に不活性の溶媒であれば何れの溶媒で
あってもよい。具体的には、ハロゲン系溶媒(例えば、
ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、ニトリル類(例
えば、アセトニトリル、n−ブチロニトリル等)、エー
テル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、芳香族
系溶媒(トルエン、ベンゼン等)、およびこれらの混合
溶媒を挙げることができる。この反応では、(3)の化
合物に対してヨードトリメチルシランを過剰量加えるこ
とが好ましく、その割合は1乃至10倍モルの範囲にあ
ることが好ましい。反応は、冷却下でも加熱下でも行う
ことができるが、その温度は、−50乃至150℃の範
囲にあることが好ましく、−10乃至100℃の範囲に
あることがさらに好ましく、0乃至50℃の範囲にある
ことが特に好ましい。
【0053】反応<c>は、コア部分に相当するナフタ
レンジイミド構造(7)に、(2)の化合物を側鎖とし
て脱水縮合させ、(1)の化合物を得る反応である。コ
ア部分に相当するナフタレンジイミドの原料としては、
一般的に、1,4,5,8−ナフタレン四カルボン酸二
無水物を用いることが好ましい。反応は、原料もしくは
生成物の全部あるいは一部を溶解することができ、か
つ、反応に実質的に不活性の溶媒であることを条件に、
前述の反応<a>、<b>および<c>で示した有機溶
媒あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。反
応では、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物に対して、(2)の化合物を2当量以上加える
ことが好ましい。使用する溶媒によっては、(2)の化
合物の量は2当量以下であってもよい。反応は、冷却下
でも加熱下でも行うことが、0℃乃至使用溶媒の沸点の
温度範囲にて行なうことが特に好ましい。
【0054】次に、本発明の縫い込み型インターカレー
タを用いてDNA断片試料などの核酸断片試料(ポリヌ
クレオチド試料あるいはオリゴヌクレオチド試料)を検
出する方法について説明する。
【0055】本発明の核酸断片試料の検出方法は、下記
の工程を含む。 (1)電極表面にヌクレオチド誘導体もしくはその類縁
体であるプローブ分子を固定した電気化学分析素子に、
核酸断片試料が溶解もしくは分散している水性液を、前
記記載の本発明の縫い込み型インターカレータの存在下
に接触させて、プローブ分子に対して相補性を有する核
酸断片試料とを結合させ、二本鎖複合体を形成させると
共に、該複合体に縫い込み型インターカレータを挿入さ
せる工程を実施する。ここで、電気化学分析素子とは、
基板表面に区画された、導電性を付与された一つまたは
複数の領域のそれぞれにプローブがその一端で固定され
た構造を代表とする分析素子をいう。そして、(2)電
気化学分析素子の導電性部分、好ましくは電極に電位を
印加し、分析素子の電極と対極との間を、縫い込み型イ
ンターカレータを介して流れる電流量を測定する工程を
実施する。なお、(1)の工程において、先にプローブ
分子と核酸断片試料との複合体を形成し、ついで縫い込
み型インターカレータに接触させて、複合体にインター
カレータを挿入することもできる。
【0056】基板表面上に区画された一つまたは複数の
領域とは、導電性を持たない基板上に配置された領域を
いう。領域が複数個である場合には、それらは互いに接
しないように、かつ規則的に配置されていることが好ま
しい。基板表面に区画された一つまたは複数の領域は、
プローブ分子の固定および導電性の付与のため、その表
面が予め処理されている。金、炭素、グラシーカーボン
等で処理されていることが好ましく、金で蒸着処理され
ていることが特に好ましい。基板表面上に区画された一
つまたは複数の領域には、金、炭素等で表面処理をする
前に、電荷を有する親水性の高分子物質等からなる層や
架橋剤からなる層を設けてもよい。このような層を設け
ることによって、表面処理後の領域の凹凸を軽減するこ
とができる。従って、基板表面に区画された、導電性を
付与された一つまたは複数の領域とは、表面処理がなさ
れた導電性を有する領域である。
【0057】基板としては、電気絶縁性の疎水性担体、
あるいは電気絶縁性の低親水性の担体であることが好ま
しい。また、その表面が凹凸を有する平面性の低いもの
であっても好ましく用いることができる。基板の材質と
しては、ガラス、セメント、陶磁器等のセラミックスも
しくはニューセラミックス、ポリエチレンテレフタレー
ト、酢酸セルロース、ビスフェノールAのポリカーボネ
ート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポ
リマー、シリコン、活性炭、多孔質ガラス、多孔質セラ
ミックス、多孔質シリコン、多孔質活性炭、織編物、不
織布、濾紙、短繊維、メンブレンフィルター等の多孔質
物質などを挙げることができる。多孔質物質の細孔の大
きさは、2乃至1000nmの範囲にあることが好まし
く、2乃至500nmの範囲にあることが特に好まし
い。基板の材質は、上記記載の各種ポリマー、ガラスも
しくはシリコンであることが特に好ましい。これは、表
面処理の容易さや電気化学的方法による解析の容易さに
よるものである。基板の厚さは、特に限定されないが、
板状である場合には、100乃至10000μmの範囲
にあることが好ましい。
【0058】導電性を有する一つまたは複数の領域が備
えられた基板としては、文献(Sosnowski,R.G. et al.:
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,1119-1123(1997))に記載の
シリコンチップのような、基板表面に電極を一つまたは
複数配置したものも好ましく用いることができる。電極
としては、金属、合金、金属酸化物、半導体等を挙げる
ことができる。電極の他には、導線であってもよく、プ
リント配線基板のように、電極や導線が基板上の印刷さ
れてなるものであってもよい。
【0059】プローブ分子の固定方法としては、公知の
方法を用いることができる。基板表面に区画された一つ
または複数の領域が金で蒸着処理されている場合には、
オリゴヌクレオチドなどのプローブ分子の5’もしくは
3’末端にメルカプト基を導入し、金とイオウとの配位
結合を介して、オリゴヌクレオチドを当該領域に固定す
る。オリゴヌクレオチドにメルカプト基を導入する方法
は、文献(M.Maeda etal., Chem.Lett.,1805~1808(1994)
およびB.A.Connolly,Nucleic Acids Res.,13,4484(198
5))に記載されている。基板表面に区画された一つまた
は複数の領域がグラシーカーボンで塗布処理されている
場合には、そのグラシーカーボンを過マンガン酸カリウ
ムで酸化することによって、該領域にカルボン酸基が導
入されるため、オリゴヌクレオチドは、アミド結合によ
り該領域に固定される。実際の固定化方法については、
文献(K.M.Millan et al.,Analytical Chemistry,65,231
7~2323(1993))に詳細が記載されている。
【0060】プローブ分子とし用いるオリゴヌクレオチ
ドあるいはポリヌクレオチドは、DNA断片およびRN
A断片、あるいは合成されたオリゴヌクレオチドおよび
合成されたポリヌクレオチドの何れも用いることができ
る。本発明に従う検出方法では、基板上の領域に固定さ
れるプローブ分子が塩基配列既知のオリゴヌクレオチド
あるいはポリヌクレオチドであってもよく、あるいは検
知対象の核酸断片試料がプローブ分子であってもよい。
以下、基板上の領域に固定するプローブ分子が塩基配列
が既知のオリゴヌクレオチドあるいはポリヌクレオチド
である場合を例にして説明する。
【0061】プローブ分子として用いられるヌクレオチ
ド誘導体もしくはその類縁体(例えば、PNA)は、目
的によって二通りに分けることができる。遺伝子の発現
を調べるためには、cDNA、cDNAの一部、EST
等のポリヌクレオチドを使用することが好ましい。これ
らのポリヌクレオチドは、その機能が未知であってもよ
いが、一般的にはデータベースに登録された配列を基に
してcDNAのライブラリー、ゲノムのライブラリーあ
るいは全ゲノムをテンプレートとしてPCR法によって
増幅して調製する。PCR法によって増幅しないものも
好ましく使用することができる。また、遺伝子の変異や
多型を調べるには、標準となる既知の配列をもとにし
て、変異や多型に対応する種々のオリゴヌクレオチドを
合成し、これを使用することが好ましい。塩基配列の分
析の場合には、4n(nは、塩基の長さ)種のオリゴヌ
クレオチドを合成したものを使用することが好ましい。
プローブ分子の塩基配列は、一般的な塩基配列決定法に
よって予めその配列が決定されていることが好ましい。
プローブ分子は、2乃至50量体であることが好まし
く、10乃至25量体であることが特に好ましい。
【0062】プローブ分子の固定は、プローブ分子が溶
解あるいは分散された水性液を基板上の領域に点着して
行うことが好ましい。点着後、所定の温度(好ましく
は、室温)でそのまま数時間放置するとプローブ分子の
一端が基板上の領域に固定される。点着後、必要に応じ
てインキュベーションを行ってもよい。点着の条件は、
使用する基板の種類、大きさ等によって異なる。点着
は、マニュアル操作によっても行うことができるが、D
NAチップ作製装置に装備されたスポッタ装置を用いて
行うことも好ましい。即ち、基板表面に区画された複数
の領域に、スポッタ装置を用いてプローブ分子の水性液
をスポットすることも好ましい。
【0063】上記の工程によって作製された電気化学分
析素子の寿命は、プローブ分子としてcDNAが固定さ
れたcDNA電気化学分析素子で数週間、合成オリゴヌ
クレオチドが固定されてなる電気化学分析素子ではさら
に長期間である。これらの電気化学分析素子は、遺伝子
発現のモニタリング、塩基配列の決定、変異解析、多型
解析等に利用される。検出原理は、後述する、核酸断片
試料とのハイブリダーゼーションである。
【0064】試料核酸断片としては、その配列や機能が
未知であるDNA断片試料あるいはRNA断片試料を用
いることが好ましい。試料核酸断片は、遺伝子発現を調
べる目的では、真核生物の細胞や組織サンプルから単離
することが好ましい。試料がゲノムならば、赤血球を除
く任意の組織サンプルから単離することが好ましい。赤
血球を除く任意の組織は、抹消血液リンパ球、皮膚、毛
髪、精液等であることが好ましい。試料がmRNAなら
ば、mRNAが発現される組織サンプルから抽出するこ
とが好ましい。mRNAは、逆転写反応によりcDNA
とすることが好ましい。一回のハイブリダイゼーション
に必要なmRNA量としては、測定条件によって異なる
が、数μg以下を用いることが好ましい。電気化学分析
素子上のプローブ分子がオリゴヌクレオチドである場合
には、核酸断片試料は低分子化しておくことが望まし
い。
【0065】ハイブリダイゼーションは、核酸断片試料
が溶解あるいは分散した水性液を、電気化学分析素子上
に点着することによって通常実施する。ハイブリダイゼ
ーションは、室温乃至70℃の温度範囲で、そして0.
5乃至20時間の範囲で実施することが好ましい。ハイ
ブリダイゼーション終了後、蒸留水、緩衝液、またはそ
れらと界面活性剤との混合溶液を用いて洗浄を行い、未
反応の核酸断片試料を除去することが好ましい。界面活
性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用
いることが好ましい。緩衝液としては、クエン酸緩衝
液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、グッ
ド緩衝液等を用いることができるが、クエン酸緩衝液を
用いることが特に好ましい。
【0066】ハイブリダイゼーションは、本発明の縫い
込み型インターカレータの存在下にて行なうことができ
る。本発明の酸化還元活性を有する縫い込み型インター
カレータは、一般的に、電気化学分析素子上のプローブ
分子と核酸断片試料とで形成されるハイブリッドDNA
(電気化学分析素子上のプローブ分子およびハイブリダ
イゼーションに供される核酸断片試料の種類を問わず、
形成される二本鎖核酸断片を「ハイブリッドDNA」と
呼ぶ)に高い特異性で結合するため、電極に電位を印加
することにより、電極と対極との間で、インターカレー
タを介して流れる電流量を測定することによって、相補
性を有する核酸断片試料を検出することができる。本発
明のインターカレータを用いて核酸断片試料の検知操作
を行なう場合には、印加する電位は100乃至400m
Vの範囲にあることが好ましく、200乃至400mV
の範囲にあることが特に好ましい。本発明のインターカ
レータが挿入されたハイブリッドDNAは、一般的に、
従来の代表的なインターカレータを用いた場合と異な
り、印加した電位が上記の範囲にある場合に、ピーク電
流値を示すからである。
【0067】本発明の縫い込み型インターカレータは、
部分相補性を示す核酸断片試料を検出する方法にも使用
することができる。部分相補性を示す核酸断片とは、プ
ローブ分子Aに対して相補性を有する核酸断片試料をB
としたときに、核酸断片試料Bと塩基配列が部分的に同
一性(即ち、部分的に非同一性)を示す核酸断片試料で
あって、通常、ミスマッチ試料との表現で表わされる。
このような部分相補性を示す核酸断片試料としては、核
酸断片試料Bに対して塩基欠損、塩基挿入等の塩基配列
の変化を有する核酸断片試料を挙げることができる。部
分相補性核酸断片の検出方法は、特に遺伝子診断分野で
の未知の異常遺伝子の探索・同定に重要な手法である。
【0068】本発明の縫い込み型インターカレータを用
いて、部分相補性を示す核酸断片試料を検出する方法
は、下記の工程を含む。 (1)基板表面に区画された一つまたは複数の領域のそ
れぞれにプローブ分子がその一端で固定されてなる電気
化学分析素子に、部分相補性を示す核酸断片試料(ミス
マッチ試料)が溶解あるいは分散していると推定される
水性液を接触させ、本発明の縫い込み型インターカレー
タの存在下にて、分析素子に電位を印加することによ
り、該分析素子と対極との間をインターカレータを介し
て流れる電流量を測定する工程; (2)電気化学分析素子に固定されているプローブ分子
と完全な相補性を有する核酸断片試料(フルマッチ試
料)を用いて(1)と同じ操作を行うことによって電流
量を測定する工程;そして、 (3)工程(1)と工程(2)のそれぞれで測定された
電流量を比較することによって、工程(1)で用いた核
酸断片試料が、工程(2)で用いた相補性核酸断片に対
して部分相補性の核酸断片(ミスマッチ試料)であるか
否かを検出する工程である。
【0069】上記のミスマッチ試料の検出方法で使用す
るプローブ分子、電気化学分析素子、印加電位、および
検出原理については、前記記載の相補性を有する核酸断
片試料の検出方法の記載と同様である。本発明の検出方
法では、電気化学分析素子上に固定されているプローブ
分子が部分相補性核酸断片であっても、あるいは水性液
中に含まれる核酸断片試料が部分相補性核酸断片試料で
あってもよい。
【0070】上記の工程(1)および工程(2)でそれ
ぞれ得られる電流値間には有意な差を生じるため、部分
相補性核酸断片とのハイブリッドDNA(ここでは、ミ
スマッチ構造のハイブリッドDNA)を容易に検出する
ことができ、このことは、部分相補性核酸断片を容易に
検出することができることを示す。
【0071】本発明の核酸断片試料の検出キットは、電
気化学分析素子、および本発明の縫い込み型インターカ
レータとを組み合わせてなり、遺伝子分野等の研究に携
わる使用者によって特に有効に使用される。
【0072】
【実施例】[製造例1] N,N’−ビス(7−フェロセン酢酸アミド−4−メチ
ル−4−アザヘプチル)ナフタレンジイミドの製造
【0073】
【化11】
【0074】(1)N−1−ベンジロキシカルボニル−
1,7−ジアミノ−4−メチル−アザヘプタンの製造 ジ(3−アミノプロピル)−N−メチルアミン(73.
0g、500ミリモル)をジクロロメタン(400m
L)に溶解し、ここに、3−ベンジロキシカルボニル−
1,3−チアゾリジン−2−チオン(Synthesis,1990,2
7)(12.8g、50ミリモル)のジクロロメタン
(100mL)溶液を滴下し、室温にて3時間攪拌し
た。次いで、生成した沈殿を濾別し、濾液に酢酸エチル
と水とを加えて、酢酸エチルで二度抽出した。酢酸エチ
ル層を水および飽和食塩水で洗浄後、1規定塩酸水溶液
で二度抽出し、得られた水層を酢酸エチルで洗浄した。
水層を冷却しながら、ここに、6規定水酸化ナトリウム
水溶液を加えて、pHを9乃至10に調整し、酢酸エチ
ルにて抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、
無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去し、標題化
合物を黄色油状物として得た(9.4g、収率66
%)。
【0075】1H−NMR(300MHz、CDCl3
δ: 1.58〜1.72(4H,m) 2.20(3H,s) 2.35〜2.45(4H,m) 2.64(2H,t) 3.23〜3.32(2H,m) 5.15(2H,s) 7.22〜7.45(5H,m) MS:FAB 280(M++1)(マトリックス:m
−ニトロベンゼン)
【0076】(2)N−1−ベンジロキシカルボニル−
1−アミノ−7−フェロセン酢酸アミド−4−メチル−
4−アザヘプタンの製造 上記(1)で得られたN−1−ベンジロキシカルボニル
−1,7−ジアミノ−4−メチル−アザヘプタン(3.
0g、11ミリモル)をジクロロメタン(30mL)に
溶解し、ここに、フェロセン酢酸(2.7g、11ミリ
モル)、ピリジン(2mL)およびエチルN,N’−ジ
メチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(2.3
g、12ミリモル)を加え、室温で3時間攪拌した。反
応溶液に、塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチル
で二度抽出し、酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄後、溶
媒を留去した。得られた褐色油状物をアルミナカラムク
ロマトグラフィー(溶出溶媒:クロロホルム/メタノー
ル=20/1)に付し、得られた結晶をヘキサン−酢酸
エチルの混合溶媒で洗浄し、標題化合物をオレンジ色の
結晶として得た(2.6g、収率91%)。
【0077】1H−NMR(300MHz、CDCl3
δ: 1.50〜1.72(4H,m) 2.08(3H,s) 2.20〜2.33(4H,m) 3.15〜3.30(4H,m) 3.34(2H,s) 4.15(5H,s) 4.16(4H,s) 5.15(2H,s) 5.54(1H,bs) 6.44(1H,bs) 7.32〜7.48(5H,m)
【0078】(3)1−アミノ−7−フェロセン酢酸ア
ミド−4−メチル−4−アザヘプタンの製造 上記(2)で得られたN−1−ベンジロキシカルボニル
−1−アミノ−7−フェロセン酢酸アミド−4−メチル
−4−アザヘプタン(1.6g、3.0ミリモル)をア
セトニトリル(30mL)に溶解し、室温で攪拌しなが
ら、ここに、ヨウ化トリメチルシラン(1.25mL、
8.8ミリモル)を滴下した。5分後、反応溶液に1規
定塩酸水溶液と酢酸エチルとを加え、1規定塩酸水溶液
にて三度抽出し、水層を酢酸エチルで洗浄した。氷冷し
た水層に、2規定水酸化カリウム水溶液を加えてpH1
0とし、クロロホルムにて二度抽出した。有機層を飽和
食塩水にて洗浄後、溶媒を留去し、標題化合物を褐色結
晶として得た(1.0g、収率70%)。
【0079】1H−NMR(300MHz、CDCl3
δ: 1.48〜1.62(4H,m) 2.09(3H,s) 2.25〜2.35(4H,m) 2.71(2H,t) 3.22〜3.33(2H,m) 3.35(2H,s) 4.10〜4.21(9H,m) 6.75(1H,bs)
【0080】(4)N,N’−ビス(7−フェロセン酢
酸アミド−4−メチル−4−アザヘプチル)ナフタレン
ジイミドの製造 上記(3)で得られた1−アミノ−7−フェロセン酢酸
アミド−4−メチル−4−アザヘプタン(0.95g、
2.5ミリモル)をテトラヒドロフラン(50mL)に
溶解し、室温で攪拌しながら、ここに、1,4,5,8
−テトラカルボン酸ナフタレン二無水物(0.3g、
1.1ミリモル)を加えたのち7時間環流した。反応溶
液を濾過した後、クロロホルムにて洗浄し、合わせた有
機層から溶媒を留去して得られた残渣をアルミナクロマ
トグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=
15:1)に付し、得られた結晶を酢酸エチルで洗浄
し、標題化合物を褐色結晶として得た(0.32g、収
率30%)。
【0081】1H−NMR(300MHz、CDCl3
δ: 1.56〜1.70(8H,m) 1.78〜1.92(4H,m) 2.12(6H,s) 2.33〜2.46(8H,m) 3.30〜3.42(4H,m) 3.36(4H,s) 4.13(10H,s) 4.20(8H,s) 6.85(2H,bs) 8.80(4H,s) MS:FAB 975(M+H)(マトリックス:m−
ニトロベンゼン)
【0082】[実施例1]ハイブリッドDNAの検出 (1)電気化学分析素子の作製 面積が2.25mm2の金電極に、5’末端にメルカプ
トヘキシル基を有する100ピコモル/1μLのチミン
の20量体(dT20)の水溶液(2μL)を滴下し、室
温で1時間放置して電気化学分析素子を作製した。dT
20の調製、および固定化については、特開平9−288
080号公報に記載の方法に従って行った。 (2)試料DNA断片の調製 試料DNA断片として、アデニンの20量体(dA20
を上記公報に記載の方法に従って調製した。
【0083】(3)ハイブリッドDNAの検出 (1)で作製した電気化学分析素子の表面に、(2)で
得たdA20(70ピコモル)を含む10mMトリス緩衝
液(pH7.5)溶液の2μLを滴下し、25℃で20
分インキュベートした。インキュベート後、分析素子表
面を0.1Mリン酸二水素ナトリウム−リン酸水素二ナ
トリウム水溶液(pH7.0)にて洗浄し、未反応のd
20を除去した。次いで、製造例1で得られた縫い込み
型インターカレータ(50μM)を含む0.1M塩化カ
リウム−0.1M酢酸緩衝液(pH5.6)の混合溶液
中に、洗浄後の分析素子を浸積し、デファレンシャルパ
ルスボルタンメトリー(DPV)を、パルス振幅50m
V、パルス幅50mS、印加電圧100乃至700mV
の範囲およびスキャン速度100mV/秒の条件にて測
定した。応答電位260mVにおける電流量を求めた。
また、試料DNA断片dA20を滴下しない以外は上記と
同様の操作を行って得られた電流量を基本値とし、上記
測定によって得られた電流量の基本値からの変化量
(%)を求めたところ、36%であった。
【0084】[比較例1]縫い込み型インターカレータ
として、前記特開平9−288080号公報に記載され
ている公知の代表的なインターカレータを用い、応答電
位460mVにおける電流量を求める以外は実施例1と
同様にして、電流量の変化量を求めたところ、38%で
あった。
【0085】実施例1および比較例1の結果より、本発
明の縫い込み型インターカレータを使用した場合には、
従来の代表的な縫い込み型インターカレータと使用した
場合に比べて、約200mV低い電圧において、ほぼ同
等の応答電流を得ることができることが分かる。また、
試料DNA断片とのハイブリッドDNAの検出におい
て、本発明の縫い込み型インターカレータを使用した場
合に示す応答電流の変化率は、公知の縫い込み型インタ
ーカレータと使用した場合に示す応答電流の変化率とほ
ぼ同じであることが分かる。
【0086】[実施例2]ミスマッチ構造のハイブリッ
ドDNAの検出 (1)電気化学分析素子の作製 dT191を用いる以外は、実施例1の(1)と同様に
して、電気化学分析素子を作製した。 (2)ミスマッチ構造のハイブリッドDNAの検出 電気化学分析素子として、実施例1の(1)で作製した
電気化学分析素子、および上記(1)の分析素子をそれ
ぞれ用いる以外は実施例1と同様の操作を行って、印加
電圧200乃至400mVの範囲でDPVを測定し、2
60mVでの電流量の変化率を求めたところ、それぞ
れ、36%、20%であった。
【0087】実施例2の結果から、dT191を固定し
て作製された電気化学分析素子に、試料DNA断片d20
Aを接触させて得られるハイブリッドDNAは、ミスマ
ッチ構造のハイブリッドDNAであり、本発明の新規縫
い込み型インターカレータを用いて、260mVという
低電圧の印加によって、フルマッチ構造のハイブリッド
DNAとミスマッチ構造のハイブリッドDNAとの応答
電流の差を求めることができることが分かる。
【0088】従って、電気化学分析素子上のプローブ分
子と、このプローブ分子と完全な相補性を有する塩基配
列(フルマッチ)を持つDNA断片試料とで形成される
ハイブリッドDNAの応答電流の値が予め明らかとなっ
ている場合に、本発明の新規縫い込み型インターカレー
タの使用および260mVの印加電圧の条件下におい
て、試料DNA断片が、電気化学分析素子上のDNA断
片と完全な相補性を有する塩基配列を持つものであるこ
とが容易に確認できることがわかる。
【0089】
【発明の効果】本発明の酸化還元活性を持つ縫い込み型
インターカレータは、新規な導電性縫い込み型インター
カレータであって、一般に、入手容易な試薬より簡便に
合成することができるものである。核酸断片試料の検出
において、本発明のインターカレータを用いた場合、従
来の代表的なインターカレータを用いた場合より、低い
印加電位にてピーク電流値を与えるため、本発明のイン
ターカレータを使用することによって、電気化学分析素
子の再利用回数を増加させ、検出精度や再現性を向上さ
せることもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/416 C12M 1/34 Z 33/483 C12N 15/00 A 33/58 G01N 27/30 351 // C12M 1/34 27/46 336G (72)発明者 竹中 繁織 福岡県古賀市舞の里4−23−21 (72)発明者 山下 健一 福岡県福岡市城南区堤団地17−104

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表わされる化合物: 【化1】Ea−La−X−Lb−Eb −− (1) [ただし、EaおよびEbは、互いに独立に、酸化還元活
    性を示し、かつ共役系を含む基を表わし、Xは二価の環
    状基を表わし、そしてLaおよびLbは、互いに独立に、
    それぞれがEaおよびEbの共役系が延長される共役系を
    形成することのない連結基であって、少なくとも一方の
    連結基が、本化合物に水溶性を付与する部位を有する連
    結基もしくは水溶性を付与する部位に変換し得る部位を
    有する連結基である。]
  2. 【請求項2】 EaとEb、そしてLaとLbとが、それぞ
    れ、互いに同一の基であることを特徴とする請求項1に
    記載の化合物。
  3. 【請求項3】 La−X−Lbで表わされる連結部の主鎖
    の最短の結合路を構成する原子の数が10乃至100の
    間にある請求項1に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 該結合路を構成する原子の数が15乃至
    70の間にある請求項3に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 下記式(2)で表わされる請求項1に従
    う化合物: 【化2】 Ea−L1a−L2a−X−L2b−L1b−Eb −− (2) [但し、EaおよびEbは、互いに独立に、酸化還元活性
    を有し、かつ共役系を含む基を表わし、L1aおよびL1b
    は、互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が
    延長される共役系を形成しない基を表わし、L2aおよび
    2bは、互いに独立に、水溶性を付与する部位を有する
    連結基もしくは水溶性を付与する部位に変換し得る部位
    を有する連結基を表わし、そしてXは二価の環状基を表
    わす。]
  6. 【請求項6】 EaおよびEbが、互いに独立に、それぞ
    れ置換基を有していてもよい、一もしくは二以上の結合
    手を持つメタロセン、2,2’−ビピリジン錯体、シク
    ロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、1,1
    0−フェナントロリン錯体、トリフェニルホスフィン錯
    体、カテコールアミンおよびビオローゲンからなる群よ
    り選ばれる酸化還元活性基であることを特徴とする請求
    項1もしくは5に記載の化合物。
  7. 【請求項7】 L1aおよびL1bが、互いに独立に、置換
    基を有していてもよい炭化水素基であることを特徴とす
    る請求項5に記載の化合物。
  8. 【請求項8】 L1aおよびL1bが、互いに独立に、置換
    基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレ
    ン基あるいは置換基を有していてもよい炭素原子数が2
    乃至6のアルケニレン基であることを特徴とする請求項
    5に記載の化合物。
  9. 【請求項9】 L2aおよびL2bが、互いに独立に、炭素
    元素以外の元素を含む連結基であることを特徴とする請
    求項5に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 L2aおよびL2bが、互いに独立に、
    N、O、もしくはSを含む連結基であることを特徴とす
    る請求項9に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 L2aおよびL2bが、互いに独立に、そ
    れぞれ、置換基を有していてもよい、アミド結合基、エ
    ステル結合基、エーテル結合基、チオエーテル結合基、
    ジイミド結合基、チオジイミド結合基、チオアミド結合
    基、イミノ結合基、カルボニル結合基、チオカルボニル
    結合基および1,4−ピペラジニル基からなる群より選
    ばれる基を含む連結基であることを特徴とする請求項1
    0に記載の化合物。
  12. 【請求項12】 L2aおよびL2bが、互いに独立に、−
    NHCO−基、もしくは−CONH−基であることを特
    徴とする請求項10に記載の化合物。
  13. 【請求項13】 EaとEb、L1aとL1b、そしてL2a
    2bとがそれぞれ、互いに同一の基であることを特徴と
    する請求項5に記載の化合物。
  14. 【請求項14】 下記式(1)で表わされる酸化還元活
    性を有する縫い込み型インターカレータ: 【化3】Ea−La−X−Lb−Eb −− (1) [但し、EaおよびEbは、互いに独立に、酸化還元活性
    を示し、かつ共役系を含む基を表わし、Xは二価の環状
    基を表わし、そしてLaおよびLbは、互いに独立に、そ
    れぞれがEaおよびEbの共役系が延長される共役系を形
    成することのない連結基であって、少なくとも一方の連
    結基が、本化合物に水溶性を付与する部位を有する連結
    基もしくは水溶性を付与する部位に変換し得る部位を有
    する連結基である。]
  15. 【請求項15】 EaとEb、そしてLaとLbとが、それ
    ぞれ、互いに同一の基であることを特徴とする請求項1
    4に記載の縫い込み型インターカレータ。
  16. 【請求項16】 La−X−Lbで表わされる連結部の主
    鎖の最短の結合路を構成する原子の数が10乃至100
    の間にある請求項14に記載の縫い込み型インターカレ
    ータ。
  17. 【請求項17】 オリゴヌクレオチド試料もしくはポリ
    ヌクレオチド試料の分析のための電気化学的分析法に用
    いられる請求項14に記載の縫い込み型インターカレー
    タ。
  18. 【請求項18】 電極基板の表面に備えられた一群のヌ
    クレオチド誘導体もしくはその類縁体からなるプローブ
    分子と、該プローブ分子と相補的な関係にあるオリゴヌ
    クレオチド試料もしくはポリヌクレオチド試料とを水性
    媒体と請求項14に記載の縫い込み型インターカレータ
    の存在下でハイブリダイズさせて、該縫い込み型インタ
    ーカレータが挿入された、該プローブ分子とオリゴヌク
    レオチド試料もしくはポリヌクレオチド試料との複合体
    を形成させる工程、そして上記電極基板に電位を付与
    し、これにより発生する電流を検知する工程を含むオリ
    ゴヌクレオチド試料もしくはポリヌクレオチド試料の分
    析方法。
  19. 【請求項19】 電極基板の表面に備えられた一群のヌ
    クレオチド誘導体もしくはその類縁体からなるプローブ
    分子と、該プローブ分子と相補的な関係にあるオリゴヌ
    クレオチド試料もしくはポリヌクレオチド試料とを水性
    媒体の存在下でハイブリダイズさせ、次いで請求項14
    に記載の縫い込み型インターカレータを接触させること
    により、該縫い込み型インターカレータが挿入された、
    該プローブ分子とオリゴヌクレオチド試料もしくはポリ
    ヌクレオチド試料との複合体を形成させる工程、そして
    上記電極基板に電位を付与し、これにより発生する電流
    を検知する工程を含むオリゴヌクレオチド試料もしくは
    ポリヌクレオチド試料の分析方法。
  20. 【請求項20】 電極基板に付与する電位が100乃至
    400mVの範囲内の電位であることを特徴とする請求
    項18もしくは19に記載の分析方法。
  21. 【請求項21】 一群のヌクレオチド誘導体もしくはそ
    の類縁体からなるプローブ分子が備えられた電極基板、
    そして請求項14に記載の縫い込み型インターカレータ
    とからなるオリゴヌクレオチド試料もしくはポリヌクレ
    オチド試料の分析のための分析キット。
  22. 【請求項22】 ヌクレオチド誘導体もしくはその類縁
    体が、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、もしく
    はペプチド核酸である請求項21に記載の分析キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2018203652A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 島根県 フェロセン化ナフタレンジイミド誘導体、テロメラーゼ活性検出キット、およびテロメラーゼ活性検出方法

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US7041842B2 (en) 2002-03-07 2006-05-09 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Ferrocene-containing, organic gelling compound, and gel and cast film using the same
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