JP2001213906A - 乳化重合用分散安定剤およびビニル樹脂系エマルジョン - Google Patents

乳化重合用分散安定剤およびビニル樹脂系エマルジョン

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JP2001213906A
JP2001213906A JP2000023627A JP2000023627A JP2001213906A JP 2001213906 A JP2001213906 A JP 2001213906A JP 2000023627 A JP2000023627 A JP 2000023627A JP 2000023627 A JP2000023627 A JP 2000023627A JP 2001213906 A JP2001213906 A JP 2001213906A
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pva
polymerization
emulsion
mol
dispersion stabilizer
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JP2000023627A
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Mitsuo Shibuya
光夫 渋谷
Masahiro Saito
昌宏 斉藤
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 形成皮膜の耐水性、耐水接着力、チクソ性等
に優れたビニル樹脂系のエマルジョンを得ることができ
る乳化重合用分散安定剤を提供すること。 【解決手段】 ケン化度とヨード呈色度が特定の条件を
満足するPVAからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアルコ
ール系樹脂(以下、PVAと略記する)の乳化重合用分
散安定剤およびそれを用いたビニル樹脂系エマルジョン
に関し、更に詳しくは、形成皮膜の耐水性、耐水接着
力、チクソ性等に優れたビニル樹脂系エマルジョンを得
るのに有用な乳化重合用分散安定剤およびそれを用いた
ビニル樹脂系エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ酢酸ビニルエマルジョンやアクリル
系樹脂エマルジョンのようなビニル樹脂系のエマルジョ
ンは、塗料や接着剤、粘着剤等の用途に用いられること
も多く、これらの用途に用いられるときは、水平面だけ
でなく垂直面への適用も必要で、作業性との兼ね合いは
あるものの、ある程度のチクソ性が必要となる。
【0003】また、一方では、従来より、耐水性に優れ
た被膜形成が望まれており、更には接着剤や粘着剤等に
用いたときの耐水接着性に優れることも望ましく、これ
らの特性を満足するビニル樹脂系のエマルジョンが望ま
れるところである。
【0004】かかる特性を満足するビニル樹脂系のエマ
ルジョンを得るための方策としては種々考えられるが、
エマルジョン粒子間の相互作用を活発にし、チクソ性を
付与するという点から、かかるエマルジョンの製造時に
用いる乳化重合用分散安定剤の検討が有用な方策であ
る。かかる分散安定剤としては、従来より、PVAが知
られており、かかるPVAについての検討もされてお
り、最近では、ケン化度が80モル%以下で、0.1〜
20モル%のカルボキシル基を含有したPVA(特開平
9−241466号公報)やケン化度が90モル%以下
で、0.1〜20モル%のスルホン酸基を含有したPV
A(特開平10−60015号公報)が提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
いずれのPVAも得られるエマルジョンの皮膜の耐水性
や耐水接着性については未だ不十分である。
【0006】すなわち、本発明の目的とするところは、
皮膜の耐水性に優れ(得られる皮膜の溶出率が少な
い)、接着剤、粘着剤、塗料等に用いたときの耐温水接
着性に優れ、更には流動性やチクソ性にも優れた乳化重
合用分散安定剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者が鋭意
検討した結果、PVAのケン化度(SVモル%)とヨー
ド呈色度(I)が下記(1)式の条件を満足する乳化重
合用分散安定剤が、上記の目的に合致することを見出し
て本発明を完成するに至った。
【0008】 −0.025×SV+2.35<I ・・・(1) 尚、ヨード呈色度とは、0.1重量%に調製した試料
(PVA)溶液5ml、純水11ml、1/1000
[N]ヨード溶液4mlを混合し、25℃に調節して2
0分間静置させた後、波長490nm、スリット幅1m
mにて測定した吸光度を示す。
【0009】また、本発明においては、かかるPVAが
スルホン酸、カルボン酸またはこれらの塩から選ばれる
少なくとも1種のイオン性基を0.1〜5モル%含有す
るとき本発明の作用効果を顕著に得ることができ、かか
るイオン性基の中でもスルホン酸基が好ましい。
【0010】
【発明に実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0011】本発明の乳化重合用分散安定剤は、PVA
からなるもので、かかるPVAのケン化度(SVモル
%)とヨード呈色度(I)が下記(1)式の条件を満足
することを最大の特徴とするもので、かかる条件を満足
しないときは本発明の目的を達成することは困難とな
る。
【0012】 −0.025×SV+2.35<I ・・・(1) 即ち、PVAの製造において、上記の(1)式の関係を
満たすように、ケン化度及びヨード呈色度を調整するこ
とにより、本発明の乳化重合用分散安定剤に用いるPV
Aを得ることができるのである。
【0013】かかる条件を満足するPVAを得るに当た
っては、特に限定されないが、工業的には、PVAの製
造時のケン化工程において、誘電率が34c.g.s.e.s.u.
以下(更には1〜30c.g.s.e.s.u.、特には10〜28
c.g.s.e.s.u.)の溶剤の共存下でアルカリケン化を行う
ことで可能となる。
【0014】かかる誘電率が34c.g.s.e.s.u.以下の溶
媒としては、例えば、酢酸メチル/メタノール=1/1
(重量比)の混合溶媒(21.0c.g.s.e.s.u.)、酢酸
メチル/メタノール=3/1(重量比)の混合溶媒(1
3.9c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル/メタノール=1/
3(重量比)の混合溶媒(27.1c.g.s.e.s.u.)、酢
酸メチル(7.03c.g.s.e.s.u.)、イソプロピルアセ
テート(6.3c.g.s.e.s.u.)、トリクロロエチレン
(3.42c.g.s.e.s.u.)、キシレン(2.37c.g.s.
e.s.u.)、トルエン(2.38c.g.s.e.s.u.)、ベンゼ
ン(2.28c.g.s.e.s.u.)、アセトン(21.4c.g.
s.e.s.u.)等を挙げることができ、工業的には酢酸メチ
ル/メタノール系の混合溶媒が好適に用いられる。
【0015】また、本発明の作用効果をより顕著に得る
ためには、下記(2)式の条件を満足するようにPVA
の調製を行うことが好ましい。
【0016】 −0.025×SV+2.45<I ・・・(2) 本発明の乳化重合用分散安定剤に用いるPVAとして
は、上記の(1)式又は(2)式の条件を満足するもの
であれば、特に限定されないが、かかるPVAのケン化
度としては、90モル%以下(更には86〜68モル
%、特には84〜70モル%)が好ましく、かかるケン
化度が90モル%を越えると得られるエマルジョンの形
成皮膜の耐水性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0017】また、PVAの平均重合度についても、特
に限定されないが、200〜3000(更には400〜
2600、特には500〜2500)とすることが好ま
しく、かかる重合度が200未満では、エマルジョン中
に粗大粒子が多くなったり、或いは得られるエマルジョ
ンの形成皮膜の耐水性が低下する傾向にあり、逆に30
00を越えるとエマルジョンの粘度が高くなり過ぎて好
ましくない。
【0018】尚、上記のヨード呈色度とは、上述したよ
うに0.1重量%に調製した試料(PVA)溶液5m
l、純水11ml、1/1000[N]ヨード溶液4m
lを混合し、25℃に調節して20分間静置させた後、
波長490nm、スリット幅1mmにて測定した吸光度
を意味する。
【0019】本発明の乳化重合用分散安定剤に用いるP
VAとしては、上記の如きPVAであれば良いが、本発
明では、かかるPVAがスルホン酸、カルボン酸または
これらの塩から選ばれる少なくとも1種のイオン性基を
含有するPVAであることが好ましい。
【0020】かかるPVAの製造方法については特に制
限はなく、スルホン酸基やカルボキシル基を有する単量
体及びビニルエステル系化合物より共重合体を得た後、
該共重合体をケン化して、スルホン酸基やカルボキシル
基を導入する方法が有用で、以下かかる方法について説
明する。
【0021】先ず、スルホン酸基を導入する方法を以下
に示す。
【0022】共重合体より導入する方法。
【0023】このときのスルホン酸基を有する単量体と
しては以下のものが挙げられる。 (イ)エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタア
リルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩 (ロ)下記一般式(1)又は(2)で表されるスルホア
ルキルマレート
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】 [但し、上記一般式(1)、(2)においてR1はアル
キル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ
金属又はアンモニウムイオンを示す。]上記のスルホア
ルキルマレートとして具体的には、ナトリウムスルホプ
ロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホ
プロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスル
ホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロ
ピルエイコシルマレート等が挙げられる。 (ハ)下記一般式(3)〜(5)のいずれかで表される
スルホアルキル(メタ)アクリルアミド、スルホアルキ
ル(メタ)アクリレート
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】 [但し、上記一般式(3)〜(5)において、R2,R3,
4,R5,R7,R8,R9は水素又はアルキル基、R6はアル
キル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ
金属又はアンモニウムイオンを示す。] 上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具
体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナ
トリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウム
スルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt
−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
【化6】 [但し、上記一般式(6)においてR10は水素又はアル
キル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ
金属又はアンモニウムイオンを示す。]上記のスルホア
ルキル(メタ)アクリレートとして具体的には、ナトリ
ウムスルホエチルアクリレート等が挙げられる。 (ニ)下記一般式(7)で表されるエチレンオキサイド
モノアリルエーテルの末端水酸基の硫酸エステル体
【0030】
【化7】 [但し、上記一般式(7)においてRは水素又はアルキ
ル基(好ましくは炭素数4以下)、nは1〜60の整数
を示す。] 共重合により導入する場合、スルホン酸基を有する単量
体の中でもオレフィンスルホン酸、又はその塩が好適に
使用される。
【0031】スルホン酸基を有するアルコール、アル
デヒド或いはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖
移動剤として共存させて重合する方法。
【0032】このときは、特に連鎖移動効果の大きいチ
オールに由来する化合物が有効で以下の化合物が挙げら
れる。
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】 [但し、上記一般式(8)〜(11)において、R11
19はそれぞれ水素又はメチル基、nは2〜4の整数、
Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオン
を示す。尚、nが複数のときは、nの数だけ存在する各
14,R15,R17,R18は同じものでも異なるものでもよ
い。] 具体的には、チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロパ
ン等が挙げられる。
【0037】ポリビニルアルコールを臭素、ヨウ素等
で処理した後、酸性亜硫酸ソーダ水溶液で加熱する方
法。
【0038】ポリビニルアルコールを濃厚な硫酸水溶
液中で加熱する方法。
【0039】ポリビニルアルコールをスルホン酸基を
有するアルデヒド化合物でアセタール化する方法、等で
ある。
【0040】次に、カルボキシル基を導入する方法を以
下に示す。
【0041】共重合により導入する方法。
【0042】このときのカルボキシル基を有する単量体
としてエチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和カルボ
ン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、
フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキ
ルエステル等)又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエ
ステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジア
ルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)又
はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン
酸、無水イタコン酸等)、あるいは(メタ)アクリル酸等
の単量体およびその塩が挙げられ、その中でもエチレン
性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好適に使
用される。
【0043】又、カルボキシル基を導入した場合、ケン
化反応時あるいは乾燥時にラクトン環が生成されること
による不溶化が懸念されるがその対策として水溶解性が
良いポリビニルアルコールの製法で既に公知であるマレ
イン酸又は無水マレイン酸に対して0.5〜2.0モル
当量のアルカリ存在下で酢酸ビニルを有機溶媒中共重合
させケン化する方法やカルボン酸基のNa塩のNaを2
価金属(Ca、Mg、Cu等)で置換後、ケン化する方
法も使用される。
【0044】カルボキシル基を有するアルコール、ア
ルデヒドあるいはチオール等の官能基を有する化合物を
連鎖移動剤として共存させ重合する方法。
【0045】このときは、特に連鎖移動効果の大きいチ
オールに由来する化合物が有効で以下の化合物が挙げら
れる。
【0046】
【化12】 HS−(CH2)n−COOH ・・・(12)
【0047】
【化13】 [但し、上記一般式(12)、(13)において、
20,R21,R22はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基
(置換基を含んでもよい)、nは0〜5の整数を示
す。]
【0048】
【化14】 [但し、上記一般式(14)において、nは0〜20の
整数を示す。]及び上記一般式(12)〜(14)で表
される化合物の塩。
【0049】具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプ
トプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メ
ルカプトステアリン酸等が挙げられる。
【0050】更にビニルエステル系化合物としては酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、酪酸ビニ
ル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる
が中でも酢酸ビニルが好適に使用される。
【0051】上記のビニルエステル系化合物の重合の形
式は、従来の公知の形式、例えば塊状重合、溶液重合、
懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合のいずれを
も採用し得るが工業的にはメタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコールやトルエン等を用いる溶液重合が
好ましい。
【0052】またビニルエステル系化合物の製造法につ
いては特に制限はなく、上記に示した方法を採用するこ
とができるが、その多成分の仕込み方法として一括、分
割、連続滴下等が挙げられ、適宜選択すればよい。連鎖
移動剤として共存させ重合する場合は所定の変性量にな
るように重合系のビニルエステルの反応率に応じて連鎖
移動剤を添加することにより、反応系の連鎖移動剤量が
ビニルエステルに対しあまり変化しないようにすること
が好ましい。
【0053】上記の如く側鎖又は末端にスルホン酸基ま
たはカルボキシル基が導入された共重合体(ポリビニル
エステル系重合体)は、次いでケン化されるのである
が、かかるケン化方法としては、アルカリケン化又は酸
ケン化のいずれも採用できるが、工業的にはメタノール
溶媒でNaOHやCH3ONaを触媒としたエステル交
換反応が最も有利である。
【0054】かくして、側鎖又は末端にスルホン酸基ま
たはカルボキシル基(スルホン酸またはその塩、或いは
カルボン酸またはその塩から選ばれるイオン性基)を導
入されたPVAが得られるのであるが、かかるPVA中
のスルホン酸基またはカルボキシル基の含有量(変性
量)は0.1〜5モル%であることが好ましく、更には
0.8〜3.8モル%であることが好ましく、かかる含
有量が0.1モル%未満では、乳化時の重合温度がPV
Aの曇点以上になって重合が不安定になることがあり、
逆に5モル%を越えると得られるエマルジョンの形成皮
膜の耐水性が低下する傾向にあり、また乳化剤として使
用した場合にエマルジョンの重合安定性が低下すること
があり好ましくない。
【0055】また、上記のイオン性基の中でも、重合安
定性を考慮すれば、スルホン酸基を採用することが好ま
しい。
【0056】かくして得られた本発明の乳化重合用分散
安定剤は、皮膜の耐水性に優れ(得られる皮膜の溶出率
が少ない)、接着剤、粘着剤、塗料等に用いたときの耐
温水接着性に優れ、更には流動性やチクソ性にも優れ、
かかる乳化重合用分散安定剤を用いた不飽和単量体の乳
化重合法について、具体的に説明する。
【0057】乳化重合を行う際には、本発明の乳化重合
用分散安定剤、水及び重合触媒の存在下に不飽和単量体
を一時又は連続的に添加して、加熱・撹拌するが如き通
常の乳化重合法が実施され得る。かかる乳化重合用分散
安定剤は、粉末のまま或いは水溶液にして水媒体に加え
られる。使用量は、目的とするエマルジョンの粘度や要
求されるエマルジョンの樹脂分等によって多少異なる
が、通常は不飽和単量体に対して1〜30重量%、好ま
しくは4〜15重量%程度の範囲から好適に選択され
る。
【0058】使用される触媒としては、ラジカル発生剤
なかんずく水溶性触媒が好適に用いられ、例えば過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム等がそれぞれ単独又は酸
性亜硫酸ナトリウムと併用して用いられる。また、過酸
化水素−酒石酸、過酸化水素−鉄塩、過酸化水素−アス
コルビン酸−鉄塩、過酸化水素−ロンガリット、過酸化
水素−ロンガリット−鉄塩などのレドックス系触媒が用
いられ、更には、化薬アクゾ社製「カヤブチルB」や同
社製「カヤブチルA−50C」等の有機過酸化物とレド
ッックス系からなる触媒が用いられ、エマルジョンの耐
熱水接着力の観点から過硫酸系の触媒が好ましい。必要
に応じて更に各種界面活性剤(例えばドデシルベンゼン
スルホン酸、脂肪酸塩等のアニオン系界面活性剤、ノニ
オン系界面活性剤など)あるいは乳化剤(例えばカルボ
キシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,
メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル
酸誘導体、(無水)マレイン酸−ビニルエーテル共重合
体、(無水)マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビ
ニル−(メタ)アリルスルホン酸(塩)共重合体ケン化
物など)、保護コロイドとして本発明のPVA以外の公
知の各種PVA及びPVA誘導体も適宜併用することも
できる。
【0059】更に、フタル酸エステルや燐酸エステル等
の可塑剤、炭酸ナトリウム,酢酸ナトリウム,燐酸ナト
リウム等のpH調整剤等も併用され得る。
【0060】乳化重合の対象となる不飽和単量体として
は、エチレン系不飽和単量体やブタジエン系単量体等が
挙げられ、エチレン系不飽和単量体としては、酢酸ビニ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン
等が挙げられ、これらの単独重合若しくは共重合が実施
され、好適には酢酸ビニルモノマーが使用される。
【0061】また、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル等のアクリル系単量体を単独重合若しくは共重
合する場合、機械的安定性、放置安定性、顔料混和性等
が特に良好なエマルジョンが得られるという顕著な効果
を奏するのでアクリル系単量体の乳化重合にも好適に用
いられる。
【0062】又、ブタジエン系単量体としては、ブタジ
エン−1,3、2−メチルブタジエン、1,3又は2,
3−ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエ
ン−1,3等があり、単独又はエチレン性不飽和単量体
と混合して用いられる。これらの中でもブタジエン−
1,3とスチレン、ブタジエン−1,3とスチレンと
(メタ)アクリル酸、ブタジエン−1,3とアクリロニ
トリル、ブタジエン−1,3とアクリロニトリルとスチ
レン、ブタジエン−1,3とアクリロニトリルと(メ
タ)アクリル酸、ブタジエン−1,3とメタクリル酸メ
チル、ブタジエン−1,3とメタクリル酸メチルと(メ
タ)アクリル酸等の組み合わせで重合を行うことも可能
である。
【0063】上記の如き本発明のビニル樹脂系エマルジ
ョンは、接着剤、バインダー、コーティング剤、内装用
塗料等に用いることができ、特に接着剤として有用で、
かかる接着剤として用いるにあたっては、エマルジョン
は通常固形分濃度30〜60%程度で使用され、その固
形分中の添加剤量が1〜30重量%程度で、充填剤、消
泡剤(或いは発泡剤)、着色剤、造膜助剤、防腐・防虫
剤、防錆剤等の添加物が配合されて接着剤用途に供され
る。また、対象となる接着物(被着体)としては、木
材、紙、プラスチックス、繊維等が挙げられる。
【0064】
【実施例】以下、本発明について実施例を挙げて更に詳
しく説明する。
【0065】尚、例中に断りのない限り、「%」、
「部」とあるのは、重量基準を示す。
【0066】実施例1 [PVAの製造] 〔PVA−1〕2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウムが1.0モル%ランダム重合
(Hanna法により重合を行った。尚、酢酸ビニルの
反応性比γ1を0.05、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸の反応性比γ2を1.16とし
た)されたポリ酢酸ビニル(完全ケン化後の重合度が1
000)40部と誘電率が23.7c.g.s.e.s.u.に調製
された酢酸メチルとメタノールの混合溶媒60部をニー
ダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら水酸化ナ
トリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウ
ムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して10ミリモル
加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗
浄して熱風乾燥機中で乾燥してスルホン酸基含有PVA
〔PVA−1〕を得た。
【0067】得られたスルホン酸基含有PVAのスルホ
ン酸基含有量は1.0モル%、ケン化度(SV)は7
2.0モル%、平均重合度は1000、ヨード呈色度
(I)は0.75で、(1)式を満足する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×72.0
+2.35=0.55、右辺(I)=0.75)もので
あった。 〔PVA−2〕2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウムが1.0モル%ランダム重合
(Hanna法により重合を行った。尚、酢酸ビニルの
反応性比γ1を0.05、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸の反応性比γ2を1.16とし
た)されたポリ酢酸ビニル(完全ケン化後の重合度が1
000)40部と誘電率が27.1c.g.s.e.s.u.に調製
された酢酸メチルとメタノールの混合溶媒60部をニー
ダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら水酸化ナ
トリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウ
ムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して10ミリモル
加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗
浄して熱風乾燥機中で乾燥してスルホン酸基含有PVA
〔PVA−2〕を得た。
【0068】得られたスルホン酸基含有PVAのスルホ
ン酸基含有量は1.0モル%、ケン化度(SV)は7
2.5モル%、平均重合度は1000、ヨード呈色度
(I)は0.58で、(1)式を満足する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×72.5
+2.35=0.54、右辺=(I)0.58)もので
あった。 〔PVA−3〕2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウムが4.0モル%ランダム重合
(Hanna法により重合を行った。尚、酢酸ビニルの
反応性比γ1を0.05、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸の反応性比γ2を1.16とし
た)されたポリ酢酸ビニル(完全ケン化後の重合度が1
000)40部と誘電率が27.1c.g.s.e.s.u.に調製
された酢酸メチルとメタノールの混合溶媒60部をニー
ダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら水酸化ナ
トリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウ
ムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して12ミリモル
加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗
浄して熱風乾燥機中で乾燥してスルホン酸基含有PVA
〔PVA−3〕を得た。
【0069】得られたスルホン酸基含有PVAのスルホ
ン酸基含有量は4.0モル%、ケン化度(SV)は8
3.2モル%、平均重合度は1000、ヨード呈色度
(I)は0.33で、(1)式を満足する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×83.2
+2.35=0.27、右辺(I)=0.33)もので
あった。 〔PVA−4〕2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウムが3.5モル%ランダム重合
(Hanna法により重合を行った。尚、酢酸ビニルの
反応性比γ1を0.05、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸の反応性比γ2を1.16とし
た)されたポリ酢酸ビニル(完全ケン化後の重合度が1
000)40部と誘電率が28.0c.g.s.e.s.u.に調製
された酢酸メチルとメタノールの混合溶媒60部をニー
ダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら水酸化ナ
トリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウ
ムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して13ミリモル
加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗
浄して熱風乾燥機中で乾燥してスルホン酸基含有PVA
〔PVA−4〕を得た。
【0070】得られたスルホン酸基含有PVAのスルホ
ン酸基含有量は3.5モル%、ケン化度(SV)は8
2.0モル%、平均重合度は1000、ヨード呈色度
(I)は0.33で、(1)式を満足する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×82.0
+2.35=0.30、右辺(I)=0.33)もので
あった。 〔PVA−5〕イタコン酸1.0モル%ランダム重合
(Hanna法により重合を行った。尚、酢酸ビニルの
反応性比γ1を0.029、イタコン酸の反応性比γ2
20.4とした)されたポリ酢酸ビニル(完全ケン化後
の重合度が1000)40部と誘電率が21.0c.g.s.
e.s.u.に調製された酢酸メチルとメタノールの混合溶媒
60部をニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちな
がら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水
酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して
13ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノ
ールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してカルボキシ
ル基含有PVA〔PVA−5〕を得た。
【0071】得られたカルボキシル基含有PVAのカル
ボキシル基含有量は1.0モル%、ケン化度(SV)は
75.2モル%、平均重合度は1000、ヨード呈色度
(I)は0.64で、(1)式を満足する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×72.5
+2.35=0.54、右辺(I)=0.64)もので
あった。 〔PVA−6〕アリルスルホン酸ナトリウム1.0モル
%重合(初期一括仕込みによる)されたポリ酢酸ビニル
(完全ケン化後の重合度が400)40部と誘電率が2
0.0c.g.s.e.s.u.に調製された酢酸メチルとメタノー
ルの混合溶媒60部をニーダーに仕込み、溶液温度を4
0℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。
これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル
単位に対して13ミリモル加えてケン化し、析出物をろ
別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し
てスルホン酸基含有PVA〔PVA−6〕を得た。
【0072】得られたスルホン酸基含有PVAのスルホ
ン酸基含有量は1.0モル%、ケン化度(SV)は7
8.2モル%、平均重合度は400、ヨード呈色度
(I)は0.55で、(1)式を満足する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×78.2
+2.35=0.40、右辺(I)=0.55)もので
あった。 〔PVA−7〕マレイン酸モノメチル1.0モル%ラン
ダム重合(滴下仕込みによる)されたポリ酢酸ビニル
(完全ケン化後の重合度が1000)38部と誘電率が
20.0c.g.s.e.s.u.に調製された酢酸メチルとメタノ
ールの混合溶媒62部をニーダーに仕込み、溶液温度を
40℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和し
た。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビ
ニル単位に対して11ミリモル加えてケン化し、析出物
をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾
燥してスルホン酸基含有PVA〔PVA−7〕を得た。
【0073】得られたカルボキシル基含有PVAのカル
ボキシル基含有量は1.0モル%、ケン化度(SV)は
78モル%、平均重合度は1000、ヨード呈色度
(I)は0.58で、(1)式を満足する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×78+
2.35=0.4、右辺(I)=0.58)ものであっ
た。 〔PVA−8〕本文中の一般式(7)で示される(Rが
水素、n=15)エチレンオキサイドモノアリルエーテ
ルの末端水酸基の硫酸エステル体1.0モル%が共重合
されたポリ酢酸ビニル(完全ケン化後の重合度が60
0)40部と誘電率が20.0c.g.s.e.s.u.に調製され
た酢酸メチルとメタノールの混合溶媒60部をニーダー
に仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら水酸化ナトリ
ウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムを
ポリマー中の酢酸ビニル単位に対して14ミリモル加え
てケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄し
て熱風乾燥機中で乾燥して硫酸エステル基含有PVA
〔PVA−8〕を得た。
【0074】得られた硫酸エステル基含有PVAの硫酸
エステル基含有量は1.0モル%、ケン化度(SV)は
75モル%、平均重合度は600、ヨード呈色度(I)
は0.63で、(1)式を満足する(左辺=−0.02
5×SV+2.35=−0.025×75+2.35=
0.475、右辺(I)=0.63)ものであった。 〔PVA−a〕実施例1において、酢酸メチルとメタノ
ールの混合溶媒に変えて、誘電率が34.2c.g.s.e.s.
u.に調製されたメタノール水溶液を用い、水酸化ナトリ
ウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して13ミリモ
ルとした以外は同様に行って、スルホン酸基含有PVA
〔PVA−a〕を得た。
【0075】得られたスルホン酸基含有PVAのスルホ
ン酸基含有量は1.0モル%、ケン化度(SV)は7
2.0モル%、平均重合度は1000、ヨード呈色度
(I)は0.45で、(1)式を逸脱する(左辺=−
0.025×SV+2.35=−0.025×72.0
+2.35=0.55、右辺(I)=0.45)もので
あった。
【0076】実施例1 (酢酸ビニル樹脂エマルジョンの製造)撹拌器、還流冷
却器、滴下ロート、温度計を備えたセパラブルフラスコ
に水60部、上記で得られた乳化重合用分散安定剤〔P
VA−1〕4部及びpH調整剤として酢酸ナトリウム
0.02部、酢酸ビニルモノマー3.6部を仕込み、撹
拌しながらフラスコ内の温度を60℃に上げた。その間
窒素ガスでフラスコ内を置換しながら、1%の過硫酸ア
ンモニウム水溶液を5ml添加して重合を開始した。初
期重合を30分間行い、残りの酢酸ビニルモノマー3
2.4部を3時間かけて滴下し、更に1%の過硫酸アン
モニウム水溶液5mlを1時間毎に4分割して重合を行
った。その後、75℃で1時間熟成した後冷却して、固
形分39.8%、粘度22Pa・sec(25℃)の酢
酸ビニルのエマルジョンを得た。
【0077】得られた酢酸ビニルのエマルジョンについ
て、性状、形成皮膜の溶出率、耐温水接着力、チクソ性
を以下の要領で評価した。 (性状)製造後のエマルジョンを水で希釈して樹脂分を
10%とした後、400メッシュの金網で濾過して金網
上に残った樹脂分を調べて、以下の通り評価した。
【0078】 ○ −−− 金網上に残った樹脂分が全樹脂分の0.0
1%未満 △ −−− 金網上に残った樹脂分が全樹脂分の0.0
1〜0.02%未満 × −−− 金網上に残った樹脂分が全樹脂分の0.0
2%を越える 尚、樹脂分の測定にあたっては、105℃で3時間乾燥
後に重量(g)測定を行った。 (皮膜溶出率)得られたエマルジョンを20℃、65%
RHの雰囲気下で、PETフィルム上に流延し、10日
間放置して、膜厚600μmの試験片(皮膜)を作製
後、該皮膜を直径3cmの円形に打ち抜いて、50℃の
水に8時間浸せきしたときの溶出率(%)を下記計算式
により求めた。
【0079】溶出率(%)={(浸せき前の皮膜重量−浸
せき後の皮膜重量)/浸せき前の皮膜重量}×100 尚、皮膜重量の測定にあたっては、105℃で3時間乾
燥後に重量(g)測定を行った。 (耐温水接着力)得られたエマルジョンをカバ材に13
0g/m2塗布して張り合わせて、6kg/cm2の荷重
で5時間圧締して接着試験体を作製後、60℃の温水に
4時間浸せきさせ、温水から取り出し直後(濡れたま
ま)の圧縮せん断強度(kg/cm2)を測定した。 (チクソ性)製造後のエマルジョンを室温(25℃)
で、B型粘度計を用いて2.5回転と20回転で粘度を
測定を行い、下記計算式で構造粘性指数(S.V.I.)を算
出した。
【0080】S.V.I.=log(2.5回転での粘度/2
0回転での粘度)/0.903 実施例2 実施例1において、PVA−1に替えて、PVA−2を
乳化重合用分散安定剤として用いた以外は同様にして、
酢酸ビニル樹脂エマルジョン[固形分39.9%、粘度
14Pa・sec(25℃)]を製造して、同様に評価
を行った。
【0081】実施例3 実施例1において、PVA−1に替えて、PVA−3を
乳化重合用分散安定剤として用いた以外は同様にして、
酢酸ビニル樹脂エマルジョン[固形分39.9%、粘度
11Pa・sec(25℃)]を製造して、同様に評価
を行った。
【0082】実施例4 実施例1において、PVA−1に替えて、PVA−4を
乳化重合用分散安定剤として用いた以外は同様にして、
酢酸ビニル樹脂エマルジョン[固形分39.8%、粘度
12Pa・sec(25℃)]を製造して、同様に評価
を行った。
【0083】実施例5 実施例1において、PVA−1に替えて、PVA−5を
乳化重合用分散安定剤として用いた以外は同様にして、
酢酸ビニル樹脂エマルジョン[固形分38.8%、粘度
16Pa・sec(25℃)]を製造して、同様に評価
を行った。
【0084】実施例6 (アクリル樹脂エマルジョンの製造)撹拌器、還流冷却
器、滴下ロート、温度計を備えたセパラブルフラスコに
水60部、上記で得られた乳化重合用分散安定剤〔PV
A−6〕4部、アクリル酸エチル3.6部及びpH調整
剤として第2燐酸ナトリウムを全体に対して200pp
mを仕込み、撹拌しながらフラスコ内の温度を60℃に
上げた。その間窒素ガスでフラスコ内を置換しながら、
過硫酸アンモニウム水溶液を0.2部添加して重合を開
始した。初期重合を30分間行い、残りのアクリル酸エ
チル32.4部を4時間かけて滴下し、更に1%の過硫
酸アンモニウム水溶液5mlを1時間毎に4分割して重
合を行った。その後、75℃で1時間熟成した後冷却し
て、固形分39.9%、粘度5.2Pa・sec(25
℃)のアクリル系樹脂エマルジョンを得た。得られたエ
マルジョンについて、実施例1と同様に評価を行った。
【0085】実施例7 実施例1において、PVA−1に替えて、PVA−7を
乳化重合用分散安定剤として用いた以外は同様にして、
酢酸ビニル樹脂エマルジョン[固形分39.9%、粘度
25Pa・sec(25℃)]を製造して、同様に評価
を行った。
【0086】実施例8 実施例6において、PVA−6に替えて、PVA−8を
4部乳化重合用分散安定剤として用いた以外は同様にし
て、アクリル系樹脂エマルジョン[固形分39.9%、
粘度7.2Pa・sec(25℃)]を製造して、同様
に評価を行った。
【0087】比較例1 実施例1において、未変性PVA(ケン化度72.0モ
ル%、平均重合度1000、ヨード呈色度2.20)を
乳化重合用分散として用いた以外は同様に重合を行った
が、重合途中でゲル化して酢酸ビニル樹脂エマルジョン
は得られなかった。
【0088】比較例2 実施例1において、PVA−1に替えて、PVA−aを
乳化重合用分散として用いた以外は同様にして、酢酸ビ
ニル樹脂エマルジョン[固形分40.1%、粘度5.6
Pa・sec(25℃)]を製造して、同様に評価を行
った。
【0089】実施例及び比較例の評価結果を表1に示
す。
【0090】
【表1】 性状 溶出率(%) 耐温水接着性(kg/cm2) チクソ性 実施例1 ○ 2.7 31.5 0.69 〃 2 ○ 3.5 29.2 0.63 〃 3 ○ 4.2 25.2 0.58 〃 4 ○ 4.5 23.2 0.56 〃 5 ○ 3.1 29.5 0.61 〃 6 ○ 2.3 28.5 0.68 〃 7 ○ 3.6 28.8 0.67 〃 8 ○ 2.9 32.0 0.70 比較例1 エマルジョンが得られず 〃 2 ○ 6.8 18.4 0.45
【0091】
【発明の効果】本発明の乳化重合用分散安定剤は、ケン
化度とヨード呈色度が特定の条件を満足するPVAから
なるため、形成皮膜の耐水性、耐水接着力、チクソ性等
に優れ、本発明の乳化重合用分散安定剤を用いて得られ
たかかるエマルジョンは、接着剤用途、内装用塗料等に
大変有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度
    (SVモル%)とヨード呈色度(I)が下記(1)式の
    条件を満足することを特徴とする乳化重合用分散安定
    剤。 −0.025×SV+2.35<I ・・・(1)
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系樹脂がスルホン
    酸、カルボン酸またはこれらの塩から選ばれる少なくと
    も1種のイオン性基を0.1〜5モル%含有することを
    特徴とする請求項1記載の乳化重合用分散安定剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の乳化重合用分散
    安定剤を用いたことを特徴とするビニル樹脂系エマルジ
    ョン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS62119202A (ja) * 1985-11-18 1987-05-30 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコ−ル系ポリマ−、その製造法、およびそのポリマ−よりなる紙の表面サイズ剤および分散安定剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS62119202A (ja) * 1985-11-18 1987-05-30 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコ−ル系ポリマ−、その製造法、およびそのポリマ−よりなる紙の表面サイズ剤および分散安定剤

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