JP2001212610A - 連続鋳造鋳片の直送圧延方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の直送圧延方法

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JP2001212610A
JP2001212610A JP2000021093A JP2000021093A JP2001212610A JP 2001212610 A JP2001212610 A JP 2001212610A JP 2000021093 A JP2000021093 A JP 2000021093A JP 2000021093 A JP2000021093 A JP 2000021093A JP 2001212610 A JP2001212610 A JP 2001212610A
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Mikio Suzuki
幹雄 鈴木
Hiroshi Awajiya
浩 淡路谷
Shinji Mitao
眞司 三田尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面性状に優れた鋼板の製造を可能とする連
続鋳造鋳片の直送圧延方法を確立する。 【解決手段】 連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を熱
間圧延するか、又は、連続鋳造機で鋳造された高温の鋳
片を加熱炉に装入して加熱後に熱間圧延するか、何れか
の方法で鋼板を製造する連続鋳造鋳片の直送圧延方法に
おいて、連続鋳造機での鋳造中又は鋳造直後の、その表
面温度が900℃以上の鋳片1を酸素富化雰囲気4中で
酸化させて、鋳片表層部に酸化層を形成させ、この酸化
層を除去した後に熱間圧延する。その際、酸化層の厚み
を1mm以上とすること、及び、酸素富化雰囲気中の酸
素濃度を50%以上とすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造機により
鋳造された無手入れの高温鋳片を直接、あるいは表面温
度を中心温度と同じにする程度の保温・加熱を行った後
に熱間圧延するか、又は、連続鋳造機により鋳造された
無手入れの高温鋳片を加熱炉に装入して加熱した後に熱
間圧延するか、何れかの方法(本発明ではこれらをまと
めて「直送圧延」と定義する)で鋼板を製造する直送圧
延方法に関し、詳しくは、表面性状に優れた鋼板を製造
することができる直送圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造鋳片の表層部には、縦割れ、横
割れ、ノロカミ、ブローホール等の表面欠陥があり、例
えば特開昭61−264135号公報や特開昭62−3
4602号公報に開示されるように、連続鋳造鋳片を直
送圧延して鋼板を製造する場合、鋳片にはこれらの表面
欠陥が無いことが必要であり、そのため、表面欠陥を回
避する様々な手段を用いて直送圧延が実施されている。
【0003】具体的な対策例として、縦割れは鋳型内の
冷却速度を低下すると減少することが知られており、鋳
型内での抜熱を少なくするモールドパウダーが開発さ
れ、縦割れ防止に効果をあげている。横割れは鋳片表面
温度を鋼の脆化温度範囲外の850℃以上に保持して連
続鋳造機の矯正帯を通過させることで防止可能であり、
二次冷却強度及び鋳片引き抜き速度の制御により850
℃以上の表面温度を確保して横割れが防止されている。
ノロカミの低減にはモールドパウダーの性状を最適化す
ると共に鋳型内の溶鋼流動を制御することが必要であ
り、鋳造条件毎にその条件に合致するモールドパウダー
が開発され、又、電磁力を用いた鋳型内溶鋼の流動制御
が行われ、ノロカミ低減に効果をあげている。ブローホ
ールは浸漬ノズル内に吹き込まれるArに起因して発生
するため、Arの吹き込み流量を必要最低限に制御して
その発生を抑えている。このような対策を積み上げ実施
することで直送圧延が実用化している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記対
策を実施しても直送圧延により製造された鋼板の表面品
質は再加熱材に比べて劣る。ここで再加熱材とは、常温
まで冷却した鋳片を無手入れのまま加熱炉に装入して圧
延温度まで加熱し、次いで、圧延して製造した鋼板であ
る。
【0005】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、表面性状に優れた鋼板の製造
を可能とする連続鋳造鋳片の直送圧延方法を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、直送圧延により製造された鋼板の表
面品質が再加熱材に比べて劣る原因を調査した。図1は
鋳片表面に発生した縦割れの長さと深さとの関係を示す
図である。図1に示すように、長さが20mm以下の縦
割れはその深さが1mm以下であることが分かった。
又、鋳片に発生する縦割れの長さ分布を調査した結果、
発生する縦割れの90〜95%は長さ20mm以下であ
ることも分かった。即ち、鋳片に存在する縦割れのほと
んどは、鋳片表面から1mm以内に存在することが分か
った。同様に、ノロカミ及びブローホールの調査結果で
も、これら表面欠陥の大半は鋳片表面から1mm以内に
存在することが分かった。
【0007】これらの結果から、直送圧延により製造さ
れた鋼板の表面品質が再加熱材に比べて劣る原因は、鋳
片表層部に存在する縦割れ、ノロカミ、ブローホール等
の表面欠陥であり、これらの欠陥の大半は鋳片表面から
1mm以内に存在しており、従って、鋳片表層部1mm
の範囲に存在する表面欠陥を除去すれば、圧延後の鋼板
表面性状は飛躍的に向上するという知見を得た。
【0008】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、第1の発明に係る連続鋳造鋳片の直送圧延方法は、
連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を熱間圧延するか、
又は、連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を加熱炉に装
入して加熱後に熱間圧延するか、何れかの方法で鋼板を
製造する連続鋳造鋳片の直送圧延方法において、連続鋳
造機での鋳造中又は鋳造直後の、その表面温度が900
℃以上の鋳片を酸素富化雰囲気中で少なくとも30秒間
以上酸化させて、鋳片表層部に酸化層を形成させ、この
酸化層を除去した後に熱間圧延することを特徴とするも
のである。
【0009】第2の発明に係る連続鋳造鋳片の直送圧延
方法は、第1の発明において、前記酸化層厚みを1mm
以上とすることを特徴とするものである。
【0010】第3の発明に係る連続鋳造鋳片の直送圧延
方法は、第1の発明又は第2の発明において、前記酸素
富化雰囲気中の酸素濃度を50%以上とすることを特徴
とするものである。
【0011】第4の発明に係る連続鋳造鋳片の直送圧延
方法は、第3の発明において、前記酸素富化雰囲気中で
酸化させる際に、鋳片表面温度(Ts)と酸素富化雰囲
気中の酸素濃度(%O2 )との関係を(1)式の範囲内
に制御することを特徴とするものである。 Ts>1000− 2×[(%O2 )−50]…(1)
【0012】鋳片表層部を急速に酸化させることで、縦
割れ先端部の酸化層厚みは縦割れの無い健全部の酸化層
厚みとほとんど同一になる。従って、鋳片表面から少な
くとも1mmの範囲を急速に酸化させ、例えば熱間圧延
開始時のスケールブレーカーを用いてこの酸化層を除去
することにより、縦割れを始め、表面から1mm以内に
存在する表面欠陥はこの酸化層と共に除去され、圧延後
には欠陥が極めて少ない鋼板が製造される。しかし、空
気で酸化させるように酸化速度が遅い場合には、鋳片表
面の健全部では酸化層厚みは薄くなるが、割れ部では割
れ内部に酸化層が形成され、割れの先端部には粒状酸化
物が形成される。この場合、割れ先端部の粒状酸化物は
除去されず、圧延すると表面欠陥になる。
【0013】そこで、鋳片表面から1mmの範囲を粒状
酸化物を形成させずに酸化させる条件を試験により求め
た。試験は、炭素濃度が0.08wt%、マンガン濃度
が1.2wt%の炭素鋼の試験片を用い、雰囲気制御可
能な加熱炉中に試験片を装入して、加熱温度、雰囲気中
の酸素濃度、及び酸化時間を変化させ、試験片表層部に
生成する酸化層の厚み及び粒状酸化物形成の有無を測定
した。試験は先ず不活性ガス雰囲気中で試験片を試験温
度まで加熱しておき、ある瞬間不活性ガス雰囲気から酸
素富化雰囲気に切り替え、所定時間経過した時点で再び
不活性ガス雰囲気にし、その後冷却して行った。
【0014】図2は、酸化時間を60秒間とした時の、
加熱温度と酸化層厚みとの関係を調査した結果を示す図
である。図2で明らかなように、雰囲気中の酸素濃度が
高くなると共に酸化層厚みが増大し、加熱温度が100
0℃以下で60秒の酸化時間では、酸素濃度が50%以
上の酸素富化雰囲気で1mmの酸化層を形成させること
ができた。換言すれば、鋳片表面温度が1000℃以下
の条件で60秒以内に1mm厚みの酸化層を形成しよう
とすると、雰囲気中の酸素濃度は50%以上にする必要
がある。
【0015】このようにして加熱温度、雰囲気中の酸素
濃度、及び酸化時間を変化させ、1mmの酸化層を形成
させるための条件を求めた。その結果、雰囲気中の酸素
濃度が100%の場合には加熱温度が900℃で30秒
間の酸化、雰囲気中の酸素濃度が50%の場合には加熱
温度が980℃で60秒の酸化を施せば良いことが分か
った。即ち、1mmの酸化層を形成させるために必要な
酸化時間は、雰囲気中の酸素濃度及び加熱温度により変
化することが分かった。
【0016】又、粒状酸化物の調査結果では、空気で酸
化させた場合には何れの場合も粒状酸化物が発生した
が、酸素濃度が40%以上の酸素富化雰囲気では、加熱
温度に依存するものの、粒状酸化物を発生させずに酸化
させることが可能であることが分かった。
【0017】本発明では、酸素濃度が空気中濃度よりも
富化された雰囲気中で、表面温度が900℃以上の鋳片
を酸化させるので、鋳片表層部は急激に酸化され、鋳片
表層部に縦割れが存在しても、割れ先端部に粒状酸化物
が形成されることがない。そして、この酸化層を除去し
てから熱間圧延を行うので、縦割れを始め、表層部に存
在する表面欠陥はこの酸化層と共に除去され、表面欠陥
の無い鋼板の製造が可能となる。
【0018】その際、酸化層の厚みを1mm以上とする
ことで、鋳片表層部に存在する大半の表面欠陥を除去す
ることが可能となり、表面性状に優れた鋼板を製造する
ことができる。又、酸素富化雰囲気中の酸素濃度を50
%以上とすることで、酸化層を迅速に形成させることが
できると共に、粒状酸化物の形成を防止することができ
る。更に、後述する実施例で示すように、酸素富化雰囲
気中の酸素濃度を50%以上とし、且つ、酸素富化雰囲
気中で酸化させる時の鋳片表面温度(Ts)と酸素富化
雰囲気中の酸素濃度(%O2 )との関係を、前記(1)
式の範囲内に制御することで、安定して1mm以上の酸
化層を形成させることができ、表面性状に優れた鋼板を
安定して製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して説
明する。図3は、本発明の実施の形態の例を示す図であ
って、スラブ連続鋳造機の側面概要図である。
【0020】図3に示すように、浸漬ノズル5を介して
鋳型6内に鋳造された溶鋼は、鋳型6内で冷却されて凝
固殻3を形成し、内部に未凝固相2を有する鋳片1とし
て、鋳型6の下方に設けたサポートロール7、ガイドロ
ール8、及びピンチロール9に支持されつつ、ピンチロ
ール9の駆動力により鋳型6の下方に連続的に引き抜か
れる。鋳片1は、これらのロールを通過する間、水スプ
レー又はエアーミストスプレーから構成される二次冷却
帯(図示せず)で冷却され、凝固殻3の厚みを増大し
て、やがて内部までの凝固を完了する。
【0021】連続鋳造機の引き抜き方向下流側には、複
数のガイドロール8及びピンチロール9をその内部に収
容可能なチャンバー型の酸素富化雰囲気帯4が設けられ
ており、酸素富化雰囲気帯4にはその内部に酸素富化気
体を吹き込む配管(図示せず)が取り付けられている。
用いる酸素富化気体は、酸素濃度が40%以上であれば
酸素濃度は幾らでも良いが、前述したように、迅速に鋳
片1の表層部を酸化させるために酸素濃度は50%以上
とすることが好ましい。酸素富化気体の酸素濃度は高い
程良く、従って純酸素であっても良い。又、鋳片1の酸
化速度を高めるために、予熱した酸素富化気体を用いて
も良い。
【0022】酸素富化雰囲気帯4に入る前の鋳片1の表
面温度は900℃以上にする必要があり、そのため、二
次冷却強度及び鋳片引き抜き速度を変更した試験を予め
実施し、この条件を満足する鋳造条件を把握しておくこ
とが必要である。
【0023】酸素富化雰囲気帯4の鋳造方向長さは、1
mmの酸化層厚みを確保するために、鋳片1が少なくと
も30秒間は酸化されるだけの長さを有する必要があ
る。従って、計画する鋳片引き抜き速度の最高速度に基
づき酸素富化雰囲気帯4の鋳造方向長さを決めておけば
良い。但し、鋳片引き抜き速度は鋳片1の幅や厚みによ
って変更されるので、鋳片引き抜き速度が前記最高速度
に比べて大幅に遅くて酸化時間が長くなり、鋳片表層部
の酸化による歩留まりロスが懸念される場合には、酸素
富化雰囲気帯4を鋳造方向に複数個の部屋に分割してお
き、必要な酸化時間を確保するだけの部屋に酸素富化気
体を吹き込み、不必要な部屋への酸素富化気体の吹き込
みを停止しても良い。
【0024】又、鋳片1の表層部に1mm以上の酸化層
を確実に形成させるために、酸素濃度が50%以上の酸
素富化気体を用いると共に、酸化時間が60秒以上とな
るように酸素富化雰囲気帯4の鋳造方向長さを定め、且
つ、鋳片表面温度(Ts)と酸素富化雰囲気帯4の酸素
濃度(%O2 )との関係を前記(1)式の範囲内に制御
することが好ましい。この場合、具体的には酸素富化雰
囲気帯4の入側の鋳片表面温度(Ts)を測定して、酸
素富化気体の酸素濃度(%O2 )を(1)式の範囲内に
制御すれば良い。
【0025】このようにして鋳片1の表層部に厚み1m
m以上の酸化層を形成させ、連続鋳造機の後段に設けた
同調カッター(図示せず)で所定の長さに切断する。次
いで、鋳片1の表面欠陥を除去しないまま、鋳片1を直
接熱間圧延機に搬送して熱間圧延するか、又は、鋳片1
を直接加熱炉に装入して所定温度まで加熱した後、熱間
圧延する。熱間圧延開始時のスケールブレーカーにより
形成された酸化層は除去され、酸化層と共に微細な表面
欠陥も除去される。尚、鋳片1を直接熱間圧延機に搬送
して圧延する際、熱間圧延機で圧延する前に必要に応じ
て表面温度を中心温度と同じにする程度の保温・加熱を
行っても、又、同調カッターの切断時に形成されるバリ
を除去しても良い。熱間圧延機がスケールブレーカーを
具備していない場合には、連続鋳造機と熱間圧延機との
間にスケールブレーカーを配置して、熱間圧延前に形成
した酸化層を除去する必要がある。
【0026】圧延された鋼板表面には鋳片1の表面欠陥
に起因する表面疵は極めて少なく、再加熱材と同等であ
る良好な表面性状を有する鋼板の直送圧延による製造が
可能となる。
【0027】尚、上記説明では酸素富化雰囲気帯4が連
続鋳造機の下流側に設置されているが、酸素富化雰囲気
帯4の設置場所はこれに限るものではなく、同調カッタ
ーで切断された鋳片1を対象とする位置に設置しても良
い。この場合、鋳片1の表面温度を900℃以上に確保
するため、加熱炉や保温炉を設けて鋳片1を加熱又は保
温した後、酸素富化雰囲気帯に装入しても良い。
【0028】
【実施例】図3に示すスラブ連続鋳造機を用い、酸素富
化雰囲気帯に入る前の鋳片表面温度、及び酸素富化雰囲
気帯の酸素濃度を変化させて鋳造したスラブ鋳片を熱間
圧延機に搬送して直ちに圧延し、圧延した熱延コイルの
表面疵発生状況を調査した。一部鋳片は鋳造後常温まで
空冷し、鋳片表層部の酸化層を調査した。用いた連続鋳
造機は、鋳型直下に2.8mの垂直部を有し、それに続
く湾曲部の半径が10mである垂直曲げ型のスラブ連続
鋳造機である。酸素富化雰囲気帯を鋳型内溶鋼湯面から
35〜40mの範囲に設置し、炭素濃度が0.08〜
0.10wt%の中炭素鋼を、厚み250mm、幅16
00mmの鋳片として引き抜き速度2.0m/minで
鋳造した。この条件では酸素富化雰囲気帯における酸化
時間は2.5分となる。
【0029】酸素富化雰囲気帯に入る前の鋳片表面温度
を二次冷却の調整により780〜1110℃の範囲に変
化させ、又、酸素富化雰囲気帯の酸素濃度を100%
(純酸素)、80%、60%、50%、40%に変化さ
せた。比較のために酸素富化雰囲気帯を空気雰囲気とし
た試験も実施した。
【0030】空冷した鋳片の酸化層の調査結果から、鋳
片表面温度が900℃未満では酸化が少なく、900℃
以上で酸化が進行し、1000℃以上では急激に酸化さ
れることが分かった。又、酸素濃度を上げると酸化速度
が増大することも分かった。
【0031】鋳片表面割れ先端部の粒状酸化物の調査結
果では、空気で酸化させた試験の全部と酸素濃度が40
%の試験の一部に、鋳片表面割れの内部に酸化スケール
が形成して、その周囲に粒状酸化物が形成されているこ
とが確認できた。この場合、酸化層を除去しても粒状酸
化物は除去できなかった。酸素濃度が50%以上の場合
には、何れの場合も酸化速度が速いため、粒状酸化物と
表層部の酸化層とは一体になり、酸化層を除去した後に
は粒状酸化物は全く見られなかった。
【0032】図4及び図5は、熱延コイルの表面疵発生
頻度と酸素富化雰囲気帯に入る前の鋳片表面温度及び酸
素富化雰囲気の酸素濃度との関係を調査した結果を示す
図である。図4及び図5から明らかなように、鋳片表面
温度が高くなると共に熱延コイルの表面疵が低下するこ
とが分かる。又、空気で酸化させた場合には、何れの場
合も熱延コイルの疵を防止することができなかった。
【0033】図6は、これらの結果を用いて熱延コイル
の表面疵発生の有無について、酸素富化雰囲気帯に入る
前の鋳片表面温度(Ts)と雰囲気中の酸素濃度(%O
2 )とで整理した結果を示す図である。図6に示すよう
に、雰囲気中の酸素濃度(%O2 )が50%以上の条件
では、熱延コイルの表面疵発生の境界線として下記
(2)式が求められ、従って、熱延コイルの表面疵を防
止するためには前記(1)の範囲内に表面温度(Ts)
と雰囲気中の酸素濃度(%O2 )とを制御すれば良いこ
とが分かった。 Ts=1000− 2×[(%O2 )−50]…(2)
【0034】
【発明の効果】本発明では、連続鋳造鋳片の表層部を酸
素富化雰囲気中で酸化させて酸化層を形成させ、この酸
化層を除去してから熱間圧延するので、鋳片の微細な表
面欠陥が酸化層と共に除去され、表面欠陥の少ない鋼板
を安定して直送圧延で製造することが可能となり、工業
上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳片表面に発生した縦割れの長さと深さとの関
係を示す図である。
【図2】雰囲気中の酸素濃度を変更して、加熱温度と酸
化層厚みとの関係を調査した結果を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の例を示す図であって、ス
ラブ連続鋳造機の側面概要図である。
【図4】熱延コイルの表面疵発生頻度と酸化時の鋳片表
面温度及び酸素富化雰囲気の酸素濃度との関係を調査し
た結果を示す図である。
【図5】熱延コイルの表面疵発生頻度と酸化時の鋳片表
面温度及び酸素富化雰囲気の酸素濃度との関係を調査し
た結果を示す図である。
【図6】熱延コイルの表面疵発生の有無について、鋳片
表面温度と雰囲気中の酸素濃度とで整理した結果を示す
図である。
【符号の説明】
1 鋳片 2 未凝固相 3 凝固殻 4 酸素富化雰囲気帯 5 浸漬ノズル 6 鋳型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三田尾 眞司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AA04 AA05 AB03 BD02 BD08 BD09 BD10 CB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を熱
    間圧延するか、又は、連続鋳造機で鋳造された高温の鋳
    片を加熱炉に装入して加熱後に熱間圧延するか、何れか
    の方法で鋼板を製造する連続鋳造鋳片の直送圧延方法に
    おいて、連続鋳造機での鋳造中又は鋳造直後の、その表
    面温度が900℃以上の鋳片を酸素富化雰囲気中で少な
    くとも30秒間以上酸化させて、鋳片表層部に酸化層を
    形成させ、この酸化層を除去した後に熱間圧延すること
    を特徴とする連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
  2. 【請求項2】 前記酸化層の厚みを1mm以上とするこ
    とを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造鋳片の直送圧
    延方法。
  3. 【請求項3】 前記酸素富化雰囲気中の酸素濃度を50
    %以上とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
  4. 【請求項4】 前記酸素富化雰囲気中で酸化させる際
    に、鋳片表面温度(Ts)と酸素富化雰囲気中の酸素濃
    度(%O2 )との関係を(1)式の範囲内に制御するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造鋳片の直送圧
    延方法。 Ts>1000− 2×[(%O2 )−50]…(1)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109731913A (zh) * 2019-02-21 2019-05-10 江苏沙钢集团有限公司 一种降低双辊连铸产线轧机轧制力的方法

Cited By (2)

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CN109731913A (zh) * 2019-02-21 2019-05-10 江苏沙钢集团有限公司 一种降低双辊连铸产线轧机轧制力的方法
CN109731913B (zh) * 2019-02-21 2020-07-24 江苏沙钢集团有限公司 一种降低双辊连铸产线轧机轧制力的方法

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