JP2001203075A - 有機電界発光素子およびその製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子およびその製造方法

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JP2001203075A JP2000008618A JP2000008618A JP2001203075A JP 2001203075 A JP2001203075 A JP 2001203075A JP 2000008618 A JP2000008618 A JP 2000008618A JP 2000008618 A JP2000008618 A JP 2000008618A JP 2001203075 A JP2001203075 A JP 2001203075A
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Tetsuo Oka
哲雄 岡
Takeshi Ikeda
武史 池田
Kenji Hayashi
健二 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】湿熱環境下においてダークスポットと呼ばれる
非発光部の経時的な広がりを防止できる保護層に関す
る。 【解決手段】基板上に形成された第一電極と第二電極の
間に少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層
が存在する有機電界発光素子であり、素子が絶縁層と金
属層の積層体からなる保護層によって被覆された構成で
あって、かつ絶縁層が前記保護層の一部として用いた金
属層と同一金属の化合物からなることを特徴とする有機
電界発光素子であり、その製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子、フラッ
トパネルディスプレイ、バックライト、インテリアなど
の分野に利用可能な有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機電界発光素子の研究が近年活発に行
われるようになってきた。有機電界発光素子は、陽極か
ら注入される正孔と陰極から注入される電子とが両極に
挟まれた有機発光層内で再結合することにより発光する
ものである。その代表的な構造は、ガラス基板上に透明
な第一電極(陽極)、正孔輸送層、有機発光層、第二電
極(陰極)を積層した後、薄いガラス板などの封止板で
封止したものであり、駆動により生じた発光は第一電極
およびガラス基板を通じて外部に取り出される。このよ
うな有機電界発光素子では、薄型、低電圧駆動下での高
輝度発光や、有機発光材料を選択することによる多色発
光が可能であり、発光デバイスやディスプレイなどに応
用される。
【0003】有機電界発光素子は、優れた特性を持って
いるが大気中の水分や酸素によってその特性が著しく損
なわれるという問題があり、素子を保護する必要があ
る。
【0004】従来知られている保護層としては、炭素ま
たは珪素を含有する無機アモルファス保護層(特開平7
−161474号公報)、ECR(Electron Cyclotron
Resonance)プラズマCVD法(特開平8−111286
号公報)などの方法が考案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の保護層
を積層するような従来技術では、保護層内にクラックや
ピンホールが多数生じるため十分な保護効果がなく、実
用には供されていない。そのため封止板等で有機電界発
光素子を封止するとともに有機電界発光素子の内部に乾
燥剤や吸着剤、若しくはゲッターと呼ばれる物質を存在
させておき、内部の水分を吸着する方法が提案されてい
る。上述の乾燥剤や吸着剤を入れる方法では、湿熱環境
下においてダークスポットと呼ばれる非発光部の経時的
な広がりの防止にある程度有効であるが、製造時にこれ
ら乾燥剤、吸着剤からの発塵の問題や、あるいは有機電
界発光素子の吸着剤近傍は水分等から保護されるが、有
機電界発光素子の周辺部では吸着効果が劣り、該周辺部
においてはダークスポットが広がったり、あるいは図1
に示すように赤、緑、青等の発光画素7の縁部が水分に
より浸食され、非発光領域が広がり、発光画素面積が経
時的に小さくなって行く問題があった。なお図1は浸食
の一例を示す模式図であり、浸食時の発光画素縁部は直
線斜め状だけではなく円弧状など、種々の形態が観察さ
れる。また図1は上下の辺が浸食される場合を示した
が、左右の辺の場合や、あるいは4辺とも浸食される場
合もある、また大面積のパネルでは場所によっても浸食
のされ方は異なる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一電極と第
二電極の間に少なくとも有機化合物から発光層を含む薄
膜層が存在する有機電界発光素子であって、該素子が絶
縁層と金属層の積層体からなる保護層によって被覆され
た構成であって、かつ該絶縁層が該金属層の化合物から
なることを特徴とする有機電界発光素子である。
【0007】また該発光素子の製造に際して、該絶縁層
を反応性蒸着法で形成することを特徴とする有機電界発
光素子の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の有機電界発光素子の構成
の一例について図2に示すが、図2において基板1上に
第一電極2、少なくとも有機化合物からなる発光層を含
む薄膜層3、第二電極4の順に積層されており、さらに
この上に本発明の特徴である絶縁層5と金属層6で構成
された保護層が被覆積層され、接着剤21、スペーサー
22、封止板23で封止された構成となっている。
【0009】本発明において第一電極は、光を取り出す
ために透明であればよく、その成分としては特に限定さ
れるものでないが、本発明において好ましい例は、酸化
錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(I
TO)があげられる。パターニング加工などを施すディ
スプレイ用途などでは、加工性に優れたITOが特に好
適な例としてあげることができるが、表面抵抗を下げた
り電圧降下抑制のために少量の銀や金などの金属が含ま
れていても良い。
【0010】第一電極の抵抗は素子の発光に十分な電流
が供給できればよいので限定されないが、素子の消費電
力の観点、あるいはディスプレイの場合輝度むらを生じ
させないため低抵抗であることが望ましい。また、本発
明における第一電極としては、可視光の光線透過率が3
0%以上であれば使用可能である。また第一電極は可視
光全域にわたってほぼ同程度の透過率を持つことが好ま
しい。
【0011】また、第一電極の低抵抗化するために錫、
金、銀、銅、亜鉛、インジウム、アルミニウム、クロ
ム、ニッケルなどをガイド電極として併用することも可
能である。
【0012】本発明において使用できる基板は、透明で
あれば特に限定するものではないが、ソーダライムガラ
ス、無アルカリガラスなどを用いることができる、また
無色透明のプラスチック基板も使用可能であるが、蒸着
時には蒸発源からの熱に耐える必要があるので、ある程
度の耐熱性を有するものを使用することが望ましい。
【0013】有機ELディスプレイの特長はパネルの厚
みが薄いことが特長であり、基板の厚みは薄い方が良い
が、機械的強度を保つ必要があるので、0.3mm以上
が好ましい。
【0014】基板としてガラス基板を用いる場合、材質
についてはガラスからの溶出イオンが少ない方が良いの
で無アルカリガラスが好ましい。またSiO2などのバ
リアコートを施したソーダライムガラスなども使用でき
る。
【0015】第二電極は、導電性があって電子の注入を
実現できるものであれば特に限定されない。具体的に
は、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、炭素、パラジウ
ム、クロム、アルミニウム、インジウムなどの金属、ま
たはこれら金属を用いた合金、例えばMg−Ag、Al
−Liなどが好ましい例として挙げられる。また、第二
電極とそれと接する有機層の間に、Li、Na、K、M
g、Ca、LiF、LiOH、金属塩化合物などの材料
を介在させてもよい。これらの材料は組合せによって、
その存在量が変化するので規定はできないが、比較的少
量でも機能する。
【0016】この場合、第二電極の材質は上記材料を単
独で使用しても高い性能を得ることができ、第二電極の
形成の容易さや安定性を考慮すると銀、アルミニウム、
インジウムなどが特に好ましい例として挙げることがで
きるが、これらの金属を含む合金を使用することも可能
である。
【0017】本発明において、少なくとも有機化合物か
ら発光層を含む薄膜層とは、1)正孔輸送層/発光層、
2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、3)発光層/電
子輸送層、4)正孔輸送層、発光層、電子輸送層に用い
る材料を一層に混合した形態、そして、5)発光層単独
のいずれであってもよい。即ち、少なくとも有機化合物
からなる発光層を含む薄膜層の構成としては、上記1)
〜3)の多層積層構造の他に、4)のように正孔輸送
層、発光層および/または電子輸送層に用いる材料を混
合した層、または5)のように発光材料単独層を一層設
けるだけでもよい。
【0018】正孔輸送層としてはN,N’−ジフェニル
−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジ
アミン(TPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−
ジ(1−ナフチル)−4,4’−ジアミン(α−NP
D)などのトリフェニルアミン類、N−アルキル(例え
ばN−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール)
またはN−アリルカルバゾール(N−フェニルカルバゾ
ール、N−(3−メチルフェニルカルバゾール)、N−
ナフチルカルバゾール)の多量体(特に3、6位で結合
された2〜5量体)、スチルベン系化合物、ヒドラゾン
系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘
導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単
量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導
体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどが好まし
いが特に限定されるものではない。
【0019】正孔輸送層は、正孔輸送層単層で用いても
良いが、第一電極と正孔輸送層の間に陽極バッファ層を
設けることもできる。これにより有機電界発光素子の整
流特性が向上したり連続駆動での有機電界発光素子特性
の安定化が行える。具体的な陽極バッファ層材料として
は、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン系化
合物、キナクリドン系化合物、ポリアニリン、ポリピロ
ール、ポリチオフェン系高分子またはそのオリゴマー、
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などチオ
フェンやアニリン、ピロールの誘導体ポリマーまたはオ
リゴマー、ポリシランが使用できる。これらの化合物
は、第一電極や正孔輸送層材料の中に見出される場合も
あるので上記材料に限定されることはない。また正孔輸
送層は、二種類以上を混合または積層しても良い。
【0020】本発明の赤、緑、青等の発光を担う発光層
に用いられる材料としては、従来より知られているアン
トラセンやピレン、そして前述のトリス(8−ヒドロキ
シキノリノラト)アルミニウムや10−ヒドロキシベン
ゾ[h]キノリン金属錯体の他、例えば、ビススチリル
アントラセン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導
体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジスチ
リルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン
誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ジケトピロロピロ
ール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピ
リジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレ
ン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン
誘導体などが使用できる。以上の発光層に用いられる材
料はいわゆるホスト材料である。
【0021】上述したホスト材料である発光材料に輝
度、色度、発光寿命等を向上させる目的で次に述べるゲ
スト材料を微量添加することは一向に差し支えない。ゲ
スト材料としては、前述のルブレン、キナクリドン誘導
体、ジアザインダセン誘導体、フェノキサゾン660、
DCM1、Nile Red、ペリノン、ペリレン、クマリン誘
導体などが使用できる。
【0022】本発明の電子輸送層に用いられる材料とし
ては、電界を与えられた電極間において、第二電極から
の電子を効率良く輸送することが必要であり、電子注入
効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが
望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電
子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとな
る不純物が製造時および使用時に発生しにくい材料であ
ることが要求される。このような条件を満たす材料とし
てトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウ
ム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラ
ト)ベリリウム、2−(4−ビフェニル)−5−(4−
t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
(t−BuPBD)などのオキサジアゾール系誘導体、
薄膜安定性を向上させたオキサジアゾール二量体系誘導
体の1,3−ビス(4−t−ブチルフェニル−1,3,
4−オキサジゾリル)ビフェニレン(OXD−1)、
1,3−ビス(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−
オキサジゾリル)フェニレン(OXD−7)、トリアゾ
ール系誘導体、フェナントロリン系誘導体などがある。
【0023】上述した本発明における少なくとも有機化
合物から発光層を含む薄膜層については、真空薄膜形成
法で形成することができる。すなわち抵抗加熱蒸着、電
子ビーム蒸着、イオンプレーティング、スパッタリン
グ、分子積層法など特に限定されるものではないが、通
常は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法などの真空蒸
着法が特性面で好ましい。
【0024】少なくとも有機化合物から発光層を含む薄
膜層の厚みは、該物質層の抵抗値にもよるので限定する
ことはできないが、10〜1000nmの間から選ばれ
る。
【0025】有機電界発光素子は、主に大気中の湿気
(水分)で劣化を起こす傾向がある。一番顕著に現れる
のは、発光面内にダークスポットと称される非発光部位
が成長する現象である。また赤・青・緑等の発光層部分
端部が素子内部に残存・吸着されている湿気(水分)の
影響で浸食される問題がある。かかる劣化は、大気中に
置いておくだけでも急激に進行するため、保護層やある
いは封止が必要となる。
【0026】本発明者らは、この保護層として絶縁層お
よび金属層の積層体によって被覆することが有効である
ことを見出したものである。本発明においては絶縁層
が、該絶縁層上に積層する金属層と同一金属の化合物か
らなることが必要である。
【0027】該絶縁層の製造方法についても、真空蒸着
法、イオンプレーティング、スパッタリング法、CVD
法などの真空薄膜形成法等が使用できるが、反応性のガ
スを導入しながら行う真空蒸着法あるいはイオンプレー
ティング法で形成する、いわゆる反応性蒸着法による製
造方法が製造工程が簡便であり最も好ましい。
【0028】本発明では絶縁層上にさらに金属層を積層
するものであるが、この際に使用する金属としては特に
限定するものではないが、金属薄膜状態で緻密な構造で
あり、水蒸気透過率が低く、耐食性に優れる材料である
ことが好ましい。具体的には、該金属層としてはアルミ
ニウム、ケイ素、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッ
ケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、パラジウム、インジウ
ム、錫、白金、金、銀などの金属、またはこれら金属を
用いた合金などが好ましく用いられる。
【0029】またクラック、ピンホールが生じにくいと
の観点から、アルミニウム、ケイ素、ニッケル、インジ
ウム、錫、亜鉛などの金属、またはこれら金属を用いた
合金がさらに好ましい。
【0030】本発明においては該絶縁層の材料として、
上記金属層と同一の金属材料の化合物が選択される。
【0031】なお、本発明において絶縁層と金属層の積
層体からなる保護層はこの順で積層する必要がある。金
属層の方が高分子化合物、あるいは金属の化合物に比べ
て遮蔽性に優れるため該金属層側が有機電界発光素子の
表面側(外側)であることが必要である。
【0032】また上記事項に鑑みて本発明の金属層は
0.05μm以上の膜厚があれば遮蔽効果を示すが、高
温高湿化など厳しい条件での使用に耐えるためには膜厚
は、0.1〜1μmがさらに好ましい。なお、絶縁層と
金属層の積層体からなる保護層をさらに多層に積層する
ことは差し支えないが、多層にすると保護層内部応力に
よるクラック等が生じる恐れがあるので、必ずしも好ま
しくない。
【0033】本発明の有機電界発光素子の製造方法につ
いて、以下に一実施態様を示す。第一電極であるパター
ン化したITOガラス基板1を酸素プラズマ、あるいは
オゾン処理で第一電極であるITO膜に表面処理を施し
た後、該ITOガラス基板上に正孔輸送材料を抵抗加熱
等の真空蒸着法で形成し、所定厚さの正孔輸送層を得
る。
【0034】なお、正孔輸送層形成前に必要に応じて、
陽極バッファ層を同じく真空蒸着法にて形成することは
差し支えない。該正孔輸送層形成後に、製造する画素の
サイズに応じた開口部を有するマスク(金属製)を用い
た、いわゆるマスク蒸着によって、赤、緑、青の発光材
料(ホスト材料)を真空蒸着法で形成する。かかる際
に、必要に応じてゲスト材料を同時に蒸発せしめること
はもちろん差し支えない。
【0035】発光材料を形成した後、必要に応じて電子
輸送材料を同様に真空蒸着法で形成する。かかる後、第
二電極材料を所望の配線パターン部分が開口形成されて
いるマスクを用いてマスク蒸着によって形成する。な
お、かかる第二電極配線パターンの形成前に電子の注入
効率を上げる目的で、リチウムあるいはリチウム合金等
のアルカリ金属を薄く積層することは発光効率、駆動電
圧の低下の目的で望ましい。
【0036】この後、本発明の絶縁層を真空薄膜形成法
で形成するが、中でも最も好ましくは反応性蒸着法で形
成する方法である。反応性蒸着法とは反応性のガスを導
入しながら真空蒸着法あるいはイオンプレーティング法
で金属を蒸着することで実現できる。
【0037】使用するガスとしては酸素ガス、または酸
素ガスと窒素ガス・アルゴンガス等不活性ガスとの混合
ガスあるいはフッ化水素ガスなどを使用できる。もちろ
ん、これらのガスと反応させて絶縁層は形成されるので
あるから、その種類は形成する金属層に応じて適宜選択
することができる。
【0038】ガス導入方法については、真空蒸着時の圧
力を一定に制御する方法、またはガスの導入量を一定に
制御する方法等があるが、いずれの方法でも差し支えな
い。圧力を一定に制御する場合は主排気バルブの開口角
度を調整する方法などが採用できる。また、ガス流量を
一定に制御する場合は、市販のマスフローコントローラ
を使用することで容易に制御可能である。上記の方法に
て所定厚さの金属の化合物からなる絶縁層を形成後、引
き続き金属の蒸着は継続しながらガスの導入のみを中止
することで上記絶層膜上に金属層を形成することができ
る。上記のように操作することで、本発明の該金属層と
同一金属の化合物からなる絶縁層と金属層の積層体から
なる保護層が容易に得られるのである。また反応性蒸着
法によれば該絶縁層と該金属層の境界領域においては、
絶縁性から非絶縁性までが連続的に変化するため界面の
接着が良好であり、その結果として外部の湿気等から有
機電界発光素子を保護できる効果に優れるものと推定さ
れる。
【0039】有機電界発光素子の水分からの保護を、よ
り確実にするために上記絶縁層、金属層積層手段に加え
て封止板を使用した封止を行うことが好ましい。即ち、
本発明の絶縁層と金属層の積層体からなる保護層を施し
た有機電界発光素子の背面側(保護手段側)にガラス、
プラスチック(PETやPENなどのポリエステル、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリフェニレンスルフィド、塩化ビニリデ
ン、テフロン、エポキシ、アイオノマーなど、水分また
は酸素との接触を抑制できる材料なら限定されない)フ
ィルム、シート、または板、そしてその表面にアルミニ
ウム、酸化硅素や他のプラスチックとの積層によって更
に透過性を抑制したフィルム、シート、または板、アル
ミナやジルコニアに代表されるセラミックシートまたは
板、金属シートまたは板(ステンレス、アルミニウム、
鉄、銅など如何なるものでも良いが、電気的短絡が問題
になる場合は、表面に絶縁材料を配置させることができ
る)など水分または酸素との接触を抑制できるものを配
置し、これを用いて封止する。
【0040】封止の方法は、上記背面板、シートまたは
フィルムを何等かの方法で有機電界発光素子および/ま
たは基板と接着させることにより行われる。具体的には
周辺部分を接着させる方法と、有機電界発光素子上を含
む領域を接着させる方法がある。どちらの方法において
も、外気と有機電界発光素子領域が接することを抑制で
きるように接着させることが肝要である。
【0041】接着剤としては接着性が良いものであれば
特に制限されるものではないが、硬化性樹脂を用いるこ
とが好ましい。好適な硬化性樹脂としてはエポキシ樹
脂、シリコーン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂な
ど公知の樹脂材料を使用できる。また硬化方法としては
紫外線照射法、熱硬化法、硬化剤混合法などを用いるこ
とが出来る。上述した封止の具体的な構成の一例につい
て図2によって示す。図2において21は接着剤、22
はスペーサ、23は封止板である。
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を
説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるも
のではない。
【0043】実施例1 ITOガラス基板を所定の大きさに切り出し、12mm
幅のITO帯(第一電極)が残るようにエッチングし
た。この基板を洗浄した後に酸素プラズマ処理を施して
から真空蒸着機にセットして1×10-4Paにまで真空
引きした。次いでアルミナるつぼから銅フタロシアニン
を抵抗加熱法で0.3nm/秒の速度で20nm蒸着
し、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチル
フェニル)−4,4’−ジアミンを0.3nm/秒の速
度で100nm蒸着し、続いてタンタル製クヌーセンセ
ルからトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニ
ウム(III)を同じく0.3nm/秒の速度で30nm
蒸着した。真空中で20×20mm角の有機電界発光素
子ができるようにマスクをセットした後、タングステン
ボートから0.1nm/秒の速度でリチウムを0.5n
m蒸着し、アルミナるつぼから0.5nm/秒の速度で
第二電極であるアルミニウム膜を250nm蒸着した。
次いで、一度、蒸着源(アルミナるつぼ)側の遮蔽マス
クでアルミニウムの蒸発を遮蔽し、ガス導入口から酸素
/窒素(混合比80/20)のガスを導入した状態にし
て、再びアルミニウム用の蒸着源側の遮蔽マスクを開
け、アルミニウムの蒸発をさせ、酸化アルミニウムの1
20nm蒸着し絶縁層を形成した。引き続いて前記ガス
の導入を中止し、アルミニウムを金属製の保護層として
200nm蒸着した。得られた有機電界発光素子をガラ
ス製封止板を用い、2液型エポキシ樹脂(”アラルダイ
ト”XNR3101)にて有機電界発光素子周辺部分を
接着させ封止した。該有機電界発光素子を実施例とす
る。
【0044】比較例1 実施例と同様の方法で第二電極であるアルミニウム膜を
抵抗加熱法で蒸着し形成後、絶縁層として約390nm
厚さの酸化珪素を電子ビーム蒸着で設けた(金属層の積
層は無し)以外は実施例と全く同様に有機電界発光素子
を作製したものを比較例1とする。
【0045】比較例2 実施例と同様の方法で第二電極であるアルミニウム膜を
抵抗加熱法で蒸着し形成後、さらに実施例と同様の方法
で絶縁層として酸化アルミニウムの層を240nm蒸着
した(金属層の積層は無し)以外は実施例と全く同様に
有機電界発光素子を作製したものを比較例2とする。
【0046】比較例3 実施例と同様の方法で第二電極であるアルミニウム膜を
抵抗加熱法で蒸着した。次いで絶縁層形成のため、本サ
ンプルを蒸着装置からCVD装置中に移して減圧にし、
プラズマ発生状態に置いてシランガスと窒素ガスを導入
して、素子の上部および端部全てが覆われるように窒化
珪素保護膜(厚さ0.4μm)を形成した。この時の窒
素ガスフローは、160cc/分、シランガスフローは
20cc/分、アトマイザーパワー(Atomizer Power)6
0Wであり、基板の加熱していない。
【0047】該方法によって窒化珪素の保護膜厚さ約1
50nmを形成した。しかる後、本サンプルをCVD装
置から蒸着装置に戻し、装置の排気等を行った後アルミ
ナるつぼから保護層の金属層としてアルミニウム膜を2
50nm蒸着した。このようにして作製した有機電界発
光素子を比較例3とする。
【0048】比較例4 実施例と同様の方法で第二電極であるアルミニウム膜を
抵抗加熱法で蒸着し形成後に絶縁層および金属層で構成
される等保護層は積層せずに、5×5mmのサイズの酸
化バリウムを封止板中央部の素子内面側に設けて有機電
界発光素子をガラス製封止板を用いて封止した以外は実
施例と全く同様に有機電界発光素子を作製したものを比
較例4とする。
【0049】上記作成した実施例および比較例1、2、
3、4を60℃、相対湿度80%の条件で保存した場合
の、ダークスポットの平均直径(発光素子中央部10点
の平均値)および有機電界発光素子の画素エッジ(縁)
部の浸食による非発光領域の広がりについて1000時
間超の間、観察評価した結果を表1に示す。なお、実施
例および比較例4については発光素子端部におけるダー
クスポットの平均直径の評価結果も表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示すように本発明の実施例の電界発
光素子は、ダークスポット直径の拡大が緩く、1000
時間後も50μm以内であり、また該発光素子の画素エ
ッジ部非発光領域の拡大も小さなものであった。一方比
較例1、2は1000時間後のダークスポット直径は5
0μmを超えるものであり、また発光素子エッジ部非発
光領域の拡大が大きく実用には供試し得ないものであっ
た。比較例4は発光素子中央部ではダークスポット直径
の拡大は50μm以下と小さかったが、発光素子端部で
はダークスポット直径は50μmを超えるものであり、
保護効果が周辺部では劣るものであった。しかし、実施
例の発光素子では素子端部においてもダークスポット直
径の拡大は中央部と同様小さいものであった。
【0052】
【発明の効果】本発明は、長期間湿熱条件下において
も、有機電界発光素子のダークスポットの成長を抑制
し、また発光画素端部の非発光領域の拡大を防止でき、
有機電界発光素子の特性を安定に保つことができる保護
層を提供できる。さらに、吸着剤のような発塵源を有し
ないため、発光素子の欠点も少なく、発光素子全面にお
いて保護効果を有する保護層を提供するものである。
【0053】また本発明は簡便な製法であり、上記保護
効果の優れた保護層を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発光画素縁部が水分により浸食される一例を説
明するための模式図。
【図2】本発明の有機電界発光素子の一例を示す断面
図。
【符号の説明】
1 基板 2 第一電極 3 発光層を含む薄膜層 4 第二電極 5 絶縁層 6 金属層 7 発光画素 21 接着剤 22 スペーサ 23 封止板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/14 H05B 33/14 A Fターム(参考) 3K007 AB00 AB13 AB18 BB00 BB01 CA01 CB01 CB03 DA00 DB03 EB00 FA01 FA02 5C094 AA38 AA43 AA60 BA27 DA14 DA15 EA05 EB02 EC02 FB01 HA08 5G435 AA00 AA13 AA17 BB05 EE13 HH14 KK05 LL00 LL07 LL08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された第一電極と第二電極の
    間に少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層
    が存在する有機電界発光素子であり、素子が絶縁層と金
    属層の積層体からなる保護層によって被覆された構成で
    あって、かつ絶縁層が前記保護層の一部として用いた金
    属層と同一金属の化合物からなることを特徴とする有機
    電界発光素子。
  2. 【請求項2】保護層を構成する金属がアルミニウム、ケ
    イ素、ニッケル、インジウム、錫、亜鉛などの金属また
    はこれら金属を用いた合金であることを特徴とする請求
    項1記載の有機電界発光素子。
  3. 【請求項3】第一電極と第二電極の間に少なくとも有機
    化合物からなる発光層を含む薄膜層が存在する有機電界
    発光素子であり、該素子が絶縁層と金属層の積層体から
    なる保護層によって被覆された構成であって、該絶縁層
    を反応性蒸着法で形成することを特徴とする請求項1記
    載の有機電界発光素子の製造方法。
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