JP2001176669A - 有機el素子 - Google Patents

有機el素子

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JP2001176669A
JP2001176669A JP36375399A JP36375399A JP2001176669A JP 2001176669 A JP2001176669 A JP 2001176669A JP 36375399 A JP36375399 A JP 36375399A JP 36375399 A JP36375399 A JP 36375399A JP 2001176669 A JP2001176669 A JP 2001176669A
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JP36375399A
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Michio Arai
三千男 荒井
Tetsuji Inoue
鉄司 井上
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TDK Corp
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TDK Corp
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/14Carrier transporting layers

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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の有機物質を用いたホール注入輸送層
や、電子注入輸送層を有する素子と同等かそれ以上の性
能を有し、長寿命で、耐候性を備え、安定性が高く、高
効率で、しかも安価な有機EL素子を実現し、発光層を
2層以上とした場合にも、製造が容易で、膜界面での物
性が安定した有機EL素子を実現する。 【解決手段】 基板と、この基板上に形成されたホール
注入電極と電子注入電極と、これらの電極間に設けられ
た有機物質を含有する発光層とを有し、この発光層と電
子注入電極の間には、無機電子注入輸送層を有し、前記
発光層とホール注入電極との同には無機ホール注入輸送
層を有し、前記発光層は、少なくとも発光機能に関与す
るホスト物質として2種以上の化合物を含有する構成の
有機EL素子とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL(電界発
光)素子に関し、詳しくは、有機化合物の薄膜に電界を
印加して光を放出する素子に用いられる無機/有機接合
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に有機EL素子は、ガラス基板上に
ITOなどの透明電極を形成し、その上に有機アミン系
のホール輸送層、電子導電性を示しかつ強い発光を示す
たとえばAlq3 材からなる有機発光層を積層し、さら
に、MgAgなどの仕事関数の小さい電極を形成した構
造の基本素子としている。
【0003】これまでに報告されている素子構造として
は、ホール注入電極及び電子注入電極の間に1層または
複数層の有機化合物層が挟まれた構造となっており、有
機化合物層としては、2層構造あるいは3層構造があ
る。
【0004】2層構造の例としては、ホール注入電極と
電子注入電極の間にホール輸送層と発光層が形成された
構造または、ホール注入電極と電子注入電極の間に発光
層と電子輸送層が形成された構造がある。3層構造の例
としては、ホール注入電極と電子注入電極の間にホール
輸送層と発光層と電子輸送層とが形成された構造があ
る。また、単一層に全ての役割を持たせた単層構造も高
分子や混合系で報告されている。
【0005】図2および図3に、有機EL素子の代表的
な構造を示す。
【0006】図2では基板11上に設けられたホール注
入電極12と電子注入電極13の間に有機化合物である
ホール輸送層14と発光層15が形成されている。この
場合、発光層15は、電子輸送層の機能も果たしてい
る。
【0007】図3では、基板11上に設けられたホール
注入電極12と電子注入電極13の間に有機化合物であ
るホール輸送層14と発光層15と電子輸送層16が形
成されている。
【0008】これら有機EL素子においては、共通し
て、信頼性が問題となっている。すなわち、有機EL素
子は、原理的にホール注入電極と、電子注入電極とを有
し、これら電極間から効率よくホール・電子を注入輸送
するための有機層を必要とする。しかしながら、これら
の材料は、製造時にダメージを受けやすく、電極との親
和性にも問題がある。また、電子注入用の電子注入電極
に仕事関数の低い金属を用いる必要がある。そのため、
材料としてMgAg、AlLiなどを用いらざるを得な
い。しかし、これらの材料は酸化し易く、安定性に欠
け、有機EL素子の寿命を律したり、信頼性の問題を招
く大きな要因となっている。さらに、有機薄膜の劣化も
LED(発光ダイオード)、LD(レーザーダイオー
ド)に較べると著しく大きいという問題を有している。
【0009】また、有機材料は比較的高価なものが多
く、低コストの有機EL素子応用製品を提供するため
に、その一部の構成膜を安価な無機材料で置き換えるこ
とのメリットは大きい。
【0010】さらに、今まで以上に発光効率を改善し、
より低い駆動電圧で、より消費電流の少ない素子の開発
も望まれている。
【0011】このような問題を解決するために、有機材
料と無機半導体材料のそれぞれのメリットを利用する方
法が考えられている。すなわち、有機ホール輸送層を無
機p型半導体に置き換えた有機/無機半導体接合であ
る。このような検討は、特許第2636341号、特開
平2−139893号公報、特開平2−207488号
公報、特開平6−119973号公報で検討されている
が、発光特性や基本素子の信頼性で素子従来の有機EL
を越える特性を得ることが不可能であった。
【0012】また、赤色と青色等といった複数の発光色
や、広い発光波長帯域を得るために、発光層を2層以上
にしてそれぞれ発光極大波長の異なる蛍光物質を用いる
試みもなされている。しかしながら、下地となるホール
注入輸送層や、電子注入輸送層が有機物質からなる薄膜
層である場合、これらの膜を蒸着法等により成膜した後
に、さらに2層以上の発光層を所定の膜厚に成膜し、さ
らに必要により有機物質からなるホール注入輸送層や、
電子注入輸送層を成膜することとなり、各有機層の膜厚
管理や、ドーピング量の調整等、製造作業が困難である
ばかりか、それぞれの膜界面での物性安定させ、期待し
た通りの機能を果たさせることが困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の有機物質を用いたホール注入輸送層や、電子注入輸送
層を有する素子と同等かそれ以上の性能を有し、長寿命
で、耐候性を備え、安定性が高く、高効率で、しかも安
価な有機EL素子を実現することである。
【0014】また、発光層を2層以上とした場合にも、
製造が容易で、膜界面での物性が安定した有機EL素子
を実現することである.
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の構成に
より達成される. (1) 基板と、この基板上に形成されたホール注入電
極と電子注入電極と、これらの電極間に設けられた有機
物質を含有する発光層とを有し、この発光層と電子注入
電極の間には、無機電子注入輸送層を有し、前記発光層
とホール注入電極との同には無機ホール注入輸送層を有
し、前記発光層は、少なくとも発光機能に関与するホス
ト物質として2種以上の化合物を含有する有機EL素
子。 (2) 前記無機電子注入輸送層は、ホールをブロック
するとともに電子を搬送するための導通パスを有する高
抵抗の無機電子注入層である上記(1)の有機EL素
子。 (3) 前記高抵抗の無機電子注入層は、第1成分とし
て仕事関数4eV以下であって、アルカリ金属元素、およ
びアルカリ土類金属元素、およびランタノイド系元素か
ら選択される1種以上の酸化物と、第2成分として仕事
関数3〜5eVの金属の1種以上とを含有する上記(2)
の有機EL素子。 (4) 前記第2成分は、Zn,Sn,V,Ru,Sm
およびInから選択される1種以上である上記(2)ま
たは(3)の有機EL素子。 (5) 前記アルカリ金属元素は、Li,Na,K,R
b,CsおよびFrの1種以上であり、アルカリ土類金
属元素は、Mg,CaおよびSrの1種以上であり、ラ
ンタノイド系元素はLaおよびCeから選択される1種
以上を有する上記(2)〜(4)のいずれかの有機EL
素子。 (6) 前記高抵抗の電子注入層は、その抵抗率が1〜
1×1011Ω・cmである上記(2)〜(5)のいずれか
の有機EL素子。 (7) 前記高抵抗の無機電子注入層は、第2成分を全
成分に対して、0.2〜40 mol%含有する上記(2)
〜(6)のいずれかの有機EL素子。 (8) 前記高抵抗の無機電子注入層の膜厚は、0.2
〜30nmである上記(2)〜(7)のいずれかの有機E
L素子。 (9) 前記無機ホール注入輸送層は、電子をブロック
するとともにホールを搬送するための導通パスを有する
高抵抗の無機ホール注入層である上記(1)〜(8)の
いずれかの有機EL素子。 (10) 前記高抵抗の無機ホール注入層は、抵抗率が
1〜1×1011Ω・cmである上記(9)の有機EL素
子。
【0016】(11) 前記高抵抗の無機ホール注入層
は、金属および/または金属の酸化物、炭化物、窒化
物、ケイ化物および硼化物のいずれか1種以上を含有す
る上記(9)または(10)の有機EL素子。 (12) 前記高抵抗の無機ホール注入層は、シリコン
および/またはゲルマニウムの酸化物を主成分とし、こ
の主成分を(Si1-xGex)Oyと表したとき 0≦x≦1、 1.7≦y≦2.2 であり、さらに、仕事関数4.5eV以上の金属および/
または金属の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および
硼化物のいずれか1種以上を含有する上記(9)〜(1
1)のいずれかの有機EL素子。 (13) 前記金属は、Au,Cu、Fe、Ni、R
u、Sn,Cr,Ir,Nb,Pt,W,Mo,Ta,
PdおよびCoのいずれか1種以上である上記(11)
または(12)の有機EL素子。 (14) 前記金属および/または金属の酸化物、炭化
物、窒化物、ケイ化物および硼化物の含有量は、0.2
〜40 mol%である上記(11)〜(13)のいずれか
の有機EL素子。 (15) 前記高抵抗のホール注入層の膜厚は、0.2
〜100nmである上記(9)〜(14)のいずれかの有
機EL素子。 (16) 前記ホスト物質は、それぞれ電子注入輸送性
化合物とホール注入輸送性化合物である上記(1)〜
(15)のいずれかの有機EL素子。 (17) 前記ホスト物質は、金層錯体色素およびテト
ラアリールジアミン誘導体である上記(1)〜(16)
のいずれかの有機EL素子。 (18) 前記ホスト物質に対し、ドーパントしてルブ
レン誘導体を含有する上記(1)〜(17)のいずれか
の有機EL素子。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL素子は、基板
と、この基板上に形成されたホール注入電極と電子注入
電極と、これらの電極間に設けられた有機物質を含有す
る発光層とを有し、この発光層と電子注入電極の間に
は、無機電子注入輸送層を有し、前記発光層とホール注
入電極との同には無機ホール注入輸送層を有し、前記発
光層は、少なくとも発光機能に関与するホスト物質とし
て2種以上の化合物を含有するものである。
【0018】本発明では、発光層に少なくとも発光機能
に関与するホスト物質として2種以上の化合物を含有
し、好ましくは電子注入槍送性化合物とホール注入輸送
性化合物との混合層とする。そして、このような混合層
に好ましくはホスト物質として、金属錯体色素を用い
る。この化合物は、通常、蛍光性物質として含有される
ため、より具体的には、アルミキノリノール錯体が電子
注入輸送性化合物であるとき、他のホール注入輸送性化
合物をさらに添加することが好ましく、具体的にはテト
ラアリールジアミン誘導体を用いることが好ましい。上
記の混合層における電子注入輸送性化合物とホール注入
輸送性化合物との混合比は、重量比で、電子注入輸送性
化合物:ホール注入輸送性化合物が60:40〜40:
60であることが好ましく、特には50:50程度であ
ることが好ましい。
【0019】このような混合層をEL素子に適用するこ
とによって、素子の安定性が向上する。
【0020】このように、無機材料からなる無機電子注
入輸送層、無機ホール注入輸送層を設け、これらの間に
混合層としての発光層を配置することで、無機材料の有
するメリットと、有機材料の有するメリットとを併せも
った有機EL素子とすることができる。すなわち、発光
層と電子注入輸送層、ホール注入輸送層との界面での物
性が安定し、製造が容易になる。また、従来の有機ホー
ル注入層、有機電子注入層を有する素子と同等かそれ以
上の輝度が得られ、しかも、耐熱性、耐候性が優れてい
るので従来のものよりも寿命が長く、リークやダークス
ポットの発生も少ない。また、比較的高価な有機物質で
はなく、安価で入手しやすい無機材料を用いているの
で、製造が容易となり、製造コストを低減することがで
きる。
【0021】無機ホール注入輸送層は、ホール注入電極
からのホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に
輸送する機能およぴ電子を妨げる機能を有するものであ
り、無機電子注入槍送層は、陰電極からの電子の注入を
容易にする機能、電子を安定に輸送する機能およびホー
ルを妨げる機能を有するものである。これらの層は、発
光層に注入されるホールや電子を増大・閉じこめさせ、
再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0022】さらに、無機電子注入輸送層を、主成分に
安定剤を添加した構成とすることにより、特別に電子注
入機能を有する電極を形成する必要がなく、比較的安定
性が高く、導電率の良好な金属電極を用いることができ
る。そして、無機電子注入輸送層の電子注入輸送効率が
向上すると共に、素子の寿命が延びることになる。ま
た、無機ホール注入槍送層の主成分をである酸化物を酸
素プアとし、酸素空位を生成させることにより、ホール
注入電極から発光層側の有機層へ効率よくホールを注入
することができる.しかも、有機届からホール注入電極
への電子の移動を抑制することができ、発光層でのホー
ルと電子との再結合を効率よく行わせることができる。
【0023】ホスト物質としては、強い蛍光を持ったア
ミン誘導体、例えばホール輸送材料であるTPDに代表
されるようなトリフェニルジアミン誘導体や、電子輸送
性材料である金属錯体色素を用いることが好ましい。
【0024】金属錯体色素としては、8−キノリノール
ないしその誘導体を配位子とするキノリン誘導体が好ま
しい。なかでも、ホスト物質としては、キノリノラト錯
体が好ましく、さらには8−キノリノールないしその誘
導体を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。この
ようなアルミニウム錯体としては、特開昭63−264
692号、特開平3−255190号、特開平5−70
733号、特開平5−258859号、特開平6−21
5874号等に開示されているものを挙げることができ
る。
【0025】具体的には、まず、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネ
シウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜
鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、
トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−
8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−
キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キ
ノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−
8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜
鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メ
タン]等がある。
【0026】また、8−キノリノールまたはその誘導体
のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であって
もよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III)
、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−
クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム
(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ
−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル
−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノ
ラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノ
ラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キ
ノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメ
チルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラ
ト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,
3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナ
フトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)
(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,
4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8
−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチ
ル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キ
ノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウ
ム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリ
ノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノ
リノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等が
ある。
【0027】このほか、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス
(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム
(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キ
ノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−
2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −
μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノ
リノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4
−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オ
キソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−
8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−
ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオ
ロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ
−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル
−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であっても
よい。
【0028】発光層は、他のホスト物質としてホール輸
送性材料を有することが好ましく、下記構造のテトラア
リールジアミン誘導体を含有することが好ましい。
【0029】
【化1】
【0030】本発明の発光層に含有されるテトラアリー
ルジアミン誘導体は、融点やガラス転移温度が高く、そ
の蒸着等により成膜される薄膜は、透明で室温以上でも
安定なアモルフアス状態を形成し、長期間に渡って平滑
で良好な膜質を示す。
【0031】従ってバインダー樹脂を用いることなく、
それ自体で薄膜化することができる。
【0032】この効果は、以下のことに起因していると
考えられる。 分子量を増して高融点にしたこと。 立体障害のあるフェニル基のようなバルキーな置換
基を導入して分子間の重なりを最適化していること。 分子の取り得るコンフォーメーション数が多く、分
子の再配列が妨げられていること。
【0033】また、分子中にN−フェニル基等の正孔注
入輸送単位を多く含み、R1 〜R4にフェニル基を導入
してビフェニル基にすることでπ共役系が広がり、キャ
リア移動に有利になり、正孔注入輸送能にも非常に優れ
る。
【0034】従って、本発明の有機EL素子は、上記化
1で表されるテトラアリールジアミン誘導体を用いるた
め、ムラのない均一な面発光が可能であり、高輝度が長
時間に渡って安定して得られる。波長によっても異なる
が100〜100000cd/m 2 程度、あるいはそれ以上
の高輝度が安定して得られる。なお、本発明の有機EL
素子の発光極大波長は、350〜700nm程度である。
【0035】また、耐熱性・耐久性が高く、素子電流密
度が1A/cm2 程度以上でも安定した駆動が可能である。
【0036】さらには、本発明のテトラアリールジアミ
ン誘導体を発光層に用いることによリエネルギーレベル
が最適になり、界面においてキャリアが効果的にブロッ
キングされるため、安定したキャリアの再結合および発
光が起こる。特に本発明の有機EL素子用化合物を正孔
注入輸送層に用いることにより、この正孔注入輸送層と
接する発光機能を有する層(発光層が電子注入輸送層を
兼ねる発光・電子注入輸送層を含む。)、あるいは正孔
注入輸送層が発光層を兼ねる正孔注入輸送機能を有する
層であるときにこの層と接する電子注入輸送層とのイオ
ン化ポテンシャルIpの差が最適化されて、界面におけ
るキャリアブロッキング効果が高まり、極性的に劣勢あ
るいは不安定なキャリアの注入はより起こりにくくなる
ので、各層の有機化合物がダメージを受けにくくなり、
キャリア再結合領域や発光領域で、キャリアや励起子の
失活ポイントを生じにくくなる。その結果、安定した発
光が得られ、寿命が大幅に向上する。
【0037】また、本発明の有機EL素子用化合物と電
子注入輸送機能を有する化合物とを混合した有機化合物
層を特に発光層として設けることにより、混合層にはキ
ャリアのホッピング伝導パスができることになるので、
混合層に注入された各キャリアは極性的により優勢な物
質中を移動する。すなわち正孔は正孔注入輸送性物質中
を、また電子は電子注入輸送性物質中を移動することに
なり、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるため
有機化合物がダメージを受けにくくなり、EL素子の寿
命が大幅に向上する。
【0038】また、テトラアリールジアミン誘導体を含
有する発光層に蛍光性物質をドープする構成では、本発
明の有機EL素子用化合物を正孔注入輸送層に用いるこ
とにより、この正孔注入輸送層と接する発光機能を有す
る層(発光層が電子注入輸送層を兼ねる発光・電子注入
輸送層を含む。)あるいは正孔注入輸送層が発光層を兼
ねる正孔注入輸送機能を有する層であるときにこの層と
接する電子注入輸送層とのイオン化ポテンシャルIpの
差が最適化されて、界面におけるキャリアブロッキング
効果が高まり、極性的に劣勢あるいは不安定なキャリア
の注入は起こりにくくなるので、各層の有機化合物がダ
メージを受けにくくなり、キャリア再結合領域や発光領
域で、キャリアや励起子の失活ポイントを生じにくくな
る。また、特に蛍光性物質としてルブレンまたはルブレ
ン誘導体をドープする場合、ルブレンはバイボーラーな
輸送性を有しており、ルブレンまたはルブレン誘導体で
もキャリア再結合が起こるので、その分さらに有機化合
物が受けるダメージは少なくなる。また、さらにルブレ
ンまたはルブレン誘導体がキャリア再結合領域近傍に存
在するため、励起子からルブレンまたはルブレン誘導体
へのエネルギー移動が起こり、非放射的失活が少なくな
り、その結果、安定した発光が得られ、寿命が大幅に向
上する。
【0039】化1について説明すると、化1において、
1 〜R4 は、それぞれアリール基、アルキル基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン
原子を表し、R1 〜R4 のうちの少なくとも1個はアリ
ール基である。r1〜r4は、それぞれ0または1〜5
の整数であり、r1〜r4は同時に0になることはな
い。従って、r1+r2+r3+r4は1以上の整数で
あり、少なくとも1つのアリール基が存在する条件を満
たす数である。R5 およびR6 は、それぞれアルキル
基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を表
し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r5
およびr6は、それぞれ0または1〜4の整数である。
【0040】R1 〜R4 で表されるアリール基として
は、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環
集合も含まれる。総炭素数は6〜20のものが好まし
く、置換基を有していてもよい。この場合の置換基とし
ては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0041】R1 〜R4 で表されるアリール基の具体例
としては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル
基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、ナフチ
ル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェニルアント
リル基、トリルアントリル基等が挙げられ、特にフェニ
ル基が好ましく、アリール基、特にフェニル基の結合位
置は3位(Nの結合位置に対してメタ位)または4位
(Nの結合位置に対してパラ位)であることが好まし
い。
【0042】R1 〜R4 で表されるアルキル基として
は、直鎖状でも分岐を有するものであってもよく、炭素
数1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよ
い。この場合の置換基としてはアリール基と同様のもの
が挙げられる。
【0043】R1 〜R4 で表されるアルキル基として
は、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、
(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0044】R1 〜R4 で表されるアルコキシ基として
は、アルキル部分の炭素数1〜6のものが好ましく、具
体的にはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が
挙げられる。アルコキシ基はさらに置換されていてもよ
い。
【0045】R1 〜R4 で表されるアリールオキシ基と
しては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−
(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0046】R1 〜R4 で表されるアミノ基としては、
無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換
基を有するものが好ましく、具体的にはジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリル
アミノ基、ジビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N
−トリルアミノ基、N−フェニル−N−ナフチルアミノ
基、N−フェニル−N−ビフェニリルアミノ基、N−フ
ェニル−N−アントリルアミノ基、N−フェニル−N−
ピレニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジアントリル
アミノ基、ジピレニルアミノ基等が挙げられる。
【0047】R1 〜R4 で表されるハロゲン原子として
は、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0048】R1 〜R4 のうちの少なくとも1個はアリ
ール基であるが、特にR1 〜R4 として1分子中にアリ
ール基が2〜4個存在することが好ましく、r1〜r4
のなかの2〜4個が1以上の整数であることが好まし
い。特に、アリール基は分子中に総計で2〜4個存在
し、より好ましくはr1〜r4のなかの2〜4個が1で
あり、さらにはr1〜r4が1であり、含まれるR1
4 のすべてがアリール基であることが好ましい。すな
わち、分子中のR1 〜R4 が置換していてもよい4個の
ベンゼン環には総計で2〜4個のアリール基が存在し、
2〜4個のアリール基の結合するベンゼン環は4個のベ
ンゼン環のなかで同一でも異なるものであってもよい
が、特に2〜4個のアリール基がそれぞれ異なるベンゼ
ン環に結合することが好ましい。そして、さらに少なく
とも2個がNの結合位置に対してパラ位またはメタ位に
結合していることがより好ましい。また、この際アリー
ル基としては少なくとも1個がフェニル基であることが
好ましく、すなわちアリール基とベンゼン環が一緒にな
ってN原子に対し4−または3−ビフェニリル基を形成
することが好ましい。特に2〜4個が4−または3−ビ
フェニリル基であることが好ましい。4−または3−ビ
フェニリル基は一方のみでも両者が混在していてもよ
い。また、フェニル基以外のアリール基としては、特に
(1−,2−)ナフチル基、(1−,2−,9−)アン
トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基な
どが好ましく、フェニル基以外のアリール基も特にNの
結合位置に対しパラ位またはメタ位に結合することが好
ましい。これらのアリール基もフェニル基と混在してい
てもよい。
【0049】化1において、R5 、R6 で表されるアル
キル基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子として
はR1 〜R4 のところで挙げたものと同様のものが挙げ
られる。
【0050】r5、r6は、ともに0であることが好ま
しく、2つのアリールアミノ基を連結するビフェニレン
基は無置換のものが好ましい。
【0051】なお、r1〜r4が2以上の整数のとき、
各R1 〜R4 同士は各々同一でも異なるものであっても
よい。また、r5、r6が2以上の整数のとき、R5
士、R6 同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0052】化1の化合物のなかでも、下記の化2また
は化3で表される化合物が好ましい。
【0053】
【化2】
【0054】
【化3】
【0055】まず化2について説明すると、化2におい
て、A1 〜A4 は、それぞれNの結合位置に対してパラ
位(4位)またはメタ位(3位)に結合するフェニル基
を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
これらのフェニル基はさらに置換基を有していてもよ
く、この場合の置換基としてはR1 〜R4 で表されるア
リール基のところで挙げた置換基と同様のものを挙げる
ことができる。R7 〜R10はそれぞれアルキル基、アル
コキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基ま
たはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異なるもの
であってもよい。これらの具体例としては化1のR1
4 のところで挙げたものと同様のものを挙げることが
できる。
【0056】r7〜r10はそれぞれ0または1〜4の
整数であり、r7〜r10は0であることが好ましい。
【0057】また、化2において、R5 、R6 、r5お
よびr6は化1のものと同義であり、r5=r6=0で
あることが好ましい。
【0058】なお、化2において、r7〜r10が各々
2以上の整数であるとき、各R7 〜R10同士は同一でも
異なるものであってもよい。
【0059】次に、化3について説明すると、化3にお
いて、ArはNの結合位置のパラ位またはメタ位に結合
するアリール基を表す。アリール基としては、化1のR
1 〜R4 で表されるアリール基のところで例示したもの
と同様のものを挙げることができ、特にフェニル基が好
ましい。この場合、アリール基はさらに置換されていて
もよく、このような置換基としてはR1 〜R4 のところ
で例示したものを挙げることができる。置換基としては
アミノ基が好ましい。ただし、アミノ基は、場合によっ
ては環化して複素環基となっていてもよい。具体的には
1 〜R4 で表されるアミノ基のなかから選択すること
ができる。Z1 、Z2 およびZ3 は、それぞれアルキル
基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ア
ミノ基またはハロゲン原子を表し、これらは同一でも異
なるものであってもよい。これらの具体例としては化1
のR1 〜R4 のところで挙げたものと同様のものを挙げ
ることができる。ただし、Z1 、Z2 およびZ3 のうち
の少なくとも1個はNの結合位置のパラ位またはメタ位
に結合するアリール基を表すが、Ar、Z1 〜Z3のす
べてが同時にNの結合位置に対してパラ位またはメタ位
に結合するフェニル基となることはなく、4個のベンゼ
ン環の2〜3個がパラ位またはメタ位にそれぞれ1個の
アリール基を有することが好ましい。従って、Z1 〜Z
2 のうちの1個または2個がこのようなアリール基であ
ることが好ましい。アリール基としては、(1−,2
−)ナフチル基、(1−,2−,9−)アントリル基、
ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基等も好ましい
が、フェニル基が最も好ましい。
【0060】また、Z1 〜Z3 で表される上記アリール
基は置換基を有していてもよく、置換基としてはR1
4 のところで例示したものを挙げることができる。特
に、置換基としてはアミノ基が好ましい。具体的には、
1 〜R4 で表されるアミノ基から選択することができ
る。s1〜s3は、それぞれ0または1〜5の整数であ
るが、これらは同時に0になることはなく、その和は1
以上の整数である。s1〜s3は、それぞれ0または1
であることが好ましく、さらにはs1〜s3の1個また
は2個が1であり、残りが0であるような組合せが好ま
しく、この場合s1〜s3が1であるときに含まれるZ
1 〜Z3 は、Nの結合位置に対してパラ位またはメタ位
に結合するアリール基、特にフェニル基であることが好
ましい。
【0061】なお、化3において、s1〜s3が2以上
の整数のとき、各Z1 〜Z3 同士は各々同一でも異なる
ものであってもよい。また、化3のR0 およびr0は化
2のR7 およびr7と各々同義であり、化18のR5
6 、r5およびr6は化2のものと各々同義であり、
好ましいものも同様である。
【0062】化2の化合物のなかでも、下記の化4〜化
9で表される化合物が好ましい。
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
【化8】
【0068】
【化9】
【0069】化4〜化9の各々において、R11〜R
14は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子を
表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。こ
れらの具体例としてはR1 〜R4 のところで挙げたもの
と同様のものを挙げることができる。
【0070】r11〜r14はそれぞれ0または1〜5
の整数であり、r11〜r14は、化4〜化9のいずれ
においても0であることが好ましい。
【0071】なお、r11〜r14が各々2以上の整数
であるとき、各R11〜R14同士は同一でも異なるもので
あってもよい。
【0072】化4〜化9の各々において、R5 〜R10
よびr5〜r10は、それぞれ化2のものと同義であ
り、好ましいものも同様である。
【0073】一方、化3の化合物のなかでも下記化10
〜化15で表される化合物が好ましい。
【0074】
【化10】
【0075】
【化11】
【0076】
【化12】
【0077】
【化13】
【0078】
【化14】
【0079】
【化15】
【0080】化10〜化15の各々に示されるAr1
Ar6 はそれぞれアリール基を表し、化10のAr1
Ar2 、化11のAr1 とAr3 、化12のAr1 とA
2とAr3 、化13のAr4 とAr5 、化14のAr4
とAr6 、化15のAr4とAr5 とAr6 とは、それ
ぞれ同一でも異なるものであってもよい。アリール基の
具体例としては化1のR1 〜R4 のところのものと同様
のものを挙げることができ、フェニル基が特に好まし
い。
【0081】化10〜化15のR15、化10、化12、
化13、化15のR16、化11、化12、化14、化1
5のR20は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリ
ール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原
子を表し、化10、化13のR15とR16、化11、化1
4のR15とR20、化12、化15のR15とR16とR20
はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。これら
の具体例としては化1のR1 〜R4 のところで挙げたも
のと同様のものを挙げることができる。
【0082】化10〜化15のr15、化10、化1
2、化13、化15のr16、化11、化12、化1
4、化15のr20は、0または1〜4の整数である
が、r15、r16、r20は0であることが好まし
い。
【0083】化10、化13のR17、化10〜化15の
18、化11、化14のR19は、それぞれアルキル基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロ
ゲン原子を表し、化10、化13のR17とR18、化1
1、化14のR18とR19とはそれぞれ同一でも異なるも
のであってもよい。これらの具体例としては化1のR1
〜R4 のところで挙げたものと同様のものを挙げること
ができる。
【0084】化10、化13のr17、化10〜化15
のr18、化11、化14のr19は、0または1〜5
の整数であるが、r17、r18、r19は0であるこ
とが好ましい。
【0085】なお、化10〜化15において、r15、
r16、r20が2以上の整数であるとき、R15同士、
16同士、R20同士は各々同一でも異なるものであって
もよく、r17、r18、r19が2以上の整数である
とき、R17同士、R18同士、R19同士は各々同一でも異
なるものであってもよい。
【0086】化10〜化15の各々において、R5 、R
6 、r5およびr6は化1のものと同義であり、r5=
r6=0であることが好ましい。
【0087】以下に、化1の化合物の具体例を示すが、
本発明はこれに限定されるものではない。なお、化1
6、化22、化27、化32、化38、化43、化4
9、化55、化63、化69、化75、化80は一般式
であり、化17〜21、化23〜26、化28〜31、
化33〜37、化39〜42、化44〜48、化50〜
54、化56〜62、化64〜68、化70〜74、化
76〜79、化81〜87にR1 等の組合せで具体例を
示している。この表示において、Ar1 〜Ar6 を除い
て、すべてHのときはHで示しており、置換基が存在す
るときは置換基のみを示すものとし、他のものはHであ
ることを意味している。
【0088】
【化16】
【0089】
【化17】
【0090】
【化18】
【0091】
【化19】
【0092】
【化20】
【0093】
【化21】
【0094】
【化22】
【0095】
【化23】
【0096】
【化24】
【0097】
【化25】
【0098】
【化26】
【0099】
【化27】
【0100】
【化28】
【0101】
【化29】
【0102】
【化30】
【0103】
【化31】
【0104】
【化32】
【0105】
【化33】
【0106】
【化34】
【0107】
【化35】
【0108】
【化36】
【0109】
【化37】
【0110】
【化38】
【0111】
【化39】
【0112】
【化40】
【0113】
【化41】
【0114】
【化42】
【0115】
【化43】
【0116】
【化44】
【0117】
【化45】
【0118】
【化46】
【0119】
【化47】
【0120】
【化48】
【0121】
【化49】
【0122】
【化50】
【0123】
【化51】
【0124】
【化52】
【0125】
【化53】
【0126】
【化54】
【0127】
【化55】
【0128】
【化56】
【0129】
【化57】
【0130】
【化58】
【0131】
【化59】
【0132】
【化60】
【0133】
【化61】
【0134】
【化62】
【0135】
【化63】
【0136】
【化64】
【0137】
【化65】
【0138】
【化66】
【0139】
【化67】
【0140】
【化68】
【0141】
【化69】
【0142】
【化70】
【0143】
【化71】
【0144】
【化72】
【0145】
【化73】
【0146】
【化74】
【0147】
【化75】
【0148】
【化76】
【0149】
【化77】
【0150】
【化78】
【0151】
【化79】
【0152】
【化80】
【0153】
【化81】
【0154】
【化82】
【0155】
【化83】
【0156】
【化84】
【0157】
【化85】
【0158】
【化86】
【0159】
【化87】
【0160】上記テトラアリールジアミン誘導体は、Je
an Piccard, Herr. Chim. Acta., 7, 789(1924) 、Jean
Piccard, J. Am. Chem. Soc., 48, 2878(1926) 等に記
載の方法に従って、あるいは準じて合成することができ
る。具体的には、目的とする化合物に応じ、ジ(ビフェ
ニル)アミン化合物とジヨードビフェニル化合物、ある
いはN,N’−ジフェニルベンジン化合物とヨードビフ
ェニル化合物、などの組合せで、銅の存在下で加熱する
こと(ウルマン反応)によって得られる。
【0161】上記テトラアリールジアミン誘導体は、質
量分析、赤外吸収スペクトル(IR)、 1H核磁気共鳴
スペクトル(NMR)等によって同定することができ
る。
【0162】これらのテトラアリールジアミン誘導体
は、640〜2000程度の分子量をもち、190〜3
00℃の高融点を有し、80〜200℃の高ガラス転移
温度を示し、通常の真空蒸着等により透明で室温以上で
も安定なアモルファス状態を形成し、平滑で良好な膜と
して得られ、しかもそれが長期間に渡って維持される。
なお、本発明の化合物のなかには融点を示さず、高温に
おいてもアモルファス状態を呈するものもある。従って
バインダー樹脂を用いることなく、それ自体で薄膜化す
ることができる。
【0163】テトラアリールジアミン誘導体は、1種の
みを用いても2種以上を併用してもよい。
【0164】発光層には上記ホスト物質の他、他の蛍光
材料をドーパントとして含有していてもよい。この場
合、好ましくは黄緑〜赤色の蛍光を発する蛍光物質が好
ましい。特に、下記式(1)で表される基本骨格を有す
るルブレン誘導体が好ましい。
【0165】
【化88】
【0166】発光層に式(1)で表されるルブレン誘導
体を含有させことにより、特に長波長域に極大発光波長
をもつ有機EL素子が得られる。特に、式(1)の化合
物は、発光層において、それ自体で発光機能を有するホ
スト物質のドーパントとして、あるいは電子注入玲送性
化合物と正孔注入輸送性化合物とで形成された発光機能
を有する混合層のドーパントとして使用することによっ
て、青〜赤色、好ましくは黄緑〜赤色の発光、特に長波
長発光が可能であり、しかも十分な輝度が得られ、発光
性能が持続する。
【0167】式(I)中、Q1 〜Q4 はそれぞれ非置
換、または置換基を有するアルキル基、アリール基、ア
ミノ基、複素環基およびアルケニル基のいずれかを表
す。また、好ましくはアリール基、アミノ基、複素環基
およびアルケニル基のいずれかである。
【0168】Q1 〜Q4 で表されるアリール基として
は、単環もしくは多環のものであって良く、縮合環や環
集合も含まれる。総炭素数は、6〜30のものが好まし
く、置換基を有していても良い。
【0169】Q1 〜Q4 で表されるアリール基として
は、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリ
ル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1
−、および2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,
m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナ
ントリル基等である。
【0170】Q1 〜Q4 で表されるアミノ基としては、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミ
ノ基等いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂
肪族、および/または1〜4環の芳香族炭素環を有する
ことが好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ
基、ジトリルアミノ基、ビスジフェニリルアミノ基、ビ
スナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0171】Q1 〜Q4 で表される複素環基としては、
ヘテロ原子としてO,N,Sを含有する5員または6員
環の芳香族複素環基、および炭素数2〜20の縮合多環
芳香複素環基等が挙げられる。
【0172】Q1 〜Q4 で表されるアルケニル基として
は、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有する(1
−、および2−)フェニルアルケニル基、(1,2−、
および2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,2,
2−)トリフェニルアルケニル基等が好ましいが、非置
換のものであっても良い。
【0173】芳香族複素環基および縮合多環芳香複素環
基としては、例えばチエニル基、フリル基、ピロリル
基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基等が挙げ
られる。
【0174】Q1 〜Q4 が置換基を有する場合、これら
の置換基のうちの少なくとも2つがアリール基、アミノ
基、複素環基、アルケニル基およびアリーロキシ基のい
ずれかであることが好ましい。アリール基、アミノ基、
複素環基およびアルケニル基については上記R1 〜R4
と同様である。
【0175】Q1 〜Q4 の置換基となるアリーロキシ基
としては、総炭素数6〜18のアリール基を有するもの
が好ましく、具体的には(o−,m−,p−)フェノキ
シ基等である。
【0176】これら置換基の2種以上が縮合環を形成し
ていてもよい。また、さらに置換されていても良く、そ
の場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
【0177】Q1 〜Q4 が置換基を有する場合、少なく
ともその2種以上が上記置換基を有することが好まし
い。その置換位置としては特に限定されるものではな
く、メタ、パラ、オルト位のいずれでも良い。また、Q
1 とQ4 、Q2 とQ3 はそれぞれ同じものであることが
好ましいが異なっていてもよい。
【0178】また、Q1 〜Q8 のうちの少なくとも5種
以上、より好ましくは6種以上が非置換または置換基を
有するアルキル基、アリール基、アミノ基、アルケニル
基または複素環基である。
【0179】Q5 ,Q6 ,Q7 およびQ8 は、それぞれ
水素または置換基を有していても良いアルキル基、アリ
ール基、アミノ基およびアルケニル基のいずれかを表
す。
【0180】Q5 ,Q6 ,Q7 およびQ8 で表されるア
ルキル基としては、炭素数が1〜6のものが好ましく、
直鎖状であっても分岐を有していても良い。アルキル基
の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、
(n,i)プロピル基、(n,i,sec,tert)
−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル
基等が挙げられる。
【0181】Q5 ,Q6 ,Q7 およびQ8 で表されるア
リール基、アミノ基、アルケニル基としては、上記Q1
〜Q4 の場合と同様である。また、Q5 とQ6 、Q7
8は、それぞれ同じものであることが好ましいが、異
なっていても良い。
【0182】また、Q1 〜Q8 のうちの5種以上が非置
換または置換基を有するアルキル基、アリール基、アミ
ノ基、アルケニル基および複素環基でなくてもよい。但
し、Q1 〜Q4 が全てフェニル基であって、Q5 ,Q
6 ,Q7 およびQ8 が水素であるものは含まれない。
【0183】また、本発明の発光層に含有されるルブレ
ン誘導体は、さらに下記の式(2)で表される基本骨格
を有するものが好ましい。
【0184】
【化89】
【0185】上記式(II)中、Q11〜Q13、Q21
23、Q31〜Q33およびQ41〜Q43は水素、アリール
基、アミノ基、複素環基、アリーロキシ基およびアルケ
ニル基のいずれかである。また、これらのうちの少なく
とも1群中にはアリール基、アミノ基、複素環基および
アリーロキシ基のいずれかを置換基として有することが
好ましい。これらの2種以上が縮合環を形成していても
よい。あるいは、これらの全てが水素である場合にはQ
5 ,Q6 ,Q7 およびQ8 のいずれかにはアルキル基、
またはアリール基を有することが好ましい。
【0186】アリール基、アミノ基、複素環基およびア
リーロキシ基の好ましい態様としては上記Q1 〜Q4
同様である。また。Q11〜Q13とQ41〜Q43、Q21〜Q
23とQ31〜Q33は、それぞれ同じであることが好ましい
が異なっていてもよい。
【0187】Q11〜Q13、Q21〜Q23、Q31〜Q33およ
びQ41〜Q43の置換基となるアミノ基としては、アルキ
ルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等
いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂肪族、
および/または1〜4環の芳香族炭素環を有することが
好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルア
ミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジト
リルアミノ基、ビスビフェニリルアミノ基等が挙げられ
る。
【0188】形成される縮合環としては、例えばインデ
ン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノ
リン、isoキノリン、キノクサリン、フェナジン、ア
クリジン、インドール、カルバゾール、フェノキサジ
ン、フェノチアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフ
ェン、ベンゾフラン、アクリドン、ベンズイミダゾー
ル、クマリン、フラボン等を挙げることができる。
【0189】本発明の特に好ましいルブレン誘導体の具
体例を以下のIA−1〜271に示す。但し、各置換基
1 〜Q8 をQ10〜Q80 として表した。
【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
【0192】
【表3】
【0193】
【表4】
【0194】
【表5】
【0195】
【表6】
【0196】
【表7】
【0197】
【表8】
【0198】
【表9】
【0199】
【表10】
【0200】
【表11】
【0201】
【表12】
【0202】
【表13】
【0203】
【表14】
【0204】
【表15】
【0205】
【表16】
【0206】
【表17】
【0207】
【表18】
【0208】
【表19】
【0209】
【表20】
【0210】
【表21】
【0211】
【表22】
【0212】
【表23】
【0213】
【表24】
【0214】
【表25】
【0215】
【表26】
【0216】
【表27】
【0217】
【表28】
【0218】
【表29】
【0219】
【表30】
【0220】
【表31】
【0221】
【表32】
【0222】
【表33】
【0223】
【表34】
【0224】
【表35】
【0225】また、本発明の好ましいルブレン誘導体の
具体例としては、以下のIIA−1〜84およびIIIA−
1〜60に示す化合物であっても良い。但し、各置換基
1〜Q8 をQ10〜Q80 として表した。
【0226】
【表36】
【0227】
【表37】
【0228】
【表38】
【0229】
【表39】
【0230】
【表40】
【0231】
【表41】
【0232】
【表42】
【0233】
【表43】
【0234】
【表44】
【0235】
【表45】
【0236】
【表46】
【0237】
【表47】
【0238】
【表48】
【0239】
【表49】
【0240】
【表50】
【0241】
【表51】
【0242】
【表52】
【0243】
【表53】
【0244】
【表54】
【0245】
【表55】
【0246】
【表56】
【0247】
【表57】
【0248】
【表58】
【0249】
【表59】
【0250】
【表60】
【0251】
【表61】
【0252】
【表62】
【0253】さらに、本発明のルブレン誘導体は以下の
IVA−1〜390に示す化合物であってもよい。但し、
各置換基Q1 〜Q8 をQ10〜Q80 として表した。
【0254】
【表63】
【0255】
【表64】
【0256】
【表65】
【0257】
【表66】
【0258】
【表67】
【0259】
【表68】
【0260】
【表69】
【0261】
【表70】
【0262】
【表71】
【0263】
【表72】
【0264】
【表73】
【0265】
【表74】
【0266】
【表75】
【0267】
【表76】
【0268】
【表77】
【0269】
【表78】
【0270】
【表79】
【0271】
【表80】
【0272】
【表81】
【0273】
【表82】
【0274】
【表83】
【0275】
【表84】
【0276】
【表85】
【0277】
【表86】
【0278】
【表87】
【0279】
【表88】
【0280】
【表89】
【0281】
【表90】
【0282】
【表91】
【0283】
【表92】
【0284】
【表93】
【0285】
【表94】
【0286】
【表95】
【0287】
【表96】
【0288】
【表97】
【0289】
【表98】
【0290】
【表99】
【0291】
【表100】
【0292】
【表101】
【0293】
【表102】
【0294】
【表103】
【0295】
【表104】
【0296】
【表105】
【0297】
【表106】
【0298】
【表107】
【0299】
【表108】
【0300】
【表109】
【0301】本発明のルブレン誘導体を含有する発光層
は、ホール(正孔)および電子の注入機能、それらの輸
送機能、ホールと電子の再結合により励起子を生成させ
る機能を有する。発光層は本発明の化合物の他、比較的
電子的にニュートラルな化合物を用いることで、電子と
ホールを容易かつバランスよく注入・輸送することがで
きる。
【0302】本発明に用いられるルブレン誘導体は、そ
れ自体で発光が可能な上記のホスト物質と組み合わせて
使用することが好ましく、ドーパントとしての使用が好
ましい。このような場合の発光層における本発明の化合
物の含有量は0.01〜10wt% 、さらには0.1〜5
wt% であることが好ましい。ホスト物質と組み合わせて
使用することによって、ホスト物質の発光波長特性を変
化させることができ、長波長に移行した発光が可能にな
るとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。
【0303】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に有利な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるた
め、有機化合物がダメージを受けにくくなり、素子寿命
がのびるという利点がある。また、前述のドーパントを
このような混合層に含有させることにより、混合層自体
のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長
を長波長に移行させることができるとともに、発光強度
を高め、素子の安定性を向上させることもできる。
【0304】また、ドーパントのキャリアトラップ性
が、電子側もしくはホール側に偏っている場合、再結合
を向上させるためキャリアトラップ性の異なる2種以上
のドーパントを用いて再結合確率を向上させてもよい.
キャリアトラップ性の異なるドーパントを用いること
で、発光層でのホールと電子の再結合確率が向上し、発
光効率、発光輝度が向上する。特に好ましい組み合わせ
は、ホスト材料に対して、電子トラップ性の高いドーパ
ントと、ホスト材料に対して、ホールトラップ性の高い
ドーパントとの組み合わせである。
【0305】混合層に用いられるホール注入輸送性化合
物および電子注入輸送性化合物は、各々、前述したよう
にホール注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用
の化合物の中から選択すればよい。なかでも、ホール注
入輸送層用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン
誘導体、例えばホール輸送材料であるトリフェニルジア
ミン誘導体(TPD)、さらにはスチリルアミン誘導
体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用いるのが好ま
しい。
【0306】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(Alq3)を用いることが好まし
い。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラ
アリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
【0307】ホール注入輸送層用の化合物としては、強
い蛍光を持ったアミン誘導体、例えば上記のホール輸送
材料であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはスチ
リルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を
用いるのが好ましい。
【0308】この場合の混合比は、それぞれのキャリア
移動度とキャリア濃度を考慮する事で決定するが、一般
的には、ホール注入輸送性化合物の化合物/電子注入輸
送機能を有する化合物の重量比が、1/99〜99/
1、さらには10/90〜90/10、特には20/8
0〜80/20程度)となるようにすることが好まし
い。
【0309】また、混合層の厚さは、分子層一層に相当
する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とすることが好
ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、
さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすることが好
ましい。
【0310】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させて
コーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形
成する。
【0311】本発明の有機EL素子は、上記発光層と、
一方の電極である陰電極との間に、無機電子注入輸送
層、特に高抵抗の無機電子注入輸送層を有する。
【0312】このように、電子の導通パスを有し、ホー
ルをブロックできる無機電子注入輸送層を有機層と電子
注入電極(陰極)の間に配置することで、発光層へ電子
を効率よく注入することができ、発光効率が向上すると
ともに駆動電圧が低下する。
【0313】また、好ましくは高抵抗の無機電子注入輸
送層の第2成分を、全成分に対して0.2〜40 mol%
含有させて導電パスを形成することにより、電子注入電
極から発光層側の有機層へ効率よく電子を注入すること
ができる。しかも、有機層から電子注入電極へのホール
の移動を抑制することができ、発光層でのホールと電子
との再結合を効率よく行わせることができる。また、無
機材料の有するメリットと、有機材料の有するメリット
とを併せもった有機EL素子とすることができる。本発
明の有機EL素子は、従来の有機電子注入層を有する素
子と同等かそれ以上の輝度が得られ、しかも、耐熱性、
耐候性が高いので従来のものよりも寿命が長く、リーク
やダークスポットの発生も少ない。また、比較的高価な
有機物質ばかりではなく、安価で入手しやすく製造が容
易な無機材料も用いることで、製造コストを低減するこ
ともできる。
【0314】高抵抗の無機電子注入輸送層は、その抵抗
率が好ましくは1〜1×1011Ω・cm、特に1×103
〜1×108 Ω・cmである。高抵抗の無機電子注入輸送
層の抵抗率を上記範囲とすることにより、高い電子ブロ
ック性を維持したまま電子注入効率を飛躍的に向上させ
ることができる。高抵抗の無機電子注入輸送層の抵抗率
は、シート抵抗と膜厚からも求めることができる。
【0315】高抵抗の無機電子注入輸送層は、好ましく
は第1成分として仕事関数4eV以下、より好ましくは1
〜4eVであって、好ましくはLi,Na,K,Rb,C
sおよびFrから選択される1種以上のアルカリ金属元
素、または、好ましくはMg,CaおよびSrから選択
される1種以上のアルカリ土類金属元素、または、好ま
しくはLaおよびCeから選択される1種以上のランタ
ノイド系元素のいずれかの酸化物を含有する。これらの
なかでも、特に酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化セリウムが好ましい。これらを混合し
て用いる場合の混合比は任意である。また、これらの混
合物中には酸化リチウムがLi2O換算で、50 mol%
以上含有されていることが好ましい。
【0316】高抵抗の無機電子注入輸送層は、さらに第
2成分としてZn,Sn,V,Ru,SmおよびInか
ら選択される1種以上の元素を含有する。この場合の第
2成分の含有量は、好ましくは0.2〜40 mol%、よ
り好ましくは1〜20 mol%である。含有量がこれより
少ないと電子注入機能が低下し、含有量がこれを超える
とホールブロック機能が低下してくる。2種以上を併用
する場合、合計の含有量は上記の範囲にすることが好ま
しい。第2成分は金属元素の状態でも、酸化物の状態で
あってもよい。
【0317】高抵抗である第1成分中に導電性(低抵
抗)の第2成分を含有させることにより、絶縁性物質中
に導電物質が島状に存在するようになり、電子注入のた
めのホッピングパスが形成されるものと考えられる。
【0318】上記第1成分の酸化物は通常化学量論組成
(stoichiometric composition)であるが、これから多
少偏倚して非化学量論的組成(non-stoichiometry)と
なっていてもよい。また、第2成分も、通常、酸化物と
して存在するが、この酸化物も同様である。
【0319】高抵抗の無機電子注入輸送層には、他に、
不純物として、Hやスパッタガスに用いるNe、Ar、
Kr、Xe等を合計5at%以下含有していてもよい。
【0320】なお、高抵抗の無機電子注入輸送層全体の
平均値としてこのような組成であれば、均一でなくても
よく、膜厚方向に濃度勾配を有する構造としてもよい。
【0321】高抵抗の無機電子注入輸送層は、通常、非
晶質状態である。
【0322】高抵抗の無機電子注入輸送層の膜厚として
は、好ましくは0.2〜30nm、特に0.2〜20nm程
度が好ましい。電子注入層がこれより薄くても厚くて
も、電子注入層としての機能を十分に発揮できなくなく
なってくる。
【0323】上記の高抵抗の無機電子注入輸送層の製造
方法としては、スパッタ法、蒸着法などの各種の物理的
または化学的な薄膜形成方法などが考えられるが、スパ
ッタ法が好ましい。なかでも、上記第1成分と第2成分
のターゲットを別個にスパッタする多元スパッタが好ま
しい。多元スパッタにすることで、それぞれのターゲッ
トに好適なスパッタ法を用いることができる。また、1
元スパッタとする場合には、第1成分と第2成分の混合
ターゲットを用いてもよい。
【0324】高抵抗の無機電子注入輸送層をスパッタ法
で形成する場合、スパッタ時のスパッタガスの圧力は、
0.1〜1Paの範囲が好ましい。スパッタガスは、通常
のスパッタ装置に使用される不活性ガス、例えばAr,
Ne,Xe,Kr等が使用できる。また、必要によりN
2 を用いてもよい。スパッタ時の雰囲気としては、上記
スパッタガスに加えO2 を1〜99%程度混合して反応
性スパッタを行ってもよい。
【0325】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法や、DCスパッタ法等が使用できる。スパ
ッタ装置の電力としては、好ましくはRFスパッタで
0.1〜10W/cm2 の範囲が好ましく、成膜レートは
0.5〜10nm/min 、特に1〜5nm/min の範囲が好
ましい。
【0326】成膜時の基板温度としては、室温(25
℃)〜150℃程度である。
【0327】無機電子注入輸送層は、無機絶縁性電子注
入輸送層であってもよい。
【0328】無機絶縁性電子注入輸送層は、主成分とし
て酸化リチウム(Li2O)、酸化ルビジウム(Rb
2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化ナトリウム(Na
2O)、酸化セシウム(Cs2O)、酸化ストロンチウム
(SrO)、酸化マグネシウム(MgO)、および酸化
カルシウム(CaO)の1種または2種以上を含有す
る。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合し
て用いてもよく、2種以上を用いる場合の混合比は任意
である。また、これらのなかでは酸化ストロンチウムが
最も好ましく、次いで酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、さらに酸化リチウム(Li2O)の順で好ましく、
次いで酸化ルビジウム(Rb2O)、次いで酸化カリウ
ム(K2O)、および酸化ナトリウム(Na2O)が好ま
しい。これらを混合して用いる場合には、これらのなか
で酸化ストロンチウムが40 mol%以上、または酸化リ
チウムと酸化ルビジウムの総計が40 mol%以上、特に
50 mol%以上含有されていることが好ましい。
【0329】無機絶縁性電子注入輸送層は、好ましくは
安定剤として酸化シリコン(SiO 2)、および/また
は酸化ゲルマニウム(GeO2)を含有する。これらは
いずれか一方を用いてもよいし、両者を混合して用いて
もよく、その際の混合比は任意である。
【0330】上記の各酸化物は、通常、化学量論的組成
(stoichiometric composition)で存在するが、これか
ら多少偏倚し、非化学量論的組成(non-stoichiometr
y)となっていてもよい。
【0331】また、本発明の無機絶縁性電子注入輸送層
は、好ましくは上記各構成成分が全成分に対して、Sr
O、MgO、CaO、Li2O、Rb2O、K2O、Na2
O、Cs2O、SiO2、GeO2に換算して、 主成分:80〜99 mol%、より好ましくは90〜95
mol%、 安定剤: 1〜20 mol%、より好ましくは 5〜10
mol%、 含有する。
【0332】無機絶縁性電子注入輸送層の膜厚として
は、好ましくは0.1〜2nm、より好ましくは0.3〜
0.8nmである。
【0333】さらに、本発明の有機EL素子は、上記発
光層と、一対の電極との間に、無機ホール注入輸送層、
特に高抵抗の無機ホール注入輸送層を有する。
【0334】このように、ホールの導通パスを有し、電
子をブロックできる高抵抗の無機ホール注入輸送層を有
機層とホール注入電極の間に配置することで、発光層へ
ホールを効率よく注入することができ、さらに発光効率
が向上するとともに駆動電圧も低下する。
【0335】また、好ましくは高抵抗の無機ホール注入
輸送層の主成分としてシリコンや、ゲルマニウム等の金
属または半金属の酸化物を用い、これに仕事関数4.5
eV以上、好ましくは4.5〜6eVの金属や、半金属およ
び/またはこれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化
物、硼化物のいずれか1種以上を含有させて導電パスを
形成することにより、ホール注入電極から発光層側の有
機層へ効率よくホールを注入することができる。しか
も、有機層からホール注入電極への電子の移動を抑制す
ることができ、発光層でのホールと電子との再結合を効
率よく行わせることができる。また、無機材料の有する
メリットと、有機材料の有するメリットとを併せもった
有機EL素子とすることができる。本発明の有機EL素
子は、従来の有機ホール注入層を有する素子と同等かそ
れ以上の輝度が得られ、しかも、耐熱性、耐候性が高い
ので従来のものよりも寿命が長く、リークやダークスポ
ットの発生も少ない。また、比較的高価な有機物質ばか
りではなく、安価で入手しやすく製造が容易な無機材料
も用いることで、製造コストを低減することもできる。
【0336】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、その抵
抗率が好ましくは1〜1×1011Ω・cm、特に1×10
3〜1×108Ω・cmである。高抵抗の無機ホール注入輸
送層の抵抗率を上記範囲とすることにより、高い電子ブ
ロック性を維持したままホール注入効率を飛躍的に向上
させることができる。高抵抗の無機ホール注入輸送層の
抵抗率は、シート抵抗と膜厚からも求めることができ
る。この場合、シート抵抗は4端子法等により測定する
ことができる。
【0337】主成分の材料は、シリコン、ゲルマニウム
の酸化物であり、好ましくは (Si1-xGex)Oyにおいて 0≦x≦1、 1.7≦y≦2.2、好ましくは1.7≦y≦1.99 である。高抵抗の無機ホール注入輸送層の主成分は、酸
化ケイ素でも酸化ゲルマニウムでもよく、それらの混合
薄膜でもよい。yがこれより大きくても小さくてもホー
ル注入機能は低下してくる傾向がある。組成は、例えば
ラザフォード後方散乱、化学分析等で調べればよい。
【0338】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、さらに
主成分に加え、仕事関数4.5eV以上の金属(半金属を
含む)の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化
物を含有することが好ましい。仕事関数4.5eV以上、
好ましくは4.5〜6eVの金属は、好ましくはAu,C
u、Fe、Ni、Ru、Sn,Cr,Ir,Nb,P
t,W,Mo,Ta,PdおよびCoのいずれか1種ま
た2種以上である。これらは一般に金属としてあるいは
酸化物の形で存在する。また、これらの炭化物、窒化
物、ケイ化物、硼化物であってもよい。これらを混合し
て用いる場合の混合比は任意である。これらの含有量は
好ましくは0.2〜40 mol%、より好ましくは1〜2
0 mol%である。含有量がこれより少ないとホール注入
機能が低下し、含有量がこれを超えると電子ブロック機
能が低下してくる。2種以上を併用する場合、合計の含
有量は上記の範囲にすることが好ましい。
【0339】上記金属または金属(半金属を含む)の酸
化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化物は、通
常、高抵抗の無機ホール注入輸送層中に分散している。
分散粒子の粒径としては、通常、1〜5nm程度である。
この導体である分散粒子同士との間で高抵抗の主成分を
介してホールを搬送するためのホッピングパスが形成さ
れるものと考えられる。
【0340】高抵抗の無機ホール注入輸送層には、他
に、不純物として、Hやスパッタガスに用いるNe、A
r、Kr、Xe等を合計5at%以下含有していてもよ
い。
【0341】なお、高抵抗の無機ホール注入輸送層全体
の平均値としてこのような組成であれば、均一でなくて
もよく、膜厚方向に濃度勾配を有する構造としてもよ
い。
【0342】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、通常、
非晶質状態である。
【0343】高抵抗の無機ホール注入輸送層の膜厚とし
ては、好ましくは0.3〜100nm、より好ましくは1
〜100nm、特に5〜30nm程度が好ましい。高抵抗の
無機ホール注入輸送層がこれより薄くても厚くても、ホ
ール注入層としての機能を十分に発揮できなくなくなっ
てくる。
【0344】上記の高抵抗の無機ホール注入輸送層の製
造方法としては、スパッタ法、蒸着法などの各種の物理
的または化学的な薄膜形成方法などが考えられるが、ス
パッタ法が好ましい。なかでも、上記主成分と金属また
は金属酸化物等のターゲットを別個にスパッタする多元
スパッタが好ましい。多元スパッタにすることで、それ
ぞれのターゲットに好適なスパッタ法を用いることがで
きる。また、1元スパッタとする場合には、主成分のタ
ーゲット上に上記金属または金属酸化物等の小片を配置
し、両者の面積比を適当に調整することにより、組成を
調整してもよい。
【0345】高抵抗の無機ホール注入輸送層をスパッタ
法で形成する場合、上記無機電子注入輸送層と同様であ
る。
【0346】また、無機ホール注入輸送層は無機絶縁性
ホール注入輸送層であってもよい。無機絶縁性ホール注
入輸送層は、シリコンおよび/またはゲルマニウムの酸
化物を主成分とする。
【0347】また、主成分の平均組成、好ましくはラザ
フォード後方散乱により得られる主成分の平均組成を、 (Si1-xGex)Oyと表したとき 0≦x≦1 1.7≦y≦1.99 である。
【0348】このように、無機絶縁性ホール注入輸送層
の主成分である酸化物を上記組成範囲とすることによ
り、ホール注入電極から発光層側の有機層へ効率よくホ
ールを注入することができる。しかも、有機層からホー
ル注入電極への電子の移動を抑制することができ、発光
層でのホールと電子との再結合を効率よく行わせること
ができる。また、ホール注入輸送を目的としているた
め、逆バイアスをかけると発光しない。特に、時分割駆
動方式など、高い発光輝度が要求されるディスプレイに
効果的に応用でき、無機材料の有するメリットと、有機
材料の有するメリットとを併せもった有機EL素子とす
ることができる。本発明の有機EL素子は、従来の有機
ホール注入層を有する素子と同等の輝度が得られ、しか
も、耐熱性、耐候性が高いので従来のものよりも寿命が
長く、リークやダークスポットの発生も少ない。また、
比較的高価な有機物質ではなく、安価で入手しやすい無
機材料を用いているので、製造が容易となり、製造コス
トを低減することができる。
【0349】酸素の含有量を表すyは、上記組成範囲と
なっていればよく、1.7以上であって1.99以下で
ある。yがこれより大きくても、yがこれより小さくて
もホール注入能が低下し、輝度が低下してくる。また、
好ましくは1.85以上であって1.98以下である。
【0350】無機絶縁性ホール注入輸送層は、酸化ケイ
素でも酸化ゲルマニウムでもよく、それらの混合薄膜で
もよい。これらの組成比を表すxは、0≦x≦1であ
る。また、好ましくはxは0.4以下、より好ましくは
0.3以下、特に0.2以下であることが好ましい。
【0351】あるいは、xは好ましくは0.6以上、よ
り好ましくは0.7以上、特に0.8以上であってもよ
い。
【0352】上記酸素の含有量は、ラザフォード後方散
乱により得られた膜中の平均組成であるが、これと同等
な精度を有する測定方法であれば上記測定法に限定され
るものではない。
【0353】無機絶縁性ホール注入輸送層は、好ましく
はさらにCu、Fe、Ni、Ru、SnおよびAuのい
ずれか1種以上を含有する。中でも、Cu、Ni、S
n、特にNiを含有することが好ましい。これらの元素
の含有量は好ましくは10at%以下、より好ましくは
0.05〜10at%、さらには0.1〜10at%、特に
0.5〜5at%である。含有量がこれを超えるとホール
注入機能が低下してくる。2種以上を併用する場合、合
計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0354】無機絶縁性ホール注入輸送層には、他に、
不純物として、スパッタガスに用いるNe、Ar、K
r、Xe等を好ましくは合計10at%以下、より好まし
くは0.01〜2wt%、特に0.05〜1.5wt%程度
含有していてもよい。これらの元素は1種でも2種以上
を含有していてもよく、これらを2種以上用いる場合の
混合比は任意である。
【0355】これらの元素はスパッタガスとして使用さ
れ、無機絶縁性ホール注入輸送層成膜時に混入する。こ
れらの元素の含有量が多くなるとトラップ効果が極端に
低下し、所望の性能が得られない。
【0356】スパッタガスの含有量は、成膜時の圧力
と、スパッタガスと酸素の流量比、成膜レート等によ
り、特に成膜時の圧力で決められる。スパッタガスの含
有量を上記範囲とするためには、高真空側で成膜した方
が好ましく、具体的には、1Pa以下、特に0.1〜1Pa
の範囲が好ましい。
【0357】なお、ホール注入層全体の平均値としてこ
のような組成であれば、均一でなくてもよく、膜厚方向
に濃度勾配を有する構造としてもよい。この場合は、有
機層(発光層)界面側が酸素プアであることが好まし
い。
【0358】無機絶縁性ホール注入輸送層は、通常、非
晶質状態である。
【0359】無機絶縁性ホール注入輸送層の膜厚として
は、特に制限はないが、0.05〜10nm、特に1〜5
nm程度が好ましい。ホール注入層がこれより薄くても厚
くても、ホール注入を十分には行えなくなってくる。
【0360】上記の無機絶縁性電子注入輸送層、無機絶
縁性ホール注入輸送層の製造方法としては、スパッタ
法、EB蒸着法などの各種の物理的または化学的な薄膜
形成方法などが可能であるが、スパッタ法が好ましい。
その際の条件等は上記無機電子注入輸送層と同様であ
る。
【0361】無機電子注入輸送層の上(発光層と反対
側:所謂逆積層のときには下側になる)には、陰電極を
有する。陰電極は、下記の無機絶縁性電子注入輸送層と
の組み合わせでは、低仕事関数で電子注入性を有してい
る必要がないため、特に限定される必要はなく、通常の
金属を用いることができる。なかでも、導電率や扱い易
さの点で、Al,Ag,In,Ti,Cu,Au,M
o,W,Pt,PdおよびNi、特にAl,Agから選
択される1種または2種等の金属元素が好ましい。
【0362】これら陰電極薄膜の厚さは、電子を無機絶
縁性電子注入輸送層に与えることのできる一定以上の厚
さとすれば良く、50nm以上、好ましくは100nm以上
とすればよい。また、その上限値には特に制限はない
が、通常膜厚は50〜500nm程度とすればよい。な
お、陰電極側から発光光を取り出す場合には、膜厚は5
0〜300nm程度が好ましい。
【0363】本発明の有機EL素子は、上記無機電子注
入輸送層との組み合わせにおいて、陰電極として上記金
属元素を用いることが好ましいが、必要に応じて下記の
ものを用いてもよい。例えば、K、Li、Na、Mg、
La、Ce、Ca、Sr、Ba、Sn、Zn、Zr等の
金属元素単体、または安定性を向上させるためにそれら
を含む2成分、3成分の合金系、例えばAg・Mg(A
g:0.1〜50at%)、Al・Li(Li:0.01
〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、
Al・Ca(Ca:0.01〜20at%)等が挙げられ
る。
【0364】上記陰電極薄膜の厚さは、電子注入を十分
行える一定以上の厚さとすれば良く、0.1nm以上、好
ましくは0.5nm以上、特に1nm以上とすればよい。ま
た、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は1〜
500nm程度とすればよい。陰電極の上には、さらに補
助電極(保護電極)を設けてもよい。
【0365】補助電極の厚さは、電子注入効率を確保
し、水分や酸素あるいは有機溶媒の進入を防止するた
め、一定以上の厚さとすればよく、好ましくは50nm以
上、さらには100nm以上、特に100〜500nmの範
囲が好ましい。補助電極層が薄すぎると、その効果が得
られず、また、補助電極層の段差被覆性が低くなってし
まい、端子電極との接続が十分ではなくなる。一方、補
助電極層が厚すぎると、補助電極層の応力が大きくなる
ため、ダークスポットの成長速度が速くなってしまう等
といった弊害が生じてくる。
【0366】補助電極は、組み合わせる陰電極の材質に
より最適な材質を選択して用いればよい。例えば、電子
注入効率を確保することを重視するのであればAl等の
低抵抗の金属を用いればよく、封止性を重視する場合に
は、TiN等の金属化合物を用いてもよい。
【0367】陰電極と補助電極とを併せた全体の厚さと
しては、特に制限はないが、通常50〜500nm程度と
すればよい。
【0368】ホール注入電極材料は、ホール注入層へホ
ールを効率よく注入することのできるものが好ましく、
仕事関数4.5eV〜5.5eVの物質が好ましい。具体的
には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ
酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2
3 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)
のいずれかを主組成としたものが好ましい。これらの酸
化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよい。
In2 3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20wt
%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZOで
のIn2 3 に対するZnOの混合比は、通常、12〜
32wt%程度である。
【0369】ホール注入電極は、仕事関数を調整するた
め、酸化シリコン(SiO2 )を含有していてもよい。
酸化シリコン(SiO2 )の含有量は、ITOに対する
SiO2 の mol比で0.5〜10%程度が好ましい。S
iO2 を含有することにより、ITOの仕事関数が増大
する。
【0370】光を取り出す側の電極は、発光波長帯域、
通常400〜700nm、特に各発光光に対する光透過率
が50%以上、特に60%以上、さらには70%以上で
あることが好ましい。透過率が低くなると、発光層から
の発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝度を得
難くなってくる。
【0371】電極の厚さは、50〜500nm、特に50
〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制
限はないが、あまり厚いと透過率の低下や剥離などの心
配が生じる。厚さが薄すぎると、十分な効果が得られ
ず、製造時の膜強度等の点でも問題がある。
【0372】本発明の有機EL素子は、例えば図1に示
すように、基板1/ホール注入電極2/無機ホール注入
輸送層4/発光層5/無機電子注入輸送層6/陰電極3
と、発光層を2層以上の積層体とした構成を有する。こ
のような素子構造により、発光色の色調調整や多色化を
行うことができる。図1において、ホール注入電極2と
陰電極3の間には、駆動電源Eが接続されている。さら
に、これらの積層順を逆にした逆積層としてもよい。
【0373】これらの積層構成は、素子に求められる性
能や使用目的などにより、適宜最適な構成を選択した
り、必要な変更を加えて使用することができる。
【0374】素子の有機層や電極の酸化を防ぐために、
素子上を封止板等により封止することが好ましい。封止
板は、湿気の侵入を防ぐために、接着性樹脂層を用い
て、封止板を接着し密封する。封止ガスは、Ar、H
e、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、この封止
ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ましくは
10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好まし
い。この水分含有量に下限値は特にないが、通常0.1
ppm 程度である。
【0375】封止板の材料としては、好ましくは平板状
であって、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材
料が挙げられるが、特にガラスが好ましい。このような
ガラス材として、コストの面からアルカリガラスが好ま
しいが、この他、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラ
ス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカ
ガラス等のガラス組成のものも好ましい。特に、ソーダ
ガラスで、表面処理の無いガラス材が安価に使用でき、
好ましい。封止板としては、ガラス板以外にも、金属
板、プラスチック板等を用いることもできる。
【0376】封止板は、スペーサーを用いて高さを調整
し、所望の高さに保持してもよい。スペーサーの材料と
しては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガ
ラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ等が好
ましい。スペーサーは、通常、粒径の揃った粒状物であ
るが、その形状は特に限定されるものではなく、スペー
サーとしての機能に支障のないものであれば種々の形状
であってもよい。その大きさとしては、円換算の直径が
1〜20μm 、より好ましくは1〜10μm 、特に2〜
8μm が好ましい。このような直径のものは、粒長10
0μm 以下程度であることが好ましく、その下限は特に
規制されるものではないが、通常直径と同程度以上であ
る。
【0377】なお、封止板に凹部を形成した場合には、
スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。使用す
る場合の好ましい大きさとしては、前記範囲でよいが、
特に2〜8μm の範囲が好ましい。
【0378】スペーサーは、予め封止用接着剤中に混入
されていても、接着時に混入してもよい。封止用接着剤
中におけるスペーサーの含有量は、好ましくは0.01
〜30wt%、より好ましくは0.1〜5wt%である。
【0379】接着剤としては、安定した接着強度が保
て、気密性が良好なものであれば特に限定されるもので
はないが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ
樹脂接着剤を用いることが好ましい。
【0380】本発明において、有機EL構造体を形成す
る基板としては、非晶質基板たとえばガラス、石英な
ど、結晶基板たとえば、Si、GaAs、ZnSe、Z
nS、GaP、InPなどがあげられ、またこれらの結
晶基板に結晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層を形
成した基板も用いることができる。また金属基板として
は、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用いる
ことができ、好ましくはガラス基板が用いられる。基板
は、通常光取り出し側となるため、上記電極と同様な光
透過性を有することが好ましい。
【0381】さらに、本発明素子を、平面上に多数並べ
てもよい。平面上に並べられたそれぞれの素子の発光色
を変えて、カラーのディスプレーにすることができる。
【0382】基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む
色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコン
トロールしてもよい。
【0383】色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等
で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、
有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルター
の特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すれば
よい。
【0384】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0385】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0386】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0387】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニ
ン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素
系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・ク
マリン系化合物等を用いればよい。
【0388】バインダーは、基本的に蛍光を消光しない
ような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷
等で微細なパターニングが出来るようなものが好まし
い。また、基板上にホール注入電極と接する状態で形成
される場合、ホール注入電極(ITO、IZO等)の成
膜時にダメージを受けないような材料が好ましい。
【0389】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0390】本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動
型、パルス駆動型のEL素子として用いられるが、交流
駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜30
V 程度とされる。
【0391】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に鋭明する。
【0392】<実施例1>ガラス基板としてコーニング
社製商品名7059基板を中性洗剤を用いてスクラブ洗
浄した。次いで、この基板をスパック装置の基板ホルダ
ーに固定し、lTO酸化物ターゲットを用いDCマグネ
トロンスパックリング法により、lTOホール注入電極
層を形成した。
【0393】lTOが成膜された基板を、中性洗剤、ア
セトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノ
ール中から引き上げて乾燥した。次いで、表面を∪∨/
3洗浄した後、真空蒸暑装置の基板ホルダーに固定し
て、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0394】次いで、ターゲットにSiO2と、この上
に所定の大きさのAuのペレットを配置して用い、高抵
抗の無機ホール注入層を20nmの膜厚に成膜した。この
ときのスパッタガスはAr:30sccm、O2:5sccm
で、室温(25℃)下、成膜レート1nm/min 、動作圧
力0.2〜2Pa、投入電力500Wとした。成膜した高
抵抗の無機ホール注入輸送層の組成は、SiO1.9にA
uを4 mol%含有するものであった。
【0395】さらに、減圧を保ったまま、テトラアリー
ルジアミン誘導体としてN,N,N’,N’−テトラ
(3−ビフェニリル)ペンジジン(化合物No.1A−
1)と、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(A
lq3)と、ルブレンとを、全体の蒸着速度0.2nm/
sec として40nmの厚さに蒸著し、発光層とした。TP
D:Alq3=1:1(重量比)、この混合物に対して
ルブレンを5体積%ドープした。
【0396】次いで、基板をスパッタ装置に移し、Li
2OにVを4 mol%混合したターゲットを用い、高抵抗
の無機電子注入輸送層を10nmの膜厚に成膜した。この
ときのスパッタガスはAr:30sccm、O2:5sccm
で、室温(25℃)下、成膜レート1nm/min 、動作圧
力:0.2〜2Pa、投入電力:500Wとした。成膜し
た無機電子注入層の組成は、ターゲットとほぼ同様であ
った。
【0397】さらに、減圧を保ったまま、Alを20nm
の厚さに蒸着して陰電極とした。
【0398】最後にガラス封止して有機EL素子を得
た。また、比較サンプル1として、発光層をAlq3単
層で40nmの厚さに形成した他は上記と同様にして有機
EL素子を得た。また、比較サンプル2として、上記無
機ホール注入輸送層に代えて、蒸暑法により、ポリチオ
フェンを蒸着速度0.1nm/sec で10nmの厚さに蒸着
してホール注入層を形成し、TPDを蒸着速度0.1nm
/sec で20nmの厚さに蒸着してホール輸送層を形成
し、さらに、上記無機電子注入輸送層に代えて、蒸着法
により、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(A
lq3)を蒸暑速度0.2nm/sec として30nmの厚さ
に蒸着し、電子注入輸送層とした有機EL素子を作製し
た。
【0399】加速試験として、100mA/cm2 の一定電
流で発光輝度、寿命特性を調べた。従来の有機材料を電
子注入輸送層としたこと以外全く同様の比較サンプルに
比べ、10%程度発光輝度が向上していた。また、比較
サンプル1、2は100時間以下で輝度が半分以下にな
ったのに対して本発明サンプルは、300時間以上で6
0%以上の輝度を保っていた。
【0400】<実施例2>実施例1において、高抵抗の
無機電子注入層の組成を、Li2OからNa,K,R
b,CsおよびFrのアルカリ金属元素、またはBe,
Mg,Ca,Sr,BaおよびRaのアルカリ土類金属
元素、またはLa,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,E
u,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybおよび
Luのランタノイド系元素から選択される1種以上の元
素の酸化物に代えても同様の結果が得られた。
【0401】また、VからRu,Zn,SmおよびIn
から選択される1種以上の元素に代えても同様であっ
た。
【0402】<実施例3>実施例1において、高抵抗の
無機ホール注入層を成膜する際、ターゲットにGeO2
と、このターゲット上に所定の大きさのAuのペレット
を配置し、高抵抗の無機ホール注入層を20nmの膜厚に
成膜した。このときのスパッタガスはAr:30sccm、
2:5sccmで、室温(25℃)下、成膜レート1nm/m
in 、動作圧力0.2〜2Pa、投入電力500Wとし
た。成膜した無機ホール注入層の組成は、GeO2にA
uを2 mol%含有するものであった。
【0403】その他は実施例1と同様にして有機EL素
子を得た。得られた有機EL素子を実施例1と同様にし
て評価したところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0404】<実施例4>実施例1において、高抵抗の
無機ホール注入輸送層を成膜する際にスパッタガスのO
2流量、および膜組成によりターゲットを変えてその主
成分の組成をSiO1.7、SiO1.95、GeO1.96、S
0.5Ge0.51.92とした他は実施例1と同様にして有
機EL素子を作製し、評価したところほぼ同等の結果が
得られた。
【0405】<実施例5>実施例1において、高抵抗の
無機ホール注入層の金属を、AuからCu、Fe、N
i、Ru、Sn,Cr,Ir,Nb,Pt,W,Mo,
Ta,PdおよびCoのいずれか1種以上、またはこれ
らの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硼化物に代え
ても同等の結果が得られた。
【0406】<実施例6>実施例1において、無機電子
注入輸送層、無機ホール注入輸送層を以下のようにして
作成し、無機絶縁性電子注入輸送層および無機絶縁性ホ
ール注入輸送層とした以外は実施例1と同様にして有機
EL素子を得た。
【0407】(無機絶縁性電子注入輸送層)ターゲット
にSiO2 を用い、無機絶縁性ホール注入層を1nmの膜
厚に成膜した。このときのスパックガスはAr:100
sccm、O2 :10sccmで、基板温度:25℃、成膜レー
ト:1nm/min 、動作圧力:0.5Pa、投入電力5W
/cm 2 とした。成膜したホール注入層の組成は、SiO
1.7 であった。
【0408】(無機絶縁性ホール注入輸送層)さらに、
減圧を保ったままスパック装置に移し、原料として酸化
ストロンチウム(SrO)、酸化リチウム(Li
2O)、酸化シリコン(SiO2 )を、全成分に対しそ
れぞれ、 SrO:80 mol% Li2O:10 mol% SiO2:10 mol% となるように混合したターゲットを用い、無機電子注入
輸送層を0.5nmの膜厚に成膜した.このときの成膜条
件として、基板温度25℃、スパックガスAr、成膿レ
ート1nm/min 、動作圧力0.5Pa、投入電力5W/cm
2 とした。このとき、初めにスパックガスをAr:10
0%として100sccm供給しながら無機電子注入輸送層
を0.25nmの膜厚に成膜し、続けてAr/O2 :1/
1として100sccm供給しながら無機電子注入輸送層を
0.25nmの膿厚に成膜した。
【0409】<実施例7>実施例6において、無機絶縁
性電子注入輸送層の主成分、安定剤を、それぞれ、Sr
OからMgO、CaO、またはこれらの混合酸化物に、
Li2OからK2O、Rb2O、K2O、Na2O、Cs
2O、またはこれらの混合酸化物に、SiO2からGeO
2 、またはSiO2 とGeO2 の混合酸化物に代えたと
ころほぼ同様な結果が得られた。また、陰電極構成材料
を、AlからAg,In,Ti,Cu,Au,Mo,
W,Pt,Pd,Ni、またはこれらの合金としても同
様であった。
【0410】<実施例8>実施例6において、無機絶縁
性ホール注入輸送層を成膜する際に、ターゲットの組成
をSiO2 とし、スパッタガスのO2 流量を変えてAr
に対する混合比を5%とし、その組成をSiO1.9 とし
た他は実施例6と同様にして有機EL素子を作製し、寿
命特性を評価したところほぼ同様の結果が得られた。
【0411】また、ターゲットの組成をSiO2 とし、
スパッタガスのO2 流量を変えてArに対する混合比を
30%とし、その組成をSiO1.95としたもの、ターゲ
ットの組成をGeO2 とし、スパッタガスのO2 流量を
変えてArに対する混合比を30%とし、その組成をG
eO1.96としたもの、ターゲットの組成をSi0.5Ge
0.52 とし、スパッタガスのO2 流量を変えてArに
対する混合比を10%とし、その組成をSi0.5Ge0.5
1.92としたものもそれぞれ同様にして有機EL素子を
作製し、評価したところほぼ同様の結果が得られた。
【0412】<実施例9>実施例6において、無機絶縁
性ホール注入輸送層を成膜する際に、ターゲットにSi
2にNi:3at%添加したものを用い、1nmの膜厚に
成膜した。このときのスパッタガスはAr:50sccm、
2:5sccmで、基板温度25℃、成膜レート1nm/min
、動作圧力:0.5Pa、投入電力:5W/cm2 とし
た。成膜された無機絶縁性ホール注入輸送層の組成は、
SiO1.9にNiを2.5at%含有するものであった。
そのほかは実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子を実施例6と同様にして評価した
ところ、実施例6とほぼ同様な結果が得られた。
【0413】また、上記において、無機絶縁性ホール注
入輸送層の組成を、SiO1.9にNiを2.5at%含有
するものから、GeO1.9にNiを2.5at%含有する
もの、Si0.5Ge0.51.98にNiを2.5at%含有す
るものに代えても同様であった。
【0414】また、Niの代わりに同量のSn、Cuを
含有させてもほぼ同等の寿命が得られた。また、Niの
代わりにFe、Ru、Auを含有させても同様の効果が
得られた。
【0415】<実施例10>実施例1〜9において、上
記ルブレン誘導体として例示された化合物を0.1〜5
wt% 含有させたところ、さらに良好な結果が得られた。
【0416】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来の有
機物質を用いたホール注入輸送層や、電子注入輸送層を
有する素子と同等かそれ以上の性能を有し、長寿命で、
耐候性を備え、安定性が高く、高効率で、しかも安価な
有機EL素子を実現することができる。
【0417】また、発光層を2層以上とした場合にも、
製造が容易で、膜界面での物性が安定した有機EL素子
を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の構成例を示す概略断面
図である。
【図2】従来の有機EL素子の構成例を示す概略断面図
である。
【図3】従来の有機EL素子の他の構成例を示す概略断
面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 ホール注入電極 3 陰電極 4 無機ホール注入輸送層 5 発光層 6 無機電子注入輸送層
フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB00 AB03 AB04 AB06 AB13 AB17 AB18 BB01 BB02 BB04 BB06 CA00 CA01 CA02 CA04 CB01 CB03 DA00 DB03 EB00 FA01 FA02

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、この基板上に形成されたホール
    注入電極と電子注入電極と、これらの電極間に設けられ
    た有機物質を含有する発光層とを有し、 この発光層と電子注入電極の間には、無機電子注入輸送
    層を有し、 前記発光層とホール注入電極との同には無機ホール注入
    輸送層を有し、 前記発光層は、少なくとも発光機能に関与するホスト物
    質として2種以上の化合物を含有する有機EL素子。
  2. 【請求項2】 前記無機電子注入輸送層は、ホールをブ
    ロックするとともに電子を搬送するための導通パスを有
    する高抵抗の無機電子注入層である請求項1の有機EL
    素子。
  3. 【請求項3】 前記高抵抗の無機電子注入層は、第1成
    分として仕事関数4eV以下であって、アルカリ金属元
    素、およびアルカリ土類金属元素、およびランタノイド
    系元素から選択される1種以上の酸化物と、 第2成分として仕事関数3〜5eVの金属の1種以上とを
    含有する請求項2の有機EL素子。
  4. 【請求項4】 前記第2成分は、Zn,Sn,V,R
    u,SmおよびInから選択される1種以上である請求
    項2または3の有機EL素子。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ金属元素は、Li,Na,
    K,Rb,CsおよびFrの1種以上であり、アルカリ
    土類金属元素は、Mg,CaおよびSrの1種以上であ
    り、ランタノイド系元素はLaおよびCeから選択され
    る1種以上を有する請求項2〜4のいずれかの有機EL
    素子。
  6. 【請求項6】 前記高抵抗の電子注入層は、その抵抗率
    が1〜1×1011Ω・cmである請求項2〜5のいずれか
    の有機EL素子。
  7. 【請求項7】 前記高抵抗の無機電子注入層は、第2成
    分を全成分に対して、0.2〜40 mol%含有する請求
    項2〜6のいずれかの有機EL素子。
  8. 【請求項8】 前記高抵抗の無機電子注入層の膜厚は、
    0.2〜30nmである請求項2〜7のいずれかの有機E
    L素子。
  9. 【請求項9】 前記無機ホール注入輸送層は、電子をブ
    ロックするとともにホールを搬送するための導通パスを
    有する高抵抗の無機ホール注入層である請求項1〜8の
    いずれかの有機EL素子。
  10. 【請求項10】 前記高抵抗の無機ホール注入層は、抵
    抗率が1〜1×10 11Ω・cmである請求項9の有機EL
    素子。
  11. 【請求項11】 前記高抵抗の無機ホール注入層は、金
    属および/または金属の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ
    化物および硼化物のいずれか1種以上を含有する請求項
    9または10の有機EL素子。
  12. 【請求項12】 前記高抵抗の無機ホール注入層は、シ
    リコンおよび/またはゲルマニウムの酸化物を主成分と
    し、この主成分を(Si1-xGex)Oyと表したとき 0≦x≦1、 1.7≦y≦2.2 であり、 さらに、仕事関数4.5eV以上の金属および/または金
    属の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化物の
    いずれか1種以上を含有する請求項9〜11のいずれか
    の有機EL素子。
  13. 【請求項13】 前記金属は、Au,Cu、Fe、N
    i、Ru、Sn,Cr,Ir,Nb,Pt,W,Mo,
    Ta,PdおよびCoのいずれか1種以上である請求項
    11または12の有機EL素子。
  14. 【請求項14】 前記金属および/または金属の酸化
    物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化物の含有量
    は、0.2〜40 mol%である請求項11〜13のいず
    れかの有機EL素子。
  15. 【請求項15】 前記高抵抗のホール注入層の膜厚は、
    0.2〜100nmである請求項9〜14のいずれかの有
    機EL素子。
  16. 【請求項16】 前記ホスト物質は、それぞれ電子注入
    輸送性化合物とホール注入輸送性化合物である請求項1
    〜15のいずれかの有機EL素子。
  17. 【請求項17】 前記ホスト物質は、金層錯体色素およ
    びテトラアリールジアミン誘導体である請求項1〜16
    のいずれかの有機EL素子。
  18. 【請求項18】 前記ホスト物質に対し、ドーパントし
    てルブレン誘導体を含有する請求項1〜17のいずれか
    の有機EL素子。
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JP2005056848A (ja) * 2003-08-05 2005-03-03 Lg Electron Inc 有機el素子

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