JP2001158948A - 鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
損化を実現する方途について提案する。 【解決手段】 C:0.005 wt%以下、Si:1.0 〜4.0wt
%、Al:2.0 wt%以下(ただし、Si+Al≧2.0 wt%)、
Mn:0.1 〜1.5 wt%、S:0.0020wt%以下、N:0.0030
wt%以下、O:0.0020wt%以下およびZr:0.0015wt%以
下を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有
する無方向性電磁鋼板において、該鋼板の表面から板厚
の1/4の深さの面における{100 }および{111 }各
方位のX線反射面強度のランダム集合組織に対する比I
(100) およびI(111) を I(100) /I(111)≧1.20 の関係とする。
Description
等の鉄心材料として広範囲で使用される、低鉄損の無方
向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
器の効率向上に対する要求が強く、鉄心材料についても
より一層の低鉄損化が望まれている。そのため、無方向
性電磁鋼板の鉄損を低減する技術について、様々な提案
が成されている。
段としては、SiやAlなどの合金元素の添加量を増加し、
鋼板の電気抵抗を高める方法が一般的に知られている
が、現在の無方向性電磁鋼板のハイグレード品の鉄損レ
ベルを一層向上させるために、SiやAlなどの添加量を増
加すると、圧延性の問題ばかりでなく、ユーザーにおい
て所定の形状に打ち抜く際に金型の磨耗を早めることが
新たに問題となる。さらに、SiやAlなどの添加量の増加
は、材料のコスト高を招く不利も生じる。
鋼中の不純物元素量または介在物および析出物個数を低
減することにより、鉄損を低減する方法が開示されてい
る。この方法は、鉄損低減に効果的であるが、かような
不純物低減のための鋼の高純度化は製銑および製鋼技術
に依存するものであり、無方向性電磁鋼板の製造分野に
おける鋼の高純度化は、現状の製銑および製鋼技術のほ
ぼ極限にて行っているため、高純度化による鉄損のより
一層の低減は、製銑および製鋼技術の更なる進歩を待た
なければならなかった。
−152628号および特開平3−104844号の各
公報には、介在物の個数を減少させて低鉄損化を達成す
る技術が開示されている。しかし、これらの技術におけ
る鋼中の介在物の個数を低減させることは、結局のとこ
ろ鋼の高純度化技術に依存するから、上記の技術と同
様、鉄損のより一層の改善は、製銑および製鋼技術の更
なる進歩を待たなければならなかった。
は、不純物混入を抑制し、スラブ加熱温度、巻取り温
度、熱延板焼鈍条件、冷間圧延圧下率および仕上焼鈍条
件を規定することにより、介在物を制御して鉄損を低減
する技術が開示されている。特公昭56−22931号
公報には、冷間圧延条件に工夫を凝らして集合組織を改
善し鉄損を低減する方法が開示されている。特開平8−
97023号公報には、Sbを添加して熱間圧延時のスラ
ブ加熱温度および熱間圧延後の熱延板焼鈍条件を制御す
ることにより、最終仕上げ焼鈍時の酸化を抑制する技術
が開示されている。これらの方法により確かに鉄損を改
善することが可能であるが、添加Si量および製造工程に
合った最適条件がすでに提案されている現状では、より
一層の鉄損低減は困難である。
ベルの要求を満たすためには、より一層の鉄損改善を達
成する方策を至急に講ずる必要がある。そこで、この発
明は、無方向性電磁鋼板における、より一層の低鉄損化
を実現する方途について提案することを目的とする。
向上を達成するために種々の検討を重ねた結果、原料
(鉄鉱石)や副原料(FeSi等)に不純物として含まれ、
また製鋼工程において溶鋼と接するレンガ等にも含まれ
る結果、鋼中に不可避に混入するZrを低減すると、著し
く鉄損特性が向上するケースがあることを知見した。そ
こで、この鉄損特性が著しく向上するケースについて詳
細な検討を行った結果、最終製品板の集合組織がある特
定の条件を満たす場合に鉄損特性が向上することを新た
に見出した。また、鋼板の電気抵抗に応じて最終製品板
の粒径を調整することにより、低鉄損が得られることも
新たに知見した。この発明は、以上の知見に基づくもの
である。
おりである。 (1) C:0.005 wt%以下、Si:1.0 〜4.0wt %、Al:2.
0 wt%以下(ただし、Si+Al≧2.0 wt%)、Mn:0.1 〜
1.5 wt%、S:0.0020wt%以下、N:0.0030wt%以下、
O:0.0020wt%以下およびZr:0.0015wt%以下を含有
し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有する無方
向性電磁鋼板であって、該鋼板の表面から板厚の1/4
の深さの面における{100 }および{111 }各方位のX
線反射面強度のランダム集合組織に対する比I(100) お
よびI(111) が I(100) /I(111)≧1.20 の関係を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性
電磁鋼板。
径d(μm )が鋼板の比抵抗X(μΩ・cm)に関して X+30≦d≦4X+50 を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼
板。
Sb:0. 005〜0.100wt %を含有する成分組成を有するこ
とを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板。
下(ただし、Si+Al≧2.0 wt%)およびMn:0.1 〜1.5
wt%を含み、C:0.005 wt%以下、S:0.0020wt%以
下、N:0.0030wt%以下、O:0.0020wt%以下およびZ
r:0.0015wt%以下に抑制した成分組成を有する無方向
性電磁鋼板用スラブに、熱間圧延および冷間圧延、そし
て熱処理を施して無方向性電磁鋼板を製造するに当り、
最終冷間圧延前の平均結晶粒径を110 μm 以上に調整す
ることを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造
方法。
用スラブが、さらにSb:0. 005〜0.100wt %を含有する
成分組成を有することを特徴とする鉄損の低い無方向性
電磁鋼板の製造方法。
ついて詳しく説明する。 (実験1)真空溶解により表1に示す成分組成(Zrおよ
びSbの含有量を種々に変化)に調整した無方向性電磁鋼
板用の鋼塊(厚み220 mm)を1200℃に加熱後、熱間圧延
により板厚:2.0 mmの熱延板とした。この熱延板を焼鈍
する際に熱延焼鈍温度を種々に変化させ、冷間圧延前の
結晶粒径を変化させた。その後、冷間圧延を施して板厚
0.35mmの冷延板とした後、1000℃で3分間の仕上げ焼鈍
を施した。
するとともに、圧延方向(以下、L方向と示す)および
L方向と直交する向き(以下、C方向と示す)から30mm
×280 mmのエプスタイン試験片を各4枚合計8枚採取し
てエプスタイン試験にて鉄損を測定した。
晶粒径と鉄損との関係に整理して図1に示す。ここに、
平均結晶粒径とは、圧延方向に平行な断面を観察した際
に、観察した領域の面積をその領域に存在する結晶粒の
数で除して求まる、結晶粒1個あたりの面積と同一の面
積を持つ、円の直径である。
した鋼種AおよびCにおいては、冷間圧延前の粒径が11
0 μm 以上のときに鉄損改善効果が得られることがわか
る。さらに、鉄損改善の効果はSbが添加されている鋼種
Aの方が鋼種Cより大きいことがわかる。しかしなが
ら、Zr含有量の高い鋼種BおよびDは、Sbの添加および
無添加に関わらず、著しい鉄損改善効果が得られないこ
とがわかる。
られた最終製品板について、その表面から板厚の1/4
の深さの部分の板面と平行な面における{100 }および
{111 }各方位のX線反射面強度のランダム集合組織に
対する比I(100) およびI(111) について調査した。
について、両者の比I(100) /I(111) と鉄損との関係
に整理して図2に示す。図2から明らかなように、図1
に結果を示した実験にて低鉄損が得られた鋼板は、その
I(100) /I(111) が1.2 以上にあることが判明した。
有する無方向性電磁鋼板において、その表面から板厚の
1/4の深さの部分でのI(100) /I(111) を1.2 以上
の範囲にすることによって、低鉄損化が達成されること
が新たに判明したのである。
査を行った。 (実験2)真空溶解により、表2に示すZr含有レベルを
種々に変化させた成分組成に調整した無方向性電磁鋼板
用の鋼塊(厚み220 mm)を1150℃に加熱後、熱間圧延に
より板厚:1.8 mmの熱延板とした。この熱延板に1040℃
で1分間の熱延板焼鈍を施した。これらの熱延板焼鈍後
の熱延板(すなわち、最終冷延前)の平均結晶粒径は15
3 〜164 μm であった。その後、冷間圧延機によりに板
厚0.35mmの冷延板とした後、1050℃で10秒間の仕上げ焼
鈍を施した。
向から30mm×280 mmのエプスタイン試験片を各4枚合計
8枚採取して、エプスタイン試験にて鉄損を測定した。
その結果を、Zr含有量と鉄損との関係として、図3に示
すように、Zrを15ppm 以下に抑制すれば、実験1で得ら
れたのと同様に著しい鉄損の改善効果が得られることが
わかる。
含有量を種々に変化させた成分組成に調整した無方向性
電磁鋼板用の鋼塊(厚み220 mm)を1150℃に加熱後、熱
間圧延により板厚:2.2 mmの熱延板とした。この熱延板
に1020℃で1分間の熱延板焼鈍を施した。これらの熱延
板焼鈍後の熱延板(すなわち、最終冷延前)の平均結晶
粒径は135 〜144 μm であった。その後、冷間圧延によ
りに板厚0.35mmm の冷延板とした後、仕上焼鈍条件を変
化させることにより製品板の結晶粒径を種々に変化させ
た。
から30mm×280 mmのエプスタイン試験片を各4枚合計8
枚採取して、エプスタイン試験にて鉄損を測定した。製
品板の平均結晶粒径と鉄損との関係を図4に示す。な
お、ここでの平均結晶粒径の定義も上述と同様である。
るが、製品板の平均結晶粒径と鉄損との間に相関のある
ことがわかった。そこで、各鋼種毎に鉄損の低減される
平均結晶粒径の範囲を調査したところ、該範囲は鋼種に
よって微妙にずれているが、各鋼板における比抵抗をフ
ァクターとすることによって、鋼種に関わらず、鉄損の
低減が図られる平均結晶粒径の範囲を規定できることを
究明した。
m)を、各鋼板の比抵抗X(μΩ・cm)に対して、X+
30≦d≦4X+50の範囲とすることによって、鉄損をよ
り低減することが可能になるのである。
で、まず製品板のI (100)/I (111)を1.20以上の範囲
に規制すること、さらには製品板の平均結晶粒径を比抵
抗との関係で規制すること、並びにSbを添加すること、
によって、鉄損の低減が有利に実現することが判明し
た。これらの規制によって、鉄損を低減する効果が得ら
れる理由については必ずしも明らかではないが、おおよ
そ以下のような理由によるものと考えられる。
阻害する元素として知られているが、Zrレベルの高い素
材は低Zrレベルの素材に比べて、冷間圧延前の粒径が同
一でもI (100)/I (111)が低くなっている。これはZr
が{111 }方位の粒の生成を促進し、{100 }方位の粒
を抑制することを示唆している。すなわち、Zrは{111
}の粒の核生成サイトとなり、磁性を劣化させる要因
となるのである。従って、Zrの含有を抑制することによ
って、低鉄損化が達成されるのである。
る性質を持っており、Zrの炭窒化物の周りに偏析するこ
とで磁性に不利な{111 }の核生成を抑制するため、Zr
レベルが低いときには著しい相乗効果が得られる。しか
し、Zrレベルが高くなるに伴い、粒内の微細なZrの炭窒
化物が増加すると、もはや全てのZr析出物の周りにSbが
偏析することができず、Sbの効果が得られないのであ
る。
ると磁気特性が改善される理由については、以下のこと
が考えられる。すなわち、{111 }方位粒が磁気特性を
阻害し、{100 }方位粒が磁気特性の向上に寄与するこ
とはよく知られている。従って、{111 }方位粒が{10
0 }方位粒に比べて所定の比率以上存在すると、{111
}方位粒の悪影響が顕著となり、{100 }方位粒の集
合組織改善効果が功を奏さなくなる。そして、I (100)
/I (111)>1.20を満足する比率にて、{100 }および
{111 }方位粒が存在する場合は、{100 }方位粒の集
合組織改善効果が顕著となり、磁気特性が改善されるの
である。
途中工程条件、特に冷延前粒径を制御することにより、
ある程度変化するが、Zrの含有を抑制した上で上記の条
件を制御することにより、はじめてI (100)/I (111)
≧1.20が達成されることが判明した結果、磁気特性を格
段に向上することが可能になった。
向の集合組織を最も良く代表するという点から、表面か
ら板厚の1/4の深さ位置の集合組織を規定した。
≦d≦4X+50の範囲とすることによって、鉄損がより
低減されることについては、次の理由が考えられる。す
なわち、渦電流損は粒径の拡大に伴い増加する反面、履
歴損は粒径の拡大に伴い減少することから、鉄損の低減
に最も寄与する最適な粒径が存在することになる。そし
て、鋼板の比抵抗が高まると、履歴損は一定であるが渦
電流損は減少するため、相対的に全鉄損を占める渦電流
損の割合が減少する結果、最適粒径は大きくなる。この
鋼板の比抵抗について最適粒径をまとめると、上記した
式の関係になるのである。
ついて説明する。まず、成分組成について述べる。 C:0.005 wt%以下 Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、極力低減
するのが望ましいため、その含有量は0.0005wt%以下と
する。従って、下限は特に規定する必要はないが、経済
上の理由からは下限を0.0001wt%にすることが望まし
い。
元素であり、フェライト生成元素(α-former )である
ことが知られている。この発明において最終冷間圧延前
の粒径を110 μm 以上にする必要があるから、高温でも
α単相であること、つまりγ変態しないことが好まし
い。このため、同じくα-former であるAlと併せて2wt
%以上の添加が必要である。ただし、Siの含有量が1.0
wt%未満の場合は磁気特性が劣化するため、下限を1.0
wt%とする。一方、Si含有量が4.0wt%を超えると、硬
度が上昇してユーザーでの打ち抜き性を劣化させるた
め、上限は4.0 wt%とする。
を高めて、鉄損を向上させる上でも有用な成分である
が、含有量が2.0 wt%を超えるとSiの場合と同様に硬度
上昇による加工性の劣化を招くため、その含有量の上限
を2.0 wt%とする。なお、下限については上述したよう
に、Siと併せて2wt%以上の添加が必要である。
またSに起因した熱間脆性を抑制するために添加される
が、含有量が0.1 wt%未満ではその効果に乏しく、一方
1.5 wt%を超えると磁気特性の劣化を招くため、その含
有量は0.1 〜1.5 wt%の範囲とする。
硫化物を形成して磁性を劣化させるため、その含有量を
0.0020wt%以下に抑制することが必要である。
な介在物として鋼中にも存在するものであり、その含有
量が0.0030wt%を超えると鉄損の劣化を招くことになる
から、0.0030wt%以下に制限する。
であり、特に0.0020wt%を超えるOを含んでいると鉄損
の劣化を招くため、その含有量は0.0020wt%以下とする
必要がある。
させる元素である。特に、この発明では、Sb添加と冷間
圧延前の粒径粗大化による効果を得るために、その上限
を0.0015wt%とする必要がある。このZrの混入を防止す
るためには、製鋼工程において溶鋼やスラグと接触する
耐火物レンガにZr系のレンガを用いないことが有利であ
る。
発明ではさらに以下の成分を含有させることができる。
Pは、鉄損改善に有効であるが、0.15wt%を超えると冷
延性が著しく劣化するため、0.005 〜0.15wt%の範囲で
添加することが好ましい。その他の成分として、B,N
i, Cu, Cr, Sn, Bi, Ca, GeおよびREM 等を必要に応じ
て添加することができる。
として、Ti, NbおよびVが挙げられ、磁気特性の劣化を
抑制するためには何れも含有量を0.005 wt%以下に抑制
することが望ましい。
なわち、上記した成分組成に成る無方向性電磁鋼板用ス
ラブを、例えば通常の連続鋳造にて製造し、次いで熱間
圧延、そして必要に応じて熱延板焼鈍を行ってから、1
回または中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施す。冷間圧
延1回法の場合は、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を調
整するために、熱延板焼鈍を実施することができ、その
方法は従来から知られている連続ラインによる焼鈍でも
箱焼鈍でも、該粒径を110 μm 以上に調整できれば問題
ない。また、熱間圧延時に仕上温度や巻取り温度の高温
化やコイルの自己焼鈍等により粒径を110 μm 以上にす
ることが可能であれば、熱延板焼鈍は必ずしも必要でな
い。
冷間圧延の後の中間焼鈍により、最終冷間圧延前の結晶
粒径を調整する。この中間焼鈍についても、連続ライン
による焼鈍でも箱焼鈍でも、最終冷延前粒径を110 μm
以上に調整できれば問題ない。
ではないが、1回法も2回法の場合も最終冷延圧下率を
40〜85%程度とすることが好ましい。
径d(μm )を、鋼板の比抵抗X(μΩ・cm)で定まる
X+30≦d≦4X+50の範囲に制御できれば、連続ライ
ンによる焼鈍および箱焼鈍等の公知の焼鈍方法いずれも
が適用可能である。
セミプロ製品の場合は、ユーザでの最終焼鈍後の粒径が
上述の範囲であれば、この発明で所期した効果が得られ
る。一方、成品のまま使用することができる、いわゆる
フルプロ製品の場合も、ユーザで焼鈍して使用すること
は打ち抜き等の加工歪を除去できるため、鉄損特性に有
利に作用する。
最終仕上焼鈍プロセスについては、公知の無方向性電磁
鋼板の製造方法が適用できる。ちなみに、特開平8−9
7023号公報には、この発明と同じくSbを添加した鋼
に熱延板焼鈍を施した上で、鉄損の改善を図る技術が開
示されているが、この発明で見出した、冷間圧延前粒径
やZr含有量に関する規制が鉄損特性向上に大きな影響を
及ぼすことについては全く記載されていない。すなわ
ち、該公報に開示の技術は、最終仕上げ焼鈍時の酸化抑
制により低鉄損を実現するものであり、この発明のよう
に集合組織制御により低鉄損を実現するものとは全く思
想を異にする。
は、I (100)/I (111)を評価指標とすることが記載さ
れているが、ユーザーで実施される歪み取り焼鈍後の磁
束密度を向上させることを目的としており、この発明と
は全く目的が異なる。しかも、該公報に記載されたI
(100)/I (111)は、この発明と異なる範囲であり、当
然のことながら、この発明で認められたような、格段の
鉄損改善効果は得られていない。
した溶鋼を、それぞれ連続鋳造により厚さ220 mmのスラ
ブとした。これらのスラブは熱間圧延により、すべて2.
0mmの熱延板としたのち、コイルに巻き取った。次い
で、熱延板に必要に応じて熱延板焼鈍を施し、1回の冷
間圧延により最終仕上げ厚さ0.35mmとしたのち、最終仕
上焼鈍を施した。かくして得られた鋼板よりLおよびC
方向から30mm×280 mmのエプスタイン試験片を各4枚合
計8枚採取して、エプスタイン試験にて鉄損を測定し
た。
製品板の平均結晶粒径、製品板のX線反射面強度および
鉄損の測定結果を、表5にまとめて示す。
低鉄損化をより一層促進する方途が与えられるから、い
わゆる低級品は勿論高級品についても、その鉄損レベル
を格段に向上することができる。
図である。
である。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 C:0.005 wt%以下、Si:1.0 〜4.0wt
%、Al:2.0 wt%以下(ただし、Si+Al≧2.0 wt%)、
Mn:0.1 〜1.5 wt%、S:0.0020wt%以下、N:0.0030
wt%以下、O:0.0020wt%以下およびZr:0.0015wt%以
下を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有
する無方向性電磁鋼板であって、該鋼板の表面から板厚
の1/4の深さの面における{100 }および{111 }各
方位のX線反射面強度のランダム集合組織に対する比I
(100) およびI(111) が I(100) /I(111)≧1.20 の関係を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性
電磁鋼板。 - 【請求項2】 請求項1において、鋼板の平均結晶粒径
d(μm )が鋼板の比抵抗X(μΩ・cm)に関して X+30≦d≦4X+50 を満足することを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼
板。 - 【請求項3】 請求項1または2において、さらにSb:
0. 005〜0.100wt %を含有する成分組成を有することを
特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板。 - 【請求項4】 Si:1.0 〜4.0wt %、Al:2.0 wt%以下
(ただし、Si+Al≧2.0wt%)およびMn:0.1 〜1.5 wt
%を含み、C:0.005 wt%以下、S:0.0020wt%以下、
N:0.0030wt%以下、O:0.0020wt%以下およびZr:0.
0015wt%以下に抑制した成分組成を有する無方向性電磁
鋼板用スラブに、熱間圧延および冷間圧延、そして熱処
理を施して無方向性電磁鋼板を製造するに当り、 最終冷間圧延前の平均結晶粒径を110 μm 以上に調整す
ることを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造
方法。 - 【請求項5】 請求項4において、無方向性電磁鋼板用
スラブが、さらにSb:0.005〜0.100wt %を含有する成
分組成を有することを特徴とする鉄損の低い無方向性電
磁鋼板の製造方法。
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