JP2001108599A - 電気力顕微鏡用標準試料 - Google Patents

電気力顕微鏡用標準試料

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JP2001108599A
JP2001108599A JP28701699A JP28701699A JP2001108599A JP 2001108599 A JP2001108599 A JP 2001108599A JP 28701699 A JP28701699 A JP 28701699A JP 28701699 A JP28701699 A JP 28701699A JP 2001108599 A JP2001108599 A JP 2001108599A
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JP28701699A
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Masahiro Ota
昌弘 大田
Hiroaki Nakanishi
博昭 中西
Yoichi Fujiyama
陽一 藤山
Hiroshi Imada
寛 今田
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電位分解能と空間分解能とを同時に評価し、
また、評価に要する時間を短縮する。 【解決手段】 電気力顕微鏡用標準試料1は、電位及び
形状について既知の値を備える構成として、誘電体から
なる基板2と、基板2上に形成される導電性の電極パタ
ーン4とを備え、電極パターン4は電位分布を既知とす
る電位パターン及び形状を既知とする空間パターンとを
備える。電気力顕微鏡の電位分解能及び空間分解能の評
価を、電位及び形状について既知の値と電気力顕微鏡で
測定した測定値との比較によって行う。電位及び形状に
ついて既知の値を備える標準試料を用いることによっ
て、電位分解能と空間分解能との同時評価を可能として
評価時間を短縮し、評価精度を高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気力顕微鏡の性
能を評価する電気力顕微鏡用標準試料に関する。
【0002】
【従来の技術】試料表面の形状及び表面電位を測定する
装置として電気力顕微鏡が知られている。電気力顕微鏡
は、先鋭な端部を備える導電性の探針と、探針を支持す
るカンチレバーと、カンチレバーの変位を検出する変位
検出部と、探針に電圧を印加する電圧印加部とで構成さ
れる。試料表面の形状測定では、探針を試料からnmの
オーダの距離に接近させ、カンチレバーの機械的な共振
周波数近傍で強制振動させる。この距離で試料と探針と
の間に働く力はファンデルワールス力が支配的となる。
ファンデルワールス力及びファンデルワールス力の距離
微分は、試料と探針間の距離で決まり、ファンデルワー
ルス力の変化はカンチレバーの振幅や位相の変化から求
めることができる。
【0003】また、探針と試料を近接した状態で、探針
に直流電圧と交流電圧を印加すると、探針と試料との間
に、探針と試料との間の電位差に対応して静電気力が働
き、カンチレバーが交流電圧に対応した周波数で振動す
る。この静電気によるカンチレバーの振幅を検出器で検
出し、振幅が零となるように探針に印加する直流電圧を
電圧印加部でフィードバック制御する。探針に印加する
直流電圧が表面電位と一致するとき、静電気力によるカ
ンチレバーの振幅が零になるため、フィードバック出力
された電圧から、試料の電位を求めることができる。し
たがって、電気力顕微鏡は先端の尖った探針を試料表面
に近づけて走査することによって、試料表面の形状と電
位分布を同時に測定することができる。そのため、電気
力顕微鏡の性能は、空間分解能と電位分解能という2つ
の性能評価基準によって評価する。
【0004】従来、電気力顕微鏡の性能評価は、微小構
造を持つ半導体デバイス試料や、金属試料にバイアス電
圧を印加することによって行っている。図10は電気力
顕微鏡の空間分解能と電位分解能を評価するための従来
構成を示す図である。なお、図10では電気力顕微鏡の
一部の構成のみを示している。図10において、試料1
0と、カンチレバー12に支持した探針13との間には
可変電圧源22によってバイアス電圧を印加し、カンチ
レバー12の変位や探針13の電圧を信号検出手段30
で検出する。評価手段50は比較手段51によって信号
検出手段30で検出した検出信号と比較値とを比較する
ことによって空間分解能及び電位分解能を評価する。電
位分解能を評価する場合には、比較値として可変電圧源
22で印加したバイアス電圧値を用いる。
【0005】図11は、電気力顕微鏡の電位分解能を評
価する従来の手順を説明するためのフローチャートであ
る。電位分解能の評価は、試料を電気力顕微鏡にセット
した後(ステップS11)、可変電圧源22の印加電圧
を設定し(ステップS12)、探針12及び信号検出手
段30によって試料表面の電位を検出する(ステップS
13)。印加電圧を変更し(ステップS14)、再度試
料表面の電位を検出する(ステップS15)。検出した
複数の電位検出信号を比較し(ステップS16)、識別
できる最小の印加電圧差を求め、この印加電圧差を電気
力顕微鏡の電位分解能とする(ステップS17,1
8)。
【0006】また、図12は、電気力顕微鏡の空間分解
能を評価する従来の手順を説明するためのフローチャー
トである。空間分解能の評価は、試料を電気力顕微鏡に
セットした後(ステップS21)、可変電圧源22の印
加電圧を設定し(ステップS22)、探針12及び信号
検出手段30によって試料表面の形状検出信号を求める
(ステップS23)。試料を変更する等によって検出形
状を変え、形状検出信号から形状が識別できるか判定し
(ステップS24,25)、識別できる試料の微細構造
から電気力顕微鏡の空間分解能を推定する(ステップS
26)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の電気力顕微鏡の
性能評価では、前記したように電位分解能の評価及び空
間分解能の評価は個別に行っており、電位分解能と空間
分解能とを同時に評価することが困難であり、両評価を
行うには時間がかかるという問題がある。また、各分解
能においても、可変電圧源の印加電圧の設定や試料の変
更等を行うため、評価に長時間を要するという問題もあ
る。また、従来の評価では、分解能の評価精度は可変電
圧源の精度や用いた試料の微小構造に依存するため、評
価の正確性の点においても問題がある。
【0008】そこで、本発明は前記した従来の電気力顕
微鏡の性能評価における問題点を解決し、電位分解能と
空間分解能とを同時に評価することができ、評価に要す
る時間を短縮することができる電気力顕微鏡用評価試料
を提供することを目的とし、また、電位分解能及び空間
分解能において高い評価精度を得ることができる電気力
顕微鏡用評価試料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、電気力顕微鏡
の電位分解能及び空間分解能の評価を、電位及び形状に
ついて既知の値と電気力顕微鏡で測定した測定値との比
較によって行うものであって、電位及び形状について既
知の値を備える標準試料を用いることによって、電位分
解能と空間分解能との同時評価を可能として評価時間を
短縮し、評価精度を高める。
【0010】本発明の電気力顕微鏡用標準試料は、電位
及び形状について既知の値を備える構成として、誘電体
等の絶縁体からなる基板と、基板上に形成される導電性
の電極パターンとを備え、電極パターンは電位分布を既
知とする電位パターン及び形状を既知とする空間パター
ンとを備える。本発明の標準試料が備える電極パターン
は、誘電率が既知あるいは誘電体を測定可能とする誘電
体等の絶縁体の基板上に、導電性の電極でパターンを形
成する。この基板及び電極パターンの表面電位は、電磁
気学の理論に基づいて演算によって求めることができ
る。本発明の電気力顕微鏡用標準試料は、演算して求め
た電位分布を既知の電位パターンとして備え、電気力顕
微鏡の電位分解能の評価に適用することができる。この
電位パターンは、水平方向(X,Y方向)における電極
の幅寸法や電極間の間隔寸法及び平面形状や、高さ方向
(Z方向)における電極の高さ寸法及び断面形状によっ
て、それぞれ特有のパターンとなる。
【0011】この電位パターンにおいて、標準試料に形
成する電極の幅寸法や電極間の間隔寸法によって、電位
分解能を評価する電位変化の細かさを設定することがで
き、平面形状として直線形状や円弧形状や三角形形状や
櫛形形状等の種々の形状としたり、電極の立ち上がり及
び立ち下がりの形状を種々に定めることによって、電位
分解能を評価する電位パターンを設定することができ
る。また、本発明の標準試料が備える電極パターンは、
基板上に既知の形状でパターンを形成することができ
る。この形状パターンは電位パターンと同様に、水平方
向(X,Y方向)における電極の幅寸法や電極間の間隔
寸法及び平面形状や、高さ方向(Z方向)における電極
の高さ寸法及び断面形状によって、それぞれ特有のパタ
ーンとなる。
【0012】この形状パターンにおいて、標準試料に形
成する電極の幅寸法や電極間の間隔寸法によって、空間
分解能を評価する形状変化の細かさを設定することがで
き、平面形状として直線形状や円弧形状や三角形形状や
櫛形形状等の種々の形状としたり、電極の立ち上がり及
び立ち下がりの形状を種々に定めることによって、水平
方向及び垂直方向の空間分解能を評価する形状パターン
を設定することができる。基板及び電極パターンの表面
電位は理論的に演算して求めることができ、また、形状
パターンについてもあらかじめ設定することができるた
め、演算して求めた電位分布を既知の電位パターンとし
て備え、また、設定した形状分布を既知の形状パターン
として備えることによって、電気力顕微鏡の電位分解能
及び空間分解能の評価に適用することができる。
【0013】したがって、本発明の電気力顕微鏡用標準
試料は、電位分解能及び空間分解能の評価のための基準
値をあらかじめ備えているため、電気力顕微鏡で標準試
料を測定することによって、電位分解能と空間分解能を
同時に評価することができ、評価に要する時間を短縮す
ることができる。また、本発明の標準試料の他の形態に
おいて、基板の裏面に電極を設ける構成とすることがで
きる。裏面の設けた電極は本発明の標準試料に必須では
ないが、基板の裏面に電極を設けることによって電気的
な安定性を高め、電位パターンを安定したものとするこ
とができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の電気力
顕微鏡用標準試料の構成例を説明するための概略斜視図
である。図1において、電気力顕微鏡用標準試料1は、
誘電率が既知あるいは測定可能な基板2と、基板2の基
板表面3上に形成された電極パターン4を備える。基板
2の裏面に電極5を形成することもできる。
【0015】基板2は、例えば石英等の絶縁体とするこ
とができ、電極パターン4は金とすることができる。電
極形成は、基板2の基板表面3上にフォトレジストでパ
ターンニングを行った後、スパッタ法で金を成膜するこ
とによって行うことができる。電極形成は、スパッタ法
に限らず真空蒸着を用いることもできる。電気力顕微鏡
用標準試料1の寸法の一例として、基板2の厚さを50
μm、電極パターン4の厚さを0.1μm、裏面の電極
5の厚さを0.2μmとする。
【0016】また、電極パターンを形成する材料は金に
限らずアルミニウムなど導電性の高い材料であれば任意
とすることができる。また、基板を形成する材料につい
ても石英に限らず、シリコンやセレン等の他、ポリイミ
ドなどの有機膜フィルムなど誘電率や既知あるいは測定
可能な材料であれば任意とすることができる。電気力顕
微鏡の探針13は、電気力顕微鏡用標準試料1に対して
X,Y方向(図中の矢印)に走査し、電位測定及び形状
測定を行う。探針13は、電極パターン4に対する走査
において、電極パターン4に応じた電位信号及び形状信
号を検出する。該電位信号及び形状信号は、探針13の
電極パターン4に対する走査方向で異なる。
【0017】図1では電極パターン4として、基板2の
外縁に設けた縁部パターンA、直線パターンB、端部パ
ターンC、段部パターンD等を示し、直線パターンB及
び端部パターンCは三角形パターンの一部として形成し
ている。図2は電極パターンの他の例を示している。図
2(a)に示す標準試料1aの電極パターンは、基板表
面3上に円形パターンEを形成した例であり、図2
(b)に示す標準試料1bの電極パターンは、基板表面
3上に櫛形パターンFを形成した例である。また、図2
(c)に示す標準試料1cの電極パターンは、基板表面
3上にRの文字パターンを形成した例であり、直線パタ
ーンBや端部パターンCの他に円弧パターンGを含んで
いる。円形パターンEや円弧パターンGの半径や、端部
パターンCの角度や、櫛形パターンFの電極部分の幅寸
法及び電極間隔の寸法は、評価する電位分解能や形状分
解能に応じて定めることができる。
【0018】電極パターンと該電極パターンで評価する
電位分解能との関係を、図3及び図4を用いて説明す
る。図3は電極パターンの断面形状と電位分解能との関
係を説明するための図である。図3(a)は、基板2上
に形成した電極パターン4の断面形状を模式的に示して
おり、エッジ部分の立ち上がり及び立ち下がりの程度
が、例えばα及びβに示す様に異なる状態を示してい
る。断面形状が異なる電極パターンを探針で走査する
と、検出される電位信号の強度パターン及びその変化パ
ターンは図3(b),(c)に示すように異なる強度パ
ターンを示す。
【0019】また、図4は電極パターンの平面形状と電
位分解能との関係を説明するための図である。図4
(a)は、基板2上に形成した電極パターン4の平面形
状(矩形形状の電極パターン4a,円形形状の電極パタ
ーン4b,多角形形状の電極パターン4c)を模式的に
示しており、探針の走査方向と電極のエッジ部分の方向
とが形成する交差角度が、電極パターンの形状及び位置
によって異なる状態を示している(図中の直線パターン
B1,B2,B3、及び円形パターンE1,E2)。電
極パターンを探針で走査位置を異ならせて(図中で一点
鎖線で示す走査線A、及び破線で示す走査線B)検出し
た場合、検出される電位信号の強度パターン及びその変
化パターンは、探針の走査方向と電極のエッジ部分の方
向とが形成する交差状態に応じて、図4(b),(c)
に示すように異なる強度パターンを示す。なお、図4
(b),(c)において、走査線Aによる信号パターン
は一点鎖線で示し、走査線Bによる信号パターンは破線
で示している。
【0020】この電位信号の強度パターン及び変化パタ
ーンは、電極パターンの形状に応じて異なる信号パター
ンとなり、この信号パターンは基板の誘電率や電極の形
状から電磁気的に演算によって求めることができる。一
方、電気力顕微鏡によって検出される電位信号の強度パ
ターン及び変化パターンは、電極パターンのパターン形
状に依存すると共に、電気力顕微鏡の電位分解能に依存
する。電位分解能が高い程、電極パターンの電位分布に
対応した信号パターンを忠実に検出することができる。
【0021】本発明の標準試料では、電位信号の強度パ
ターン及び変化パターンを用いて電位分解能の評価を行
うため、標準試料に印加する電圧は任意の一定電圧とす
ることができる。印加する電圧値が変化しても、検出さ
れる電位信号の強度パターン及び変化パターンの形状は
変化しない。したがって、従来のように印加する電圧値
を変化させる必要がなく、任意の一定電圧で評価するこ
とができる。
【0022】次に、電極パターンと該電極パターンで評
価する空間分解能との関係を、図5を用いて説明する。
図5は電極パターンの平面形状及び高さと空間分解能と
の関係を説明するための図である。図5(a)は、基板
2上に形成した櫛形の電極パターン4の平面形状Fa〜
Fe(電極幅La〜Le及び電極間隔Da〜De)を模
式的に示している。電極パターンを探針で走査して検出
した場合、検出される形状信号の強度パターン及びその
変化パターンは図5(b),(c)に示すように異なる
強度パターンを示す。
【0023】この形状信号の強度パターン及び変化パタ
ーンは、電極パターンの電極幅及び電極間隔に応じて異
なる信号パターンとなり、この信号パターンは基板の誘
電率や電極の形状及び電極幅及び電極間隔から演算によ
って求めることができる。また、図5(d)は、基板2
上に形成した櫛形の電極パターン4の高さHa〜Heを
模式的に示している。異なる高さの電極パターンを探針
で走査して検出した場合、検出される形状信号の強度パ
ターン及びその変化パターンは図5(e),(f)に示
すように異なる強度パターンを示す。
【0024】この形状信号の強度パターン及び変化パタ
ーンは、電極パターンの電極幅及び電極間隔に応じて異
なる信号パターンとなり、この信号パターンは基板の誘
電率や電極の形状及び電極の高さから演算によって求め
ることができる。一方、電気力顕微鏡によって検出され
る形状信号の強度パターン及び変化パターンは、電極パ
ターンのパターン形状に依存すると共に、電気力顕微鏡
の空間分解能に依存する。空間分解能が高い程、電極の
高さに対応した信号パターンを忠実に検出することがで
きる。
【0025】したがって、本発明は、電極パターンの形
状から形状信号の強度パターン及び変化パターンをあら
かじめ演算で求めて基準の信号パターンを定めておき、
電気力顕微鏡で求めた検出形状信号をこの信号パターン
と比較することによって、電気力顕微鏡の空間分解能を
評価する。また、厚さが一定の電極で形状パターンを形
成する場合には、形成信号の強度パターン及び変化パタ
ーンを用いて空間分解能の評価を行うため、標準試料に
印加する電圧は任意の一定電圧とすることができる。印
加する電圧値が変化しても、検出される形状信号の強度
パターン及び変化パターンの形状は変化せず、従来のよ
うに印加する電圧値を変化させる必要がなく、任意の一
定電圧で評価することができる。
【0026】次に、本発明の標準試料を用いた電気力顕
微鏡の評価について説明する。図6は、本発明の電気力
顕微鏡用標準試料を適用して電位分解能及び空間分解能
を評価することができる電気力顕微鏡の概略を説明する
ブロック図である。図6において、電気力顕微鏡11
は、カンチレバー12で支持される探針13と、試料1
をX,Y,Z方向に走査するための圧電素子等で形成さ
れるスキャナー14と、スキャナー14をX,Y方向に
走査するX,Y走査回路15と、スキャナー14のZ方
向位置を制御するサーボ回路17と、カンチレバー12
及び探針13の変位を検出する変位検出手段16と、探
針13から検出信号を検出して、電位信号及び検出信号
を検出する信号処理部30を備える。変位検出手段16
とサーボ回路17はフィードバック制御によってスキャ
ナー14を制御する。信号処理部30は、探針13から
の信号を検出する信号検出手段31と電位検出手段33
と形状検出手段34を備える。電位検出手段33及び形
状検出手段34は、信号検出手段31で検出した信号に
基づいて電位信号及び形状信号を出力する。信号検出手
段31は、探針13からの信号を周波数分離手段32で
電位信号及び形状信号を分離して検出する。なお、形状
信号は、サーボ回路17のフィードバック信号を用いて
得ることもできる。
【0027】図7は電気力顕微鏡の空間分解能と電位分
解能を評価するための構成を示す図である。図7におい
て、標準試料1と、カンチレバー12に支持した探針1
3との間には電圧源21によって一定電圧のバイアス電
圧を印加し、カンチレバー12の変位や探針13の電圧
を信号検出手段30で検出する。評価手段40は比較手
段42によって信号検出手段30で検出した検出信号と
比較値とを比較することによって空間分解能及び電位分
解能を評価する。比較値は演算等によってあらかじめ求
めておいた基準信号パターン41を用いる。基準信号パ
ターンとして電位分布を用い、電位検出信号と比較する
ことによって電位分解能を評価することができ、また、
基準信号パターンとして形状分布を用い、形状検出信号
と比較することによって空間分解能を評価することがで
きる。
【0028】図8は、電気力顕微鏡の電位分解能及び空
間分解能を評価する手順を説明するためのフローチャー
トである。電位分解能及び空間分解能の評価は、試料を
電気力顕微鏡にセットした後(ステップS1)、電圧源
21によって一定電圧を印加し(ステップS2)、探針
12及び信号検出手段30によって走査検出信号を求め
て、試料表面の電位及び形状を検出する(ステップS
3)。検出した走査検出信号から周波数分離等の信号処
理によって電位検出信号と形状検出信号とを分離し検出
する(ステップS4)。検出した電位検出信号及び形状
検出信号を用いて電位分解能及び空間分解能を評価する
(ステップS5,6)。
【0029】電位分解能の評価は、電位検出信号の信号
パターンを基準の電位信号パターンと比較し(ステップ
S5a)、電位検出信号の信号パターンが識別できるか
否かによって判定し評価する。この評価は、両信号の一
致の程度や、基準の電位信号パターンから得られる電圧
値に基づいて定めたしきい値によって判定することがで
きる(ステップS5b)。また、空間分解能の評価は、
形状検出信号の信号パターンを基準の形状信号パターン
と比較し(ステップS6a)、形状検出信号の信号パタ
ーンが識別できるか否かによって判定し評価する。この
評価は、両信号の一致の程度や、基準の形状信号パター
ンから得られる電圧値に基づいて定めたしきい値によっ
て判定することができる(ステップS6b)。
【0030】電気力顕微鏡は電位検出信号と形状検出信
号とを同時に検出することができ、また評価を行うため
の基準信号パターンはあらかじめ求めておくことができ
るため、本発明の標準試料を用いることによって電位分
解能と空間分解能とを同時に評価することができる。
【0031】図9は、本発明の電気力顕微鏡用標準試料
の他の構成例を説明するための概略斜視図である。図9
に示す構成例は、基板2の下側にシリコン基板6を設け
た構成の他は、図1に示す構成例とほぼ同様である。シ
リコン基板6は導電率が高いものを用いることによって
裏面電極として作用する。また、導電性を高めるため
に、シリコン基板6に裏面に金属電極5を設ける構成と
することもできる。
【0032】この標準試料1は、誘電率が既知の石英基
板6を厚さ400μmのシリコン基板6に貼り付けた
後、石英基板6を厚さ50μmまで研磨した後、基板表
面3に電極パターン4を形成することによって作成する
ことができる。上記した構成例では、基板として石英等
の誘電体を用いているが、誘電体に限らず絶縁体であれ
ば良い。また、誘電体の層の厚みは、容量は測定あるい
は演算可能な程度であれば良く、数百μm以下の程度が
適している。
【0033】また、上記のシリコン基板は電極兼補強材
であって必ずしも必要なものではなく、また用いる場合
であっても、低抵抗であれば任意の材料を適用すること
ができる。また、表面電極の形成において、例示したフ
ォトレジストを用いたリフトオフによるパターン形成の
他に、エッチングによるパターン形成、メタルマスク等
によるパターンニング、スクリーン印刷等を適用するこ
とができる。また、電極材料も金やアルミニウムに限ら
ず、任意の導電体を適用することができる。
【0034】本発明の標準試料では、表面の電極パター
ンにより表面電位の差異が2次元で分布しており、この
分布は理論的に計算することができる。したがって、本
発明の標準試料によれば、電気力顕微鏡の電位分解能と
空間分解能とを同時に評価することができる。また、評
価する分解能の程度に応じて電極パターンを形成するこ
とができるため、評価精度を高めることができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電気力顕
微鏡用標準試料によれば、電位分解能と空間分解能とを
同時に評価することができ、評価に要する時間を短縮す
ることができる。また、電位分解能及び空間分解能にお
いて高い評価精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気力顕微鏡用標準試料の構成例を説
明するための概略斜視図である。
【図2】本発明の電気力顕微鏡用標準試料の電極パター
ンの他の例を示す図である。
【図3】本発明の電気力顕微鏡用標準試料の電極パター
ンの断面形状と電位分解能との関係を説明するための図
である。
【図4】電極パターンの平面形状と電位分解能との関係
を説明するための図である。
【図5】電極パターンの平面形状及び高さと空間分解能
との関係を説明するための図である。
【図6】本発明の電気力顕微鏡用標準試料を適用して電
位分解能及び空間分解能を評価することができる電気力
顕微鏡の概略を説明するブロック図である。
【図7】電気力顕微鏡の空間分解能と電位分解能を評価
するための構成を示す図である。
【図8】本発明の標準試料を用いて、電気力顕微鏡の電
位分解能及び空間分解能を評価する手順を説明するため
のフローチャートである。
【図9】本発明の電気力顕微鏡用標準試料の他の構成例
を説明するための概略斜視図である。
【図10】電気力顕微鏡の空間分解能と電位分解能を評
価するための従来構成を示す図である。
【図11】電気力顕微鏡の電位分解能を評価する従来の
手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】電気力顕微鏡の空間分解能を評価する従来の
手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c…電気力顕微鏡用標準試料、2…
基板、3…基板表面、4,4a,4b,4c…電極パタ
ーン、5…電極、6…シリコン基板、11…電気力顕微
鏡、12…カンチレバー、13…探針、14…スキャナ
ー、15…X,Y走査回路、16…変位検出手段、17
…サーボ回路、21,22…電圧印加手段、30…信号
処理手段、31…信号検出手段、32…周波数分離手
段、33…電位検出手段、34…形状検出手段、40,
50…評価手段、41…基準信号パターン、42,51
…比較手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 博昭 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会社島津製作所内 (72)発明者 藤山 陽一 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会社島津製作所内 (72)発明者 今田 寛 埼玉県浦和市下大久保255 埼玉大学 総 合情報処理センター内 Fターム(参考) 2F063 AA43 DA01 DA05 EA16 EB15 EB23

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体からなる基板と、基板上に形成さ
    れる導電性の電極パターンとを備え、前記電極パターン
    は、電位分布を既知とする電位パターン及び形状を既知
    とする空間パターンとを備える、電気力顕微鏡用標準試
    料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2462725C1 (ru) * 2011-02-21 2012-09-27 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования Национальный исследовательский университет (МИЭТ) Тестовая структура для калибровки предметных столиков растровых электронных микроскопов в нанометровом диапазоне
CN104849497A (zh) * 2014-02-17 2015-08-19 国家纳米科学中心 亚表面结构特征及微区宽频介电特性的测量装置
JP2022063163A (ja) * 2020-10-09 2022-04-21 株式会社島津製作所 走査型プローブ顕微鏡
WO2023021867A1 (ja) * 2021-08-20 2023-02-23 株式会社日立ハイテク 走査プローブ顕微鏡とそれに使用される試料

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