JP2001106638A - 骨形成促進物質徐放性ペースト - Google Patents

骨形成促進物質徐放性ペースト

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JP2001106638A
JP2001106638A JP2000242768A JP2000242768A JP2001106638A JP 2001106638 A JP2001106638 A JP 2001106638A JP 2000242768 A JP2000242768 A JP 2000242768A JP 2000242768 A JP2000242768 A JP 2000242768A JP 2001106638 A JP2001106638 A JP 2001106638A
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calcium
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Tetsuo Hoshino
哲夫 星野
Haruhiko Makino
治彦 牧野
Taku Kurasawa
卓 倉沢
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】骨への高い組織親和性と接着性を持ち、骨形成
促進物質を長期に亘り安定に徐放することができ、その
結果として、骨折治療時に骨の癒合ならびに欠損部の修
復を促進する目的で簡便に使用できる、骨形成促進物質
を含有する新たな製剤の提供。 【解決手段】骨形成促進物質、カルシウム成分および増
粘剤が配合されることを特徴とする骨形成促進物質徐放
性ペースト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は骨形成促進物質徐放
性ペーストに関し、より詳細には、骨形成促進物質、カ
ルシウム成分および増粘剤が配合されることを特徴とす
る骨形成促進物質徐放性ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、薬効成分を生体内に投与しその奏
効部位で徐放させる製剤技術が、精力的に検討されてい
る。特に骨折治療においては、その部位がギブス等で保
護されてしまうため薬物を頻回投与することは困難な場
合が多く、単回の処置で長期間に亘って薬物を患部に高
濃度に供給できる徐放性製剤の開発への期待は大きい。
このような状況下で、例えば特開平9−263545号
公報に見られるように、優れた骨形成促進作用を有する
非ペプチド系低分子化合物であるベンゾチエピン誘導体
を有効成分とする徐放性製剤が提案されている。この製
剤は、有効成分を含有した生体内分解性ポリマーの懸濁
液からなり、注射投与によって簡便に適用できるばかり
でなく、有効成分を一定期間、骨疾患局所等の奏効部位
に高濃度に供給できる。そのため、現実の臨床の場でも
極めて有用性の高いものであり、その実用化が期待され
ている。しかしながら、この製剤は液状であり流動性が
高いため、開放骨折などに適用した場合には投与局所で
の滞留性が必ずしも充分ではない。
【0003】一方、従来より、骨組織に高い親和性を有
する人工骨、骨補填材が知られているが、これらの人工
骨、骨補填材に種々の薬効成分を含有させる技術が提案
されている。例えば特開平6−228011号公報に
は、リン酸カルシウム系薬物徐放体及びその製造方法が
記載されている。この薬物徐放体は、生体硬組織内に結
合し、維持され、更には薬物の放出速度が容易に制御で
きるという。しかし、用いている基材が、いわゆる自己
硬化性セメントであるリン酸四カルシウムとリン酸水素
カルシウムのみで構成されている。そのため、硬化が完
了する前のスラリー若しくは粘土状の状態時の硬組織へ
の展延性、塗工性、接着性は乏しく、血液などの体液と
接触することにより崩壊、流失してしまうおそれがあ
る。
【0004】また、特開平7−31673号公報には、
自己硬化性セメントと天然生体吸収性高分子物質、例え
ばデキストランとからなる骨補填材が開示されていて、
この骨補填材に配合してもよい生理活性物質として、骨
形成因子、骨増殖因子等が例示されている。特開平7−
289627号公報には、生体親和性に優れかつ形態付
与性をもち、練和直後の練成体が水分と接触しても崩壊
しない、リン酸成分、カルシウム成分およびアルギン酸
化合物が配合された医療用硬化性組成物が開示されてい
る。特開平10−216219号公報には、生体親和性
に優れ、形態付与性をもち、練和直後の練成体が水分と
接触しても崩壊せず、かつ骨に対して粘着性を示す、リ
ン酸成分、カルシウム成分およびコラーゲンが配合され
た医療用硬化性組成物が開示されている。これらの公報
の組成物の主たる目的が、骨が欠損した部位へ適用し硬
化体を力学的支持性を有する骨補填材として機能させる
ことにあるため、その力学的強度は十分である。しか
し、組成物が硬化することによって配合された生理活性
物質が硬化体内部に完全に封じ込められてしまうため、
硬化する初期の段階では、配合された生理活性物質があ
る程度放出されるとしても、長期に亘る安定な徐放性を
期待することはできない。また、骨折治療用医用材料と
してノリアンSRS(商品名,ノリアン社開発)が、ペー
スト状骨充填材としてバイオペックス(商品名,ウエル
ファイド株式会社発売)が、発売されているが、骨形成
促進物質等の生理活性物質を含有しておらず、さらに充
填後、速やかに硬化し、硬化後は十分な強度を与える特
徴を有するため、仮にこれに生理活性物質を含有させた
としても長期に亘る安定な徐放性を期待することができ
ないことは前述の通りである。以上のように、展延性、
塗工性、接着性、可塑性に優れ、局所投与によって骨組
織へ長く滞留でき、かつ長期に亘る安定な徐放性を有す
る徐放性製剤は、未だ開発されていないのが現状であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下で、
骨への高い組織親和性と接着性を持ち、一定の可塑性を
維持しながらも体液と接触しても崩壊しない適度の硬度
を有し、しかも骨形成促進物質を長期に亘り安定に徐放
することができ、その結果として、骨折治療時に骨の癒
合ならびに欠損部の修復を促進する目的で簡便に使用で
きる骨形成促進物質を含有する新たな剤形の開発が求め
られている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、カルシウム成分の水和
硬化性によって局所への滞留性を持たせ、これに増粘剤
を配合することにより適度な可塑性と粘着性を示すペー
スト基剤を見出し、これに骨形成促進物質を配合するこ
とにより、当該物質が長期に亘り安定に徐放されること
を確認して、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は: (1)骨形成促進物質、カルシウム成分および増粘剤が
配合されることを特徴とする骨形成促進物質徐放性ペー
スト; (2)カルシウム成分が、カルシウムのリン酸塩、硫酸
塩および炭酸塩の中から選択される一または二以上の組
み合わせである上記(1)に記載のペースト; (3)カルシウム成分がリン酸水素カルシウム無水和物
若しくは二水和物とリン酸四カルシウムとの組み合わせ
である上記(1)に記載のペースト; (4)カルシウム成分が硫酸カルシウム半水和物である
上記(1)に記載のペースト; (5)さらに硫酸カルシウム二水和物が配合されること
を特徴とする上記(4)に記載のペースト; (6)カルシウム成分が、骨形成促進物質1重量部に対
して約1〜500重量部である上記(1)に記載のペー
スト; (7)増粘剤が生体適合性高分子である上記(1)に記
載のペースト; (8)増粘剤がデキストランである上記(1)に記載の
ペースト; (9)増粘剤がカルシウム成分1重量部に対して約0.
05〜4重量部である上記(1)に記載のペースト; (10)骨形成促進物質が非ペプチド系低分子化合物で
ある上記(1)に記載のペースト; (11)骨形成促進物質がベンゾチオピランもしくはベ
ンゾチエピン誘導体である上記(1)に記載のペース
ト; (12)骨形成促進物質が(2R,4S)−(−)−N
−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]−
1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチ
レンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−
カルボキサミド若しくはその塩またはこれらの徐放性製
剤である、上記(1)に記載のペースト; (13)骨形成促進物質が生体内分解性ポリマーによっ
て徐放性に製剤化されている上記(1)に記載のペース
ト; (14)カルシウム成分および増粘剤を含有する、上記
(1)に記載のペーストを製造するための組成物; (15)骨形成促進物質またはその徐放性製剤、カルシ
ウム成分および増粘剤を含有する、上記(1)に記載の
ペーストを製造するための組成物; (16)骨形成促進物質、カルシウム成分、増粘剤およ
び水を練和することを特徴とする骨形成促進物質徐放性
ペーストの製造法; (17)骨疾患治療剤である上記(1)ないし(13)
に記載のペースト; (18)上記(1)ないし(13)に記載のペーストを
投与することを特徴とする骨疾患治療方法;および、 (19)骨疾患治療剤の製造のための上記(14)ない
し(15)に記載の組成物の使用を提供するものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるカルシ
ウム成分としては、水分との接触によって常温で水和硬
化性を示すものであれば公知のいかなるカルシウム成分
でもよく、例えばリン酸二水素カルシウム、リン酸水素
カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム二水和物、
α型リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム等のリン
酸塩、例えば硫酸カルシウム半水和物(例、α型硫酸カ
ルシウム半水和物、β型硫酸カルシウム半水和物等)等
の硫酸塩、例えば炭酸カルシウム等の炭酸塩が挙げら
れ、これらのカルシウム成分の中から選ばれる一または
二以上の水和硬化性を示す組み合わせが用いられる。な
かでも、単独でも水和硬化性を示すリン酸二水素カルシ
ウム、α型リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム半水和
物(例、α型硫酸カルシウム半水和物、β型硫酸カルシ
ウム半水和物等)や、二成分あるいは三成分以上を組み
合わせることにより水和硬化性を示すリン酸カルシウム
の組み合わせが好ましい。水和硬化性を示すリン酸カル
シウムの組み合わせとしては例えばリン酸水素カルシウ
ム無水和物若しくは二水和物とリン酸四カルシウムとの
組み合わせ、リン酸水素カルシウム二水和物と炭酸カル
シウムとの組み合わせなどが好ましい。なお、α型リン
酸三カルシウムは単独でも水和硬化性を示すが、リン酸
水素カルシウム無水和物若しくは二水和物;あるいはリ
ン酸四カルシウムと組み合わせて用いること(リン酸水
素カルシウム無水和物若しくは二水和物とα型リン酸三
カルシウムとの組み合わせ、リン酸四カルシウムとα型
リン酸三カルシウムとの組み合わせ)が好ましい。水和
硬化性を示すリン酸カルシウムの組み合わせは、これら
が生体内でリン酸八カルシウムやアパタイトに構造を変
え硬化する組み合わせであればよく特に制限はないが、
組み合わせの際のカルシウム(Ca)とリン(P)のモ
ル比がCa/P=1.1〜1.8であることが好まし
く、1.2〜1.67であることが特に好ましい。カル
シウムとリンの配合比率を上記の範囲内にするために、
上記組み合わせの中に例えばリン酸二水素ナトリウム等
のリン酸塩を加えることができる。また、本願発明のカ
ルシウム成分として、カルシウム成分を主体とした市販
の組成物〔例、ノリアンSRS(商品名,ノリアン社開
発)の粉剤部分、バイオペックス(商品名,ウエルファ
イド株式会社発売)の粉剤部分〕を用いてもよい。前記
カルシウム成分として水和物を用いる場合、水和物に水
を加えて練和すると、水分子数が異なる水和物あるいは
無水物に水を加えて練和した時と比較し、結果として同
様のカルシウム成分を含有する練和物になるが、本願発
明ペーストが含有するカルシウム成分を示す場合、水と
練和する前の配合時のカルシウム成分に基づいて定義さ
れる。
【0009】本発明の徐放性ペーストの調製に用いられ
るカルシウム成分の粉末の粒子径は特に制限されない
が、本発明の徐放性ペーストを製造する練和操作時の練
り易さをできるだけ向上させるという点を考慮すると、
平均粒子径約300μm以下(例えば、約0.1〜30
0μm)が好ましく、約100μm以下(例えば、約
0.1〜100μm)がさらに好ましく、約50μm以
下(例えば、約0.1〜50μm)がより好ましい。
【0010】本発明における増粘剤は、水和硬化性を示
すカルシウム成分の硬化速度を制御し、本発明の徐放性
ペーストに展延性、塗工性、接着性や可塑性を付与する
ものであるが、そればかりではなく、本発明の徐放性ペ
ーストに配合された骨形成促進物質を徐々に放出するた
めの放出チャンネルを形成する機能をも併せ持つ。その
ため、本発明の増粘剤としては、薬理学的に許容でき、
かつ上記の機能を発揮し得るものであれば特に制限され
ることがないが、例えば生体適合性高分子、糖・糖アル
コール、多価アルコール等が好ましく用いることができ
る。
【0011】ここで、本発明の徐放性ペーストに用いる
ことができる生体適合性高分子としては、生体内吸収性
高分子であることが好ましく、特に水溶性でありかつカ
ルシウムと接触しても不溶性の塩を形成しない高分子で
あることが好ましい。このような生体適合性高分子とし
ては、例えばデキストラン、ジエチルアミノエチルデキ
ストラン、硫酸化デキストラン、プルラン等の微生物由
来多糖およびその誘導体;アラビアゴム等の植物由来多
糖類;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
およびその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロース誘
導体;デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウ
ム、ヒドロキシエチルスターチ、ヒドロキシプロピルス
ターチ等のデンプンおよびその水溶性誘導体;キチン、
キトサン、カルボキシメチルキチン等のキチン・キトサ
ンおよびその誘導体;ヒアルロン酸およびその塩、コン
ドロイチン硫酸およびその塩、デルマタン硫酸およびそ
の塩、ヘパラン硫酸およびその塩、ケラタン硫酸および
その塩等のムコ多糖およびその塩;ゼラチン、アルブミ
ン等の水溶性タンパク質;カルボキシビニルポリマー、
ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポロキ
サマー、ポリアミノ酸およびその塩等の水溶性合成高分
子;グリコーゲン等が挙げられる。これらの中でもデキ
ストランが特に好ましい。
【0012】糖・糖アルコールとしては、グルコース、
シュークロース、マルトース、ラクトース、キシリトー
ル、マンニトール、ソルビトール等が挙げられ、キシリ
トール、マンニトール、ソルビトールが特に好ましい。
更に多価アルコールとしてはグリコール、グリセリンが
挙げられる。その他、キサンタンガム、ペクチン、アル
ギン酸およびその塩、コラーゲンやフィブリン等も、本
発明の徐放性ペーストにおける増粘剤として用いること
ができる。以上の増粘剤は、列挙したものの中から一ま
たは二以上のものを選択し、組み合わせて用いることが
できる。
【0013】本発明の徐放性ペーストの調製に用いられ
る増粘剤の形態は特に制限されず、室温で固体粉末であ
っても液体状であってもよい。固体粉末である場合に
は、予め上記カルシウム成分と均一に混和して用いるこ
とができる。一方、室温で液体状である場合には、本発
明の徐放性ペーストを調製するために加える後述の液成
分に溶解または分散して用いることができる。また、固
体粉末を当該液成分に溶解または懸濁して用いることも
できる。更に、一部を液成分に溶解または懸濁し、残り
を固体粉末としてカルシウム成分と均一に混和すること
もできる。
【0014】本発明の徐放性ペーストにおいて、増粘剤
の配合量を増減することにより、有効成分である骨形成
促進物質の放出期間を制御することができる。したがっ
て、カルシウム成分に対する増粘剤の配合比率は、その
種類や目的とする放出期間の設定に応じて広い範囲で選
択することができるが、例えば、放出期間を数週間から
数ヶ月とする場合の増粘剤の配合量は、カルシウム成分
1重量部に対して約0.05〜4重量部であり、好まし
くは約0.1〜2重量部、特に好ましくは約0.15〜
1.5重量部、さらに好ましくは約0.2〜1重量部で
ある。なお、本発明のカルシウム成分および増粘剤は投
与後、約1〜6ヶ月程度で体内に吸収されるので、ペー
スト投与部位は完全に自家骨に置き換わる。また、増粘
剤の配合量は、骨形成促進物質1重量部に対して約1〜
500重量部であり、好ましくは約1〜300重量部、
特に好ましくは約1〜100重量部である。骨形成促進
物質が徐放性に製剤化されている場合には、増粘剤の配
合量は徐放性製剤1重量部に対して約0.1〜50重量
部であり、好ましくは約0.1〜30重量部、特に好ま
しくは約0.1〜10重量部である。
【0015】骨形成促進物質としては、現在、ペプチド
系および非ペプチド系の物質が知られているが、いずれ
も本発明の徐放性ペーストに用いることができる。非ペ
プチド系骨形成促進物質としては、例えば特開平3−2
32880号公報(ヨーロッパ特許出願公開公報第37
6197号公報)、特開平4−364179号公報(ヨ
ーロッパ特許出願公開公報第460488号公報)、特
開平5−294960号公報、特開平8−231569
号公報(ヨーロッパ特許出願公開公報第719782号
公報)および特開平2000−72678号公報(WO
00/09100号公報)等に記載されている含硫黄複
素環化合物またはその塩、特開平7−291983号公
報(ヨーロッパ特許出願公開公報第625522号公
報)に記載されているベンゾピラン誘導体またはその
塩、特開平8−73476号公報(WO96/0126
7号公報)に記載されているホスホン酸誘導体またはそ
の塩、ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・エクスペリ
メンタル・セラピューチックス(Journal of Pharmacol
ogy Experimental Therapeutics)、第258巻、1120〜11
26頁(1991年)に記載されているプロスタグランディン
A1 誘導体、バイオオーガニック・アンド・メディシ
ナル・ケミストリー・レターズ(Bioorganic &Medicia
nal Chemistry Letters)、第3巻、1815〜1819頁(1993
年)に記載されているビタミンD3誘導体、ヨーロッパ
公開特許公報第524023号に記載されているベンジ
ルホスホン酸誘導体、ボーン(Bone)、第13巻、249〜2
55頁(1992年)に記載されているホスホン酸類、Menate
trenone(エーザイ)およびバイオケミカル・アンド・
バイオフィジカル・リサーチ・コミニュケーションズ
(Biochemical and Biophysical Research Communicati
ons)、第187巻、814〜820頁(1992年)に記載されてい
るビタミンK2 誘導体等が挙げられる。また、ペプチ
ド系骨形成促進物質としては、骨形成タンパク(BM
P)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖
因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(T
GF−β)、インスリン様成長因子−1および2(IG
F−1、−2)、副甲状腺ホルモン(PTH)等が例示
できる。
【0016】これらの骨形成促進物質の中で、非ペプチ
ド系の骨形成促進物質、例えばベンゾチオピランもしく
はベンゾチエピン誘導体が好ましい。該ベンゾチオピラ
ンまたはベンゾチエピン誘導体としては、例えば、特開
平3−232880号公報(ヨーロッパ特許出願公開公
報第376197号公報)、特開平4−364179号
公報(ヨーロッパ特許出願公開公報第460488号公
報)および特開平8−231569号公報(ヨーロッパ
特許出願公開公報第719782号公報)および特開平
2000−72678号公報(WO00/09100号
公報)等に記載の化合物またはその塩が挙げられるが、
なかでも、式(I):
【化1】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
キシ基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、kは
0または1を、k'は0,1または2を示す。]で示さ
れる化合物〔化合物(I)〕またはその塩が好ましい。
【0017】前記式(I)において、環Aで示される置
換されていてもよいベンゼン環における置換基として
は、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、置換されていて
もよいアルキル基、置換されていてもよい水酸基、置換
されていてもよいメルカプト基、置換されていてもよい
アミノ基、アシル基、モノ−またはジ−アルコキシホス
ホリル基、ホスホノ基、置換されていてもよいアリール
基、置換されていてもよいアラルキル基または置換され
ていてもよい芳香族複素環基が用いられ、これらの置換
基は同一または異なって1ないし4個、好ましくは1な
いし2個、ベンゼン環上に置換していてもよい。
【0018】該「ハロゲン原子」としては、例えばフッ
素、塩素、臭素、ヨウ素等が用いられる。該「置換され
ていてもよいアルキル基」におけるアルキル基として
は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ
ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペ
ンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ノニルまたはデシル等)、炭素数3〜7のシクロア
ルキル基(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シク
ロヘキシルまたはシクロヘプチル等)等が用いられ、こ
れらは、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素等)、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基
(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘ
キシルオキシ等)、モノ−またはジ−C1-6アルコキシホ
スホリル基(例えば、メトキシホスホリル、エトキシホ
スホリル、ジメトキシホスホリル、ジエトキシホスホリ
ルなど)、ホスホノ基等で1〜3個置換されていてもよ
い。置換されたアルキル基の具体例としては、例えばト
リフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリクロロメ
チル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、メト
キシエチル、1−メトキシエチル、2−メトキシエチ
ル、2,2−ジエトキシエチル、2−ジエトキシホスホ
リルエチル、ホスホノメチル等が挙げられる。
【0019】該「置換されていてもよい水酸基」におけ
る置換された水酸基としては、例えばアルコキシ基、ア
ルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ
基、アリールオキシ基等が用いられる。該「アルコキシ
基」としては、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ
基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、
tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘ
プチルオキシまたはノニルオキシ等)、炭素数4〜6の
シクロアルコキシ基(例、 シクロブトキシ、シクロペン
トキシまたはシクロヘキシルオキシ等)等が用いられ
る。該「アルケニルオキシ基」としては、好ましくは炭
素数2〜10のアルケニルオキシ基、例えばアリルオキ
シ、クロチルオキシ、2−ペンテニルオキシ、3−ヘキ
セニルオキシ、2−シクロペンテニルメトキシまたは2
−シクロヘキセニルメトキシ等が用いられる。該「アラ
ルキルオキシ基」としては、好ましくは炭素数6〜19
のアラルキルオキシ基、さらに好ましくは炭素数7〜1
4のアリール−炭素数1〜4のアルキルオキシ基(例、
ベンジルオキシ、 フェネチルオキシ等)が用いられ
る。該「アシルオキシ基」としては、好ましくはアルカ
ノイルオキシ基、例えば炭素数2〜10のアルカノイル
オキシ基(例、 アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、
n-ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ等)が用いられ
る。該「アリールオキシ基」としては、好ましくは炭素
数6〜14のアリールオキシ基(例、 フェノキシ、ビフ
ェニルオキシ等)が用いられる。これらの基はさらに、
例えば前記したと同様のハロゲン原子、水酸基、炭素数
1〜6のアルコキシ基、モノ−またはジ−C1-6アルコ
キシホスホリル基、ホスホノ基等で1〜3個置換されて
いてもよい。置換された水酸基の具体例としては、例え
ばトリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエト
キシ、ジフルオロメトキシ、2−メトキシエトキシ、4
−クロロベンジルオキシ、2−(3,4−ジメトキシフェ
ニル)エトキシ等が挙げられる。
【0020】該「置換されていてもよいメルカプト基」
における置換されたメルカプト基としては、例えばアル
キルチオ基、アラルキルチオ基、アシルチオ基等が用い
られる。該「アルキルチオ基」としては、好ましくは炭
素数1〜10のアルキルチオ基(例、メチルチオ、エチ
ルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘ
キシルチオ、ヘプチルチオ、ノニルチオ等)、炭素数4
〜6のシクロアルキルチオ基(例、 シクロブチルチオ、
シクロペンチルチオ、 シクロヘキシルチオ等)等が用
いられる。該「アラルキルチオ基」としては、好ましく
は炭素数7〜19のアラルキルチオ基、さらに好ましく
は炭素数6〜14のアリール−炭素数1〜4のアルキル
チオ基、例えばベンジルチオまたはフェネチルチオ等が
用いられる。該「アシルチオ基」としては、好ましくは
アルカノイルチオ基、例えば炭素数2〜10のアルカノ
イルチオ基(例、 アセチルチオ、プロピオニルチオ、n-
ブチリルチオ、ヘキサノルチオ等)が用いられる。これ
らの基はさらに例えば、前記したと同様のハロゲン原
子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、モノ−また
はジ−C1-6アルコキシホスホリル基、ホスホノ基等で
1〜3個置換されていてもよい。置換されたメルカプト
基の具体例としては、例えばトリフルオロメチルチオ、
2,2,2−トリフルオロエチルチオ、2−メトキシエチ
ルチオ、4−クロロベンジルチオ、3,4−ジクロロベ
ンジルチオ、4−フルオロベンジルチオ、2−(3,4−
ジメトキシフェニル)エチルチオ等が挙げられる。
【0021】該「置換されていてもよいアミノ基」にお
ける置換されたアミノ基の置換基としては、前記したと
同様の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10の
アルケニル基(例、アリル、ビニル、2−ペンテン−1
−イル、3−ペンテン−1−イル、2−ヘキセン−1−
イル、3−ヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセニ
ル、2−シクロペンテニル、2−メチル−2−プロペン
−1−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル等)、
炭素数6〜14のアリール基(例、フェニル、ナフチル
等)または炭素数7〜19のアラルキル基(例、ベンジ
ル、フェネチル等)が1個または、同一または異なって
2個用いられ、これらの置換基は前記したと同様のハロ
ゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、モノ−または
ジ−C1-6アルコキシホスホリル基、ホスホノ基等で置
換されていてもよい。置換されたアミノ基の具体例とし
ては、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルア
ミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、ジアリルアミ
ノ、シクロヘキシルアミノ、フェニルアミノまたはN−
メチル−N−フェニルアミノ、N−メチル−N−(4−
クロロベンジル)アミノ、N,N−ジ(2−メトキシエチ
ル)アミノ等が挙げられる。
【0022】該「アシル基」としては、有機カルボン酸
アシル基または炭素数1〜6の炭化水素基[例、C1-6
アルキル(例、メチル、エチル、n-プロピル、ヘキシル
等)、フェニル等]を有するスルホン酸アシル基等が用
いられる。該「有機カルボン酸アシル基」としては、例
えばホルミル、炭素数1〜10のアルキル−カルボニル
基(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリ
ル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、シクロ
ブタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロ
ヘプタンカルボニル等)、炭素数2〜10のアルケニル
−カルボニル基(例、クロトニル、2−シクロヘキセン
カルボニル等)、炭素数6〜14のアリール−カルボニ
ル基(例、ベンゾイル等)、炭素数7〜19のアラルキ
ル−カルボニル基(例、べンジルカルボニル、ベンズヒ
ドリルカルボニル等)、5または6員芳香族複素環カル
ボニル基(例、ニコチノイル、4−チアゾリルカルボニ
ル等)、5または6員芳香族複素環アセチル基(例、3
−ピリジルアセチル、 4−チアゾリルアセチル等)が
用いられる。該「炭素数1〜6の炭化水素基を有するス
ルホン酸アシル基」としては、例えばメタンスルホニ
ル、エタンスルホニル等が用いられる。これらの基はさ
らに置換基、例えば前記したと同様のハロゲン原子、水
酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基等で1〜
3個置換されていてもよい。アシル基の具体例として
は、例えばトリフルオロアセチル、トリクロロアセチ
ル、4−メトキシブチリル、3−シクロヘキシルオキシ
プロピオニル、4−クロロベンゾイル、3,4−ジメト
キシベンゾイル等が挙げられる。
【0023】該「モノ−またはジ−アルコキシホスホリ
ル基」としては、例えばメトキシホスホリル、エトキシ
ホスホリル、プロポキシホスホリル、イソプロポキシホ
スホリル、ブトキシホスホリル、ペンチルオキシホスホ
リル、ヘキシルオキシホスホリル等のモノ−C1-6アル
コキシホスホリル基、例えばジメトキシホスホリル、ジ
エトキシホスホリル、ジプロポキシホスホリル、ジイソ
プロポキシホスホリル、ジブトキシホスホリル、ジペン
チルオキシホスホリル、ジヘキシルオキシホスホリル等
のジ−C1-6アルコキシホスホリル基等が用いられる。
好ましくはジ−C1-6アルコキシ基、例えばジメトキシ
ホスホリル、ジエトキシホスホリル、ジプロポキシホス
ホリル、ジイソプロポキシホスホリル、エチレンジオキ
シホスホリル、ジブトキシホスホリル等が用いられる。
該「置換されていてもよいアリール基」におけるアリー
ル基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール
基、例えばフェニル、ナフチル、アントリル等が用いら
れ、これらは前記したと同様の炭素数1〜10のアルキ
ル基、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキ
シ基等で1〜3個置換されていてもよい。置換されたア
リール基の具体例としては、例えば4−クロロフェニ
ル、3,4−ジメトキシフェニル、4−シクロヘキシル
フェニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル
等が挙げられる。
【0024】該「置換されていてもよいアラルキル基」
におけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜
19のアラルキル基、例えばベンジル、ナフチルエチ
ル、トリチル等が用いられ、芳香環上に前記した炭素数
1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、炭素数
1〜6のアルコキシ基等で1〜3個置換されていてもよ
い。置換されたアラルキル基の具体例としては、例えば
4−クロロベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、4
−シクロヘキシルベンジル、5,6,7,8−テトラヒド
ロ−2−ナフチルエチル等が挙げられる。該「置換され
ていてもよい芳香族複素環基」における芳香族複素環基
としては、好ましくは窒素原子、酸素原子または/及び
硫黄原子を1〜4個有する5〜6員芳香族複素環基、例
えばフリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、オ
キサゾリル、チアジアゾリル等が用いられ、これらの基
は前記した炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原
子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ等で1〜3個置
換されていてもよい。
【0025】2個のアルキル基がベンゼン環A上で互い
に隣接して置換されている場合、互いに連結して式:−
(CH2)m−〔式中、mは3〜5の整数を示す〕で表わさ
れるアルキレン基(例、トリメチレン、テトラメチレ
ン、ペンタメチレン等)を形成してもよく、2個のアル
コキシ基が互いに隣接して置換されている場合、式:−
O−(CH2)n−O−〔式中、nは1〜3の整数を示す〕
で表されるアルキレンジオキシ基(例、メチレンジオキ
シ、エチレンジオキシ、トリメチレンジオキシ等)を形
成してもよい。このような場合は、ベンゼン環の炭素原
子とともに5〜7員環が形成される。
【0026】前記式(I)において、Rは水素原子また
は置換されていてもよい炭化水素基を示す。Rで示され
る「置換されていてもよい炭化水素基」における炭化水
素基としては、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜1
0のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ter
t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘ
キシル等が挙げられる。)、前記したと同様のアルケニ
ル基(好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基)、さ
らに、それぞれ前記したと同様の、アリール基(好まし
くは炭素数6〜14のアリール基)、アラルキル基(好
ましくは炭素数7〜19のアラルキル)等が用いられ
る。炭化水素基上の置換基としては、5〜6員芳香族複
素環基(例、フリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾ
リル、オキサゾリル、チアジアゾリル等)、前記したと
同様のハロゲン原子、前記したと同様のジ−C1-6アル
コキシホスホリル基、ホスホノ基等が用いられる。
【0027】前記式(I)において、Bはエステル化ま
たはアミド化されていてもよいカルボキシル基を示す。
Bで示される「エステル化されていてもよいカルボキシ
ル基」におけるエステル化されたカルボキシル基として
は、例えばアルコキシカルボニル基、好ましくはC1-10
アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エ
トキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカ
ルボニル等)、アリールオキシカルボニル基、好ましく
はC6-14アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシ
カルボニル等)、アラルキルオキシカルボニル基、好ま
しくはC7-19アラルキルオキシカルボニル基(例、ベン
ジルオキシカルボニル等)等が用いられる。
【0028】Bで示される「アミド化されていてもよい
カルボキシル基」におけるアミド化されたカルボキシル
基は、好ましくは、式:−CON(R1)(R2)〔式中、R
1、R2はそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化
水素基または置換されていてもよい5〜7員複素環基を
示す。〕で表される置換されていてもよいカルバモイル
基が挙げられる。R1、R2で示される「置換されていて
もよい炭化水素基」における炭化水素基としては、アル
キル基、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イ
ソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ
ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ノニル、デシル等)、アルケニル基、好ましくは炭
素数2〜10のアルケニル基(例、アリル、ビニル、2
−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−1−イル、2−
ヘキセン−1−イル、3−ヘキセン−1−イル、2−シ
クロヘキセニル、2−シクロペンテニル、2−メチル−
2−プロペン−1−イル、3−メチル−2−ブテン−1
−イル等)、アリール基、好ましくは炭素数6〜14の
アリール基(例、フェニル、ナフチル、アントリル
等)、アラルキル基、好ましくは炭素数7〜19のアラ
ルキル基(例、ベンジル、ナフチルエチル、トリチル
等)等が用いられ、これらの炭化水素基は、例えば(i)
ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、
(ii)水酸基、(iii)炭素数1〜6のアルコキシ基(例、
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、tert-ブ
トキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等)、(iv)1
個または、同一または異なって2個の炭素数1〜6のア
ルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、
ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等)
で置換されていてもよいアミノ基(例、アミノ、メチル
アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミ
ノ、ジプロピルアミノ等)、(v)1個または、同一また
は異なって2個のアシル基(例、炭素数1〜10のアル
カノイル基等)で置換されたアミノ基(例、アセチルア
ミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、(v
i)1個または、同一または異なって2個の炭素数1〜6
のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基
(例、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジメチルカ
ルバモイル、ジエチルカルバモイル等)、(vii)C1-6
ルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エト
キシカルボニル、プロポキシカルボニル等)、(viii)モ
ノ−またはジ−アルコキシホスホリル基〔例、モノ−ま
たはジ−C1-6アルコキシホスホリル基(例えば、ジメ
トキシホスホリル、ジエトキシホスホリル、エチレンジ
オキシホスホリル等)等〕、(ix)モノ−またはジ−アル
コキシホスホリルアルキル基〔例、モノ−またはジ−C
1-6アルコキシホスホリル−C1-3アルキル基(例、メト
キシホスホリルメチル、エトキシホスホリルメチル、メ
トキシホスホリルエチル、エトキシホスホリルエチル、
ジメトキシホスホリルメチル、ジエトキシホスホリルメ
チル、ジメトキシホスホリルエチル、ジエトキシホスホ
リルエチル等)等〕、(x)式
【化2】 〔式中、pは2ないし4の整数を示す。〕、(xi)ホスホ
ノ基、(xii)芳香族複素環基(前記と同意義)等で1〜
3個置換されていてもよい。
【0029】R1、R2で示される「置換されていてもよ
い5〜7員複素環基」における5〜7員複素環基として
は、例えば1個の硫黄原子、窒素原子または酸素原子を
含む5〜7員複素環基、2〜4個の窒素原子を含む5〜
6員複素環基、1〜2個の窒素原子および1個の硫黄原
子または酸素原子を含む5〜6員複素環基が用いられ、
これらの複素環基は2個以下の窒素原子を含む6員環、
ベンゼン環または1個の硫黄原子を含む5員環と縮合し
ていてもよい。該「置換されていてもよい5〜7員複素
環基」が有していてもよい置換基としては、前記R1
よびR2で示される「置換されていてもよい炭化水素
基」の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のも
のが1ないし4個用いられる。R1、R2で示される5〜
7員複素環基の好ましい例としては、例えば2−ピリジ
ル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリ
ル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、テトラ
ゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアジ
ニル、トリアゾリル、チエニル、ピロリル、ピロリニ
ル、フリル、ピロリジニル、ベンゾチエニル、インドリ
ル、イミダゾリジニル、ピペリジル、ピペリジノ、ピペ
ラジニル、モルホリニル、モルホリノ、ピリド[2,3−
d]ピリミジル、ベンゾピラニル、1,8−ナフチリジ
ル、キノリル、チエノ[2,3−b]ピリジル等が挙げら
れる。
【0030】R1とR2は、互いに連結して式:−N
(R1)(R2)が5〜7員環を形成していてもよく、この
ような環としては、例えばモルホリン、チオモルホリ
ン、ピペリジン、ホモピペラジン、ピペラジン、ピロリ
ジン、ピロリン、ピラゾリン、イミダゾリン、イミダゾ
リジン、チアゾリジン、アゼピン等が挙げられる。R1
およびR2で示される「置換されていてもよい炭化水素
基」の好ましい例である置換されたアルキル基の具体例
としては、例えばトリフルオロメチル、トリフルオロエ
チル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2−ヒド
ロキシエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチ
ル、2,2−ジメトキシエチル、2,2−ジエトキシエチ
ル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピ
リジルメチル、2−(2−チエニル)エチル、3−(3−
フリル)プロピル、2−モルホリノエチル、3−ピロリ
ルブチル、2−ピペリジノエチル、2−(N,N−ジメチ
ルアミノ)エチル、2−(N−メチル−N−エチルアミ
ノ)エチル、2−(N,N−ジイソプロピルアミノ)エチ
ル、5−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチル、N,N−ジ
メチルカルバモイルエチル、N,N−ジメチルカルバモ
イルペンチル、エトキシカルボニルメチル、イソプロポ
キシカルボニルエチル、tert−ブトキシカルボニルプロ
ピル、2−ジエトキシホスホリルエチル、3−ジプロポ
キシホスホリルプロピル、4−ジブトキシホスホリルブ
チル、エチレンジオキシホスホリルメチル、2−ホスホ
ノエチル、3−ホスホノプロピル等、置換されたアラル
キル基の具体例としては、例えば4−クロロベンジル、
3−(2−フルオロフェニル)プロピル、3−メトキシベ
ンジル、3,4−ジメトキシフェネチル、4−エチルベ
ンジル、4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ブチ
ル、4−アセチルアミノベンジル、4−ジメチルアミノ
フェネチル、4−ジエトキシホスホリルベンジル、2−
(4−ジプロポキシホスホリルメチルフェニル)エチル
等、置換されたアリール基の具体例としては、例えば4
−クロロフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、5,
6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、3−トリフル
オロメチルフェニル、4−ヒドロキシフェニル、3,4,
5−トリメトキシフェニル、6−メトキシ−2−ナフチ
ル、4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル、3,4
−メチレンジオキシフェニル、4−(2,2,2−トリフ
ルオロエトキシ)フェニル、4−プロピオニルフェニ
ル、4−シクロヘキサンカルボニルフェニル、4−ジメ
チルアミノフェニル、4−ベンゾイルアミノフェニル、
4−ジエトキシカルバモイルフェニル、4−tert−ブト
キシカルボニルフェニル、4−ジエトキシホスホリルフ
ェニル、4−ジエトキシホスホリルメチルフェニル、4
−(2−ジエトキシホスホリルエチル)フェニル、2−ジ
エトキシホスホリルメチルフェニル、3−ジエトキシホ
スホリルメチルフェニル、4−ジプロポキシホスホリル
フェニル、4−(2−ホスホノエチル)フェニル、4−ホ
スホノメチルフェニル、4−ホスホノフェニル等、置換
された5〜7員複素環基の具体例としては、 例えば5−
クロロ−2−ピリジル、3−メトキシ−2−ピリジル、
5−メチル−2−ベンゾチアゾリル、5−メチル−4−
フェニル−2−チアゾリル、3−フェニル−5−イソオ
キサゾリル、4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−
2−オキサゾリル、3−フェニル−1,2,4−チアジア
ゾ−ル−5−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾ
ール−2−イル、5−アセチルアミノ−2−ピリミジ
ル、3−メチル−2−チエニル、4,5−ジメチル−2
−フラニル、4−メチル−2−モルホリニル等が挙げら
れる。
【0031】前記のうち、環Aは好ましくは同一または
異なって、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキ
ル基、置換されていてもよい水酸基、置換されていても
よいメルカプト基または/および置換されていてもよい
アミノ基の1またはそれ以上、より好ましくは1または
2個で置換されていてもよいベンゼン環である。より好
ましい環Aとしては、同一または異なって、ハロゲン原
子、炭素数1〜10(さらに好ましくは炭素数1〜5)
のアルキル基、炭素数1〜10(さらに好ましくは炭素
数1〜5)のアルコキシ基、式:−O−(CH2)n−O−
〔式中、nは1〜3の整数を示す〕で表されるアルキレ
ンジオキシ基または/および炭素数1〜10(さらに好
ましくは炭素数1〜5)のアルキルチオ基の1または2
個で置換されていてもよいベンゼン環である。環Aの特
に好ましい例としては、式:−O−(CH2)n−O−〔式
中、nは1〜3の整数を示す〕で表されるアルキレンジ
オキシ基で隣接する炭素原子が置換されたベンゼン環で
ある。Rは水素原子、C1-6アルキル基(例えば、メチ
ル、エチル等)またはフェニル基が好ましい。
【0032】Bは、例えばアルコキシ−カルボニル基お
よび式:−CON(R1)(R2)〔式中、R1、R2はそれぞ
れ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置
換され ていてもよい5〜7員複素環基を示す〕で表さ
れる基などが好ましい。R1およびR2の好ましい例は、
1が水素原子または炭素数1〜10のアルキル基
(例、メチル、エチル、プロピル等)で、R2がハロゲ
ン(例、フッ素、塩素、臭素等)、C1-6アルコキシ
(例、メトキシ、エトキシ等)、モノ−またはジ−アル
コキシホスホリル(例、ジメトキシホスホリル、ジエト
キシホスホリルなどのモノ−またはジ−C1-6アルコキ
シホスホリル等)、モノ−またはジ−アルコキシホスホ
リルアルキル(例、ジメトキシホスホリルメチル、ジエ
トキシホスホリルメチルなどのモノ−またはジ−C1-6
アルコキシホスホリル−C1-6アルキルなど)(ジ−C
1-6アルコキシにおけるジアルキルは、一緒になってC
1-6アルキレン基となっていてもよい)またはC1-6アル
コキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル等)で置換されていてもよいフェニルまたは
フェニル−C1-3アルキル基、あるいはフェニル基で置
換されていてもよい1または2個の窒素原子あるいは1
個の窒素原子と1個の硫黄原子をもつ5または6員環複
素環基(例、ピリジル等)である。R1およびR2のより
好ましい例としては、R1が水素原子で、R2がモノ−ま
たはジ−C1-6アルコキシホスホリル−C1-3アルキルで
置換されたフェニル基(例、4−ジエトキシホスホリル
メチルフェニル等)である。
【0033】前記式(I)において、Xは−CH(OH)
−または−CO−を示し、好ましくは、−CO−であ
る。前記式(I)において、kは0または1、k’は
0、1または2を示し、好ましくはkが1で、k’が0
の場合である。
【0034】化合物(I)のさらに好ましい例として
は、例えば式(II)
【化3】 〔式中、R3はC1-6アルキル基を示し、R4およびR5
それぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒になっ
てC1-6アルキレン基を示す〕で表される光学活性ベン
ゾチエピン誘導体が挙げられる。
【0035】前記式(II)において、R3、R4およびR
5で示される「C1-6アルキル基」としては、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペ
ンチル、ネオペンチル、ヘキシル等のアルキル基が挙げ
られ、好ましくは、炭素数1ないし4のアルキル基が挙
げられる。R4およびR5は一緒になって、C1-6アルキ
レン基を形成してもよく、この場合例えば、
【化4】 〔式中、 pは2ないし4の整数を示す。〕で表すことが
できる。R3、R4およびR5としては、例えばそれぞれ
メチル、エチル等の炭素数1ないし4のアルキル基等が
好ましい。化合物(II)は、(2R,4S)配位の光学
活性体であって、(2S,4R)配位の化合物を実質的
に含まず、光学純度が100%に近いほど好ましいもの
である。
【0036】化合物(II)の特に好ましい例としては、
例えば(2R,4S)−(−)−N−〔4−(ジエトキシホス
ホリルメチル)フェニル〕−1,2,4,5−テトラヒドロ
−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ
−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド(以下、化
合物Aと称することもある)またはその塩である。化合
物Aの構造は、次の式で示される。
【化5】
【0037】本発明で用いられるベンゾチオピランもし
くはベンゾチエピン誘導体の塩は、好ましくは薬理学的
に許容される塩が用いられる。薬理学的に許容される塩
としては、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸と
の塩、有機酸との塩または塩基性若しくは酸性アミノ酸
との塩等が用いられる。ベンゾチオピランもしくはベン
ゾチエピン誘導体の塩を形成させ得る塩としては、無機
塩基としては、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウ
ム等)、アルカリ土類金属(例、カルシウム、マグネシ
ウム等)が、有機塩基としては、例えばトリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N,N−
ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン等
が、無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素
酸、リン酸、硝酸、硫酸等が、有機酸としては、ギ酸、
酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、酒石酸、フマール
酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸等が、塩基性ま
たは酸性アミノ酸としては、例えばアルギニン、リジ
ン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が用いられる。
【0038】なお、本発明で用いられるベンゾチオピラ
ンもしくはベンゾチエピン誘導体またはその塩は、例え
ば、特開平3−232880号公報(ヨーロッパ特許出
願公開公報第376197号公報)、特開平4−364
179号公報(ヨーロッパ特許出願公開公報第4604
88号公報)、特開平8−231569号公報(ヨーロ
ッパ特許出願公開公報第719782号公報)に記載さ
れた方法と同一の方法、これらと類似の方法またはこれ
らに準じた方法により製造することができる。
【0039】本発明で用いられる骨形成促進物質として
は、とりわけ強力な作用を示す物質として特開平8−2
31569号公報(ヨーロッパ特許出願公開公報第71
9782号公報)に開示される(2R,4S)−(−)
−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニ
ル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8
−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン
−2−カルボキサミド(以下、化合物Aという場合があ
る)およびその塩、N−(4−ジメトキシホスホリルメ
チルフェニル)−4−オキソ−4H−1−ベンゾピラン
−2−カルボキサミドおよびその塩、ジエチル4−(7
−シクロヘキシル−3,4−ジヒドロ−2−ナフタレン
カルボキサミド)ベンジルホスホネートおよびその塩等
が好ましい。なかでも、(2R,4S)−(−)−N−
[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]−
1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチ
レンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−
カルボキサミド(以下、化合物Aという場合がある)お
よびその塩がとりわけ好ましい。本発明で用いられる骨
形成促進物質には、骨伝導性を有する物質および骨誘導
性を有する物質の両者が含まれる。
【0040】本発明の徐放性ペーストに配合される骨形
成促進物質としては、結晶粉末あるいは非晶質粉末など
をそのまま用いることができる。また、上記例示した化
合物自体若しくはその塩としても用いることができる
が、これらを予め徐放性に製剤化したうえで本発明の徐
放性ペーストへ配合することもできる。骨形成促進物質
を徐放性製剤とすることにより、前記した増粘剤の配合
量を増減することによる骨形成促進物質の放出期間の制
御に加えて、徐放性製剤自身としての放出制御効果を得
ることができる。従って、求める骨形成促進物質の放出
期間に応じて、増粘剤の配合量とペーストに配合される
徐放性製剤の組成またはその配合量を適宜変更すること
ができる。非ペプチド系骨形成促進物質を徐放性製剤と
する場合、例えば前記した特開平9−263545号公
報(WO96/39134号公報)に記載されるよう
に、生体内分解性ポリマーでマイクロカプセル化、ある
いはマイクロスフェア化することが好ましい(後記参考
例参照)。本発明の徐放性ペーストは、生体内局所に適
用した後も硬化を続けるため、局所への高い滞留性を示
す。同時に、硬化したペーストは滞留部位で徐々に分解
され、これに伴い骨形成促進物質が徐々に放出される。
骨形成促進物質の徐放性製剤を用いた場合には製剤がそ
れ自体の徐放効果を示すため、局所での骨形成促進物質
の放出期間をさらに長くすることができる。
【0041】本発明の徐放性ペーストにおいて、骨形成
促進物質とカルシウム成分との配合比率に特に制限はな
いが、例えば骨形成促進物質1重量部に対してカルシウ
ム成分が約1〜500重量部であることができ、約1〜
300重量部であることが好ましく、約1〜100重量
部であることがより好ましく、約2〜100重量部であ
ることがさらに好ましい。
【0042】本発明の徐放性ペーストの調製に用いられ
る骨形成促進物質またはこれを徐放性に製剤化したもの
の形態は特に制限されず、室温で固体粉末であっても液
体状であってもよい。固体粉末である場合には、予め上
記カルシウム成分と均一に混和して用いることができ
る。一方、室温で液体状である場合には、本発明の徐放
性ペーストを調製するために加える後述の液成分に溶解
または懸濁して用いることができる。また、固体粉末を
予め当該液成分に溶解または懸濁して用いることもでき
る。
【0043】本発明の徐放性ペーストは、上記カルシウ
ム成分、増粘剤および骨形成促進物質の三成分を含有す
る組成物に、水からなる液成分を加えて練和することに
よって調製することができる。このとき、例えば上記三
成分がいずれも固体粉末の場合には、予め均一に混和し
た当該三成分に対して液成分を加え、液成分と固体粉末
とが均一に分散されるまで練和する。また、増粘剤およ
び骨形成促進物質が液成分に溶解若しくは懸濁されてい
る場合には、かかる液成分をカルシウム成分に加えて、
両者が均一に分散されるまで練和する。増粘剤が液成分
に溶解若しくは懸濁されている場合には、かかる液成分
をカルシウム成分および骨形成促進物質を含有する組成
物に加えて、両者が均一に分散されるまで練和する。骨
形成促進物質が液成分に溶解若しくは懸濁されている場
合には、かかる液成分をカルシウム成分および増粘剤を
含有する組成物に加えて、両者が均一に分散されるまで
練和する。練和に要する時間は、カルシウム成分および
増粘剤の種類や配合量、さらには後述するように液成分
の組成によっても変動するが、一般には数10秒から約
5分程度である。練和された本発明の徐放性ペーストは
徐々に硬化を始めるが、人工骨あるいは骨補填材として
用いられているいわゆる自己硬化性セメントとは異な
り、その硬化速度は極めて緩やかである。本発明の徐放
性ペーストの硬化時間は、具体的には1時間以上、より
具体的には1ないし24時間、さらに具体的には1ない
し18時間(とりわけ、3ないし12時間)である。前
記硬化時間は、ビカー針法により、歯科用リン酸亜鉛セ
メントの測定法(JIS T6602)に準じて測定される。具
体的には、練和開始3分後に、練和物を温度37℃、相
対湿度約100%の恒温器中に移し、質量300gのビ
カー針を練和物表面に静かに落とし、針跡がつくかどう
かを調べ、針跡を残さなくなった時を練和開始時から起
算して硬化時間とする。しかも本発明の徐放性ペースト
は数時間経過後でも可塑性を維持し得る。具体的には、
本発明の徐放性ペーストは、練和後14時間経過しても
その圧縮強度が1.5MPa以下(好ましくは1MPa
以下)という値を示す(後記比較試験参照)。本発明の
徐放性ペーストは、練和後14時間経過してもその圧縮
強度が、さらに具体的には0.05ないし1.5MP
a、より具体的には0.1ないし1MPaという値を示
す。本発明の徐放性ペーストは、練和後2週間経過後の
圧縮強度が、具体的には3MPa以下、さらに具体的に
は0.1ないし3MPa、より具体的には0.2ないし
2MPaという値を示す。圧縮強度は万能試験機(INTE
SCO Model 205E)を用いて、練和後37℃、相対湿度約
100%の条件下で所定時間経過後の硬化体(直径1.
0cm、高さ1.0cmの円筒状に成形)の強度を測定
することにより得られる。
【0044】本発明の徐放性ペーストの練和後14時間
経過後の間接引っ張り強度(Diametral tensile streng
th, DTS)は、具体的には0.4MPa以下、さらに具
体的には0.01ないし0.4MPa、より具体的には
0.02ないし0.2MPaという値を示す。前記間接
引っ張り強度(Diametral tensile strength, DTS)
は、直径1.0cm、高さ0.5cmの円筒状に成形し
た硬化体を用いて圧縮強度と同様の条件で測定される。
本発明の徐放性ペーストの接着性は、具体的には6ニュ
ートン(N)以上、さらに具体的には6ないし50N、
より具体的には8ないし30Nという値を示す。前記接
着性は、練和5分後に練和物0.1mlを2枚のガラス
板で挟み、29.4Nで1分間圧接後のガラス板引き剥
がしに要する力を接着力として、上記万能試験機(INTE
SCO Model 205E)を用いて測定される。かかる特徴的な
物性を示す点において、本発明の徐放性ペーストは従来
の人工骨、骨補填材とは明確に区別できるものである。
また、かかる特徴的な物性に基づき、骨折手術等の外科
的処置に先立って調製しておくことが可能であり、練和
完了の数分から数時間経過後であっても容易に患部に適
用できるという特徴的な効果を発揮する。
【0045】本発明の徐放性ペーストの調製に用いられ
る液成分としては、例えば注射用蒸留水をそのまま用い
ることができるが、生理食塩水、リン酸緩衝液、無機酸
若しくは有機酸またはこれらの塩の水溶液などを用いる
こともできる。例えばカルシウム成分がリン酸塩である
場合には、必要に応じて無機酸若しくは有機酸またはこ
れらの塩の水溶液を液成分として用いることによって、
ペーストの硬化速度を早めることができる。本発明の徐
放性ペーストの硬化速度を速めることは、例えば出血部
位やその近傍を処置する際に、ある程度の硬度を持つペ
ーストを適用することが好ましい場合に有利である。こ
のときの水溶液に使用できる無機酸若しくは有機酸また
はこれらの塩の種類に特に制限はないが、リン酸、酢
酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸、
グルタル酸、グリコール酸、酒石酸等、あるいは乳酸や
コハク酸のナトリウム塩等が好ましい。酸またはこれら
の塩の濃度は生体に為害性のない範囲で適宜選択でき
る。また、カルシウム成分がリン酸塩である場合は、p
Hがほぼ中性のリン酸緩衝液によっても硬化速度を早め
ることができる。この場合のリン酸塩の濃度に特に制限
はなく、本発明の徐放性ペーストを調製してから生体内
に適用するまでの所要時間等に合せて適宜選択すること
ができ、例えば約0.01M〜1Mの範囲であることが
できる。また、カルシウム成分が硫酸塩の場合、液成分
として蒸留水または生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩液
を用いることによって、好ましい硬化速度を得ることが
できる。
【0046】本発明の徐放性ペーストに配合される骨形
成促進物質、カルシウム成分および増粘剤の総重量に対
する水分の容積比(g/ml)は目的に応じて任意に変
えることができ、たとえば約0.5〜15(g/m
l)、好ましくは約1〜10(g/ml)、特に好まし
くは約1.5〜7(g/ml)、さらに好ましくは約
1.5〜6(g/ml)である。
【0047】本発明のカルシウム成分(例、硫酸カルシ
ウム半水和物や硬化性を示すリン酸カルシウムの組み合
わせ等)には、徐放性ペーストの硬化速度や硬度(前述
した硬化時間、圧縮強度および間接引っ張り強度等)を
調節するために、骨伝導能および骨親和性に優れた硫酸
カルシウム二水和物、アパタイト(例、ヒドロキシアパ
タイト、炭酸アパタイト、フルオロアパタイト)、リン
酸八カルシウム、非晶質リン酸カルシウム等を添加する
こともできる。添加量は目的とする硬度や硬化時間に応
じて任意に選ぶことができ、カルシウム成分1重量部あ
たり、例えば約0.001ないし10重量部、好ましく
は約0.001ないし7重量部、より好ましくは約0.
001ないし5重量部である。これらの組み合わせのう
ち、とりわけ、カルシウム成分としての硫酸カルシウム
半水和物と硫酸カルシウム二水和物との組み合せが好ま
しい。
【0048】本発明の徐放性ペーストからの骨形成促進
物質の放出を促進する必要がある場合には、上記必須の
成分以外に、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸ナトリウム等の水溶性塩類を添加することもできる。
これらの添加物の添加量は、カルシウム成分1重量部に
対して約0.005〜3重量部であり、好ましくは約
0.01〜1重量部である。
【0049】本発明の徐放性ペーストは、骨形成促進物
質を長期にわたって安定に徐放するため安定した薬効が
得られ、かつ骨に対する親和性、接着性があり、骨伝導
性に優れているので、骨折や骨欠損症の治療に、あるい
は骨移植における骨結合材として各種骨疾患の治療に適
用することができる。また、口腔外科領域において、失
われた歯槽骨の再生や歯槽骨の増量、口蓋部欠損への充
填などの骨疾患の治療に適用することができる。本発明
の徐放性ペーストは、単純骨折,骨癒合不全,再骨折,
骨欠損等の骨疾患の治療に用いることができる。さらに
本発明の徐放性ペーストは、骨髄炎,骨・関節感染症,
慢性関節疾患,代謝性骨疾患,外傷性骨疾患若しくは骨
腫瘍の病巣掻爬後の骨形成促進; 骨髄炎,骨・関節感
染症,慢性関節疾患,代謝性骨疾患,外傷性骨疾患若し
くは骨腫瘍の病巣掻爬後の治療のために自家骨移植を行
った結果その欠損部位における骨形成促進; 頭蓋欠損
部若しくは骨窓部の骨形成促進; 鼓室形成術における
骨形成促進を目的とした骨疾患治療剤として用いること
ができる。本発明の徐放性ペーストの適用量は、対象動
物、適用しようとする部位、および目的によって適宜選
択することができる。またこの選択された適用量に対し
て、有効量の骨形成促進物質が配合される。例えば骨け
い部骨折の骨折部位に化合物Aを用いる場合、一ヶ所当
たりの化合物Aの投与量は、有効成分量として約1mg
から500mg、好ましくは約5mgから300mgで
あり、徐放性ペーストの容量としては約0.01〜50
ml程度が好ましい。
【0050】本発明の徐放性ペーストには、その物性に
影響を与えない限り、前記した骨形成促進物質以外の他
の有効成分を配合することもできる。このような有効成
分としては、例えば、抗生物質や抗腫瘍剤、抗炎症剤、
鎮痛剤等が挙げられる。抗生物質としては、例えば、ア
ミカシン、ディベカシン、ゲンタマイシン、もしくはそ
れらの誘導体等のアミノグリコシド系抗生物質等が挙げ
られる。抗腫瘍剤としては、例えば、タキソール、塩酸
トキソルビシン等のアントラサイクリン系抗悪性腫瘍
剤、メソトレキセート、エトポシド、5−フルオロウラ
シル、ミトキサントロン、メスナ、ジメスナ、アミノグ
ルテチミド、タモキシフェン、アクロライン、シスプラ
チン、カルボプラチン、シクロフォスファミド、ロムス
チン(CCNU)、カルムスチン(BCNU)等もしく
はこれらの誘導体が挙げられる。抗炎症剤としては、例
えば、アスピリン等のサリチル酸系抗炎症薬、アミノピ
リン等のピラゾロン系抗炎症薬、フェナセチン、アセト
アミノフェン等のアニリン系抗炎症薬、フェニルブタゾ
ン、ケトフェニルブタゾン等のピラゾリジンジオン系抗
炎症薬、メフェナム酸等のアントラニル酸系抗炎症薬、
インドメタシン等の酢酸系抗炎症薬、ブコローム等のト
リオキソピリミジン系抗炎症薬、ベンジダミン、メピリ
ゾール、チアラミド、チノリジン等の塩基性抗炎症薬、
消炎酵素剤、非ステロイド系抗炎症薬等が挙げられる。
鎮痛剤としては、キシロカイン等が挙げられる。
【0051】本発明の徐放性ペーストは、その主たる基
剤であるカルシウム成分が骨組織に対して為害性を全く
示さず、高い親和性を持つものである。そのため、本発
明の組成物は、低毒性なので哺乳動物(例えばヒト、マ
ウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ
など)に対して安全に用いることができる。また、基剤
であるカルシウム成分がX線で造影可能であるため、充
填箇所の確認などに利用でき、臨床上極めて有用である
(後記比較試験参照)。
【0052】本発明の徐放性ペーストは、良好な展延
性、塗工性、可塑性などを示すため使用時の操作性、ハ
ンドリング性に優れており、さらにある程度の硬度を有
しているため骨への接着性、滞留性が高く、それ自体局
所投与に適している。更に、骨折手術の整復時にスペー
サーとして、あるいは砕けた骨片や補填材として使用す
る人工骨顆粒を、骨折部、骨欠損部に詰める際に、これ
らを詰めた場所に留まらせるために糊あるいは接着剤と
して使用することも可能である。更に、本発明の徐放性
ペーストは、充分に練和して硬度を増した状態でその内
部に更に骨形成促進物質やその他の生理活性物質を封入
し、これを骨折局所へ適用することも可能である。更
に、十分に練和した本発明の徐放性ペーストの表面に骨
形成促進物質やその他の生理活性物質を付着させて、こ
れを骨折局所へ適用することもまた、可能である。この
ような適用のバリエーションによって、必要な時期に必
要な別々の生理活性物質を患部へ投与することが可能と
なる。
【0053】本発明の徐放性ペーストの投与により、骨
形成促進物質の骨形成促進作用が局所において効率的に
発揮されるため、治癒期間を大幅に短縮させることが可
能である。したがって患者の社会生活への復帰を早め、
あるいは老年期の骨折に伴う種々の合併症の併発を未然
に防ぐことが可能となる。そのため、本発明の徐放性ペ
ーストは、骨折治療の外科的処置において、極めて有用
な医薬品となるものである。
【0054】
【実施例】以下に参考例、実施例および比較例、並びに
これらの比較試験結果を示して本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるもの
ではない。以下で用いられた化合物Aは、特開平8−2
31569号公報(ヨーロッパ特許出願公開公報第71
9782号公報)に記載の方法で製造されたものを用い
た。
【0055】参考例 化合物Aの徐放性製剤を得るため、特開平9−2365
45号公報(WO96/39134号公報)に記載の方
法に従って、マイクロカプセル製剤を製造した。すなわ
ち、0.55gの乳酸−グリコール酸共重合物(乳酸−
グリコール酸組成比85:15、重量平均分子量14,
000)と4.45gの化合物Aを8mLのジクロルメ
タンに溶解して油相を調製した。この油相を800mL
の0.1%ポリビニールアルコール水溶液(15℃)に
急速に注入してo/wエマルションとした。さらに室温
で3時間攪拌しジクロルメタンを揮発させて油相を固化
させ、遠心分離器で捕集した。蒸留水で洗浄した後、
0.6gのマンニットを添加し、少量の蒸留水で懸濁
し、凍結乾燥を行なった。得られたマイクロカプセルを
さらに42℃で真空乾燥して、残存するジクロルメタン
を完全に除去した。
【0056】実施例1 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256m
g、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名
T70、平均分子量7万)400mgから成る粉末と混
合し、0.5%(w/v) カルボキシメチルセルロー
スナトリウム含有リン酸緩衝液(0.2M、pH7.
4)0.4mlで練和して、本発明の徐放性ペーストを
得た。
【0057】実施例2 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をα型リン酸三カル
シウム(太平化学産業製、商品名α−TCP)760m
g、リン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)40
mg、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品
名T70、平均分子量7万)400mgから成る粉末と
混合し、0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロー
スナトリウム含有リン酸緩衝液(0.2M、pH7.
4)0.4mlで練和して、本発明の徐放性ペーストを
得た。
【0058】実施例3 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256m
g、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名
T70、平均分子量7万)400mg、ヒドロキシプロ
ピルセルロース(日本曹達製、商品名HPC−H)10
0mgから成る粉末と混合し、0.5%(w/v)カル
ボキシメチルセルロースナトリウム含有リン酸緩衝液
(0.2M、pH7.4)0.4mlで練和して、本発
明の徐放性ペーストを得た。
【0059】実施例4 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256m
g、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名
T70、平均分子量7万)400mg、キシリトール
(和光純薬製)40mgから成る粉末と混合し、0.5
%(w/v)カルボキシメチルセルロースナトリウム含
有リン酸緩衝液(0.2M、pH7.4)0.4mlで
練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0060】実施例5 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256m
g、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名
T70、平均分子量7万)400mg、キシリトール
(和光純薬製)40mgから成る粉末と混合し、リン酸
緩衝液(1.0M、pH7.4)0.4mlで練和し
て、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0061】実施例6 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256m
g、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名
T70、平均分子量7万)400mg、キシリトール
(和光純薬製)100mgから成る粉末と混合し、0.
5%(w/v)カルボキシメチルセルロースナトリウム
含有リン酸緩衝液(0.2M、pH7.4)0.4ml
で練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0062】実施例7 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)752mg、炭酸
カルシウム(和光純薬製)208mg、リン酸二水素ナト
リウム二水和物(和光純薬製)640mg、デキストラン
(ファルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子
量7万)400mgから成る粉末と混合し、0.5%
(w/v)カルボキシメチルセルロースナトリウム含有
リン酸緩衝液(0.2M、pH7.4)0.4mlで練
和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0063】実施例8 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256m
g、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名
T70、平均分子量7万)400mg、炭酸水素ナトリ
ウム(和光純薬製)100mgから成る粉末と混合し、
リン酸緩衝液(1.0M、pH7.4)0.4mlで練
和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0064】実施例9 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256m
g、デキストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名
T70、平均分子量7万)400mg、ヒドロキシプロ
ピルセルロース(日本曹達製、商品名HPC−H)10
0mgから成る粉末と混合し、リン酸緩衝液(1.0
M、pH7.4)0.4mlで練和して、本発明の徐放
性ペーストを得た。
【0065】実施例10 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)を硫酸カルシウム半
水和物(和光純薬製)800mg、デキストラン (フ
ァルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子量7
万)400mgから成る粉末と混合し、生理食塩水0.
4mlで練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0066】実施例11 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)を硫酸カルシウム半
水和物(和光純薬製)800mg、デキストラン(ファ
ルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子量7
万)400mg、ヒドロキシプロピルセルロース(日本
曹達製、商品名HPC−H)100mgから成る粉末と
混合し、生理食塩水0.4mlで練和して、本発明の徐
放性ペーストを得た。
【0067】実施例12 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)を硫酸カルシウム半
水和物(和光純薬製)400mg、デキストラン(ファ
ルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子量7
万)400mg、ヒドロキシアパタイト(太平化学産業
製、商品名HAP−200、比表面積1〜2m2/g)
400mgから成る粉末と混合し、生理食塩水0.4m
lで練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0068】実施例13 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)を硫酸カルシウム半
水和物 (和光純薬製)400mg、デキストラン(フ
ァルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子量7
万)400mg、ヒドロキシアパタイト(太平化学産業
製、商品名HAP−300、比表面積50〜55m2
g)400mgから成る粉末と混合し、生理食塩水0.
4mlで練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0069】実施例14 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)を硫酸カルシウム半
水和物(和光純薬製)800mg、デキストラン(ファ
ルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子量7
万)400mg、炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)5
0mgから成る粉末と混合し、生理食塩水0.4mlで
練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0070】実施例15 化合物Aの結晶粉末44mgをリン酸四カルシウム(太
平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リン酸水
素カルシウム二水和物(和光純薬製)256mg、デキ
ストラン(ファルマシアバイオテク製、商品名T70、
平均分子量7万)400mgからなる粉末と混合し、
0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム含有リン酸緩衝液(0.2M、pH7.4)0.3
mlで練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0071】比較例1 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)を分散媒(D−ソル
ビトール2.5w/v%、塩化ナトリウム0.9w/v
%、ポリソルベート80を0.1w/v%、リン酸水素
ナトリウム0.0715w/v%、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム0.5w/v%を溶解した蒸留水)
1.6mlに分散して懸濁液を得た。
【0072】比較例2 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をリン酸四カルシウ
ム(太平化学産業製、商品名TTCP)544mg、リ
ン酸水素カルシウム二水和物(和光純薬製)256mg
から成る粉末と混合し、0.5%(w/v) カルボキ
シメチルセルロースナトリウム含有リン酸緩衝液(0.
2M、pH7.4)0.6mlで練和して、均一な練和
物を得た。
【0073】比較例3 リン酸四カルシウム(太平化学産業製、商品名TTC
P)544mg、リン酸水素カルシウム二水和物(和光
純薬製)256mgから成る粉末を、1.0%(w/
v) アルギン酸ナトリウム(和光純薬製)含有リン酸
緩衝液(0.2M、pH7.4)0.4mlで練和し
て、均一な練和物を得た。
【0074】比較例4 リン酸四カルシウム(太平化学産業製、商品名TTC
P)544mg、リン酸水素カルシウム二水和物(和光
純薬製)256mgから成る粉末を、2.0%(w/
v) アテロコラーゲン(フナコシ製)含有リン酸緩衝
液(0.2M、pH7.4)0.4mlで練和して、均
一な練和物を得た。
【0075】比較例5 化合物A の結晶粉末44mgをリン酸四カルシウム(太平化
学産業製、商品名TTCP)544mg、リン酸水素カルシウム二
水和物(和光純薬製)256mgから成る粉末と混合し、0.5%
(w/v) カルボキシメチルセルロースナトリウム含有リン
酸緩衝液 (0.2M,pH7.4) 0.5mLで練和して、均一な練和
物を得た。
【0076】比較試験1:滞留性の確認 実施例1で得られた本発明の徐放性ペーストを練和20
分後に10週令SD雄性ラットの大腿骨外側部に0.1
6ml(化合物Aを約5mg含む)投与し、投与2時間
後、1日後、および1週間後に投与部位を切開し、本発
明の徐放性ペーストの残存の有無を観察し、投与局所滞
留性を評価した。観察の結果、これらの徐放性ペースト
はすべて、血液等の水分と接触しても崩壊せず、投与1
週間後においても投与局所への良好な滞留性を示した。
一方、前記比較例1で得られた懸濁液を同様に大腿骨外
側部に0.16ml(化合物Aを約5mg含む)投与
し、投与局所滞留性を評価したところ、投与直後に流失
してしまい、滞留性は認められなかった。
【0077】比較試験2:骨形成の確認 実施例1で得られた本発明の徐放性ペースト0.3ml
(化合物Aを約9.4mg含む)を練和15分後に、日
本白色家兎の一側の脛骨外側部中央に開けた直径5mm
の穿孔部とその周辺に塗布した。他側の脛骨穿孔には対
照として、実施例1と組成の同じリン酸カルシウム粉末
にPLGA製のマイクロカプセル480mg(化合物A
は含有されていない)を混合し同様に練和したものを
0.3ml塗布した。投与後、経時的に脛骨穿孔部近傍
をX線撮影し、骨形成状況を比較した。対照側、化合物
A投与側ともに投与直後から試験終了時まで、投与部位
でのペーストの高い滞留性がX線像で認められた。7週
後の脛骨穿孔部近傍のX線像を図1及び2に示す。対照
側(図1)では骨形成が認められなかったのに対し、化
合物A投与側(図2)では有意な膜性骨化による骨形成
が認められた。
【0078】比較試験3:徐放性の確認 実施例1で得られた本発明の徐放性ペースト0.16m
l(化合物Aを約5mg含む)を練和10分後に6週令
SD雄性ラット背部皮下に埋入した(n=4)。埋入後
一定時間毎にラットを屠殺して埋入部位に残存するペー
ストを取り出し、残存ペースト中の化合物A、および化
合物Aを含有するマイクロカプセルの成分であるPLG
Aの量をHPLCで測定した。化合物Aの残存率の推移
を図3に示す。図3から、化合物Aは3ヶ月にわたって
徐放されていることが確認された。なお、PLGAは2
ヶ月でほぼ消失した。
【0079】比較試験4:血中濃度の推移 実施例1で得られた本発明の徐放性ペースト0.16m
l(化合物Aを約5mg含む)を練和10分後に6週令
SD雄性ラット背部皮下に埋入した(n=4)。埋入後
一定時間毎にラットの尾静脈から採血し、血清中の化合
物A濃度を酵素免疫検定法(EIA法)で測定した。化
合物Aの血清中濃度推移を図4に示す。図4から、化合
物Aは3ヶ月にわたって血清中に検出された。一方、同
様の試験から、化合物Aのマイクロカプセル単独では徐
放期間は1ヶ月であった。硬化性を有するカルシウム成
分とマイクロカプセルを練和することにより、徐放期間
がマイクロカプセル単独の徐放期間よりも長くなること
が確認された。
【0080】比較試験5:物性の確認 上記実施例および比較例で得られたペーストのそれぞれ
の硬化時間、圧縮強度、間接引っ張り強度、接着性、お
よび細孔分布の評価を行った。ここで、硬化時間は、ビ
カー針法により、歯科用リン酸亜鉛セメントの測定法
(JIS T6602)に準じて測定した。練和開始3分後に、
練和物を温度37℃、相対湿度約100%の恒温器中に
移し、質量300gのビカー針を練和物表面に静かに落
とし、針跡がつくかどうかを調べ、針跡を残さなくなっ
た時を練和開始時から起算して硬化時間とした。圧縮強
度は万能試験機(INTESCO Model 205E)を用いて、練和
後37℃、相対湿度約100%の条件下で14時間経過
後および2週間経過後の硬化体(直径1.0cm、高さ
1.0cmの円筒状に成形)の強度を測定した。間接引
っ張り強度(Diametral tensile strength, DTS)は、
直径1.0cm、高さ0.5cmの円筒状に成形した硬
化体を用いて圧縮強度と同様の条件で測定した。接着性
は、練和5分後に練和物0.1mlを2枚のガラス板で
挟み、29.4ニュートン(N)で1分間圧接後のガラ
ス板引き剥がしに要する力を接着力として、上記万能試
験機(INTESCO Model 205E)を用いて測定した。細孔分
布は水銀ポロシメーター(オートポア II 9220、SHIMAD
ZU)を用いて測定した。
【0081】結果を表にまとめて示す。
【表1】 表から明らかなとおり、本発明の徐放性ペーストの硬化
時間はいずれも1時間以上であり、アルギン酸ナトリウ
ムやコラーゲンを添加した比較例3や4の練和物との明
確な相違が確認された。また、本発明の徐放性ペースト
の14時間後の圧縮強度はいずれも1.5MPa以下と
小さく、アルギン酸ナトリウムやコラーゲンを添加した
比較例3や4の練和物に比べ、強度が小さいことが確認
できた。以上から明らかなとおり、増粘剤の配合比が本
発明の範囲よりも小さい比較例においては、いずれも硬
化時間が短く、かつ硬化後の圧縮強度が高いことが確認
された。これは、比較例の練和物の処方が強度を要求さ
れる人工骨、骨修復材を目的として設計されているから
に他ならない。一方、展延性や塗工性が要求される本発
明の徐放性ペーストにおいては、長時間経過後でも必要
な可塑性を維持していることが確認された。一方、本発
明の徐放性ペーストの接着力は比較例のいずれよりも強
く、本発明の徐放性ペーストの優れた接着力が確認でき
た。また、本発明の徐放性ペーストの硬化後の細孔分布
は、いずれも細孔直径1μmから20μm付近に多くの細
孔の存在が認められた。
【0082】実施例16 参考例 に記載の方法で製造されたマイクロカプセル48
0mg(化合物Aを48mg含む)をα型硫酸カルシウム半
水和物(サンエス石膏製)400mg、デキストラン(フ
ァルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子量7
万)400mgから成る粉末と混合し、リン酸緩衝生理食塩
液 (宝酒造製) 0.2mlで練和して、本発明の徐放性ペ
ーストを得た。
【0083】実施例17 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル480m
g(化合物Aを48mg含む)をβ型硫酸カルシウム半水
和物(サンエス石膏製)400mg、デキストラン(ファ
ルマシアバイオテク製、商品名T70、平均分子量7
万)400mgから成る粉末と混合し、リン酸緩衝生理食塩
液 (宝酒造製) 0.24mlで練和して、本発明の徐放性ペ
ーストを得た。
【0084】実施例18 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル480m
g(化合物Aを48mg含む)をα型硫酸カルシウム半水
和物(サンエス石膏製)200mg、硫酸カルシウム二水
和物 (和光純薬製) 200mg、デキストラン(ファルマシ
アバイオテク製、商品名T70、平均分子量7万)400m
gから成る粉末と混合し、リン酸緩衝生理食塩液 (宝酒
造製) 0.2mlで練和して、本発明の徐放性ペーストを
得た。
【0085】実施例19 参考例に記載の方法で製造されたマイクロカプセル480m
g(化合物Aを48mg含む)をβ型硫酸カルシウム半水
和物(サンエス石膏製)200mg、硫酸カルシウム二水
和物 (和光純薬製) 200mg、デキストラン(ファルマシ
アバイオテク製、商品名T70、平均分子量7万)400m
gから成る粉末と混合し、リン酸緩衝生理食塩液 (宝酒
造製) 0.24mlで練和して、本発明の徐放性ペーストを
得た。
【0086】実施例20 化合物A の結晶粉末44mgをリン酸四カルシウム(太平化
学産業製、商品名TTCP)544mg、リン酸水素カルシウム二
水和物(和光純薬製)256mg、デキストラン (ファルマシ
アバイオテク製、商品名T70、平均分子量7万) 400mgか
ら成る粉末と混合し、0.5% (w/v) カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム含有リン酸緩衝液 (0.2M, pH7.4)
0.74mLで練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0087】実施例21 化合物A の結晶粉末44mgをリン酸四カルシウム(太平化
学産業製、商品名TTCP)544mg、リン酸水素カルシウム二
水和物(和光純薬製)256mg、デキストラン (ファルマシ
アバイオテク製、商品名T70、平均分子量7万) 1000mgか
ら成る粉末と混合し、0.5% (w/v) カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム含有リン酸緩衝液 (0.2M, pH7.4)
1.09mLで練和して、本発明の徐放性ペーストを得た。
【0088】試験例1:徐放性の確認 実施例16から実施例19で得られた本発明の徐放性ペース
ト0.14ml(化合物Aを約5mg含む)を練和20分
後に6週令SD雄性ラット背部皮下に埋入した(n=
4)。埋入後一定時間毎にラットを屠殺して埋入部位に
残存するペーストを取り出し、残存ペースト中の化合物
Aの量をHPLCで測定した。化合物Aの残存率の推移
を図5に示す。図5から、化合物Aは1ヶ月にわたって徐
放されていることが確認された。
【0089】試験例2:血中濃度の推移 実施例18で得られた本発明の徐放性ペースト0.14m
l(化合物Aを約5mg含む)を練和20分後に6週令S
D雄性ラット背部皮下に埋入した(n=4)。埋入後一
定時間毎にラットの尾静脈から採血し、血清中の化合物
A濃度を酵素免疫検定法(EIA法)で測定した。化合
物Aの血清中濃度推移を図6に示す。図6から、化合物A
は1ヶ月にわたって血清中に検出された。
【0090】試験例3:徐放性の確認 実施例18で得られた本発明の徐放性ペースト0.6ml
(化合物Aを約21.4mg含む)を練和20分後に6週令S
D雄性ラット背部皮下に埋入した(n=4)。埋入後一
定時間毎にラットを屠殺して埋入部位に残存するペース
トを取り出し、残存ペースト中の化合物Aの量をHPL
Cで測定した。化合物Aの残存率の推移を図7に示す。
図7から、化合物Aは1ヶ月にわたって徐放されているこ
とが確認された。
【0091】試験例4:血中濃度の推移 実施例18で得られた本発明の徐放性ペースト0.6ml
(化合物Aを約21.4mg含む)を練和20分後に6週令S
D雄性ラット背部皮下に埋入した(n=4)。埋入後一
定時間毎にラットの尾静脈から採血し、血清中の化合物
A濃度を酵素免疫検定法(EIA法)で測定した。化合
物Aの血清中濃度推移を図8に示す。図8から、化合物A
は1ヶ月にわたって血清中に検出された。
【0092】試験例5:骨形成の確認 実施例18で得られた本発明の徐放性ペースト0.6ml
(化合物Aを約21.4mg含む)を練和20分後に、日本白
色家兎の一側の脛骨内側部中央に開けた直径5mmの穿
孔部とその周辺に塗布した。他側の脛骨穿孔には対照と
して、実施例18と組成の同じ硫酸カルシウム粉末に乳酸
−グリコール酸共重合物(乳酸−グリコール酸組成比8
5:15、重量平均分子量14,000)製のマイクロ
カプセル480mg(化合物Aは含有されていない)を
混合し同様に練和したものを0.6ml塗布した。投与
後、経時的に脛骨穿孔部近傍をX線撮影し、骨形成状況
を比較した。2週後および4週後の脛骨穿孔部近傍のX線
像を確認したところ、対照側、化合物A投与側ともに投
与直後から投与2週後まで、投与部位でのペーストの高
い滞留性がX線像で認められた。投与4週後において、
対照側では骨形成が認められなかったのに対し、化合物
A投与側では有意な膜性骨化による骨形成が認められ
た。
【0093】試験例6 比較例5で得られた練和物0.09mL (化合物Aを約5mg含む)
および実施例20で得られたペースト0.13mL (化合物Aを
約5mg含む) および実施例21で得られたペースト0.20mL
(化合物Aを約5mg含む) を練和30分後に、0.3% ヘキサデ
シルトリメチルアンモニウムブロミドを含む20mMリン酸
/15mM酢酸緩衝液(pH 7.0)からなる試験液900mL中に添加
し、パドル法でin vitro放出試験を行った。回転数は10
0rpmとし、試験液の温度は47℃とした。経時的に試験液
を採取し、試験液中にペーストあるいは練和物から放出
された化合物Aの量をHPLCで測定した。イニシャルの化
合物Aの量に対する放出された化合物Aの量の割合を放出
率 (%)として表した。結果を図9に示す。化合物Aの放
出量はデキストランの添加量に依存しており、デキスト
ランの添加量が多くなるほど、化合物Aの放出率が高く
なった。
【0094】
【発明の効果】本発明の骨形成促進物質徐放性ペースト
は、骨伝導性が良好であり、骨に良く接着するとともに
骨形成促進物質を徐放するため、骨折部位、骨欠損部の
骨修復材として、および人工骨の移植手術、あるいは人
工関節置換手術における骨結合材として、また口腔外科
領域において、失われた歯槽骨の再生や歯槽骨の増量な
どにも適用が可能で臨床上極めて有用である。また人工
骨、人工関節、骨充填材、骨置換材、骨接合材などとの
併用も可能で、骨折をはじめとする手術を要する骨疾患
の治癒期間を大幅に短縮させることが可能である。従っ
て患者の社会生活への復帰を早めることができ、あるい
は老年期の骨折に伴う種々の合併症の併発を未然に防ぐ
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物Aを含有しないマイクロカプセルを含む
ペースト状練和物(対照)を家兎脛骨穿孔部に投与7週
間後の脛骨穿孔部近傍のX線像である。
【図2】化合物A含有マイクロカプセルを含む本発明の
徐放性ペーストを家兎脛骨穿孔部に投与7週間後の脛骨
穿孔部近傍のX線像である。
【図3】化合物A含有マイクロカプセルを含む本発明の
徐放性ペーストをラットの背部皮下に埋入後の投与部位
での化合物Aの残存率の推移を示すグラフである。横軸
は投与後の時間(週)を、縦軸は化合物Aの皮下残存率
(%)を示す。
【図4】化合物A含有マイクロカプセルを含む本発明の
徐放性ペーストをラットの背部皮下に埋入後の化合物A
の血清中濃度の推移を示すグラフである。横軸は投与後
の時間(週)を、縦軸は化合物Aの血清中濃度(ng/
ml)を示す。
【図5】実施例16から実施例19で得られた本発明の
徐放性ペースト0.14mlをラットの背部皮下に埋入
後の化合物Aの残存率の推移を示すグラフである。横軸
は投与後の時間(週)を、縦軸は化合物Aの皮下残存率
(%)を示す。−●−は実施例16で得られた徐放性ペ
ーストの化合物Aの皮下残存率(%)を、−○−は実施
例17で得られた徐放性ペーストの化合物Aの皮下残存
率(%)を、−□−は実施例18で得られた徐放性ペー
ストの化合物Aの皮下残存率(%)を、−△−は実施例
19で得られた徐放性ペーストの化合物Aの皮下残存率
(%)をそれぞれ示す。
【図6】実施例18で得られた本発明の徐放性ペースト
0.14mlをラットの背部皮下に埋入後の化合物Aの
血清中濃度の推移を示すグラフである。横軸は投与後の
時間(週)を、縦軸は化合物Aの血清中濃度(ng/m
l)を示す。
【図7】実施例18で得られた本発明の徐放性ペースト
0.6mlをラットの背部皮下に埋入後の化合物Aの残
存率の推移を示すグラフである。横軸は投与後の時間
(週)を、縦軸は化合物Aの皮下残存率(%)を示す。
【図8】実施例18で得られた本発明の徐放性ペースト
0.6mlをラットの背部皮下に埋入後の化合物Aの血
清中濃度の推移を示すグラフである。横軸は投与後の時
間(週)を、縦軸は化合物Aの血清中濃度(ng/m
l)を示す。
【図9】比較例5で得られた練和物、実施例20および
実施例21で得られた本発明の徐放性ペーストの、パド
ル法によるin vitro放出試験における化合物Aの放出率
の推移を示すグラフである。横軸は時間(時間)を、縦
軸は化合物Aの放出率(%)を示す。−○−は比較例5
で得られた練和物の化合物Aの放出率(%)を、−□−
は実施例20で得られた徐放性ペーストの化合物Aの放
出率(%)を、−△−は実施例21で得られた徐放性ペ
ーストの化合物Aの放出率(%)をそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 33/42 A61K 33/42 47/34 47/34 47/36 47/36 A61P 19/08 A61P 19/08 // A61L 27/00 A61L 27/00 F

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】骨形成促進物質、カルシウム成分および増
    粘剤が配合されることを特徴とする骨形成促進物質徐放
    性ペースト。
  2. 【請求項2】カルシウム成分が、カルシウムのリン酸
    塩、硫酸塩および炭酸塩の中から選択される一または二
    以上の組み合わせである請求項1に記載のペースト。
  3. 【請求項3】カルシウム成分がリン酸水素カルシウム無
    水和物若しくは二水和物とリン酸四カルシウムとの組み
    合わせである請求項1に記載のペースト。
  4. 【請求項4】カルシウム成分が硫酸カルシウム半水和物
    である請求項1に記載のペースト。
  5. 【請求項5】さらに硫酸カルシウム二水和物が配合され
    ることを特徴とする請求項4に記載のペースト。
  6. 【請求項6】カルシウム成分が、骨形成促進物質1重量
    部に対して約1〜500重量部である請求項1に記載の
    ペースト。
  7. 【請求項7】増粘剤が生体適合性高分子である請求項1
    に記載のペースト。
  8. 【請求項8】増粘剤がデキストランである請求項1に記
    載のペースト。
  9. 【請求項9】増粘剤がカルシウム成分1重量部に対して
    約0.05〜4重量部である請求項1に記載のペース
    ト。
  10. 【請求項10】骨形成促進物質が非ペプチド系低分子化
    合物である請求項1に記載のペースト。
  11. 【請求項11】骨形成促進物質がベンゾチオピランもし
    くはベンゾチエピン誘導体である請求項1に記載のペー
    スト。
  12. 【請求項12】骨形成促進物質が(2R,4S)−
    (−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ
    ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−
    7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチ
    エピン−2−カルボキサミド若しくはその塩またはこれ
    らの徐放性製剤である、請求項1に記載のペースト。
  13. 【請求項13】骨形成促進物質が生体内分解性ポリマー
    によって徐放性に製剤化されている請求項1に記載のペ
    ースト。
  14. 【請求項14】カルシウム成分および増粘剤を含有す
    る、請求項1に記載のペーストを製造するための組成
    物。
  15. 【請求項15】骨形成促進物質またはその徐放性製剤、
    カルシウム成分および増粘剤を含有する、請求項1に記
    載のペーストを製造するための組成物。
  16. 【請求項16】骨形成促進物質、カルシウム成分、増粘
    剤および水を練和することを特徴とする骨形成促進物質
    徐放性ペーストの製造法。
  17. 【請求項17】骨疾患治療剤である請求項1ないし13
    に記載のペースト。
  18. 【請求項18】請求項1ないし13に記載のペーストを
    投与することを特徴とする骨疾患治療方法。
  19. 【請求項19】骨疾患治療剤の製造のための請求項14
    ないし15に記載の組成物の使用。
JP2000242768A 1999-08-05 2000-08-04 骨形成促進物質徐放性ペースト Withdrawn JP2001106638A (ja)

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