JP2001087365A - 消臭剤 - Google Patents

消臭剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトを含む動物および環境に対して安全か
つ有効で、汎用性のある消臭剤を提供する。 【解決手段】 甘蔗由来の蒸留物を有効成分とする消
臭剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、甘蔗由来の蒸留物
を有効成分とする消臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活水準の向上に伴い、消費者は
商品の量や価格だけでなく、質の向上や多様性を重視す
るようになってきた。消臭や脱臭という市場領域はこの
ような欲求を反映したものである。食品分野では微妙な
味や香りの違いが、また衣類や事務用品、家具や自動車
までもを含む様々な家庭用品においても、その実用性や
デザインの多様性に加え、抗菌、防虫、消臭・脱臭など
の付加機能が重要視されるようになってきた。これらを
受けて、近年様々な脱臭・消臭剤が上市されている。食
品分野用、ヒトや動物の体臭用、環境用などの用途別
に、中でも個々の悪臭の対象別に、あるいは飲食物への
添加、物への塗布や練り込み、環境へのスプレー散布、
シートや粒、ゲルなどに包含された脱臭・消臭剤などの
形態別に、様々な商品が存在している。
【0003】具体的には、ヒトをはじめとする動物など
の生き物から発生する悪臭、室内、車内、冷蔵庫、トイ
レ、畜舎、魚水槽、工場などから発生する悪臭、家庭の
廃棄物や産業廃棄物から発生する悪臭を、脱臭または消
臭するために使用する脱臭・消臭剤が販売されている。
【0004】この様な脱臭・消臭剤のうち、ヒトや他の
動物が直接体内に摂取する目的ではなく、また直接接触
する目的ではないもの(環境用途の脱臭・消臭剤)につ
いては、大量生産による化学合成品が多数販売されてい
る。しかし、使用後、廃棄後の環境への配慮から、たと
え環境用途であっても天然の消臭・脱臭剤を用いること
が望まれてきている。また、直接ヒトや動物に接触する
消臭剤や、食品や飼料に添加する消臭剤に関しては、特
に安全性が求められている。
【0005】かなり古くから使用されている天然由来の
脱臭剤として、活性炭がある。また、活性炭とイオン交
換樹脂、植物抽出物を混合した環境用消臭剤(特開昭6
2−211068号公報)が公知になっている。これら
はにおいを吸収、吸着するものであるが、環境中に固形
で設置する必要があり、設置場所を必要とするという問
題がある。また、長期間放置して悪臭の吸収が飽和状態
になると、逆にそのにおいを吸収・吸着している物質か
ら悪臭が拡散する心配がある。
【0006】また、天然物由来の脱臭・消臭剤として、
各種植物抽出物を利用する方法が開発されている。例え
ば、キキョウ科植物から抽出した脱臭・消臭剤(特開昭
60−7848号公報)、ミツガシワ、マツリカ、ノイ
バラ、サクラソウ、キョウチクトウ、トショウジツ、及
びデンシチの抽出物のうち1種又は2種以上の混合物を
含有する消臭・脱臭剤(特開昭60−90563号公
報)、植物繊維物質の焙煎抽出エキスと酢酸緩衝液を含
む原料液を加熱後濃縮して得られる濃縮液を有効成分と
する脱臭・保存剤(特開昭60−227666号公
報)、レットビート、カカオ、コーヒー及びパセリ抽出
物のうち1種又は2種以上の混合物を有効成分として含
有する消臭・脱臭剤(特開昭60−207664号公
報)、ツバキ科又はクスノキ科植物の抽出物を有効成分
として含有する消臭・脱臭剤(特開昭61−10616
3号公報)、マツ科植物の抽出液から消臭成分を得る方
法(特開昭63−21060号公報)等が報告されてい
る。また、この様な植物抽出成分を含有する脱臭シート
(特開平1−190443号公報)が報告されている。
【0007】以上のような植物抽出物が消臭剤の有効成
分となることが明らかになっているが、そのほとんどは
消臭剤を得るために栽培した植物の葉、茎、皮などの植
物体を乾燥あるいは焙煎後、破砕し、有機溶媒や水で抽
出することにより得られるものであるため、その生産コ
ストが高いという問題があった。また、植物および抽出
方法によっては植物由来の色素を含み、希釈しても色が
ついている。そこで、消臭目的のみを利用したいのに、
使用することにより着色してしまうという問題があっ
た。また有色で、固形分があるものでは、環境に塗布又
は散布したときに有色の蒸発残留物が乾燥固形物として
環境中に残存することがあった。さらに、消臭効果があ
り環境消臭には用いることができるが、ヒトや動物が摂
取することができない、または摂取したとき安全かどう
か分からないものがあった。
【0008】次に、甘蔗由来のものとして、黒糖には、
調理を行う際に魚臭などに対して消臭効果があるといわ
れている。しかし、黒糖の90%前後は糖類であり、黒糖
自体のにおいも強いため、消臭効果の上でも衛生面で
も、黒糖を溶液にして環境中に塗布・散布したり、溶液
又は固形物を環境中に消臭目的で設置するという方法は
とることができない。また、消臭目的で食品などに使用
するにも消臭効果が発揮されるように使用するには多量
の黒糖を使用する必要があるため、甘味が付与され、黒
糖自体の強いにおいも付加されてしまうという問題があ
り、用途が制限されていた。
【0009】また、黒糖由来の香気成分として天然香料
のコクトウフレーバーが知られている。黒糖は通常、甘
蔗の圧搾汁に石灰乳を添加し、不純物を凝集させること
により沈殿させ、得られた清浄汁とよばれる糖液を効用
缶などの濃縮機でBx.60程度まで濃縮し、濃縮物をオー
プンパンで130℃程度まで加熱することによりBx.90まで
濃縮し、その後冷却することにより得られる。つまり黒
糖の製造には石灰乳の添加と高温での加熱濃縮が必須で
あり、特に130℃での急激な高温加熱濃縮工程中に起こ
る成分の化学変化により、他の砂糖とは異なる黒糖特有
の香気成分が生成する。黒糖の香気成分については多数
の研究がなされており、黒糖に特有のフレーバー成分は
甘蔗の圧搾汁(混合汁)や清浄汁には含まれていないも
のであることが明らかになっている(Food & Food Ingr
edients Journal No.156-1993,P58-65、ニューフレーバ
ーVol.21(8),P11-17(1987))。食品添加物の香料として
製造されている天然香料であるコクトウフレーバーは、
この黒糖特有の香気成分を含んでいる。通常は天然のコ
クトウフレーバーに化学合成品の香料を添加し、製品の
黒糖フレーバーとして販売されている。この様な黒糖フ
レーバーは、着香目的で香気成分を集めたものであるた
め、強い香気を持っており、不快臭のマスキングによる
消臭効果はもつかもしれないが、化学的、物理的な消臭
メカニズムによる消臭効果は明らかにされていない。
【0010】本出願人は、特開平10−151182号
公報において、甘蔗由来の消臭物質を報告した。この消
臭物質は、甘蔗汁又は甘蔗由来の製糖蜜をカラムクロマ
トグラフィーで処理することにより得られる画分を濃縮
した濃縮物であり、これはエバポレーターなどの蒸留装
置による減圧下での溶媒留去または凍結乾燥などにより
濃縮固形化することができる。通常は濃縮した液状また
は粉末状であり、色は黄色から茶褐色である。この消臭
物質の消臭メカニズムは明らかではないが、有色の乾燥
固形分中に1種あるいは複数の種類の消臭物質の本体成
分が存在し、この成分が、悪臭成分を中和、付加、酸化
・還元などの化学的脱臭、吸着などの物理的脱臭、マス
キング、相殺作用などの感覚的脱臭、などの様々な脱臭
機構の複合的な反応により消臭効果を発揮していると考
えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、汎用性であ
り、植物由来で、安全性が高く、生産コストが安く、消
臭したい環境中に固形分として残存しない、無色あるい
は淡色透明で、それ自身は強いにおいを持たない消臭剤
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点に鑑み、ヒトをはじめとする動物に安全な、低コス
トでできる、それ自身は無色または淡色透明で、ほとん
どにおいを持たない消臭剤について鋭意検討を重ねてき
たが、古来、食品として使用されている甘蔗由来の蒸留
物が、消臭剤として優れた効果を示すことを見出し、本
発明を完成した。
【0013】すなわち本発明は、甘蔗由来の蒸留物を有
効成分とする消臭剤である。
【0014】1の実施態様においては、甘蔗由来の蒸留
物は、甘蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料
を蒸留して得られる蒸留物である。
【0015】さらなる実施態様においては、甘蔗由来の
蒸留物は、甘蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる
原料を蒸留して得られる蒸留物を、固定担体を用いたカ
ラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる
画分である。
【0016】また別の実施態様においては、上記操作を
逆の順序に行う。まず甘蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物か
ら選ばれる原料を固定担体を用いたカラムクロマトグラ
フィーで処理し、次いで得られる画分を蒸留する。かく
して得られる蒸留物を、消臭剤の有効成分として使用す
る。
【0017】本発明において、上記カラムクロマトグラ
フィー処理は、さらに好ましくは、固定担体としての合
成吸着剤を充填したカラムを用い、このカラムに対象試
料を通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メ
タノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる
溶媒で溶出することによって行われる。
【0018】ここで、本発明における甘蔗汁は、甘蔗
(サトウキビ)を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で
浸出して得られる浸出汁、又は原糖製造工場における石
灰処理した清浄汁及び濃縮汁を包含する。本発明におけ
る甘蔗の溶媒抽出物とは、甘蔗を汎用の有機溶媒で抽出
した抽出液を意味する。直上での有機溶媒としては、例
えばメタノールはエタノールなどのアルコール類が挙げ
られ、これらを単独でも組み合わせて使用しても良い。
さらに、これらの溶媒と水を組み合わせて使用しても良
い。
【0019】本発明の甘蔗由来の蒸留物は、具体的には
たとえば次のように処理して得ることができる。
【0020】甘蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれ
る原料を、加熱装置を持つタンクに入れ加熱し、得られ
る蒸気を冷却することにより回収し、または蒸気をその
まま気体として回収し、液体または気体の甘蔗由来の蒸
留物を得る。この蒸留は、加熱装置を持ち、蒸気を冷却
し液体で、または蒸気をそのまま気体として回収できる
あらゆる装置が使用できる。
【0021】蒸留条件は、50℃〜120℃の、蒸留原料液
体が沸騰する圧力で行うことができる。好ましくは、70
℃〜120℃の、蒸留原料液体が沸騰する圧力で行うこと
ができる。圧力は、抽出に用いる溶媒、および蒸留工程
で用いる装置等に応じて適宜調整される。例えば、抽出
溶媒に水を用いて、遠心式薄膜真空蒸発装置、冷却管を
接続したフラスコ、または蒸留機を用いて蒸留する場合
には、70〜105℃において、240mmHg〜常圧である。これ
より低い温度および圧力にて蒸留を行うことも可能であ
る。しかしながら、液体として蒸気を回収したい場合に
は、温度を低くするとそれだけ高い減圧条件にする必要
があり、またトラップ内で蒸留温度以下で蒸留物を凝縮
させる必要があるので、装置等にコストがかかりすぎ
る。したがって、実験室においては可能であるが、工業
的には適さない。また、本発明における蒸留では、130
℃以上での高温加熱は行わない。蒸留装置としては、例
えば、実験室内においては冷却管などに接続したフラス
コが、工場においては濃縮缶、結晶缶、効用缶等が用い
られる。これら温度及び圧力条件を調節することによ
り、蒸留物中の消臭に有効な成分と水の割合(水が含ま
れる場合には)を変化させ、希望する濃度の蒸留物を得
ることができる。得られた蒸留物は、そのまま気体もし
くは液体として、または適当な溶媒、例えば水で適当な
濃度に希釈して、本発明の消臭剤の有効成分として用い
ることができる。
【0022】また、上記のようにして得られた甘蔗由来
の蒸留物の消臭有効成分をさらに濃縮する目的で、カラ
ムクロマトグラフィー処理を行うことができる。また
は、上記した甘蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれ
る原料を先にカラムクロマトグラフィー処理し、その後
上記の方法により蒸留物を得ることができる。この様な
カラムクロマトグラフィー処理の方法について、以下に
述べる。
【0023】まず、甘蔗由来の蒸留物を液体として回収
しカラムクロマトグラフィー処理する場合、および甘蔗
汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料を先にカラ
ムクロマトグラフィー処理する場合のカラムクロマトグ
ラフィー処理の方法について述べる。
【0024】上記の甘蔗由来の蒸留物(液体)または甘
蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料は、その
まま、または水で任意の濃度に調整して、固定担体を充
填したカラムに通液することができる。なお甘蔗汁およ
び甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料は、異物除去のた
めに、カラムで処理する前に、ろ過することが望まし
い。ろ過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用
されているスクリーンろ過、ケイソウ土ろ過、精密ろ
過、限外ろ過等の手段を好ましく使用できる。
【0025】固定担体としては、合成吸着剤が好まし
い。合成吸着剤としては、好ましくは有機系樹脂を用い
ることができ、例えば、芳香族系樹脂、アクリル酸系メ
タクリル樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂等が使用
できる。また、このような合成吸着剤は市販されてお
り、例えばダイアイオン(商標)系としてHP−10、
HP−20、HP−21、HP−30、HP−40、H
P−50(以上、無置換基型の芳香族系樹脂、いずれも
商品名、三菱化学株式会社製);SP−825、SP−
800、SP−850、SP−875、SP−70、S
P−700(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香
族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);S
P−900(芳香族系樹脂、商品名、三菱化学株式会社
製);アンバーライト(商標)として、XAD−2、X
AD−4、XAD−16、XAD−2000(以上、芳
香族系樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);
ダイアイオン(商標)系として、SP−205、SP−
206、SP−207(以上、疎水性置換基を有する芳
香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);
HP−2MG、EX−0021(以上、疎水性置換基を
有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会
社製);アンバーライト(商標)系として、XAD−7
HP、XAD−8(以上、アクリル酸系エステル樹脂、
いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイアイオン
(商標)系として、HP1MG、HP2MG(以上、ア
クリル酸系メタクリル樹脂、いずれも商品名、三菱化学
株式会社製);セファデックス(商標)系としてLH2
0、LH60(以上、架橋デキストランの誘導体、いず
れも商品名、ファルマシア バイオテク株式会社製)な
どが挙げられる。通液対象物の濃度、溶媒、抽出法、共
存物などにより適する合成吸着剤の種類は異なるため、
適宜選択を行うことができる。
【0026】固定担体の量は、カラムの大きさ、溶媒の
種類、固定担体の種類等によって変化する。例えば甘蔗
由来の蒸留物(液体)を使用する場合には、固定担体の
1.5〜20,000倍の蒸留物を通液し、有効成分を固定担体
に吸着させる。したがって、通液しようとする蒸留物の
1.5〜20,000分の1の湿潤体積量の固定担体を使用する
のが好ましい。また、甘蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物か
ら選ばれる原料を使用する場合には、その固形分に対し
て、0.01〜5倍湿潤体積量の固定担体を使用するの
が好ましい。
【0027】通液対象物(甘蔗由来の液体状蒸留物また
は甘蔗汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料)を
上記カラムに通すことにより、通液対象物中の消臭効果
を有する成分は固定担体に吸着される。通液量及び通液
速度は、甘蔗由来の蒸留物の蒸留方法、または甘蔗汁お
よび甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料のうち、何を原
料とするかによって異なる。また、通液対象となる液体
がアルコールを含む場合には、この液体を水で希釈して
からカラムクロマトグラフィーに通液する必要がある。
通液対象物をカラムに通液した後、不純物除去のためカ
ラムを水洗し、樹脂に吸着されずにカラム内に残存して
いる成分を除去することが好ましい。
【0028】固定担体に吸着された成分は、溶媒により
溶出する。溶出溶媒は、水、メタノール、エタノール及
びこれらの混合物から選ばれる。溶出溶媒は水とアルコ
ールの混合溶媒、特にエタノール−水混合溶媒が好まし
い。更に、室温において効率よく目的の効果を有する成
分を溶出できるので、50/50〜99.5/0.5
(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好ましい。こ
のように、本発明の効果を有する成分は、前記溶媒で溶
出される画分に存在する。溶出速度はカラムの大きさ、
溶媒の種類、固定担体の種類等によって変化するので特
に限定されないが、SV=0.1〜10で溶出し、樹脂
の6倍湿潤体積量以内に溶出する溶出液を回収するのが
好ましい。なお、SV(Space Velocity、空間速度)
は、1時間あたり樹脂容積の何倍量の液体を通液するか
という単位である。
【0029】本発明のカラムクロマトグラフィー処理
は、これに限定されるものではないが、好ましくは次の
ようにして行うことができる。すなわち、無置換基型の
芳香族系樹脂あるいはアクリル酸系エステル樹脂を充填
したカラムに、カラム温度60〜97℃にて通液対象物
を通液した後、カラム内を水洗し、次いでカラムに吸着
されている成分を、カラム温度20〜40℃にて50/
50〜99.5/0.5(体積/体積)エタノール−水
混合溶媒で溶出させ、エタノール−水混合溶媒での溶出
開始時点から集めた溶出液の量が前記樹脂の6倍湿潤体
積量以内に溶出する溶出液を回収する。
【0030】かくしてカラムから得られた溶出液(溶出
溶媒を含む)をそのまま消臭剤の有効成分として使用で
きる。
【0031】次に、甘蔗由来の蒸留物を気体のままカラ
ムクロマトグラフィー処理する場合について述べる。
【0032】ゼオライト系吸着剤、活性炭、カーボンブ
ラック、アルミナ、シリカゲルなどの多孔質吸着材、高
分子吸着剤の多孔質または繊維状吸着剤、セラミック系
多孔質吸着剤を充填したカラムを、蒸留装置の蒸気出口
に接続し、蒸気をカラム内に通過させる。吸着した成分
の回収は、カラムに蒸留時の温度より高い温度をかけ、
またはカラム内圧を減少させることにより脱着回収する
ことができる。この温度と圧力は、選択した吸着剤の種
類により異なる。この場合、カラム処理により得られた
成分は気体でカラムから出てくるが、トラップで冷却
し、液体にすることもできる。かくして得られたカラム
処理後の液体はそのまま、消臭剤の有効成分として使用
できる。また、カラムに吸着した成分は、エタノールや
メタノールのようなアルコール類やその他の有機溶媒を
カラム内に通すことにより、溶出液中に脱着回収するこ
ともできる。溶出液(溶出溶媒を含む)をそのまま、消
臭剤の有効成分として使用できる。
【0033】本発明の蒸留物は、原液では若干のにおい
を有するが、使用する際に希釈すると、ほとんどにおい
を持たない。従って、強いマスキング作用は無いと考え
られるが、化学的脱臭機構の中和、分解、酸化・還元お
よび、物理的脱臭機構の吸着、感覚的脱臭機構の相殺作
用、およびマスキング作用の複合的なメカニズムによる
消臭作用を持つ1種もしくは複数の消臭本体物質が、蒸
留物中に存在していると考えられる。
【0034】本発明に係る甘蔗由来の消臭剤は、食品、
エチケット消臭剤、ペット用消臭剤、環境消臭剤の素材
として、他の消臭剤や香料、アルコール、界面活性剤な
どと混ぜて使用することができる。具体的に本発明の消
臭剤は、肉類や魚介類、ニラやニンニクなどの野菜類な
どの、食品素材のもつ不快臭を除去するために食品に添
加することができる。また、本発明の消臭剤は、エチケ
ット消臭剤の素材として使用することができる。ここで
本発明におけるエチケット消臭剤とは、口臭、脇の下な
どの体臭(ボディー用)、足臭、頭髪のにおいなど、ヒ
トに直接使用する消臭剤である。この消臭用途は不快臭
の発生源は問わず、ヒトに直接使用することを意味す
る。具体的には、脇の下の汗臭用スプレー・ローション
・パウダー、口臭除去用マウススプレー・カプセル・洗
口剤、頭髪に付いた焼き肉やタバコのにおいを除去する
頭髪用スプレー・シャンプー・リンス・ヘアーローショ
ンなどが挙げられる。また、本発明の消臭剤はペット用
消臭剤の素材としても用いることができる。本発明のペ
ット用消臭剤とは、愛玩動物の口臭、体臭、便臭など、
愛玩動物が発生源である不快なにおいに対する消臭剤で
ある。具体的には、ペットの口臭除去用スプレー・カプ
セル、毛に付いた体臭を除去するペット用スプレー・シ
ャンプー・リンス・ローション、ペット用トイレ、犬小
屋やペット用ケージなど、ペット自身およびペット用品
が挙げられる。また、本発明の消臭剤は環境消臭剤の素
材としても用いることができる。本発明の環境消臭剤と
は、ヒトや愛玩動物以外の物体または空間に付いた不快
臭に対する消臭剤である。具体的には、家庭用ゴミまた
は産業廃棄物置き場、家庭用ゴミまたは産業廃棄物収集
所、家庭用ゴミまたは産業廃棄物集積場、廃品回収所、
家庭用ゴミまたは産業廃棄物処理場などの廃棄物が発生
源の悪臭、下水処理場、し尿処理場、火葬場、と畜場、
へい獣処理場、病院・診療所・検査センター、トイレ、
浴室、台所などの水回り、一般の室内および室内の建材
や壁紙(ホルマリンなど加工に使用した処理剤の悪
臭)、カーテン、塗装、家具(塗料や加工などの処理剤
の悪臭)、押入などのカビ臭、下駄箱、エアコン、衣
類、自動車・トラックの車内、自動車・トラックが発生
するガス、電車・航空機、工場、飲食店、写真屋・現像
所、ガソリンスタンド、プロパンガス詰め替え所、クリ
ーニング店・洗濯工場、旅館・ホテル、美容院・理髪
店、自動車修理工場、家畜用畜舎、建設作業現場などに
使用できる。
【0035】また、本発明の消臭剤の使用形態は特に限
定されず、例えば以下の様な形態で使用することができ
る。噴霧用として、エアゾールスプレー、ミストスプレ
ー、スプリンクラー用液体品、塗布用として液状・ゲル
状・ペースト状消臭剤およびこれらの消臭剤を布・紙・
不織布にしみ込ませたシート状として使用できる。他に
も、粉末・顆粒に吸収させた消臭剤、粒状・ペレット状
・ブロック状・タブレット状ゲルへ練り込んだり吸着さ
せた消臭剤、セラミック・活性炭・ベントナイトなどの
多孔質担体へ吸着させた消臭剤、液状の消臭剤を容器に
入れ、スポンジ・布・セラミックスなどの液体を浸透さ
せるものを容器中の消臭剤に一部接触させ、浸透した消
臭剤が気化することにより消臭効果を持つ消臭剤、セラ
ミックスなどの多孔質性の容器に消臭剤を入れ、容器外
部まで浸透した消臭剤が気化することにより消臭効果を
持つ消臭剤、液状でそのまま悪臭源に添加する消臭剤、
シート・フイルム・フィルターにしみ込ませた消臭剤、
消臭剤を表面あるいは内部に含む壁紙、建材、おむつ、
生理用品、靴の中敷き、消臭繊維(布)、消臭皮革など
に使用できる。
【0036】また、本発明の消臭剤を含む食品、エチケ
ット消臭剤、ペット用消臭剤および環境消臭剤には、各
分野で慣用の添加剤、分散剤、賦形剤などを含むことが
できる。
【0037】本発明の消臭剤を用いて、家庭内のペット
臭、トイレ、台所の生ゴミ、調理器具などに対するミス
トスプレータイプ消臭剤を調製するには、より具体的に
は以下のような方法をとることができる。本発明の消臭
剤を0.01〜50%(体積/体積)の濃度で水に添加
し、必要が有れば界面活性剤やエタノール、抗菌剤など
を添加し、ミストスプレーボトルに充填する。
【0038】本発明の消臭剤を用いて、家庭内の強い悪
臭である生ゴミやトイレの悪臭に対するエアゾールタイ
プ消臭剤を調製するには、より具体的には以下のような
方法をとることができる。本発明の消臭剤を0.2〜7
0%(体積/体積)の濃度に水またはエタノール水溶液
で希釈し、噴射ガス(例えばLPGおよび二酸化炭素な
ど)と共にエアゾール容器に充填する。
【0039】本発明の消臭剤をゲルまたは適当な担体に
吸着または練り込むことにより、消臭の有効成分が徐々
に揮散して、消臭効果を長期間持続する空間用消臭剤を
調製するには、より具体的には以下のような方法をとる
ことができる。本発明の消臭剤を0.5〜20重量%濃
度で、ゲル化剤であるカラギーナン、寒天、ローカスト
ビーンガム、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ジ
ェランガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、
キチン・キトサン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリ
ルアミド等を単独あるいは組み合わせたゲルに添加し、
固形化する。
【0040】本発明の消臭剤は細かい霧状にして室内に
飛散させることにより、室内の消臭を行うことができ
る。より具体的には、加湿器の水に本発明の消臭剤を
0.01〜1%(体積/体積)濃度で添加し、加湿器を
運転することにより室内空間の悪臭を消臭することがで
きる。
【0041】本発明の消臭剤は、断続的または連続的に
空気中に噴霧、床面に散布することにより、養豚場、養
鶏場、酪農畜舎、魚市場などの悪臭の発生しやすい場所
の悪臭を除去することができる。このとき、本発明の消
臭剤は0.01〜1%(体積/体積)の濃度に水で希釈
し使用することが好ましい。
【0042】また、本発明の消臭剤は養豚、酪農、養鶏
場などから発生する糞、尿または糞尿混合物をバキュー
ムカー等で畑や牧草地に散布して処理する場合の悪臭の
低減を行うことができる。散布前に、本発明の消臭剤を
タンク内の糞・尿に対して0.005〜0.5%(体積
/体積)の濃度で添加することにより、悪臭を抑えるこ
とができる。
【0043】また、本発明の消臭剤を用いて、消臭効果
の高いペット排泄物処理剤を製造することができる。ペ
ット用排泄物処理剤は、ベントナイト、ゼオライト、木
粉、紙粉などを主材料とし、これに必要に応じてポリア
クリル酸ナトリウム、他のナトリウム化合物、マグネシ
ウム化合物等を加え、これに本発明の消臭剤を主材料に
対して0.01〜10重量%添加し、適当量の水を加
え、混合・成形・乾燥することにより製造できる。これ
をネコなどのペット用トイレに入れ、ネコがその処理剤
の上に排泄することにより、消臭効果に優れた処理剤を
得ることができる。
【0044】この様に、他の材料と本発明の消臭剤を混
合し、成形・乾燥する方法において、乾燥中に消臭剤の
有効成分が完全に揮発せず残存するため、消臭効果も残
存する。また、本発明の消臭剤以外の材料を先に混合
し、成形・乾燥し、得られた成形品に本発明の消臭剤を
吸収させることによっても、消臭効果を有する物品を得
ることができる。
【0045】
【実施例】下記において、%は特記ない限り、重量%で
ある。気体の濃度ppmは、通常の気体の濃度の表示法に
従い(モル/モル)ppmである。 製造例1 原糖工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(Bx.12.
2)2800リットルを250リットル/時の速度で遠
心式薄膜真空蒸発装置(商品名:エバポールCEP−
1、大川原製作所株式会社)に供給し、500〜630
mmHgの減圧下で、温度90〜95℃で留出する成分を、
冷却水温25℃、冷却水量15m3/時間、コンデンサ
面積2m2の条件でコンデンサにて冷却し、連続して集
めた。原料圧搾汁が約2400リットル、Bx.13.9にな
ったとき、蒸留を終了した。得られた蒸留液は約400
リットルであった。この蒸留液のうち500mlを、甘
蔗由来の蒸留物である消臭剤サンプルとした。このサン
プルはほぼ無色透明な液体であった。
【0046】製造例2 製造例1で得られた蒸留液の約400リットルを、アン
バーライトXAD7HP(商品名、オルガノ株式会社)
40mlを充填したカラム(カラムサイズ:内径2.6
cm、高さ20cm)に、SV=75の流速で通液し
た。通液終了後、約5分間、同じ流速で水洗した。吸着
された成分を、80%エタノール水溶液(エタノール/
水=80/20(体積/体積))で溶出した。SV=2
の流速で通液し、はじめの25mlの溶出液は捨て、溶
出液の回収を開始した。80%エタノール水溶液80m
lを通液した後は、成分の押し出しのため蒸留水を同じ
速度で通液し、回収溶出液の量が100mlになった時
点で溶出を終了した。得られた溶出液を、甘蔗由来の蒸
留物である消臭剤サンプルとした。このサンプルは、ア
ルコール濃度計(YSA−200、矢崎計器株式会社)
で測定した結果、エタノール59%(体積/体積)の、
若干レモン色をした透明な液体であった。
【0047】製造例3 原糖製造工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(B
x.12.5)を、ジュースヒーターで80℃に加温し、管型
限外濾過(MH−25)で濾過処理して、約750リッ
トルの処理液を得た。
【0048】合成吸着剤SP−850(商品名、三菱化
学株式会社)15Lをウォータージャケット付きのカラ
ム(カラムサイズ:内径17.0cm、高さ100c
m)に充填し、これに前記の圧搾汁濾過処理液を、SV
=5の流速で通液した。なお、圧搾汁濾過液通液中は、
ウォータージャケットには、65℃の水を常に循環させ
た。通液終了後、同じ流速で、溶出液のブリックスが
0.1になるまで水洗した。その後、55%エタノール
水溶液(エタノール/水=55/45(体積/体積))
をSV=2にて通液し、吸着成分を溶出させた。溶出溶
媒通液中は、ウォータージャケットには25℃の水を常
に循環させた。はじめの樹脂容量分の溶出液は捨て、エ
タノールが溶出され始めたら、溶出液の回収を開始し
た。55%エタノール水溶液30リットルを通液した後
は、蒸留水を同じ速度で通液し、溶出液のエタノール濃
度が約10%になるまで溶出液を回収した。回収された
溶出液は、茶褐色で、エタノール濃度が37.5%(体
積/体積)、約45リットルであった。エタノール濃度
は、アルコール濃度計(YSA−200、矢崎計器株式
会社)で測定した。
【0049】得られた溶出液を、蒸留機を用い、常圧下
で蒸留し、温度70〜100℃にて留出した成分を、2
0℃前後の水道水で冷却することにより回収して、約3
0リットルの蒸留物を得た。この蒸留物を甘蔗由来の蒸
留物である消臭剤サンプルとした。このサンプルは、エ
タノール濃度48%(体積/体積)の、薄い黄緑色の透
明な液体であった。
【0050】試験例1 甘蔗由来の蒸留物の急性毒性試
験 製造例2で得られた甘蔗由来の蒸留物を使用して、ラッ
トを用いた単回経口投与毒性試験を行った。Sprague-Da
wley系SPFラット(Crj:CD(SD)IGS、日本チャールス
・リバー株式会社)の雌雄各16匹を5週令で入手し、約
1週間検疫・馴化飼育した後、健康な動物を選び、6週
令で試験に供した。投与時の体重範囲は雄で174〜186
g、雌で120〜134gであった。飼育条件は、動物は温度
23±3℃、相対湿度50±20%、換気回数1時間10〜15
回、照明1日12時間の飼育室で固形飼料(CRF−1
(商品名)、オリエンタル酵母株式会社)及び飲料水を
自由に摂取させて飼育した。投与前一晩(約16時間)絶
食させたラットに、一定の投与容量10ml/kg体重にて、
所定濃度の甘蔗由来の蒸留物を1回強制経口投与した。
対照群の動物には滅菌蒸留水のみを同様に投与した。な
お、絶食後の再給餌は投与6時間後に実施した。投与量
は、2000mg/kgの1用量とし、これに対照群を加えて計
2群を使用した。1群の動物数は雌雄共に5匹とした。
結果を以下の表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】投与後14日間が経過した後、雌雄とも最大
量の2000mg/kgでも、ラットの死亡は認められなかった
ので、致死量は2000mg/kgを上回るものと推定される。
飼育中いずれのラットにおいても異常は認められず、さ
らに各被検液投与群の雌雄の体重は、対照群とほぼ同等
の推移を示し、観察期間中の体重増加も対照群とほぼ同
等であった。また、いずれのラットにおいても、解剖学
的検査の結果、体外表、頭部、胸部及び腹部の器官・組
織に異常は見られなかった。
【0053】以上の結果から、製造例2で得られた甘蔗
由来の蒸留物を使用し、ラットの単回経口投与毒性試験
を行ったときの毒性は極めて弱いものと考えられる。
【0054】実施例1 悪臭物質の化学消臭効果 1)アンモニアに対する消臭効果(検知管による測定) アンモニアガスの調製 500ml容三角フラスコに28%アンモニア水(試薬)を
0.5ml加え、迅速にパラフィルムで蓋をした。これを3
0℃のインキュベーターに10分間入れ、ガスを揮発さ
せた。次に、注射器でフラスコ内のヘッドスペースのガ
スを10ml取り、3リットルの無臭空気の入った3リット
ル容の臭い袋に加えて一定濃度のアンモニアガスを得
た。 甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルの調製 製造例2の甘蔗由来の蒸留物を、エタノール濃度が45
%(体積/体積)になるように蒸留水とエタノールを用
いて3倍希釈した。次に、500ml容三角フラスコに四角
く切った0.3gの脱脂綿を入れ、上記の希釈した蒸留物1
mlを脱脂綿にできるだけ均一に吸わせ、ガラスコック付
きシリコン栓で蓋をし、甘蔗由来の蒸留物の測定用サン
プルとした。甘蔗由来の蒸留物を用いずに45%(体積
/体積)アルコールを用いて、対照サンプルを上記と同
じ手順で用意した。 測定 上記のアンモニアガスの入った3リットル容の臭い袋か
ら30mlのアンモニアガスをシリンジで取り、甘蔗由来
の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプルの入った
三角フラスコにそれぞれ加え、さらにフラスコ内の圧力
を陽圧にするため70mlの無臭空気をシリンジで加え、1
0分後および30分後のアンモニアガスの濃度を検知管
で測定した。検知管で測定するには、サンプルを100ml
吸引する必要があるため、フラスコ内を陽圧にしておく
必要がある。なお、対照サンプルにおけるアンモニアの
初期濃度をも測定して、この実験系のアンモニアガス初
期濃度として結果の表に示す(以下、同様)。 2)トリメチルアミンに対する消臭効果(検知管による
測定) トリメチルアミンガスの調製 3リットル容の臭い袋に90.0ppmのトリメチルアミン標
準ガス(日本酸素株式会社製)を入れ、これを試験用ガ
スとした。 甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルの調製 アンモニアガスに対する消臭効果を測定する試験と同様
に甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルを調製した。 測定 上記の3リットル容の臭い袋から100mlのトリメチルア
ミンガスをシリンジで取り、甘蔗由来の蒸留物の測定用
サンプルおよび対照サンプルの入った三角フラスコにそ
れぞれ加え、10分後および30分後のトリメチルアミ
ン濃度を検知管で測定した。 3)硫化水素に対する消臭効果(検知管による測定) 硫化水素ガスの調製 試薬の硫化ナトリウム・9水和物22.0mgを100ml蒸留水
に溶解し、20ml容ヘッドスペースバイアルに10ml入れ密
栓した。このバイアルに、0.1M塩酸0.2mlを注射器でゆ
っくりと加え、その後30℃で30分間インキュベート
した。インキュベート後のヘッドスペースガスを試験に
用いる硫化水素ガスとした。 甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルの調製 アンモニアガスに対する消臭効果を測定する試験と同様
に、甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サン
プルを調製した。 測定 上記のヘッドスペースバイアルのヘッドスペースガス2.
0mlを注射器で取り、甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプ
ルおよび対照サンプルの入った三角フラスコに加え、さ
らにフラスコ内を陽圧にするため100mlの無臭空気を同
様に加え、10分後の硫化水素ガスの濃度を検知管で測
定した。 4)イソ吉草酸に対する消臭効果(検知管による測定) イソ吉草酸ガスの調製 3リットルの無臭空気の入った3リットル容臭い袋に、
試薬のイソ吉草酸(99%)0.1mlを注射器で注入し、迅
速にパラフィルムで蓋をした。これを40℃のインキュ
ベーターに10分間入れ、ガスを揮発させた。次に、フ
ラスコ内のヘッドスペースのガス1リットルをシリンジ
で取り、2リットルの無臭空気の入った3リットル容臭
い袋に加えて一定濃度のイソ吉草酸ガスを得た。 甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルの調製 アンモニアガスに対する消臭効果を測定する試験と同様
に、甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サン
プルを調製した。 測定 上記のイソ吉草酸ガスの入った3リットル容の臭い袋か
ら100mlのイソ吉草酸ガスをシリンジで取り、甘蔗由来
の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプルの入った
三角フラスコにそれぞれ加え、10分後のイソ吉草酸ガ
スの濃度を検知管で測定した。 5)メチルメルカプタンガスに対する消臭効果(検知管
による測定) メチルメルカプタンガスの調製 3リットル容の臭い袋に93.7ppmのメチルメルカプタン
標準ガス(日本酸素株式会社製)を入れた。次に、この
ガス300mlをシリンジで取り、3リットルの無臭空気の
入った別の3リットル容の臭い袋に加え、一定濃度のメ
チルメルカプタンガスを得た。 甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルの調製 アンモニアガスに対する消臭効果を測定する試験と同様
に、甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サン
プルを調製した。 測定 上記のメチルメルカプタンガスの入った3リットル容の
臭い袋から、100mlのメチルメルカプタンガスをシリン
ジで取り、甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対
照サンプルの入った三角フラスコに加え、10分後のメ
チルメルカプタンの濃度を検知管で測定した。 6)硫化水素に対する消臭効果(ガスクロマトグラフィ
ー分析) 硫化水素ガスの調製 20ml容ヘッドスペースバイアルに360mM硫化ナトリウ
ム溶液を0.1ml入れ、720mM塩酸0.1mlをゆっくりと加
え混合した。これを30℃のインキュベーターに30分
間入れ、ガスを揮発させた。このヘッドスペースガスを
試験用硫化水素ガスとした。 甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルの調製 新たな20ml容ヘッドスペースバイアルに、アンモニアに
対する消臭効果を測定したときと同様に希釈調製した製
造例2の甘蔗由来の蒸留物1mlを入れ、密栓し、甘蔗由
来の蒸留物の測定用サンプルとした。対照サンプルとし
て、甘蔗由来の蒸留物を含まない45%(体積/体積)
エタノール水溶液を用いた。 測定 硫化水素ガスの入ったのバイアルから、ヘッドスペー
スガスをエアシリンジで0.04ml取り、のバイアルに加
え30℃でインキュベートした。インキュベート開始か
ら15、30、および45分後にそのヘッドスペースガ
スを0.1ml採取し、ガスクロマトグラフィー分析を行っ
た。 7)結果 消臭比は、次のようにして求めた。 消臭比=[(C−S)/C]×100 C:各時点における対照サンプル容器内の悪臭成分ガス
濃度、S:各時点における甘蔗由来の蒸留物の測定用サ
ンプル容器内の悪臭成分ガス濃度 結果を表2および表3に示した。甘蔗由来の蒸留物には
悪臭物質の濃度を減少させる化学消臭効果があることが
明らかになった。悪臭物質として、尿、汗、生ゴミなど
から発生する悪臭の原因物質のうち、代表的なものを選
んで試験に用いたため、この結果は甘蔗由来の蒸留物
に、広範囲の悪臭に対して高い除去効果があることを示
している。通常の消臭剤の消臭効果は、消臭剤と悪臭成
分を混合してから60分程経たないと現れないが、本実
施例では甘蔗由来の蒸留物は10〜15分後には消臭効
果を示しているので、即効性のある消臭剤であることが
明らかになった。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】実施例2 布にしみ込ませた甘蔗由来の蒸
留物の悪臭除去効果 製造例2で得られた甘蔗由来の蒸留物を、蒸留水で10
倍希釈した。これを木綿のサラシ(10cm×10c
m)に0.4gスプレーし均一にしみ込ませた。この布を5
00ml容三角フラスコに入れ、ガラスコック付きシリコン
栓で蓋をし、甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルとし
た。甘蔗由来の蒸留物を加えていない蒸留水を用いたも
のを用意し、対照サンプルとした。悪臭成分として、酢
酸、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、トリメチル
アミン、または硫化水素を含む試験用ガスを以下のよう
にして調製した。酢酸1ml(99.5%試薬)を500ml容三角
フラスコに入れ、迅速にパラフィルムで蓋をし、30℃
のインキュベーターに10分間入れ、ガスを揮発させ、
これを試験用酢酸ガスとした。アセトアルデヒド(90%
試薬)0.5mlを500ml容三角フラスコに入れ、迅速にパラ
フィルムで蓋をし、30℃のインキュベーターに10分
間入れ、ガスを揮発させた。ここから10mlのガスをシリ
ンジで取り、3リットルの無臭空気の入った臭い袋に注
入し、臭い袋中のガスを試験用アセトアルデヒドガスと
した。ホルムアルデヒド(37%試薬)5mlを1000ml容三
角フラスコに入れ、迅速にパラフィルムで蓋をし、30
℃のインキュベーターに10分間入れ、ガスを揮発させ
た。ここから50mlのガスをシリンジで取り、3リットル
の無臭空気の入った臭い袋に注入し、臭い袋中のガスを
試験用ホルムアルデヒドガスとした。トリメチルアミン
の場合には、3リットル容の臭い袋に90.0ppmのトリメ
チルアミン標準ガス(日本酸素株式会社製)を入れ、こ
れを試験用ガスとした。また、硫化水素の試験用ガスは
次のように調製した。試薬の硫化ナトリウム・9水和物
22mgを100mlの蒸留水に溶解し、これを20ml容ヘッドス
ペースバイアルに10ml入れ密栓した。この容器に、0.1
M塩酸0.2mlを注射器でゆっくりと加え、その後30℃
で10分間インキュベートした。インキュベート後のヘ
ッドスペースガスを試験に用いる硫化水素ガスとした。
調製した試験用ガスは、酢酸の場合には10ml、アセトア
ルデヒド、ホルムアルデヒドおよびトリメチルアミンの
3種の場合には100ml、硫化水素の場合には2mlをシリ
ンジで取り、甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルの入っ
たフラスコに加えた。尚、フラスコ内を陽圧にするため
酢酸の試験系には無臭空気90ml、硫化水素の試験系には
無臭空気100mlを直ちに加えた。各場合において1時間
後の悪臭成分の濃度を検知管で測定した。消臭比は、次
のようにして求めた: 消臭比=[(C−S)/C]×100 C:各時点における対照サンプル容器内の悪臭成分ガス
濃度、S:各時点における甘蔗由来の蒸留物サンプル容
器内の悪臭成分ガス濃度 結果を以下の表4に示した。甘蔗由来の蒸留物は、布に
しみ込ませた場合にもその化学消臭効果が発揮されるこ
とが明らかになった。この実験系では、汗などの代謝物
や、建物の建材、壁紙、家具などに使用される化学物質
から放出される悪臭の原因物質のうち、代表的なものを
使用した。また、この実験系では甘蔗由来の蒸留物を布
にしみ込ませて消臭効果を試験しているため、甘蔗由来
の蒸留物がフィルター、カーテン、壁紙などに使用する
消臭剤として有効であることが明らかになった。
【0058】
【表4】
【0059】実施例3 「一般消費者用芳香・消臭・脱
臭剤の自主基準」に基づく効力試験法による評価 芳香消臭脱臭剤協議会による、「一般消費者用芳香・消
臭・脱臭剤の自主基準」に基づく効力試験法による、液
体消臭剤抗力試験を行った。 0.05%アンモニア溶液の調製 28%アンモニア水(試薬)に95%(体積/体積)エ
タノールを加え、アンモニア濃度0.05%の溶液を調製し
た。 甘蔗由来の蒸留物の測定用サンプルおよび対照サンプ
ルの調製 1リットル容の三角フラスコに製造例2の甘蔗由来の蒸
留物を1ml入れ、さらに上記で調製した0.05%アンモ
ニア溶液0.05mlを入れてよく混ぜた後、ガラスコック付
きシリコン栓で密栓し、甘蔗由来の蒸留物の測定用サン
プルとした。また、別の1リットル容の三角フラスコに
は上記0.05%アンモニア溶液0.05mlのみを入れ、対照と
した。 測定 60分後に検知管を用いて気相中の悪臭成分の濃度を測
定し、対照の場合に対する蒸留物サンプルの場合の悪臭
成分濃度の割合を、消臭比として求めた。その結果、対
照のアンモニア濃度は38ppmであったのに対し、蒸留
物サンプルのアンモニア濃度は7ppmであり、消臭比は
82%であった。製造例2で得られた甘蔗由来の蒸留物
は、気相中のアンモニアの濃度を明らかに抑えることが
できた。この実施例3から、甘蔗由来の蒸留物は、効果
の高い消臭剤であると言える。
【0060】実施例4 メチルメルカプタンの官能試験
による消臭効果の確認 製造例1で得られた甘蔗由来の蒸留物の原液、製造例2
の蒸留物100倍希釈液(希釈溶媒:水)、製造例3の
蒸留物20倍希釈液(希釈溶媒:水)を、1.5ml容エッ
ペンドルフチューブに0.05ml入れた。これに1ppm(重量
/体積)のメチルメルカプタン水溶液0.5mlを加え、良
く攪拌したものを測定用サンプルとした。対照として、
メチルメルカプタン溶液のみを入れたものを用いた。こ
れらのサンプル及び対照を5人のパネラーに嗅がせ、消
臭効果と不快度を評価した。
【0061】消臭効果はメチルメルカプタンのにおいを
感じるかどうかを判断し、3:におわない、2:ほとん
どにおわない、1:ややにおう、0:におう、の4段階
で評価した。5人の評価の平均値を消臭効果として示し
た。また、不快度はサンプルに含まれるにおい全体につ
いて、−4:極端に不快、−3:非常に不快、−2:不
快、−1:やや不快、0:快でも不快でもない、の5段
階で評価した。5人の評価の平均値を不快度として示し
た。結果を以下の表5に示した。対照はメチルメルカプ
タンそのものであり、はっきりとにおいが感じられ、極
端に不快であるが、製造例1〜3で得られた甘蔗由来の
蒸留物は、このにおいを明らかに抑えることができた。
以上のことから、甘蔗由来の蒸留物は、効果の高い消臭
剤であるといえる。
【0062】
【表5】
【0063】実施例5 食後臭の除去効果 5人のパネラーに、餃子定食(肉そばと餃子)を食べさ
せた後、歯を磨かせ、製造例1で得られた甘蔗由来の蒸
留物を50ml、製造例2の蒸留物を100倍希釈(希
釈溶媒:水)したものを5ml、または製造例3で得ら
れた蒸留物を50倍希釈(希釈溶媒:水)したものを5
ml摂取させ、対照は未摂取とした。食後1時間目、2
時間目の呼気を臭気測定用袋にサンプリングした。呼気
のサンプルは、37℃で5分間インキュベートした後、
パネル3名による臭気官能試験法の9段階の快・不快度
表示により評価した。9段階の内容は、−4:極端に不
快、−3:非常に不快、−2:不快、−1:やや不快、
0:快でも不快でもない、+1:やや快、+2:快、+
3:非常に快、+4:極端に快である。官能試験の結果
は、3名の平均値をとり以下の表6に示した。この官能
試験法では、1ポイントの差は、かなり明確なにおいの
差であるため、甘蔗由来の蒸留物は高い食後臭除去効果
を示すことが明らかになった。
【0064】
【表6】
【0065】実施例6 生ゴミ臭に対する消臭効果 生ゴミを捨てるための45リットル容蓋付きプラスチッ
クペールの内側に、スポンジ(10cm×10cm×2cm)8個
をゴミに触れない位置につり下げ、1ヶ月間生ゴミを入
れるために使用した。生ゴミは、3日ごとに違うものに
取り替えた。1ヶ月後に、これらのスポンジを1つずつ
蓋付きシャーレに入れ、このスポンジに製造例1で得ら
れた甘蔗由来の蒸留物の原液、製造例2の蒸留物を10
0倍希釈したもの、製造例3の蒸留物を50倍希釈した
もの、または対照としての蒸留水を、10mlスプレー
し、蓋をした。5人のパネラーが、蒸留物スプレー直後
と1時間後に、これらのスポンジのにおいを嗅ぎ、臭気
官能試験法の9段階快・不快度表示により評価した。9
段階の内容は、−4:極端に不快、−3:非常に不快、
−2:不快、−1:やや不快、0:快でも不快でもな
い、+1:やや快、+2:快、+3:非常に快、+4:
極端に快である。官能試験の結果は、5人の平均値をと
り以下の表7に示した。この官能試験法では、1ポイン
トの差はかなり明確なにおいの差であり、甘蔗由来の蒸
留物には生ゴミ臭に対する高い消臭効果があることが明
らかになった。
【0066】
【表7】
【0067】実施例7 ミストスプレータイプ消臭剤 製造例1および2の消臭剤をそれぞれ20%及び0.1
%(共に体積/体積)になるように水で希釈し、ミスト
スプレーボトルに充填した。これらの試料を獣臭のある
大型犬と、その犬小屋に噴霧したところ、犬も犬小屋も
不快臭が消え、その効果は3日間持続した。
【0068】実施例8 エアゾールタイプ消臭剤 製造例1および2の消臭剤をそれぞれ60%及び1%
(共に体積/体積)となるように、またエタノール終濃
度が20%(体積/体積)になるようにエタノールおよ
び水で希釈し、得られた混合物の夫々を噴射ガス(LP
Gおよび二酸化炭素)と共にエアゾール容器に充填し
た。これらの試料を悪臭のある生ゴミに噴射したとこ
ろ、悪臭が抑えられ、その効果は24時間以上持続し
た。
【0069】実施例9 ゲル状消臭剤 カラギーナン2.2gを水85gに添加し、良く攪拌し
ながら70℃まで加熱し、完全に溶解させた。次にこの
混合物を冷却して50℃になったとき、製造例2で得ら
れた消臭剤15gを添加、混合し、全重量を100gに
なるよう水で調整し、200ml容量のビーカーに入
れ、冷却・固化させ、ゲル状消臭剤試料を得た。このゲ
ル状消臭剤を3個調製した。この試料をそれぞれ2.6
リットル容量のデシケーターに入れ、密閉し、20℃で
3時間安定化させた。悪臭物質であるトリメチルアミン
ガスを初期濃度約20ppmになるようにこのデシケー
ターに注入し、24時間後に悪臭濃度を検知管で測定
し、悪臭減少率を求めた。測定が終了したゲル状消臭剤
は次の測定までの間、300mlビーカーに個別に入れ、
20℃、湿度60%の恒温恒湿槽内で保存した。消臭効
果の測定は、ゲル状消臭剤を調製した当日、調製7日
後、調製14日後に行い、悪臭物質の残存濃度から消臭
率を求めた。結果を以下の表8に示した。なお、消臭率
は、次のようにして求め、3個の消臭剤のデータを平均
して示した: [1−(測定終了時の悪臭物質濃度)/(測定開始時の
悪臭物質濃度)]×100 本実施例で調製したゲル状消臭剤は、効果の高い消臭活
性を示した。
【0070】
【表8】
【0071】実施例10 加湿器による室内消臭 悪臭のある老人ホームで特に悪臭の強い部屋を選び、試
験対象とした。製造例2で得られた消臭剤を0.05%
(体積/体積)になるように水約1.5リットルに添加
し、加湿器にセットした。加湿器の運転は間欠タイマー
を用いて15分間に1分間の割合で断続的に作動させ
た。その結果、一日中悪臭が抑えられた。
【0072】実施例11 畜舎(養豚場)消臭 製造例2と同様な条件で調製した消臭剤の0.1%(体
積/体積)水溶液を調製し、これを消臭剤サンプルとし
た。これを養豚場の豚舎の加湿調整用の噴霧器のタンク
に入れ、間欠タイマーで15分間に1分間自動的に噴霧
した。その結果、豚舎内の空気の不快度は明らかに改善
した。また、陽圧式ウインドレス型・スクレーパー除糞
方式の豚舎の床面に消臭剤サンプルを床面1m2(総床
面積250m2)当たり15ml、1回散布した。散布
前後の豚舎内の空気(床から15cm上のところから採
取)のメチルアミンとアンモニアの濃度を検知管で測定
した。散布前の濃度に対する消臭率の経時変化を以下の
表9に示した。消臭剤の散布により、メチルアミンおよ
びアンモニアの濃度は明らかに減少した。
【0073】
【表9】
【0074】実施例12 畜産糞尿 酪農農家で発生する牛の糞尿混合物を牧草地にバキュー
ムカーを用いて散布し、散布直後に散布した周辺の5カ
所の空気を、悪臭採取用の袋に無臭ポンプを用いて採取
した。この空気をブランクとした。次に、散布した糞尿
混合物をトラクターで土と混ぜた。しばらくしてほとん
どにおいが無くなった後、製造例2と同様な条件で調製
した消臭剤0.6リットルを100リットルの水に溶か
し、バキュームタンクに入れ、ここに糞尿混合物6m3
を吸引し、これを牧草地に散布した。この散布直後に、
上記と同様に散布した周辺の5カ所で空気を悪臭採取用
の袋に無臭ポンプを用いて採取した。この空気をサンプ
ルとした。採取したブランクおよびサンプルを3リット
ル容量のにおい袋で10倍に希釈し、パネル5名がにお
いの評価を行った。評価は不快度で示し、−4:極端に
不快、−3:非常に不快、−2:不快、−1:やや不
快、0:快でも不快でもない、の5段階で評価した。各
5地点、5人のパネルの不快度の平均は、ブランクが−
3.2に対して、サンプルでは−1.8となり、明らか
に不快度が低下した。
【0075】実施例13 ペット用排泄物処理剤 製造例1および2で得られた消臭剤を用いて、ペット用
排泄物処理剤を調製した。製造例1の消臭剤を用いた場
合には、ベントナイト50部、木粉50部、消臭剤10
部、水40部を用いた。製造例2でと同様な条件で調製
した消臭剤を用いた場合には、ベントナイト50部、木
粉50部、消臭剤1部、水50部を用いた。原料はリボ
ンミキサーで混合し、ディスク型のペレッターで直径3
mm、長さ8〜20mmのペレッターを得た。これをさらに
ロータリードライヤーで乾燥させたものを試料とした。
また、対照として消臭剤を加えず、水を50部用いたも
のを調製した。これらの試料を20gずつ500ml容量
の三角フラスコにとり、0.5%アンモニア水2mlを加
え密栓し、30℃、20分間インキュベートした後、検
知管で気体部分のアンモニア濃度を測定した。また、試
料を入れずに同様の方法で試験し、測定されたアンモニ
ア濃度をブランク値とし、消臭率を算出した。その結果
を以下の表10に示した。対照にも含まれているベント
ナイトやゼオライトがアンモニアをある程度吸収するた
め、ブランクに比べ対照も消臭効果を有するが、本発明
の消臭剤を使用した処理剤は明らかにそれ以上の消臭効
果を示した。
【0076】
【表10】
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、甘蔗由来の蒸留物を悪
臭物質と接触させることにより、悪臭を低減もしくは消
去することができる。しかも、甘蔗由来の蒸留物は植物
由来であり、古来、ヒトがそのままかじっていた甘蔗、
飲用にしていた甘蔗汁などの天然の飲食物中に存在して
いる成分であるため、ヒト及び動物の健康を害すること
なく安全で、しかも環境にも安心して使用できる。ま
た、本発明による消臭剤は、ほとんどにおいが無く、ほ
ぼ無色透明であるため汎用性が高く、使用対象物のにお
い、色に影響を与えない。また、環境消臭用に塗布、散
布しても、環境を汚染することがない。これらのことか
ら、産業上非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 俊和 神奈川県鎌倉市小袋谷2−5−1三井製糖 大船寮304 Fターム(参考) 4C080 AA03 BB02 CC02 CC04 CC05 CC08 CC09 HH01 JJ01 KK01 LL02 MM31 QQ03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 甘蔗由来の蒸留物を有効成分とする消臭
    剤。
  2. 【請求項2】 甘蔗由来の蒸留物が、甘蔗汁および甘蔗
    の溶媒抽出物から選ばれる原料を蒸留して得られる蒸留
    物である請求項1記載の消臭剤。
  3. 【請求項3】 甘蔗由来の蒸留物が、甘蔗汁および甘蔗
    の溶媒抽出物から選ばれる原料を蒸留して得られた蒸留
    物を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処
    理することにより得られる画分である請求項1記載の消
    臭剤。
  4. 【請求項4】 前記カラムクロマトグラフィー処理が、
    固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに、甘蔗
    汁および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料を蒸留して
    得られた蒸留物を通液し、該合成吸着剤に吸着された成
    分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物
    から選ばれる溶媒で溶出する処理である請求項3記載の
    消臭剤。
  5. 【請求項5】 甘蔗由来の蒸留物が、甘蔗汁および甘蔗
    の溶媒抽出物から選ばれる原料を固定担体を用いたカラ
    ムクロマトグラフィーで処理して得た画分を蒸留するこ
    とにより得られる蒸留物である請求項1記載の消臭剤。
  6. 【請求項6】 前記カラムクロマトグラフィー処理が、
    固定担体としての合成吸着剤を充填したカラムに甘蔗汁
    および甘蔗の溶媒抽出物から選ばれる原料を通液し、該
    合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタ
    ノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出する
    処理である請求項5記載の消臭剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載の消臭
    剤を含む食品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項記載の消臭
    剤を含むエチケット消臭剤。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1項記載の消臭
    剤を含むペット用消臭剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれか1項記載の消
    臭剤を含む環境消臭剤。
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