JP2001083108A - 積層構造検査法、x線反射率装置および磁気記録再生装置 - Google Patents

積層構造検査法、x線反射率装置および磁気記録再生装置

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JP2001083108A
JP2001083108A JP25671399A JP25671399A JP2001083108A JP 2001083108 A JP2001083108 A JP 2001083108A JP 25671399 A JP25671399 A JP 25671399A JP 25671399 A JP25671399 A JP 25671399A JP 2001083108 A JP2001083108 A JP 2001083108A
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reflectance
rays
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Tatsumi Hirano
辰巳 平野
Katsuhisa Usami
勝久 宇佐美
Kazuhiro Ueda
和浩 上田
Takao Imagawa
尊雄 今川
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2波長以上のX線を用いることにより、精度の
高い積層構造評価が可能な検査方法及び反射率装置、並
びに本検査法を用いて高精度に成膜制御された磁気抵抗
型センサを提供することにある。 【解決手段】基板上に2層以上の薄膜を形成した積層体
にX線を低角度θで入射させ、積層体からのX線反射率
を測定し、該反射率を解析することで積層体の層構造を
検査する積層構造検査法において、積層体に入射するX
線に単一元素からの2種以上の特性X線を用い、各特性
X線で測定した反射率を解析することを特徴とする積層
構造検査法およびこの検査法の基づき解析する手段を備
えたX線反射率装置。前記検査法で較正した成膜装置で
作製された磁気抵抗型センサで構成された磁気記録装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に2層以上
形成された薄膜積層体のX線反射率を測定し、得られた
反射プロファイルを解析して、積層体の各層毎の膜厚や
密度が非破壊、かつ高精度で解析できる積層構造検査法
およびX線反射率装置並びにそれを用いた装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路、それを用いたデバイ
ス、磁気ファイル等の分野では、半導体層、絶縁層や金
属層を積層しパターン形成により素子を作製している。
素子の高機能・高性能化を目指して形成される膜は極薄
膜化と共に積層される膜数も増加している。このような
積層体の膜厚や密度は素子の特性に大きく影響するた
め、成膜制御性の高度化と共に精度の高い積層構造評価
が必要となっている。
【0003】X線反射率法は非破壊で積層体の層構造が
評価できる有効な手法である。従来の反射率測定装置を
図2に、その解析方法を図3に示す。X線源1からのX
線を結晶分光器3により分光した後、試料6に斜入射角
θで入射させ、試料からの反射X線を検出器10で検出
する。制御装置11により回転テーブル5を駆動させる
θ/2θ走査から反射率を測定する。スリット2、4は
入射X線をスリット7、9は反射X線を各々制限するも
のである。また、ソーラスリット8は反射X線の平行性
を高めるためのものである。得られた反射率を解析装置
12により解析し、各層の密度、膜厚等の結果を出力装
置13に出力する。図3に示す解析方法は、最小二乗法
により各層の複素屈折率(密度に比例)、膜厚、界面幅
を最適化する手法で、一般に用いられているアルゴリズ
ムである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】X線反射率法は、積層
体表面及び各界面で反射したX線の干渉により生じる反
射率プロファイル中の振動構造(例えば図8参照)を解
析する手法であるが、隣接した膜間の屈折率差(密度
差)が小さい場合には界面での反射X線強度が小さくな
り、各膜毎の解析精度の低下や、薄膜の物質構成によっ
ては解析が不可能になるという問題があった。この問題
克服のため積層体構成物質によるX線の屈折率異常分散
効果を利用することが、特開平10−38821号公報により
開示されているが、積層される膜数の増大(5層以上)
や膜自体の極薄膜化(数nm以下)に伴い解析精度が低
下するという問題は避けられない。
【0005】また、特開昭64−20405号公報では、2種
以上の波長のX線における反射強度変調の相互の位相か
ら膜厚を測定する方法が報告されているが、この方法は
膜内でのX線の多重散乱や吸収による位相シフトを考慮
していないため、膜厚を簡便に求められる一方で精度が
十分でないという問題がある。さらにまた、この方法は
単層膜にしか適用できず、2層以上の積層体には適用で
きない。
【0006】また、X線反射率法は、試料に対するX線
の入射角が大きくなると反射X線強度が急激に減少する
ため、高い精度で積層構造を解析するには、強度の高い
入射X線を用いる必要がある。
【0007】本発明の目的は、強度が高い2波長以上の
X線を用いた反射率法により、従来法に比べより精度の
高い積層構造評価が可能な積層構造検査方法およびそれ
を利用した装置の提供にある。更に、磁気記録再生装置
に搭載される磁気抵抗型センサは数nm厚の磁性及び非磁
性の薄膜積層体からなり、センサの磁気特性は各層の膜
厚に強く依存する。そこで、本発明の次の目的は本検査
法および装置により膜厚を高い精度で管理する成膜制御
及び膜厚管理により安定した性能を有する磁気抵抗型セ
ンサを搭載した磁気記録再生装置の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明による積層構造検査法の特徴は、基板上に2層以上の
薄膜を形成した積層体にX線を低角度θで入射させ、積
層体からのX線反射率を測定し、該反射率を解析するこ
とで積層体の層構造を検査する積層構造検査法におい
て、積層体に入射するX線に単一元素からの2種以上の
特性X線を用い、各特性X線で測定した反射率を解析す
ることにある。
【0009】また、本発明によるX線反射率装置の特徴
は、X線源、分光器、試料及び検出器の駆動台、検出器
及び制御部を備え、前記駆動台に設置した試料にX線を
照射し、試料からの反射X線を測定するX線反射率装置
において、測定に使用する2種以上の特性X線が単一元
素から発生するターゲットをX線源に備えたX線反射率
装置であって、前記の積層構造検査法に基づき解析する
解析手段を備えていることにある。
【0010】さらに、磁気記録媒体と、該媒体に書き込
まれた磁気信号を読み出す磁気抵抗型センサ、磁気信号
を書き込むライトヘッド、前記磁気抵抗型センサとライ
トヘッドを先端部に搭載して前記磁気記録媒体の半径方
向に駆動させるアーム、前記磁気記録媒体とアームの駆
動手段を制御する制御部、磁気信号の読みだしおよび書
き込みの信号を処理する信号処理手段を備えた磁気記録
再生装置において、前記磁気抵抗型センサの薄膜積層体
が前記のX線反射率装置により膜厚制御、管理された磁
気抵抗型センサで構成されていることを特徴とする磁気
記録再生装置にある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明によれば、2波長以上のX
線による反射率を用いるので、従来の1波長の反射率の
利用に比べて精度の高い積層構造の評価が可能となる。
以下に、上記理由について説明する。
【0012】基板にn−1層の膜が形成された積層体か
らのX線反射率を考える。複素屈折率n=1− δ − i
β、入射X線の視斜角θ、X線波長λ、膜厚tとし、散
乱ベクトルの大きさq=4πsinθ / λ、および複素屈
折率のδ、βをξ = (4π /λ) 2 δ、η = (4π /
λ) 2 βと変換して、q2 > ξ, ηの近似を用いると、
反射率Rは次式で表される。
【0013】
【数1】
【0014】数1中のφは反射X線の位相を表す量であ
り、膜厚等の関数である。数1で第1の和の項は表面及
び界面からの反射で、この項からは膜厚に関する情報は
引き出せない。一方、第2の和の項は表面及び界面で反
射したX線の干渉によるもので、反射率に振動構造があ
らわれる(図8参照)。この振動構造に積層体の各膜の
膜厚や密度の情報が入っている。振動の振幅を決める界
面での屈折率差(Δξj 2 + Δηj 2)は入射X線の波長
に依存するため、適切な波長選択により振動の振幅を大
きくすることで層構造の解析精度が向上する。
【0015】次に、X線の波長選択について検討した。
積層体としてはCrMnPt / CoFe /Cu / CoFe / NiFe
(SV膜)を想定した。最初に、吸収端より長い波長では
ηはξより一桁小さいのでΔηを無視すると、数1か
ら、Δξj × Δξkが大きいことが高精度な層構造解析
の要件となる。図4に想定したSV膜の積層構成で種々の
波長に対する各界面のΔξ2値を示す。CoKβ線はどの界
面からもΔξ2が大きく、SV膜の層構造解析に最も適し
ているといえる。一方、CuKβ線ではCuの異常分散効果
によりCuの上下界面でΔξ2は十分大きいものの、CoFe
/NiFe界面、CrMnPt/CoFe界面では非常に小さく、これ
らの分離評価が難しいことが判る。他の波長については
NiKα1線がやや大きいもののCoKβやCuKβ線に比べ総じ
て小さい。
【0016】これは、特開平10−38821号公報に記載さ
れているように、従来SV膜の層構造解析にCoKβ線が用
いられる由縁である。
【0017】次に、Δηを考慮した場合について述べ
る。吸収端前後の波長ではηには急激な飛びが生じ、波
長に対するその変化の大きさは物質によってはξの変化
より大きい場合がある。その結果として、例えばCuKα1
波長の場合、CoFe/NiFe界面では|Δξ|=0.35x10~4
に対し、|Δη|=1.58x10~4でΔηの方が4倍以上も
大きくなる。即ち、ηの絶対値がξに比べ小さくても反
射率へのηの効果は無視できないと考えられる。図5に
想定したSV膜の積層構成で、各界面のΔξ2 + Δη2
波長依存性を示す。CoKβ線がどの界面でも大きいのは
Δξ2のみの結果と同様である。CuKβ線では、Δξ2
同様の傾向を示しCuの上下界面での値は大きいがCrMnPt
/CoFe、CoFe/NiFe界面では小さい。一方、NiKβ線、C
uKα1線ではΔξ2+Δη2の値がΔξ2の値に比べCrMnPt
/CoFe界面以外の界面で数倍から1桁近く大きくなって
いる。また、NiKα1線、CoKα1線ではΔξ2+Δη2の値
がCrMnPt/CoFe界面で大きくなっている。反射率の解析
において、2波長以上のX線を用いれば、界面での屈折
率差を各波長で大きくできるので解析精度はより一層向
上すると考えられる。図5より、CoKβ線とCu−Kβ線の
組み合わせが最良である。しかし、Kβ線はKα線に比べ
一桁程度、強度が弱いため、測定時間が長くなるという
問題がある。さらに、Co、Cuの異なる元素からのX線を
利用するにはX線ターゲットを交換するという作業が必
要であり、測定効率が極端に劣化する。また、Co/Cuの
複合ターゲットを用いても単一ターゲットに比べX線の
発生効率が半減し、測定時間が長くなるという問題があ
る。
【0018】そこで、X線強度、X線ターゲットの寿
命、X線源の動作条件等を考慮して、単一の元素から発
生するKαおよびKβの特性X線に着目した。単一金属タ
ーゲットでの2波長法の観点から、どの波長の組み合わ
せが最適化という点について調べてみた。図5の結果だ
けからでは判らないため、界面に対し以下の式で定義さ
れる量AOM値で評価した。
【0019】 AOM=(Δξ2+Δη2)λ1・(Δξ2+Δη2)λ2 (数2) AOM値が大きいということは波長λ1、λ2に対し、各波
長とも反射率の振動の振幅に寄与することに対応し、ど
の界面でもAOM値が大きいことが高精度解析の要件とな
る。図6は想定したSV膜の各界面でのAOM値を求めた結
果である。CuKα1/CuKβ, CoKα1/CoKβ, NiKα1/NiK
βの組み合わせを示した。この結果から、CuKα1/CuK
β2波長法ではCuの上下界面の分離は非常に良いが、Co
Fe、NiFeの分離は難しい。CoKα1/CoKβ2波長法では
図5の結果を参照するとAOM値はほぼCoKβで決まってお
り2波長の効果が期待できないことが考えられる。これ
に対し、NiKα1/NiKβ線の組み合わせではCrMnPt/CoF
e界面のAOM値が小さいものの、SV膜で最も重要なCu, d
−CoFe, NiFe膜が関与している界面では相対的にAOM値
は大きい。また、 CoKα1/CoKβ2波長法でCu, d−CoF
e, NiFe膜が関与している界面でのAOM値が若干小さいも
のの、CrMnPt/CoFe界面のAOM値は大きい。以上から、
単一金属ターゲット2波長法ではNiKα1/NiKβおよびC
oKα1/CoKβが有効な2波長法と思われる。
【0020】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明
する。
【0021】(発明の実施形態1)まず、本発明による
検査方法およびX線反射率装置が従来法に比べて精度が
向上したことを説明する。
【0022】測定試料はガラス基板上に形成したSV膜で
ある。膜構成はTa(3)/CrMnPt(CMP)(20)/u−CoFe(3.9)
/Cu(2.3)/d−CoFe(1)/NiFe(5)/Ta(5)/ガラス基板と
した。括弧内は設定膜厚で単位はnmである。
【0023】図7は本発明の実施例の反射率装置の構成
図である。X線源1から発生する2種以上の特性X線を
結晶分光器3により1種類の特性X線に分光した後、試
料6に入射させる。試料からの反射X線をスリット7、
9及びソーラスリット8で成型及び平行化した後、検出
器10で計測する。
【0024】次に、個々の機能について説明する。X線
ターゲットには、フィラメント21からの電子線が照射
される回転表面にNiを形成したCuの回転対陰極を用いた
(Niターゲット)。X線源の動作条件は管電圧45kV、管
電流200mAである。このX線源からは、Ni−Kα1(波長0.
16579nm)、Kβ(波長0.15001nm)の特性X線が出射され
る。この時のNi−Kα1、Ni−Kβの強度は各々〜6Mcps、
〜1Mcpsであった。結晶分光器にはGe(111)のチャンネル
カット型の結晶を用いた。分光器駆動部15は結晶を回
転及び並進させる機能をもつ。X線源からのNi−Kα1波
長のX線を取り出すためにX線の結晶に対する視斜角を
14.7013 ゜に設定し、スリット4の位置を調整して分光
したX線を試料に照射した。また、 X線源からのNi−K
β波長のX線を取り出すためにX線の結晶に対する視斜
角を13.2750゜に設定し、かつ結晶を並進駆動させて先
に設定したスリット4を分光X線が透過するように調整
した。これにより各波長のX線の試料への入射角及び照
射位置を一致させることができた。分光器への入射スリ
ット2は幅0.1mm、高さ10mmに、出射スリット4は幅0.1m
m、高さ5mmに設定した。また、検出器前のスリット7は
幅0.2mm、高さ5mm、スリット9は幅0.2mm、ソーラスリッ
ト8は5度とした。回転テーブル5はθ、2θの2軸か
らなり、θテーブル上に設けた試料保持台を制御器11
により駆動して試料を入射X線に平行にアライメントで
きる。検出器には開口径1インチのシンチレーションカ
ンターを用いた。各駆動部は制御器11によりコントロ
ールできる。
【0025】次に測定及び解析手順を説明する。最初に
試料を光軸から退避させ、各波長のX線が取り出せるよ
うに結晶分光器を調整し、その設定角度及び並進位置を
記録する。次に、試料を光軸上に戻しX線と平行になる
ように試料をアライメントした後、試料を設定角度
(θ)に回転させると共に、2θアームを所定の角度
(2θ)に回転させる。測定は、試料のステップ角度0.
004゜でθ−2θ走査により反射X線強度を計測した。
最初にNi−Kα波長で反射率を測定した。次に、試料、
検出器を初期設定値に戻すと共に、結晶分光器をNi−K
β波長に設定し、その反射率を測定した。回転テーブル
5の駆動は制御器によりコントロールし、検出器からの
信号は制御器11をへて解析装置12に順次記録した。
【0026】解析は、角度q(度)、Δθ=一定の条件
で計測されている反射率データを散乱ベクトルの大きさ
q(=4πsinθ/λ)、Δq=一定でデータ変換したq表示
反射率で行った。q表示反射率では波長に直接的には依
存しないため、2波長の反射率の違いが一見して判ると
いう利点がある。図1に解析のアルゴリズムを示す。2
波長で測定した反射率をそのまま解析する点は、従来の
1波長で測定した反射率の解析と同じである。しかし、
最適化の条件判断として、各波長で計算した残差二乗和
の和を最小とする点が従来法と異なる。屈折率は波長依
存であるため、数1より2波長の反射率での振動構造
は、その振幅が異なる(図8参照)。本実施例では、こ
の異なる振動構造を合わせて解析するため、精度が向上
する。反射率の計算には、L.G.Paratt (Phys. Rev. 95,
359 (1954))及びL.Nevot and P.Croce (Rev. Phys. Ap
pl 15, 761 (1980))による理論式を用い、Ni−Kα1とNi
−Kβの2波長で計算した。計算にあたり各層の複素屈
折率は文献値(Sasaki; KEKReport, 88−14)を用い
た。前述のアルゴリズムをもとにした計算コードを用
い、解析装置12上で行い、その結果を出力装置13に
出した。解析に用いた層構造モデルは酸化層 / Ta / C
rMnPt / u−CoFe / Cu / d−CoFe / NiFe /反応層
/ Ta / 界面層 / ガラス基板とし、各層の屈折率、
膜厚、界面幅を最適化した。
【0027】図8(a)にNiKα1、NiKβによるSV膜からの
反射率を示す。横軸はq=4πsin(θ)/λであり、縦軸
は反射率で、NiKβのそれは2桁下げて表示してある。
また、図8(b)に両反射率の比を示した。両反射率は全
体の膜厚を反映している振動の最小周期はほぼ一致して
おり、また、全反射近傍の振動振幅のq 依存性も類似し
ている。しかし、q=0.1〜0.2の領域の振動プロファイ
ルは両波長で大きく異なっており、また比の値から両者
には周期的な違いが存在していることが判る。これはNi
Kα1とNiKβで膜中で受ける位相変化が異なることによ
る。このように両波長に明瞭な違いが存在していること
から、両反射率を同時に解析すれば、精度の高い結果が
得られる。
【0028】次に、NiKα1での反射率にNiKβの反射率
を接続して解析した結果を図9及び、表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】図9(a)は実験反射率と解析値を用いた計
算反射率とのフィッティングの様子を示した結果(点線
が測定反射率、実線が計算反射率)であり、図9(b)は
両者の比である。横軸はq=4πsinθ/λであるがNiKβ
反射率のqは見やすくするため一定量だけずらして表示
してある。縦軸は反射率或いは比の値の対数で示した。
図9(b)から判るようにNiKα1、NiKβ反射率ともqの全
範囲にわたりフィッティングは良好である。表1は各膜
の屈折率ξ、膜厚、界面幅の解析値である。解析値は繰
り返し精度を評価するため、全く独立にNiKα1反射率を
2回、NiKβ反射率を4回測定しそれぞれ組み合わせて
得られる8通りの結果の平均値である。誤差の範囲はこ
の時の1σで表わしてある。また、屈折率ξの値から算
出した密度も合わせて示した。この結果からNiKα1/Ni
Kβ2波長法により、屈折率(従って密度)は±1%以内
の誤差で、膜厚は最も薄い1nmのd−CoFe膜及び〜2nmのC
u膜は±0.02nmの繰り返し精度で解析可能であることが
判った。また、界面幅はNiFe/反応層界面以外は±0.05
nm程度の精度で求められた。
【0031】最後に、実験反射率と計算反射率との残差
2乗和のd−CoFe膜厚及びCu膜厚依存性を求めた。結果
を図10(a)(b)に示す。(a)はd−CoFeの場合であり、
(b)はCuの結果である。いずれも横軸はフィッティング
値からのずれの量で示した。2波長法との比較のためCo
Kβの1波長法の結果も合わせて示した。d−CoFe、Cuの
場合とも2波長法では膜厚をフィッティング値からずら
すと残差2乗和は急激に大きくなっているが、CoKβの
みの1波長法では残差2乗和の変化は非常に小さい。即
ち、1波長法ではd−CoFe、Cu膜厚とも非常に決めにく
いのに対し、2波長法では各膜厚が決めやすくなり精度
が向上しているのがわかる。
【0032】本実施例では、Niターゲットを用いたが、
CターゲットからのCoKα1,CoKβ線を用いても良い。ま
た、本実施例では、単一金属ターゲット(Niターゲッ
ト)からのKα1線、Kβ線を利用しているため、ターゲ
ットを交換する必要がなく測定効率に優れている。ま
た、複合ターゲットからのKβ線利用と比べても、1)X
線ターゲットのコスト減、2)X線ターゲットの長寿命化
という効果がある。また、Kα1線はKβ線に比べて一桁
程度、強度が高いため、高いS/N比で反射率が測定で
き、解析の高精度化が図れるという効果がある。
【0033】(発明の実施形態2)次に、磁気抵抗型セ
ンサについて説明する。成膜装置にはRFスパッタリング
装置を用い、CrMnPt、CoFe、Cu、NiFe、Taの各ターゲッ
トのスパッタレートを較正した。まず、スパッタリング
装置の制御部に組み込まれたスパッタレートを用いて、
基板上に1、2、4、8nmの設計膜厚で成膜した。CrMnPtに
ついては、10、20、40、80nmの設計膜厚で成膜した。次
に、これら較正用積層体を前述の反射率装置を用いて測
定、解析し各層の膜厚を解析した。解析した膜厚と成膜
時間から各ターゲットにおけるスパッタレートを直線回
帰でフィッティングして較正した。この操作をRFスパッ
タリング装置のRFパワー及びチェンバー内の圧力を変化
させた各々の成膜条件でスパッタレートを較正した。こ
れら操作により、膜厚を0.02nm以下、界面凹凸を0.05nm
以下、密度を1%以下の精度で制御することが可能とな
った。即ち、本発明による2波長反射率法は解析精度が
十分高いため、上記の精度での成膜制御が可能となる効
果がある。
【0034】次に、上記の較正された成膜装置を用いて
磁気抵抗型センサを数枚作製した。膜構成はTa(3) / C
rMnPt(30) / CoFe (3) / Cu(2.3) / CoFe(1) / NiF
e(5)/Ta(5) で括弧内の数値は設計膜厚でnm単位であ
る。成膜後、各センサの膜厚を反射率装置で測定、評価
した結果、膜厚は0.02nm以下で設計膜厚と一致した。各
センサとも膜厚が十分な精度で制御されているため、各
センサの感度はほぼ一致した。このセンサを組み込んだ
磁気記録再生装置の概略図を図11に示す。(a)は情報
が書き込まれる磁気記録媒体と磁気信号を読み出す磁気
抵抗型センサおよび磁気信号を書き込むライトヘッドが
先端部に搭載されているアームを示している。 円板中
心を軸に回転する媒体と円板の半径方向に駆動するアー
ムにより媒体のすべての場所に情報を記録・再生でき
る。(b)は磁気抵抗型センサとライトヘッドの構造を示
しており、○で囲んだ部位が磁気抵抗型センサで、この
面が媒体表面に近接した状態で記録信号を読み出す。
(c)は磁気抵抗型センサの膜構造を示している。媒体に
書き込まれた磁化の漏れ磁界による電極間の電気抵抗変
化により磁化信号を読み出す構造である。本センサを組
み込んだ各磁気記録再生装置は、各センサの感度が一致
しているため出力信号の変動幅が小さく、記録装置とし
て良好な歩留まりを示した。
【0035】本発明によれば、磁気抵抗型センサの主要
素である積層体の膜厚を高い精度で管理、制御できるの
で、各センサの性能を許容範囲内におさえることがで
き、性能が安定した磁気記録再生装置を生産できるとい
う効果が有る。
【0036】
【発明の効果】本発明による積層構造検査法およびX線
反射率装置によれば、単一金属ターゲットからの2種以
上の特性X線で測定した反射率を解析するため、1)高い
測定効率、2)ターゲットの低コスト化と長寿命化、3)高
いS/N比での反射率測定、4)従来に比べ精度の高い層構
造検査などの効果がある。更に、本発明による制御法に
よれば、磁気抵抗型センサの主要素である積層体の膜厚
を高い精度で管理、制御できるので、各センサの性能を
許容範囲内におさえることができ、性能が安定した磁気
記録再生装置を生産できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による2波長で測定した反射率を解析す
るアルゴリズムを説明する図である。
【図2】従来技術の反射率装置を説明する図である。
【図3】従来技術の1波長で測定した反射率を解析する
アルゴリズムを説明する図である。
【図4】SV膜各界面における種々の波長に対するΔξ2
を計算した図である。
【図5】SV膜各界面における種々の波長に対するΔξ2
+ Δη2を計算した図である。
【図6】SV膜各界面における単一ターゲットからの2波
長(Kα1,Kβ)に対するAOM値(数2参照)を計算した図で
ある。
【図7】本発明による一実施例のX線反射率装置の構成
図である。
【図8】Ta / CrMnPt / CoFe / Cu / CoFe / NiFe
/ Ta / ガラス基板積層体からのNiKα1,NiKβ線によ
る反射率(a)と反射率比(b)を示す図である。
【図9】Ta / CrMnPt / CoFe / Cu / CoFe / NiFe
/ Ta / ガラス基板積層体の2波長反射率法(NiKα1,
NiKβ線)による解析結果(a)と測定と計算との比(b)を示
す図である。
【図10】図9で示した積層体の解析において、基板側
のCoFe(d−CoFe)およびCuの膜厚を収束値からずらした
値(Δt)に固定して解析した際の測定反射率と計算反射
率との残差二乗和分布(χ2)を2波長法及び従来の1波
長での結果を示す図である((a)d-CoFe膜厚依存性、(b)
Cu膜厚依存性)。
【図11】本発明の磁気記録再生装置の構成を示す模式
図である。
【符号の説明】
1…X線源、2、4、7、9…スリット、3…分光器、
5…回転テーブル、6…試料、8…ソーラースリット、
10…検出器、11…制御部、12…解析装置、13…
出力装置、15…分光器駆動部、20…X線単一金属タ
ーゲット、21…フィラメント。
フロントページの続き (72)発明者 上田 和浩 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 今川 尊雄 茨城県ひたちなか市堀口730番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 Fターム(参考) 2F067 AA27 AA67 BB18 EE03 EE04 HH04 HH16 HH17 KK08 MM01 NN04 RR33 2G001 AA01 AA09 AA10 AA20 BA15 CA01 EA02 EA09 GA13 JA01 JA05 JA08 JA11 JA20 KA11 KA20 LA11 MA05 NA15 SA02 SA10 5D034 BA03 BB01 DA01 DA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に2層以上の薄膜を形成した積層
    体にX線を低角度θで入射させ、積層体からのX線反射
    率を測定し、該反射率を解析することで積層体の層構造
    を検査する積層構造検査法において、積層体に入射する
    X線に単一元素からの2種以上の特性X線を用い、各特
    性X線で測定した反射率を解析することを特徴とする積
    層構造検査法。
  2. 【請求項2】 X線源、分光器、試料及び検出器の駆動
    台、検出器及び制御部を備え、前記駆動台に設置した試
    料にX線を照射し、試料からの反射X線を測定するX線
    反射率装置において、測定に使用する2種以上の特性X
    線が単一元素から発生するターゲットをX線源に備えた
    X線反射率装置であって、請求項1に記載の積層構造検
    査法に基づき解析する解析手段を備えていることを特徴
    とするX線反射率装置。
  3. 【請求項3】 磁気記録媒体と、該媒体に書き込まれた
    磁気信号を読み出す磁気抵抗型センサ、磁気信号を書き
    込むライトヘッド、前記磁気抵抗型センサとライトヘッ
    ドを先端部に搭載して前記磁気記録媒体の半径方向に駆
    動させるアーム、前記磁気記録媒体とアームの駆動手段
    を制御する制御部、磁気信号の読みだしおよび書き込み
    の信号を処理する信号処理手段を備えた磁気記録再生装
    置において、前記磁気抵抗型センサの薄膜積層体が請求
    項2に記載のX線反射率装置により膜厚制御、管理され
    た磁気抵抗型センサで構成されていることを特徴とする
    磁気記録再生装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009168618A (ja) * 2008-01-16 2009-07-30 Hitachi Ltd 薄膜積層体の膜厚計測方法
JP2014025709A (ja) * 2012-07-24 2014-02-06 Yokogawa Electric Corp 放射線測定方法および放射線測定装置

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