JP2001073532A - 鋼製大引、鋼製大引による床の根太の支持構造および支持方法 - Google Patents

鋼製大引、鋼製大引による床の根太の支持構造および支持方法

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JP2001073532A
JP2001073532A JP25319499A JP25319499A JP2001073532A JP 2001073532 A JP2001073532 A JP 2001073532A JP 25319499 A JP25319499 A JP 25319499A JP 25319499 A JP25319499 A JP 25319499A JP 2001073532 A JP2001073532 A JP 2001073532A
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Osamu Ishiwatari
修 石渡
Toshihiko Okutsu
俊彦 奥津
Yoshimitsu Murahashi
喜満 村橋
Yoshimichi Kawai
良道 河合
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Misawa Homes Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Misawa Homes Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 床鳴りを防止できる鋼製大引、鋼製大引によ
る根太の支持構造および支持方法を提供する。 【解決手段】 床の根太(例えば床パネル30の枠体3
0c)を支持するための鋼製大引1(61)である。上
面2aに、鋼製大引1(61)の長手方向に沿った窪み
2c(62c)が形成された中空の鋼製大引本体2(6
2)と、窪み2c(62c)の両側に形成された通常時
支持面2d,2dと、窪み2c(62c)に形成された
ビス止め時支持面2e,2e(62e,62e)とを備
える。通常時支持面2d,2dは、通常時に根太の下面
に当接して、根太を下方から支持するものである。ビス
止め時支持面2e,2e(62e,62e)は、根太を
窪み2c(62c)の底部にビス止めすることにより底
部が上方に引っ張られた際に、根太(枠体30c)の下
面に当接して根太(枠体30c)を下方から支持するも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の床の根太
を支持するための鋼製大引、鋼製大引による根太の支持
構造および支持方法に関するものである。
【0002】
【背景の技術】一般に、住宅においては、1階床の根太
を支持するのには、木製の大引が使用されている。とこ
ろが、近年、木材の安定供給が困難になりつつあり、こ
のため、大引を鋼製化することが一部で行われている。
鋼製大引を使用した技術としては、例えば、特許第27
50273号公報および特許第2828240号公報に
記載のものが知られている。これら公報に記載の鋼製大
引は断面が正方形状のパイプ材からなり、鋼製束を介し
て束ベース上に支持される。この鋼製束は、断面L字状
の大引受具と、ベースプレートとをターンバックルで連
結して構成されたものであり、前記大引受具に鋼製大引
を装着するには、大引受具の底壁部と側壁部とにそれぞ
れ鋼製大引の底面と側面をそれぞれ当接したうえで、前
記大引受具の底壁部および側壁部にそれぞれ形成された
穴から、ボルトや釘等を鋼製大引にねじ込むまたは打込
むことによって行っている。そして、床パネル(床)
は、このように大引受け具に装着した鋼製大引の上部に
設けられるが、その際、所定箇所については、床パネル
の枠体(根太)は鋼製大引の上面に対してビス止めされ
る場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の技術では、床パネルの枠体を鋼製大引に対してビ
ス止めした箇所においては、鋼製大引の上面がビスによ
り上に引っ張られて上に凸な状態に反ってしまい、この
反り返った弧状の頂点により床パネルを1点支持するよ
うな状態となってしまう。従って、鋼製大引の十分な荷
重強度が得られず、その結果、床パネルに荷重がかかっ
たときには、床パネルが鋼製大引から十分な反力を得る
ことができず、鋼製大引の弧状部分が弾性変形するとと
もに床パネルが沈み込んで、床がきしみ音をたてる床鳴
りが発生してしまう可能性があるという問題があった。
【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、床鳴りを防止できる鋼製大引、鋼製大引による根太
の支持構造および支持方法を提供することを目的として
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
請求項1記載の発明は、床の根太(例えば床パネル30
の枠体30c)を支持するための鋼製大引1(51,6
1)であって、例えば図1および図2、図7、図8に示
すように、上面2aに、前記鋼製大引1(51,61)
の長手方向に沿った窪み2c(62c)が形成された中
空の鋼製大引本体2(52,62)と、前記窪み2c
(62c)の両側に形成された通常時支持面2d,2d
と、前記窪み2c(62c)に形成されたビス止め時支
持面2e,2e(62e,62e)とを備え、前記通常
時支持面2d,2dは、前記根太(枠体30c)を前記
窪み2c(62c)の底部(例えばビス止め面2f(6
2f))にビス止めしない通常時には、根太30cの下
面に当接して、該根太30cを下方から支持するもので
あり、前記ビス止め時支持面2e,2e(62e,62
e)は、前記根太30cを前記窪み2c(62c)の底
部2f(62f)にビス止めすることにより該底部2f
(62f)が上方に引っ張られた際に、根太30cの下
面に当接して該根太30cを下方から支持するものであ
り、前記通常時支持面2e,2eは、根太30cを窪み
2c(62c)の底部2f(62f)にビス止めする際
に前記根太30cの下面から離間するものであることを
特徴としている。
【0006】前記鋼製大引本体2(52,62)は中空
であれば、その断面の概略形状はどのような形状でもよ
いが、例えば正方形状、長方形状、台形状、その他の多
角形状のものが望ましい。鋼製大引本体2(52,6
2)の上面2a(62a)に形成された窪み2c(62
c)は、鋼製大引本体2(52,62)の長手方向に沿
って、一方の端部から他方の端部まで連続して形成され
ていることが望ましい。また、この窪み2c(62c)
の両側に形成された通常時支持面2d,2dは、鋼製大
引本体2(52,62)の長手方向に沿って、一方の端
部から他方の端部まで連続して形成されていることが望
ましく、この通常時支持面2d,2dは、鋼製大引本体
2(52,62)を鋼製大引用床束10に取り付けた際
に水平となる平面であることが望ましい。さらに、窪み
2c(62c)に形成されたビス止め時支持面2e,2
e(62e,62e)は、鋼製大引本体2(52,6
2)の長手方向に沿って、一方の端部から他方の端部ま
で連続して形成されていることが望ましく、このビス止
め時支持面2e,2e(62e,62e)は、床の根太
30cを窪み2c(62c)の底部2f(62f)にビ
ス止めした際に水平となる平面であることが望ましい。
加えて、床の根太30cを窪み2c(62c)の底部2
f(62f)にビス止めしない通常時には通常時支持面
2d,2dと鋼製大引本体2(52,62)の下面2
b,2bとが互いに平行となる一方で、床の根太30c
を窪み2c(62c)の底部2f(62f)にビス止め
したビス止め時にはビス止め時支持面2e,2e(62
e,62e)と鋼製大引本体2(52,62)の下面2
b,2bとが互いに平行となることが望ましい。
【0007】また、通常時の通常時支持面2d,2d
と、ビス止め時のビス止め時支持面2e,2e(62
e,62e)とは、互いに鉛直位置が等しくなるように
なっていることが望ましい。そのために、例えば、ビス
止め時に、窪み2c(62c)の底部2f(62f)が
上方に引っ張られてビス止め時支持面2e,2e(62
e,62e)が水平になる一方で通常時支持面2d,2
dが傾斜する際に、鋼製大引本体2(52,62)の両
側壁3,4(53,54)の上部が互いに離間する方向
に該両側壁3,4がそれぞれ撓んで、鋼製大引本体2
(52,62)の下面2b,2bから、鋼製大引本体2
(52,62)の両側壁3,4(53,54)と上面2
a(62a)との交差部分までの鉛直位置の差が小さく
なるようになっていればよい。これにより、ビス止め時
支持面2e,2e(62e,62e)が両側壁3,4に
対して相対的に隆起しても、下面2b,2bからビス止
め時支持面2e,2e(62e,62e)までの距離
は、通常時の通常時支持面2d,2dと下面2b,2b
との距離と等しくなるようにできる。そして、これによ
り、通常時の通常時支持面2d,2dと、ビス止め時の
ビス止め時支持面2e,2e(62e,62e)との鉛
直位置が互いに等しくなるようにできる。
【0008】鋼製大引本体2の両側壁3,4の双方に
は、例えば、係合部6,6がそれぞれ形成され、これら
係合部6,6は、鋼製大引本体2(52,52)を下方
から支持する鋼製大引用床束10と凹凸係合するような
形状のものが望ましく、例えば、鋼製大引本体2の両側
壁3,4の双方にそれぞれ、該鋼製大引本体2の長手方
向に沿う係合面6または凸条を形成したものが好適であ
る。なお、鋼製大引本体2の両側壁3,4の双方にそれ
ぞれ係合面6を形成した場合には、鋼製大引用床束10
に該係合面6に係合可能な凸部(被係合部23,24)を
形成し、鋼製大引本体2の両側壁3,4の双方に上下の
凸条を形成した場合には、鋼製大引用床束10に該凸条
に係合可能な凹部を形成する。
【0009】あるいは、鋼製大引本体52,62の両側
壁53,54の双方には、例えば、上下の係合部5,6が
それぞれ形成され、これら係合部5,6は、鋼製大引本
体52,62を下方から支持する鋼製大引用床束10と
凹凸係合するような形状のものが望ましく、例えば、鋼
製大引本体52,62の両側壁53,54の双方にそれ
ぞれ、該鋼製大引本体52,62の長手方向に沿う上下
の凹溝5,6または凸条を形成したものが好適である。
なお、鋼製大引本体52,62の両側壁53,54の双
方にそれぞれ上下の凹溝5,6を形成した場合には、鋼
製大引用床束10に該上下の凹溝5,6に係合可能な凸
部(被係合部23,24)を形成し、鋼製大引本体52,
62の両側壁の双方に上下の凸条を形成した場合には、
鋼製大引用床束10に該凸条に係合可能な凹部を形成す
る。
【0010】また、前記鋼製大引1(51,61)は、
鋼製大引本体2(52,62)の上面2a(62a)の
幅を、下面2b,2bの幅より大きく設定してもよい。
鋼製大引本体2(52,62)の上面2a(62a)の
幅を下面2b,2bの幅より大きく設定するには、例え
ば鋼製大引本体2(52,62)の断面形状を逆台形状
とすればよいが、これに限ることなく、鋼製大引本体2
(52,62)の断面形状を、上辺が下辺より長い異形
の多角形状とすればよく、あるいは、多角形状でなくて
も、上辺が下辺より長ければ、どのような形状でもよ
い。上記のように、鋼製大引本体2(52,62)の上
面2a(62a)の幅を、下面2b,2bの幅より大き
く設定すれば、床30の根太30cが広い面で支持さ
れ、よって安定良く床が支持される。
【0011】また、ビス50による床パネル30と鋼製
大引1(51,61)との締結力を、床パネル30の反
りによって床パネル30から鋼製大引1(51,61)
に作用する引張力(例えば70kg)以上に設定するこ
とにより、床パネル30に木材の乾燥等に起因する若干
の反りが生じてもビス止め時支持面2e,2e(62
e,62e)が床パネル30に密接した状態を維持する
ことができ、好適に床鳴りを防止できる。
【0012】請求項1の鋼製大引においては、根太30
cを窪み2c(62c)の底部2f(62f)にビス止
めしない通常時には、通常時支持面2d,2dが根太3
0cの下面に当接して、該通常時支持面2d,2dによ
り該根太30cを下方から支持することができる。ま
た、根太30cを窪み2c(62c)の底部2f(62
f)にビス止めすることにより、底部2f(62f)が
上方に引っ張られてビス止め時支持面2e,2e(62
e,62e)が根太30cの下面に当接し、該ビス止め
時支持面2e,2e(62e,62e)により根太30
cを下方から支持することができる。つまり、根太30
cを鋼製大引1(51,61)上に載置しただけの状態
でも、根太30cを鋼製大引1(51,61)上にビス
止めした状態でも、鋼製大引1(51,61)により根
太30cを安定的に支持することができる。
【0013】従って、床の根太30cを鋼製大引1(5
1,61)に対してビス止めした箇所において、鋼製大
引1(51,61)の上面2a(62a)がビスにより
上に引っ張られて上に凸な状態に反ってしまい、この反
り返った弧状の頂点により床30を1点支持する状態と
なってしまうなどといったことを防止でき、その結果、
床30に荷重がかかったときに、床30が鋼製大引1
(51,61)から十分な反力を得ることができず、鋼
製大引1(51,61)の弧状部分が弾性変形するとと
もに床30が沈み込んで、床30がきしみ音をたてる床
鳴りが発生してしまうといった問題を防止できる。以上
要するに、ビス止め時に根太30cを下方から支持する
ビス止め時支持面2e,2e(62e,62e)を備え
たので、ビス止め時の鋼製大引1(51,61)の荷重
強度を高めることができる。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の鋼
製大引1(51,61)において、前記ビス止め時支持
面2e,2e(62e,62e)と前記通常時支持面2
d,2dとは前記鋼製大引本体2(52,62)の幅方
向において隣り合うとともに連続的に形成されているこ
とを特徴としている。
【0015】請求項2記載の発明によれば、ビス止め時
支持面2e,2e(62e,62e)と通常時支持面2
d,2dとが鋼製大引本体2(52,62)の幅方向に
おいて隣り合うとともに連続的に形成されているので、
通常時支持面2d,2dにより根太30cの下面を支持
した状態のときに根太30cを窪み2c(62c)の底
部2f(62f)にビス止めした際に、通常時支持面2
d,2dとビス止め時支持面2e,2e(62e,62
e)との境目を支点として鋼製大引本体2(52,6
2)の上面2a(62a)が、その中心を境にした左右
両側が、根太30cの下面に対してそれぞれ外側に転動
するようにして、通常時支持面2d,2dにより根太3
0cの下面を支持した状態からビス止め時支持面2e,
2e(62e,62e)により根太30cを支持した状
態への移行を極めてスムーズに行うことができる。
【0016】請求項3記載の発明は、例えば、図1また
は図7に示すように、請求項1または2記載の鋼製大引
1(51)において、前記窪み2cの底部2fの、前記
鋼製大引本体2(52)の幅方向における両縁部に前記
ビス止め時支持面2e,2eが形成され、前記窪み2c
の底部2fは、前記根太30cを該窪み2cの底部2f
にビス止めした時に、該根太30cに当接しないように
上に凸に反り返るものであることを特徴としている。
【0017】請求項3記載の発明によれば、前記窪み2
cの底部2fは、前記根太30cを該窪み2cの底部2
fにビス止めした時に、該根太30cに当接しないよう
に上に凸に反り返るものであるので、根太30cを窪み
2cの底部2fにビス止めした時に、底部2fが上に凸
に反り返った状態においても、窪み2cの底部2fが根
太30cから離間した状態となる。従って、ビス止めの
過程において窪み2cの底部2fが根太30cの下面に
当接してしまうことにより、ビス止め時支持面2e,2
eが根太30cの下面にぴったりと当接することが妨げ
られるといったことがない。よって、ビス止めした状態
では確実にビス止め時支持面2e,2eが根太の下面に
ぴったりと当接し、根太30cの下面を支持することが
できる。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれかに記載の鋼製大引1(51)において、前記ビス
止め時支持面2e,2eと前記通常時支持面2d,2d
との面積がほぼ等しいことを特徴としている。
【0019】請求項4記載の発明によれば、ビス止め時
支持面2e,2eと通常時支持面2d,2dとの面積が
ほぼ等しいので、ビス止め時支持面2e,2eによって
根太30cを支持したときと、通常時支持面2d,2d
によって根太30cを支持したときとで、同様の安定性
が得られる。
【0020】請求項5記載の発明は、例えば、図1に示
すように、請求項1〜4のいずれかに記載の鋼製大引1
において、前記鋼製大引本体2の両側壁3,4の双方の
下端部にそれぞれ形成されて、該鋼製大引本体2を下方
から支持する鋼製大引用床束10が係合する係合部6,
6を備え、この係合部6,6よりも上部において、前記
両側壁3,4の双方は、上方に向かうほど互いに離間す
るように各々直線状に起立する起立部3a,4aを有す
ることを特徴としている。
【0021】請求項5記載の発明によれば、鋼製大引本
体2の両側壁3,4の双方の下端部に形成された係合部
6,6に鋼製大引用床束10を係合させて、この鋼製大
引用床束10により鋼製大引本体2を下方から支持させ
ることができる。また、係合部6,6よりも上部におい
て、両側壁3,4の双方は、各々直線状に起立する起立
部3a,4aを有するので、鋼製大引本体2の優れた荷
重強度が得られる。さらに、起立部3a,3aは、上方
に向かうほど互いに離間するようになっているので、鋼
製大引本体2の下部よりも上部の方が幅広となるように
(下面2bよりも上面2aの方が幅広となるように)構
成できる。従って、床30の根太30cがより広い面で
支持され、安定良く床が支持される。
【0022】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のい
ずれかに記載の鋼製大引1(51,61)により床(床
パネル)の根太30cを支持する支持構造であって、前
記鋼製大引1(51,61)の長手方向に沿って、前記
根太30cを前記窪み2c(62c)の底部2f(62
f)に対してビス止めして前記ビス止め時支持面2e,
2e(62e,62e)により前記根太30cの下面を
支持した部分と、前記ビス止めをせず前記通常時支持面
2d,2dにより前記根太30cの下面を支持した部分
とを備えていることを特徴としている。
【0023】請求項6記載の発明によれば、鋼製大引1
(51,61)の長手方向に沿って、根太30cを窪み
2c(62c)の底部2f(62f)に対してビス止め
してビス止め時支持面2e,2e(62e,62e)に
より根太30cの下面を支持した部分と、ビス止めをせ
ず通常時支持面2d,2dにより根太30cの下面を支
持した部分とを備えているので、根太30cを鋼製大引
1(51,61)に対してビス止めした部分において
も、ビス止めしない部分においても、ともに鋼製大引1
(51,61)により根太30cを安定的に面支持する
ことができる。
【0024】従って、床の根太30cを鋼製大引1(5
1,61)に対してビス止めした箇所において、鋼製大
引1(51,61)の上面2a(62a)がビスにより
上に引っ張られて上に凸な状態に反ってしまい、この反
り返った弧状の頂点により床30を1点支持する状態と
なってしまうなどといったことを防止でき、その結果、
床30に荷重がかかったときに、床30が鋼製大引1
(51,61)から十分な反力を得ることができず、鋼
製大引1(51,61)の弧状部分が弾性変形するとと
もに床30が沈み込んで、床30がきしみ音をたてる床
鳴りが発生してしまうといった問題を防止できる。要す
るに、ビス止め時に根太30cを下方から支持するビス
止め時支持面2e,2e(62e,62e)を備えたの
で、ビス止め時の鋼製大引1(51,61)の荷重強度
を高めることができる。
【0025】ここで、床30には、この床30を構成す
る木材の乾燥などに起因して、若干の凸状の反りが生じ
てしまう場合がある。このとき、鋼製大引1(51,6
1)は、ビス50を介して床30から引張力を受ける。
この引張力よりも、ビス50による鋼製大引1(51,
61)と床30との締め付け力が小さい場合には、床3
0の反り(変形量)が極端に大きくなってしまう。そし
て、この結果、床30の根太30cと鋼製大引1との間
隔が大きくあいてしまい、床鳴りの原因となってしま
う。
【0026】このことについて図9を用いて模式的な説
明を行う。図9は床30の枠体30cを窪みの底部2f
に対してビス止めしたビス50の締結力が、床30の反
りによって床30から鋼製大引1(51,61)に作用
する引張力より小さい場合の、鋼製大引1(51,6
1)の上フランジ面の変形量を模式的に示した図であ
る。同図において、床30による引張力が作用する前の
状態が実線で示され、床30による引張力が作用した状
態が仮想線で示される。同図に示すように、ビス50の
締結力が小さい場合は、床30が反ろうとする作用を規
制する力が小さいため、鋼製大引1の側壁3,4の上端
と床30の根太30cとの間隔Dが大きくあいてしまう
とともに、鋼製大引1のビス止め時支持面2e,2eと
床30の根太30cとの間隔Cが大きくあいてしまうこ
とになる。
【0027】そこで、請求項7記載の発明は、請求項6
記載の鋼製大引による床の根太の支持構造において、前
記根太30cを前記窪みの底部2f(62f)に対して
ビス止めしたビス50の締結力を、床30の反りによっ
て床30から鋼製大引1(51,61)に作用する引張
力以上に設定したことを特徴としている。
【0028】請求項7記載の発明においては、前記根太
30cを前記窪みの底部2f(62f)に対してビス止
めしたビス50の締結力を、床30の反りによって床3
0から鋼製大引1(51,61)に作用する引張力以上
に設定したので、このビス50の締結力が、床30が上
に向けて凸状に反り返ろうとする力に拮抗して、床30
の反りを小さく抑えることができる。よって、床30を
構成する木材の乾燥等に起因して、床30が反り返ろう
とする力が働いても、ビス止め時支持面2e,2e(6
2e,62e)が床パネル30に密接した状態を維持す
ることができ、好適に床鳴りを防止できる。
【0029】ここで、床パネル30の反りによって床パ
ネル30から鋼製大引1(51,61)に作用する引張
力は、例えば70kg程度であり、従って、ビス50に
よる床パネル30と鋼製大引1(51,61)との締結
力も、例えば、70kg程度以上に設定する。
【0030】また、ビス50の締結力を、床30の反り
によって床30から鋼製大引1(51,61)に作用す
る引張力以上に設定するとともに、このような大きな締
結力によっても鋼製大引1(51,61)の鋼製大引本
体2(52,62)のビス止め面2f(62f)が変形
することがないように、該ビス止め面2f(62f)の
曲げ剛性も大きく設定することが望ましい。即ち、ビス
止め面2f(62f)の曲げ剛性を、床30の反りによ
ってビス50を介して床30からビス止め面2f(62
f)に作用する引張力に抗しうる大きさに設定すること
が望ましい。
【0031】さらに、ビス止め時には、両ビス止め面2
f(62f)によって、ビス50を介した引張力の半分
がそれぞれ受けられた状態となり、これら両ビス止め面
2f(62f)がそれぞれビス50の締結力によるビス
止め面2f(62f)の曲げ支点となっていると見なせ
る。また、ビス止め面2f(62f)の上方向への変形
量は、ビス50がビス止め面2f(62f)に止められ
たビス止め位置から、前記曲げ支点までの距離の3乗に
比例する。即ち、ビス止め面2f(62f)の、鋼製大
引1(51,61)の長手方向に直交する方向における
長さ、即ち、ビス止め面2f(62f)の幅が大きいほ
ど、ビス止め面2f(62f)の上方向への変形量は大
きくなる。よって、ビス止め面2fの幅も最適な値に設
定する必要がある。即ち、床30の反りによる引張力を
予測した上で、ビス止め面2f(62f)の曲げ剛性、
ビス止め面2f(62f)の幅、およびビス50の締結
力の3要素を最適な値に制御する必要がある。
【0032】請求項8記載の発明は、請求項1〜5のい
ずれかに記載の鋼製大引1(51,61)により床の根
太30cを支持する支持方法であって、先ず、前記鋼製
大引1(51,61)の上面2aに前記根太30cを載
置して、前記通常時支持面2d,2dにより前記根太3
0cの下面を支持させた状態にし、次いで、前記根太3
0cの所定箇所については前記窪み2c(62c)の底
部2f(62f)に対してビス止めを行い、前記所定箇
所近傍においては、前記通常時支持面2d,2dによる
支持状態から、前記ビス止め時支持面2e,2e(62
e,62e)による支持状態に移行させて、前記鋼製大
引1(51,61)の長手方向に沿って前記通常時支持
面2d,2dにより前記根太30cの下面を支持した部
分と、前記ビス止め時支持面2e,2e(62e,62
e)により前記根太30cの下面を支持した部分とを設
けることを特徴としている。
【0033】請求項8記載の発明によれば、先ず、鋼製
大引1(51,61)の上面2a(62a)に根太30
cを載置して、通常時支持面2d,2dにより根太30
cの下面を支持させた状態にし、次いで、根太30cの
所定箇所については窪み2c(62c)の底部2f(6
2f)に対してビス止めを行い、前記所定箇所近傍にお
いては、通常時支持面2d,2dによる支持状態から、
ビス止め時支持面2e,2e(62e,62e)による
支持状態に移行させて、鋼製大引1(51,61)の長
手方向に沿って通常時支持面2d,2dにより根太30
cの下面を支持した部分と、ビス止め時支持面2e,2
e(62e,62e)により根太30cの下面を支持し
た部分とを設けるので、根太30cを鋼製大引1(5
1,61)に対してビス止めした部分においても、ビス
止めしない部分においても、ともに鋼製大引1(51,
61)により根太30cを安定的に面支持することがで
きる。
【0034】従って、床の根太30cを鋼製大引1(5
1,61)に対してビス止めした箇所において、鋼製大
引1(51,61)の上面2a(62a)がビスにより
上に引っ張られて上に凸な状態に反ってしまい、この反
り返った弧状の頂点により床30を1点支持する状態と
なってしまうなどといったことを防止でき、その結果、
床30に荷重がかかったときに、床30が鋼製大引1
(51,61)から十分な反力を得ることができず、鋼
製大引1(51,61)の弧状部分が弾性変形するとと
もに床30が沈み込んで、床30がきしみ音をたてる床
鳴りが発生してしまうといった問題を防止できる。要す
るに、ビス止め時に根太30cを下方から支持するビス
止め時支持面2e,2e(62e,62e)を備えたの
で、ビス止め時の鋼製大引1(51,61)の荷重強度
を高めることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態例について説明する。図1は本発明に係る鋼製
大引1の一例を示す横断面図、図2は鋼製大引1によっ
て床パネル30を支持した状態を示す斜視図、図3は鋼
製大引1を支持する鋼製大引用床束10を示す正面図、
図4は鋼製大引用床束10の受部13の斜視図、図5の
(A)は鋼製大引1の通常時支持面2dにより床の根太
(床パネル30の枠体30c)を支持した状態を示す横
断面図、図5の(B)は鋼製大引のビス止め時支持面2
eにより床の根太(床パネル30の枠体30c)を支持
した状態を示す横断面図、図6は通常時支持面2dによ
り根太30cを支持した部分とビス止め時支持面2eに
より根太30cを支持した部分との配置の一例を示す概
念図、図10は床パネル30の枠体30cを窪みの底部
2fに対してビス止めしたビス50の締結力が、床パネ
ル30の反りによって床パネル30から鋼製大引1に作
用する引張力以上に設定した場合の、鋼製大引1の上フ
ランジ面の変形量を模式的に示した図である。
【0036】鋼製大引本体2は中空の長尺な筐体であ
り、その横断面は略長方形状に形成されている。この鋼
製大引本体2の上面2aには、鋼製大引1の長手方向に
沿った窪み2cが、鋼製大引本体2の一方の端部から他
方の端部まで連続して形成されている。この窪み2cの
底部は、図1に示すように段部2g,2gを境とした2
段構成となっており、上段のビス止め時支持面2e,2
eと、下段のビス止め面2fとを有している。このう
ち、ビス止め時支持面2e,2eは、床の根太(例えば
床パネル30の枠体30c;図2参照)を窪み2cの底
部のビス止め面2fにビス止めするビス止め時に該底部
が上方に引っ張られた際に、鋼製大引本体2の下面2
b,2bと平行になるとともに枠体30c下面に当接し
て、枠体30cを下方から支持するものである。また、
ビス止め時支持面2e,2eが鋼製大引本体2の下面2
b,2bと平行になった状態では、これらビス止め時支
持面2e,2eが互いに面一となるようになっている。
【0037】また、窪み2cの両側には通常時支持面2
d,2dが形成されている。この通常時支持面2d,2
dは、鋼製大引本体2の長手方向に沿って、一方の端部
から他方の端部まで連続して形成されており、互いに面
一に形成されている。これら通常時支持面2e,2e
は、枠体30cを窪み2cの底部にビス止めしない通常
時には下面2b,2bと平行であるとともに枠体30c
の下面に当接して、該枠体30cを下方から支持するも
のである。さらに、この通常時支持面2d,2dは、枠
体30cを窪み2cの底部にビス止めする際に枠体30
cの下面から離間するものである。
【0038】さらに、図1に示すように、ビス止め時支
持面2e,2eと通常時支持面2d,2dとは鋼製大引
本体2の幅方向において隣り合うとともに連続的に形成
されている。また、図1から分かるように、ビス止め時
支持面2e,2eと通常時支持面2d,2dとの面積は
ほぼ等しく設定されている。
【0039】この鋼製大引本体2の両側壁3,4の双方
には、該鋼製大引本体2を下方から支持する、後述する
鋼製大引用床束10が係合する係合部6,6が形成され
ている。これら係合部6,6は、両側壁3,4の双方に
それぞれ形成された、鋼製大引本体2の長手方向に沿う
凹溝であり、係合部6,6どうしは、鋼製大引本体2の
下面からの高さが等しく設定されている。つまり、鋼製
大引本体2の両側壁3,4には、左右対称に係合部6,
6が形成されている。
【0040】さらに、これら係合部6,6よりも上部に
おいて、両側壁3,4の双方は、上方に向かうほど互い
に離間するように各々直線状に起立する起立部3a,4
aを有している。
【0041】鋼製大引本体2の下面2b,2bには開口
部8が形成されている。この開口部8は、鋼製大引本体
2の長手方向に沿って、その一方の端部から他方の端部
まで連続して形成されたものであり、開口部8の両側に
はそれぞれ鋼製大引本体2の下面2b,2bに対して垂
直に起立する起立壁8a,8aが鋼製大引本体2の長手
方向に沿って連続して形成されている。
【0042】次に上記構成の鋼製大引1を支持する鋼製
大引用床束10について説明する。全体図示は省略する
が、地盤上には複数の基礎K…(図2参照)が平行に一
定間隔で設置されており、各基礎K上には複数の鋼製大
引用床束10…が所定のピッチWで設置されている。こ
のピッチWは、建物のモジュール寸法の整数倍に設定さ
れており、例えばモジュール寸法を910mmとする
と、その2倍の1820mmに設定されている。なお、
モジュール寸法とは、建物のあらゆる部分を一定の大き
さの倍数関係に整えようとするときの基準になる寸法の
ことをいい、上述した910mmの他に、1000m
m、900mm、800mm等とされている。
【0043】鋼製大引用床束10は、図3ないし図4に
示すように、基礎K上に固定されるベースプレート11
と、このベースプレート11上に垂直に立設された床束
本体12と、この床束本体12の上端部に設けられて前
記鋼製大引1を受ける受部13とから構成されている。
【0044】前記ベースプレート11は長方形板状をな
すもので、該ベースプレート11には基礎Kから突出す
るアンカーボルトT,Tを挿通するための孔11a,11
aが形成されている。そして、ベースプレート11は、
アンカーボルトT,Tを前記孔11a,11aに挿通した
うえでアンカーボルトTの上端部に座金14を挿通して
ナット15を螺合して締め付けることで、基礎K上に固
定されている。
【0045】前記床束本体12はスリーブ状をなす軸部
16と、この軸部16の両端部に螺合された上下一対の
ボルト17,17と、該ボルト17,17に前記軸部16
の上下端部でそれぞれ螺合されたナット18,18とか
ら構成されている。この床束本体12は、ボルト17,
17を回転不能にしたうえで、前記軸部16を正逆方向
に回転させることで、該ボルト17,17が軸部16の
上下端部から伸縮し、これによって長さ調整ができるよ
うになっており、この調整後、前記ナット18,18を
締め付けることで、軸部16を回転不能に固定して床束
本体16の長さを決定できるようになっている。
【0046】前記受部13は、図4に示すように、前記
鋼製大引1の下面2bが当接されて、該下面2bを下方
から支持する底壁部20と、この底面部20の両縁部に
それぞれ形成されて、前記鋼製大引1の両側面にそれぞ
れ当接する側壁部21,22と、該両側壁部21,22に
それぞれ形成されて、前記鋼製大引本体2の両側壁3,
4の双方にそれぞれ形成された係合部6,6に係合可能
な被係合部23,24と、前記底壁部20に形成され
て、前記鋼製大引1の下面2bの開口部8に挿入可能な
挿入部25,25とを備えて構成されている。ここで、
鋼製大引を直線状に好適に支持することができるよう
に、全ての鋼製大引用床束10…の受部13の高さを揃
えておく。
【0047】前記底壁部20の下面には、床束本体16
の上端部、すなわち軸部16の上端部に螺合されたボル
ト17がプレート17aを介して取付けられている。側
壁部21と側壁部22との高さは、互いに等しく設定さ
れている。そして、側壁部21の上端部に被係合部23
が形成され、側壁部22の上端部に被係合部24が形成
されている。前記被係合部23,24は、側壁部21,2
2の上端部から内側に直角に突出するようにして形成さ
れたものである。そして、前記被係合部23,24の下
面は前記鋼製大引1の係合部6,6に係合するようにな
っている。
【0048】前記挿入部25,25は、前記受部13を
構成する底壁部20前後の縁部に、該底壁部20より下
方に曲げて形成されたもので、側面視において略L字状
に形成され、その先端部は前記鋼製大引1の開口部8に
挿入し易くするために、先端ほど幅が狭くなるように形
成されている。また、前記挿入部25は、前記底壁部2
0に鋼製大引1の下面2bを当接させた後に、該底壁部
20より上方に曲げることで、前記鋼製大引1の下面に
形成された開口部8に挿入されるようになっている。ま
た、挿入部25,25の幅は前記開口部8の幅とほぼ等
しいか若干広めに形成されている。
【0049】このように、基礎K上に複数設けられた鋼
製大引用床束10に対して鋼製大引1を装着するには、
まず、鋼製大引1を、その下面2bを前記受部13の底
壁部20に対して傾けるようにして、前記受部13に挿
入することで、該鋼製大引1の側壁3に形成されている
係合部6を受部13の一方の被係合部24に係合する。
【0050】次に、前記鋼製大引1を、前記受部13の
被係合部24を支点として、鉛直面内において押込むよ
うにして回転させることで、鋼製大引1の側壁4に形成
されている係合部6を受部13の被係合部23に係合す
るとともに、鋼製大引1の両側面および下面をそれぞれ
前記受部13の両側壁部21,22および底壁部20に
当接する。このように鋼製大引1を回転させると、該鋼
製大引1の下面2bに開口部8が形成されているので、
該鋼製大引1の両側壁3,4が内側に弾性的に撓むこと
で、係合部6,6に鋼製大引用床束10の被係合部23,
24が容易に係合していき、係合した際に前記両側壁
3,4が弾性復帰することで、係合部6,6に被係合部2
3,24が確実に係合する。なお、鋼製大引1は基礎K
と直交するようにして配置するが、これに限ることな
く、基礎K上にこれと平行に配置してもよい。この場
合、前記鋼製大引用床束10の受部13の向きを90度
回しておく。
【0051】上記のようにして、鋼製大引1の係合部
6,6を鋼製大引用床束10の被係合部23,24に係合
したならば、鋼製大引用床束10の受部13の底壁部2
0に形成された挿入部25,25を下方から金槌等によ
って上方に叩き上げることで、該挿入部25,25を前
記鋼製大引1の開口部8に挿入する。前記受部の挿入部
25,25を鋼製大引1の開口部8に挿入すると、該開
口部8の挿入部25,25が挿入された部分は該挿入部
25,25によって塞がれることになる。したがって、
前記受部13に鋼製大引1を装着した後は、鋼製大引1
の両側壁3,4が互いに内側に曲がることを防止される
ので、該側壁3,4に形成された係合部6,6が前記受部
13の被係合部23,24から外れることを防止するこ
とができ、より確実に鋼製大引1が受部13に装着され
る。
【0052】そして、各鋼製大引1を鋼製大引用床束1
0…の受部13…に装着固定したならば、前記床束本体
12…の軸部16…を正逆方向に回転させて、床束本体
12…の長さを調整することで受部13…を若干昇降さ
せ、これによって、各鋼製大引1の水平出しの調整を行
い、この調整終了後、ボルト17,17に螺合している
ナット18,18を締め付けることで、軸部16を回転
不能に固定して床束本体16の長さを決定して、各鋼製
大引1の水平出しを終了する。この状態で、鋼製大引本
体2の通常時支持面2d,2dは、水平となる。
【0053】そして、上記のように、鋼製大引1を鋼製
大引用床束10…によって水平に支持したならば、図2
に示すように、例えば、鋼製大引1が床パネル30の下
面の長手方向に直交する方向に沿った中心に位置するよ
うに、該鋼製大引1上に床パネル30を載置する。ここ
で、床パネル30は、框材30a…を矩形状に組み立て
るとともに、この矩形枠の内部に補強用の桟材30d…
(図6参照)を縦横に組み付けて、框材30a…および
桟材30d…からなる枠体30cを構成し、この枠体の
上面に合板などの面材30bを貼設したものである。従
って、鋼製大引1の上面2aには床パネル30の枠体3
0cを載せるようにする。したがって、床パネル30に
おいては、鋼製大引1の上面2aに載せる枠体30c
が、通常の軸組み工法における床の根太に対応する。ま
た、床パネル30はその縦の長さを1820mmに、横
の長さを910mmに設定している。従って、鋼製大引
1の長さをモジュール寸法の910mmの整数倍に設定
すれば、鋼製大引1の長さ方向において、床パネル30
…を隙間無くピッタリと納めることができる。
【0054】このように、床パネル30の枠体30c
(框材30aまたは桟材30d)を鋼製大引1の上面2
aに載置した状態では、図5の(A)に示すように、枠
体30cの下面は、通常時支持面2d,2dにより安定
的に面支持された状態となる。
【0055】次ぎに、枠体30cの所定箇所について
は、図5の(B)に示すように鋼製大引本体2の窪み2
cの底部、即ち、例えばビス止め面2fに対してビス止
めを行う。すると、ビス止め面2fがビス50により上
方に引っ張られて上に凸な状態に反り返るとともに、こ
の挙動につられてビス止め時支持面2e,2eの、主に
鋼製大引本体2の内側部分がそれぞれ隆起し、ビス止め
時支持面2e,2eがそれぞれ水平な状態になる。その
結果、前記ビス止めを行った前記所定箇所近傍では、ビ
ス止め時支持面2e,2eがそれぞれ床パネル30の枠
体30cの下面に当接し、これらビス止め時支持面2
e,2eにより枠体30cの下面を下方から安定的に面
支持した状態となる。
【0056】このとき、通常時支持面2d,2dには、
鋼製大引本体2の上面2aと両側壁3,4との交差部分
を支点として、これら通常時支持面2d,2dの各々
の、鋼製大引本体2の幅方向における内側が上方に引っ
張られる力が作用し、その結果、図5の(B)に示すよ
うに、これら通常時支持面2d,2dが傾斜した状態と
なり、これら通常時支持面2d,2dは枠体30cから
離間する。つまり、ビス止めを行った箇所においては、
通常時支持面2d,2dによる支持状態から、ビス止め
時支持面2e,2eによる支持状態へと移行する。
【0057】このように、根太30cを窪み2cの底部
2fにビス止めしない通常時には、通常時支持面2d,
2dが根太30cの下面に当接して、該通常時支持面2
d,2dにより該根太30cを下方から安定的に面支持
することができ、従って、鋼製大引1の十分な荷重強度
が得られる。また、根太30cを窪み2cの底部2fに
ビス止めしたビス止め時にも、ビス止め時支持面2e,
2eが根太30cの下面に当接し、該ビス止め時支持面
2e,2eにより根太30cを下方から安定的に面支持
することができ、従って、この状態でも、鋼製大引1の
十分な荷重強度が得られる。つまり、根太30cを鋼製
大引1上に載置しただけの状態でも、根太30cを鋼製
大引1上にビス止めした状態でも、鋼製大引1により根
太30cを安定的に支持することができる。
【0058】従って、床の根太(床パネル30の枠体3
0c)を鋼製大引1に対してビス止めした箇所におい
て、鋼製大引1の上面2aがビスにより上に引っ張られ
て上に凸な状態に反ってしまい、この反り返った弧状の
頂点により床30を1点支持する状態となってしまうな
どといったことを防止でき、その結果、床30に荷重が
かかったときに、床30が鋼製大引1から十分な反力を
得ることができず、鋼製大引1の弧状部分が弾性変形す
るとともに床30が沈み込んで、床30がきしみ音をた
てる床鳴りが発生してしまうといった問題を防止でき
る。
【0059】また、ビス止め時支持面2eと通常時支持
面2dとは、鋼製大引本体2の幅方向において隣り合う
とともに連続的に形成されているので、通常時支持面2
d,2dにより枠体30cの下面を支持した状態のとき
に枠体30cをビス止め面2fにビス止めした際に、通
常時支持面2d,2dとビス止め時支持面2e,2eと
の境目を支点として鋼製大引本体2の上面2aが、その
中心を境にした左右両側が枠体30cの下面に対してそ
れぞれ外側に転動するようにして、通常時支持面2d,
2dにより枠体30cの下面を支持した状態からビス止
め時支持面2e,2eにより枠体30cを支持した状態
への移行を極めてスムーズに行うことができる。
【0060】さらに、鋼製大引1は、枠体30cをビス
止め面2fにビス止めした時に、図5の(B)に示すよ
うに、窪み2cの底部、即ちビス止め面2fが枠体30
cに当接しないように上に凸に反り返るように構成され
ている。従って、ビス止めの過程においてビス止め面2
fが枠体30cの下面に当接してしまうことにより、ビ
ス止め時支持面2e,2eが枠体30cの下面にぴった
りと当接することが妨げられるといったことがない。よ
って、ビス止めした状態では確実にビス止め時支持面2
e,2eが枠体30cの下面にぴったりと当接して枠体
30cの下面を支持することができる。
【0061】加えて、ビス止め時支持面2e,2eと通
常時支持面2d,2dとの面積がほぼ等しいので、ビス
止め時支持面2e,2eによって枠体30cを支持した
ときと、通常時支持面2d,2dによって枠体30cを
支持したときとで、同様の安定性が得られる。
【0062】さらに、係合部6,6よりも上部におい
て、両側壁3,4の双方は、各々直線状に起立する起立
部3a,4aを有するので、鋼製大引本体2の優れた荷
重強度が得られる。さらに、起立部3a,3aは、上方
に向かうほど互いに離間するようになっているので、鋼
製大引本体2の下部よりも上部の方が幅広となるように
(下面2bよりも上面2aの方が幅広となるように)構
成できる。また、これにより、鋼製大引本体2の上面2
aの幅は、図示のように、両下面2b,2bに亘る幅よ
り大きく設定されており、通常時支持面2d,2d、お
よびビス止め時支持面2e,2eを広く設定することが
できるため、床パネル30の枠体30cが広い面で支持
され、よって安定良く床が支持される。
【0063】ここで、床パネル30を構成する木材の乾
燥などに起因して、床パネル30には、将来的に若干の
凸状の反りが生じてしまう場合がある。この問題を解消
するために、ビス50による床パネル30と鋼製大引1
との締結力は、床パネル30の反りによって床パネル3
0から鋼製大引1に作用する引張力(例えば70kg)
以上に設定することが望ましい。これにより、床パネル
30を構成する木材の乾燥等に起因して、床パネル30
が反り返ろうとする力が床パネル30に作用しても、こ
の力にビス50の締結力が拮抗して、床パネル30の反
りを小さく抑えることができる。よってビス止め時支持
面2e,2eが床パネル30に密接した状態を維持する
ことができ、好適に床鳴りを防止できる。
【0064】また、このような大きな締結力によっても
鋼製大引1の鋼製大引本体2のビス止め面2fが上に凸
に変形することがないように、該ビス止め面2fの曲げ
剛性も大きく設定することが望ましい。即ち、ビス止め
面2fの曲げ剛性を、床パネル30の反りによってビス
50を介して床パネル30からビス止め面2fに作用す
る引張力に抗しうる大きさに設定することが望ましい。
【0065】さらに、ビス止め時には、両ビス止め時支
持面2e,2eによって、ビス50を介した引張力の半
分がそれぞれ受けられた状態となり、これら両ビス止め
時支持面2e,2eの内側端部、即ち、ビス止め時支持
面2e,2eと段差部との境目がそれぞれビス50の締
結力によるビス止め面2fの曲げ支点となっていると見
なせる。また、ビス50を介した引張力によるビス止め
面2fの上方向への変形量は、ビス50がビス止め面2
fに止められたビス止め位置から、前記曲げ支点までの
距離の3乗に比例する。即ち、ビス止め面2fの、鋼製
大引1の長手方向に直交する方向における長さ、即ち、
ビス止め面2fの幅が大きいほど、ビス止め面2fの上
方向への変形量は大きくなる。よって、ビス止め面2f
の幅も最適な値に設定する必要がある。すなわち、床パ
ネル30の反りによる引張力を予測した上で、ビス止め
面2fの曲げ剛性、ビス止め面2fの幅、およびビス5
0の締結力の3要素を最適な値に制御する必要がある。
【0066】このことについて、図10に基づいて模式
的な説明を行う。同図は、床30の枠体30cを窪みの
底部2fに対してビス止めしたビス50の締結力が、床
30の反りによって床30から鋼製大引1に作用する引
張力以上に設定し、かつ、鋼製大引1のビス止め面2f
の曲げ剛性を、床パネル30の反りによってビス50を
介して床パネル30からビス止め面2fに作用する引張
力に抗しうる大きさに設定した場合の、鋼製大引1の上
フランジ面の変形量を模式的に示したものである。同図
において、床パネル30による引張力が作用する前の状
態が実線で示され、床パネル30による引張力が作用し
た状態が仮想線で示される。
【0067】ビス50の締結力と、ビス止め面2fの曲
げ剛性を上記のように設定した条件の下では、図10に
示すように、床パネル30が反ろうとする作用を規制す
る大きな力が得られ、鋼製大引1の側壁3,4の上端と
床30の根太30cとの間隔Eを小さく抑えることがで
きるとともに、鋼製大引1のビス止め時支持面2e,2
eと床パネル30の枠体30cとが接した状態に保つこ
とができる。
【0068】次ぎに、図6を参照しながら、鋼製大引1
の長手方向に沿って、通常時支持面2dにより床パネル
30の枠体30cを支持した部分とビス止め時支持面2
eにより床パネル30の枠体30cを支持した部分を設
ける場合の、これら両部分の配置の一例について説明す
る。なお、図6は説明の都合上、鋼製大引本体2の幅
と、床パネル30の寸法との比率が合致しないように描
かれている。
【0069】床パネル30…を鋼製大引本体2に対して
設置する方法の一例として、図6に示されるものでは、
鋼製大引本体2の長手方向に亘って互いに隣り合うよう
に床パネル30…を配置し、床パネル30の一端側の框
材30aのみビス50により鋼製大引本体2に対してビ
ス止めを行い、その他の枠体30c(桟材30d…およ
び他端側の框材30a)についてはビス止めを行わな
い。このとき、ビス止めを行った框材30aはビス止め
時支持面2e,2eにより支持されるが、ビス止めを行
った箇所の近傍のビス止め時支持面は、ビス50により
上方に引っ張られて水平となっているため、ビス止めを
行った框材30aと隣り合う框材30aは、ビス止めを
行わないまでも図6に示すようにビス止め時支持面2
e,2eにより支持される(A部、A′部)。一方、桟
材30d…がある位置では、通常時支持面2d,2dが
水平となり、桟材30d…は通常時支持面2d,2dに
より支持される(B部、B′部)。
【0070】ここで、詳細には、ビス止め時支持面2
e,2eが水平になって床パネル30の枠体30cを支
持した部分(例えば図6のA部)から、通常時支持面2
d,2dが水平になって床パネル30の枠体30cを支
持した部分(例えば図6のB部)までの間の部分におい
ては、これらビス止め時支持面2e,2e、通常時支持
面2d,2dはそれぞれその長手方向を中心として螺旋
状にひずんでいる。しかし、ビス止め時支持面2e,2
eならびに通常時支持面2d,2dは、その長手方向に
沿って連続的に床パネル30の枠体30cを支持するわ
けではない。即ち、図6に示すように、鋼製大引本体2
の長手方向と、この鋼製大引本体2に載置される枠体3
0cの長手方向とは交差しており、鋼製大引本体2は、
該鋼製大引本体2の長手方向に沿って所定間隔毎に(勿
論、一定の間隔に限る必然性はない)枠体30cを支持
するわけである。よって、ビス止め時支持面2e,2e
ならびに通常時支持面2d,2dのうち、枠体30cの
下面に当接して該下面を支持する部分は、これらビス止
め時支持面2e,2e、通常時支持面2d,2dの長手
方向の全体のうち、ほぼ平面(かつ水平な面)となる微
少部分となる。従って、ひずんだ面によって支持される
ことにより、鋼製大引本体2の各支持面(ビス止め時支
持面2e,2e、通常時支持面2d,2d)と枠体30
cとの間に隙間が生じてしまい、有効に支持することが
できないといった弊害が生じることがない。
【0071】また、ここで、原則として、通常時の通常
時支持面2d,2dと、ビス止め時のビス止め時支持面
2e,2eとは、互いに鉛直位置が等しくなるようにな
っていることが望ましい。そのために、前記ビス止め時
に、窪み2cの底部2fが上方に引っ張られてビス止め
時支持面2e,2eが水平になる一方で通常時支持面2
d,2dが傾斜する際に、図5の(B)に示すように、
鋼製大引本体2の両側壁3,4の上部が互いに離間する
方向に該両側壁3,4がそれぞれ撓んで、鋼製大引本体
2の下面2b,2bから、鋼製大引本体2の両側壁3,
4と上面2aとの交差部分までの鉛直位置の差が小さく
なるようになっていればよい。これにより、ビス止め時
支持面2e,2eが両側壁3,4に対して相対的に隆起
しても、下面2b,2bからビス止め時支持面2e,2
eまでの距離は、通常時の通常時支持面2d,2dと下
面2b,2bとの距離と等しくなるようにできる。そし
て、これにより、通常時の通常時支持面2d,2dと、
ビス止め時のビス止め時支持面2e,2eとの鉛直位置
が互いに等しくなるようにできる。
【0072】このようにすることで、ビス止めした箇所
においても、ビス止めをしない箇所においても、同じ鉛
直位置で、鋼製大引1により床パネル30の枠体30c
の下面を支持することができる。よって、これにより、
鋼製大引1の長手方向に沿って、通常時支持面2d,2
dにより枠体30cを支持した部分と、ビス止め時支持
面2e,2eにより枠体30cを支持した部分とがあっ
ても、ともに同一面内で支持することができ、床パネル
30の厚み(枠体30cや面材30bの厚み)が一定で
も確実に床面をフラットに施工できる。
【0073】このように、鋼製大引1上に床パネル30
を配設することにより、鋼製大引1の長手方向に沿っ
て、床パネル30の枠体30cをビス止め面2fに対し
てビス止めしてビス止め時支持面2e,2eにより枠体
30cの下面を支持した部分と、ビス止めをせず通常時
支持面2d,2dにより枠体30cの下面を支持した部
分とを備えているので、根太30cを鋼製大引1に対し
てビス止めした部分においても、ビス止めしない部分に
おいても、ともに鋼製大引1により根太30cを安定的
に面支持することができる。
【0074】また、隣接する床パネル30,30の互い
に隣り合う框材30a,30aのうち、いずれかの框材
30aをビス止めすることにより、他方の框材30aも
ビス止め時支持面2e,2eにより支持させることがで
きる。
【0075】加えて、ビス50による床パネル30と鋼
製大引1との締結力を、床パネル30の反りによって床
パネル30から鋼製大引1に作用する引張力(例えば7
0kg)以上に設定したので、床パネル30を構成する
木材の乾燥等に起因して、床パネル30が反り返ろうと
する力が床パネル30に作用しても、この力にビス50
の締結力が拮抗して、床パネル30の反りを小さく抑え
ることができる。よってビス止め時支持面2e,2eが
床パネル30に密接した状態を維持することができ、好
適に床鳴りを防止できる。
【0076】なお、上記の実施の形態例では、根太(床
パネル30の枠体30c)がビス止めされる窪み2cの
底部として、ビス止め面2fを例示したが、該底部はこ
れに限らず、ビス止め時支持面2e,2eであってもよ
い。また、鋼製大引1が床パネル30の下部中央に位置
するようにしたが、一本の鋼製大引で隣り合う2枚の床
パネル30,30を受けるようにしてもよい。即ち、床
パネル30の両端部をそれぞれ前記鋼製大引1,1の上
面2aの半分に載せて固定するようにしてもよい。さら
に、鋼製大引1によって支持される床の根太として、床
パネル30の枠体30cを例示して説明を行ったが、本
実施の形態例はこれに限らず、在来の軸組工法などその
他の床構築工法における根太を支持するものとしての適
用も可能であることは勿論である。
【0077】<変形例1>図7は本発明に係る鋼製大引
51の変形例を示す横断面図である。この鋼製大引51
は、その鋼製大引本体52の両側壁53,54が、上記
の鋼製大引1の鋼製大引本体2の両側壁3,4と異なる
のみであり、その他の点は同様である。よって、鋼製大
引51の各構成要素のうち、上記の鋼製大引1と同様の
構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省
略する。
【0078】即ち、図7に示すように、この鋼製大引本
体52の両側壁53,54の双方には、該鋼製大引本体
52を下方から支持する鋼製大引用床束10が係合する
上下の係合部5,6が形成されている。これら係合部
5,6は、両側壁53,54の双方にそれぞれ形成され
た、鋼製大引本体2の長手方向に沿う凹溝であり、上係
合部5,5どうしは、鋼製大引本体2の下面からの高さ
が等しく設定され、下係合部6,6どうしは、鋼製大引
本体2の下面からの高さが等しく設定されている。つま
り、鋼製大引本体2の両側壁3,4には、左右対称に上
下の係合部5,6が形成されている。
【0079】このような変形例1の鋼製大引51によれ
ば、互いに下面からの高さが異なる上下の係合部5,6
を備えているので、鋼製大引用床束10の受部13の側
壁部21,22の高さを違えて構成することにより、例
えば、上下の係合部5,6を被係合部23,24に係合
させて、あるいは、上係合部5,5を被係合部23,2
4に係合させて鋼製大引用床束10により鋼製大引本体
52を支持させることができる。
【0080】また、このような変形例1によっても、上
記の実施の形態例の鋼製大引1における起立部3a,4
aを有することにより得られる効果を除いては、上記の
実施の形態例と同様の効果が得られる。
【0081】<変形例2>図8は本発明に係る鋼製大引
61の変形例を示す横断面図である。この鋼製大引61
は、その鋼製大引本体62の上面62aが、上記の鋼製
大引51の鋼製大引本体52の上面2aと異なるのみで
あり、その他の点は同様である。よって、鋼製大引61
の各構成要素のうち、上記の鋼製大引51と同様の構成
要素については、同一の符号を付し、その説明を省略す
る。
【0082】この変形例2の鋼製大引61の鋼製大引本
体62の上面62aには、図8に示すように、鋼製大引
61の長手方向に沿った窪み62cが、鋼製大引本体6
2の一方の端部から他方の端部まで連続して形成されて
いる。この窪み62cの底部は、図8に示すように中央
部のビス止め面62fと、このビス止め面62fの両側
に該ビス止め面62fと連続的に形成されたビス止め時
支持面62e,62eとを有している。このうち、ビス
止め時支持面62e,62eは、床パネル30の枠体3
0cをビス止め面62fにビス止めした時にビス止め面
62fが上方に引っ張られた際に、下面2b,2bと平
行になるとともに枠体30c下面に当接して、枠体30
cを下方から支持するものである。また、ビス止め時支
持面62e,62eが鋼製大引本体62の下面2b,2
bと平行になった状態では、これらビス止め時支持面6
2e,62eが互いに面一となるようになっている。さ
らに、ビス止め時支持面62e,62eと通常時支持面
2d,2dとは鋼製大引本体62の幅方向において隣り
合うとともに連続的に形成されている。
【0083】このような構成の変形例2によっては、上
記の変形例1の場合において、ビス止め時支持面2fと
通常時支持面2d,2dとの面積がほぼ等しいことによ
り得られる効果と、枠体30cをビス止め面2fにビス
止めした時に、ビス止め面2fが枠体30cに当接しな
いように上に凸に反り返るように構成されていることに
より得られる効果とを除いては、上記の変形例1と同様
の効果が得られる。さらに、ビス止め面62fとビス止
め面62e,62eが連続的に形成されているので、上
記の鋼製大引1のように段部2g,2gを形成する必要
がない分だけ、容易に作製することができる。
【0084】
【発明の効果】請求項1記載の発明に係る鋼製大引によ
れば、根太を窪みの底部にビス止めしない通常時には、
通常時支持面が根太の下面に当接して、該通常時支持面
により該根太を下方から支持することができる。また、
根太を窪みの底部にビス止めすることにより、底部が上
方に引っ張られてビス止め時支持面が根太の下面に当接
し、該ビス止め時支持面により根太を下方から支持する
ことができる。つまり、根太を鋼製大引上に載置した状
態でも、根太を鋼製大引上にビス止めした状態でも、鋼
製大引により根太を安定的に支持することができる。
【0085】従って、床の根太(例えば床パネルの枠
体)を鋼製大引に対してビス止めした箇所において、鋼
製大引の上面がビスにより上に引っ張られて上に凸な状
態に反ってしまい、この反り返った弧状の頂点により床
パネルを1点支持する状態となってしまうなどといった
ことを防止でき、その結果、床(床パネル)に荷重がか
かったときに、床パネルが鋼製大引から十分な反力を得
ることができず、鋼製大引の弧状部分が弾性変形すると
ともに床パネルが沈み込んで、床がきしみ音をたてる床
鳴りが発生してしまうといった問題を防止できる。以上
要するに、ビス止め時に根太を下方から支持するビス止
め時支持面を備えたので、ビス止め時の荷重強度を高め
ることができる。
【0086】請求項2記載の発明に係る鋼製大引によれ
ば、ビス止め時支持面と通常時支持面とが鋼製大引本体
の幅方向において隣り合うとともに連続的に形成されて
いるので、通常時支持面により根太の下面を支持した状
態のときに根太を窪みの底部にビス止めした際に、通常
時支持面とビス止め時支持面との境目を支点として鋼製
大引本体の上面が根太の下面に対して転動するようにし
て、通常時支持面により根太の下面を支持した状態から
ビス止め時支持面により根太を支持した状態への移行を
極めてスムーズに行うことができる。
【0087】請求項3記載の発明に係る鋼製大引によれ
ば、窪み2cの底部は、根太を該窪みの底部にビス止め
した時に、該根太に当接しないように上に凸に反り返る
ものであるので、根太を窪みの底部にビス止めした時
に、底部が上に凸に反り返った状態においても、窪みの
底部が根太から離間した状態となる。従って、ビス止め
の過程において窪みの底部が根太の下面に当接してしま
うことにより、ビス止め時支持面が根太の下面にぴった
りと当接することが妨げられるといったことがない。よ
って、ビス止めした状態では確実にビス止め時支持面が
根太の下面にぴったりと当接し、根太の下面を支持する
ことができる。
【0088】請求項4記載の発明に係る鋼製大引によれ
ば、ビス止め時支持面と通常時支持面との面積がほぼ等
しいので、ビス止め時支持面によって根太を支持したと
きと、通常時支持面によって根太を支持したときとで、
同様の安定性が得られる。
【0089】請求項5記載の発明に係る鋼製大引によれ
ば、鋼製大引本体の両側壁の双方の下端部にそれぞれ形
成されて、該鋼製大引本体を下方から支持する鋼製大引
用床束が係合する係合部を備えたので、鋼製大引本体の
両側壁の双方の下端部に形成された係合部に鋼製大引用
床束を係合させて、この鋼製大引用床束により鋼製大引
本体を下方から支持させることができる。また、係合部
よりも上部において、両側壁の双方は、各々直線状に起
立する起立部を有するので、鋼製大引本体の優れた荷重
強度が得られる。さらに、起立部は、上方に向かうほど
互いに離間するようになっているので、鋼製大引本体の
下部よりも上部の方が幅広となるように(鋼製大引本体
の下面よりも上面の方が幅広となるように)構成でき
る。従って、床の根太がより広い面で支持され、安定良
く床が支持される。
【0090】請求項6記載の発明に係る鋼製大引による
根太の支持構造によれば、鋼製大引の長手方向に沿っ
て、根太を窪みの底部に対してビス止めしてビス止め時
支持面により根太の下面を支持した部分と、ビス止めを
せず通常時支持面により根太の下面を支持した部分とを
備えているので、根太を鋼製大引に対してビス止めした
部分においても、ビス止めしない部分においても、とも
に鋼製大引により根太を安定的に面支持することができ
る。
【0091】従って、床の根太(例えば床パネルの枠
体)を鋼製大引に対してビス止めした箇所において、鋼
製大引の上面がビスにより上に引っ張られて上に凸な状
態に反ってしまい、この反り返った弧状の頂点により床
パネルを1点支持する状態となってしまうなどといった
ことを防止でき、その結果、床(床パネル)に荷重がか
かったときに、床パネルが鋼製大引から十分な反力を得
ることができず、鋼製大引の弧状部分が弾性変形すると
ともに床パネルが沈み込んで、床がきしみ音をたてる床
鳴りが発生してしまうといった問題を防止できる。
【0092】請求項7記載の発明に係る鋼製大引による
根太の支持構造によれば、ビスによる床と鋼製大引との
締結力を、床の反りによって床から鋼製大引に作用する
引張力以上に設定したので、床を構成する木材の乾燥等
に起因して、床が反り返ろうとする力が床に作用して
も、この力にビスの締結力が拮抗して、床パネルの反り
を小さく抑えることができる。よってビス止め時支持面
が床パネルに密接した状態を維持することができ、好適
に床鳴りを防止できる。
【0093】請求項8記載の発明に係る鋼製大引による
根太の支持方法によれば、先ず、鋼製大引の上面に根太
を載置して、通常時支持面により根太の下面を支持させ
た状態にし、次いで、根太の所定箇所については窪みの
内側に対してビス止めを行い、前記所定箇所近傍におい
ては、通常時支持面による支持状態から、ビス止め時支
持面による支持状態に移行させて、鋼製大引の長手方向
に沿って通常時支持面により根太の下面を支持した部分
と、ビス止め時支持面により根太の下面を支持した部分
とを設けるので、根太を鋼製大引に対してビス止めした
部分においても、ビス止めしない部分においても、とも
に鋼製大引により根太を安定的に面支持することができ
る。
【0094】従って、床の根太(例えば床パネルの枠
体)を鋼製大引に対してビス止めした箇所において、鋼
製大引の上面がビスにより上に引っ張られて上に凸な状
態に反ってしまい、この反り返った弧状の頂点により床
パネルを1点支持する状態となってしまうなどといった
ことを防止でき、その結果、床(床パネル)に荷重がか
かったときに、床パネルが鋼製大引から十分な反力を得
ることができず、鋼製大引の弧状部分が弾性変形すると
ともに床パネルが沈み込んで、床がきしみ音をたてる床
鳴りが発生してしまうといった問題を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋼製大引の一例を示す横断面図で
ある。
【図2】鋼製大引によって床パネルを支持した状態を示
す斜視図である。
【図3】鋼製大引を支持する鋼製大引用床束を示す正面
図である。
【図4】鋼製大引用床束の受部の斜視図である。
【図5】鋼製大引により床パネルの枠体を支持した状態
を示す横断面図であり、このうち(A)は鋼製大引の通
常時支持面により支持した状態を、(B)は鋼製大引の
ビス止め時支持面により支持した状態を示すものであ
る。
【図6】通常時支持面により床パネルの枠体を支持した
部分とビス止め時支持面により床パネルの枠体を支持し
た部分との配置の一例を示す概念図である。
【図7】本発明に係る鋼製大引の変形例を示す横断面図
である。
【図8】本発明に係る鋼製大引の変形例を示す横断面図
である。
【図9】床の根太を窪みの底部に対してビス止めしたビ
スの締結力が、床の反りによって床から鋼製大引に作用
する引張力より小さい場合の、鋼製大引の上フランジ面
の変形量を模式的に示した図である。
【図10】床の根太を窪みの底部に対してビス止めした
ビスの締結力を、床の反りによって床から鋼製大引に作
用する引張力以上に設定した場合の、鋼製大引の上フラ
ンジ面の変形量を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1,51,61 鋼製大引 2,52,62 鋼製大引本体 2a,62a 上面 2c,62c 窪み 2d 通常時支持面 2e,62e ビス止め時支持面 3,4 側壁 3a,4a 起立部 6 係合部 30 床パネル(床) 30c 枠体(根太)
フロントページの続き (72)発明者 奥津 俊彦 東京都杉並区高井戸東2丁目4番5号 ミ サワホーム株式会社内 (72)発明者 村橋 喜満 東京都千代田区大手町二丁目6番3号 新 日本製鐵株式會社内 (72)発明者 河合 良道 東京都千代田区大手町二丁目6番3号 新 日本製鐵株式會社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床の根太を支持するための鋼製大引であ
    って、 上面に、前記鋼製大引の長手方向に沿った窪みが形成さ
    れた中空の鋼製大引本体と、 前記窪みの両側に形成された通常時支持面と、 前記窪みに形成されたビス止め時支持面とを備え、 前記通常時支持面は、前記根太を前記窪みの底部にビス
    止めしない通常時には、根太の下面に当接して、該根太
    を下方から支持するものであり、 前記ビス止め時支持面は、前記根太を前記窪みの底部に
    ビス止めしたビス止め時に該底部が上方に引っ張られた
    際に、根太の下面に当接して該根太を下方から支持する
    ものであり、 前記通常時支持面は、前記ビス止め時に前記根太の下面
    から離間するものであることを特徴とする鋼製大引。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋼製大引において、 前記ビス止め時支持面と前記通常時支持面とは前記鋼製
    大引本体の幅方向において隣り合うとともに連続的に形
    成されていることを特徴とする鋼製大引。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の鋼製大引におい
    て、 前記窪みの底部の、前記鋼製大引本体の幅方向における
    両縁部に前記ビス止め時支持面が形成され、前記窪みの
    底部は、前記根太を該窪みの底部にビス止めした時に、
    該根太に当接しないように上に凸に反り返るものである
    ことを特徴とする鋼製大引。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼製大
    引において、 前記ビス止め時支持面と前記通常時支持面との面積がほ
    ぼ等しいことを特徴とする鋼製大引。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の鋼製大
    引において、 前記鋼製大引本体の両側壁の双方の下端部にそれぞれ形
    成されて、該鋼製大引本体を下方から支持する鋼製大引
    用床束が係合する係合部を備え、 この係合部よりも上部において、前記両側壁の双方は、
    上方に向かうほど互いに離間するように各々直線状に起
    立する起立部を有することを特徴とする鋼製大引。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の鋼製大
    引により床の根太を支持する支持構造であって、 前記鋼製大引の長手方向に沿って、 前記根太を前記窪みの底部に対してビス止めして前記ビ
    ス止め時支持面により前記根太の下面を支持した部分
    と、 前記ビス止めをせず前記通常時支持面により前記根太の
    下面を支持した部分とを備えていることを特徴とする鋼
    製大引による根太の支持構造。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の鋼製大引による根太の支
    持構造において、 前記根太を前記窪みの底部に対してビス止めしたビスの
    締結力を、床の反りによって床から鋼製大引に作用する
    引張力以上に設定したことを特徴とする鋼製大引による
    根太の支持構造。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の鋼製大
    引により床の根太を支持する支持方法であって、 先ず、前記鋼製大引の上面に前記根太を載置して、前記
    通常時支持面により前記根太の下面を支持させた状態に
    し、 次いで、前記根太の所定箇所については前記窪みの底部
    に対してビス止めを行い、前記所定箇所近傍において
    は、前記通常時支持面による支持状態から、前記ビス止
    め時支持面による支持状態に移行させて、 前記鋼製大引の長手方向に沿って前記通常時支持面によ
    り前記根太の下面を支持した部分と、前記ビス止め時支
    持面により前記根太の下面を支持した部分とを設けるこ
    とを特徴とする鋼製大引による根太の支持方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007204931A (ja) * 2006-01-31 2007-08-16 Shuji Endo 根太受具、根太システム及び二重床
CN101949202A (zh) * 2010-09-25 2011-01-19 孙小力 一种保温、隔声和防火的地板结构及制造方法

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