JP2001066451A - 光導波路モジュール及びその製造方法 - Google Patents

光導波路モジュール及びその製造方法

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JP2001066451A
JP2001066451A JP24598299A JP24598299A JP2001066451A JP 2001066451 A JP2001066451 A JP 2001066451A JP 24598299 A JP24598299 A JP 24598299A JP 24598299 A JP24598299 A JP 24598299A JP 2001066451 A JP2001066451 A JP 2001066451A
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optical waveguide
stress
optical
curvature
radius
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JP24598299A
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Chie Fukuda
智恵 福田
Tomokane Hirose
智財 広瀬
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学特性のずれ・ばらつき等を低減するとと
もに、構造等が簡単化された光導波路モジュール及びそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 石英基板2上に光導波路3が形成されて
いる光導波路素子1に対して、その基板2の反りによる
初期変形の曲率変形よりも小さい曲率半径に曲面が形成
された応力付加部材である下部台座4及び上部台座5
を、接着剤9を介して固定・接着して光導波路素子1に
変形による所定の外力を加える。これによって、光導波
路3にかかる応力を所定の状態に変化させて、光導波路
素子1を有する光導波路モジュールの光学特性を好適化
かつ安定化させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路を有する
光導波路モジュール及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光通信技術等の進展と利用の拡大に伴
い、従来の発光器、光ファイバ、受光器などに加えて平
面型光導波路を用いた光分岐器、光合分波器等の光導波
路モジュールの開発と利用が進められている。このよう
なモジュールは、基板上に所定の導波路パターンからな
る光導波路が形成された光導波路素子と、素子の固定ま
たは光ファイバとの接続等に用いる台座やホルダー、パ
ッケージ等を有して構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光導波路モジュールを
構成する光導波路素子は、基板上に平面型の光導波路を
形成することによって作製されるが、このとき、基板に
生じる反りなどの変形によって光導波路に応力がかかっ
てしまう。また、台座やホルダー等に光導波路素子を固
定・実装するときにも光導波路に応力が発生する。これ
らの原因によって光導波路内に応力を生じた場合、光導
波路素子の光学特性が変化してしまうなど、光導波路モ
ジュールの性能の劣化やばらつきが問題となる。
【0004】例えば、通常の状態では光学的に等方性を
有する材料で光導波路を形成した場合においても、基板
の反り等の変形で光導波路に応力がかかることによって
光導波路内に複屈折性を生じ、それによってTM偏波と
TE偏波とに対する実効的な屈折率が異なるものとなっ
て、光学特性の偏波依存性が増大してしまうという問題
を生じる。また、モジュール形成時に素子の実装前後で
応力が変化して光学特性に変動を生じてしまうなど、制
御されない光学特性のずれやばらつきを生じ、したがっ
てモジュールの性能が劣化したり、その製造歩留まりが
低下してしまうという問題がある。
【0005】このような問題に対して、特許第2614
365号公報において、光導波路の所定の位置に偏波回
転器を設置することによって光導波路の途中で偏波状態
を回転・変換して、どの偏波状態の入力光に対しても光
路長が等しくなるように構成する導波型光デバイスが開
示されている。しかしながら、上記のように偏波回転器
を新たに設置する構成とした場合には、光導波路素子が
複雑化し、製造コストも高くなってしまうなどの問題が
ある。また、偏波依存性以外の光学特性については、そ
の制御やずれの低減等を実現することができない。
【0006】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされた
ものであり、光導波路にかかる応力による光学特性のず
れ、ばらつき等を低減するとともに、その構造及び製造
工程が簡単化された光導波路モジュール及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記した
目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、光導波路
素子に対して所定の外力を加えて光導波路に一定の応力
が付加されるように光導波路モジュールを構成すること
によって、光学特性に発生するずれを抑制し、または光
学特性を一定量だけ変化させて所望の光学特性を得るこ
とが可能であることを見出した。
【0008】すなわち、本発明による光導波路モジュー
ルの製造方法は、光導波路を有する光導波路モジュール
の製造方法であって、基板上に光導波路を形成して光導
波路素子を作製する第1の工程と、作製された光導波路
素子に対して応力付加部材を固定して、光導波路素子に
所定の外力を加えることによって光導波路に一定の応力
を付加してその光学特性を制御し設定する第2の工程
と、を有することを特徴とする。
【0009】また、本発明による光導波路モジュール
は、基板と、基板上に形成された光導波路とを有する光
導波路素子を含んで構成される光導波路モジュールであ
って、光導波路素子に対して固定され、光導波路素子に
所定の外力を加えることによって光導波路に一定の応力
を付加する応力付加部材を備えることを特徴とする。
【0010】初期変形等によって光導波路にかかってい
る応力に対して、上記した光導波路モジュール及びその
製造方法においては、光導波路モジュール形成時に、光
導波路素子に対して所定の応力付加部材を固定すること
によって一定の外力が加わった状態が安定に保持された
モジュールを構成し、それによって光導波路内の応力を
変化・制御させて、一定の応力状態となるように設定す
る。
【0011】すなわち、応力付加部材を用いて光導波路
に応力を積極的に付加することによって、光導波路モジ
ュール形成後における光導波路内での応力を制御して、
光学特性を好適な状態に設定することが可能となる。こ
れによって、光導波路モジュールの性能・光学特性のず
れを抑制し、または、光学特性に一定の変化を与えて所
望の光学特性を得ることが可能となる。さらに、光導波
路内に生じる応力と光学特性とを製造時に充分に制御し
て安定化させることができる。これによって、光導波路
モジュールの性能・光学特性のばらつきと、それによる
性能の劣化や製造歩留まりの低下を抑制することができ
る。
【0012】このような製造方法及び構造による光導波
路モジュールの光学特性の制御・設定は、その偏波依存
性に限らず一般的に適用することが可能である。さら
に、上記の光導波路モジュールにおいては、この光学特
性のずれ及びばらつきの低減または制御などを、光導波
路素子自体には新たな要素を付加することなく、その固
定時の応力制御のみによって実現することができる。し
たがって、光導波路素子及びモジュールの構造と製造工
程とが簡単化され、製造コストも低減される。
【0013】また、光導波路モジュールの製造方法は、
第2の工程において、光導波路素子に対して、その曲率
半径が初期変形の曲率半径より小さくなる方向に応力付
加部材による変形を与えて外力を加えることによって、
光学特性の偏波依存性を低減させることを特徴とする。
【0014】あるいは、第2の工程において、光導波路
素子に対して、その曲率半径が初期変形の曲率半径より
小さくなるかまたは大きくなる方向に応力付加部材によ
る変形を与えて外力を加えることによって、光学特性の
波長依存性を変更させることを特徴とする。
【0015】また、光導波路モジュールは、応力付加部
材が、光導波路素子を変形させることによって外力を加
えることを特徴とする。
【0016】上記した応力付加部材としては、光導波路
素子に一定の変形を与えて外力を加える構成の部材を用
いることによって、容易かつ効率的に光導波路内の応力
と光学特性の設定・制御を行うことができる。
【0017】例えば、光導波路素子の一例であるアレイ
導波路型回折格子について、モジュール化後の基板の反
りの曲率半径をモジュール化前の曲率半径よりも小さく
する(反りを大きくする)変形を与えることによって、
その挿入損失の偏波依存性・偏波依存損失等を低減させ
ることが可能である。また、アレイ導波路型回折格子の
中心波長などの光導波路素子の波長依存性については、
モジュール化後の曲率半径をモジュール化前の曲率半径
よりも小さくする(反りを大きくする)か、または大き
くする(反りを小さくする)変形を与えることによっ
て、中心波長等を変化させて所望の波長依存性に変更・
設定することが可能である。それ以外の様々な光学特性
についても、同様に変形や曲率半径の変更による設定・
制御が可能である。
【0018】また、光導波路モジュールの製造方法は、
応力付加部材が、光導波路素子に対して、初期変形の曲
率半径とは異なる曲率半径となるように変形を与えて外
力を加える台座であることを特徴とする。
【0019】また、光導波路モジュールは、応力付加部
材が、光導波路素子の初期変形の曲率半径とは異なる曲
率半径の曲面を有し、光導波路素子に変形を与えて外力
を加える台座であることを特徴とする。
【0020】上記したような曲率半径の変更などの変形
は、例えば、初期状態とは異なる曲率半径の台座を用
い、その台座と光導波路素子とを接着等で固定すること
によって実現することができる。このような台座によれ
ば、効率的に変形を与えられると同時に、製造後におけ
る固定状態の変化による性能変化等を抑制して、より確
実・安定な光学特性の設定及び保持が実現できる。
【0021】さらに、光導波路モジュールの製造方法
は、第2の工程において、光導波路素子の所定の部分に
対して台座を固定して変形を与えることを特徴としても
良い。
【0022】また、光導波路モジュールは、台座が、光
導波路素子の所定の部分に対して固定されていることを
特徴としても良い。
【0023】台座を光導波路素子の全体に対して固定・
接着するのではなく、アレイ導波路型回折格子のアレイ
部など応力制御による光学特性設定に必要な部位等、所
定の部分のみに固定する構成とすることによって、光導
波路モジュールに対する様々な条件・構造設定が可能と
なる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による光
導波路モジュール及びその製造方法の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。なお、図面の説明においては同
一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致し
ていない。
【0025】まず、図1及び図2を用いて、初期変形等
によって光導波路にかかる初期状態での応力、及びその
応力の変形・外力印加による変化とそれによる光学特性
の変化を、挿入損失の偏波依存性を例として説明する。
なお、以下の光導波路素子及びモジュールの各図におい
ては、説明のためその変形を強調して示している。ま
た、以下において光導波路素子の曲率半径とは、基板の
反り等による変形の曲率半径をいう。実際に光導波路素
子において生じ、あるいは外部から加える変形の大きさ
は、基板の大きさや材質、実装方法等によってそれぞれ
異なるが、例えば初期の基板の反りの曲率半径が5mで
あった基板を、外力を加えて曲率半径3mにする程度で
ある。
【0026】図1は、外力付加による応力変化を説明す
るための模式図であり、図1(a)及び(b)は、それ
ぞれ外力付加前後での光導波路素子1の断面形状を示し
ている。図1(a)に示すように、この光導波路素子1
は基板2、及び基板2上(図中の上方)に形成された平
面型の光導波路3を有して構成されている。ここで、基
板2を石英ガラス(SiO2)基板とすると、図に示す
ように石英基板2は、その両端が光導波路3が形成され
ている上方に向かって変形する方向の反り(上側に凹
状)を生じる。この反りは光導波路素子1のモジュール
実装前での初期変形であるが、このとき、基板2にかか
る応力は圧縮応力となり、一方、光導波路3には図中に
示すように初期状態の応力として引っ張り応力がかか
る。
【0027】ここで、光導波路素子1の一例としてアレ
イ導波路型回折格子を考え、その光学特性として挿入損
失の波長特性の偏波依存性とその変化等について説明す
る。図2(a)は、図1(a)の状態における光導波路
3の挿入損失の偏波依存性について示したグラフであ
る。
【0028】上記のように光導波路3に応力がかかった
場合、光学的に等方であった光導波路3内に複屈折性・
光学的な異方性を生じる。それによってTM偏波(垂直
偏波)及びTE偏波(水平偏波)に対する実効的な屈折
率が異なる状態となり、挿入損失の波長特性などに偏波
依存性を生じる。すなわち、図2(a)のグラフに示し
たアレイ導波路型回折格子での挿入損失の波長特性のよ
うに、TM偏波及びTE偏波に対する損失の波長依存性
が異なるものとなり、それぞれのピーク位置の違いに示
されているように、偏波依存波長シフト(以下、PDλ
という)を生じてしまう。図2(a)には、さらにTM
偏波及びTE偏波の挿入損失の差分の大きさに相当する
偏波依存損失(以下、PDLという)についても挿入損
失と対応させて示してあり、両者のピーク位置がずれる
ことによって大きいPDLを生じていることがわかる。
【0029】これに対して、基板2の反りに起因する光
導波路素子1の初期変形の曲率半径をさらに小さくする
ように変形して外力を加えることによって、上記した偏
波依存性を低減することができる。具体的には、例えば
図1(b)に示すように光導波路素子1の中心部に下方
に向かって変形・外力を加え、両端に上方に向かって変
形・外力を加えることによって、光導波路素子1の曲率
半径を初期変形の曲率半径から小さくする(反りを大き
くする)方向の変形を加える。このとき、光導波路3に
は図1(a)に示した初期状態の応力に対してさらに外
力によって生じる一定の応力が付加され、その結果、図
1(b)に示したように光導波路3にかかる引っ張り応
力は低減される。
【0030】この状態での光導波路3の挿入損失の偏波
依存性を図2(b)に示す。外力・変形を加えて光導波
路3にかかる応力を低減させることによって、図2
(b)の挿入損失の波長特性及び偏波依存損失PDLの
グラフに示すように、挿入損失の偏波依存性が抑制され
てPDλ及びPDLをともに小さくすることができる。
【0031】図3は、本発明による光導波路モジュール
の第1の実施形態の構成を示す側面断面図である。この
光導波路モジュールは、光導波路素子1を備えるととも
に、変形による外力を加えることによって、光導波路に
応力を付加して上記した挿入損失の偏波依存性の低減を
実現するように構成されている。このとき、図1(a)
及び図2(a)は光導波路素子1のモジュールへの実装
前の状態に、また、図1(b)及び図2(b)は実装後
の状態にそれぞれ対応している。なお、この図において
は光導波路モジュールに両側からそれぞれ接続される光
ファイバアレイ10についても図示している。
【0032】このような光導波路モジュールは、光導波
路素子1を作製する第1の工程、及び光導波路素子1を
実装させて光導波路モジュールを形成する第2の工程を
含む製造工程によって形成される。
【0033】第1の工程においては、石英基板2上に所
定の光導波路3を形成することによって光導波路素子1
が作製される。この光導波路素子1は、図1(a)に示
したように、モジュールへの実装前においては上方に凹
状の反りによる初期変形を有している。
【0034】第2の工程においては、光導波路素子1が
下部台座4及び上部台座5からなる応力付加部材である
台座によって固定されて光導波路モジュールが形成され
る。下部台座4及び上部台座5の光導波路素子1側の面
は互いにほぼ同じ曲率半径の曲面形状によって形成され
ており、その曲率半径は、本実施形態においては光導波
路素子1の初期変形の曲率半径よりも小さく設定されて
いる。
【0035】この下部台座4及び上部台座5を、それぞ
れ光導波路素子1の下方(光導波路3の反対側)及び上
方(光導波路3側)に接着剤9によって接着・固定し
て、図3に示した光導波路モジュールを形成する。この
とき、光導波路素子1は、図1(b)に示したように、
その曲率半径が初期変形の曲率半径よりも小さくなる方
向に変形されて固定される。
【0036】ここで、光導波路素子1がアレイ導波路型
回折格子であるとする。図4に、上記した構成で素子実
装時に設定される曲率半径Rに対する、アレイ導波路型
回折格子である光導波路素子1の偏波依存波長シフトP
Dλの変化を示す。初期変形での曲率半径R0において
は光導波路3に引っ張り応力がかかっており、それによ
って大きいPDλを生じるが、曲率半径Rを小さくする
ように台座4、5で変形による外力を加えていくことに
よって引っ張り応力を低減させて、図4に白点によって
図示したようにPDλを低減することができる。この実
装後の曲率半径については、曲率半径によるPDλの変
化、及び反りを大きくすることによって基板が劣化また
は破損してしまう限界曲率半径RCなどの諸条件から適
宜選択して設定する。
【0037】本実施形態による光導波路モジュールの作
用について説明する。光導波路素子の光学特性について
は、図1及び図2によって説明したように光導波路にか
かる応力によって変化する。その応力は光導波路素子に
変形・外力を加えて新たな応力を付加することによって
低減または変更することが可能であり、それによって光
学特性が所望の状態に向上または変更されるように設定
することができる。
【0038】本光導波路モジュールにおいては、図3に
示すように光導波路素子1に変形を加える応力付加部材
である台座4、5によってそのような応力付加と保持を
実現している。すなわち、実装前に光導波路素子1が有
している初期変形の曲率半径に対して、光導波路素子1
に接する面が異なる曲率半径の所定の曲面形状となるよ
うに台座4、5を形成する。この台座4、5に光導波路
素子1を固定・実装することによって初期変形とは異な
る所定の変形・外力を加え、光導波路3にかかる応力を
一定量変化させて、それによって光導波路素子1の光学
特性を変化させ制御して所定の状態や値に設定すること
ができる。
【0039】例えば、光導波路素子1がアレイ導波路型
回折格子である場合、その実装前における初期変形の曲
率半径よりも小さい曲率半径(大きい反り)を有する台
座4、5を応力付加部材として用いることによって、光
導波路3の光学特性である挿入損失のPDλ及びPDL
が低減され、偏波依存性が制御・抑制された光導波路モ
ジュールを構成することができる。したがって、その性
能・特性が向上されたアレイ導波路型回折格子モジュー
ルが得られる。
【0040】上記のように光導波路素子に対して応力付
加部材を固定して外力を加えることによって光導波路に
応力を積極的に付加して応力制御を実現する製造方法及
び構造によれば、光導波路モジュール形成後における応
力を応力付加部材の構成等によって設定・制御すること
ができるので、光導波路モジュールの光学特性のずれを
抑制し、または光学特性に一定の変化を与えて、光学特
性の好適化を実現することができる。
【0041】また、応力付加部材への固定によって光導
波路内に生じる応力の制御性及び設定精度を高めること
ができるので、光導波路モジュールの光学特性のばらつ
き及び長時間の使用等による劣化を抑制し、また製造歩
留まりを向上させるなど、光学特性の安定化を実現する
ことができる。
【0042】さらに、光導波路素子に新たな光学要素等
を付加することなく光学特性の制御を実現しているの
で、制御可能な光学特性が限定されることなく、広い範
囲・目的に対して適用することができる。また、光導波
路素子とモジュールの構造及び製造工程の簡単化・製造
コストの低減と、性能の向上とを両立させることが可能
となる。
【0043】なお、初期変形やモジュールへの実装等に
よって生じる光導波路での応力等に関しては、例えば特
開平6−67041号公報、及び特開平10−1609
60号公報に、光導波路素子の基板全体、またはアレイ
導波路型回折格子でのアレイ部などの所定の部分に対し
て、新たな応力が加わらないように実装することが記載
されている。しかしながら、このような方法では変形・
外力等による応力付加を行うのではなく、単に応力がか
からないように実装するのみであるので、実装時の応力
変化を制御することができず、結果として実装後の応力
や光学特性の設定にばらつきを生じてしまう。
【0044】これに対して、本実施形態による光導波路
モジュールは、新たな応力がかからないようにするので
はなく、素子の実装時において台座などの応力付加部材
を接着等によって光導波路素子に対して固定して変形・
外力を積極的に加えることによって、応力を所定の状態
に設定・制御して好適かつ安定な光学特性を有する光導
波路モジュールを実現するものである。
【0045】また、図1及び図3に示した光導波路素子
はいずれも石英(SiO2)製の基板2を用いたもので
あり、生じる初期変形は、上側に凹状の反りとなる。こ
の初期変形の方向・程度などは基板の材質等によって異
なり、例えばシリコン(Si)基板を用いると、石英基
板とは逆の上側に凸状の反りを生じる。このような場合
においても、上記と同様の方法・構造で製造された光導
波路素子によって光学特性を制御・設定することが可能
である。
【0046】すなわち、シリコン基板を用いた光導波路
素子においては光導波路には圧縮応力がかかる。これに
対して、その石英基板の場合とは反対方向の反りの曲率
半径を変化させる台座を形成して光導波路素子を固定・
実装することによって、光学特性を変化・設定させるこ
とができる。例えば、アレイ導波路型回折格子での挿入
損失の偏波依存性を考えると、反りの曲率半径を小さく
する(ただし、向きは石英基板の場合と反対)ように形
成された台座に実装することによって、光導波路にかか
る圧縮応力を小さくして、図4に示した石英基板を用い
たアレイ導波路型回折格子についての例と同様に偏波依
存性によるPDλ及びPDLを低減させることができ
る。
【0047】応力付加部材を用いた変形・外力による応
力付加は、上記したPDλやPDLなどの偏波依存特性
以外にも波長依存性・特性波長など様々な光学特性の設
定・制御にも同様に適用することができる。波長依存性
制御の例として、図5に、アレイ導波路型回折格子の中
心波長について、変形の曲率半径に対する中心波長シフ
ト(以下、Δλという)の変化のグラフを示す。なお、
Δλ=0が応力付加部材による応力付加をしていない初
期変形の状態に対応している。
【0048】アレイ導波路型回折格子の中心波長は、上
記した挿入損失の偏波依存性と同様に、光導波路にかか
る応力によって変化する。この変化に対して、台座等の
応力付加部材を用い光導波路素子に所定の変形・外力を
加えて光導波路に応力を付加することによって、一定の
中心波長に設定・制御することができる。この場合、偏
波依存性の場合とは異なり、曲率半径の変化方向につい
ては曲率半径を小さくする方向に限らず、反対に曲率半
径を大きくする(反りを小さくする)変形を加えても良
い。
【0049】図5には、石英基板(白点)及びシリコン
基板(黒点)を用いたアレイ導波路型回折格子の中心波
長シフトΔλを、曲率半径Rの変化に対してそれぞれ示
してある。これらに示されているように、その中心波長
は光導波路素子の変形の曲率半径を変化させることによ
ってシフトしていくので、基板が劣化・破損等してしま
う限界曲率半径RCを超えない範囲において、設定した
い中心波長や他の条件に応じて好適な曲率半径を選択・
設定することができる。
【0050】ただし、図5に石英基板を用いた場合の右
下がりのΔλ変化(曲率半径を小さくするとΔλ増加、
曲率半径を大きくするとΔλ減少)、及びシリコン基板
を用いた場合の右上がりのΔλ変化(曲率半径を小さく
するとΔλ減少、曲率半径を大きくするとΔλ増加)が
示されているように、その変化方向は基板の材質等によ
って異なるので、それぞれの素子での曲率半径依存性に
基づいて変形・外力による応力付加を設定する必要があ
る。
【0051】また、挿入損失の偏波依存性や中心波長な
どの波長依存性以外の光学特性、あるいはアレイ導波路
型回折格子以外の光導波路素子を備える光導波路モジュ
ールの光学特性についても、同様に変形によって変化さ
せることが可能であるので、それぞれの曲率半径への依
存性等を考慮しつつ、同様に応力付加部材による応力付
加と光学特性の制御・設定を行うことが可能である。
【0052】本発明による光導波路モジュールは上記し
た実施形態に限られるものではなく、様々な変形・構成
の変更等が可能である。図6は、本発明による光導波路
モジュールの第2の実施形態の構成を示す上面図であ
る。本実施形態では光導波路素子1はアレイ導波路型回
折格子であるが、図3に示した台座4、5のようにその
全体に対して台座を固定・接着するのではなく、基板2
上に形成された光導波路3のうちのアレイ部3aに対応
する部位に所定の変形を加えて応力を付加する台座6
(図中、点線によってその設置範囲を示している)を固
定・接着している。
【0053】このように、台座等の応力付加部材は必ず
しも光導波路素子全体に対して固定する必要はなく、応
力付加による光学特性の制御・設定に対して必要な部位
のみに限って固定・接着するように構成しても良い。こ
の場合、光学特性の設定に必要がない部位に対する不必
要な変形を低減することができる。例えば、本実施形態
においては光ファイバとの接合部3bに変形が加えられ
ないので、光ファイバとの接合部の幅が広い大型の光導
波路素子に適用しても、その接合状態を好適な条件に保
つことができる。
【0054】なお、台座の面の形状については、図3及
び図6に示した場合のいずれも球面状の曲面形状とする
ことが好ましいが、例えば円筒状の面形状など球面以外
の形状とした場合においても、光学特性の設定とばらつ
き等の低減を同様に実現することが可能である。
【0055】図7は、本発明による光導波路モジュール
の第3の実施形態の構成を示す側面断面図である。図3
に示した第1の実施形態においては、台座4、5は光導
波路素子1の全体に対して接着され固定されていたが、
この固定・変形方法については、光導波路素子に変形を
加えるために必要な部分のみを介して接着される応力付
加部材の構成としても良い。
【0056】図7においては、そのような応力付加部材
の例として下部部材7及び上部部材8が示されている。
本実施形態においては、下部部材7は、その両端で光導
波路素子1を上方に変形させるように接着剤9によって
接着・固定される。また、上部部材8は、下部部材7に
よって上方に変形された両端を支えるとともに、その中
心部で光導波路素子1を下方に変形させるように同様に
接着・固定される。
【0057】以上の構成による部材7、8によって、図
3の台座4、5の場合と同様の変形・外力を光導波路素
子1に対して加えることができる。すなわち、このよう
に光導波路素子1の所定部分を介して固定されて変形・
外力を加える応力付加部材によっても、光導波路3への
応力付加による光学特性の設定・制御を実現することが
可能である。ただし、応力付加部材と光導波路素子の接
着部分の範囲については、変形を加えた状態での長期間
の固定によって接着剤の剥離などモジュールの劣化を生
じないように、充分な面積範囲や形状に接着部分を設定
することが好ましい。
【0058】上記した各実施形態における応力付加部材
の構成及びその光導波路素子への接着・固定方法以外に
も、個々の光導波路素子の構成等に応じて様々な応力付
加部材を用いることが可能である。
【0059】
【発明の効果】本発明による光導波路モジュール及びそ
の製造方法は、以上詳細に説明したように、次のような
効果を得る。すなわち、応力付加部材を固定して光導波
路素子に変形・外力を加えて、素子実装後・モジュール
形成後の光導波路内での応力を所定の状態に設定・制御
することによって、応力によって変化する光学特性を好
適に設定・制御することができる。特に、応力付加を行
うことによって、応力・光学特性の好適化とともにその
安定化を実現することができるので、その製造歩留まり
を向上させることができる。
【0060】また、光導波路素子に新たな光学要素を付
加することなく光学特性の制御を実現しているので、光
導波路素子とモジュールの構造及び製造工程の簡単化・
製造コストの低減と、性能の向上とを両立させることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光導波路素子の変形によって光導波路にかかる
応力及びその変化について説明するための模式図であ
る。
【図2】光導波路にかかる応力変化による挿入損失の偏
波依存性の変化を示すグラフである。
【図3】光導波路モジュールの第1の実施形態の構成を
示す側面断面図である。
【図4】曲率半径に対する偏波依存波長シフトPDλの
変化を示すグラフである。
【図5】曲率半径に対する中心波長シフトΔλの変化を
示すグラフである。
【図6】光導波路モジュールの第2の実施形態の構成を
示す上面図である。
【図7】光導波路モジュールの第3の実施形態の構成を
示す側面断面図である。
【符号の説明】
1…光導波路素子、2…基板、3…光導波路、3a…ア
レイ部、3b…接合部、4…下部台座、5…上部台座、
6…台座、7…下部部材、8…上部部材、9…接着剤、
10…光ファイバアレイ。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導波路を有する光導波路モジュールの
    製造方法であって、 基板上に前記光導波路を形成して光導波路素子を作製す
    る第1の工程と、 作製された前記光導波路素子に対して応力付加部材を固
    定して、前記光導波路素子に所定の外力を加えることに
    よって前記光導波路に一定の応力を付加してその光学特
    性を制御し設定する第2の工程と、を有することを特徴
    とする光導波路モジュールの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の工程において、前記光導波路
    素子に対して、その曲率半径が初期変形の曲率半径より
    小さくなる方向に前記応力付加部材による変形を与えて
    前記外力を加えることによって、前記光学特性の偏波依
    存性を低減させることを特徴とする請求項1記載の光導
    波路モジュールの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の工程において、前記光導波路
    素子に対して、その曲率半径が初期変形の曲率半径より
    小さくなるかまたは大きくなる方向に前記応力付加部材
    による変形を与えて前記外力を加えることによって、前
    記光学特性の波長依存性を変更させることを特徴とする
    請求項1記載の光導波路モジュールの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記応力付加部材は、前記光導波路素子
    に対して、初期変形の曲率半径とは異なる曲率半径とな
    るように変形を与えて前記外力を加える台座であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の光導波
    路モジュールの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の工程において、前記光導波路
    素子の所定の部分に対して前記台座を固定して前記変形
    を与えることを特徴とする請求項4記載の光導波路モジ
    ュールの製造方法。
  6. 【請求項6】 基板と、前記基板上に形成された光導波
    路とを有する光導波路素子を含んで構成される光導波路
    モジュールであって、 前記光導波路素子に対して固定され、前記光導波路素子
    に所定の外力を加えることによって前記光導波路に一定
    の応力を付加する応力付加部材を備えることを特徴とす
    る光導波路モジュール。
  7. 【請求項7】 前記応力付加部材は、前記光導波路素子
    を変形させることによって前記外力を加えることを特徴
    とする請求項6記載の光導波路モジュール。
  8. 【請求項8】 前記応力付加部材は、前記光導波路素子
    の初期変形の曲率半径とは異なる曲率半径の曲面を有
    し、前記光導波路素子に変形を与えて前記外力を加える
    台座であることを特徴とする請求項7記載の光導波路モ
    ジュール。
  9. 【請求項9】 前記台座は、前記光導波路素子の所定の
    部分に対して固定されていることを特徴とする請求項8
    記載の光導波路モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6847772B2 (en) 2002-02-14 2005-01-25 Fujitsu Limited Planar optical waveguide device
JP2008217029A (ja) * 2008-04-14 2008-09-18 Anritsu Corp 光変調デバイス

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