JP2001062290A - 有機ハロゲン化合物除去処理材およびその処理方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物除去処理材およびその処理方法

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JP2001062290A
JP2001062290A JP24130799A JP24130799A JP2001062290A JP 2001062290 A JP2001062290 A JP 2001062290A JP 24130799 A JP24130799 A JP 24130799A JP 24130799 A JP24130799 A JP 24130799A JP 2001062290 A JP2001062290 A JP 2001062290A
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inorganic compound
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JP24130799A
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English (en)
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Kenji Uemoto
賢治 上本
Muneo Mita
宗雄 三田
Fumio Takizawa
文男 滝沢
Hiroyoshi Takasaki
裕圭 高嵜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KIMURA KOGYO KK
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Original Assignee
KIMURA KOGYO KK
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン
などの有機ハロゲン化合物を除去処理できる処理材を提
供する。 【解決手段】 天然又は合成ゼオライト等の天然又は合
成の無機化合物基材に銀を含有させた銀含有無機化合物
を有する有機ハロゲン化合物除去処理材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体産業やドラ
イクリーニングなどで使用されているテトラクロロエチ
レン、トリクロロエチレンなどの有機ハロゲン化合物の
除去処理材およびその処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、電気、電子、精密機械、
半導体等の洗浄やドライクリーニングなどに使用されて
いるテトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、塩化
メチレンなどは麻酔性や発癌性などがあり、蓄積性はな
いが難分解性であり、土壌や地下水の汚染の問題から、
1989年に水質汚濁防止法および地下水道法が改正さ
れ、水質規制の対象となり、下水道に排出される濃度が
規制された。
【0003】しかしながら、ドライクリーニングでは数
種の洗濯用溶剤が使用されているが、洗浄力が良いこ
と、洗濯時間が短いことなどで規模の大きなクリーニン
グ店では今でも多量のテトラクロロエチレンなどが使用
され、排水中には多くの有機ハロゲン化合物が含まれて
いる。
【0004】これらの有機ハロゲン化合物を処理する技
術としては、例えば酸化チタンに代表される光触媒を使
用して紫外線を照射しながら分解をする方法、また、細
菌などの微生物を利用して処理するバイオメデレーショ
ンと呼ばれる方法、ばっき法、活性炭やゼオライトなど
による吸着などが挙げられる。
【0005】この中で、工業的に安価な方法であるゼオ
ライトの吸着能を利用した例は、幾つか提案されてい
る。例えば塩化炭化水素をゼオライトと接触させること
により塩化炭化水素を安定化する方法(特開昭59−4
8425号公報、特開昭61−153190号公報)、
酸性水溶液にチャバサイト型ゼオライトを含み少なくと
もモル比(M2 O/Al23)(Mはカリウム、ルビジ
ウム、セシウムよりなる群から選択される少なくとも1
種の陽イオンである)0.5を有する吸着剤と接触させ
て吸着する方法(特開昭62−191021号公報)、
使用済みハロゲン化エチレンをゼオライト系吸着剤及び
ハロゲン化エチレン中の分子径よりやや大きい平均孔径
を有し、かつ表面に酸性基や灰分のない無極性の活性炭
によって処理する方法(特開平1−172350号公
報)、有機ハロゲン化合物と該有機ハロゲン化合物の分
子径以上の細孔径を持つアルミノシリケート及び/又は
アルミノフォスフェートを接触させる方法(特開平3−
47516号公報)、1,1,1,2−テトラフルオロ
エタンと1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレンとの
混合物を、液相中で50〜180℃の温度でしかもフッ
素化触媒の実質的な不在下にフッ化水素と共に加熱し、
次いで約3.8〜約4.8Åの平均直径の細孔を有する
ゼオライト分子篩に対して接触させる方法(特開平5−
238968号公報)、吸水性樹脂の粒子内部にゼオラ
イト粉未が分散された粉粒状の消臭性樹脂組成物(特閥
平8−176338号公報)などが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記で
提案されている方法は、ゼオライトの吸着能を利用した
ものであり、単なる吸着能では充分に有機ハロゲン化合
物を分解することはできない。
【0007】本発明者らは、上記事情に鑑み有機ハロゲ
ン化合物の除去方法を鋭意検討した結果、有機ハロゲン
化合物を銀を含有する銀含有無機化合物と接触せしめる
ことにより良好に除去処理できることを見出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、銀を含
有する銀含有無機化合物を有することを特徴とする有機
ハロゲン化合物除去処理材に係るものである。
【0009】また、銀含有無機化合物は、天然又は合成
の無機化合物基材に銀を含有させたものである前記記載
の有機ハロゲン化合物除去処理材に係るものである。更
にまた、銀含有無機化合物は、天然又は合成ゼオライト
に銀を含有させたものである前記記載の有機ハロゲン化
合物除去処理材に係るものである。
【0010】また、銀含有無機化合物は、銀をイオン交
換により担持するか又は銀化合物として含浸して含有す
る前記記載の有機ハロゲン化合物除去処理材に係るもの
である。
【0011】また、粒状又は球状粒子からなる樹脂の母
材の表面に銀を含有する銀含有無機化合物を付着してな
る前記記載の有機ハロゲン化合物除去処理材に係るもの
である。更にまた、前記樹脂の母材はポリエチレンペレ
ットである前記記載の有機ハロゲン化合物除去処理材に
係るものである。
【0012】また、本発明は、有機ハロゲン化合物を上
記の有機ハロゲン化合物除去処理材と接触させることに
より、有機ハロゲン化合物を除去処理することを特微と
する有機ハロゲン化合物の処理方法に係るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の有機ハロゲン化合物除去
処理材は、銀を含有する銀含有無機化合物を有するもの
であり、銀は僅かでも存在していればよい。具体的に
は、無機化合物中の銀の含有量は、銀としては3〜15
wt%、好ましくは8〜12wt%の範囲が望ましい。
3wt%未満では有機ハロゲン化合物の処理効果が不十
分であり、また15wt%を越えると効果が飽和し、経
済性の面で好ましくない。
【0014】本発明における銀を含有する銀含有無機化
合物とは、基材となる天然又は合成の無機化合物に、銀
が担持又は含浸されているものである。その形態は、イ
オン交換で担持されていても良いし、単に銀として含浸
されているものであってもよい。この含浸の場合、例え
ば硝酸銀等の溶液中に無機化合物基材を浸漬して、濾過
・乾燥させたものでもよい。含浸担持される銀は、特に
制限されないが、具体的には塩化銀やホウ酸銀、チオス
ルファト銀錯体のような難溶性の銀化合物が無機化合物
に担持されているものである。
【0015】ここで、基材となる無機化合物とは、銀を
担持又は含浸することができるものであれば特に制限は
されないが、例えば、合成又は天然ゼオライト、ハイド
ロキシアパタイト、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコ
ニウム等のリン酸塩、大谷石、酸化亜鉛、二酸化珪素、
炭酸カルシウム、酸化チタン、ガラス、溶解性ガラス、
タルク等である。好ましいものとしては、天然又は合成
ゼオライトである。上記基材は、微粒子又は粒状、柱
状、繊維状のあらゆる形状・大きさのものでよく、特に
制限されない。
【0016】好ましい無機化合物基材としてはゼオライ
トであるが、これは工業的に入手できるものであればよ
い。
【0017】係る基材のアルミノシリケー卜よりなる天
然又は合成ゼオライトは、一般に三次元の骨格構造を有
するアルミノシリケートであって、一般にはAl23
基準にしてxM2/nO・Al23・ySiO2・zH2
で表される。Mはイオン交換可能な金属イオンを表し、
通常は1価〜2価の金属であり、nはこの原子価に対応
する。一方、xおよびyはそれぞれ金属酸化物、シリカ
のモル数、zは結晶水の数を表している。ゼオライト
は、その組成比及び細孔径、比表面積などの異なる多く
の種類が知られている。イオン交換されるゼオライト基
材は、SiO2/Al23モル比が14以下が好まし
い。
【0018】基材のゼオライトとしては、天然又は合成
の何れでも良いが、例えば天然のゼオライトとしては、
アナルサイム(Analcime:SiO2/Al23
=3.6〜5.6)、チャバサイト(Chabazit
e:SiO2/Al23=3.2〜6.0)、クリノプ
チライト(Crinoptilolite:SiO2
Al23=8.5〜10.5)、エリオナイト(Eri
onite:SiO2/Al23=5.8〜7.4)、
フォジャサイト(Faujasite:SiO2/Al2
3=4.2〜4.6)、モルデナイト(Morden
aite:SiO2/Al23=0.34〜10.
0)、フィリップサイト(Phillipsite:S
iO2/Al23=2.6〜4.4)等が挙げられる。
【0019】合成ゼオライトはA型ゼオライト(SiO
2/Al23=1.4〜2.4)、X型ゼオライト(S
iO2/Al23=2〜3)、Y型ゼオライト(SiO2
/Al23=3〜6)、モルデナイト(SiO2/Al2
3=9〜10)などが挙げられる。粒子径は、比表面
積が150m2/g以上で、平均粒子径が0.1〜10
0μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。
【0020】上記の天然又は合成ゼオライト、リン酸塩
などのイオン交換能を有する無機化合物は、該粒子中に
存在する陽イオンが銀の水溶性塩の水溶液と接触させる
ことにより容易にイオン交換する。また、イオン交換能
を有しない無機化合物の場合は、銀の水溶性塩の水溶液
中に添加して含浸させることにより銀を含有させること
ができる。
【0021】また、本発明の有機ハロゲン化合物除去処
理材は、前記ゼオライトなどの無機化合物に銀イオンを
担持した銀含有無機化合物を主成分とする微粒子である
が、その他に銀を含有する銀含有無機化合物を母材に混
合、含浸、付着又は密着させたものが、実際の使用に際
しては好ましい。
【0022】特に、母材表面付近に銀を含有する銀含有
無機化合物が付着又は密着されている場合、有機ハロゲ
ン化合物を良く分解し好ましい。母材としては、樹脂又
は無機物が挙げられる。無機物はベントナイト等で成形
されたものである。
【0023】また、樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。熱
可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピ
レンのようなポリα−オレフィン、α−オレフィンを少
なくとも含む他のモノマーとの共重合体、ポリスチレ
ン、メタアクリル系樹脂、スチレン−アクリルニトリル
系共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン系樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル、
フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネ−
卜、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル、酢酸セル
ロース(セルロース樹脂)、ポリスルホン熱可塑性ポリ
イミド、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンアイオ
ノマー系樹脂、ポリウレタン系樹脂等である。
【0024】特に、母材表面に付着又は密着されている
銀を含有する銀含有無機化合物の量は、母材100重量
部に対して0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量
部の範囲が望ましい。
【0025】次に、本発明の有機ハロゲン化合物除去処
理材を、図面を参照して説明する。図1は本発明に係る
有機ハロゲン化合物除去処理材の一実施態様を示す拡大
概略図である。この有機ハロゲン化合物除去処理材1
は、球状の母材2と、この母材2の表面の全体に付着さ
れている銀を含有する銀含有無機化合物粉未3とから成
る。母材2は透明なプラスチック(合成樹脂)から構成
され、約3〜5mmの直径を有している。銀を含有する
銀含有無機化合物粉末3は、例えば銀イオン担持のゼオ
ライト粉末から成り、平均粒径が2μm、比重が2.1
〜2.2を有している。この銀を含有する銀含有無機化
合物粉未3は100gの母材2に対し約3gの割合で付
着されている。
【0026】本発明の上記有機ハロゲン化合物除去処理
材で処理される有機ハロゲン化合物は、例えばテトラク
ロロエチレン、トリクロロエチレン又は塩化メチレンな
どの揮発性有機ハロゲン化合物が挙げられる。
【0027】本発明の有機ハロゲン化合物の処理方法
は、有機ハロゲン化合物を含む溶液又は気相中で本発明
の有機ハロゲン化合物除去処理材を添加して攪拌させな
がら、または静置して接触させることにより、有機ハロ
ゲン化合物を除去して濃度を低くすることができる。具
体的には、溶液処理であれば溶液中に有機ハロゲン化合
物除去処理材を添加して静置又は攪拌により処理するこ
とができ、気相中であれば気相中に固定するだけで除去
処理することができる。処理温度は、溶液処理及び大気
中での何れであっても、室温で処理することができる。
処理時間は、有機ハロゲン化合物の濃度や有機ハロゲン
化合物除去処理材の量によって異なるが、通常は30分
以上である。
【0028】本発明の処理方法による銀を含有する銀含
有無機化合物による有機ハロゲン化合物の分解除去機構
は明らかではないが、例えば溶液中に添加した場合、無
機化合物にイオン交換又は含浸担持されている銀がイオ
ンとなって一部溶出し、水中の溶存酸素に作用してヒド
ロキシルラジカルを連続的に発生し、これがトリクロロ
エチレンの二重結合に作用するため反応が進行し、トリ
クロロエチレンが減少すると考えられる。
【0029】また、気相中に静置して分解させる場合
も、溶液中と同様に、大気などの気相中に含まれる水分
や基材となる無機化合物に含まれる付着水分や構造水に
よって銀が一部イオンとして溶出することにより、溶液
中と同様な作用により分解除去処理される考えられる。
【0030】さらに、天然又は合成ゼオライトに銀を含
有させた銀含有無機化合物では、上記の銀の作用にゼオ
ライトの吸着能が相乗的に作用し有機ハロゲン化合物の
除去作用は更に有効となる。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0032】有機ハロゲン化合物除去処理材の製造 (試料A)多数の母材(ポリエチレンペレット、平均直
径3mm)をミキサーに投入し、ミキサーを高速回転さ
せる。これにより、母材が相互に当接し、その表面が発
熱して溶融する。母材の表面が溶融した時点で溶融促進
剤としての有機溶剤、例えばトルエンをミキサーに投入
する。しかる後、ミキサーに10.5wt%銀イオンを
イオン交換によって担持したA型ゼオライト(日本化学
工業(株)製、商品名:サイダップス)を入れ、再びミ
キサーを高速回転させる。これにより、各母材の表面が
溶融し、かつ銀イオンを担持した無機化合物粉末が母材
に高速で衝突することから、母材の表面に銀イオンを担
持した無機化合物粉未がほぼ均一に付着した有機ハロゲ
ン化合物除去処理材を得た。
【0033】この処理材は、母材の溶融ポリエチレンペ
レット100gに10.5wt%銀イオン交換A型ゼオ
ライト3gが担持されており、商品名:ドラゴン(喜務
良工業社製)で市販されている。
【0034】(試料B)3wt%の濃度を有する硝酸銀
溶液(AgNO3 )中に平均粒子径約3mmの粒状の天
然モルデナイト(宇都宮市多気地区産出)を網状のケー
スごと担持槽の硝酸銀溶液に浸漬した後、硝酸銀溶液が
入った担持槽を50℃に加熱し、24時間浸漬した。
【0035】次いで、天然モルデナイトを担持槽より取
り出し、水洗いした上で加熱処理し、天然モルデナイト
より水分を蒸発させた。これによって、天然モルデナイ
トに銀を含浸担持させた天然モルデナイトを基材とした
有機ハロゲン化合物除去処理材を得ることができた。こ
の処理材の天然モルデナイ中の銀の含有量は0.5wt
%であり、基材の表面に銀イオンが最も多く担持されて
いる。
【0036】A:トリクロロエチレンの除去処理 (トリクロロエチレンの気液平衡測定)まず、化学便覧
(第3版、昭和59年6月25日、丸善(株)社発行)
第II−126頁から求めたトリクロロエチレンと水の
蒸気圧曲線(1気圧)をそれぞれ図2に示す。20℃の
蒸気庄はそれぞれ60mmHg、18mmHgである。
トリクロロエチレンの方が3.3倍気化しやすいことが
図2から読み取れる。この比は、10℃で4.0倍、3
0℃で3.0倍、40℃では2.7倍、50℃では2.
3倍と温度が上昇するに従って減少する傾向にある。し
かし、蒸気圧の絶対値は温度とともに大きくなるので、
操作温度は両者を考慮して決定する必要がある。この実
験では20℃で行った。
【0037】次に、図3に示す空気中でのトリクロロエ
チレン−水の気液平衡曲線(検量線)を作成した。トリ
クロロエチレン水溶液をデシケータに入れて密封撹拌
し、トリクロロエチレンを空気中に飽和状態になるまで
蒸発させた時、20℃で測定したトリクロロエチレンの
濃度を図3に示す。測定は2時間と4時間で行い、平衡
と認められれば2時間を採用した。この気液平衡曲線
は、気相中の濃度を測定することによって気相に平衡な
液相中の濃度を求める検量線として利用することができ
る。なお、図3の3ppm、10ppmにおいて変曲点
があるのは、下記の検知管の種類が異なることに起因し
ている。
【0038】(トリクロロエチレンの濃度測定)トリク
ロロエチレンの濃度測定は、気相で行い、下記の3種類
のガステック株式会社製の検知管によって行った。その
結果を20℃に換算を行った。 検知管 No.132LL(測定濃度範囲:0.25〜
4ppm) 検知管 No.132L (測定濃度範囲:2〜25p
pm) 検知管 No.132HA(測定濃度範囲:50〜50
0ppm)
【0039】実施例1 (水溶液中のトリクロロエチレンの除去)底部に攪拌機
能を備えた6140ml容デシケータ中に500mlの
水道水を入れ、その容器にトリクロロエチレン1.5m
g(1.024μl)添加した。デシケータ中の温度は
20℃であり、この時の水中のトリクロロエチレン濃度
は3ppmであった。20分攪拌後、デシケータ中の空
気に含まれるトリクロロエチレン濃度は8.8ppmで
あった。図3の気液平衡曲線(検量線)によると、水中
のトリクロロエチレン濃度3ppmの溶液の気相側平衡
値は35ppmになることから、いまだ平衡に達してい
ないのは明らかである。
【0040】この水溶液に試料Al00gを添加し、撹
拌したところ、添加後の処理時間1.5時間では、気相
中のトリクロロエチレン濃度は7.9ppmとなり、初
期濃度に比べ10%減少した。この時、図3の気液平衡
曲線(検量線)から、水溶液中のトリクロロエチレンを
算出すると0.58ppmと計算され、およそ80%が
減少した結果となる。初期濃度が35ppmに平衡に達
していたとすると、気液相とほぼ対応していると考えら
れる。
【0041】以下、同様に処理時間の経過に伴う気相中
のトリクロロエチレンの濃度変化を図4に示す。また、
気相の濃度から図3を用いて求めた水溶液中のトリクロ
ロエチレンの計算濃度も図4に併記する。気液相とも処
理時間の経過とともに単調減少している。
【0042】以上の結果より、トリクロロエチレン溶液
中に銀イオン交換ゼオライトが存在することにより、明
らかにトリクロロエチレンが減少したことが確認され
た。
【0043】実施例2 (気相中のトリクロロエチレンの除去)底部に攪拌機能
を備えた6140ml容デシケータ中に試料Aをシャー
レに50gづつ2皿に分けてデシケータ中に置いた。次
いで、デシケータのサンプリング口につるした濾紙に注
射器で0.019wt%トリクロロエチレンを1ml滴
下し、デシケータ内の攪拌子を回転させ、内部の空気を
攪拌し、トリクロロエチレンを気化させた。滴下5分後
の空気に含まれるトリクロロエチレン濃度は118pp
mであった。このときトリクロロエチレン液は完全に気
化していなかったが、分解処理は始まっていた。
【0044】30分後のトリクロロエチレン濃度は90
ppmとなり、初期濃度を118ppmとすると20%
減少していた。1.5時間後の濃度は70ppmとな
り、初期濃度に比べて気相中のトリクロロエチレン濃度
は40%減少した。その後の処理時間の経過に伴うトリ
クロロエチレンの濃度を図5に示す。処理時間とともに
トリクロロエチレンの濃度は単調滅少した。50時間後
は20ppmまで減少した。
【0045】以上のように銀イオン交換ゼオライトは、
気相中のトリクロロエチレンも減少させる能力があるこ
とが確認された。銀イオン交換ゼオライトは、アンモニ
アを分解する能力があることは知られているが気相中の
トリクロロエチレンに対しても同様に低温触媒として作
用したものと推測される。
【0046】なお、液相及び気相におけるトリクロロエ
チレンの経過濃度を示した図4及び図5について、初期
濃度に対して百分率に換算したトリクロロエチレンの除
去率の結果を図6に示す。同図6の結果から、液相で
は、処理時間2時間までの比較的反応初期において、8
0%の分解が進んでいることが分かる。その後経過時間
とともに80%から95%まで分解が進んだ。一方、気
相においても、液相とほぼ同様の傾向が認められる。
【0047】B:テトラクロロエチレンの除去処理 (テトラクロロエチレンの気液平衡測定)まず、化学便
覧(第3版、昭和59年6月25日、丸善(株)社発
行)第II−126頁から引用したテトラクロロエチレ
ン、トリクロロエチレンと水との蒸気圧曲線(1気圧)
をそれぞれ図7に示す。20℃の蒸気圧はそれぞれ14
mmHg、60mmHg、18mmHgである。トリク
ロロエチレンが水より3.3倍気化しやすいのに対し
て、テトラクロロエテレンの場合、40℃までは0.7
8倍、50℃では0.67倍、60℃では0.63倍と
温度が上昇するに従って減少する傾向にあった。しか
し、蒸気圧の絶対値は温度上昇とともに大きくなるの
で、操作温度は全体を考慮して決定する必要があるが、
実験では20℃で行うことを決定した。
【0048】次に、図8に示す空気中でのテトラクロロ
エチレン−水の気液平衡曲線(検量線)を作成した。テ
トラクロロエチレン水溶液をデシケータに入れて密封撹
拌し、テトラクロロエチレンを空気中に飽和状態になる
まで蒸発させた時、20℃で測定したテトラクロロエチ
レンの濃度を図8に示す。測定は、2時間、4時間、6
時間に行い、平衡と認められた4時間を採用した。検知
管は濃度範囲からNo.133HAのみを用いた。この
気液平衡曲線は、気相中の濃度を測定することによって
気相に平衡な液相中の濃度を求める検量線として利用す
ることができる。
【0049】(テトラクロロエチレンの測定)テトラク
ロロエチレンの濃度測定は、気相でのみ行い、下記の2
種類のガステック株式会社製の検知管によって行った。
その結果を20℃に換算を行った。
【0050】検知管 No.133L (測定濃度範
囲:2〜25ppm) 検知管 No.133HA(測定濃度範囲:20〜30
0ppm)
【0051】実施例3 (水溶液中のテトラクロロエチレンの除去)底部に撹拌
機能を備えた6140ml容デシケータ中に500ml
の水道水を入れ、その容器にテトラクロロエチレン1.
66mg(1.02μl)を添加した。デシケータ中の
温度は20℃であり、この時の水中のテトラクロロエチ
レン濃度は3.32ppmであった。30分撹拌後、デ
シケータ中の空気に含まれるテトラクロロエチレン濃度
は59.3ppmであった。この水溶液に試料A100
gを添加し、1時間撹拌した。この時の気相中のテトラ
クロロエチレン濃度は46.7ppmであった。図8か
ら推定した初期濃度70ppmに比べて33%減少し
た。処理時間2時間では、32ppmまで滅少し、初期
濃度に対して46%であった。
【0052】以下、同様に処理時間の経過に伴う気相中
のテトラクロロエチレンの濃度変化を図9に示す。2時
間以後の減少は、比較的緩やかになった。図9は、50
時間までであるが、455時間処理した結果、14.1
ppmまで減少し、初期濃度に対して20%であった。
【0053】以上の結果より、銀イオン交換ゼオライト
は、水中に存在するテトラクロロエチレンを減少させる
能力があることが分かった。特に、比較的短時間のうち
にその能力が大きいことが明らかとなった。
【0054】実施例4 (気相中のテトラクロロエチレンの除去)底部に攪拌機
能を備えた6140ml容デシケータ中に試料Aをシャ
ーレに50gづつ2皿に分けてデシケータ中に置いた。
次いで、デシケータのサンプリング口につるした濾紙に
注射器で0.019wt%テトラクロロエチレンを1m
l滴下し、デシケータ内の攪拌子を回転させ、内部の空
気を攪拌し、テトラクロロエチレンを気化させた。この
時の空気中に含まれるテトラクロロエチレン濃度は11
5.2ppmであった。1時間後は47.2ppmで4
1%まで減少した。2時間後は42.3ppmで36.
7%まで減少した。6時間後では23.5ppmで2
0.4%まで減少した。50時間後では13.7ppm
で11.9%まで減少した。
【0055】以下、表1及び図10に試料A(銀イオン
交換ゼオライト)による気相中のテトラクロロエチレン
の除去の結果を示すが、銀イオン交換ゼオライトは、空
気中のテトラクロロエチレンも減少させる能力があるこ
とが確認された。
【0056】
【表1】
【0057】実施例5 (気相中のテトラクロロエチレンの除去)実施例4の試
料Aの代わりに試料Bを用いた他は、実施例4と同様に
行った結果、以下表2の結果が得られた。
【0058】銀担特の天然モルデナイトは、銀イオン交
換ゼオライトと同様に空気中のテトラクロロエチレンも
減少させる能力があることが確認された。
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の有機ハロゲ
ン化合物除去処理材は、気相および液相中に含有される
有機ハロゲン化合物を良好に除去処理できる効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機ハロゲン化合物除去処理材の
一実施態様を示す拡大概略図である。
【図2】トリクロロエチレン及び水の蒸気圧線図であ
る。
【図3】トリクロロエチレン−水の気液平衡曲線(検量
線)を示す図である。
【図4】実施例1の除去処理時間の経過に伴う気相及び
液相中のトリクロロエチレンの濃度変化を示す図であ
る。
【図5】実施例2の除去処理時間の経過に伴う気相中の
トリクロロエチレンの濃度変化を示す図である。
【図6】図4および図5の初期濃度に対して百分率に換
算したトリクロロエチレンの除去率の変化を示す図であ
る。
【図7】テトラクロロエチレン−トリクロロエチレン−
水系の蒸気圧線図である。
【図8】テトラクロロエチレン−水の気液平衡曲線(検
量線)を示す図である。
【図9】実施例3の処理時間の経過に伴う気相中のテト
ラクロロエチレンの濃度変化を示す図である。
【図10】実施例4の処理時間の経過に伴う気相中のテ
トラクロロエチレンの濃度変化を示す図である。
【符号の説明】
1 有機ハロゲン化合物除去処理材 2 母材 3 銀含有無機化合物粉末
フロントページの続き (72)発明者 上本 賢治 東京都江東区亀戸9丁目11番1号 日本化 学工業株式会社研究開発本部内 (72)発明者 三田 宗雄 東京都江東区亀戸9丁目11番1号 日本化 学工業株式会社研究開発本部内 (72)発明者 滝沢 文男 栃木県鹿沼市上奈良町12−1 喜務良工業 株式会社内 (72)発明者 高嵜 裕圭 栃木県宇都宮市下平出町950−13 Fターム(参考) 4D002 AA17 AB03 AC07 BA04 CA07 DA21 DA45 HA01 4D024 AA04 AB11 BA07 BB01 BB07 BB08 BC01 CA06 4G066 AA61A AA61B AC13C BA09 CA33 DA01 DA07 EA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀を含有する銀含有無機化合物を有する
    ことを特徴とする有機ハロゲン化合物除去処理材。
  2. 【請求項2】 前記銀含有無機化合物は、天然又は合成
    の無機化合物基材に銀を含有させたものである請求項1
    記載の有機ハロゲン化合物除去処理材。
  3. 【請求項3】 前記銀含有無機化合物は、天然又は合成
    ゼオライトに銀を含有させたものである請求項1または
    2記載の有機ハロゲン化合物除去処理材。
  4. 【請求項4】 前記銀含有無機化合物は、銀をイオン交
    換により担持するか又は銀化合物として含浸して含有す
    る請求項1乃至3のいずれかの項に記載の有機ハロゲン
    化合物除去処理材。
  5. 【請求項5】 粒状又は球状粒子からなる樹脂の母材の
    表面に銀を含有する銀含有無機化合物を付着してなる請
    求項1乃至4のいずれかの項に記載の有機ハロゲン化合
    物除去処理材。
  6. 【請求項6】 前記樹脂の母材はポリエチレンペレット
    である請求項5記載の有機ハロゲン化合物除去処理材。
  7. 【請求項7】 有機ハロゲン化合物を請求項1乃至6の
    いずれかに記載の有機ハロゲン化合物除去処理材と接触
    させることにより、有機ハロゲン化合物を除去処理する
    ことを特微とする有機ハロゲン化合物の処理方法。
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