JP2001057306A - プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、積層磁心、および積層磁心の製造方法 - Google Patents

プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、積層磁心、および積層磁心の製造方法

Info

Publication number
JP2001057306A
JP2001057306A JP11230577A JP23057799A JP2001057306A JP 2001057306 A JP2001057306 A JP 2001057306A JP 11230577 A JP11230577 A JP 11230577A JP 23057799 A JP23057799 A JP 23057799A JP 2001057306 A JP2001057306 A JP 2001057306A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic alloy
laminated
alloy ribbon
ribbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11230577A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4585059B2 (ja
Inventor
Naomichi Hirama
直道 平間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp, Toshiba Electronic Engineering Co Ltd filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP23057799A priority Critical patent/JP4585059B2/ja
Publication of JP2001057306A publication Critical patent/JP2001057306A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4585059B2 publication Critical patent/JP4585059B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯を積層し
た積層磁心の熱処理時の層間焼き付きによる高周波にお
けるインダクタンスの低下を防止する。 【解決手段】 磁性合金薄帯のプレス打ち抜きに用いる
プレス油として蒸発性のプレス油を使用する。また磁性
合金薄帯表面の算術平均粗さRaを0.1 μm 以上12.5μ
m 以下、あるいはろ波中心線うねりWCAを0.2 μm 以上
30μm 以下に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性合金薄帯、磁
性合金薄帯を積層して構成される積層磁心、および磁性
合金薄帯を積層して構成される積層磁心の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】トランス、インダクタンス素子やモータ
などに用いられる磁心には、優れた磁気特性を得るため
に、パーマロイ、非晶質合金、微結晶構造の磁性合金
や、けい素鋼板などの薄帯を積層した積層磁心が多く用
いられている。この積層磁心は、プレスによって打ち抜
いた後、必要に応じた熱処理を行って加工歪を除いた後
に積層したものである。また、プレスによって打ち抜い
た磁性合金薄帯を一枚でそのまま磁心として使用する場
合もあり、この場合プレスによって打ち抜いた磁性合金
薄帯とその磁性合金薄帯を用いた磁心は実質的に同一と
なる。
【0003】この熱処理のプロセスは、加工歪の残り易
い薄帯、そして加工歪による特性の変化が顕著な材料に
おいて特に重要である。ここで磁性合金薄帯の熱処理
は、薄帯を複数枚ずつ重ね合わせて行う。複数の磁性合
金薄帯を重ね合わせて熱処理を行えば、熱処理による磁
性合金薄帯の反りの発生を防ぐことができ、しかも熱処
理工程の生産性を高めることができる。しかしながら、
複数の磁性合金薄帯を重ね合わせて熱処理を行うと、熱
処理中に隣り合う磁性合金薄帯が焼付いてしまうことが
多いという問題があった。磁性合金薄帯間に焼付きがあ
ると、磁性合金薄帯の端を揃えて積層を行うのに支障が
あるだけでなく、層間が接続されてしまうために、積層
構造にした効果が一部で失われてしまい、高周波に対す
るインダクタンスが低下してしまうなどの問題が生じ
る。
【0004】熱処理によって生じる磁性合金薄帯の焼付
きは、プレス油の残留によって生じることから、焼付き
を回避するためには、プレス打ち抜き後の磁性合金薄帯
を十分に洗浄してプレス油を除くことが必要である。し
かしながら、一旦付着させたプレス油を十分に除くのは
大変に困難であることから、プレス油の除去が十分でな
いために焼付きが回避できなかったり、また一方でプレ
ス油を十分に除去するために大変に手間がかかってしま
うといった問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような事情から、
熱処理によって焼付きを生じない磁性合金薄帯、層間に
焼付きのない積層磁心、そして層間に焼き付きを生じな
い積層磁心の製造方法が強く望まれていた。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決するもので
あって、熱処理によって焼付きを生じない磁性合金薄
帯、この磁性合金薄帯を用いた積層磁心および積層磁心
の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のプレス打ち抜き
された磁性合金薄帯は、オージェ電子分光法により求め
た薄帯表面における炭素の面積占有率が5%以下である
ことを特徴とするものである。
【0008】本発明において、この磁性合金薄帯を積層
して積層磁心を形成する際は、各磁性合金薄帯間に絶縁
層を設ける。この絶縁層は、層間絶縁の作用を有するも
のであれば、特に限定されるものではない。
【0009】ここでオージェ電子分光法(AES)によ
る薄帯表面の炭素量の定量は、任意の面積、例えば3mm
×3mmの範囲を分析することにより、その面積内の炭素
量を面積率で特定するものである。
【0010】本発明において、オージェ電子分光法によ
り求めた炭素の面積率を5%以下とすることによって、
磁性合金薄帯の熱処理時の焼付きを防ぐことができる。
【0011】本発明の磁性合金薄帯の厚さは、10μm 以
上500 μm 以下が好ましい。磁性合金薄帯の厚さが10μ
m 未満では特性の安定した磁気特性を得るのが技術的に
容易でなく、また厚さが500 μm を超えると、高周波特
性が低下する。ただし、パーマロイやけい素鋼板のよう
に急冷法以外の方法、例えば熱間圧延や冷間圧延で作製
される薄帯は、厚さが500 μm を超えても特に問題はな
い。
【0012】本発明のプレス打ち抜きされた磁性合金薄
帯は、磁性合金薄帯表面の算術平均粗さRaが 0.1μm
以上12.5μm 以下であることが好ましく、Raが 0.5μ
m 以上5 μm 以下であることがさらに好ましい。このよ
うな数値範囲に磁性合金薄帯表面の算術平均粗さRaを
制御することによって、磁性合金薄帯の焼付きの傾向を
さらに弱めることができ、積層してインダクタ磁心とし
て用いた場合の焼付き傾向を有することによる高周波イ
ンダクタンスの低下を防止することができる。磁性合金
薄帯を積み重ねて熱処理を行う際に、磁性合金薄帯表面
の算術平均粗さRaが上記の数値範囲を有する場合に
は、プレス油の残留があっても、蒸発性のプレス油であ
れば、熱処理のための加熱の段階で、残留のプレス油は
磁性合金薄帯の表面から蒸発して、積み重ねられた層の
隙間から抜け出すことができるので、熱処理時には残留
プレス油が磁性合金薄帯表面にほとんど存在しないない
状態にすることができる。そのためにはRaは大きい方
が好ましいが、Raが上記の範囲を超えて大きくなると
積層磁心を構成した場合の体積率が低下してしまうので
積層磁心の特性が低下することになる。このためRaが
上記の数値範囲であれば、層間の焼き付きを防ぐととも
に、体積率が確保され、積層磁心としての特性確保がで
きるので好ましい。
【0013】また本発明のプレス打ち抜きされた磁性合
金薄帯は、高域カットオフ値を0.8mmとし低域カットオ
フ値を8 mmとした前記磁性合金薄帯表面のろ波中心線う
ねりWCAが 0.2μm 以上30μm 以下であることが好まし
く、2 μm 以上10μm 以下であることがさらに好まし
い。磁性合金薄帯の表面は、ろ波中心線うねりWCAを適
切な数値範囲に制御することにより、磁性合金薄帯の焼
付き傾向をさらに抑えることができ、このため積層して
インダクタの磁心として用いた場合に焼付き傾向による
高周波インダクタンスの低下を防止することができる。
このような表面粗さRaやうねりWCAは、例えば磁性合
金薄帯を圧延する際の圧延ロールの表面粗さやロール圧
力等の圧延条件により制御することが可能である。ま
た、非晶質合金薄帯等のようにロール急冷法により製造
される場合は、このロール表面粗さ等で制御可能であ
る。
【0014】磁性合金薄帯を積み重ねて熱処理を行う際
に、磁性合金薄帯面のろ波中心線うねりWCAが上記の数
値範囲を有する場合には、プレス油の残留があっても、
蒸発性のプレス油であれば、熱処理のための加熱の段階
で、残留のプレス油は磁性合金薄帯表面から蒸発して、
積み重ねられた層の隙間から抜け出すことができるの
で、熱処理時には残留プレス油が磁性合金薄帯表面にほ
とんど存在しない状態にすることが可能である。このた
めにWCAは大きい方が好ましいが、WCAが上記の範囲を
超えて大きくなると、積層磁心を構成した場合の体積率
が低下するので、積層磁心の特性が低下してしまうこと
になる。このためWCAについても上記の数値範囲であれ
ば、層間の焼き付きを防ぐとともに、体積率が確保され
て、積層磁心としての特性確保ができるので好ましい。
【0015】また本発明のプレス打ち抜きされた磁性合
金薄帯は、複数の磁性合金薄帯を積み重ねて熱処理を行
った際の焼付きがないことを特徴とするものである。す
でに述べたように、焼付きがあると積層された磁性合金
薄帯の表面の絶縁層を破って層間の導通を生じてしま
う。このため熱処理をしても焼付きの生じない磁性合金
薄帯を磁心として用いることにより、インダクタンスの
低下が少なく、周波数特性の優れたトランスを得ること
ができる。
【0016】本発明の積層磁心は、上記の磁性合金薄帯
を積層して構成した積層磁心である。本発明によれば層
の間に焼付きがないので、インダクタ用磁心やトランス
用磁心などに用いることにより、周波数特性の優れたイ
ンダクタンスやトランスを得ることができる。
【0017】さらに本発明の積層磁心の製造方法は、蒸
発性の油をプレス油として用い磁性合金薄帯を打ち抜く
工程、プレス油を乾燥除去する工程、プレスで打ち抜い
た複数の磁性合金薄帯を熱処理する工程、および磁性合
金薄帯を積層して磁心にする工程とを有することを特徴
とするものである。
【0018】本発明でプレス油として使用する蒸発性の
油は、蒸発の困難な油成分をほとんど残すことなく蒸発
させることができるものである。プレス打ち抜きの後に
プレス油を蒸発させることによって、油成分を薄膜表面
からほとんど除くことができき、このため、油成分の残
留による熱処理時の焼付きを防止することができる。従
って本発明によれば焼付きがなく、高周波電流または高
速電流に対してインダクタンス低下のない積層磁心を生
産性よく製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明を実施の形態に基づいて、
さらに具体的に説明する。
【0020】本発明のプレス打ち抜きされた磁性合金薄
帯は、蒸発性の油をプレス油として用いて磁性合金薄帯
の打ち抜きを行い、プレス油を蒸発除去した後、これら
の磁性合金薄帯を熱処理して得られる。
【0021】本発明に用いる磁性合金薄帯としては、パ
ーマロイ、けい素鋼板、非晶質合金、および微結晶構造
の磁性合金を用いることができる。
【0022】本発明の磁性合金薄帯として用いるパーマ
ロイ合金としては、例えばNi:55 〜85wt% 、Mo:7wt% 以
下、Fe: 残部、および/またはCu:2〜27wt% のものが好
ましい。このようなパーマロイは、溶解方により合金薄
板を形成した後、熱間圧延および冷間圧延によって所定
の厚さ、例えば0.4mm 以下、好ましくは 4〜50μm の薄
帯に圧延してから、所定形状の磁心にする。その後磁界
中熱処理により、所定の方向の磁気特性を調整する。
【0023】本発明に用いるけい素鋼板としては、各種
一方向性けい素鋼板および無方向性けい素鋼板を用いる
ことができる。
【0024】本発明の磁性合金薄帯として用いる非晶質
合金しては、Co系、Fe系およびFe−Ni系の非晶
質合金が好ましく用いられる。Co系およびFe系合金
は、一般式: (M1-a M´a 100-b b 、 (式中、MはFe、Coから選ばれる少なくとも1種の
元素、X はB、Si、C、Pから選ばれる少なくとも1
種の元素を示し、0≦a≦0.5、10≦b≦35(各
数字はat%))であって、M元素はCo又は/及びF
eとなり磁束密度や鉄損、微小電流に対する感度など、
要求される磁気特性に応じて組成比率を調整するもので
ある。M´元素は、熱安定性、耐食性、結晶化温度の制
御のために必要な元素であり、好ましくはCr.Mn.
Zr.Nb、Moを用いるのがよく、X元素は非晶質合
金を得るのに必要な元素であり、特にBは非晶質化する
のに有効な元素であり、Siは非晶質形成を助成するこ
と及び結晶化温度の上昇に有効な元素である。
【0025】Fe−Ni系非晶質合金は、一般式: (Ni1-a Fea 1-x-y-z x Siy z 、 (式中、MはV,Cr,Mn,Co,Nb,Mo,T
a,W,Zrから選ばれる少なくとも1種の元素を示
し、0.2≦a≦0.5、0.05≦x≦10、4≦y
≦12、 5≦z≦20、15≦y+z≦30(各数字は
at%))、このFe−N1系非晶質合金はNiリッチ
なFe−Ni系をベースとすることにより前述のCo系
よりは安価に製造することができ、磁気特性も良好であ
る。ここでM元素は、熱安定性、耐食性、結晶化温度の
制御のために必要な元素であり、好ましくはCr、M
n、Co、Nbである。
【0026】非晶質合金薄帯の製造方法としては液体急
冷法が好ましく.具体的には所定の組成比に調整した合
金素材を溶融状態から105 ℃/秒以上の冷却速度で急
冷することによって得られる。このような液体急冷法に
より製造された非晶質合金薄帯の厚みは、20μm 以下
が好ましく、さらに好ましくは8〜15μm であり、薄
帯の厚さを制御することにより低根失のコアを得ること
が可能となる。
【0027】微細結晶楕造を有する磁性合金について
は、一般式: Fea Cub c Sid e 、 (式中、M:周期律表4a.5a、6a族元素又はM
n.Ni.Co.Alから選ばれる少なくとも1種以
上、a +b 十c 十d +e =100at%、0.01≦b
≦4、0.01≦c≦10、10≦d≦25、3≦e≦
12、17≦d+e≦30)、ここでCuは耐食性を高
め、結晶粒の粗大化を防ぐとともに、鉄損や透磁率等の
軟磁気特性を改善するのに有効な元素であり、M元素は
結晶径の均一化に有効であるとともに、磁歪及び磁気異
方性の低減、温度変化に対する磁気特性,の改善に有効
な元素である。微細結晶構造としては、50〜300オ
ングストロームの結晶粒を合金中に面槓比で50〜90
%以上存在することが好ましい。
【0028】微細結晶楕造を有する磁性合金の製造方法
としては、液体急冷法により非晶質薄帯を得た後、前記
非晶質の結晶化温度に対し−50〜+120℃、1分〜
5時間の熱処埋を行い、微細結晶を析出させる方法、ま
たは液体急冷法の急冷速度を制御して微細結晶を直接析
出させる方法などにより、得ることが可能となる。この
ようにして得た微細結晶構造を有する磁性合金薄帯から
コアを形成した後、幅方向に磁場をかけながら熱処理す
ることにより、所定の直流角形比を得ることができる。
【0029】本発明の磁性合金薄帯を積層して磁心にす
る際には、薄帯の表面に例えば酸化物膜などの絶縁層皮
膜を設けておくことが好ましい。
【0030】本発明において、磁性合金薄帯のプレス打
ち抜きの際に用いるプレス油としては、蒸発が容易であ
って蒸発後に残留物をほとんど残さないか、少々残って
いても広く分散していて焼付きを起こさない程度のもの
であればよく、例えば沸点150 〜300 ℃のパラフィン系
およびシクロパラフィン系炭化水素を成分とする石油系
鉱物油を主成分とし、これに少量の潤滑剤と油性成分を
含むものを用いることができる。
【0031】炭化水素を成分とする石油系好物油は蒸発
性の点で良好であるが、プレス打ち抜きを良好に行うた
めには、粘性のある油性成分、例えば脂肪酸、脂肪油な
どを適度に含有していることが好ましい。本発明におい
ては、油性成分20質量% 未満であることがが好ましく、
10質量% 以下がより好ましく、また5 質量% 以下がさら
に好ましい。
【0032】本発明におけるプレス打ち抜きされた磁性
合金薄帯の熱処理条件としては、それぞれの磁性合金薄
帯に適した周知の加工歪除去条件を用いればよい。パー
マロイ合金薄帯の場合の熱処理温度としては、例えば90
0 〜1,200 ℃を選ぶことができる。
【0033】本発明におけるオージェ電子分光法による
磁性合金薄帯表面の炭素の面積率の測定方法としては、
プレス打ち抜きした薄帯全体を測定し、炭素の面積率を
求めるのが理想であるが、薄帯の面積が大きい場合は、
任意の面積においてそれぞれ異なる3個所を測定するこ
とにより炭素の面積率を測定してもよい。例えば同一表
面において3mm×3mmの範囲で異なる3個所を測定する
ことにより、炭素の面積率を測定する。磁心形状により
同一の縦横長さが取れない場合は、同一面積となる場所
をそれぞれ選定して分析する。なお、用いる電子線のエ
ネルギーは2eV程度が望ましい。
【0034】本発明は、磁性合金薄帯表面の表面性、即
ち算術平均粗さRaおよびろ波中心線うねりWCAを制御
することによってさらに良好な結果が得られる。磁性合
金薄帯の表面性の制御は、例えば薄帯に加工する際のロ
ールの表面性を制御することによって行うことができ
る。なお算術平均粗さRaおよびろ波中心線うねりWCA
の測定は、表面粗さ計を用い、JIS のB 0601およびB 06
10に従って行うことができる。
【0035】本発明の積層磁心は、プレス成形した磁性
合金薄帯についてプレス油を蒸発させてから、適当に積
み重ねて熱処理した後に、磁心としての所要の厚さに積
層してもよいし、プレス成形した磁性合金薄帯につい
て、プレス油を蒸発させた後に、磁心として所要の厚み
に積層したものを熱処理してもよい。
【0036】図1に本発明の積層磁心の製造方法の1実
施形態を示す。図において、(1) のパーマロイ母材を
(2) においてロール圧延して厚さ10ないし500 μm の合
金薄帯に加工する。このとき、ロールの表面性に従い、
合金薄帯表面に所定のRaおよびRCAが付与される。こ
の薄帯を(3) にて蒸発性プレス油を用いてプレス打ち抜
きを行ったのち、(4) にてプレス油を一通り乾燥させた
後、これら薄帯を積み重ね、(5) にて常法に従って1,10
0 ℃の熱処理を行う。熱処理を終えた合金薄帯は(6) に
て積層して(7) の積層磁心とする。
【0037】ここではパーマロイ合金薄帯を例に取り、
本発明の積層磁心の製造方法の実施の形態を具体的に述
べたが、本発明は磁性合金薄帯がパーマロイ合金の場合
に限らず、けい素鋼板、非晶質合金および微結晶構造の
磁性合金の薄帯の場合も同様である。
【0038】(実施例1〜11および比較例1〜3)ま
ず、表面の算術平均粗さRaおよびろ波中心線うねりW
CAの異なる厚さ0.2mmのパーマロイの磁性合金薄帯を用
意した。これら表面性の異なる磁性合金薄帯は、圧延に
用いる圧延ロールとして表面性の異なるものを選んで用
いることによって得ることができた。これらの磁性合金
薄帯の表面には酸化物の表面絶縁層を設けた。
【0039】この磁性合金薄帯のプレス打ち抜きを行っ
て、図1に示す寸法のEコアを打ち抜いた。プレス打ち
抜きに用いたプレス油として、蒸発性の油である沸点15
0 〜300 ℃のパラフィン系およびシクロパラフィン系炭
化水素を主成分とし、これにごく少量の潤滑剤と5質量
% の油性成分を含有する鉱物油を用い、打ち抜きの後、
このプレス油を蒸発させた。また比較例として一般のプ
レス油を用いてプレスした後、上記蒸発性の鉱物油で洗
浄したものを用意した。
【0040】これらの打ち抜いた磁性合金薄帯を積み重
ねて、1,100 ℃での熱処理を行った。積み重ねて熱処理
を行った合金薄帯について、熱処理後の合金薄帯間の剥
離力を測定した。剥離力の測定方法は、図2に示すよう
に、下側の合金薄帯を固定し上側の合金薄帯に水平方向
の力を加え、この力を徐々に強めて隣接する合金薄帯間
のずり応力を強めていくことによって、ずれが始まる点
での力の値を測定した。なお、測定は60個の試料につい
て行った。
【0041】さらに熱処理を終えた磁性合金薄帯は50層
の積層体にしてトランスのEコアとし、このコアを有す
るトランスのインダクタンスの測定を 1 kHzで行った。
測定は10個の試料について行った。
【0042】これらの結果を表1に示す。表1におい
て、剥離に要する力、およびトランスのインダクタンス
はともに得られた数値の範囲で示した。
【0043】表1において、実施例1〜3および比較例
1の結果から明らかなように、EPMA分析における炭
素ピークが5質量%以下であれば、熱処理した合金薄帯
層の剥離に要する力が小さく、これを積層して作った磁
心を用いたトランスのインダクタンスは相対的に大きな
値を示していることがわかる。このずり応力が小さいと
いうことは、各磁性合金薄帯の表面どうしの結合が小さ
く、積層磁心の磁性合金薄帯間に焼付きなどがないこと
を示す。一方、ずり応力が大きいということは、各磁性
合金薄帯の表面どうしの結合が大きいことを示し、積層
磁心の磁性合金薄帯間に焼付きなどの不具合の原因とな
る。本発明では、このような不具合の原因がプレス油の
残留にあることを見出したのである。なお、表1にはオ
ージェ電子分光法(AES)により、3mm×3mmに相当
する面積を同一面上から任意の3個所を選定して測定
し、その平均値を記載した。
【0044】
【表1】
【0045】また、表1において、実施例4〜8および
比較例2の結果から、磁性合金薄帯の表面の算術平均粗
さが 0.1μm 以上12.5 μm 以下において、熱処理した
合金薄帯層の剥離に要する力がより小さく、これを積層
して作った磁心を用いたトランスのインダクタンスはよ
り大きな値を示しており、より良好な結果が得られてい
ることがわかる。
【0046】さらに表1において、実施例9〜11およ
び比較例3の結果から、磁性合金薄帯表面のろ波中心線
うねりWCAについても、0.2 μm 以上25μm 以下におい
て、より良好な結果が得られることがわかる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、プレス打ち抜き後の磁
性合金薄帯を熱処理する際の焼付きを防ぐことができ
る。この磁性合金薄帯を積層した積層磁心は、層間の焼
き付きによる層間の絶縁破壊が防止されるので、高周波
におけるインピーダンスの低下を防ぐことができる。従
って特性が良好で特性ばらつきの少ない積層磁心を再現
性よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層磁心の製造方法の一実施形態を
示す工程流れ図である。
【図2】 本発明の一実施例における磁性薄帯を打ち抜
いて作製したEコアの形状寸法を示す図である。
【図3】 本発明の一実施例における熱処理した磁性薄
帯の剥離力を測定する際の力の印加方向を示す図であ
る。
【符号の説明】
1……プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、 2……重ね合わせて熱処理した磁性合金薄帯、 3……上側の磁性合金薄帯、 4……下側の磁性合金薄帯。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E041 AA02 AA07 AA11 AA14 AA17 AA19 BC05 BD03 CA02 CA04 HB00 HB11 NN05 NN06 5E062 AA02 AC01 AC11 AC15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オージェ電子分光法により求めた薄帯表
    面における炭素の面積占有率が5%以下であることを特
    徴とするプレス打ち抜きされた磁性合金薄帯。
  2. 【請求項2】 前記磁性合金薄帯表面の算術平均粗さR
    aが、 0.1μm 以上12.5μm 以下であることを特徴とす
    る請求項1記載のプレス打ち抜きされた磁性合金薄帯。
  3. 【請求項3】 高域カットオフ値を0.8 mm、低域カット
    オフ値を8 mmとした前記磁性合金薄帯表面のろ波中心線
    うねりWCAが 0.2μm 以上30μm 以下であることを特徴
    とする請求項1または請求項2記載のプレス打ち抜きさ
    れた磁性合金薄帯。
  4. 【請求項4】 複数の磁性合金薄帯を積み重ねて熱処理
    を行った際に、焼付きがないことを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか1項記載のプレス打ち抜きされた磁
    性合金薄帯。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項記載の
    プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯が絶縁層を介して積
    層されていることをことを特徴とする積層磁心。
  6. 【請求項6】 蒸発性の油をプレス油として用い磁性合
    金薄帯を打ち抜く工程、プレス油を乾燥除去する工程、
    プレスで打ち抜いた複数の磁性合金薄帯を熱処理する工
    程、および磁性合金薄帯を積層して磁心にする工程とを
    有することを特徴とする積層磁心の製造方法。
JP23057799A 1999-08-17 1999-08-17 プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、積層磁心、および積層磁心の製造方法 Expired - Lifetime JP4585059B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23057799A JP4585059B2 (ja) 1999-08-17 1999-08-17 プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、積層磁心、および積層磁心の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23057799A JP4585059B2 (ja) 1999-08-17 1999-08-17 プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、積層磁心、および積層磁心の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001057306A true JP2001057306A (ja) 2001-02-27
JP4585059B2 JP4585059B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=16909933

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23057799A Expired - Lifetime JP4585059B2 (ja) 1999-08-17 1999-08-17 プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、積層磁心、および積層磁心の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4585059B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005340705A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Jfe Steel Kk 寸法精度及びコア強度に優れた積層コアの製造方法
AT510819A3 (de) * 2010-11-16 2014-12-15 Siemens Ag Magnetischer kern mit randisolation und verfahren zu dessen herstellung
WO2017006868A1 (ja) * 2015-07-03 2017-01-12 国立大学法人東北大学 積層磁芯及びその製造方法
WO2023238472A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 株式会社日立製作所 積層鉄心の製造方法、積層鉄心、及び積層鉄心を用いた回転電機

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52143915A (en) * 1976-05-26 1977-11-30 Mitsubishi Electric Corp Preparation of l aminated magnet core
JPS62156225A (ja) * 1985-11-21 1987-07-11 Toshiba Corp 薄板コアの製造方法
JPH03211258A (ja) * 1990-01-16 1991-09-17 Nkk Corp 磁気特性および表面性状の優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JPH04142705A (ja) * 1990-10-03 1992-05-15 Nippon Steel Corp パーマロイコアの製造方法
JPH05326238A (ja) * 1992-05-20 1993-12-10 Tokin Corp 磁性材料
JPH06210364A (ja) * 1992-03-31 1994-08-02 Kawasaki Steel Corp プレス加工用薄鋼板
JPH07283353A (ja) * 1994-04-07 1995-10-27 Hitachi Cable Ltd リードフレームの製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52143915A (en) * 1976-05-26 1977-11-30 Mitsubishi Electric Corp Preparation of l aminated magnet core
JPS62156225A (ja) * 1985-11-21 1987-07-11 Toshiba Corp 薄板コアの製造方法
JPH03211258A (ja) * 1990-01-16 1991-09-17 Nkk Corp 磁気特性および表面性状の優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JPH04142705A (ja) * 1990-10-03 1992-05-15 Nippon Steel Corp パーマロイコアの製造方法
JPH06210364A (ja) * 1992-03-31 1994-08-02 Kawasaki Steel Corp プレス加工用薄鋼板
JPH05326238A (ja) * 1992-05-20 1993-12-10 Tokin Corp 磁性材料
JPH07283353A (ja) * 1994-04-07 1995-10-27 Hitachi Cable Ltd リードフレームの製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005340705A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Jfe Steel Kk 寸法精度及びコア強度に優れた積層コアの製造方法
AT510819A3 (de) * 2010-11-16 2014-12-15 Siemens Ag Magnetischer kern mit randisolation und verfahren zu dessen herstellung
AT510819B1 (de) * 2010-11-16 2015-02-15 Siemens Ag Magnetischer kern mit randisolation und verfahren zu dessen herstellung
WO2017006868A1 (ja) * 2015-07-03 2017-01-12 国立大学法人東北大学 積層磁芯及びその製造方法
JPWO2017006868A1 (ja) * 2015-07-03 2018-05-24 株式会社東北マグネットインスティテュート 積層磁芯及びその製造方法
US11232901B2 (en) 2015-07-03 2022-01-25 Tohoku Magnet Institute Co., Ltd. Method for producing laminated magnetic core
WO2023238472A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 株式会社日立製作所 積層鉄心の製造方法、積層鉄心、及び積層鉄心を用いた回転電機

Also Published As

Publication number Publication date
JP4585059B2 (ja) 2010-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2698369B2 (ja) 低周波トランス用合金並びにこれを用いた低周波トランス
JP3233313B2 (ja) パルス減衰特性に優れたナノ結晶合金の製造方法
CN110098029B (zh) 软磁性合金及磁性部件
RU2534638C1 (ru) Способ получения листа из нетекстурированной электротехнической стали
JP6572855B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
EP2537958A1 (en) Non-oriented electromagnetic steel sheet and process for production thereof
JP2013067863A (ja) 軟磁性合金粉末およびこれを用いた磁性部品
TWI701350B (zh) 軟磁性合金和磁性部件
JP2008231533A5 (ja)
KR102183923B1 (ko) 자심
JP3815336B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP3726289B2 (ja) 鉄損の低い方向性電磁鋼板
JPH0617204A (ja) 軟磁性合金およびその製造方法ならびに磁心
JP3759191B2 (ja) 薄膜磁気素子
CN113737101A (zh) 一种可制造性优良的薄规格取向硅钢板及其制造方法
JP4585059B2 (ja) プレス打ち抜きされた磁性合金薄帯、積層磁心、および積層磁心の製造方法
CN115135794B (zh) 无取向电工钢板及其制造方法
JP3434844B2 (ja) 低鉄損・高磁束密度非晶質合金
JP3782273B2 (ja) 電磁鋼板
JPH07272963A (ja) 高透磁率磁心の製造方法
JP3512109B2 (ja) プレス加工用複合磁性薄帯およびその製造方法、ならびにそれを用いた電磁シールド部材
JPH01247556A (ja) 恒透磁率性に優れたFe基磁性合金
JPH09102408A (ja) 磁性箔とその製造方法及びそれを用いた高周波用磁心
JPH0927413A (ja) チョークコイル用磁心およびその製造方法
JPH0645128A (ja) 直流重畳特性に優れた超微結晶合金からなる磁心およびその製法並びにこれを用いたチョークコイル、トランス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100127

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100810

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4585059

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130910

Year of fee payment: 3

EXPY Cancellation because of completion of term