JP2000345324A - 蒸着装置 - Google Patents

蒸着装置

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JP2000345324A
JP2000345324A JP11157023A JP15702399A JP2000345324A JP 2000345324 A JP2000345324 A JP 2000345324A JP 11157023 A JP11157023 A JP 11157023A JP 15702399 A JP15702399 A JP 15702399A JP 2000345324 A JP2000345324 A JP 2000345324A
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JP
Japan
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vapor deposition
deposition material
heated
filament
vapor
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JP11157023A
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English (en)
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Hiroshi Iwasaki
洋 岩崎
Kazuhiro Bessho
和宏 別所
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 融点温度前後における蒸気圧が低い物質を蒸
着材料として用い、この蒸着材料を融点温度以上の高温
で加熱する場合であっても、蒸着材料の姿勢を安定的に
維持して、適切な蒸着を行う。 【解決手段】 蒸発源となる蒸着材料11を、フィラメ
ント13の近傍に位置する先端部21b,22bにて相
互に接触し、支持台12により支持される基端部21
a,22aに向かうに従って相互に離間するように配さ
れた複数の長尺状部材21,22により構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸発源となる蒸着
材料に電子ビームを衝突させて蒸着材料を加熱すること
により、この蒸着材料を蒸発させて基板表面に付着さ
せ、基板表面に薄膜等を形成する蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基板表面に薄膜を形成する方法と
して、蒸着材料を加熱し蒸発させて、蒸発した蒸着材料
の原子或いは分子を基板表面に付着させ、堆積させるこ
とにより、基板表面に薄膜を形成する蒸着法と呼ばれる
成膜技術が知られている。
【0003】この蒸着法により基板表面に薄膜を形成す
る蒸着装置としては、例えば図4に示すようなものが実
用化されている。この図4に示す蒸着装置100は、内
部が高真空状態とされる真空チャンバ101を備えてい
る。この真空チャンバ101内には、蒸着材料102を
収容する容器103が配設されている。この容器103
は、図示しない冷却機構により冷却されるようになされ
ている。また、真空チャンバ101内には、容器103
と対向する位置に、基板104を保持する基板ホルダ1
05が配設されている。さらに、真空チャンバ101内
には、容器103の近傍に、電子を放出するフィラメン
ト106が配設されている。
【0004】この蒸着装置100を用いて基板104に
薄膜を形成する際は、先ず、基板ホルダ105に基板1
04が装着されると共に、容器103内にペレット状の
蒸着材料102が収容され、真空チャンバ101内が所
定の真空度に真空引きされる。
【0005】そして、フィラメント106に所定の電力
が供給されることにより、フィラメント106が白熱
し、この白熱したフィラメント106から電子が放出さ
れる。このフィラメント106から放出された電子は、
ビーム状に収束され加速されて、真空チャンバ101内
に形成された磁場により折り曲げられ、容器103内に
収容された蒸着材料102に衝突する。
【0006】この電子ビームの衝突のエネルギーによ
り、容器103内の蒸着材料102が加熱され蒸発す
る。蒸発した蒸着材料102の原子或いは分子は、容器
103と対向して配置された基板ホルダ105により保
持される基板104の表面に付着する。これにより、基
板104の表面に蒸着材料102の原子或いは分子が堆
積し、薄膜が形成される。
【0007】この蒸着装置100は、以上のように、電
子ビームを蒸着材料102に衝突させて、蒸着材料10
2を直接加熱するようにしているので、直接加熱方式の
蒸着装置と呼ばれている。
【0008】これに対して、蒸着材料を収容する容器を
加熱することにより、容器内に収容された蒸着材料を間
接的に加熱する間接加熱方式の蒸着装置として、例えば
図5に示すようなものが実用化されている。この図5に
示す蒸着装置200は、いわゆるK−セル型蒸着装置と
呼ばれるものであり、蒸着材料202を収容する容器2
03の外周側に電熱線206が巻き付けられ、この電熱
線206からの熱により容器203の内部に収容された
蒸着材料202を間接的に加熱するようになされてい
る。
【0009】詳述すると、この蒸着装置200は、内部
が高真空状態とされる真空チャンバ201を備え、この
真空チャンバ201内に、蒸着材料202を収容する容
器203と、基板204を保持する基板ホルダ205と
が相対向して配設されている。
【0010】容器203は、カーボン製の容器本体20
3aの内部に、BN(ボロンナイトライド)よりなるB
N容器203bが配設されてなり、このBN容器203
bの内部に蒸着材料202を収容するようになされてい
る。そして、容器本体203aの外周面には電熱線20
6が巻き付けられており、この電熱線206からの熱に
より、BN容器203bの内部に収容された蒸着材料2
02を加熱するようになされている。
【0011】この容器203は、水冷ジャケット207
の内部に配設されており、水冷パイプ208を介して水
冷ジャケット207に供給される冷却水により、容器本
体203a及びBN容器203bの過剰な熱が除去され
るようになされている。
【0012】この蒸着装置200を用いて基板204に
薄膜を形成する際は、先ず、基板ホルダ205に基板2
04が装着されると共に、容器203のBN容器203
b内にペレット状の蒸着材料202が収容され、真空チ
ャンバ201内が所定の真空度に真空引きされる。
【0013】そして、電熱線206に所定の電力が供給
されることにより、電熱線206が発熱し、この電熱線
206からの熱により、容器本体203a及びBN容器
203bが加熱される。容器203の容器本体203a
及びBN容器203bが加熱されると、BN容器203
bの内部に収容された蒸着材料202が間接的に加熱さ
れることになる。
【0014】BN容器203bの内部に収容された蒸着
材料202は、加熱されると蒸発し、蒸発した蒸着材料
202の原子或いは分子が、容器203と対向して配置
された基板ホルダ205により保持される基板204の
表面に付着する。これにより、基板204の表面に蒸着
材料202の原子或いは分子が堆積し、薄膜が形成され
る。
【0015】この蒸着装置200は、以上のように、電
熱線206からの熱により容器203を加熱することに
より、容器203の内部に収容された蒸着材料202を
間接的に加熱して蒸着材料202を蒸発させるようにし
ているので、容器203の温度を一定に保てば、蒸着材
料202の蒸発分子束を安定的に得ることができる。し
たがって、この間接加熱方式の蒸着装置200は、精密
な膜厚制御が要求される半導体超格子を作製する場合等
に広く用いられている。
【0016】ところで、以上のように、容器103,2
03内に収容された蒸着材料102,202を加熱して
この蒸着材料102,202を蒸発させる蒸着装置10
0,200においては、容器103,203からの不純
物が、形成される膜内に混入してしまう場合があるとい
った問題があった。
【0017】また、間接加熱方式の蒸着装置200にお
いては、蒸着材料202を加熱するために容器202全
体を加熱する必要があることから、加熱する部分が非常
に多くなり、この加熱された部分からの脱ガスにより、
真空チャンバ201内の真空状態が悪化する傾向にある
といった問題もあった。
【0018】以上のような問題を解決した蒸着装置とし
て、例えば図6に示すようなものが提案されている。こ
の図6に示す蒸着装置300は、自立式電子衝撃型の蒸
着装置と呼ばれるものであり、蒸着材料として、例えば
矩形の板状に成形されたものを用い、この蒸着材料を容
器に入れることなく、その基端側を支持部材により支持
して、真空チャンバ内において自立させるようにしてい
る。そして、この蒸着装置300においては、真空チャ
ンバ内において自立した蒸着材料の先端側に電子ビーム
を衝突させ、この電子ビームの衝突のエネルギーにより
蒸着材料を加熱し蒸発させるようにしている。
【0019】詳述すると、この蒸着装置300は、内部
が高真空状態とされる真空チャンバ301を備え、この
真空チャンバ301内に、蒸着材料302を自立した状
態で支持する支持部材303と、基板304を保持する
基板ホルダ305とが相対向して配設されている。ま
た、真空チャンバ101内には、支持部材303により
支持される蒸着材料302の先端側の近傍に位置して、
電子を放出するフィラメント306が配設されている。
【0020】支持部材303及びフィラメント306
は、水冷ジャケット307の内部に配設されており、水
冷パイプ308を介して水冷ジャケット307に供給さ
れる冷却水により、過剰な熱が除去されるようになされ
ている。
【0021】この蒸着装置300を用いて基板304に
薄膜を形成する際は、先ず、基板ホルダ305に基板3
04が装着されると共に、支持部材303に蒸着材料3
02の基端側が取り付けられ、蒸着材料302が真空チ
ャンバ301内において自立した状態とされる。そし
て、真空チャンバ301内が所定の真空度に真空引きさ
れる。
【0022】次に、フィラメント306に所定の電力が
供給されることにより、フィラメント306が白熱し、
この白熱したフィラメント306から電子が放出され
る。このフィラメント306から放出された電子は、ビ
ーム状に収束され加速されて、支持部材303に支持さ
れた蒸着材料302の先端側に衝突する。
【0023】この電子ビームの衝突のエネルギーによ
り、蒸着材料302の先端側が加熱され蒸発する。蒸発
した蒸着材料302の原子或いは分子は、基板ホルダ3
05により保持される基板304の表面に付着する。こ
れにより、基板304の表面に蒸着材料302の原子或
いは分子が堆積し、薄膜が形成される。
【0024】この蒸着装置300は、以上のように、矩
形の板状に成形された蒸着材料302を真空チャンバ3
01内に自立させ、容器を用いないので、容器からの不
純物が形成される膜内に混入してしまうといった不都合
を有効に回避することができる。また、この蒸着装置3
00は、蒸着材料302の先端部のみを加熱するように
しているので、加熱する部分の面積が小さく、更に熱伝
導による放熱も小さく抑えられるので、真空チャンバ3
01内の真空状態を良好に維持することができる。
【0025】実際に、基板にCo膜を成膜する場合にお
いて、上述したK−セル型蒸着装置200と自立式電子
衝撃型の蒸着装置300とで、それぞれの真空チャンバ
201,301内の真空状態がどのように変化するかを
比較検討したところ、以下のような結果が得られた。
【0026】すなわち、K−セル型蒸着装置200にお
いては、Coを基板204に堆積させる速度を適当な値
にするために、容器203を1380℃以上に加熱する
必要があり、この熱によりBN容器203bが分解して
窒素ガスが発生した。そして、このBN容器203bか
ら発する窒素ガスにより、予熱状態(1380℃、堆積
なし)において、真空チャンバ201内の真空度が4×
10-7Torrにまで低下した。
【0027】これに対して、自立式電子衝撃型の蒸着装
置300においては、毎分0.2nmの堆積速度で基板
304にCoを堆積させている間であっても、真空チャ
ンバ301内の真空度が3×10-9Torrの高真空状
態に保たれていた。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自立式電子
衝撃型の蒸着装置300は、以上のように優れた特性を
発揮する一方で、例えばSi等のように蒸気圧の低い材
料を蒸着材料302として用いる場合には、蒸着材料3
02の自立が保たれず、適切な蒸着が行われない場合が
あることが分かってきた。
【0029】すなわち、融点温度前後の加熱では蒸気圧
が不十分で、安定的に蒸着分子束が得られないSi等の
物質を蒸着材料として用いる場合には、必要な蒸気圧を
得るために、蒸着材料を更に高温で加熱する必要があ
る。
【0030】上述した自立式電子衝撃型の蒸着装置30
0においては、板状の蒸着材料302をその基端側が支
持部材303により支持された状態で自立させ、その先
端側に電子ビームを衝突させて加熱するようにしている
ので、蒸着材料302として例えばSi基板等の蒸気圧
の低い材料を用い、この蒸着材料302を融点温度以上
の高温で加熱した場合には、図7に示すように、蒸着材
料302の先端側の溶融した部分が重力並びに表面張力
に従って徐々に後退し、フィラメント306から遠ざか
って、蒸着が停止してしまうといった不都合が生じる場
合があった。
【0031】そこで、本発明は、融点温度前後における
蒸気圧が低い物質を蒸着材料として用い、この蒸着材料
を融点温度以上の高温で加熱する場合であっても、蒸着
材料の姿勢を安定的に維持して、適切な蒸着を行うこと
ができる蒸着装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明に係る蒸着装置
は、内部が高真空状態とされる真空チャンバと、支持手
段により支持された状態で上記真空チャンバ内に立設さ
れた蒸発源となる蒸着材料と、この蒸着材料を加熱溶融
するための電子を放出する電子放出手段とを備えてい
る。そして、この蒸着装置は、上記蒸着材料が、上記電
子放出手段の近傍に位置する被加熱部と、この被加熱部
を保持する複数の脚部とを有し、これら複数の脚部が、
上記被加熱部側にて相互に近接して上記被加熱部を保持
すると共に、上記支持手段側へ向かうに従って相互に離
間して上記支持手段により支持されていることを特徴と
している。
【0033】この蒸着装置において、蒸発源となる蒸着
材料は、電子放出手段の近傍に位置する被加熱部と、こ
の被加熱部を保持する複数の脚部とを有し、これら複数
の脚部が、被加熱部側にて相互に近接してこの被加熱部
を保持すると共に、支持手段側へ向かうに従って相互に
離間して支持手段により支持されるようになされてい
る。
【0034】具体的には、蒸着材料は、例えば、電子放
出手段側にて相互に接触し、支持手段側へ向かうに従っ
て相互に離間するように配された複数の長尺状の部材よ
りなり、これら複数の長尺状の部材の相互に接触する部
分が被加熱部とされている。
【0035】また、蒸着材料は、単一の長尺状の部材が
全体略V字状を呈するように折り曲げ加工されてなり、
折り曲げられた部分が被加熱部分とされていてもよい。
【0036】そして、この蒸着材料は、複数の脚部が支
持手段により支持されることにより、真空チャンバ内に
立設されている。
【0037】電子放出手段は、蒸着材料の被加熱部の近
傍に配設され、この蒸着材料の被加熱部に衝突させる電
子を放出する。この電子放出手段より放出された電子
は、ビーム状に収束され加速されて、電子ビームとし
て、蒸着材料の被加熱部に衝突する。
【0038】電子放出手段より放出された電子が電子ビ
ームとして蒸着材料の被加熱部に衝突すると、この電子
ビーム衝突のエネルギーにより、蒸着材料の被加熱部が
溶融され、その一部が蒸発する。この蒸発した蒸着材料
の原子或いは分子が、蒸着対象となる基板等の表面に付
着し堆積することによって、基板等の表面に蒸着材料の
薄膜が形成される。
【0039】本発明に係る蒸着装置においては、蒸着材
料が、電子放出手段の近傍に位置する被加熱部と、この
被加熱部を保持する複数の脚部とを有し、これら複数の
脚部が、被加熱部側にて相互に近接してこの被加熱部を
保持すると共に、支持手段側へ向かうに従って相互に離
間して支持手段により支持されるようになされているの
で、電子ビーム衝突のエネルギーにより蒸着材料の被加
熱部が溶融されたときでも、溶融された部分の表面張力
により、蒸着材料の被加熱部が電子放出手段から離間す
る方向へと大きく後退することが防止される。したがっ
て、この蒸着装置においては、蒸着材料として融点温度
前後における蒸気圧が低い物質を用い、この蒸着材料を
融点温度以上の高温で加熱する場合であっても、蒸着材
料の姿勢を安定的に維持し、適切に蒸着を行うことがで
きる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0041】本発明に係る蒸着装置は、いわゆる自立式
電子衝撃型の蒸着装置であり、真空チャンバ内において
自立するように配設された蒸着材料に対して電子ビーム
を衝突させることによりこの蒸着材料を加熱溶融させ、
その一部を蒸発させて、蒸発した蒸着材料の原子或いは
分子を蒸着対象となる基板の表面に付着させ堆積させる
ことにより、基板の表面に薄膜を形成するものである。
【0042】本発明に係る蒸着装置の一例を図1に示
す。この図1に示す蒸着装置1は、内部が高真空状態と
される真空チャンバ2を備えている。この真空チャンバ
2は、排気口3を介して図示しない真空ポンプに接続さ
れており、この真空ポンプにより真空引きされることに
より、内部を所定の真空度に保つことができるようなな
されている。
【0043】この真空チャンバ2内には、蒸着対象とな
る基板4を保持する基板ホルダ5が配設されている。こ
の基板ホルダ5は、基端側が真空チャンバ2のフランジ
6に固定され、フランジ6から離間した先端側にて基板
4を保持するようになされている。
【0044】また、真空チャンバ2内には、蒸着材料を
加熱溶融する加熱溶融部10の先端側が、フランジ6を
介して挿通されている。
【0045】加熱溶融部10は、蒸着材料11を自立し
た状態で支持する支持台12と、この支持台12に支持
された蒸着材料11の先端側の近傍に配設された電子を
放出するフィラメント13とを有している。
【0046】支持台12は、金属等の導電材料が例えば
矩形の板状に成形されてなり、支柱14に支えられて、
真空チャンバ2内に位置するように、加熱溶融部10の
先端側に配設されている。支柱14は、所定の剛性を有
する絶縁管の内部に金属線が埋設されてなり、その一端
側で支持台12を支持すると共に、他端側が加速電源1
5に接続されている。すなわち、この支柱14は、支持
台12を支えて支持台12を真空チャンバ2内に位置さ
せると共に、支持台12及びこの支持台12に支持され
る蒸着材料11を加速電源15に電気的に接続させる機
能を有する。
【0047】また、フィラメント13は、断面積の小さ
い金属線よりなり、両端部が一対の支柱16,17に支
えられて、支持台12に支持された蒸着材料11の先端
側の近傍に配設されている。一対の支柱16,17は、
支持台12を支える支柱14と同様に、所定の剛性を有
する絶縁管の内部に金属線が埋設されてなる。そして、
一対の支柱16,17は、その一端側でフィラメント1
3の両端部をそれぞれ支持すると共に、他端側がフィラ
メント電源18に接続されている。すなわち、この支柱
16,17は、フィラメント13を支えてこのフィラメ
ント13を支持台12に支持された蒸着材料11の先端
部の近傍に位置させると共に、フィラメント13をフィ
ラメント電源18に電気的に接続させる機能を有する。
【0048】支持台12及びこれに支持される蒸着材料
11とフィラメント13とは、それぞれ、支柱14及び
支柱16,17に支えられた状態で、水冷ジャケット1
9の内部に配設されている。この水冷ジャケット19
は、水冷パイプ20を介して図示しない冷却水供給源に
接続されており、冷却水供給源から水冷パイプ20を介
して供給される冷却水により冷却されるようになされて
いる。支持台12及びこれに支持される蒸着材料11と
フィラメント13とは、水冷ジャケット19の内部に配
設されることにより、過剰な熱が除去されるようになさ
れている。
【0049】この蒸着装置1において、蒸発源となる蒸
着材料11は、その先端側がフィラメント13の近傍に
位置するように支持台12に支持されており、フィラメ
ント13の近傍に位置する先端側が被加熱部とされてい
る。そして、蒸着材料11は、この被加熱部が複数の脚
部により保持されるようになされている。これら複数の
脚部は、その先端部側、すなわち被加熱部側にて相互に
近接してこの被加熱部を保持すると共に、その基端部
側、すなわち支持台12側へ向かうに従って相互に離間
して支持台12により支持されるようになされている。
【0050】具体的には、蒸着材料11は、例えば、図
2に示すように、蒸着させる物質が例えば一方向に所定
の長さを有する棒状或いは板状に成形されてなる2本の
長尺状部材21,22より構成される。蒸着材料11を
構成する2本の長尺状部材21,22は、それぞれの基
端部21a,22aが支持台12の相互に離れた位置に
固定され、支持台12により支持されている。そして、
これら2本の長尺状部材21,22は、その先端部21
b,22bが、フィラメント13の近傍において一箇所
に集合し、相互に接触するようになされている。すなわ
ち、この蒸着材料11は、一箇所に集合した先端部21
b,22bから基端部21a,22aに向かうに従って
次第に離間するように配された2本の長尺状部材21,
22より構成され、全体として略V字状を呈するように
なされている。
【0051】そして、この蒸着材料11においては、フ
ィラメント13の近傍において一箇所に集合する2本の
長尺状部材21,22の先端部21b,22bが、被加
熱部とされている。また、、この蒸着材料11において
は、支持台12側へ向かうに従って次第に離間する2本
の長尺状部材21,22の基端部21a,22a側が、
被加熱部を保持する脚部とされている。
【0052】なお、本発明に係る蒸着装置1において、
蒸着材料11は、以上の例に限定されるものではなく、
例えば、単一の長尺状の部材が全体略V字状を呈するよ
うに折り曲げ加工され、その両端部が支持台12に固定
される構成とされていてもよい。この場合は、単一の長
尺状部材の折り曲げられた部分がフィラメント13の近
傍に位置し、被加熱部分とされる。
【0053】また、蒸着材料11は、3本以上の長尺状
部材が、その先端部にて相互に接触し、その基端部側に
て相互に離間した状態で支持台12に支持される構成と
されていてもよい。
【0054】ここで、以上のように構成される蒸着装置
1の動作について説明する。この蒸着装置1を用いて、
蒸着対象となる基板4に薄膜を形成する際は、先ず、基
板ホルダ5に基板4が装着されると共に、支持台12に
蒸発源となる蒸着材料11が取り付けられる。蒸着材料
11は、上述したように、例えば、2本の長尺状部材2
1,22が二股のヘアピン状を呈するように組み合わさ
れて、その基端部21a,22aが支持台12に固定さ
れる。これにより、蒸着材料11を構成する2本の長尺
状部材21,22は、その先端部21b,22bをフィ
ラメント13に近接させて、真空チャンバ301内にお
いて自立した状態とされる。
【0055】基板ホルダ5に基板4が装着され、支持台
12に蒸着材料11が固定されると、排気口3を介して
真空チャンバ2に接続された真空ポンプにより、真空チ
ャンバ2の内部が所定の真空度に真空引きされる。
【0056】次に、フィラメント電源18からの電力が
支柱16,17を介してフィラメント13に供給される
ことにより、フィラメント13が白熱し、この白熱した
フィラメント13から電子が放出される。また、加速電
源15から支持第12及びこれに支持される蒸着材料1
1とフィラメント13との間に所定の電圧が印加され、
これらの間に電界が形成されることにより、フィラメン
ト13から放出された電子がビーム状に収束され加速さ
れて、支持台12に支持された蒸着材料11の被加熱部
(長尺状部材21,22の先端部21b,22b)に衝
突する。
【0057】蒸着材料11の被加熱部は、この電子ビー
ム衝突のエネルギーにより加熱され、融点温度を超える
と溶融して、一部が蒸発する。蒸発した蒸着材料11の
原子或いは分子は、基板ホルダ5により保持される基板
4の表面に付着する。これにより、基板4の表面に蒸着
材料11の原子或いは分子が堆積し、薄膜が形成され
る。
【0058】ところで、この蒸着装置1において、蒸着
材料11として、例えばSi等のように、融点温度前後
の加熱では蒸気圧が不十分で、安定的に蒸着分子束が得
られない物質を用いる場合には、必要な蒸気圧を得るた
めに、蒸着材料11の被加熱部を更に高温で加熱する必
要がある。そして、このように蒸着材料11の被加熱部
を融点温度を超える高温で加熱した場合には、蒸着材料
11の被加熱部の溶融が更に進むことになる。
【0059】このとき、蒸着材料を、例えば矩形の板状
に成形された一枚の長尺状部材より構成し、その先端側
をフィラメントに近接させて、基端側を支持台により支
持して自立させた状態に配設すると、蒸着材料の先端側
の溶融した部分が滴状に丸まり、この滴状に丸まった溶
融部分が重力並びに表面張力に従って徐々に後退してフ
ィラメントから遠ざかり、フィラメントから発生する電
子が蒸着材料に到達せずに、蒸着が停止してしまうとい
った不都合が生じる場合がある。
【0060】蒸着材料の溶融した部分が滴状に丸まる原
動力は、蒸着材料の表面張力である。したがって、同じ
表面張力によるエネルギーが滴の形成で高くなるように
溶融部分が形成されるように蒸着材料を構成すれば、溶
融部分の極端な丸まりを防ぐことができる。
【0061】そこで、この蒸着装置1においては、蒸着
材料11を、フィラメント13の近傍に位置する先端部
21b,22bにて相互に接触し、支持台12により支
持される基端部21a,22aに向かうに従って相互に
離間するように配された2本の長尺状部材21,22に
より構成し、これら長尺状部材21,22の相互に接触
する先端部21b,22bを被加熱部分としてフィラメ
ント13の近傍に位置させて、蒸着を行うようにしてい
る。これにより、加熱溶融された長尺状部材21,22
の先端部21b,22b(被加熱部)は、重力並びに表
面張力に従ってある程度は基端部21a,22a側へと
後退することになるが、その後は、図3に示すように、
長尺状部材21,22間にブリッジを形成してとどま
り、位置及び形状が安定することになる。
【0062】この長尺状部材21,22の溶融した先端
部21b,22b(被加熱部)が更に基端部21a,2
2a側へと後退するには、長尺状部材21,22間に細
長いブリッジを形成するか、或いは、二つの滴に分かれ
る必要がある。しかしながら、いずれの場合にも表面張
力によるエネルギーの増加を伴うので、このような変化
は生ぜず、長尺状部材21,22の溶融した先端部21
b,22b(被加熱部)が基端部21a,22a側へと
更にある程度以上後退することはない。
【0063】本発明に係る蒸着装置1は、以上のよう
に、蒸着材料11が、フィラメント13の近傍に位置す
る先端部21b,22bにて相互に接触し、支持台12
により支持される基端部21a,22aに向かうに従っ
て相互に離間するように配された2本の長尺状部材2
1,22により構成され、これら長尺状部材21,22
の先端部21b,22bを加熱溶融して蒸着を行うよう
になされているので、蒸着材料11を融点温度を超える
高温で加熱した場合であっても、蒸着材料11の溶融部
分がフィラメント13から遠ざかる方向へと大きく後退
することが抑制される。したがって、この蒸着装置1に
おいては、蒸着材料11として、融点温度前後における
蒸気圧が低い例えばSi等の物質を用い、この蒸着材料
11を融点温度以上の高温で加熱する場合であっても、
蒸着を適切に行って、基板4の表面にSi等の膜を精度
良く成膜することができる。
【0064】また、本発明に係る蒸着装置1は、蒸着材
料11を容器等に収容することなく、支持台12により
支持した状態で真空チャンバ2内に自立させるようにし
ているので、容器等に蒸着材料を収容した場合に問題と
される、容器等からの不純物の膜内への混入を有効に回
避して、基板4の表面に良好な膜を成膜することができ
る。
【0065】また、本発明に係る蒸着装置1は、フィラ
メント13より発生した電子をビーム状に収束し、この
電子ビームを蒸着材料11の先端部に衝突させることに
より、蒸着材料11の先端部のみを直接加熱するように
しているので、加熱する部分の面積が小さく、更に熱伝
導による放熱も小さく抑えられるので、真空チャンバ2
内の真空状態を良好に維持して、蒸着を適切に行うこと
ができる。
【0066】
【発明の効果】本発明に係る蒸着装置は、蒸着材料が、
電子放出手段の近傍に位置する被加熱部を、この被加熱
部側にて相互に近接し、支持手段側に向かうに従って相
互に離間する複数の脚部により保持する構成とされ、電
子放出手段から放出された電子の衝突により被加熱部を
加熱溶融して蒸着を行うようになされているので、蒸着
材料を融点温度を超える高温で加熱した場合であって
も、蒸着材料の溶融部分が電子放出源から離間する方向
へと大きく後退することが抑制される。したがって、こ
の蒸着装置においては、蒸着材料として融点温度前後に
おける蒸気圧が低い物質を用い、この蒸着材料を融点温
度以上の高温で加熱する場合であっても、蒸着材料の姿
勢を安定的に維持し、適切に蒸着を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蒸着装置を示す模式図である。
【図2】上記蒸着装置の蒸着材料の近傍を拡大して示す
模式図である。
【図3】上記蒸着材料が加熱溶融された状態を示す模式
図である。
【図4】従来の蒸着装置の一例を示す模式図であり、直
接加熱方式の蒸着装置を示す図である。
【図5】従来の蒸着装置の他の例を示す模式図であり、
K−セル型の蒸着装置を示す図である。
【図6】従来の蒸着装置の更に他の例を示す模式図であ
り、自立式電子衝撃型の蒸着装置を示す図である。
【図7】上記自立式電子衝撃型の蒸着装置の蒸着材料が
加熱溶融される状態を示す図である。
【符号の説明】
1 蒸着装置、2 真空チャンバ、4 基板、10 加
熱溶融部、11 蒸着材料、12 支持台、13 フィ
ラメント、21,22 長尺状部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が高真空状態とされる真空チャンバ
    と、 支持手段により支持された状態で上記真空チャンバ内に
    立設された蒸発源となる蒸着材料と、 上記蒸着材料を加熱溶融するための電子を放出する電子
    放出手段とを備え、 上記蒸着材料は、上記電子放出手段の近傍に位置する被
    加熱部と、この被加熱部を保持する複数の脚部とを有
    し、これら複数の脚部が、上記被加熱部側にて相互に近
    接して上記被加熱部を保持すると共に、上記支持手段側
    へ向かうに従って相互に離間して上記支持手段により支
    持されていることを特徴とする蒸着装置。
  2. 【請求項2】 上記蒸着材料は、上記電子放出手段側に
    て相互に接触し、上記支持手段側へ向かうに従って相互
    に離間するように配された複数の長尺状の部材よりな
    り、これら複数の長尺状の部材の相互に接触する部分が
    上記被加熱部とされていることを特徴とする請求項1記
    載の蒸着装置。
  3. 【請求項3】 上記蒸着材料は、単一の長尺状の部材が
    全体略V字状を呈するように折り曲げ加工されてなり、
    折り曲げられた部分が上記被加熱部分とされていること
    を特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010041416A1 (ja) * 2008-10-08 2010-04-15 株式会社アルバック 蒸発材料及び蒸発材料の製造方法

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