JP2000345142A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金製のディスクローターやド
ラムへのスコアリングの発生を抑制し、さらには発生す
る熱履歴前後の摩擦係数変化を対策する。 【解決手段】 硬質材によつて補強された主としてアル
ミニウム合金から成るローターやドラム等の相手材とし
て用いられる摩擦材であって、有機の繊維基材と、バイ
ンダー樹脂、摩擦調整剤、充填剤、無機粉末の他に、無
機繊維と粒径が1〜180μmの金属粉末を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道、トラック、
乗用自動車等に使用される回転する物体を停止するため
のブレーキ及びクラッチ等に用いられる摩擦材に関す
る。特に摩擦の相手材は硬質材によって補強されたアル
ミニウム合金を用いるものに適する。
【0002】
【従来の技術】自動車等のブレーキのローターやドラム
の材質は、主としてFC20〜30の鋳鉄が用いられて
いたが、自動車の軽量化による低燃費を達成するため、
硬質材によって補強されたアルミニウム合金が採用され
るようになって来た。相手材の摩擦材も人体への安全性
に関わる環境問題から、石綿を使用しない非石綿系摩擦
材へ移行しつゝある。
【0003】ローターは、単に軽量であるばかりでなく
優れた耐熱性、耐摩耗性が要求される。そのためロータ
ーの製造には、アルミニウム合金中に炭化ケイ素(Si
C)、アルミナ(Al23)、酸化ケイ素(Si
2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)や酸化マグネシウ
ム(MgO)等のセラミックスから成る硬質材を配合し
た溶湯で鋳造したり、アルミ箔と炭素繊維プリプレグを
交互に積層してホットプレスで成形する等の方法があっ
た。しかし、後者の方法は製造工程が複雑で不経済であ
るため、近年は前者が主流となっている。
【0004】一方、非石綿系摩擦材の繊維基材として
は、耐熱性の有機繊維、ガラス繊維、金属繊維等が、結
合材としてはフェノール樹脂が、充填剤としては黒鉛、
硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が用いられている。摩
擦材は、ブレーキの制動時に回転するローターとの摩擦
により回転を制御することになるから、氷点下から数百
度におよぶ広い温度範囲で、ローターとの摺接面におけ
る摩擦係数が安定して高く、且つ、適切な耐摩耗性を有
していなければならない。
【0005】特開平6−228539号公報には、硬質
材によって補強されたアルミニウム合金から成るロータ
ーと非石綿系摩擦材の組合せが提案されている。アルミ
ニウム合金製のローターの補強材である硬質材には、一
般的にモース硬度6以上のものが多く、摩擦材側にもモ
ース硬度6以上の硬質無機材料を配合するのが好ましい
と説明している。
【0006】そして、摩擦材側の硬質無機材料はモース
硬度8以上がより好ましく、添加量は、0.1〜30体
積%、形態は、粉末なら粒径0.2〜250μm、繊維
なら直径0.1〜10μm、長さ1μm 〜5mmが好
ましいとしている。さらに、硬質無機材料としては、炭
化ケイ素(SiC)等の金属炭化物、アルミナ(Al 2
3)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(Z
rO2)や酸化マグネシウム(MgO)等によるセラミ
ックス材の他、これらの二成分以上から成るセラミック
ス材、各種金属間化合物やニッケル−クロム合金等の硬
質金属を例示している。この様なローターと摩擦材を組
合せた従来技術は、優れた効き及び耐摩耗性を発揮する
と共に対面(摩擦材の接するローター面)攻撃性に優れ
た効果が得られると説明している。
【0007】また、特表平8−510003号公報で
は、アルミニウム合金複合ローターに対する摩擦材とし
て、一般に用いられる非石綿摩擦材料に加えて多孔質銅
粉を用いると、ローター表面に艶なる形成物が出来、こ
の形成物により摩擦特性が安定するとしている。この形
成物は、主として有機配合物の皮膜であるが、多孔質銅
粉により、その皮膜形成が助長されるとの記載がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】即ち、ローターと摩擦
材の摺り合せが進むにつれ、摩擦材に含まれるあらゆる
摩耗微粉末は、制動熱によってローター表面にフィルム
状に移着する。このローター表面に移着した皮膜は、摩
擦材中の硬質無機材料によって研削され、ローター表面
にアルミニウム素地のむき出し部分をつくる。このロー
ターのむき出し部分となじみの良い摩擦材中の金属原料
(この従来技術では黄銅繊維)が接触し、摩擦熱で局部
的な温度上昇(ヒートスポット)が起きる。
【0009】そのヒートスポットにより、ローターが局
部的に軟化しアルミニウム合金と摩擦材中の金属原料と
が焼付いて、スコアリングと呼ばれるリング状の大きな
溝が摩擦面上に発生する。そのため、ローター及び摩擦
材自身の異常摩耗を誘引し、さらにはブレーキ振動の発
生や摩擦係数の低下を引き起こす。
【0010】さらには、前記特表平8−510003号
公報にある艶と称されるローター上の表面に生成する皮
膜は、過酷な摩擦を繰り返し行うことにより起こる摩擦
力の低下の起因となっていることがわかり、この皮膜は
厚く成長させない工夫が必要である。
【0011】
【課題を解決するための手段】硬質材によつて補強され
た主としてアルミニウム合金から成るローターやドラム
等の相手材として用いられる摩擦材として、有機の繊維
基材と、バインダー樹脂、摩擦調整剤、充填剤、無機粉
末の他に、金属繊維を用いず、無機繊維と、粒径が1〜
180μmの金属粉末を添加する。金属粉末が1μm未
満では、原料製造工程が複雑となり不経済である。18
0μmを超えると、後述する金属繊維を添加した場合と
同様の好ましくない現象を引き起こす。
【0012】ここで用いる無機繊維は、金属繊維の代わ
りに摩擦材の強度を保持する基材としての役割はもとよ
り、ローターに形成される皮膜を押さえる役割をもつた
め、無機繊維自身が摩擦熱により軟化するものでは好ま
しくなく、無機繊維自身の軟化点が850℃以下のもの
は好ましくない。摩擦熱は摩擦材表面を平均的に昇温す
るものではなく、一時的に急激なヒートスポットを与え
ることがある。従って、摩擦の相手材であるアルミニウ
ム合金の溶融点より遙かに高温の温度が要求されるの
は、このヒートスポットを考慮して用いる必要があるか
らである。
【0013】そして、この無機繊維の硬さは、硬すぎる
とローター表面自身を削ることになり、柔らかすぎれば
ローター表面の皮膜を取り除けず、モース硬度で3〜5
の範囲が好ましい。モース硬度3〜5であり、且つ85
0℃以下に軟化点をもたない無機繊維として特にチタン
酸カリウム繊維又はスラグウールが推奨される。
【0014】前記金属粉末の粒径は、20〜45μmで
あればより好ましく、後述する効果が充分に発揮される
と共に、配合時の作業性、原料価格等についても優位で
ある。また、前記金属粉末の添加量は、摩擦材原料の1
〜20体積%の範囲が好ましい。そして、前記金属粉末
の材質は、銅、鉄、またはアルミニウムから選ばれる1
種以上若しくはその合金からなることが望ましい。
【0015】摩擦材全体としては、アラミド繊維等の有
機繊維基材を5〜20体積%、バインダー樹脂が13〜
25体積%、そして無機繊維を5〜25体積%、粒径が
1〜180μmの金属粉末を1〜20体積%、摩擦調整
剤には、黒鉛、二硫化モリブデン、カシュウダスト等を
10〜40体積%、充填剤は硫酸バリウム、炭酸カルシ
ウム、水酸化カルシウム等を2〜30体積%、無機粉末
は珪酸ジルコニウム、マイカ等を2〜30体積%使用す
る。これらは摩擦材の用途や要求性能に応じて量を調整
する。
【0016】
【発明の実施の形態】ローター表面に生成されるスコア
リング現象を詳細に観察すると、制動中の摩擦材の摩耗
微粉末がローター表面に移着して形成されたフィルム状
の皮膜が、比較的モース硬度の高い摩擦材中の無機材料
によって研削され、部分的にアルミニウム素地が現れ
る。そこに摩擦材中の金属繊維が摺接することでヒート
スポットができ、局部的に焼付いた個所を起点にこの金
属繊維が破断するまで引きずられてスコアリングの生成
することが判った。
【0017】そこで摩擦材の形状補強材であると同時
に、摩擦係数調整機能も兼ねた充填剤の分散収納骨格で
ある繊維基材から金属繊維を除き、金属原料の形態を繊
維から粉末に変更すれば、硬質の無機材料によって露出
してくるアルミニウム素地と摺接しても、個々の金属粉
末は摺接のとき脱落し易く持続して局部的にローターを
攻撃しない。従来の金属繊維による骨格形成は有機繊維
で充分であり、金属繊維は金属粉末に置換し制動熱の放
熱に必要な範囲で添加する。そして、金属粉末は熱伝導
率がよいから、ヒートスポットに到達する前に制動熱を
分散、或いは空気中に放出するため、スコアリング現象
を抑制することができる。
【0018】用いる金属粉は銅、鉄及びアルミニウムか
ら選ばれる1種以上を用いるのが好ましく、硬すぎると
摩擦相手材への攻撃作用を引き起こし、柔らかであると
同時に熱伝導性がよく、ヒートスポットを発生する前に
摩擦熱を分散させる作用が要求される。
【0019】金属繊維を金属粉に置き換えることによ
り、ヒートスポットの発生を抑える。しかし、過酷な摩
擦を繰り返しているうちに皮膜が厚みを増す。この皮膜
はローター表面より柔らかであり、皮膜が薄い段階では
影響が少ないが、厚く成長すると摩擦力の低下を引き起
こすことがわかった。
【0020】こうした皮膜を除去するには硬質の物質で
掻き落とすのが適当であるが、金属繊維では前記したよ
うに問題がある。粉末では掻き落とすと同時に粉末自身
が掻き落とされる。従って繊維状であり、且つヒートス
ポットを発生させない無機繊維を用いるのが妥当であ
る。無機繊維は、摩擦材の摺接面において、一部が摩擦
に関係するが残りの部分は、摩擦材中に存在するので、
掻き落とされず効果が継続する。同時に無機繊維自身が
硬すぎると皮膜を削り取り、さらにローターも攻撃する
ことになる。従って硬い無機繊維を用いる場合は少量使
用するのが好ましいが、局所的に効果を発生することに
よる副作用を発生させる可能性があり、好ましくはモー
ス硬度が3〜5の範囲にある無機繊維を使用するのが良
い。この硬さの無機繊維は、多く使用してもローターを
攻撃せず、多く用いることで摩擦材摺接面に全面的に存
在するため、均一な摩擦界面を維持できる。
【0021】以下実施例により、その効果を説明する。
摩擦材配合中に、無機繊維と粒径1〜180μmの金属
粉末を含む配合原料は、後に示す表1または3の実験例
のいずれかの配合表に従って調合し、図1に示す製造工
程に従ってディスクブレーキパッドとして成形してい
る。
【0022】最初のA工程で、下型100の上にディス
クブレーキパッド1の裏板2を置き、摩擦材3の形状に
合致したキャビティを有するダイ101をセットする。
そして、キャビティの空所にバインダーを含む配合原料
300を充填し、B工程で、上型102を矢印方向に上
パンチ103と共に29.4MPaで加圧しながら、配
合原料3中のバインダーが硬化反応する150℃前後の
温度で10分程度熱成形する。その後、上型102と下
型100を開放し、熱成形されたディスクブレーキパッ
ド1を取り出して、C工程で、雰囲気温度225℃前後
の熱硬化炉104内に5〜8時間放置し未反応部分を硬
化させる。最後のD工程で、ローターとの摺接面3aを
所定の寸法に研磨すればディスクブレーキパッド1が完
成する。
【0023】次に、摩擦材3とローター4の摩擦係数、
摩耗とスコアリングの発生を評価する試験機10の構造
を図2に示す。11は、大きな慣性モーメントを有する
回転台であり、下方のモータ12により強制的に回転さ
れる。回転台の上面には、図1の製造工程にて成形さ
れ、所定寸法に加工された摩擦材3がセットされる。一
方、非回転の固定台13は、中央の角軸部16に係合し
てローター4が取付けボルト17にて固定されている。
上部のアクチュエータ14によって、トルクセンサ15
を介して、摩擦材3への押付け力が調節可能であり、ロ
ーター4の摺接面に近い所には、熱電対18が埋設して
あって制動温度を計測できるようになっている。
【0024】図3に、ローター4の平面図を示す。セラ
ミックス等により補強されたアルミニウム合金製の厚さ
10mm×外径60mmのローター4の中央には、固定
台13の角軸部16と係合する角穴19が設けられ、斜
線部で示す摺接部の有効制動半径R=14mmの所に、
熱電対18が埋設されている。図1の製造工程に準じて
成形された縦15mm×横10mm×厚さ10mmの試
料としての摩擦材3は、回転台11の有効制動半径Rに
相当する個所の対称位置に2個セットされている。
【0025】表1に、図1の製造工程に準じて成形され
た摩擦材3の配合表を示す。実験例は、繊維基材に有機
のアラミド繊維を、バインダーにフェノール樹脂を、摩
擦調整剤に黒鉛、二硫化モリブデン、カシューダスト、
充填剤として硫酸バリウム、水酸化カルシウム、無機粉
末として珪酸ジルコニウム、マイカを用い、本発明の要
素である無機繊維には、アルミノシリケート繊維(商品
名;CFF)、チタン酸カリウム繊維(商品名:TXA
X)、スラグウールを用い、後記の金属粉を加えて配合
とした。配合の比率は表1のとおりである。表1の実験
例は無機繊維の効果と、金属粉の効果を明確にするた
め、その他の配合物を一定体積%に調整している。
【0026】銅及び鉄の金属粉末の内1〜10μm以下
の微粉末は、購入した金属粉末をスタンプミルにて入念
に破砕して準備した。粒径の選別は主として篩を用い、
75〜180μmについては、80メッシュを通過した
粉末を200メッシュの篩にて採取した。20〜45μ
mについては、325メッシュを通過した粉末を635
メッシュの篩にて採取した。1〜10μm以下の微粉末
は、サイクロンによる遠心気流分級法にて選別した。金
属繊維は、所定の切削工具を用いて公知の方法で製作し
た。
【0027】
【表1】
【0028】以下に、試験機10にて各種の摩擦材3を
評価した結果につき説明する。試験条件は、有効制動半
径上で回転台11が周速5m/sに到達したところでモ
ータ12を停止させ、アクチュエータ14に指令して摩
擦材3に対する押付け圧力を0.98MPa一定にて惰
性で回転する回転台11を停止させる動作を、常温から
スタートして熱電対18が450℃に到達するまで10
0回の制動となるように、インターバルを調整して2回
繰り返し計200回の制動を実施した。100回制動後
一旦室温まで冷却し、ローター表面の皮膜の形成状態を
観察し、さらに熱履歴後の状態観察のため100回の制
動を加えている。その後、ローター4の斜線部における
スコアリングの有無と摩擦材3及びローター4の4評点
個所の摩耗量を、摩擦材3はダイヤルゲージにて、ロー
ター4はマイクロメータにて計測した。摩擦係数μは、
図2の試験機10において、アクチュエータ14の加圧
力をF、有効制動半径をR、停止に至るまでのトルクセ
ンサ15の計測値の平均トルクをTとして、μ=T/F
Rにて算出した。
【0029】表2に、その結果を示す。改善効果の判定
基準は、従来の金属繊維を配合していた摩擦材(実験例
7,8)に比較し、スコアリングの発生が軽微であるこ
と、摩擦材3及びローター4の摩耗量が少ないこと、皮
膜の生成度合い、及び摩擦係数が熱履歴前後で同一水準
に維持されている事とした。
【0030】
【表2】
【0031】表2の結果を考察すると、本発明品(実験
例1〜6)は従来品(実験例7,8)に比べ摩擦材やロ
ータ摩耗が改善され、明らかに金属粉末に置換した効果
が現れている。但し、金属粉末が微粉末になる実験例
2、5では、スコアリングの誘発要因は低下するものゝ
摩擦係数が多少低下する。実験例3、6では、摩擦係数
は比較例と同一に維持されるが、比較例のようにリング
状の深い溝は発生しないものの、リング状の浅い条痕が
認められたが特に問題のない程度のものである。金属粉
末の最適粒径は、スコアリングの発生がなく、摩擦材3
及びローター4の摩耗量が少くて同等の摩擦係数を維持
している実験例1、4の粒径20〜45μmの金属粉末
が最適である。表1中にアルミニウム粉末の実験例はな
いが、アルミニウムの熱伝導率は鉄と銅の間に位置する
ので、効果についても鉄及び銅に準ずるものである。
【0032】また、本発明の他の解決目的である、皮膜
については、無機繊維の配合により改善され、全般的に
皮膜が無機繊維のないもの(実験例9)に比べ減少して
いる。この結果、熱履歴前後の摩擦係数は全般的に安定
している。無機繊維のない実験例9は摩擦係数の差が大
きいことから、無機繊維の効果が明確である。無機繊維
でも、モース硬度の大きいアルミノシリケート繊維(C
FF)を用いた実験例10は配合量を押さえたにも関わ
らず、ローター及びパッドの摩耗が大きくなる傾向にあ
る。
【0033】表3に、無機繊維の量と、硬さに関する実
験例を示す。金属粉に付いては表1の配合で良い結果を
示す粒径20〜45μmのものを用いている。また、表
1の配合とは、異なる摩擦材質を基準にしている。混合
他製造方法は表1の配合をディスクブレーキパッドにし
た製法に準じて進めた。
【0034】
【表3】
【0035】実験例1〜10で実施した評価試験と同じ
判定を表3の実験例にも適用し、その結果を表4に示
す。実験例11〜13でモース硬度が4の無機繊維の量
について確認した結果、先の実験例1〜10も含めて判
断すると、最適量は15体積%のものであった。実験例
15〜17では金属粉の量について確認したが、実験例
15の結果が好ましく、金属粉を多く使用すると摩擦材
の熱伝導が大きくなり、ベーパーロック等の問題を誘引
する恐れもあり、20体積%を上限とする。以上から、
最適な配合は、モース硬度4の無機繊維を用い、金属粉
を5体積%配合することにより、改善目標であるロータ
ーのスコアリングと、熱履歴後の摩擦係数を安定化させ
ることは、クリアーできた。
【0036】
【表4】
【0037】実験結果を考察すると、金属粉を金属繊維
に変えて用いることにより、ローターのスコアリング発
生を抑えることができる。金属粉は多く用いても効果が
増大するものでもなく、適量がある。又、金属繊維を金
属粉に置換することにより、ローター表面に発生する摩
耗粉の皮膜が熱履歴前後の摩擦係数を変化させる現象
は、無機繊維を配合することでクリアーできる。ただ
し、無機繊維は、硬すぎると皮膜ばかりかローターまで
攻撃するので、使用する無機繊維の硬さはモース硬度で
3〜5の範囲のものが好ましい。この硬さの無機繊維の
配合量は、かなり多くの量を用いても皮膜のみを除去す
るため、副作用としてのローター攻撃性を気にすること
はない。
【0038】
【発明の効果】以上の実験結果からも判別できるよう
に、アルミニウム合金からなるディスクローターやドラ
ムを用いるブレーキに対する摩擦材としては、従来用い
られてきた鋳鉄を用いたローターやドラムに対する摩擦
材に工夫を加える必要がある。特に金属繊維を含む配合
で発生しているスコアリングの防止には、金属粉を使用
することにより解決できる。また金属粉を使用すること
で発生する熱履歴後の摩擦係数の変化を押さえるには、
無機繊維を配合することで可能となる。ここで、金属粉
は粒度が大きすぎるとその効果は失われ、1〜180μ
mの粒度のもの、好ましくは20〜45μm粒度のもの
を用いるのが良い。又、無機繊維は硬すぎるとローター
等の相手材攻撃性が大きくなるので、好ましくはモース
硬度3〜5の範囲のものを用いるのが良い。このような
材料の選択により、アルミニウム合金製ディスクロータ
ーやドラムに対する好適な摩擦材が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスクブレーキパッドの製造工程を
示す説明図である。
【図2】本発明の摩擦材の特性を評価する試験機の概念
構造図である。
【図3】試験機に用いるローターの平面図である。
【符号の説明】
1;デイスクブレーキパッド 2;裏板 3;摩擦材 4;ローター
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/14 530 C09K 3/14 530J C08J 5/14 CFB C08J 5/14 CFB C08K 3/00 C08K 3/00 3/08 3/08 3/24 3/24 7/04 7/04 7/18 7/18 C08L 101/00 C08L 101/00 F16D 69/02 F16D 69/02 C G // C08L 61:00 77:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬質材によって補強された主としてアル
    ミニウム合金から成るローターやドラム等の相手材とし
    て用いられる摩擦材であって、有機繊維基材と、バイン
    ダー樹脂、摩擦調整剤、充填剤、無機粉末の他に、金属
    繊維を含まず、無機繊維と、粒径が1〜180μmの金
    属粉末が添加されていることを特徴とする摩擦材。
  2. 【請求項2】 前記無機繊維は850℃以下に軟化点を
    もたない請求項1に記載の摩擦材。
  3. 【請求項3】 前記無機繊維は、硬さがモース硬度で3
    から5の範囲にある請求項1又は2に記載の摩擦材。
  4. 【請求項4】 前記無機繊維が、チタン酸カリウム繊維
    及びスラグウールから選ばれる1種以上である請求項1
    乃至3のいずれかに記載の摩擦材。
  5. 【請求項5】 前記金属粉末の粒径が20〜45μmで
    ある請求項1に記載の摩擦材。
  6. 【請求項6】 前記金属粉末が、銅、鉄、及びアルミニ
    ウムから選ばれる1種以上若しくはその合金からなる請
    求項1又は5に記載の摩擦材。
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