JP2000321567A - 反射型液晶表示素子 - Google Patents

反射型液晶表示素子

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JP2000321567A
JP2000321567A JP11134270A JP13427099A JP2000321567A JP 2000321567 A JP2000321567 A JP 2000321567A JP 11134270 A JP11134270 A JP 11134270A JP 13427099 A JP13427099 A JP 13427099A JP 2000321567 A JP2000321567 A JP 2000321567A
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JP
Japan
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liquid crystal
cholesteric
film
selective reflection
crystal cell
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JP11134270A
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English (en)
Inventor
Yasushi Sato
康司 佐藤
Hitoshi Mazaki
仁詩 真崎
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラー表示可能で明るい反射型液晶表示素子
を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の反射型液晶表示素子は、単一の
若しくは複数に分割された画素を有し電界により駆動可
能な液晶セルと、該液晶セルの一方の側に設置される偏
光板と、液晶セルの他方の側に設置される複数枚のコレ
ステリックフィルムと、該コレステリックフィルムの液
晶セルと反対の側に設置される光吸収層とを少なくとも
有し、コレステリックフィルムは特定波長帯域の光の選
択反射に寄与し且つ所定情報の形状をなす選択反射寄与
部を有し、複数枚のコレステリックフィルムのうち少な
くとも1枚は右ねじれのらせん構造を有し、少なくとも
1枚は左ねじれのらせん構造を有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学分野、光エレ
クトロニクス分野、液晶表示装置分野、意匠用途等で有
用な、新規な反射型液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】反射型の液晶ディスプレーは、バックラ
イトを必要としない低消費電力の液晶ディスプレーであ
る。この特徴を生かして、電卓、携帯型コンピュータ
ー、携帯電話、ゲーム機などの表示画面として幅広く使
用されている。
【0003】しかしながら反射型の液晶ディスプレーに
おいては、表示はほとんどが白黒であり、視認性など多
様化するニーズに対して十分に応えられていない。
【0004】また、反射型液晶ディスプレーは、光源と
して外光を利用するため透過型液晶ディスプレーと比較
して明るさが十分に取れないという問題点を有する。通
常携帯機器は細やかな表示を必ずしも必要としないの
で、この明るさないし輝度の問題は反射型液晶ディスプ
レーではある程度許容される。しかしながら携帯機器等
における輝度の低さ以上の輝度低下は許容できないた
め、カラー化等の高性能化は困難である。すなわち、カ
ラー化のためには通常カラーフィルターを用いるが、カ
ラーフィルターは、赤、緑、青に画面を分割する必要が
あること、さらにはカラーフィルターが吸収型の色素を
用いるため、透過及び反射光量を著しく減らしてしま
う。このように、反射型ディスプレーでは利用できる光
量に限りがあるため、カラーフィルター方式は適さな
い。
【0005】一方、カラーフィルターを用いずに色のつ
いた表示を行う手法としては、液晶セルの複屈折性を利
用する方法が提案されている。しかしながらこの方法で
は、色純度が悪く鮮明な画像が得られにくく、また明る
さも十分ではない。このように反射型液晶ディスプレー
分野においては、鮮明なカラー表示を達成するのは極め
て困難な状況にある。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、上記の
点に鑑み、カラー表示可能で明るい反射型液晶表示素子
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カラー表
示可能で明るい反射型液晶ディスプレーの開発に取り組
んだ。すなわちカラーフィルターの問題点や複屈折型の
反射型カラー液晶ディスプレーの問題点を有しないカラ
ー化方法を検討した。本発明にあたっては、映像等の表
示に要求されるような厳密な色表示よりは、視認性ある
いは製造の容易さといった面を重視した。そして本発明
者らは、コレステリックフィルムのもつ特異な光学的性
質に着目し鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0008】すなわち請求項1に係る発明は、単一の若
しくは複数に分割された画素を有し電界により駆動可能
な液晶セルと、該液晶セルの一方の側に設置される偏光
板と、液晶セルの他方の側に設置される複数枚のコレス
テリックフィルムとを少なくとも有し、コレステリック
フィルムは特定波長域の光の選択反射に寄与し且つ所定
情報の形状をなす選択反射寄与部を有し、複数枚のコレ
ステリックフィルムのうち少なくとも1枚は右ねじれの
らせん構造を有し、少なくとも1枚は左ねじれのらせん
構造を有することを特徴とする反射型液晶表示素子であ
る。
【0009】この発明によれば、光が偏光板を通過する
と直線偏光となり、この直線偏光が液晶セルに入射す
る。このとき、液晶セルの画素に電界が印加され直線偏
光が右円偏光に変換されると、右円偏光は、コレステリ
ックフィルムの選択反射寄与部に入射し、右ねじれのら
せん構造を有するコレステリックフィルムでは特定波長
域の光が右円偏光として選択反射され、左ねじれのらせ
ん構造を有するコレステリックフィルムでは選択反射さ
れない。このとき、選択反射された右円偏光が液晶セル
及び偏光板を通過することにより選択反射寄与部の形状
に基づく所定情報が表示される。一方、偏光板を通過し
て得られる直線偏光が液晶セルに入射し、液晶セルの画
素に電界が印加されることによって左円偏光に変換され
ると、左円偏光は、左ねじれのらせん構造を有するコレ
ステリックフィルムに入射し、ここで特定波長域の光が
左円偏光として選択反射され、右ねじれのらせん構造を
有するコレステリックフィルムでは選択反射されない。
このとき、選択反射された左円偏光が液晶セル及び偏光
板を通過することにより選択反射寄与部の形状に基づく
所定情報が表示される。
【0010】請求項2に係る発明は、上記発明におい
て、コレステリックフィルムの液晶セルと反対の側に設
置され、全てのコレステリックフィルムの選択反射波長
帯域のうち、全てもしくは大部分の波長の光に対する吸
収能を有する光吸収層を更に備えることを特徴とする反
射型液晶表示素子である。
【0011】この発明によれば、右ねじれ又は左ねじれ
のらせん構造を有するコレステリックフィルムの選択反
射寄与部を透過する光が光吸収層で吸収される。このた
め、選択反射寄与部を透過した光が選択反射寄与部に戻
ることが十分に防止され、より鮮明なカラー表示が達成
される。
【0012】請求項3に係る発明は、上記発明におい
て、コレステリックフィルムの選択反射寄与部が画素に
対応して設置されていることを特徴とする反射型液晶表
示素子である。
【0013】この発明によれば、画素に対応して、選択
反射寄与部の形状に基づく所定情報が表示される。
【0014】請求項4に係る発明は、上記発明におい
て、右ねじれのらせん構造を有するコレステリックフィ
ルムのうち少なくとも1枚のコレステリックフィルムの
選択反射の中心波長と、左ねじれのらせん構造を有する
コレステリックフィルムのうち少なくとも1枚のコレス
テリックフィルムの選択反射の中心波長とが異なること
を特徴とする反射型液晶表示素子である。
【0015】この発明によれば、右ねじれのらせん構造
を有するコレステリックフィルムの形状に基づく所定情
報と、左ねじれのらせん構造を有するコレステリックフ
ィルムの形状に基づく所定情報とが互いに異なった色で
表示される。
【0016】請求項5に係る発明は、上記発明におい
て、右ねじれのらせん構造を有するコレステリックフィ
ルムのうち少なくとも1枚のコレステリックフィルムの
選択反射寄与部と、左ねじれのらせん構造を有するコレ
ステリックフィルムのうち少なくとも1枚のコレステリ
ックフィルムの選択反射寄与部とが互いに異なる形状と
なっていることを特徴とする反射型液晶表示素子であ
る。
【0017】この発明によれば、偏光板を通過して得ら
れる直線偏光が液晶セルで右円偏光又は左円偏光に変換
され、その円偏光の種類に応じて、異なった形状の選択
反射寄与部に基づき、異なった情報がそれぞれ表示され
る。
【0018】請求項6に係る発明は、上記発明におい
て、右ねじれのらせん構造を有するコレステリックフィ
ルムのうち少なくとも1枚のコレステリックフィルム
と、左ねじれのらせん構造を有するコレステリックフィ
ルムのうち少なくとも1枚のコレステリックフィルムと
が、偏光板から光吸収層の方に向かって見たときに互い
に重なり合わないように配置されていることを特徴とす
る反射型液晶表示素子である。なお、本発明において
「重なり合わない」とは、ねじれ方向の異なる少なくと
も2枚のコレステリックフィルム同士が完全に一致する
ように重なり合わないという意味であり、一方のコレス
テリックフィルムの一部が他方のコレステリックフィル
ムの一部と重なり合うように設置されたものも本発明に
含むものである。
【0019】この発明によれば、偏光板を通過して得ら
れる直線偏光が液晶セルで右円偏光又は左円偏光に変換
されると、偏光板から光吸収層の方に向かって見たとき
に、変換される円偏光の種類に応じて、選択反射寄与部
の形状に基づく所定情報が異なった位置に表示される。
【0020】請求項7に係る発明は、上記発明におい
て、液晶セルが単一の画素からなり、2種類の文字また
は図形情報を切り替えて表示することが可能であること
を特徴とする反射型液晶表示素子である。
【0021】請求項8に係る発明は、上記発明におい
て、液晶セルがねじれた液晶構造を持たないセルであ
り、液晶セルは、リターデーション値として、右ねじれ
又は左ねじれのらせん構造を有するコレステリックフィ
ルムの選択反射中心波長の略1/4の値と、コレステリ
ックフィルムのらせん構造と反対方向のらせん構造を有
するコレステリックフィルムの選択反射中心波長の略3
/4の値とを少なくともとることが可能となっているこ
とを特徴とする反射型液晶表示素子である。
【0022】請求項9に係る発明は、上記発明におい
て、液晶セルがツイステッドネマチックセルであり、液
晶セルとコレステリックフィルムとの間に、複数枚のコ
レステリックフィルムの選択反射の中心波長の平均値の
略1/4のリターデーションを有するリターダーを更に
有することを特徴とする反射型液晶表示素子である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の反射型液晶表示素
子について詳細に説明する。
【0024】まず、本発明の基本概念について説明す
る。
【0025】コレステリックフィルムは、液晶分子がら
せん構造を形成し、この周期性のために特定の波長の光
を選択的に反射することができる。この選択反射の通常
のブラッグ反射と異なる大きな特徴は、液晶分子の屈折
率異方性のために反射が帯状の波長領域にまたがってお
こること、そして反射光がらせんのねじれ方向に対応し
た方向の円偏光であること、すなわち反射される円偏光
は、コレステリックフィルムのらせん構造が右ねじれで
ある場合右円偏光、左ねじれである場合左円偏光となる
ことである。
【0026】反射波長の最大値λmax、最小値λmin、反
射帯幅△λは下式で与えられる。
【0027】λmax = p x ne (1) λmin = p x no (2) Δλ =λmax min = p x (ne-no) = p x △n (3) ここで、pはコレステリックフィルムのらせんピッチ(膜
厚内で一定とする)である。neおよびnoは、液晶分子が
らせん構造をとらず一軸に配向したと仮定した時の光軸
方向および光軸に垂直な方向の屈折率である。また△n
はneとnoとの差である。このように反射される光が単一
の波長ではなく波長帯として得られることが、本発明で
は明るさに寄与する。
【0028】本発明は、この円偏光選択反射を利用して
以下のようにしてカラー表示を行うものである。ここで
は説明を単純にするため、コレステリックフィルムを2
枚使用する場合について説明する。まず選択反射波長及
びねじれ方向の異なるコレステリックフィルムを2枚用
意する。これらをそれぞれA及びBとし、Aが右ねじれ
でλAの波長帯の右円偏光を反射し、Bが左ねじれでλB
の波長帯の左円偏光を反射するものとする。この2枚の
コレステリックフィルムに右円偏光を入射すると、Aの
フィルムでλAの波長の円偏光が反射され、Bのフィル
ムでは反射は起こらない。そのためフィルムA起因のλ
Aの波長の反射光が見えることになる。反対に、左円偏
光を入射すると、フィルムB起因のλBの波長の反射光
が見えることになる。
【0029】ここで、コレステリックフィルムとして、
例えば表示したい図形情報や文字情報の形などに切り抜
いたものを用いる。すると、入射円偏光の向きにより、
図形や文字を切り替えて表示することが可能になる。ま
た、本発明では、右ねじれのらせん構造を有するコレス
テリックフィルムの選択反射波長と左ねじれのらせん構
造を有するコレステリックフィルムの選択反射波長とが
互いに異なれば(λA≠λB)同時に色も切り替えることが
可能となる。更に、一方のねじれのフィルムが表示され
るとき、他方のねじれのフィルムはあたかも存在してい
ないかのように見えるので、右ねじれのフィルムと左ね
じれのフィルムは重なっていてもいなくてもよい。
【0030】以上のことから、右ねじれのフィルムと左
ねじれのフィルムを用いることにより、次の3つのケー
スで情報の切り替え表示が可能である。
【0031】(1)右ねじれのフィルム及び左ねじれの
フィルムからの選択反射色が互いに異なる場合。右ねじ
れのフィルムと左ねじれのフィルムが同じ図形で、その
図形に基づく所定情報が同じ位置に表示されるとしても
異なる色を表示させることによって情報を切り替えるこ
とが可能である。
【0032】(2)右ねじれのフィルムの形状と左ねじ
れのフィルムの形状が互いに異なる場合。右ねじれのフ
ィルムと左ねじれのフィルムからの選択反射色が同じ色
であったとしても異なる図形を表示させることによって
情報を切り替えることが可能である。
【0033】(3)表示素子の正面から見たとき、すな
わち偏光板から光吸収層の方に向かって見たとき右ねじ
れのフィルムと左ねじれのフィルムとが重なり合って設
置されていない場合(ここで、「重なり合わない」と
は、右ねじれのフィルムと左ねじれのフィルムとが完全
に一致するように重なり合わないという意味であり、一
方のコレステリックフィルムの一部が他方のコレステリ
ックフィルムの一部と重なり合うように設置されたもの
も含むものである。)。同じ色、同じ形であったとして
も、異なる位置に図形を表示させることによって情報を
切り替えることが可能である。
【0034】本発明においては、これら3つの条件のう
ち2つ以上を満たすことがより好ましく、すべての条件
を満たせば最も好ましい。このような原理で表示を行う
ため、後述する液晶セルは微細な画素に分割されている
必要は必ずしもない。そのため、本発明の反射型液晶表
示素子においては液晶セルの開口率が高く、明るく見や
すい表示が達成できる。
【0035】コレステリックフィルムへの入射光として
右円偏光または左円偏光を生じさせる役割を担うのが、
偏光板及び液晶セルである。液晶セルの種類によって
は、さらに波長板(リターダー)が組み込まれる。ここ
で、偏光板は、液晶セルの一方の側に設置され、コレス
テリックフィルムは液晶セルの他方の側に設置される。
また、コレステリックフィルムの液晶セルと反対の側に
は好ましくは光吸収層が設置される。偏光板は外光を取
り入れ、これを直線偏光として液晶セルに送り込む。液
晶セル(または液晶セルと波長板の組み合わせ)は直線偏
光を円偏光に変換する波長板としての役割を果たす。液
晶セルは印加電圧により内部の液晶構造を変化させてリ
ターデーション値を生じさせることができ、そのリター
デーション値により右円偏光を生じさせたり左円偏光を
生じさせたりする。このようにして生じた円偏光は2枚
のうちいずれかのコレステリックフィルムで、上で述べ
たように反射される。反射された円偏光は、その偏光の
向きが入射円偏光の向きと同一であり、液晶セル(また
は液晶セルと波長板の組み合わせ)、そして偏光板をほ
とんど光量を失うことなく戻っていき、われわれの目に
表示として映ることになる。コレステリックフィルムで
反射せずに透過した光は、戻ってくると表示に悪影響を
及ぼす場合があるので、光吸収層で吸収させる。
【0036】次に、本発明の反射型液晶表示素子を構成
する各部材について説明する。
【0037】まず、偏光板としては、偏光度を有するも
のであれば特に制限はないが、通常液晶ディスプレーで
使用される直線偏光板を使用することができる。偏光板
表面は無処理のままでも良いが、反射防止のため、グレ
アー処理したものや、反射防止膜を形成させたものを用
いても良い。偏光板の種類としては、例えば沃素系や染
料系のものが用いられるがいずれでもかまわない。また
偏光板の偏光度としては、90%以上のものが好ましく、
より好ましくは95%以上のもの、さらに好ましくは97%以
上のものが用いられる。
【0038】次にコレステリックフィルムについて説明
する。
【0039】コレステリックフィルムは、可視域に選択
反射を有するものであれば特に制限されないが、光学性
能、安定性、ハンドリング性の観点から、コレステリッ
ク構造を配向固定化した高分子のフィルムが好ましい。
かかるフィルムとしては、高分子コレステリック液晶
を、熱により配向させたものを冷却してガラス固定化し
たものや、低分子の重合性のコレステリック液晶を配向
させた後、熱や光で高分子量化させたもの、中程度(例
えば1000〜5000)の分子量の液晶性オリゴマー
組成物を熱により配向させた後、熱や光でさらに高分子
量化させたものなどを例示することができる。コレステ
リックフィルムは単独のフィルムであっても良いが、適
当な支持基板の上に薄膜として形成されていても良い。
またコレステリック液晶としてはモノドメインな配向を
したものが好ましいが、ある程度配向欠陥があったり、
構造が乱れているものであっても使用可能である。また
コレステリックフィルムの選択反射が鏡面的で、ぎらつ
きが好まれない場合は、むしろ積極的に、配向欠陥や構
造の乱れを制御しつつ発生させる方法をとることもでき
る。またコレステリックフィルム表面にエンボス加工等
の表面加工を施す方法もとることもできる。
【0040】コレステリックフィルムの選択反射波長
は、その中心波長(以下λ0とする)で表せば、通常400nm
以上800nm以下、より好ましくは430nm以上700nm以下、
さらに好ましくは450nm以上660nm以下である。400nm以
下では、薄い青もしくは無色であるためカラー表示に適
さないおそれがある。800nm以上では、選択反射光が赤
外域に近づくため、薄い赤もしくは無色になるためやは
り好ましくない。なおここで中心波長は、下記(4)式
に示すように、反射強度の最大値の半分の値をとる2つ
の波長の算術平均値とする。
【0041】λ0 = (λmax + λmin) / 2 (4) これは上記(1)式と(2)式でそれぞれ表されるλmaxとλ
minの算術平均にほぼ対応する。
【0042】さらに、選択反射波長の帯域幅は、通常10
nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは60
nmである。10nm未満の場合、反射する光量が少ないため
表示が暗くなる傾向がある。なおここでいう帯域幅は、
選択反射強度の最大値の半分の値をとる2つの波長の差
の絶対値とする。これは(3)式の△λにほぼ対応する。
【0043】なお、本発明においては、ピッチが一定で
なくグラジエントを持つコレステリックフィルムももち
ろん使用できる。この場合ピッチが一定の場合の(1)、
(2)、(3)式は成り立たないが、選択反射中心波長、選択
反射の帯域幅の好ましい値の範囲は、上に示したものと
同様である。
【0044】本発明では、通常は右ねじれのらせん構造
を有するコレステリックフィルムと左ねじれのらせん構
造を有するコレステリックフィルムの両方が少なくとも
用いられる。ただし、ねじれ方向が同一であっても、後
方(偏光板から遠い側)のコレステリックフィルムの選択
反射中心波長の約1/2のリターデーションを有する波
長板を該フィルムと前方(偏光板に近い側)に配置された
反対ねじれのコレステリックフィルムとの間に設置すれ
ば、この波長板の効果により、円偏光の向きを左右反転
させることができ、右ねじれと左ねじれのフィルムを用
いた場合とほぼ同様な効果が得られる。波長板を追加す
る必要があるが、ねじれの異なるコレステリックフィル
ムを用意することが難しい場合には有効な方法である。
なお、波長板は1軸性のものでも2軸性のものでも良
く、リターデーションは完全なλ/2条件でなく多少ずれ
ていても実用上ほとんど問題ない。
【0045】本発明では、コレステリックフィルムは、
特定波長域の光の選択反射に寄与し且つ図形または文字
等の所定情報の形状をなす選択反射寄与部を有する。選
択反射寄与部は、例えばコレステリックフィルムを所望
の図形または文字の形に加工したもので構成される。加
工の方法は特に限定されず、同一平面上にコレステリッ
ク液晶層の選択反射機能を有する部分と、該機能を持た
ない部分とを作ってやればよい。通常、大きめのサイズ
のコレステリックフィルムからはさみやカッターで所望
の形に切りとってやればよい。その他の方法としては、
不要なコレステリック液晶層部分を機械的にこすったり
はぎ取ったり、溶剤で溶かして除去したりする方法を挙
げることができる。また、コレステリックフィルムを製
造する段階で、パターン化しておけば、後加工をしなく
てもそのまま使用することができる。なお、1種類のコ
レステリックフィルムから図形を切り出した結果、複数
の部品に分かれてしまう場合もある。例えば、実施例2
のよう「HELLO」という文字に切り出そうとすれば、5
つの断片に分かれることになる。このように同一の元フ
ィルムから切り出されたものについては、複数の断片に
分かれた場合でも、本発明においては1枚のフィルムと
みなすことにする。
【0046】また、コレステリックフィルムの選択反射
寄与部は、コレステリックフィルム自体を所定形状に加
工等しないで得ることも可能である。すなわち選択反射
寄与部は、例えばコレステリックフィルムの表面の所望
の図形または文字を表示させる部分以外のところを、光
を吸収する材料、例えば黒い紙や黒い塗料で部分的に覆
ってやることによっても得られる。この場合、コレステ
リックフィルムにおいては、光吸収材料で覆われていな
い部分が選択反射に寄与する選択反射寄与部として機能
し、光吸収材料で覆われた部分が選択反射に寄与しない
選択反射非寄与部として機能する。
【0047】なお、2枚のコレステリックフィルムは、
そのまま直接に重ねるだけでも良いし、接着剤や粘着剤
を介して貼り合わせたり、コレステリックフィルム層自
体を熱圧着等で一体化することもできる。このように見
かけ上は1枚のフィルムであっても、選択反射特性の異
なる層を有する場合、本発明では2枚のコレステリック
フィルムを使用したものとする。
【0048】本発明では、3枚以上のコレステリックフ
ィルムを使用することも可能である。上記の2枚使用に
対してフィルムを追加する目的は、異なる色の図形や文
字の情報を増やすこと、及び/または表示色の色調の調
整である。3枚以上の場合は、これらを右ねじれのフィ
ルム群と左ねじれのフィルム群とに分けて考えることが
できる。まず右ねじれのフィルム群に着目する。フィル
ム同士が重なり合う部分に関しては、表示される色は、
群を構成するフィルムの選択反射色を合成した色にな
る。重なり合わない部分に関しては、各々フィルムの形
が各々の選択反射色で認識されることになる。左ねじれ
のフィルム群に関しても同様である。なお、右ねじれの
フィルム群、左ねじれのフィルム群のそれぞれに対し、
選択反射中心波長をここで便宜上定義する。選択反射中
心波長は、群を構成する各フィルムの選択反射中心波長
の平均値とする。後述する液晶セルのリターデーション
値や波長板のリターデーション値の設定は、ここで定義
した選択反射中心波長を用いることにより、右ねじれの
らせん構造を有するフィルムと左ねじれのらせん構造を
有するフィルムを1枚ずつ使用した場合と同様に扱え
る。
【0049】次に、光吸収層について説明する。
【0050】光吸収層は、コレステリックフィルムを透
過した光を吸収させ表示を見やすくする目的で設置され
る。光吸収層を用いない場合でも表示は可能であるが、
視認性に劣るおそれがある。光吸収層としては、使用す
るコレステリックフィルムの選択反射波長帯の全てのま
たは大部分の波長の光を、全量あるいは部分的に吸収で
きるものが好ましく用いられる。光吸収層としては、通
常、可視光のほぼ全域を吸収できる黒色のものが好まし
く用いられるが、着色したものも使用可能である。例え
ば、本発明の反射型液晶表示素子の構成部材として緑色
光を選択反射できるコレステリックフィルムと赤色光を
選択反射できるコレステリックフィルムとを用いる場
合、光吸収層は赤色光と緑色光をある程度吸収できるこ
とが必須であるが、青色光は必ずしも吸収しなくても良
い。青色光を吸収せず反射するような部材を光吸収層と
して用いれば、黒色の吸収層を用いた場合には赤と緑の
表示が得られるのに対し、赤と青の混ざった色と、緑と
青の混ざった色との表示になる。このように光吸収層を
選ぶことによっても色調の異なった反射型液晶素子の作
製が可能である。光吸収層の形態としては、フィルム状
のもの、シート状のもの、紙、プラスチックフィルムま
たはプラスチックシートの上に形成された膜状のもの、
粘着剤に光吸収性物質を練り混ぜたものなど、さらには
吸収挙動の異なる複数の層を積層したものなど例示する
ことができるが、本発明においては特に制限はない。光
吸収層として用いる部材を切り抜いたり、光吸収層を異
なる光吸収特性を持つ部分から構成すれば、これらのパ
ターンに応じた図形が、表示、非表示の切り替えは困難
であるが、背景として表示・認識することができ、情報
量を増やすことが可能となる。
【0051】最後に、駆動用液晶セルについて説明す
る。
【0052】駆動用液晶セルは、2枚の電極基板の間に
液晶材料を挟持することにより得られる。2枚の電極基
板はそれぞれ1つ若しくは複数の電極を備えており、互
いに向かい合う電極が一組となって一画素を構成してい
る。従って、液晶セルは単一の若しくは複数の画素を有
するものである。本発明では、コレステリックフィルム
の選択反射寄与部が画素に対応して配置されること、す
なわち所定形状の選択反射寄与部が画素のそれぞれと光
吸収層との間に配置されることが好ましい。これによ
り、画素が単一の場合には、選択反射寄与部の形状に応
じた情報が表示され、画素が複数の場合には、より多く
の選択反射寄与部が配置されることとなるので、より多
くの情報を表示することが可能となる。
【0053】本発明では駆動用液晶セルとしては、偏光
板を透過した直線偏光を、必要に応じて右円偏光または
左円偏光に変換できるものを使用する。より具体的に
は、駆動用液晶セルとしては、以下の2つのケースを少
なくとも挙げることができる。
【0054】(ケース1) いわゆるλ/4波長板機能また
はそれと同等の機能を発現する状態と、これとは反対方
向の円偏光を生成できる3/4・λ波長板機能またはそれと
同等の機能を発現する状態の、少なくとも2状態をとり
うるもの。
【0055】(ケース2) いわゆるλ/4波長板機能また
はそれと同等の機能を発現する状態と、これとは遅相軸
方向が直交した方向にあるλ/4波長板機能またはそれと
同等の機能を発現する状態の、少なくとも2状態をとり
うるもの。
【0056】なお、駆動用液晶セル単独でこれらの状態
を取り得ない場合には適当な波長板を用意し液晶セルと
波長板とを組み合わせて使用することもできる。
【0057】ここで、λ/4波長板機能について補足して
おく。本発明で用いる駆動用液晶セルは、全ての波長に
対し、λ/4波長板として機能することは困難である。そ
こで、コレステリックフィルムでの反射が期待される光
の波長に対して、λ/4波長板機能を有している場合、λ
/4波長板と呼ぶことにする。例えば、駆動用液晶セル
(もしくは駆動用液晶セルと波長板の組み合わせ)がλ/4
波長板機能を有し、右円偏光を生成させるものとする。
この時、2枚のコレステリックフィルムのうち、右ねじ
れのフィルムの選択反射の中心波長がλ0である時、駆
動用液晶はλ0の波長の光に対して、λ/4波長板機能を
満たせば最も良い。ただし実用上はλ/4条件におけるリ
ターデーション値は、このように厳密に制御されていな
くてもよく、理想的なリターデーション値に対し、±40
%以内、より好ましくは±30%以内、さらに好ましくは±
20%以内の値の範囲にあれば表示上差し支えない。すな
わち、セルを通過した光は完全な円偏光ではなく、厳密
には楕円偏光になっている場合もあるが、本発明では実
用上大きな問題にならない限り、このような振動状態の
光も円偏光と呼ぶこととする。3/4・λ波長板機能に対し
ても同様に広いマージンがあるが、λ/4波長板機能に比
べるとマージンは狭く、リターデーション値は、通常、
理想的なリターデーション値に対し、±30%以内、より
好ましくは±20%以内、さらに好ましくは±10%以内の値
の範囲であれば良い。いずれにせよこのように広いマー
ジンをとり得るのは、先に述べたように、本発明の反射
型液晶表示素子が、光量の違いというよりは色調の違い
を利用して表示できるためである。このことは、さらに
は液晶表示素子製造時の許容マージン、液晶表示素子の
駆動条件の許容マージン、または動作環境(室温など)の
許容マージンの広さにもなっており、本発明の反射型液
晶表示素子は工業的な観点から非常に優れている。
【0058】ここで、駆動用液晶セルについて以下3つ
の好ましい例を説明する。ただし本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0059】一つ目は、実施例1のように電界制御複屈
折型の駆動用液晶セルを用いるものである。この方式の
セルはねじれた液晶構造を有しておらず、このようなセ
ルとしては、電極基板界面の液晶の配向の様式により、
ECB(Electrically Controlled Birefringence)セル、HA
N(Hybrid Aligned Nematic)セル、OCB(Optically Contr
olled Birefringence)セルなどがある。これらのセルで
は電圧によりセル内の液晶の傾きが変化されてリターデ
ーション値が制御される。これは上で説明したケース1
に該当する。実施例1では、ECBセルが用いられてお
り、低い電圧で3/4・λ波長板機能が作り出され、より高
い電圧でλ/4波長板機能が作り出されている。偏光板の
透過軸とセルのみかけの遅相軸(実施例1で電極基板の
ラビング方向に対応)とのなす角度の絶対値はおよそ45
度になるようにする。実施例1のように偏光板とセルを
配置すると、偏光板とλ/4状態のセルを透過した光は、
右円偏光になり、その下の右ねじれのコレステリックフ
ィルムで選択反射帯の波長の光が反射される。一方、セ
ルが3/4・λ条件の時は左円偏光が生じ、左ねじれのコレ
ステリックフィルムで選択反射帯の波長の光が反射され
る。なお、偏光板の透過軸を90度回転させたり、あるい
はセルの遅相軸方向を90度回転させた配置では、発生す
る円偏光の向きは実施例1とは反対になる。すなわち、
λ/4状態のセルを透過した光は左円偏光、3/4・λ状態の
セルを透過した光は右円偏光となる。このような配置も
同様に好ましい。
【0060】二つ目は、実施例2のように、ツイステッ
ドネマチック(以下TNと略す)セルとポリマーフィルムよ
りなるλ/4板(リターダー)を用いる場合である。TNセ
ルのねじれ角は、通常60度以上120度以下の範囲のもの
を使用できるが、一般的には90度とすることが好まし
い。λ/4板としては、通常リターデーション値が、100n
mから200nmの範囲の値、より好ましくは115nmから170nm
の範囲の値、さらに好ましくは、125nmから150nmの範囲
の値にあるものが使用される。セル中の液晶は、ねじれ
た状態と、セルの電極基板に対してほぼ垂直に配向した
状態との間でスイッチングする。セル中の液晶が90度ね
じれた状態にあるときは、偏光板を透過した直線偏光が
セルによりその振動方向を90度回転させられる。一方、
セル中の液晶が略垂直配向した状態では、偏光板を透過
した直線偏光はその振動方向を変えることなく、そのま
ま直線偏光としてセルを透過する。このように、ねじれ
た状態と、セルの電極基板に対してほぼ垂直に配向した
状態のそれぞれにおいてセルを通過した光はそれぞれ直
線偏光となり、これらの直線偏光は互いに直交した関係
となるので、次のλ/4板を通過すると、右と左の異なる
円偏光を生じさせる。どちらの円偏光になるかは、偏光
板の透過軸の向きとλ/4板の遅相軸の向きにより決ま
る。偏光板、TNセル、λ/4板の軸の関係は通常以下のよ
うにする。TNセルとしては2枚のラビング処理した電極
基板が通常用いられるが、偏光板の透過軸と、偏光板に
近い側の電極基板のラビング方向は、およそ0度または9
0度とする。TNセルとλ/4板の関係は、λ/4板に近い側
の電極基板のラビング方向とλ/4板の遅相軸方向とのな
す角度の絶対値は約45度になるようにする。なお、セル
中の液晶が90度ねじれた状態にあるときは、ある特定の
波長の光に対しては完全な90度旋光子として機能する
が、他の波長においては、完全な直線偏光ではなく楕円
偏光を生じさせる。本発明においては、実際の偏光状態
の理想からのずれの許容幅は広いため大きな問題にはな
らないが、液晶セルのリターデーション(液晶の複屈折
とセルギャップとの積)は以下の値に近い値をとること
が好ましい。
【0061】リターデーション= 0.87 xλ0 ここでλ0は、セルの液晶がねじれ状態の時に、反射が
期待される方のコレステリックフィルムの選択反射の中
心波長である。このように、好ましいセルのリターデー
ション値は用いるコレステリックフィルムの選択反射波
長にも依存するので一概には言えないが、通常、350nm
以上550nm以下、より好ましくは400nm以上500nm以下で
ある。セルのねじれ角は通常約90度であり、右ねじれで
も左ねじれでもかまわない。
【0062】三つ目の例は、実施例3のように、強誘電
性液晶セルを用いるものである。強誘電性液晶セルは、
駆動によりその液晶分子の長軸の向きを面内で変えるこ
とができ、遅相軸方向の異なる2種類のλ/4板として機
能させることができる。理想的には、二つの状態間で遅
相軸は互いに直交していることが好ましい。実施例3で
は、2つの状態での遅相軸のなす角は60度とやや小さめ
であるが、実用可能な素子にできあがっている。強誘電
性液晶セルはメモリー性があるため、低消費電力である
という利点がある。
【0063】なお、駆動用液晶セルとしては、以上述べ
た三つのセルとは異なる他方式の駆動用液晶セルも使用
可能であり、例えばSTN(Super Twisted Nematic)セル、
VA(Vertical Aligned)セル、SH(Super Homeotropic)セ
ル、反強誘電性液晶セルなども使用可能である。また視
野角の改良を目的に、規則正しい配向分割を施したり、
ランダムな配向分割を行った改良型のセルも使用可能で
ある。駆動方式で言えば、単純マトリックス方式、TFT
(Thin Film Transistor)電極やMIM(Metal Insulator Me
tal)電極などを用いたアクティブマトリックス方式、セ
ルの面内方向に駆動電圧を印加するIPS(In-Plane Switc
hing)方式などを採用できる。ただし先に述べたよう
に、本発明では複数の微細な画素を設ける必要は必ずし
もない。単一画素で使用する場合、上下の電極基板はい
ずれもマトリックスを有しない単一構造のものでよく、
電圧の印加は、時分割駆動などの複雑な方法を必要とせ
ず、単に所定の交流電圧を印加するいわゆるスタティッ
ク駆動でよい。この場合、画面を複数の画素に分割した
場合の開口率の低下が起こらないので明るい表示が得ら
れるという特徴がある。さらには、セルの電極基板の製
造コストや駆動ドライバのコストの点からも優れてい
る。単一でなくても数個から数十個程度の画素数であれ
ばやはり同様に、明るさとコストの点で好ましい表示素
子とすることができる。より具体的には、本発明におい
て採用される画素数は、表示素子の大きさにもよるので
一概には言えないが、通常1000以下、より好ましく
は100以下、さらに好ましくは10以下、最も好まし
いのは1である。一つの画素のサイズとしては、特に制
限はないが、好ましくは1mm角以上、より好ましくは
5mm角以上、さらに好ましくは1cm角以上である。
【0064】本発明で使用する各部材はそのまま積み重
ねることによって液晶表示素子として機能するが、各層
間を必要に応じ粘着剤や接着剤で貼り合わせて使用して
も良い。また見栄えを調整するために、レンズフィルム
や拡散フィルムを併用することももちろん可能である。
また偏光板内部や表面に、屋外での使用に耐えるよう
に、紫外線吸収能や反射能をもたせることも可能であ
る。さらには、バックライトシステムやフロントライト
システムを組み込み、暗所など十分な外光を利用できな
いときに、補助的に光源として用いることも可能であ
る。また屋外での表示に用いる場合、本発明の表示素子
のそばに、照明器具を設置しても良い。
【0065】以下実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0066】
【実施例】表1に示すような透過スペクトル挙動を示す
コレステリックフィルムを作製した。
【0067】
【表1】
【0068】これらのフィルムのうちフィルム1R、2
L、5Lはそれぞれ、図1(a)に示したような構造体
として得られ、フィルム3R、4Lはそれぞれ、図1
(b)に示したような構造体として得られた。図1
(a)において、符号1はコレステリック液晶層、2は
接着剤層及び3はトリアセチルセルロースフィルムを示
す。図1(b)において、符号4はコレステリック液晶
層、5はポリビニルアルコール層及び6はトリアセチル
セルロースフィルムを示す。これらのフィルムを加工し
て、以下の実施例で使用した。なお、トリアセチルセル
ロースフィルム3,6は、支持基板として用いられるも
のであり、トリアセチルセルロースフィルム3,6とし
ては、商品名富士写真フィルム(株)製フジタックで厚
さ80μmのものを使用した。
【0069】(実施例1)偏光板(サンリッツ(株)製
HLC25618)7、電界制御複屈折型の駆動用液晶セル(E
CBセル)8、液晶性ポリエステルを配向させガラス固
定化して得たフィルム1R、液晶性ポリエステルを配向
させガラス固定化して得たフィルム2L、及び光吸収層
9を順次配列し、図2のような反射型液晶表示素子を作
製した。なお、図2中、フィルム1R及びフィルム2L
の周りの2点鎖線は図を見やすくするためのものであ
り、実際にはこのような境界線を有する部材は存在しな
い。ここで、緑色のコレステリックフィルム1Rとして
は、歩いている人の形に切り抜いたものを用いた。赤色
のコレステリックフィルム2Lとしては、静止している
人の形に切り抜いたものを用いた。
【0070】電界制御複屈折型の駆動用液晶セル8は以
下のようにして作製した。ITO電極膜を有する厚さ
1.1mmで30cm角のホウ珪酸ガラスを2枚用意
し、2枚のガラスのそれぞれのITO電極膜上にポリイ
ミド膜を形成し、2枚のガラスのそれぞれのポリイミド
膜表面をラビングしてセルの電極基板を用意した。ラビ
ング方向10、10’は互いに反平行になるようにし
た。こうして得られた2枚の電極基板の間に、メルク社
製の低分子液晶ZLI−4792を挟み液晶セル8を得た。
得られた液晶セル8は、電圧無印加時の状態で、正面か
ら観察したときリターデーションが440nmであった。ま
た電圧印加時にはセル8のリターデーションが140nmに
なるように電圧を調整した。偏光板7の透過軸11と液
晶セル8のみかけの遅相軸(電極基板のラビング方向1
0、10’に対応)とのなす角度は45度となるように
した。
【0071】光吸収層9としては、カーボンブラックを
分散させて黒色とした厚さ150μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムを用いた。
【0072】こうして得られた反射型液晶表示素子にお
いては、電圧無印加時には、フィルム2L由来の赤色の
静止している人の形が見え、所定の電圧を印加したとき
はフィルム1R由来の緑色の歩いている人の形が見え
た。このような反射型表示装置は道路交通用の信号機と
して利用可能であった。
【0073】(実施例2)偏光板(サンリッツ(株)製
HLC25618)7、駆動用TN液晶セル8、λ/4波長板1
2、液晶性ポリエステルを配向させガラス固定化して得
たフィルム1R、液晶性ポリエステルを配向させガラス
固定化して得たフィルム2L、重合性液層組成物の光架
橋により得たフィルム3R及び重合性液層組成物の光架
橋により得たらせんピッチがグラジエントを有するフィ
ルム4L、及び光吸収層9を使用して、図3のような反
射型液晶表示素子を作製した。なお、図3中、フィルム
1R、2L、3R及び4Lの周りの2点鎖線は図を見や
すくするためのものであり、実際にはこのような境界線
を有する部材は存在しない。
【0074】駆動用TN液晶セル8は以下のようにして作
製した。図3中に示したような二つの領域からなるIT
O電極膜A(又はA’)及びB(又はB’)を有する厚
さ1.1mmで30cm角のホウ珪酸ガラスを2枚用意
し、2枚のガラスのそれぞれのITO電極膜A,B上の
全体にポリイミド膜を形成し、2枚のガラスのそれぞれ
のポリイミド膜表面をラビングしてセル8の電極基板を
用意した。ラビング方向10、10’は図3中に示した
ように互いに直交するようにした。こうして得られた2
枚の電極基板の間に、メルク社製の低分子液晶ZLI−
4792を挟み液晶セルを得た。得られた液晶セル8は、電
圧無印加時の状態で、正面から観察したときリターデー
ションが490nmであった。また6.5Vの交流電圧
を印加した時、面内リターデーションはほぼなくなっ
た。
【0075】λ/4波長板12はポリカーボネートフィ
ルムを延伸して得た。リターデーションは約140nmであ
った。λ/4波長板12とTN液晶セル8は、λ/4波
長板12に近い側の電極基板のラビング方向10’とλ
/4波長板12の遅相軸13の方向とのなす角度の絶対
値が約45度になるように配置した。
【0076】フィルム4Lとしては「CLOSE」という5
つの文字部品からなるものを用い、フィルム4Lは、光
吸収層フィルム9に粘着剤を介して貼り合わせた。その
上に、「OPEN」という文字に切り抜いた4つの部品から
なるフィルム3Rを、粘着剤を介して貼り合わせた。フ
ィルム4L及びフィルム3Rは反射表示素子を組み上げ
偏光板1側から真っ直ぐ見た時、ITO電極BまたはB'の内
側に収まるようにした。
【0077】フィルム2Lとしては「WORLD」という5
つの部品からなるものを用い、フィルム2Lは、光吸収
層フィルム9の上に粘着剤を介して貼り合わせた。その
上に、「HELLO」という文字に切り抜いた5つの部品から
なるフィルム1Rを、粘着剤を介して貼り合わせた。フ
ィルム2L及びフィルム1Rは反射表示素子を組み上げ
偏光板1側から真っ直ぐ見た時、ITO電極AまたはA'の内
側に収まるようにした。
【0078】こうして得られた反射型液晶ディスプレー
は、まず、ITO電極AとA'で与えられる画素に関しては、
電圧無印加時に赤色の「WORLD」という表示になり、6.5
V印加したときは緑色の「HELLO」という表示が得られ
た。また、ITO電極BとB'で与えられる画素に関しては、
電圧無印加時に白色の「CLOSE」という表示になり、6.5
V印加したときは青色の「OPEN」という表示が得られ
た。このように2つの画素の印加電圧の組み合わせによ
り4通りの文字情報を表示することができた。また表示
された文字は鮮やかな色がついているため、視認性、意
匠性に大変優れていた。「HELLO」の表示と「WORLD」の
表示は約2秒おきに切り替え、「OPEN」という表示と
「CLOSE」という表示は、店舗の営業時間に合わせてい
ずれかの表示状態に保持することにより、店舗用の案内
板として利用できた。
【0079】(実施例3)偏光板7、駆動用の強誘電性
液晶セル8、フィルム1R、液晶性ポリエステルを配向
させガラス固定化して得たフィルム5L、及び光吸収層
9を使用して、図4のような反射型液晶表示素子を作製
した。偏光板7及び光吸収層9は、実施例1と同様のも
のを用いた。なお、図4中、フィルム1R及び5Lの周
りの2点鎖線は図を見やすくするためのものであり、実
際にはこのような境界線を有する部材は存在しない。
【0080】駆動用強誘電性液晶セル8は単一の画素を
有しており印加直流電圧の極性の反転操作によりスイッ
チングができ、安定な2状態間でダイレクター方位1
4,14’は互いに約60度異なっていた。セル8の正面
でリターデーション値は135nmであった。なお、セル8
の2枚の電極基板のラビング方向10、10’は平行に
し、偏光板7の透過軸13もこれらに平行になるように
した。
【0081】光吸収層9の表面には、白いマジック(ゼ
ブラ(株)製 ホワイトマッキー WM-UM)で「ROUTE」と
いう文字を書いた。フィルム1R及び5Lは矢印の形に
切り抜いた。フィルム5Lを「ROUTE」という文字から
ずらして、粘着剤を用いて光吸収層9に貼り合わせ、そ
の上にフィルム1Rを、5Lとは矢印の向きが反対にな
るように、粘着剤を用いて貼り合わせた。
【0082】その結果、セルに印加する直流電圧の向き
により矢印の方向が切り替わるような反射型液晶表示素
子を得ることができた。このような装置は、美術館や観
光地の案内板として利用できた。
【0083】(実施例4)実施例1に対しコレステリッ
クフィルム1R及び2Lの形状を変えた以外は実施例1
と同様にして反射型液晶ディスプレーを作製した。コレ
ステリックフィルム1R及び2Lは直径20cmの円の形に
切り、完全に重なるように貼り合わせた。実施例1と同
じ条件で電圧を印加したところ、赤色の円と緑色の円の
表示が行えた。これらとは中間的な電圧を印加したとき
には両者の混じり合った黄色い円の表示が行えた。この
ように緑、赤、黄の3色が切り替え可能であり、このよ
うな反射型表示装置は、道路交通用の信号機として利用
可能と考えられる。
【0084】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の液晶表示素
子を用いたディスプレーは表示の視認性が高く、かつ意
匠性に富んでおり、表示素子としての利用価値はきわめ
て高い。また、特定波長域の光を選択的に反射するコレ
ステリックフィルムが用いられるので、カラー表示が可
能である。更に、画素数を従来の表示素子に比べ著しく
少なくすることができ、特に画素を単一にすることもで
きることから開口率が高く、明るい表示を実現すること
ができる。また、液晶セルも含めて部材のパラメーター
のマージンが広く、液晶セルの電極構造を単純にできる
ため製造上の利点も大きい。このようなことから、本発
明は工業的な観点からきわめて意義が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4で用いたコレステリックフィルム
を有する構造体を示す断面図である。
【図2】実施例1で用いた反射型液晶表示素子の構成を
示す斜視図である。
【図3】実施例2で用いた反射型液晶表示素子の構成を
示す斜視図である。
【図4】実施例3で用いた反射型液晶表示素子の構成を
示す斜視図である。
【符号の説明】
7…偏光板 8…駆動用液晶セル 9…光吸収層 10、10’…セルの電極基板のラビング方向 11…偏光板の透過軸 12…波長板 13…波長板の遅相軸方向 14、14’…ダイレクターの方位 1R…フィルム1R 2L…フィルム2L 3R…フィルム3R 4L…フィルム4L 5L…フィルム5L A、B、A'、B'…ITO電極
フロントページの続き Fターム(参考) 2H091 FA08X FA14Y FA14Z FA34Z FD04 FD06 GA03 GA06 HA07 LA15 LA16 5G435 AA04 BB12 BB16 CC09 CC12 FF03 FF15 HH01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の若しくは複数に分割された画素を
    有し電界により駆動可能な液晶セルと、該液晶セルの一
    方の側に設置される偏光板と、前記液晶セルの他方の側
    に設置される複数枚のコレステリックフィルムとを少な
    くとも有し、前記コレステリックフィルムは特定波長域
    の光の選択反射に寄与し且つ所定情報の形状をなす選択
    反射寄与部を有し、前記複数枚のコレステリックフィル
    ムのうち少なくとも1枚は右ねじれのらせん構造を有
    し、少なくとも1枚は左ねじれのらせん構造を有するこ
    とを特徴とする反射型液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記コレステリックフィルムの前記液晶
    セルと反対の側に設置され、全てのコレステリックフィ
    ルムの選択反射波長帯域のうち、全てもしくは大部分の
    波長の光に対する吸収能を有する光吸収層を更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶表示素
    子。
  3. 【請求項3】 前記コレステリックフィルムの前記選択
    反射寄与部が前記画素に対応して設置されていることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の反射型液晶表示素
    子。
  4. 【請求項4】 右ねじれのらせん構造を有する前記コレ
    ステリックフィルムのうち少なくとも1枚のコレステリ
    ックフィルムの選択反射の中心波長と、左ねじれのらせ
    ん構造を有する前記コレステリックフィルムのうち少な
    くとも1枚のコレステリックフィルムの選択反射の中心
    波長とが異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か一項に記載の反射型液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 右ねじれのらせん構造を有する前記コレ
    ステリックフィルムのうち少なくとも1枚のコレステリ
    ックフィルムの前記選択反射寄与部と、左ねじれのらせ
    ん構造を有する前記コレステリックフィルムのうち少な
    くとも1枚のコレステリックフィルムの前記選択反射寄
    与部とが互いに異なる形状となっていることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射型液晶表示
    素子。
  6. 【請求項6】 右ねじれのらせん構造を有するコレステ
    リックフィルムのうち少なくとも1枚のコレステリック
    フィルムと、左ねじれのらせん構造を有するコレステリ
    ックフィルムのうち少なくとも1枚のコレステリックフ
    ィルムとが、前記偏光板から前記光吸収層の方に向かっ
    て見たときに互いに重なり合わないように配置されてい
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載
    の反射型液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記液晶セルが単一の画素を有し、2種
    類の文字情報または図形情報に切り替えて表示すること
    が可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    一項に記載の反射型液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 前記液晶セルがねじれた液晶構造を持た
    ないセルであり、前記液晶セルは、リターデーション値
    として、右ねじれ又は左ねじれのらせん構造を有するコ
    レステリックフィルムの選択反射中心波長の略1/4の
    値と、前記コレステリックフィルムのらせん構造と反対
    方向のらせん構造を有するコレステリックフィルムの選
    択反射中心波長の略3/4の値とを少なくともとること
    が可能となっていることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか一項に記載の反射型液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 前記液晶セルがツイステッドネマチック
    セルであり、前記液晶セルと前記コレステリックフィル
    ムとの間に、複数枚のコレステリックフィルムの選択反
    射の中心波長の平均値の略1/4のリターデーションを
    有するリターダーを更に有することを特徴とする請求項
    1〜7のいずれか一項に記載の反射型液晶表示素子。
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JP2004302294A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Fujitsu Display Technologies Corp 液晶表示装置
KR101067000B1 (ko) 2009-03-18 2011-09-22 이은희 움직이는 화상을 표시하는 액정 표시 장치

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