JP2000313726A - フッ素化合物を導入した形状記憶ハイドロゲル - Google Patents

フッ素化合物を導入した形状記憶ハイドロゲル

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JP2000313726A
JP2000313726A JP11122720A JP12272099A JP2000313726A JP 2000313726 A JP2000313726 A JP 2000313726A JP 11122720 A JP11122720 A JP 11122720A JP 12272099 A JP12272099 A JP 12272099A JP 2000313726 A JP2000313726 A JP 2000313726A
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義仁 長田
Chenpin Gun
チェンピン グン
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達雄 金子
Atsushi Matsuda
篤 松田
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/10Esters
    • C08F220/22Esters containing halogen

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間に形状を完全に元の形に回復させ、転
移温度を任意に設定でき、転移温度に幅が無い形状記憶
ハイドロゲルを提供する。 【解決手段】 結晶性モノマーを一成分、二種類の非結
晶性モノマーの内、フルオロアルキル(メタ)アクリレ
ートを一成分とし、適当な架橋剤を共存させ重合するこ
とにより、形状回復速度が速く、完全に元の形まで回復
し、転移温度を任意に設定できる形状記憶ハイドロゲ
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、温度変化によって剛
体−柔軟体に可逆的に変化し、かつ形状記憶特性を生か
した弁、緩衝剤、クッション、叙放性担体、DDS、ス
イッチ、センサーなどに関するものである。
【0002】
【従来の技術】 高分子ゲルとは、三次元網目高分子が
溶媒で膨潤した物質である。この溶媒が水の場合には特
にハイドロゲルといわれ、吸収剤、土壌処理剤、薬物の
担体など広く用いられている。(詳しくは、長田・伏見
・荻野・山内著「ゲル」<産業図書>参照)。従来より
感熱性高分子ゲルとして、ポリメチルビニルエーテル、
ポリNアルキルアクリルアミド、セルロース誘導体等が
知られているが、これらはいずれも特定の温度において
膨潤・収縮など、体積変化を行うものの力学特性、特に
その弾性率を大きく、しかも可逆的に変える機能は有し
ていなかった。又、形状記憶性高分子としては、ノルボ
ルネン系ポリマー成形体(特開昭59−53528号公
報)、トランス−1,4−ポリイソプレン樹脂を主成分
とする組成物(特開昭62−192440号公報)、ポ
リスチレン・ポリブタジエン結晶性ブロック共重合体
(特開昭63−179955号公報)、形状記憶ポリウ
レタンエラストマー成形体(特開平02−92914号
公報)、メチルメタクリレート・エチルメタクリレート
共重合体(特開平02−232212号公報)等が知ら
れているが、これらはすべてガラス転移温度を利用して
いるために、転移の温度幅が広いだけでなく、ゲル特有
の親水性、生体適合性、吸水性といった特性を有してい
ない。本件は結晶性の疎水性基をゲル中に成分として含
む高分子ハイドロゲルを合成することにより、特定の温
度で可逆的に剛体(高弾性率)−柔軟体(低弾性率)特
性変化を示し、かつ形状記憶性を有するハイドロゲルに
関する。
【0003】 これまでに発表されている形状記憶ハイ
ドロゲル(特開平7−292040、特開平7−299
089、特開平9−235329)は吸水性を持つと同
時に十分な力学的強度を持っているものの、形状を回復
するとき完全に元の形に戻らない、形状回復速度が遅
い、転移温度が不変で制御できないという問題点があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の課題はこれ
まで報告されている形状記憶ハイドロゲルの非結晶性モ
ノマーとして親水性モノマーと疎水性のフルオロアルキ
ルアクリレートモノマーを適当な架橋剤存在下で共重合
することにより、従来の形状記憶ハイドロゲルの特徴
(結晶構造を有し、転移温度に幅がなく、特定温度で高
弾性率−低弾性率に変化する。)を有すると同時に、以
前の形状記憶ハイドロゲルの問題点(形状を回復すると
き完全に元の形に戻らない、形状回復速度が遅い、転移
温度が不変で制御できない)を克服する事である。本発
明の形状記憶ハイドロゲルは耐久性に優れ、繰り返しの
変形による永久歪みが起こらず、転移温度を任意に設計
でき、刺激に対する応答速度が速いという特徴を持つ形
状記憶ハイドロゲルをフルオロアルキルアクリレートモ
ノマーを共重合させるという簡易な方法で、容易に改良
することができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】 ゲル中の結晶性の疎水
性モノマーは長鎖アルキル基、フェニル基、ナフチル基
等の芳香族化合物、シクロアルカン等の疎水性を分子中
に有するものならばいずれでも良い。しかし、ハイドロ
ゲルとしての吸水特性を与えるため、親水性基、例えば
カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシル基等
を有する親水性モノマーを導入する必要がある。また、
ゲルの転移温度や力学特性を改善(形状記憶性、耐久
性、応答速度)するために、非結晶性のフルオロアルキ
ルアクリレートモノマーを導入する必要がある。ゲルの
転移現象はこれら結晶性疎水性基の結晶構造−非晶構造
転移に基づくもので、結晶状態では一般に高い弾性率
を、非晶状態では低い弾性率を示す。転移温度は結晶性
基の化学構造に基づく分子間凝集エネルギーや結晶構造
によって決まるのでフルオロアルキルアクリレートモノ
マーの含有量を変えることで自由に制御する事ができ
る。結晶性モノマーの含量を一定にしたとき、非結晶性
疎水性モノマーの含量を増やしていくと、転移温度は低
くなる。
【0006】 このような構造を持つハイドロゲルは低
温下では、結晶構造を持っているため、107〜108
Pa程度の高い弾性率を示し、プラスチック同様の力学
特性と強固な形状維持能力を示す。しかし、昇温して転
移をするとこのゲルは著しく軟化し、その弾性率も10
4〜105Paになり、外部応力により自由に変形でき
る。従って、重合時に適当な架橋剤を共存させて特定の
形状に成形し、ついで転移温度以上で柔軟化させた後、
適当に応力を加えることによって変形させ、そのまま転
移温度以下に冷却すれば変形状態でその形状を固定でき
る。再びもとの重合時の形に復元したい場合には、再度
転移点以上に加熱すればこのゲルは重合時の形状に自動
的、かつ完全に復帰するため、形状記憶特性を示してい
る。架橋剤によって三次元網目構造を持つゲルにする目
的は転移して軟化した後でもゲルの形状維持を付与する
ことである。重合はラジカル重合法、放射線重合法と特
に限定するものではないが適当な溶媒中、特にエタノー
ル、メタノール等の極性有機溶媒中でラジカル重合する
のが簡便である。
【0007】 本発明の形状記憶ハイドロゲルは使用に
際して、必要に応じて充填剤、補強剤、軟化剤、可塑
剤、相溶化剤、結晶化剤、紫外線吸収剤、カーボンブラ
ック等の導電性粒子、顔料、染料、粘着付与樹脂等のゴ
ム、プラスチック配合剤を配合しても良い。
【0008】 本発明の形状記憶ハイドロゲルはその形
状または肉厚に応じて素手、工具或いは圧縮成型機等の
装置を用いて所望とする第2の形に変形させて用いられ
る。変形させる際の温度は、該形状記憶ハイドロゲルが
容易に変形し、かつ変形時に亀裂を生じさせない温度で
あればよい。一般的には形状記憶材料の秩序−無秩序転
移温度以上の温度が望ましい。変形温度が前記転移温度
以上である場合には変形後前記転移温度以下に急冷し、
変形を固定することが望ましい。このようにして得られ
た形状記憶材料は秩序−無秩序転移温度以上で容易に当
初の形状に戻すことができる。
【0009】 本発明の材料により得られる形状記憶ハ
イドロゲルは、一旦変形させたハイドロゲルを所定の形
状まで回復しうる。さらに溶媒で膨潤させた場合には、
転移温度前後で叙放性を制御する事ができる。具体的に
は、パイプや電線等の接合部の接合材やシール材、パイ
プや棒状物体の内壁、外部ラミネート材、スプリント
材、各種固定材、衝撃吸収材、玩具用部材、文具材、教
材、装飾品材、医療用患部固定材、医療用薬剤カプセ
ル、スポーツ用プロテクター材、人形、造花、型取り
材、かつら用頭部型取り材、歯形型取り材、解凍表示
材、温度センサー、人工弁、印刷製版材料、曲面印刷材
料、記録材料、表示材料、徐放性材料等に使用すること
ができる。さらに、他の機能材料、圧電体、導電性高分
子と複合化しても良い。
【0010】
【実施例】 以下実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。
【0011】 実施例1 アクリル酸ステアリル0.3モル、アクリル酸0.9モ
ル、0.0012モルのN、N’−メチレンビスアクリ
ルアミドを架橋剤として、0.0012モルのアゾビス
イソブチロニトリルを重合開始剤としてエチルアルコー
ル中に溶解し、全容量を400mlとした。これをガラ
ス板上でラジカル重合し、厚さ2mmの薄板上白色重合
体を得た。この重合体を多量の水中に浸漬し水置換して
得られたハイドロゲルは自重の38%の水を含んでい
た。このゲルの転移温度をDSCで測定したところ、5
2℃で融解することがわかった。融解前の試料の広角X
線回折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造を示す
ラウエパターンが観察された。また、融解前の試料の小
角X線回折パターンを観察したところ膨潤状態では5.
38nm、乾燥状態では4.73nmの長周期構造を持
っていることがわかった。このゲルの弾性率を測定した
ところ 1.0×107Paであった。融解したときの
弾性率は1.9×105Paであった。 このゲルを歪
み1までのサイクルの引っ張り試験を行ったところ、1
サイクル目では45%の永久歪みを示し、2サイクル目
では永久歪みが55%になった。このゲルの破断歪みを
測定したところ、自身の長さの9倍まで伸び、破断応力
は15000Paであった。
【0012】 実施例2 実施例1においてアクリル酸ステアリル0.25モル、
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート0.15
モル、アクリル酸0.6モルの比率で重合して同様のゲ
ルを得た。この重合体を多量の水中に浸漬し水置換して
得られたハイドロゲルは自重の18%の水を含んでい
た。このゲルの転移温度をDSCで測定したところ、4
8℃で融解することがわかった。融解前の試料の広角X
線回折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造を示す
ラウエパターンが観察された。また、融解前の試料の小
角X線回折パターンを観察したところ膨潤状態では5.
09nm、乾燥状態では4.69nmの長周期構造を持
っていることがわかった。このゲルの弾性率を測定した
ところ 1.1×107Paであった。融解したときの
弾性率は1.3×105Paであった。このゲルを歪み
1までのサイクルの引っ張り試験を行ったところ、1サ
イクル目では25%の永久歪みを示し、2サイクル目で
も永久歪みが25%と変化がなかった。このゲルの破断
歪みを測定したところ、自身の長さの3倍まで伸び、破
断応力は73000Paであった。
【0013】 実施例3 実施例1においてアクリル酸ステアリル0.25モル、
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート0.3モ
ル、アクリル酸0.45モルの比率で重合して同様のゲ
ルを得た。この重合体を多量の水中に浸漬し水置換して
得られたハイドロゲルは自重の6%の水を含んでいた。
このゲルの転移温度をDSCで測定したところ、46℃
で融解することがわかった。融解前の試料の広角X線回
折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造を示すラウ
エパターンが観察された。また、融解前の試料の小角X
線回折パターンを観察したところ膨潤状態では4.74
nmの長周期構造を持っており、乾燥状態では長周期構
造を持っていないことがわかった。このゲルの弾性率を
測定したところ 1.2×107Paであった。融解し
たときの弾性率は1.0×105Paであった。このゲ
ルを歪み1までのサイクルの引っ張り試験を行ったとこ
ろ、1サイクル目でも2サイクル目でも永久歪みは見ら
れなかった。このゲルの破断歪みを測定したところ、自
身の長さの2.4倍まで伸び、破断応力は51000P
aであった。
【0014】 実施例4 実施例1においてアクリル酸ステアリル0.25モル、
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート0.45
モル、アクリル酸0.3モルの比率で重合して同様のゲ
ルを得た。この重合体を多量の水中に浸漬し水置換して
得られたハイドロゲルは自重の6%の水を含んでいた。
このゲルの転移温度をDSCで測定したところ、42℃
で融解することがわかった。融解前の試料の広角X線回
折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造を示すラウ
エパターンが観察された。また、融解前の試料の小角X
線回折パターンを観察したところ膨潤状態では4.58
nmの長周期構造を持っており、乾燥状態では長周期構
造を持っていないことがわかった。このゲルの弾性率を
測定したところ 9.5×106Paであった。融解し
たときの弾性率は1.1×10Paであった。このゲル
を歪み1までのサイクルの引っ張り試験を行ったとこ
ろ、1サイクル目でも2サイクル目でも永久歪みは見ら
れなかった。このゲルの破断歪みを測定したところ、自
身の長さの2.4倍まで伸び、破断応力は31000P
aであった。
【0015】 実施例5 実施例1においてアクリル酸ステアリル0.25モル、
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート0.6モ
ル、アクリル酸0.15モルの比率で重合して同様のゲ
ルを得た。この重合体を多量の水中に浸漬し水置換して
得られたハイドロゲルは自重の5%の水を含んでいた。
このゲルの転移温度をDSCで測定したところ、40℃
で融解することがわかった。融解前の試料の広角X線回
折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造を示すラウ
エパターンが観察された。また、融解前の試料の小角X
線回折パターンを観察したところゲルの含水状態に関わ
らず長周期構造を持っていないことがわかった。このゲ
ルの弾性率を測定したところ 1.6×107Paであ
った。融解したときの弾性率は1.1×105Paであ
った。このゲルを歪み0.7までのサイクルの引っ張り
試験を行ったところ、1サイクル目でも2サイクル目で
も永久歪みは見られなかった。このゲルの破断歪みを測
定したところ、自身の長さの1.9倍まで伸び、破断応
力は28000Paであった。
【0016】 実施例6 実施例1においてアクリル酸ステアリル0.25モル、
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート0.75
モルの比率で重合して同様のゲルを得た。この重合体を
多量の水中に浸漬し水置換して得られたハイドロゲルは
自重の5%の水を含んでいた。このゲルの転移温度をD
SCで測定したところ、39℃で融解することがわかっ
た。融解前の試料の広角X線回折像を取ったところ、
0.4nmの結晶構造を示すラウエパターンが観察され
た。また、融解前の試料の小角X線回折パターンを観察
したところゲルの含水状態に関わらず長周期構造を持っ
ていないことがわかった。このゲルの弾性率を測定した
ところ 9.6×106Paであった。融解したときの
弾性率は7.5×104Paであった。このゲルを歪み
0.5までのサイクルの引っ張り試験を行ったところ、
1サイクル目でも2サイクル目でも永久歪みは見られな
かった。このゲルの破断歪みを測定したところ、自身の
長さの1.7倍まで伸び、破断応力は13000Paで
あった。
【0017】 実施例7 アクリル酸ステアリル0.3モル、1,1,1−トリフ
ルオロメチルアクリレート0.45モル、アクリル酸
0.45モル、0.0012モルのN、N’−メチレン
ビスアクリルアミドを架橋剤として、0.0012モル
のアゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤としてエチ
ルアルコール中に溶解し、全容量を400mlとした。
これをガラス板上でラジカル重合し、厚さ2mmの薄板
上白色重合体を得た。この重合体を多量の水中に浸漬し
水置換して得られたハイドロゲルは自重の10%の水を
含んでいた。このゲルの転移温度をDSCで測定したと
ころ、43℃で融解することがわかった。融解前の試料
の広角X線回折像を取ったところ、0.4nmの結晶構
造を示すラウエパターンが観察された。また、融解前の
試料の小角X線回折パターンを観察したところ膨潤状態
では4.68nmの長周期構造を持っており、乾燥状態
では長周期構造を持っていないことがわかった。このゲ
ルの弾性率を測定したところ 1.1×107Paであ
った。融解したときの弾性率は1.3×105Paであ
った。このゲルを歪み1までのサイクルの引っ張り試験
を行ったところ、1サイクル目でも2サイクル目でも永
久歪みは見られなかった。このゲルの破断歪みを測定し
たところ、自身の長さの2.2倍まで伸び、破断応力は
45000Paであった。
【0018】 実施例8 アクリル酸ステアリル0.3モル、3,3−ジフルオロ
ブチルアクリレート0.45モル、アクリル酸0.45
モル、0.0012モルのN、N’−メチレンビスアク
リルアミドを架橋剤として、0.0012モルのアゾビ
スイソブチロニトリルを重合開始剤としてエチルアルコ
ール中に溶解し、全容量を400mlとした。これをガ
ラス板上でラジカル重合し、厚さ2mmの薄板上白色重
合体を得た。この重合体を多量の水中に浸漬し水置換し
て得られたハイドロゲルは自重の4%の水を含んでい
た。このゲルの転移温度をDSCで測定したところ、4
5℃で融解することがわかった。融解前の試料の広角X
線回折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造を示す
ラウエパターンが観察された。また、融解前の試料の小
角X線回折パターンを観察したところ膨潤状態では4.
65nmの長周期構造を持っており、乾燥状態では長周
期構造を持っていないことがわかった。このゲルの弾性
率を測定したところ 1.7×107Paであった。融
解したときの弾性率は2.3×105Paであった。こ
のゲルを歪み1までのサイクルの引っ張り試験を行った
ところ、1サイクル目でも2サイクル目でも永久歪みは
見られなかった。このゲルの破断歪みを測定したとこ
ろ、自身の長さの2.1倍まで伸び、破断応力は420
00Paであった。
【0019】 実施例9 アクリル酸ステアリル0.3モル、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルアクリレート0.45モル、アクリル酸
0.45モル、0.0012モルのN、N’−メチレン
ビスアクリルアミドを架橋剤として、0.0012モル
のアゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤としてエチ
ルアルコール中に溶解し、全容量を400mlとした。
これをガラス板上でラジカル重合し、厚さ2mmの薄板
上白色重合体を得た。この重合体を多量の水中に浸漬し
水置換して得られたハイドロゲルは自重の5%の水を含
んでいた。このゲルの転移温度をDSCで測定したとこ
ろ、44℃で融解することがわかった。融解前の試料の
広角X線回折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造
を示すラウエパターンが観察された。また、融解前の試
料の小角X線回折パターンを観察したところ膨潤状態で
は4.64nmの長周期構造を持っており、乾燥状態で
は長周期構造を持っていないことがわかった。このゲル
の弾性率を測定したところ 1.0×107Paであっ
た。融解したときの弾性率は1.9×105Paであっ
た。このゲルを歪み1までのサイクルの引っ張り試験を
行ったところ、1サイクル目でも2サイクル目でも永久
歪みは見られなかった。このゲルの破断歪みを測定した
ところ、自身の長さの2.3倍まで伸び、破断応力は4
5000Paであった。
【0020】 実施例10 アクリル酸ステアリル0.3モル、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルアクリレート0.45モル、1−アクリ
ロイル−2−エチルピリジニウムブロマイド0.45モ
ル、0.0012モルのN、N’−メチレンビスアクリ
ルアミドを架橋剤として、0.0012モルのアゾビス
イソブチロニトリルを重合開始剤としてエチルアルコー
ル中に溶解し、全容量を400mlとした。これをガラ
ス板上でラジカル重合し、厚さ2mmの薄板上白色重合
体を得た。この重合体を多量の水中に浸漬し水置換して
得られたハイドロゲルは自重の9%の水を含んでいた。
このゲルの転移温度をDSCで測定したところ、43℃
で融解することがわかった。融解前の試料の広角X線回
折像を取ったところ、0.4nmの結晶構造を示すラウ
エパターンが観察された。また、融解前の試料の小角X
線回折パターンを観察したところ膨潤状態では4.60
nmの長周期構造を持っており、乾燥状態では長周期構
造を持っていないことがわかった。このゲルの弾性率を
測定したところ 1.1×107Paであった。融解し
たときの弾性率は1.2×105Paであった。このゲ
ルを歪み1までのサイクルの引っ張り試験を行ったとこ
ろ、1サイクル目でも2サイクル目でも永久歪みは見ら
れなかった。このゲルの破断歪みを測定したところ、自
身の長さの2.3倍まで伸び、破断応力は40000P
aであった。
【0021】 実施例11 アクリル酸ステアリル0.3モル、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルアクリレート0.45モル、メタクリル
酸0.45モル、0.0012モルのN、N’−メチレ
ンビスアクリルアミドを架橋剤として、0.0012モ
ルのアゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤としてエ
チルアルコール中に溶解し、全容量を400mlとし
た。これをガラス板上でラジカル重合し、厚さ2mmの
薄板上白色重合体を得た。この重合体を多量の水中に浸
漬し水置換して得られたハイドロゲルは自重の6%の水
を含んでいた。このゲルの転移温度をDSCで測定した
ところ、44℃で融解することがわかった。融解前の試
料の広角X線回折像を取ったところ、0.4nmの結晶
構造を示すラウエパターンが観察された。また、融解前
の試料の小角X線回折パターンを観察したところ膨潤状
態では4.63nmの長周期構造を持っており、乾燥状
態では長周期構造を持っていないことがわかった。この
ゲルの弾性率を測定したところ 1.3×107Paで
あった。融解したときの弾性率は1.5×105Paで
あった。このゲルを歪み1までのサイクルの引っ張り試
験を行ったところ、1サイクル目でも2サイクル目でも
永久歪みは見られなかった。このゲルの破断歪みを測定
したところ、自身の長さの2.7倍まで伸び、破断応力
は38000Paであった。
【0022】 実施例12 アクリル酸ステアリル0.3モル、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルメタクリレート0.45モル、アクリル
酸0.45モル、0.0012モルのN、N’−メチレ
ンビスアクリルアミドを架橋剤として、0.0012モ
ルのアゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤としてエ
チルアルコール中に溶解し、全容量を400mlとし
た。これをガラス板上でラジカル重合し、厚さ2mmの
薄板上白色重合体を得た。この重合体を多量の水中に浸
漬し水置換して得られたハイドロゲルは自重の6%の水
を含んでいた。このゲルの転移温度をDSCで測定した
ところ、44℃で融解することがわかった。融解前の試
料の広角X線回折像を取ったところ、0.4nmの結晶
構造を示すラウエパターンが観察された。また、融解前
の試料の小角X線回折パターンを観察したところ膨潤状
態では4.63nmの長周期構造を持っており、乾燥状
態では長周期構造を持っていないことがわかった。この
ゲルの弾性率を測定したところ 1.3×107Paで
あった。融解したときの弾性率は1.5×105Paで
あった。このゲルを歪み1までのサイクルの引っ張り試
験を行ったところ、1サイクル目でも2サイクル目でも
永久歪みは見られなかった。このゲルの破断歪みを測定
したところ、自身の長さの2.6倍まで伸び、破断応力
は45000Paであった。
【0023】 実施例13 実施例1〜12のゲルを内径2mm、長さ20cmのガ
ラス管内で重合し、それらの棒状のハイドロゲルを得
た。これを60℃の湯浴中で軟化後、力を加えてコイル
状に変形させたまま、冷却したところ変形されたままの
形で固定された。次にもう一度コイル状のゲルを60℃
の湯浴中に浸けたところ、全てのハイドロゲルは合成し
たときの棒状の形状に自動的に回復した。この回復時間
の結果は表1に示した。この結果、フルオロカーボン適
当量共重合させることで、形状回復時間は半分以下にな
った。
【0024】
【表1】
【0025】 実施例14 実施例1〜12と同様の方法で重合した厚さ2mmの薄
板状形状記憶ハイドロゲルを長さ4cm、幅2cmに切
り出した後、長さ方向で2等分し、弁を作製した。これ
の両端を固定した後、この上に10gの分銅を乗せて透
過実験を行ったところ、転移温度以下では弁が閉じてい
て分銅が落下しないが、転移温度以上では形状記憶ハイ
ドロゲルが柔軟化し、分銅が落下した。さらにこの弁は
分銅が落ちきった後、再び自動的に閉じ、冷却すると分
銅を通さなくなった。
【0026】
【発明の効果】 結晶性モノマーを一成分、非結晶性の
モノマーを二成分の内、フルオロアルキルアクリレート
を適当な架橋剤存在下で重合することにより、特定温度
で高弾性率−低弾性率に変化する従来の形状記憶高分子
ハイドロゲルよりも以下の優れた特性を持たせることが
でき。短時間に形状を回復でき、転移温度に幅がなく、
永久歪みを起こさずに大変形でき、かつ繰り返し耐久性
に優れ、また組成比を変化させることにより要求される
転移温度に設定できる形状記憶高分子ハイドロゲルを提
供する事ができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 篤 北海道札幌市北区北21条西7丁目1−23− 401 Fターム(参考) 4J100 AJ02Q AL04P AL05P AL08R BB17R BB18R CA05 CA31 DA25 DA37 DA38 DA47 DA49 EA00 EA03 HA53 HC50 HC59 JA28 JA51

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性モノマーを一成分、一種類または
    二種類の非結晶性モノマーをもう一方の成分とする三成
    分共重合体のうち、フルオロカーボンを一成分とし、適
    当な架橋剤を共存させ重合することにより、特定温度で
    高弾性率−低弾性率に変化する形状記憶高分子ハイドロ
    ゲル。
  2. 【請求項2】 非結晶性モノマーの共重合組成比を変え
    ることにより転移温度と力学特性を制御したことを特徴
    とする請求項1記載の形状記憶高分子ハイドロゲル。
  3. 【請求項3】 結晶性モノマーが炭素数8以上のアルキ
    ル基を有するアルキルアクリレートモノマー及び、アル
    キルメタクリレートモノマーを第一の成分とし、アクリ
    ル系水溶性モノマー及び、メタクリル系水溶性モノマー
    を第二の成分とし、フルオロアルキルアクリレートモノ
    マーを第三の成分とする請求項1記載の形状記憶高分子
    ハイドロゲル。
  4. 【請求項4】 結晶性モノマーがアクリル酸ステアリル
    で、親水性の非結晶性モノマーがアクリル酸もしくはメ
    タクリル酸で、疎水性の非結晶性モノマーがフルオロア
    クリレート、又はフルオロメタクリレートであり、適当
    な架橋剤で架橋したことを特徴とする請求項1記載の形
    状記憶高分子ハイドロゲル。
  5. 【請求項5】 結晶性モノマーがアクリル酸ステアリル
    で、親水性の非結晶性モノマーがアクリル酸で、疎水性
    の非結晶性モノマーが2,2,2−トリフルオロエチル
    アクリレートであり、適当な架橋剤で架橋したことを特
    徴とする請求項1記載の形状記憶高分子ハイドロゲル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019235108A1 (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 富士フイルム株式会社 改質剤、組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを備えた物品、及び画像表示装置

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WO2019235108A1 (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 富士フイルム株式会社 改質剤、組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを備えた物品、及び画像表示装置
CN112004838A (zh) * 2018-06-06 2020-11-27 富士胶片株式会社 改性剂、组合物、硬涂膜、具备硬涂膜的物品及图像显示装置
JPWO2019235108A1 (ja) * 2018-06-06 2021-04-22 富士フイルム株式会社 改質剤、組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを備えた物品、及び画像表示装置

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