JP2000302795A - 放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導体 - Google Patents
放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導体Info
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- A61K51/02—Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by the carrier, i.e. characterised by the agent or material covalently linked or complexing the radioactive nucleus
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 生体内においてエネルギー基質として認識さ
れ,β酸化を受けて代謝され,該β酸化活性の変化を放
射能消失速度の変化として捉えることができる,放射性
遷移金属で標識された脂肪酸誘導体の提供. 【解決手段】 下記式(1)で示される化合物であっ
て, Q-RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基, Rは,R=-(CR1R2)n-で表され,n=4-9, R
1,R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基で
ある直鎖または分岐を有するアルキル基である直鎖また
は分岐を有する放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導
体.
れ,β酸化を受けて代謝され,該β酸化活性の変化を放
射能消失速度の変化として捉えることができる,放射性
遷移金属で標識された脂肪酸誘導体の提供. 【解決手段】 下記式(1)で示される化合物であっ
て, Q-RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基, Rは,R=-(CR1R2)n-で表され,n=4-9, R
1,R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基で
ある直鎖または分岐を有するアルキル基である直鎖また
は分岐を有する放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導
体.
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,放射性遷移金属で
標識された脂肪酸誘導体に関する.さらに詳しくは,生
体内においてエネルギー基質として認識され,β酸化を
受けて代謝され,該β酸化活性の変化を放射能消失速度
の変化として捉えることができる,放射性遷移金属で標
識された脂肪酸誘導体であって,細胞のエネルギー産生
状態を体外から検出することによる生体の放射性画像診
断に有用な脂肪酸誘導体およびその製造法に関する.
標識された脂肪酸誘導体に関する.さらに詳しくは,生
体内においてエネルギー基質として認識され,β酸化を
受けて代謝され,該β酸化活性の変化を放射能消失速度
の変化として捉えることができる,放射性遷移金属で標
識された脂肪酸誘導体であって,細胞のエネルギー産生
状態を体外から検出することによる生体の放射性画像診
断に有用な脂肪酸誘導体およびその製造法に関する.
【0002】
【従来の技術】細胞のエネルギー産生状態を体外から検
出できる化合物の開発は,生体の病態把握のために極め
て重要である.また,放射性遷移金属は,例えば,放射
性テクネチウム(99mTc)が,短い半減期(6hr)を有
し,適当な強度(141 keV)のγ線を放出し,かつ広く
用いられている99Mo/99mTcジェネレーターによって低い
コストで得られる核種であること等の理由から,放射性
医薬品の標識体としてよく用いられている.しかし,脂
肪酸など細胞のエネルギー産生に関与する母体化合物の
分子内に,生体には存在しない放射性遷移金属元素を保
持するためにはキレート形成部位を導入しなければなら
ないが,生体内での母体化合物の性質を損なわないキレ
ートのサイズ,電荷,脂溶性など薬剤設計上の問題があ
り,現在まで満足できる薬剤の開発は成功していない.
出できる化合物の開発は,生体の病態把握のために極め
て重要である.また,放射性遷移金属は,例えば,放射
性テクネチウム(99mTc)が,短い半減期(6hr)を有
し,適当な強度(141 keV)のγ線を放出し,かつ広く
用いられている99Mo/99mTcジェネレーターによって低い
コストで得られる核種であること等の理由から,放射性
医薬品の標識体としてよく用いられている.しかし,脂
肪酸など細胞のエネルギー産生に関与する母体化合物の
分子内に,生体には存在しない放射性遷移金属元素を保
持するためにはキレート形成部位を導入しなければなら
ないが,生体内での母体化合物の性質を損なわないキレ
ートのサイズ,電荷,脂溶性など薬剤設計上の問題があ
り,現在まで満足できる薬剤の開発は成功していない.
【0003】心筋の細胞のエネルギーは脂肪酸の酸化に
よってまかなわれていることから,効率よく心筋に集積
し,適当に心筋に滞留する放射性標識された脂肪酸は,
虚血性心臓疾患や心筋症の診断に有用な化合物である.
しかし,炭素数14-16の長鎖脂肪酸のω位等にN2S2型のビ
スアミノエタンチオールを結合させて,99mTcを配位し
た化合物が検討されているが,臨床的に実用化されてい
る[123I]-(p-ヨードフェニルペンタデカン酸([123I]-I
PPA)に比較して,心臓への低い集積性のため成功して
いない.また,心筋においてβ酸化を受けて代謝される
か否かについても確認されていない.(Mach, R.H. et a
l. Int. J. Rad. Appl. Instrum. B, 18, 215-226; Jo
nes, G. Et al. Nucl. Med. Biol., 21,117-123).肝臓
においては,一般に腺細胞組織が脂肪酸のβ酸化によっ
てエネルギーを得ている一方で, 脂肪酸のエステル化
も行われていることはよく知られている.しかし,中鎖
脂肪酸誘導体がエステル化されることなく,β酸化のみ
によって代謝され,肝臓でのβ酸化活性の変化を肝臓か
らの放射能消失速度の変化として体外から捉えることが
可能であることが,11Cで標識した中鎖脂肪酸を用いて
示されてはいる(Yamamura,et al. Nucl. Med. Biol.,
25,467-472.)ものの,キレート基を結合し放射性遷移
金属で標識した脂肪酸誘導体がβ酸化のみをを受けて代
謝されるか否かについては未だ知られていない.
よってまかなわれていることから,効率よく心筋に集積
し,適当に心筋に滞留する放射性標識された脂肪酸は,
虚血性心臓疾患や心筋症の診断に有用な化合物である.
しかし,炭素数14-16の長鎖脂肪酸のω位等にN2S2型のビ
スアミノエタンチオールを結合させて,99mTcを配位し
た化合物が検討されているが,臨床的に実用化されてい
る[123I]-(p-ヨードフェニルペンタデカン酸([123I]-I
PPA)に比較して,心臓への低い集積性のため成功して
いない.また,心筋においてβ酸化を受けて代謝される
か否かについても確認されていない.(Mach, R.H. et a
l. Int. J. Rad. Appl. Instrum. B, 18, 215-226; Jo
nes, G. Et al. Nucl. Med. Biol., 21,117-123).肝臓
においては,一般に腺細胞組織が脂肪酸のβ酸化によっ
てエネルギーを得ている一方で, 脂肪酸のエステル化
も行われていることはよく知られている.しかし,中鎖
脂肪酸誘導体がエステル化されることなく,β酸化のみ
によって代謝され,肝臓でのβ酸化活性の変化を肝臓か
らの放射能消失速度の変化として体外から捉えることが
可能であることが,11Cで標識した中鎖脂肪酸を用いて
示されてはいる(Yamamura,et al. Nucl. Med. Biol.,
25,467-472.)ものの,キレート基を結合し放射性遷移
金属で標識した脂肪酸誘導体がβ酸化のみをを受けて代
謝されるか否かについては未だ知られていない.
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み,本
発明は生体内においてエネルギー基質として認識され,
β酸化を受けて代謝され,そのエネルギー代謝状況を体
外から把握することができる放射性遷移金属で標識され
た脂肪酸誘導体を提供することを目的とする.
発明は生体内においてエネルギー基質として認識され,
β酸化を受けて代謝され,そのエネルギー代謝状況を体
外から把握することができる放射性遷移金属で標識され
た脂肪酸誘導体を提供することを目的とする.
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は,生体内におい
てエネルギー基質として認識され,β酸化を受けて代謝
され,該β酸化活性の変化を放射能消失速度の変化とし
て捉えることができる,放射性遷移金属で標識された脂
肪酸誘導体である.具体的には,下記式(1)で示され
る化合物であって, Q-RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基, Rは,R=-(CR1R2)n-で表され,n=4-9, R
1,R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基で
ある直鎖または分岐を有するアルキル基である直鎖また
は分岐を有する放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導
体である.Qはビスアミノエタンチオール,モノアミノ
-モノアミド-ビスチオールまたはビスアミド-ビスチオ
ールから選ばれる.好ましくは, N-[[[2-(トリフェニ
ルメチル)チオ]エチル]アミノ]アセチル]-S-[トリフェ
ニルメチル]-2-アミノエタンチオールが挙げられる.放
射性遷移金属としては,テクネチウムまたはレニウムか
ら選ばれ,好ましくはテクネチウムが用いられる.本発
明の他の態様は,システアミンとハロゲン化アセチルハ
ライドとを反応させてモノアミンモノアミド化合物を合
成する工程と,該モノアミンモノアミド化合物とω-ハ
ロゲン化脂肪酸エステルと反応させることよりなる,下
記式(1)を有する化合物であって, Q−RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート基
であって,R=-(CR1R 2)n-で表され,n=4-9, R1,
R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基であ
る直鎖または分岐を有する請求項1から5のいずれかに
記載の脂肪酸誘導体の製造法である.ハロゲンは,塩
素,臭素,ヨウ素,フッ素のいずれかより選ばれるが,
好ましくは臭素である.
てエネルギー基質として認識され,β酸化を受けて代謝
され,該β酸化活性の変化を放射能消失速度の変化とし
て捉えることができる,放射性遷移金属で標識された脂
肪酸誘導体である.具体的には,下記式(1)で示され
る化合物であって, Q-RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基, Rは,R=-(CR1R2)n-で表され,n=4-9, R
1,R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基で
ある直鎖または分岐を有するアルキル基である直鎖また
は分岐を有する放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導
体である.Qはビスアミノエタンチオール,モノアミノ
-モノアミド-ビスチオールまたはビスアミド-ビスチオ
ールから選ばれる.好ましくは, N-[[[2-(トリフェニ
ルメチル)チオ]エチル]アミノ]アセチル]-S-[トリフェ
ニルメチル]-2-アミノエタンチオールが挙げられる.放
射性遷移金属としては,テクネチウムまたはレニウムか
ら選ばれ,好ましくはテクネチウムが用いられる.本発
明の他の態様は,システアミンとハロゲン化アセチルハ
ライドとを反応させてモノアミンモノアミド化合物を合
成する工程と,該モノアミンモノアミド化合物とω-ハ
ロゲン化脂肪酸エステルと反応させることよりなる,下
記式(1)を有する化合物であって, Q−RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート基
であって,R=-(CR1R 2)n-で表され,n=4-9, R1,
R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基であ
る直鎖または分岐を有する請求項1から5のいずれかに
記載の脂肪酸誘導体の製造法である.ハロゲンは,塩
素,臭素,ヨウ素,フッ素のいずれかより選ばれるが,
好ましくは臭素である.
【0006】
【発明の実施の形態】11Cまたは123Iで標識された中鎖
脂肪酸誘導体が,肝臓においてエステル化されることな
くβ酸化を受けて代謝されることから,β酸化活性の変
化を放射能消失速度の変化として体外から捉えることが
可能であることが示されたが,放射性遷移金属で標識し
た脂肪酸については未だ知られていない.放射性遷移金
属で脂肪酸を標識するには,放射性遷移金属と安定で,
小さな単核の錯体を形成するキレート基を脂肪酸に結合
する必要がある.
脂肪酸誘導体が,肝臓においてエステル化されることな
くβ酸化を受けて代謝されることから,β酸化活性の変
化を放射能消失速度の変化として体外から捉えることが
可能であることが示されたが,放射性遷移金属で標識し
た脂肪酸については未だ知られていない.放射性遷移金
属で脂肪酸を標識するには,放射性遷移金属と安定で,
小さな単核の錯体を形成するキレート基を脂肪酸に結合
する必要がある.
【0007】本発明における,放射性遷移金属で標識さ
れた脂肪酸誘導体は,下記式(1)で示される化合物で
ある.即ち, Q-RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基, Rは,R=-(CR1R2)n-で表され,n=4-9, R
1,R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基で
ある直鎖または分岐を有するアルキル基である直鎖また
は分岐を有する放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導
体である.
れた脂肪酸誘導体は,下記式(1)で示される化合物で
ある.即ち, Q-RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基, Rは,R=-(CR1R2)n-で表され,n=4-9, R
1,R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基で
ある直鎖または分岐を有するアルキル基である直鎖また
は分岐を有する放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導
体である.
【0008】キレート形成基Qは,放射性遷移金属と中
性で安定な単核錯体を形成し,さらには比較的高い脂溶
性を有するキレート基が好ましい.例えば, N2S2型の
ビスアミノエタンチオール,モノアミンモノアミド,ビ
スアミド-ビスチオール等が挙げられ,具体的には,N-
(2-メルカプトエチル)-N'-メチル-2'-メルカプトプロピ
ルエチレンジアミン, N-(2"-メチル-2"メルカプトプロ
ピル)-2-[2'-メチル-2'-(メルカプトプロピル)エチレン
ジアミン, N,N'-ビス(2-メルカプトエチル)エチレンジ
アミン, N-(2"-メチル-2"メルカプトメチルプロピル)-
2-[(2'-メルカプトエチル)アミノ]アセトアミド, N-
(2"-メルカプトエチル)-2-[(2'-メルカプトエチル)アミ
ノ]アセトアミド, N-(2"-メチル-2"メルカプトプロピ
ル)-2-[(2'-メチル-2'-メルカプトプロピル)アミノ]ア
セトアミド, N,N'-ビス(メルカプトアセチル)エチレン
ジアミン等が例示される.脂肪酸は直鎖または分岐を有
する脂肪酸であるが,好ましくはペンタン酸,ヘキサン
酸,ヘプタン酸,オクタン酸,ノナン酸,デカン酸,3-
メチルブタン酸,2-ジメチルプロパン酸,2-メチルオク
タン酸,3-ジメチルオクタン酸等が挙げられる.脂肪酸
のキレート基への結合位置は,キレート基の構成成分の
炭素あるいは窒素のいずれでもよい.キレート基Qと錯
体を形成する放射性遷移金属としては,テクネチウムま
たはレニウムが用いられるが,特にテクネチウムが好ま
しい.
性で安定な単核錯体を形成し,さらには比較的高い脂溶
性を有するキレート基が好ましい.例えば, N2S2型の
ビスアミノエタンチオール,モノアミンモノアミド,ビ
スアミド-ビスチオール等が挙げられ,具体的には,N-
(2-メルカプトエチル)-N'-メチル-2'-メルカプトプロピ
ルエチレンジアミン, N-(2"-メチル-2"メルカプトプロ
ピル)-2-[2'-メチル-2'-(メルカプトプロピル)エチレン
ジアミン, N,N'-ビス(2-メルカプトエチル)エチレンジ
アミン, N-(2"-メチル-2"メルカプトメチルプロピル)-
2-[(2'-メルカプトエチル)アミノ]アセトアミド, N-
(2"-メルカプトエチル)-2-[(2'-メルカプトエチル)アミ
ノ]アセトアミド, N-(2"-メチル-2"メルカプトプロピ
ル)-2-[(2'-メチル-2'-メルカプトプロピル)アミノ]ア
セトアミド, N,N'-ビス(メルカプトアセチル)エチレン
ジアミン等が例示される.脂肪酸は直鎖または分岐を有
する脂肪酸であるが,好ましくはペンタン酸,ヘキサン
酸,ヘプタン酸,オクタン酸,ノナン酸,デカン酸,3-
メチルブタン酸,2-ジメチルプロパン酸,2-メチルオク
タン酸,3-ジメチルオクタン酸等が挙げられる.脂肪酸
のキレート基への結合位置は,キレート基の構成成分の
炭素あるいは窒素のいずれでもよい.キレート基Qと錯
体を形成する放射性遷移金属としては,テクネチウムま
たはレニウムが用いられるが,特にテクネチウムが好ま
しい.
【0009】本発明における,放射性遷移金属と中性で
安定かつ小さな単核錯体を形成するキレート基と結合し
た脂肪酸誘導体の製造法の一つの態様として,システア
ミンとハロゲン化アセチルハライドとを反応させてモノ
アミンモノアミド化合物を合成する工程と,該モノアミ
ンモノアミド化合物とω-ハロゲン化脂肪酸エステルと
反応させることよりなる,下記式(1)を有する化合物
であって, Q−RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート基
であって,R=-(CR1R 2)n-で表され,n=4-9, R1,
R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基であ
る直鎖または分岐を有する脂肪酸誘導体の製造法が挙げ
られる.ハロゲンは,塩素,臭素,ヨウ素,フッ素のい
ずれかより選ばれるが,好ましくは臭素である.
安定かつ小さな単核錯体を形成するキレート基と結合し
た脂肪酸誘導体の製造法の一つの態様として,システア
ミンとハロゲン化アセチルハライドとを反応させてモノ
アミンモノアミド化合物を合成する工程と,該モノアミ
ンモノアミド化合物とω-ハロゲン化脂肪酸エステルと
反応させることよりなる,下記式(1)を有する化合物
であって, Q−RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート基
であって,R=-(CR1R 2)n-で表され,n=4-9, R1,
R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基であ
る直鎖または分岐を有する脂肪酸誘導体の製造法が挙げ
られる.ハロゲンは,塩素,臭素,ヨウ素,フッ素のい
ずれかより選ばれるが,好ましくは臭素である.
【0010】例えば,ヘキサン酸にN-(2"-メルカプトエ
チル)-2-[(2'-メルカプトエチル)アミノ]アセトアミド
(MAMA)を結合させ,99mTcを配位させた化合物([99mT
c]MAMA-HA)を,下記式(2)の如く合成することができ
る.まず,システアミン塩酸塩(1)を塩化トリチルと反
応させ,システアミンのチオール基をトリチル(Tr)保護
した後,クロロホルムに溶解し,トリエチルアミンを加
える.この溶液を,-78℃に冷却したブロモアセチルブロ
マイドのクロロホルム溶液に攪拌しながら滴下し,N-
[[[2-[(トリフェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]アセ
チル]-S-(トリフェニルメチル)-2-アミノエタンチオー
ル(Tr-MAMA(3))を得る.
チル)-2-[(2'-メルカプトエチル)アミノ]アセトアミド
(MAMA)を結合させ,99mTcを配位させた化合物([99mT
c]MAMA-HA)を,下記式(2)の如く合成することができ
る.まず,システアミン塩酸塩(1)を塩化トリチルと反
応させ,システアミンのチオール基をトリチル(Tr)保護
した後,クロロホルムに溶解し,トリエチルアミンを加
える.この溶液を,-78℃に冷却したブロモアセチルブロ
マイドのクロロホルム溶液に攪拌しながら滴下し,N-
[[[2-[(トリフェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]アセ
チル]-S-(トリフェニルメチル)-2-アミノエタンチオー
ル(Tr-MAMA(3))を得る.
【0011】
【化1】
【0012】次いで,得られた化合物Tr-MAMAおよびジ
イソプロピルエチルアミンをアセトニトリルに溶解した
溶液に,6-ブロモヘキサン酸メチル(4)のアセトニトリ
ル溶液(8 mL)を攪拌しながら滴下し,得られたN-[[[[2-
[(トリフェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]カルボニ
ル]メチル]-N-[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチル]ア
ミノ-6-ヘキサン酸メチルエステル(5)を5%水酸化ナト
リウム水溶液で加水分解して, N-[[[[2-[(トリフェニ
ルメチル]チオ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-
[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチル]アミノ-6-ヘキサ
ン酸(Tr-MAMA-HA(6))を定量的に得ることができる.得
られたTr-MAMA-HA(6)をトリエチルシラン含有TFAで脱ト
リチル化した後,[99mTc]グルコヘプタネートと配位子
交換させて[99mTc]MAMA-HAを得ることができる.
イソプロピルエチルアミンをアセトニトリルに溶解した
溶液に,6-ブロモヘキサン酸メチル(4)のアセトニトリ
ル溶液(8 mL)を攪拌しながら滴下し,得られたN-[[[[2-
[(トリフェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]カルボニ
ル]メチル]-N-[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチル]ア
ミノ-6-ヘキサン酸メチルエステル(5)を5%水酸化ナト
リウム水溶液で加水分解して, N-[[[[2-[(トリフェニ
ルメチル]チオ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-
[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチル]アミノ-6-ヘキサ
ン酸(Tr-MAMA-HA(6))を定量的に得ることができる.得
られたTr-MAMA-HA(6)をトリエチルシラン含有TFAで脱ト
リチル化した後,[99mTc]グルコヘプタネートと配位子
交換させて[99mTc]MAMA-HAを得ることができる.
【0013】同様にして,[99mTc]MAMA-HAの代謝を検討
するために,Tr-MAMA-HA(6)の代謝物と考えられる,N-
[[[[2-[(トリフェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]カル
ボニル]メチル]-N-[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチ
ル]アミノ-4-酪酸(Tr-MAMA-BA)およびN-[[[[2-[(トリフ
ェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]
-N-[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチル]アミノ-4-酢
酸(Tr-MAMA-AA)を合成して99mTc標識し,代謝物の標品
として用いた.
するために,Tr-MAMA-HA(6)の代謝物と考えられる,N-
[[[[2-[(トリフェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]カル
ボニル]メチル]-N-[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチ
ル]アミノ-4-酪酸(Tr-MAMA-BA)およびN-[[[[2-[(トリフ
ェニルメチル]チオ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]
-N-[2[(トリフェニルメチル)チオ]エチル]アミノ-4-酢
酸(Tr-MAMA-AA)を合成して99mTc標識し,代謝物の標品
として用いた.
【0014】一方,MAMAと同様に99mTcと安定でかつ小
さな錯体を形成するが,錯体が一価の負電荷を有し,水
溶性となるN3S型のメルカプトグリシルグリシルグリシ
ン(MAG)をヘキサン酸に結合して99mTcを標識した脂肪
酸誘導体([99mTc]MAG-HA)は,式(3)に示したように
合成できる.即ち,メルカプト酢酸より合成したS-アセ
チルメルカプト酢酸(9)とN-ヒドロキシスクシミド(NHS)
をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し,混合溶液を10分
間室温で攪拌し,氷冷後,反応液にジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(DCC)のTHF溶液を加え,一晩室温で乾燥さ
せる.生成したDCCウレアを濾過により除去し,濾液は
溶媒留去後減圧下で乾燥させる.残査をヘキサンで数回
洗浄し,S-アセチルチオグリコ−ル酸 N-ヒドロキシス
クシミドエステル(SATA)(10)の白色結晶が得られる.
さな錯体を形成するが,錯体が一価の負電荷を有し,水
溶性となるN3S型のメルカプトグリシルグリシルグリシ
ン(MAG)をヘキサン酸に結合して99mTcを標識した脂肪
酸誘導体([99mTc]MAG-HA)は,式(3)に示したように
合成できる.即ち,メルカプト酢酸より合成したS-アセ
チルメルカプト酢酸(9)とN-ヒドロキシスクシミド(NHS)
をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し,混合溶液を10分
間室温で攪拌し,氷冷後,反応液にジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(DCC)のTHF溶液を加え,一晩室温で乾燥さ
せる.生成したDCCウレアを濾過により除去し,濾液は
溶媒留去後減圧下で乾燥させる.残査をヘキサンで数回
洗浄し,S-アセチルチオグリコ−ル酸 N-ヒドロキシス
クシミドエステル(SATA)(10)の白色結晶が得られる.
【0015】次いで,グリシルグリシンのアミノ基をBo
c基で保護し,カルボキシル基をDCC存在下でN-スクシミ
ドエステル化した化合物(11)を合成し,得られた化合物
(11)をアセトニトリルに溶解し,これを6-アミノヘキサ
ン酸を溶解した0.2M水酸化ナトリウム水溶液に50-60℃
で滴下して2時間還流後,0℃まで冷却し溶液のpHを3
に調整した後,酢酸エチルにて抽出する.有機層を無水
硫酸カルシウムで乾燥し,溶媒を減圧除去して,アニソ
ール含有トリフルオロ酢酸(TFA)で処理することにより,
脱Bocした後,TFAを減圧留去後,中和した溶液をSATAの
DMF溶液に滴下し,S-アセチルメルカプトグリシルグリ
シルアミノヘキサン酸(S-アセチルMAG-HA)(13)を得るこ
とができる.このS-アセチルMAG-HAを[99mTc]グルコヘ
プタネートと配位子交換させて[99mTc]MAG-HAを得るこ
とができる.
c基で保護し,カルボキシル基をDCC存在下でN-スクシミ
ドエステル化した化合物(11)を合成し,得られた化合物
(11)をアセトニトリルに溶解し,これを6-アミノヘキサ
ン酸を溶解した0.2M水酸化ナトリウム水溶液に50-60℃
で滴下して2時間還流後,0℃まで冷却し溶液のpHを3
に調整した後,酢酸エチルにて抽出する.有機層を無水
硫酸カルシウムで乾燥し,溶媒を減圧除去して,アニソ
ール含有トリフルオロ酢酸(TFA)で処理することにより,
脱Bocした後,TFAを減圧留去後,中和した溶液をSATAの
DMF溶液に滴下し,S-アセチルメルカプトグリシルグリ
シルアミノヘキサン酸(S-アセチルMAG-HA)(13)を得るこ
とができる.このS-アセチルMAG-HAを[99mTc]グルコヘ
プタネートと配位子交換させて[99mTc]MAG-HAを得るこ
とができる.
【0016】
【化2】
【0017】99mTcで標識した[99mTc]MAMA-HAの正常
ラットにおける体内分布実験の結果,[99mTc]MAMA-HA
は投与後速やかな肝臓へ放射能集積と,その後の速やか
な放射能消失が観察された.また,血液からも速やかに
消失し,肝臓から洗い出された放射能は腎臓から膀胱へ
と移動し,肝臓で生成した放射性代謝物が尿排泄性であ
ることが示された.腸を含めその他の臓器には顕著な放
射能集積は認めなかった.[99mTc]MAMA-HA投与60分後
の尿中放射性代謝物の逆相HPLCによる分析より,尿中の
放射能の大部分が[99mTc]MAMA-BAと同じ保持時間に溶
出されることが明らかとなった.このことは尿試料と別
途合成した標品[99mTc]MAMA-BAまたは[99 mTc]MAMA-AA
との同時分析により,さらに支持された.加えて,[
99mTc]MAMA-BAをラットに投与した場合,肝臓には集積
せず直接腎臓から膀胱に排泄されたことから,[99mTc]
MAMA-HAの代謝によって生じた[99mTc]MAMA-BAの肝臓へ
の再分布は無視できると考えられた.これらのことは、
生体に投与された[99mTc]MAMA-HAが肝臓でβ酸化さ
れ,[99mTc]MAMA-BAとして尿排泄されることを示唆し
ている.
ラットにおける体内分布実験の結果,[99mTc]MAMA-HA
は投与後速やかな肝臓へ放射能集積と,その後の速やか
な放射能消失が観察された.また,血液からも速やかに
消失し,肝臓から洗い出された放射能は腎臓から膀胱へ
と移動し,肝臓で生成した放射性代謝物が尿排泄性であ
ることが示された.腸を含めその他の臓器には顕著な放
射能集積は認めなかった.[99mTc]MAMA-HA投与60分後
の尿中放射性代謝物の逆相HPLCによる分析より,尿中の
放射能の大部分が[99mTc]MAMA-BAと同じ保持時間に溶
出されることが明らかとなった.このことは尿試料と別
途合成した標品[99mTc]MAMA-BAまたは[99 mTc]MAMA-AA
との同時分析により,さらに支持された.加えて,[
99mTc]MAMA-BAをラットに投与した場合,肝臓には集積
せず直接腎臓から膀胱に排泄されたことから,[99mTc]
MAMA-HAの代謝によって生じた[99mTc]MAMA-BAの肝臓へ
の再分布は無視できると考えられた.これらのことは、
生体に投与された[99mTc]MAMA-HAが肝臓でβ酸化さ
れ,[99mTc]MAMA-BAとして尿排泄されることを示唆し
ている.
【0018】[99mTc]MAMA-HAがβ酸化によって[99mT
c]MAMA-BAに代謝されるということは,肝スライスを用
いたインビトロ代謝実験によっても示された.緩衝液中
で肝スライスと[99mTc]MAMA-HAをインキュベートする
と,[99mTc]MAMA-BAが唯一の放射性代謝物として検出
されたが,この緩衝液にβ酸化の阻害剤である2−ブロ
モオクタン酸を添加すると,[99mTc]MAMA-BAの生成は
完全に抑制された.この結果は[99mTc]MAMA-HAが肝臓
でβ酸化に関与する酵素に認識されて代謝を受け,[
99mTc]MAMA-BAを生成していることを示している.
c]MAMA-BAに代謝されるということは,肝スライスを用
いたインビトロ代謝実験によっても示された.緩衝液中
で肝スライスと[99mTc]MAMA-HAをインキュベートする
と,[99mTc]MAMA-BAが唯一の放射性代謝物として検出
されたが,この緩衝液にβ酸化の阻害剤である2−ブロ
モオクタン酸を添加すると,[99mTc]MAMA-BAの生成は
完全に抑制された.この結果は[99mTc]MAMA-HAが肝臓
でβ酸化に関与する酵素に認識されて代謝を受け,[
99mTc]MAMA-BAを生成していることを示している.
【0019】[99mTc]MAMA-HAのβ酸化による最終放射
性代謝物が[99mTc]MAMA-AAではなく,[99mTc]MAMA-BA
であることは,逆相HPLCによって尿中代謝物と標品とを
同時分析することによって確認された.このことは,ヘ
キサン酸へMAMAを導入することによって,その代謝物で
ある[99mTc]MAMA-BAのβ酸化に関わる酵素の認識を妨
げて, [99mTc]MAMA-AAにまで酸化されずに,[99mTc]
MAMA-HAの最終代謝物が[99mTc]MAMA-BAとなったと考え
られる.以上に述べた如く,6炭素の側鎖をもつ[99mT
c]MAMA-HAのβ酸化による最終放射性代謝物は,意外に
も炭素2の側鎖をもつ[99mTc]MAMA-AAではなく炭素4の
側鎖をもつ[99mTc]MAMA-BAであることが明らかにされ
た.
性代謝物が[99mTc]MAMA-AAではなく,[99mTc]MAMA-BA
であることは,逆相HPLCによって尿中代謝物と標品とを
同時分析することによって確認された.このことは,ヘ
キサン酸へMAMAを導入することによって,その代謝物で
ある[99mTc]MAMA-BAのβ酸化に関わる酵素の認識を妨
げて, [99mTc]MAMA-AAにまで酸化されずに,[99mTc]
MAMA-HAの最終代謝物が[99mTc]MAMA-BAとなったと考え
られる.以上に述べた如く,6炭素の側鎖をもつ[99mT
c]MAMA-HAのβ酸化による最終放射性代謝物は,意外に
も炭素2の側鎖をもつ[99mTc]MAMA-AAではなく炭素4の
側鎖をもつ[99mTc]MAMA-BAであることが明らかにされ
た.
【0020】一方、 [99mTc]MAG-HAは投与後肝臓にほ
とんど集積されなかった(図1,C,D).表1に示した
ようにオクタノール/水分配係数は,[99mTc]MAG-HAは
[99mTc]MAMA-HAよりも水溶性が高いことを示してい
る.[99mTc]MAG-HAは同じ条件の逆相HPLCで分析した場
合,[99mTc]MAMA-BAとほぼ一致する保持時間に溶出さ
れた(図4).さらに,[99mTc]MAMA-BAもラットに投
与後、肝臓にほとんど集積しなかったことから,[99mT
c]MGAキレート部位自身の電荷も一つの要因ではあるか
もしれないが,[99mTc]MAG-HAの水溶性が大であること
が肝臓への低集積性の大きな要因である.
とんど集積されなかった(図1,C,D).表1に示した
ようにオクタノール/水分配係数は,[99mTc]MAG-HAは
[99mTc]MAMA-HAよりも水溶性が高いことを示してい
る.[99mTc]MAG-HAは同じ条件の逆相HPLCで分析した場
合,[99mTc]MAMA-BAとほぼ一致する保持時間に溶出さ
れた(図4).さらに,[99mTc]MAMA-BAもラットに投
与後、肝臓にほとんど集積しなかったことから,[99mT
c]MGAキレート部位自身の電荷も一つの要因ではあるか
もしれないが,[99mTc]MAG-HAの水溶性が大であること
が肝臓への低集積性の大きな要因である.
【0021】本発明により,生体に投与された[99mTc]
MAMA-HAは肝臓に取り込まれた後,β酸化により[99mT
c]MAMA-BAに代謝されるが[99mTc]MAMA-AAにまでは代謝
されないこと,生体においてエネルギー基質として認識
され,代謝される初めての放射性遷移金属標識脂肪酸で
あることが明らかにされた.さらに,導入するキレート
基の脂溶性を適度に選択することにより,特定の臓器へ
の取り込みと生じた放射性代謝物の速やかな尿排泄とが
可能になった.即ち,適切な放射性遷移金属のキレート
基を脂肪酸に導入することによって,生体内でのエネル
ギー基質として放射性遷移金属標識脂肪酸誘導体が認識
され,その放射性消失速度の変化を組織の活性変化とし
て,体外から捉えることが可能としたものであり,本発
明におけるMAMA-HAの合成法は炭素鎖の異なる脂肪酸誘
導体の合成に容易に応用できるところから,各種脂肪酸
の放射性遷移金属で標識された医学画像診断放射性薬剤
の開発に有用である.
MAMA-HAは肝臓に取り込まれた後,β酸化により[99mT
c]MAMA-BAに代謝されるが[99mTc]MAMA-AAにまでは代謝
されないこと,生体においてエネルギー基質として認識
され,代謝される初めての放射性遷移金属標識脂肪酸で
あることが明らかにされた.さらに,導入するキレート
基の脂溶性を適度に選択することにより,特定の臓器へ
の取り込みと生じた放射性代謝物の速やかな尿排泄とが
可能になった.即ち,適切な放射性遷移金属のキレート
基を脂肪酸に導入することによって,生体内でのエネル
ギー基質として放射性遷移金属標識脂肪酸誘導体が認識
され,その放射性消失速度の変化を組織の活性変化とし
て,体外から捉えることが可能としたものであり,本発
明におけるMAMA-HAの合成法は炭素鎖の異なる脂肪酸誘
導体の合成に容易に応用できるところから,各種脂肪酸
の放射性遷移金属で標識された医学画像診断放射性薬剤
の開発に有用である.
【0022】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが,本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない.得られた物質の測定方法,試薬等は下記のものを
使用した. (1)H1-NMR: JMN-EX270(JEOL社)を用い,化学シフト
値は,テトラメチルシランを内部標準として測定した. (2)質量分析: JMS-HX/HX110A model(JEOL社)を用い
て測定した. (3)逆相HPLC: 逆相カラムCosmosil 5C18-AR-300(15
0mmラ4.6mm;ナカライテスク社製)を用いた. (4)TLC:シリカプレート(Merck Art 5553; メルク
社製)を用いた. (5)99mTcO4 -:99Mo/99mTcジェネレーター(ウルトラ
テクネカウ;第一ラジオアイソトープ研究所製)を用
い,生理食塩水溶液として溶出したものを用いた. (6)試薬はすべて特級試薬を用いた. (7)すべての実験動物は雄性ウイスターラット(200-
250g)を用いた.実験動物は実験に先立ち1週間12時間
毎の明暗サイクル条件下で飼育した.その期間,餌およ
び水は自由に摂取させた.
するが,本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない.得られた物質の測定方法,試薬等は下記のものを
使用した. (1)H1-NMR: JMN-EX270(JEOL社)を用い,化学シフト
値は,テトラメチルシランを内部標準として測定した. (2)質量分析: JMS-HX/HX110A model(JEOL社)を用い
て測定した. (3)逆相HPLC: 逆相カラムCosmosil 5C18-AR-300(15
0mmラ4.6mm;ナカライテスク社製)を用いた. (4)TLC:シリカプレート(Merck Art 5553; メルク
社製)を用いた. (5)99mTcO4 -:99Mo/99mTcジェネレーター(ウルトラ
テクネカウ;第一ラジオアイソトープ研究所製)を用
い,生理食塩水溶液として溶出したものを用いた. (6)試薬はすべて特級試薬を用いた. (7)すべての実験動物は雄性ウイスターラット(200-
250g)を用いた.実験動物は実験に先立ち1週間12時間
毎の明暗サイクル条件下で飼育した.その期間,餌およ
び水は自由に摂取させた.
【0023】例1 N-[[[2-[(トリフェニルメチル]チ
オ]エチル)アミノ]アセチル]-S-(トリフェニルメチル)-
2-アミノエタンチオール(Tr-MAMA)(3)の合成 システアミン塩酸塩(11.1g,97.7mmol)を塩化トリチル
(27.3g,97.9mmol)を含む150mLのN,N-ジメチルホルムア
ミド(DMF)中,室温で48時間攪拌し,システアミンのチ
オール基をトリチル(Tr)保護した.反応後,溶媒を減圧
留去し,酢酸エチルで再溶解した後,氷冷下に飽和炭酸
水素ナトリウム溶液を加えることにより,S-トリチルシ
ステアミンを白色結晶として得た.得られた結晶は良く
乾燥させた後,9.97g(28mmol)を50mLのクロロホルムに
溶解し,トリエチルアミン(14mL)を加え攪拌した.この
溶液を,-78℃に冷却したブロモアセチルブロマイド(2.8
4g,14mmol)のクロロホルム溶液(40mL)に攪拌しながら
滴下した.反応溶液は-78℃で30分,次いで室温で24時
間攪拌した.反応溶液をpH3の希硫酸,飽和炭酸ナトリ
ウム水溶液,食塩水の順で洗浄し.有機層を無水硫酸カ
ルシウムで乾燥後,減圧濃縮した.これをクロロホルム
を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーにて粗
精製し,さらに酢酸エチル:ヘキサン(95:5)を溶出
溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに付し,0.95
gの化合物Tr-MAMA(3)を淡黄色の油状物質として得た.
収率は,10%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.44-7.15(overlapped m,30H), 3.07
(td,2H), 3.02(s,2H), 2.45(t,2H), 2.45(t,2H), 2.38-
2.31(overlapped m,4H). FABMS計算値:m/z 679,測定値 679
オ]エチル)アミノ]アセチル]-S-(トリフェニルメチル)-
2-アミノエタンチオール(Tr-MAMA)(3)の合成 システアミン塩酸塩(11.1g,97.7mmol)を塩化トリチル
(27.3g,97.9mmol)を含む150mLのN,N-ジメチルホルムア
ミド(DMF)中,室温で48時間攪拌し,システアミンのチ
オール基をトリチル(Tr)保護した.反応後,溶媒を減圧
留去し,酢酸エチルで再溶解した後,氷冷下に飽和炭酸
水素ナトリウム溶液を加えることにより,S-トリチルシ
ステアミンを白色結晶として得た.得られた結晶は良く
乾燥させた後,9.97g(28mmol)を50mLのクロロホルムに
溶解し,トリエチルアミン(14mL)を加え攪拌した.この
溶液を,-78℃に冷却したブロモアセチルブロマイド(2.8
4g,14mmol)のクロロホルム溶液(40mL)に攪拌しながら
滴下した.反応溶液は-78℃で30分,次いで室温で24時
間攪拌した.反応溶液をpH3の希硫酸,飽和炭酸ナトリ
ウム水溶液,食塩水の順で洗浄し.有機層を無水硫酸カ
ルシウムで乾燥後,減圧濃縮した.これをクロロホルム
を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーにて粗
精製し,さらに酢酸エチル:ヘキサン(95:5)を溶出
溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに付し,0.95
gの化合物Tr-MAMA(3)を淡黄色の油状物質として得た.
収率は,10%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.44-7.15(overlapped m,30H), 3.07
(td,2H), 3.02(s,2H), 2.45(t,2H), 2.45(t,2H), 2.38-
2.31(overlapped m,4H). FABMS計算値:m/z 679,測定値 679
【0024】例2 N-[[[[2-[(トリフェニルメチル]チ
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-6-ヘキサン酸メチルエ
ステル(5)の合成 塩化水素を溶解したメタノール中で6-ブロモヘキサン
酸を攪拌することで得られた6-ブロモヘキサン酸メチ
ル(4)(160 mg,0.77 mmol)のアセトニトリル溶液(8 mL)
を化合物Tr-MAMA(400 mg,0.59 mmol)およびジイソプロ
ピルエチルアミン(120 mg,1.84 mmol)を2mLのアセト
ニトリルに溶解した溶液に攪拌しながら滴下した.室温
で48時間攪拌後,溶媒を減圧留去し,酢酸エチル:ヘキ
サン(95:5)を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグ
ラフィーに付し,117 mgの化合物(5)を淡黄色の油状物
質として得た.収率は,24.6%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.43-7.15(overlapped m,30H), 3.64
(s,3H), 3.01(td,2H), 2.82(s,2H), 2.40-2.33(overlap
ped m,4H), 2.28-2.22(overlapped m,6H) ,1.59-1.48
(m,2H) , 1.39-119(overlapped m,4H). FABMS計算値:C51H54N2O3S2(M+H+):m/z 807, 測定値 8
07
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-6-ヘキサン酸メチルエ
ステル(5)の合成 塩化水素を溶解したメタノール中で6-ブロモヘキサン
酸を攪拌することで得られた6-ブロモヘキサン酸メチ
ル(4)(160 mg,0.77 mmol)のアセトニトリル溶液(8 mL)
を化合物Tr-MAMA(400 mg,0.59 mmol)およびジイソプロ
ピルエチルアミン(120 mg,1.84 mmol)を2mLのアセト
ニトリルに溶解した溶液に攪拌しながら滴下した.室温
で48時間攪拌後,溶媒を減圧留去し,酢酸エチル:ヘキ
サン(95:5)を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグ
ラフィーに付し,117 mgの化合物(5)を淡黄色の油状物
質として得た.収率は,24.6%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.43-7.15(overlapped m,30H), 3.64
(s,3H), 3.01(td,2H), 2.82(s,2H), 2.40-2.33(overlap
ped m,4H), 2.28-2.22(overlapped m,6H) ,1.59-1.48
(m,2H) , 1.39-119(overlapped m,4H). FABMS計算値:C51H54N2O3S2(M+H+):m/z 807, 測定値 8
07
【0025】例3 N-[[[[2-[(トリフェニルメチル]チ
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-6-ヘキサン酸(Tr-MAMA
-HA)(6)の合成 例2で得られた化合物(5)を5%水酸化ナトリウム水溶液
で加水分解することで,Tr-MAMA-HA(6)を定量的に得
た.1 H-NMR(CDCl3):δ7.40-7.14(overlapped m,30H), 2.99
(td,2H), 2.87(s,2H), 2.40-2.33(overlapped m,4H),
2.28-2.20(overlapped m,6H), 1.59-1.48(m,2H) ,1.32-
1.21(overlapped m,4H). FABMS計算値:C50H52N2O3S2(M
+H+):m/z 793, 測定値793
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-6-ヘキサン酸(Tr-MAMA
-HA)(6)の合成 例2で得られた化合物(5)を5%水酸化ナトリウム水溶液
で加水分解することで,Tr-MAMA-HA(6)を定量的に得
た.1 H-NMR(CDCl3):δ7.40-7.14(overlapped m,30H), 2.99
(td,2H), 2.87(s,2H), 2.40-2.33(overlapped m,4H),
2.28-2.20(overlapped m,6H), 1.59-1.48(m,2H) ,1.32-
1.21(overlapped m,4H). FABMS計算値:C50H52N2O3S2(M
+H+):m/z 793, 測定値793
【0026】例4 N-[[[[2-[(トリフェニルメチル]チ
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-4-酪酸(Tr-MAMA-BA)の
合成 Tr-MAMAを原料にし,化合物(6)と同様の方法で合成し
た.即ち,Tr-MAMAに,4-ブロモ酪酸エチルを加えて反
応後,酢酸エチル:ヘキサン(95:5)を溶出溶媒とす
るシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し,5%水酸
化ナトリウム水溶液で化合物(5)のメチルエステルを加
水分解して,Tr-MAMA-BAを黄色の油状物質として得た.
収率は3.3%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.40-7.17(overlapped m,30H), 2.99
(td,2H), 2.87(s,2H), 2.36-2.33(overlapped m,4H),
2.30-2.23(overlapped m,6H), 1.65-1.62(m,2H). FABMS計算値:C48H48N2O3S2(M+H+):m/z 787, 測定値787
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-4-酪酸(Tr-MAMA-BA)の
合成 Tr-MAMAを原料にし,化合物(6)と同様の方法で合成し
た.即ち,Tr-MAMAに,4-ブロモ酪酸エチルを加えて反
応後,酢酸エチル:ヘキサン(95:5)を溶出溶媒とす
るシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し,5%水酸
化ナトリウム水溶液で化合物(5)のメチルエステルを加
水分解して,Tr-MAMA-BAを黄色の油状物質として得た.
収率は3.3%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.40-7.17(overlapped m,30H), 2.99
(td,2H), 2.87(s,2H), 2.36-2.33(overlapped m,4H),
2.30-2.23(overlapped m,6H), 1.65-1.62(m,2H). FABMS計算値:C48H48N2O3S2(M+H+):m/z 787, 測定値787
【0027】例5 N-[[[[2-[(トリフェニルメチル]チ
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-4-酢酸(Tr-MAMA-AA)の
合成 Tr-MAMAを原料にし,化合物(6)と同様にして合成した.
即ち, Tr-MAMAに,2-ブロモ酢酸メチルを加え反応後,
酢酸エチル:ヘキサン(95:5)を溶出溶媒とするシリ
カゲルクロマトグラフィーにて精製,さらに5%水酸化
ナトリウム水溶液でメチルエステルを加水分解すること
で,Tr-MAMA-AAを黄色の油状物質として得た.収率は1
2.7%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.39-7.14(overlapped m,30H), 3.10
(s,2H), 2.99(s,2H), 2.98(td,2H), 2.50(t,2H), 2.34
(t,2H), 2.24(t,2H). FABMS計算値:C46H44N2O3S2(M+H+):m/z 759, 測定値759
オ]エチル)アミノ]カルボニル]メチル]-N-[2[(トリフェ
ニルメチル)チオ]エチル]アミノ-4-酢酸(Tr-MAMA-AA)の
合成 Tr-MAMAを原料にし,化合物(6)と同様にして合成した.
即ち, Tr-MAMAに,2-ブロモ酢酸メチルを加え反応後,
酢酸エチル:ヘキサン(95:5)を溶出溶媒とするシリ
カゲルクロマトグラフィーにて精製,さらに5%水酸化
ナトリウム水溶液でメチルエステルを加水分解すること
で,Tr-MAMA-AAを黄色の油状物質として得た.収率は1
2.7%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ7.39-7.14(overlapped m,30H), 3.10
(s,2H), 2.99(s,2H), 2.98(td,2H), 2.50(t,2H), 2.34
(t,2H), 2.24(t,2H). FABMS計算値:C46H44N2O3S2(M+H+):m/z 759, 測定値759
【0028】例6 S-アセチルチオグリコ−ル酸 N-ヒ
ドロキシスクシミドエステル(SATA)(10)の合成 S-アセチルメルカプト酢酸(9)は,Benaryの方法(Benar
y,E. Thiotetronic acid and derivatives. Ber.,46,21
03-2107)に従い,メルカプト酢酸より合成した. S-ア
セチルメルカプト酢酸(9)(5.15g,38.15 mmol)とN-ヒ
ドロキシスクシミド(NHS)(4.45 g, 38.5 mmol)を50 mL
のテトラヒドロフラン(THF)に溶解し,混合溶液を10分
間室温で攪拌した.氷冷後,反応液にジシクロヘキシル
カルボジイミド(DCC)(7.95g, 38.5 mmol)を5mLのTHFに
溶解させた溶液を加え,一晩室温で乾燥させた.生成し
たDCCウレアを濾過により除去し,濾液は溶媒留去後減
圧下で乾燥させた.残査をヘキサンで数回洗浄し,7.69
gのSATAを白色の結晶として得た.収率は86.3%であっ
た.1 H-NMR(CDCl3):δ3.99(s,2H), 2.85(s,4H), 2.43(s,3H)
ドロキシスクシミドエステル(SATA)(10)の合成 S-アセチルメルカプト酢酸(9)は,Benaryの方法(Benar
y,E. Thiotetronic acid and derivatives. Ber.,46,21
03-2107)に従い,メルカプト酢酸より合成した. S-ア
セチルメルカプト酢酸(9)(5.15g,38.15 mmol)とN-ヒ
ドロキシスクシミド(NHS)(4.45 g, 38.5 mmol)を50 mL
のテトラヒドロフラン(THF)に溶解し,混合溶液を10分
間室温で攪拌した.氷冷後,反応液にジシクロヘキシル
カルボジイミド(DCC)(7.95g, 38.5 mmol)を5mLのTHFに
溶解させた溶液を加え,一晩室温で乾燥させた.生成し
たDCCウレアを濾過により除去し,濾液は溶媒留去後減
圧下で乾燥させた.残査をヘキサンで数回洗浄し,7.69
gのSATAを白色の結晶として得た.収率は86.3%であっ
た.1 H-NMR(CDCl3):δ3.99(s,2H), 2.85(s,4H), 2.43(s,3H)
【0029】例7 S-アセチルメルカプトグリシルグリ
シルアミノヘキサン酸(S-アセチル MAG-HA)(13)の合成 グリシルグリシンのアミノ基をBoc基で保護し,カルボ
キシル基をDCC存在下でN-スクシミドエステル化した化
合物(11)を合成した.得られた化合物(11)を30mLのアセ
トニトリルに溶解し,これを6-アミノヘキサン酸(0.79
mg, 38.5 mmol)を溶解した0.2M水酸化ナトリウム水溶液
に50-60℃で滴下し,その後2時間還流した.0℃まで
冷却後,希硫酸にて溶液のpHを3に合わせた後,酢酸エ
チルにて抽出した.有機層を無水硫酸カルシウムで乾燥
し,溶媒を減圧除去することで,1.41gの化合物(12)を
5%アニソール含有トリフルオロ酢酸(TFA)で処理する
ことにより,脱Bocした.TFAを減圧留去後,残査を20mL
の蒸留水に溶解させ水酸化ナトリウム水溶液で中和し
た.この溶液を20mLのDMFにSATA(1.04g,4.5 mmol)を溶
解させた溶液に滴下し,室温で2時間攪拌した.溶媒留
去後396mgのS-アセチル MAG-HA(13)を白色結晶で得た.
収率は29.1%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ8.42(t,1H),8.13(t,1H),7.70(t,1H),
3.72(d,2H),3.66(s,2H),3.65(d,2H),3.03(td,2H),2.36
(s,3H),2.19(t,2H),1.54-1.21(overlappedm, 6H) FABMS計算値:C14H23N3O6S(M+H+):m/z 362, 測定値362
シルアミノヘキサン酸(S-アセチル MAG-HA)(13)の合成 グリシルグリシンのアミノ基をBoc基で保護し,カルボ
キシル基をDCC存在下でN-スクシミドエステル化した化
合物(11)を合成した.得られた化合物(11)を30mLのアセ
トニトリルに溶解し,これを6-アミノヘキサン酸(0.79
mg, 38.5 mmol)を溶解した0.2M水酸化ナトリウム水溶液
に50-60℃で滴下し,その後2時間還流した.0℃まで
冷却後,希硫酸にて溶液のpHを3に合わせた後,酢酸エ
チルにて抽出した.有機層を無水硫酸カルシウムで乾燥
し,溶媒を減圧除去することで,1.41gの化合物(12)を
5%アニソール含有トリフルオロ酢酸(TFA)で処理する
ことにより,脱Bocした.TFAを減圧留去後,残査を20mL
の蒸留水に溶解させ水酸化ナトリウム水溶液で中和し
た.この溶液を20mLのDMFにSATA(1.04g,4.5 mmol)を溶
解させた溶液に滴下し,室温で2時間攪拌した.溶媒留
去後396mgのS-アセチル MAG-HA(13)を白色結晶で得た.
収率は29.1%であった.1 H-NMR(CDCl3):δ8.42(t,1H),8.13(t,1H),7.70(t,1H),
3.72(d,2H),3.66(s,2H),3.65(d,2H),3.03(td,2H),2.36
(s,3H),2.19(t,2H),1.54-1.21(overlappedm, 6H) FABMS計算値:C14H23N3O6S(M+H+):m/z 362, 測定値362
【0030】例8 99mTcの標識 例1-7で合成したそれぞれのリガンドと99mTcとの錯体
形成は[99mTc]グルコヘプタネート([99mTc]GH)との配
位子交換反応によって行った.すなわち,ジェネレータ
ーから溶出された99mTcO4 -の生理食塩水溶液に予め調製
しておいたSn(II)GHの凍結乾燥粉末(4gのグルコヘプタ
ネート(GH)と1.2 mgのSnC12をpH8.6のリン酸緩衝液50mL
に溶解)を溶解させた.GHの最終濃度は3-5 mg/mLであ
った.10分間室温放置後、[99mTc]GH の生成をアセトン
を展開溶媒とするTLC法で確認した.Rf=0.0:[99mTc]G
H,Rf=1.0:99mTcO4 -である.Tr-MAMA-HA(1mg)を反応
バイアル中で5%トリエチルシラン含有TFAで処理するこ
とで脱トリチル化した.TFA除去後1Mの水酸化ナトリウ
ム水溶液で中和し,さらに0.4mLのリン酸緩衝液(0.1
M. pH 8.0)を加えた.この溶液に上記の[99mTc]GH 溶
液(0.4mL)を加え,良く攪拌後1時間室温放置した.Tr
-MAMA-HA は逆相HPCL法で精製した.流速1mL/min,カラ
ム温度30℃の条件下で,移動相には0.05Mリン酸緩衝液
(pH 7.0):メタノール混液(90:10)からメタノール
100%へ,60分間での直線グラディエント溶媒を用いた
(溶出時間23分).同様にして,[99mTc]MAMA-BAおよび[
99mTc]MAMA-AAを得た(溶出時間[99mTc]MAMA-BA:17
分,[99mTc]MAMA-AA:16分).MAG−HAの99mTc標識はS-
アセチル保護体(13)3 mgを0.1 Mのリン酸緩衝液(Ph
8.0)1 mLに溶解し,同量の[99mTc]GH 生理食塩水溶液
を加え攪拌した後,反応混合液を90-95℃で30分間加温
することで行った.冷却後,[99mTc]MAG−HAは逆相HPLC
法で精製した.流速1mL/min,カラム温度30℃の条件下
で,移動相には0.05 Mリン酸緩衝液(pH 7.0):メタノ
ール混液(90:10)からメタノール5O%へ,30分間での
直線グラディエント溶媒を用いた.溶出時間は18分であ
った.放射化学的収率および放射化学的純度は各々の
99mTc標識脂肪酸誘導体の精製に用いた逆相HPLC法とア
セトンを展開溶媒とするTLC法にて求めた(Rf=0.75:[
99mTc]MAMA-HA,Rf=0.58:[99mTc]MAG).
形成は[99mTc]グルコヘプタネート([99mTc]GH)との配
位子交換反応によって行った.すなわち,ジェネレータ
ーから溶出された99mTcO4 -の生理食塩水溶液に予め調製
しておいたSn(II)GHの凍結乾燥粉末(4gのグルコヘプタ
ネート(GH)と1.2 mgのSnC12をpH8.6のリン酸緩衝液50mL
に溶解)を溶解させた.GHの最終濃度は3-5 mg/mLであ
った.10分間室温放置後、[99mTc]GH の生成をアセトン
を展開溶媒とするTLC法で確認した.Rf=0.0:[99mTc]G
H,Rf=1.0:99mTcO4 -である.Tr-MAMA-HA(1mg)を反応
バイアル中で5%トリエチルシラン含有TFAで処理するこ
とで脱トリチル化した.TFA除去後1Mの水酸化ナトリウ
ム水溶液で中和し,さらに0.4mLのリン酸緩衝液(0.1
M. pH 8.0)を加えた.この溶液に上記の[99mTc]GH 溶
液(0.4mL)を加え,良く攪拌後1時間室温放置した.Tr
-MAMA-HA は逆相HPCL法で精製した.流速1mL/min,カラ
ム温度30℃の条件下で,移動相には0.05Mリン酸緩衝液
(pH 7.0):メタノール混液(90:10)からメタノール
100%へ,60分間での直線グラディエント溶媒を用いた
(溶出時間23分).同様にして,[99mTc]MAMA-BAおよび[
99mTc]MAMA-AAを得た(溶出時間[99mTc]MAMA-BA:17
分,[99mTc]MAMA-AA:16分).MAG−HAの99mTc標識はS-
アセチル保護体(13)3 mgを0.1 Mのリン酸緩衝液(Ph
8.0)1 mLに溶解し,同量の[99mTc]GH 生理食塩水溶液
を加え攪拌した後,反応混合液を90-95℃で30分間加温
することで行った.冷却後,[99mTc]MAG−HAは逆相HPLC
法で精製した.流速1mL/min,カラム温度30℃の条件下
で,移動相には0.05 Mリン酸緩衝液(pH 7.0):メタノ
ール混液(90:10)からメタノール5O%へ,30分間での
直線グラディエント溶媒を用いた.溶出時間は18分であ
った.放射化学的収率および放射化学的純度は各々の
99mTc標識脂肪酸誘導体の精製に用いた逆相HPLC法とア
セトンを展開溶媒とするTLC法にて求めた(Rf=0.75:[
99mTc]MAMA-HA,Rf=0.58:[99mTc]MAG).
【0031】例9 分配係数の測定 [99mTc]MAMA-HAおよび[99mTc]MAG-HAの分配係数を次の
ようにして行った.各3gの1-オクタノールと0.1M,pH
7.4のリン酸緩衝液の入った試験管に10μlの[99mTc]MA
MA-HAまたは[99mTc]MAG-HAを含む溶液を加え、1分x3回
のボルテックスの後、20分間室温で放置する操作を3回
繰り返し,1000xgで5分間遠心分離した.各層から1mL
ずつ採取し,別々に放射能を測定した.分配係数はcpm/
gの1-オクタノール/緩衝液で表した.[99mTc]MAMA-HA
は僅かであるが有意に[99mTc]MAG-HAより高い脂溶性を
有している.測定結果を表1に示す.
ようにして行った.各3gの1-オクタノールと0.1M,pH
7.4のリン酸緩衝液の入った試験管に10μlの[99mTc]MA
MA-HAまたは[99mTc]MAG-HAを含む溶液を加え、1分x3回
のボルテックスの後、20分間室温で放置する操作を3回
繰り返し,1000xgで5分間遠心分離した.各層から1mL
ずつ採取し,別々に放射能を測定した.分配係数はcpm/
gの1-オクタノール/緩衝液で表した.[99mTc]MAMA-HA
は僅かであるが有意に[99mTc]MAG-HAより高い脂溶性を
有している.測定結果を表1に示す.
【0032】
【表1】
【0033】例10 SPECTによるラットのイメージン
グ 99m Tc標識脂肪酸誘導体のラット体内分布を,SPECTによ
りイメージングした.すなわち、ラットをペントバルビ
タール麻酔後,それぞれの脂肪酸誘導体を尾静脈より投
与し(15 MBq/0.5 mL生理食塩水),その時点より20秒x
30フレーム,1分x10フレーム,2分x20フレームのダイナミ
ックデータ収集を行った.[99mTc]MAMA-HAは投与後速や
かに肝臓に集積した(図1A).また、投与60分後には
ほとんど全ての放射能が肝臓から排出され,腎臓と膀胱
に存在していた(図1B).一方,[99mTc]MAG-HAの場合
には放射能は投与後直後から肝臓ヘほとんど集積するこ
となく,腎臓から膀胱に排泄されていることが確認され
た(図1C,D).同様に,[99mTc]MAMA-HAより2炭素短い
側鎖をもつ[99mTc]MAMA-BAを投与した場合にも,肝臓に
は殆ど取り込まれることなく,投与初期から腎臓と膀胱
が描出された(図1E).また,投与60分後には膀胱のみ
が描出された(図1F).
グ 99m Tc標識脂肪酸誘導体のラット体内分布を,SPECTによ
りイメージングした.すなわち、ラットをペントバルビ
タール麻酔後,それぞれの脂肪酸誘導体を尾静脈より投
与し(15 MBq/0.5 mL生理食塩水),その時点より20秒x
30フレーム,1分x10フレーム,2分x20フレームのダイナミ
ックデータ収集を行った.[99mTc]MAMA-HAは投与後速や
かに肝臓に集積した(図1A).また、投与60分後には
ほとんど全ての放射能が肝臓から排出され,腎臓と膀胱
に存在していた(図1B).一方,[99mTc]MAG-HAの場合
には放射能は投与後直後から肝臓ヘほとんど集積するこ
となく,腎臓から膀胱に排泄されていることが確認され
た(図1C,D).同様に,[99mTc]MAMA-HAより2炭素短い
側鎖をもつ[99mTc]MAMA-BAを投与した場合にも,肝臓に
は殆ど取り込まれることなく,投与初期から腎臓と膀胱
が描出された(図1E).また,投与60分後には膀胱のみ
が描出された(図1F).
【0034】例11 体内分布の測定 [99mTc]MAMA-HA(37 kBq/0.1 mL生理食塩水)をラット
の尾静脈より投与し,一定時間経過後に断頭した.血液
および各臓器を摘出し,重量を測定後,各試料の放射能
を測定した.結果は放射能の減衰補正後,%ID/gを算出
し評価した.表2に[99mTc]MAMA-HAの正常ラットにお
ける体内分布実験の結果を示す.[99mTc]MAMA-HA は
投与後肝臓に高い取り込みを示したが(10.59±0.02%ID
/g,投与5分後),時間とともに肝臓から速やかに消失
した.また,血液からも速やかに消失し、腎臓には高い
放射能が観察されたが、腸を含めその他の臓器には顕著
な放射能集積を認めなかった.
の尾静脈より投与し,一定時間経過後に断頭した.血液
および各臓器を摘出し,重量を測定後,各試料の放射能
を測定した.結果は放射能の減衰補正後,%ID/gを算出
し評価した.表2に[99mTc]MAMA-HAの正常ラットにお
ける体内分布実験の結果を示す.[99mTc]MAMA-HA は
投与後肝臓に高い取り込みを示したが(10.59±0.02%ID
/g,投与5分後),時間とともに肝臓から速やかに消失
した.また,血液からも速やかに消失し、腎臓には高い
放射能が観察されたが、腸を含めその他の臓器には顕著
な放射能集積を認めなかった.
【0035】
【表2】
【0036】例12 インビボでの代謝物の検討 [99mTc]MAMA-HA(15MBq/0.5 mL生理食塩水)をラット
の尾静脈より投与し,60分後に開腹し膀胱より尿を採取
した.尿試料は10kDaカットオフの限外濾過膜(Molcut
II LGC;日本ミリポア社製)で濾過することにより蛋白
を除去し,標識時と同条件下の逆相HPLCで精製した.図
2Aには[99mTc]MAMA-HA, [99mTc]MAMA-BA,[99mTc]MAM
A-AAの典型的なHPLCチャートを示す.[99mTc]MAMA-HA投
与60分後に膀胱より採取した尿中の放射性代謝物を逆相
HPLCで分析した結果、保持時間17分と23分に溶出してお
り、尿中の放射能の82.9±9.0%が保持時間17分の画分
に存在していることが認められた(図2B).また、尿試
料と[99mTc]MAMA-BA標品とを同時に逆相HPLCで分析した
ところ、得られたチャートは保持時間17分と23分の2つ
の放射能ピークを示していたが,尿試料と[99mTc]MAMA-
AAの同時分析では保持時間16分のピークも加えた3つの
放射能ピークが観察された(図2C,図2D).
の尾静脈より投与し,60分後に開腹し膀胱より尿を採取
した.尿試料は10kDaカットオフの限外濾過膜(Molcut
II LGC;日本ミリポア社製)で濾過することにより蛋白
を除去し,標識時と同条件下の逆相HPLCで精製した.図
2Aには[99mTc]MAMA-HA, [99mTc]MAMA-BA,[99mTc]MAM
A-AAの典型的なHPLCチャートを示す.[99mTc]MAMA-HA投
与60分後に膀胱より採取した尿中の放射性代謝物を逆相
HPLCで分析した結果、保持時間17分と23分に溶出してお
り、尿中の放射能の82.9±9.0%が保持時間17分の画分
に存在していることが認められた(図2B).また、尿試
料と[99mTc]MAMA-BA標品とを同時に逆相HPLCで分析した
ところ、得られたチャートは保持時間17分と23分の2つ
の放射能ピークを示していたが,尿試料と[99mTc]MAMA-
AAの同時分析では保持時間16分のピークも加えた3つの
放射能ピークが観察された(図2C,図2D).
【0037】例13 インビトロでの代謝物の検討 麻酔下にラットを開腹し,門脈よりO2/CO2(95/5)ガスで
飽和させた20 mMトリス-塩酸緩衝液(塩化カリウム100 m
M,塩化マグネシウム5 mM,リン酸二水素カリウム5 mM
を含む.pH 7.4)を灌流することで脱血した. 直ちに肝
臓を摘出し,夏目製作所製stadie,Riggs型スライサー
を用いて厚さ300μmの肝スライスを作成した.各スライ
スの重量測定後、β酸化阻害剤である2-ブロモオクタ
ン酸(最終濃度100μM)を含む阻害群もしくは含まない
コントロール群を20 mMトリス-塩酸緩衝液中で37℃,5分
間プレインキュベートした.次いで,[99mTc]MAMA-HA
(3.7MBq)を加え、02/CO2(95/5)ガスを通気下に60回毎
分で振盪しつつ37℃,60分間インキュベートした.5 mL
のアセトニトリルを加え,ホモジナイズした後,1000xg
で20分間遠心分離して蛋白質を沈殿させた.上清を減圧
下に濃縮後、径0.22μmのフィルター(Hospital/Pharma
cy Milles GV,ミリポア社)で濾過し、測定試料を調製
した.試料はインビボ代謝物実験と同様の条件の逆相HP
LC法にて分析した.実験に用いた肝スライス中の細胞の
生存率はメディウム中に渇出する乳酸脱水素酵素(LD
H)の活性を測定することで求めた.なお,阻害群とコ
ントロール群の間には実験終了時点で本酵素活性に有意
な差異は認められなかった(阻害群3,285±367IU/L:コ
ントロール群3,175±478IU/L).肝スライスを用いたイ
ンビトロ代謝物実験において,ホモジナイズから抽出ま
での一連の操作で90%以上の放射能が抽出された. 肝
スライスと[99mTc]MAMA-HAを緩衝液中でインキュベー
トした試料を逆相HPLCによる分析したところ,保持時間
17分と23分の2つの放射能ピークが観察された(図3-
A).保持時間17分の画分には全体の放射能の21.2±3.0
%が溶出された.一方,緩衝液中にβ酸化阻害剤を添加
した試料では,保持時間17分の画分は観察されず,未変
化の[99mTc]MAMA-HA の放射能ピークのみが観察された
(図3-B).
飽和させた20 mMトリス-塩酸緩衝液(塩化カリウム100 m
M,塩化マグネシウム5 mM,リン酸二水素カリウム5 mM
を含む.pH 7.4)を灌流することで脱血した. 直ちに肝
臓を摘出し,夏目製作所製stadie,Riggs型スライサー
を用いて厚さ300μmの肝スライスを作成した.各スライ
スの重量測定後、β酸化阻害剤である2-ブロモオクタ
ン酸(最終濃度100μM)を含む阻害群もしくは含まない
コントロール群を20 mMトリス-塩酸緩衝液中で37℃,5分
間プレインキュベートした.次いで,[99mTc]MAMA-HA
(3.7MBq)を加え、02/CO2(95/5)ガスを通気下に60回毎
分で振盪しつつ37℃,60分間インキュベートした.5 mL
のアセトニトリルを加え,ホモジナイズした後,1000xg
で20分間遠心分離して蛋白質を沈殿させた.上清を減圧
下に濃縮後、径0.22μmのフィルター(Hospital/Pharma
cy Milles GV,ミリポア社)で濾過し、測定試料を調製
した.試料はインビボ代謝物実験と同様の条件の逆相HP
LC法にて分析した.実験に用いた肝スライス中の細胞の
生存率はメディウム中に渇出する乳酸脱水素酵素(LD
H)の活性を測定することで求めた.なお,阻害群とコ
ントロール群の間には実験終了時点で本酵素活性に有意
な差異は認められなかった(阻害群3,285±367IU/L:コ
ントロール群3,175±478IU/L).肝スライスを用いたイ
ンビトロ代謝物実験において,ホモジナイズから抽出ま
での一連の操作で90%以上の放射能が抽出された. 肝
スライスと[99mTc]MAMA-HAを緩衝液中でインキュベー
トした試料を逆相HPLCによる分析したところ,保持時間
17分と23分の2つの放射能ピークが観察された(図3-
A).保持時間17分の画分には全体の放射能の21.2±3.0
%が溶出された.一方,緩衝液中にβ酸化阻害剤を添加
した試料では,保持時間17分の画分は観察されず,未変
化の[99mTc]MAMA-HA の放射能ピークのみが観察された
(図3-B).
【0038】
【発明の効果】本発明により,生体内においてエネルギ
ー基質として認識され,β酸化を受けて代謝され,該β
酸化活性の変化を放射能消失速度の変化として捉えるこ
とができる放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導体の
提供が可能となった.
ー基質として認識され,β酸化を受けて代謝され,該β
酸化活性の変化を放射能消失速度の変化として捉えるこ
とができる放射性遷移金属で標識された脂肪酸誘導体の
提供が可能となった.
【図1】SPECTによるラットのイメージングを示す図で
ある.
ある.
【図2】尿中の放射性代謝物のHPLCチャートを示す図で
ある.
ある.
【図3】肝スライスによるインビトロ代謝物のHPLCチャ
ートを示す図である.
ートを示す図である.
【図4】[99mTc]MAMA-BAと[99mTc]MAG-HAの逆相HPLCチ
ャートを示す図である.
ャートを示す図である.
1 aは[99mTc]MAMA-AAを示す. 2 bは[99mTc]MAMA-BAを示す. 3 cは[99mTc]MAMA-HAを示す. 4 dは[99mTc]MAG-HAを示す.
フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 AA25 CB01 CB26 DA02 FA19 FB08 FB10 GB10 4C085 HH03 JJ01 KA09 KA29 KB09 KB10 KB42 LL20 4H050 AA01 AA02 AA03 AB20 WB14 WB15 WB21
Claims (7)
- 【請求項1】 生体内においてエネルギー基質として認
識され,β酸化を受けて代謝され,該β酸化活性の変化
を放射能消失速度の変化として捉えることができる放射
性遷移金属で標識された脂肪酸誘導体. - 【請求項2】 下記式(1)で示される化合物であっ
て, Q−RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基,Rは,R=-(CR1R2) n-で表され,n=4-9,
R1,R2は互いに独立して,水素または低級アルキル基
である直鎖または分岐を有する請求項1記載の脂肪酸誘
導体. - 【請求項3】 キレート基Qが,ビスアミノエタンチオ
ール,モノアミノ-モノアミド-ビスチオールまたはビス
アミド-ビスチオールから選ばれる1である請求項1ま
たは2記載の脂肪酸誘導体. - 【請求項4】 放射性遷移金属がテクネチウムまたはレ
ニウムから選ばれる1である請求項1から3のいずれか
に記載の脂肪酸誘導体. - 【請求項5】 キレート基QがN-[[[2-(トリフェニルメ
チル)チオ]エチル]アミノ]アセチル]-S-[トリフェニル
メチル]-2-アミノエタンチオールである請求項3または
4記載の脂肪酸誘導体. - 【請求項6】 システアミンとハロゲン化アセチルハラ
イドとを反応させてモノアミンモノアミド化合物を合成
する工程と,該モノアミンモノアミド化合物とω-ハロ
ゲン化脂肪酸エステルと反応させることよりなる,下記
式(1)で示される化合物であって, Q−RCOOH (1) Qは放射性遷移金属と中性の錯体を形成するキレート
基,R=-(CR1R2)n-で表され,n=4-9,R1,R2は
互いに独立して,水素または低級アルキル基である直鎖
または分岐を有する請求項1から5のいずれかに記載の
脂肪酸誘導体の製造法. - 【請求項7】 ハロゲンが臭素である請求項6記載の脂
肪酸誘導体の製造法.
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007320942A (ja) * | 2006-06-05 | 2007-12-13 | Chiba Univ | テクネチウム標識脂肪酸 |
JP2015063503A (ja) * | 2013-08-30 | 2015-04-09 | 独立行政法人国立がん研究センター | 放射性テクネチウムの結合部位を有する化合物、及び、その放射性テクネチウム錯体 |
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- 1999-04-20 JP JP11112086A patent/JP2000302795A/ja active Pending
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- 2000-04-20 EP EP00303357A patent/EP1046401A3/en not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1046401A2 (en) | 2000-10-25 |
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