JP2000301837A - 感熱記録材料の製造方法 - Google Patents

感熱記録材料の製造方法

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JP2000301837A
JP2000301837A JP11114928A JP11492899A JP2000301837A JP 2000301837 A JP2000301837 A JP 2000301837A JP 11114928 A JP11114928 A JP 11114928A JP 11492899 A JP11492899 A JP 11492899A JP 2000301837 A JP2000301837 A JP 2000301837A
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forming
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polyvinyl alcohol
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JP11114928A
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English (en)
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Hidenori Goto
英範 後藤
Toshiyuki Watanabe
敏幸 渡辺
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性に優れるとともに、サーマルヘッ
ドのヘッド面に対する付着が軽減される感熱記録材料を
安定的に製造し得る製造方法の提供。 【解決手段】 支持体上に、少なくとも感熱記録層形成
用塗布液および保護層形成用塗布液を含む2以上の層形
成用塗布液を塗布して、感熱記録層および保護層を含む
2以上の層を形成する感熱記録材料の製造方法におい
て、前記保護層形成用塗布液にポリビニルアルコールを
含有させ、前記2以上の層形成用塗布液のいずれかに前
記ポリビニルアルコールを架橋し得る架橋剤を含有さ
せ、かつ、前記2以上の層形成用塗布液のいずれかに前
記ポリビニルアルコールと前記架橋剤との反応を調節す
る架橋調節剤を含有させるとともに、前記2以上の層形
成用塗布液を塗布した後、前記架橋調節剤の存在下で、
前記ポリビニルアルコールを前記架橋剤によって架橋す
ることを特徴とする感熱記録材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱記録材料の製
造方法に関し、特に、サーマルヘッド等で記録の際、ヘ
ッドの汚れおよびプリント面の荒れを減少させることが
でき、かつ製造適性に優れた感熱記録材料の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】感熱記録材料は、安価であり、その記録
機器はファクシミリや各種プリンター等のようにコンパ
クトでかつ保守も容易であるため、広い分野で使用され
ている。さらに、近年では、多色画像、特にフルカラー
の画像用の感熱記録材料についての開発も進んでいる
(例えば、特開昭63−45084号公報)。感熱記録
材料は、通常、支持体上に、バインダーや発色成分等を
含有する塗布液を塗布して感熱記録層を形成した構成で
ある。バインダーとしては、塗布液の塗布性が良好であ
ること等から、ゼラチン等の水溶性高分子が用いられる
ことが多い。ところで、感熱記録材料を用いた画像記録
方法では、一般的に、感熱記録材料の表面に、サーマル
ヘッド等が直接接触して熱を供与し、熱を供与された領
域が発色することによって画像が形成される。感熱記録
材料に接触するサーマルヘッドのヘッド面の汚れを防止
するためには、熱が供与された際に、その表面がある程
度の強度を維持し得ることが望まれる。しかし、前記ゼ
ラチン等は、熱の供与によって白濁化するとともに、サ
ーマルヘッドにその一部が付着して、ヘッド面の汚れの
原因となる場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するため、特開平4−37585号公報には、感熱記録
層上に、架橋されたポリビニルアルコールからなる保護
層を設けた感熱記録材料が提案されている。前記保護層
を設けることによって、サーマルヘッドのヘッド面の汚
れをある程度改善することができる。しかし、ポリビニ
ルアルコールを架橋するために、保護層形成用塗布液に
ポリビニルアルコールとともに架橋剤を添加すると、塗
布時に液がゲル化し易くなり、安定した塗布が困難とな
る。その結果、保護層表面の平滑性が低下し、印字時
に、サーマルヘッドがスティッキングし、画質低下の原
因となる場合がある。
【0004】本発明は、前記諸問題を解決することを目
的とする。即ち、本発明は、表面平滑性に優れるととも
に、サーマルヘッドのヘッド面に対する付着が軽減され
る感熱記録材料を安定的に製造し得る製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。 <1> 支持体上に、少なくとも感熱記録層形成用塗布
液および保護層形成用塗布液を含む2以上の層形成用塗
布液を塗布して、感熱記録層および保護層を含む2以上
の層を形成する感熱記録材料の製造方法において、前記
保護層形成用塗布液にポリビニルアルコールを含有さ
せ、前記2以上の層形成用塗布液のいずれかに前記ポリ
ビニルアルコールを架橋し得る架橋剤を含有させ、か
つ、前記2以上の層形成用塗布液のいずれかに前記ポリ
ビニルアルコールと前記架橋剤との反応を調節する架橋
調節剤を含有させるとともに、前記2以上の層形成用塗
布液を塗布した後、前記架橋調節剤の存在下で、前記ポ
リビニルアルコールを前記架橋剤によって架橋すること
を特徴とする感熱記録材料の製造方法。
【0006】<2> 架橋調節剤が保護層形成用塗布液
に含有され、かつ、架橋剤が保護層形成用塗布液以外の
層形成用塗布液に含有されていることを特徴とする<1
>に記載の感熱記録材料の製造方法。 <3> 架橋剤を含有する層形成用塗布液が、ゼラチン
あるいはその誘導体を含有することを特徴とする<1>
または<2>に記載の感熱記録材料の製造方法。
【0007】<4> 架橋調節剤および架橋剤を、保護
層形成用塗布液に含有させることを特徴とする<1>に
記載の感熱記録材料の製造方法。 <5> ポリビニルアルコールと架橋調節剤の混合物に
架橋剤を添加して、または架橋剤と架橋調節剤の混合物
にポリビニルアルコールを添加して調製された保護層形
成用塗布液を用いることを特徴とする<4>に記載の感
熱記録材料の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の感熱記録材料の製造方法
の第1の態様を説明する。支持体上に、ポリビニルアル
コールを架橋し得る架橋剤を含有する感熱記録層形成用
塗布液を塗布する。次に、その上に、ポリビニルアルコ
ールと架橋調節剤とを含有する保護層形成用塗布液を塗
布する。塗布後、感熱記録層中の前記架橋剤は、層間を
拡散移動し、保護層中のポリビニルアルコールと架橋反
応し、保護層の膜強度を向上させる。架橋反応は、保護
層に含有される架橋調節剤の存在下で進行するので、急
速な反応によるゲル化は起こり難く、高い膜強度を有す
るとともに、高い表面平滑性を有する保護層が形成され
る。また、この態様においては、ポリビニルアルコール
とその架橋剤は、別の層形成用塗布液に含有されている
ので、塗布液の塗布適性が良好である。さらに、全ての
層形成用塗布液を塗布した後、架橋剤が層間を拡散移動
することによって、架橋剤とポリビニルアルコールがは
じめて接触するので、塗布液の調製条件や、塗布液の保
管条件等が制約されず、製造管理が容易になる。尚、ポ
リビニルアルコールと架橋剤との架橋反応がどの段階で
進行しているのかについては、必ずしも明確ではなく、
塗布の直後に架橋剤等が拡散移動し、架橋反応が進行す
る場合、および架橋剤等が保護層へ拡散した後、乾燥過
程で架橋調節剤が徐々に揮散するにつれて、架橋反応が
進行する場合もあり、いずれの場合も本発明の範囲に含
まれる。
【0009】保護層形成用塗布液に含有されるポリビニ
ルアルコールには、変成ポリビニルアルコールも含ま
れ、例えば、その水酸基またはアセチル基がシラノール
基、アセトアセチル基、アミノ基、スルホン酸、カルボ
キシル基のような反応性基で置換されたポリビニルアル
コール、主鎖にエチレン等を共重合させたポリビニルア
ルコール、および末端にアルキル基等が導入されたポリ
ビニルアルコールも含まれる。また、本発明の製造方法
は、架橋剤との反応でゲル化し易い、重合度が900以
上の高重合度のポリビニルアルコールや、側鎖にカルボ
キシル基、または一級アミノ基等の高反応性の官能基を
有するポリビニルアルコールを用いる場合に、特に有効
である。尚、ポリビニルアルコールは、保護層形成用塗
布液において、全固形分重量で3〜15重量%であるの
が好ましく、4〜10重量%であるのがより好ましい。
保護層形成用塗布液の溶媒は、水が好ましいが、ポリビ
ニルアルコールの溶解性に応じて、適宜、アルコール等
の有機溶媒を水に添加した混合溶媒であってもよい。
【0010】保護層形成用塗布液には、サーマルヘッド
との接着(スティック)の防止や滑りを向上させる目的
で、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、パラフィンワック
ス等のワックス類、アミド化合物等を添加しても良い。
【0011】前記ポリビニルアルコールを架橋する架橋
剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソ
シアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合
物、メチロール化合物、ほう酸、カルボン酸無水物、シ
ラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化合物等が挙げ
られる。架橋剤を含有する層形成用塗布液が、バインダ
ーとしてゼラチンを含有する場合は、ゼラチンに対して
不活性で、かつポリビニルアルコールの水酸基と反応性
を有するほう酸を、架橋剤として使用するのが好まし
い。
【0012】前記製造方法では、架橋剤は感熱記録層形
成用塗布液に含有されているが、これに限定されず、例
えば、保護層を2層構造とし、下側(支持体側)の保護
層形成用塗布液に架橋剤を含有させてもよい。また、2
以上の感熱記録層を形成する場合は、感熱記録層間に中
間層を設ける場合があるが、そのような構成の感熱記録
材料を製造する場合は、中間層形成用塗布液に前記架橋
剤を含有させてもよい。但し、架橋剤を含有する層形成
用塗布液は、前記架橋剤に対して不活性な物質のみを含
有していると、架橋剤の保護層への拡散性が阻害されな
いので好ましい。架橋剤の層形成用塗布液中における含
有量は、保護層形成用塗布液に含有されるポリビニルア
ルコールの全固形分重量に対して、1重量%〜60重量
%であるのが好ましく、2重量%〜30重量%であるの
がより好ましい。
【0013】前記架橋調節剤は、前記ポリビニルアルコ
ールと前記架橋剤との反応を調節し、架橋反応を穏やか
に進行させる機能を有する。例えば、酸およびその弱ア
ルカリ塩を使用できる。酸としては、硫酸、硝酸、塩
酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、過臭素酸、
過ヨウ素酸、亜塩素酸、亜ヨウ素酸、亜臭素酸、塩素
酸、臭素酸、ヨウ素酸等の無機酸、およびp−トルエン
スルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸、クエン酸、乳酸、酪酸、酢酸、琥珀酸、酒石酸等の
有機酸が用いられる。その弱アルカリ塩としては、硫酸
アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、
臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、p−トルエン
スルホン酸アンモニウム、ナフタレンスルホン酸アンモ
ニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム等が挙げられ
る。中でも、架橋調節剤として揮発性の酸を用いて、乾
燥の過程で架橋調節剤を除去してもよい。このように架
橋調節剤を、乾燥の過程で徐々に除去すると、架橋反応
の初期では、急激に反応が進行するのを防止できるとと
もに、ある程度反応が進行した後には、反応の進行を阻
害しなくなるので、より高い膜強度を有する保護層を形
成できるので好ましい。。また、架橋調節剤の酸性およ
び水溶性を著しく低下させない範囲で、アンモニア、ア
ニリン、エチルアミン類(エチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン等)、メチルアミン類(メチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)を併用し
てもよい。
【0014】前記架橋調節剤は、保護層形成用塗布液中
に、ポリビニルアルコールとともに含有させるのが好ま
しい。架橋調節剤を保護層形成用塗布液に含有させる場
合は、保護層形成用塗布液のpHが4.5〜8.0とな
るように添加するのが好ましく、pHが5.5〜7.5
となるように添加するのがより好ましい。尚、架橋調節
剤を保護層形成用塗布液以外に含有させる場合は、架橋
剤よりも、より速く保護層まで拡散するように、より保
護層に近い層の層形成用塗布液に含有させるのが好まし
い。また、架橋剤とともに、保護層以外の層形成用塗布
液に含有させてもよい。
【0015】さらに必要に応じ、塗布安定性を損なわな
い範囲で、保護層形成用塗布液以外の他の層形成用塗布
液に、架橋促進剤を添加しておき、塗布後に、ポリビニ
ルアルコールと架橋剤との架橋反応を促進してもよい。
架橋剤がほう酸の場合、架橋促進剤としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのア
ルカリ等が挙げられる。尚、架橋促進剤を使用する場合
は、架橋調節剤が架橋促進剤よりも速く、保護層まで拡
散するように、架橋調節剤をより保護層に近い層の層形
成用塗布液に含有させるのが好ましく、保護層形成用塗
布液に含有させるのが特に好ましい。
【0016】感熱記録層形成用塗布液には、少なくとも
層を形成するためのバインダー、および熱の供与によっ
て発色し得る発色成分(以下、「感熱発色成分」という
場合がある。)とを含有する。バインダーとしては、水
溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−
無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共
重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合
体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロー
ル変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイ
ン、ゼラチン等が挙げられる。感熱記録層形成用塗布液
に架橋剤を含有させる場合は、バインダーは、該架橋剤
に対して不活性であるのが好ましい。前記した様に、例
えば、ポリビニルアルコールの架橋剤としてホウ酸を感
熱記録層形成用塗布液に含有させる場合は、ゼラチンあ
るいはその誘導体をバインダーとして使用するのが好ま
しい。さらに、ゼラチンあるいはその誘導体をバインダ
ーとして含有する塗布液は、多層同時塗布を行っても、
隣接した層が互いに混じり合わずに、各層を形成するこ
とができるので、製造工程を短縮化できる点でも有利で
ある。尚、ゼラチンあるいはその誘導体は、ゲル化温度
の高いものを使用するのが好ましい。また、ゼラチンあ
るいはその誘導体をバインダーとして用いる場合は、そ
の他の前記水溶性高分子あるいは疎水性高分子ラテック
スまたはエマルジョン等と併用してもよいが、ゼラチン
あるいはその誘導体の含有量が、固形分として50重量
%以上であるのが好ましく、65重量%以上であるのが
より好ましい。
【0017】感熱発色成分としては、電子供与性染料前
駆体と電子受容性化合物との組み合わせ、ジアゾ化合物
とカプラーとの組み合わせ、および有機金属塩と有機酸
との組み合わせ等が用いられるが、特に、電子供与性染
料前駆体(発色剤)と電子受容性化合物(顕色剤)との
組み合わせ、およびジアゾ化合物(発色剤)とカプラー
(顕色剤)との組み合わせが好ましく用いられる。感熱
記録層に含有させる感熱発色成分は、所望の色相に発色
し得るものを適宜選択すればよい。多色用の感熱記録材
料を製造する場合は、異なる色相に発色する感熱発色成
分を各々含有する、2以上の感熱記録層形成用塗布液を
調製する。
【0018】電子供与性染料前駆体の代表例としては、
トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合
物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピ
ラン系化合物などが挙げられ、特に、トリアリールメタ
ン系化合物およびキサンテン系化合物が、発色濃度が高
いので有用である。これらの電子供与性染料前駆体と組
み合わせられる電子受容性化合物としては、フェノール
誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステ
ル等が挙げられ、特にビスフェノール類、ヒドロキシ安
息香酸エステル類が好ましい。更に熱感度を良くするた
めに、低融点の有機物化合物を増感剤として添加するこ
ともできる。このような増感剤としては、分子内に芳香
族性基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が
好ましい。
【0019】前記感熱発色成分として、ジアゾ化合物と
カプラーとの組み合わせを用いると、熱印画後、形成さ
れた画像を光定着でき、画像の保存安定性が向上する。
ジアゾ化合物としては、光分解性のものが好ましく、例
えば、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化
合物、ジアゾアミノ化合物等の芳香族系ジアゾ化合物が
好ましく用いられる。前記芳香族ジアゾニウム塩として
は、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、こ
れに限定されるものではない。芳香族ジアゾニウム塩
は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少
なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。 Ar−N2 + ・ X‐ 上記式中、Arは置換基を有する、あるいは無置換の芳
香族炭化水素環基を表し、N2はジアゾニウム基を、X
‐は酸アニオンを表す。一方、前記ジアゾ化合物とカッ
プリング反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒド
ロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをは
じめ、特開昭62−146678号公報等に記載されて
いるものが挙げられる。
【0020】前記感熱記録層において、感熱発色成分と
してジアゾ化合物とカプラーとの組合せを用いる場合、
塩基性物質を併用して、ジアゾ化合物とカプラーとのカ
ップリング反応を促進してもよい。前記塩基性物質とし
ては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質が挙げられ、例
えば、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミ
ド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール
類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニ
ジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン
類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、
アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒
素化合物が挙げられる。また、加熱時に分解して塩基性
物質を放出する化合物を併用することもでき、例えば、
シクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸
塩、およびN,N−ジベンジルピペラジン等が挙げられ
る。
【0021】感熱記録増用塗布液の調製には、感熱発色
成分を構成している発色剤(例えば、電子供与性染料前
駆体やジアゾ化合物等)と顕色剤(例えば、電子受容性
染料前駆体)とを各々、水溶性高分子水溶液中で分散
し、十分に水溶性高分子を各素材表面に吸着させてから
混合して調製する方法、感熱発色成分のうち少なくとも
どちらか一方の成分を含有する液中で、カプセル化反応
を行い、調製する方法等が挙げられる。また、感熱記録
層形成用塗布液として、発色剤を含む塗布液、および顕
色剤を含む塗布液を調製して、各々塗布し、2層構造の
感熱記録層を形成してもよい。特に、作製される感熱記
録材料の生保存性および熱感度の観点から、感熱記録層
用塗布液は、カプセル化反応により調製するのが好まし
い。
【0022】前記感熱発色成分のいずれかを内包するマ
イクロカプセルのカプセル壁は、常温では、カプセル内
の物質とカプセル外の物質を厳密に隔離する性質を有
し、加熱時には壁の透過性が増大して発色剤と顕色剤を
接触させる、熱応答性マイクロカプセルであるのが好ま
しい。この様なマイクロカプセルの壁材としては、ゼラ
チン、ポリウレア、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、メラミン等を用いることが
できるが、特にポリウレア、ポリウレタン壁が好まし
い。また、カプセル壁に熱応答性を付与するために、そ
のガラス転移点を室温以上、200℃以下とすることが
必要であり、特に70〜150℃であるのが好ましい。
【0023】カプセル壁のガラス転移温度の制御は、カ
プセル壁のポリマー種を選ぶか、適当な可塑剤を添加す
ることによって可能である。このような可塑剤として
は、フェノール化合物、アルコール化合物、アミド化合
物、スルホンアミド化合物等があり、これらは、カプセ
ルの芯物質中に含有させてもよいし、分散物としてマイ
クロカプセル外に添加してもよい。マイクロカプセル化
の手法、用いる素材および化合物の具体例については、
米国特許第3726804号明細書、同第379669
6号明細書に記載されている材料を用いることができ
る。例えば、ポリウレタンあるいはポリウレアをカプセ
ル壁材として用いる場合には、多価イソシアネートおよ
びこれと反応してカプセル壁を形成する第二の物質(例
えばポリオール又はポリアミン)を水相またはカプセル
化すべき油性液体中に混合し、水中に乳化分散させ、次
に温度を上昇させることにより、油滴界面で高分子形成
反応を起こさせて、マイクロカプセル壁を形成する。
尚、多色用の感熱記録材料を製造する場合は、前記した
様に、2以上の感熱記録層形成用塗布液を調製するが、
各々の塗布液において、発色剤等を内包するマイクロカ
プセルは、相互に異なるガラス転移点を有する材料から
なっているのが好ましい。カプセル壁は、第一のカプセ
ル壁形成物質である多価イソシアネートと、第二のカプ
セル壁形成物質であるポリオールまたはポリアミンの種
類を適宜選択すること等によって、そのガラス転移点を
大幅に変化させることができる。
【0024】前記発色剤等を有機溶剤に溶解または分散
して、マイクロカプセルの芯物質となる油相を調製す
る。用いる有機溶剤としては、高沸点オイルを用いても
よい。高沸点オイルの具体例としてはリン酸エステル、
フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミ
ド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、
アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラ
フィン等が挙げられる。発色剤等の溶解を助けるため
に、低沸点の補助溶剤を加えることもできる。補助溶剤
の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢
酸ブチル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等が
挙げられる。
【0025】前記油相に、多価イソシアネート等のマイ
クロカプセルの壁剤を添加し、その後、油相を水相中
に、乳化分散させ、加熱して、カプセル化反応を進行さ
せることができる。カプセル化反応時の乳化油滴の分散
性を安定化するために、水相に保護コロイドや界面活性
剤を添加することができる。保護コロイドとしては、水
溶性高分子を使用することが一般に可能である。水溶性
高分子の具体例としては、ゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、変成ポリビニルアルコール、メチルセルロース、
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、エチレン/マレイ
ン酸共重合体等が挙げられるが、ゼラチンを保護コロイ
ドとして用いることが好ましい。この場合、通常のゼラ
チンを使用した場合には、そのアミノ基がイソシアネー
トと反応して、良好なカプセルを生成しにくいため、ア
ミノ基を封じた変成ゼラチンを用いることが好ましい。
尚、マイクロカプセルの平均粒径は、特に画像解像度の
向上および取扱性の観点から、体積平均で0.3〜20
μmであるのが好ましく、特に0.5〜4μmであるの
が好ましい。
【0026】発色剤と顕色剤の双方をマイクロカプセル
に内包させる必要はなく、感熱発色成分のいずれか一方
をマイクロカプセルに内包させることによって、常温
で、十分に両者の反応を抑えられる。従って、例えば電
子供与性染料前駆体等の発色剤を内包するマイクロカプ
セルの分散液を調製する場合、電子受容性化合物等の顕
色剤については、単に微粒子状に分散した分散液を調製
し、前記マイクロカプセルの分散液と混合して、感熱記
録層形成用塗布液を調製することができる。特に、顕色
剤を高沸点溶媒に溶解した後、ゼラチン等のバインダー
として用いられる水溶性高分子の水溶液中で乳化し、乳
化分散液を得、その後、発色剤を内包するマイクロカプ
セルの分散液と混合することによって、感熱記録層形成
用塗布液を調製すると、その後、塗布・乾燥によって透
明な感熱記録層を形成することができる。さらに、支持
体として、プラスチックフィルム等の透明支持体を用い
ることにより、透明な感熱記録材料を得ることができ、
ライトテーブル等で画像を直接観察できる記録材料や、
オーバーヘッドプロジェクター等により画像を直接投影
観察できる記録材料用途に供することができる。
【0027】感熱記録層形成用塗布液には、その他所望
により、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、
酸化防止剤等を添加してもよい。
【0028】多色用の感熱記録材料を製造する場合は、
各感熱記録層の分離をより確実にするために、中間層を
設けることが好ましい。中間層形成用塗布液は、少なく
とも層形成のためのバインダーを含有する。バインダー
としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、
ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等を用いるこ
とができる。また、塗布適性付与のため、種々の界面活
性剤を添加してもよい。中でも、ゼラチンあるいはその
誘導体を用いるのが好ましい。また、必要に応じてステ
アリン酸亜鉛のような金属石鹸や、ワックス類、融点1
20℃以下の有機物等、および、ガスバリヤー性をより
高めるため、雲母等の無機微粒子等を添加してもよい。
尚、中間層形成用塗布液中に、架橋剤を含有させてもよ
いが、その場合は、中間層形成用塗布液中に含有される
バインダーは、前記架橋剤に対して不活性であるのが好
ましい。例えば、架橋剤としてホウ酸を用いる場合は、
バインダーとして、ゼラチンあるいはその誘導体を用い
るのが好ましい。
【0029】各々の層形成用塗布液は、支持体上に順次
塗布される。例えば、支持体上に感熱記録層、中間層、
感熱記録層、中間層、感熱記録層、さらにその上に保護
層となるように順次塗布される。塗布方法としては、エ
アーナイフコート法、カーテンコート法、スライドコー
ト法、ローラーコート法、ディップコート法、ワイヤー
バーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、
スピンコート法など、一般的な塗布方法を用いることが
できる。2以上の層形成用塗布液を多層同時塗布する
と、架橋剤(および架橋調節剤)の保護層への拡散を促
進できるので好ましい。また、2以上の感熱記録層を有
する感熱記録材料では、製造工程を簡略化できる点で
も、多層同時塗布を行うのが好ましい。多層同時塗布
は、ビード塗布方法等により行うことができる。尚、多
層同時塗布を行う場合は、記録層形成用塗布液には、バ
インダーとして、少なくともゼラチンまたはその誘導体
を含有させるのが好ましい。
【0030】感熱記録層形成用塗布液の塗布量は、感熱
記録層中の発色成分(例えば、電子供与性染料前駆体と
電子受容性化合物の和、あるいはジアゾ化合物とカプラ
ーの和)として0.5〜3.0g/m2 であるのが好ま
しく、0.8〜2.0g/m 2 であるのがより好まし
い。発色成分が0.5g/m2未満となると、十分な発
色濃度が得られず、3.0g/m2 を超えると経済的に
不利となる。中間層用、および保護層形成用塗布液の塗
布量は、各々、固形分で0.5〜3.0g/m2である
のが好ましい。0.5g/m2 未満となると、十分な拡
散防止能またはサーマルヘッドの熱に対する保護能が得
られず、3.0g/m2 を超えると、熱伝達が不良とな
り、熱感度が低下する。
【0031】支持体としては、紙、ポリエチレン等を紙
上にラミネートしたラミネート紙、合成紙、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロー
ス等のプラスチックベースなど、公知のものが使用され
る。
【0032】本発明の感熱記録材料の製造方法の第2の
態様を説明する。支持体上に、感熱記録層形成用塗布液
を塗布する。次に、その上に、ポリビニルアルコール
と、架橋調節剤と、架橋剤とを含有する保護層形成用塗
布液を塗布する。塗布後、保護層中の前記架橋剤は、保
護層中にともに含有されるポリビニルアルコールと架橋
反応し、保護層の膜強度を向上させる。架橋反応は、保
護層に含有される架橋調節剤の存在下で進行するので、
急速な反応によるゲル化は起こり難く、高い膜強度を有
するとともに、高い表面平滑性を有する保護層が形成さ
れる。また、この態様においては、保護層中に、ポリビ
ニルアルコールと架橋剤の双方が含有されているので、
架橋剤の層間の拡散移動を利用している第1の態様と比
較して、保護層以外の層に含有されるバインダー等に制
限がなく、材料選択の幅が広がる。尚、ポリビニルアル
コールと架橋剤との架橋反応がどの段階で進行している
のかについては、必ずしも明確ではなく、塗布の直後に
架橋反応が進行する場合、および塗布後の乾燥過程で、
架橋調節剤が徐々に揮散するにつれて、架橋反応が進行
する場合、あるいは他の層に架橋促進剤を含有する場合
は、該架橋促進剤が保護層へ拡散するにつれて架橋反応
が進行する場合もあり、いずれの場合も本発明の範囲に
含まれる。
【0033】保護層形成用塗布液に含有されるポリビニ
ルアルコール、架橋剤、および架橋調節剤については、
第1の態様と同様の材料を使用でき、好ましい材料も同
様である。この態様において、保護層形成用塗布液は、
架橋調節剤の非存在下で、ポリビニルアルコールと架橋
剤が接触しないように、調製するのが好ましい。即ち、
まず、ポリビニルアルコールと架橋調節剤を水等に溶解
した後、この溶液に架橋剤を混合して調製するか、もし
くは、架橋剤と架橋調節剤とを水等に溶解した後、この
溶液にポリビニルアルコールを混合して調製するのが好
ましい。このように調製すると、保護層形成用塗布液を
調製する際に、塗布液がゲル化するのを防止でき、より
塗布安定性が向上する。
【0034】保護層形成用塗布液におけるポリビニルア
ルコールの含有量は、全固形分に対して、3重量%〜1
5重量%であるのが好ましく、4重量%〜10重量%で
あるのがより好ましい。また、架橋剤の保護層形成用塗
布液中における含有量は、ポリビニルアルコールの全固
形分重量に対して、1重量%〜60重量%であるのが好
ましく、2重量%〜30重量%であるのがより好まし
い。また、架橋調節剤は、保護層形成用塗布液のpHが
4.5〜8.0となるように添加するのが好ましい。
【0035】感熱記録層形成用塗布液に含有させる感熱
発色成分およびバインダーの材料については、第1の態
様と同様の材料を用いることができ、好ましい材料につ
いても同様である。また、その調製方法についても同様
である。各層形成用塗布液の塗布は、前記第1の態様と
同様な方法にて行うことができき、好ましい塗布方法に
おいても同様である。
【0036】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、以下における部および%は、特にことわりのない限
り、それぞれ重量部および重量%を意味する。 <実施例1>直接感熱記録によりイエロー、マゼンタ、
シアンの3色を独立に発色させることのできるフルカラ
ー感熱記録材料を作製した。 (1)シアン感熱記録層形成用塗布液の調製 〔電子供与性染料前駆体カプセル液の調製〕電子供与性
染料前駆体として、3−(o−メチル−p−ジメチルア
ミノフェニル)−3−(1’−エチル−2’−メチルイ
ンドール−3−イル)フタリドを、酢酸エチル20部に
溶解し、更に、高沸点溶媒であるアルキルナフタレンを
20部添加した後、加熱して均一に混合した。得られた
溶液に、カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアナ
ート/トリメチロールプロパンの3/1付加物20部を
更に添加し、均一に攪拌した。別途、フタル化ゼラチン
6%水溶液54部中に、ドデシルスルホン酸ナトリウム
2%水溶液2部を添加し、更に先の電子供与性染料前駆
体溶液を添加した後、ホモジナイザーにて乳化分散し
た。得られた乳化液に水68部を加えて均一化した後、
攪拌しながら50℃に昇温し、3時間カプセル化反応を
行わせて目的のカプセル液を得た。カプセルの平均粒子
径は1.2μmであった。
【0037】〔電子受容性化合物乳化液の調製〕電子受
容性化合物として、1,1−(p−ヒドロキシフェニ
ル)−2−エチルヘキサン5部、トリクレジルホスフェ
ート0.3部、マレイン酸ジエチル0.1部を酢酸エチ
ル10部中に溶解した液を、6%ポリニルアルコール溶
液50g、2%ドデシルスルホン酸ナトリウム溶液2g
を混合して調製した水溶液中に、投入し、ホモジナイザ
ーで10分間乳化して、目的の乳化液を得た。
【0038】〔シアン感熱記録層形成用塗布液の調製〕
前記電子供与性染料前駆体カプセル液、および電子受容
性化合物乳化液を、電子供与性染料前駆体/電子受容性
化合物の重量比率が1/4となるように混合し、シアン
の感熱記録層形成用塗布液を調製した。
【0039】(2)マゼンタ感熱記録層形成用塗布液の
調製 〔ジアゾ化合物のカプセル液の調製〕ジアゾ化合物とし
て、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミル
フェノキシ)ブチリル)ピペラジノベンゼンジアゾニウ
ムヘキサフルオロフォスフェート(365nmの光で分
解)2.0部を酢酸エチル20部に溶解し、更に高沸点
溶媒であるアルキルナフタレン20部を添加し、加熱し
て均一に混合した。得られた溶液に、カプセル壁剤とし
て、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロ
パンの3/1付加物15部を更に添加し、均一に攪拌し
た。別途、フタル化ゼラチンの6%水溶液54部に、2
%のドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2gを混合し
た水溶液を用意し、先のジアゾニウム塩化合物を添加し
た後、ホモジナイザーで乳化分散した。得られた乳化液
に水68部を加えて均一化した後、攪拌しながら40℃
に昇温し、3時間カプセル化反応を行わせて目的のカプ
セル液を得た。カプセルの平均粒子径は1.2μmであ
った。
【0040】〔カプラー分散液の調製〕カプラーとし
て、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5
−ピラゾロン2部、1,2,3−トリフェニルグアニジ
ン2部、トリクレジルホスフェート0.3部、およびマ
レイン酸ジエチル0.1部を、酢酸エチル10部中に溶
解し調製した溶液を、6%ゼラチン溶液50g、および
2%ドデシルスルホン酸ナトリウム2gを混合した水溶
液中に投入し、ホモジナイザーで10分間乳化して、目
的の乳化液を得た。
【0041】〔マゼンタ感熱記録層形成用塗布液の調
製〕前記ジアゾ化合物のカプセル液、および前記カプラ
ー乳化液を、ジアゾ化合物/カプラーの重量比率が2/
3となるように混合し、マゼンタの感熱記録層形成用塗
布液を調製した。
【0042】(3)イエロー感熱記録層形成用塗布液の
調製 〔ジアゾ化合物カプセル液の調製〕マゼンタ感熱記録層
形成用塗布液の調製で用いた4−(N−(2−(2,4
−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラ
ジノベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェー
ト(365nmの光で分解)2.0部に代えて、2,5
−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウムヘ
キサフルオロフォスフェート(420nmの光で分解)
3.0部を用いた以外は、マゼンタ感熱記録層形成用塗
布液の調製と全く同様にして、ジアゾ化合物のカプセル
液を調製し、目的のカプセル液を得た。カプセルの平均
粒子径は1.3μmであった。
【0043】〔カプラー分散液の調製〕マゼンタ感熱記
録層形成用塗布液の調製で用いた1−(2’−オクチル
フェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン2部、および
1,2,3−トリフェニルグアニジン2部に代えて、各
々、2−クロロ−5−(3−(2,4−ジ−tert−
ペンチル)フェノキシプロピルアミノ)アセトアセトア
ニリド2部、および1,2,3−トリフェニルグアニジ
ン1部を用いた以外は、マゼンタ感熱記録層形成用塗布
液の調製と全く同様にして、カプラー分散液を調製し、
目的の乳化液を得た。
【0044】〔イエロー感熱記録層形成用塗布液の調
製〕前記ジアゾ化合物のカプセル液、および前記カプラ
ー分散液を使用した以外は、マゼンタ感熱記録層形成用
塗布液の調製と全く同様にして、イエローの感熱記録層
形成用塗布液を調製した。
【0045】(4)中間層形成用塗布液の調製 中間層形成用塗布液1には、ゼラチンの15%水溶液を
そのまま用いた。中間層形成用塗布液2は、ゼラチンの
15%水溶液100gに、ポリビニルアルコールの架橋
剤として4%ほう酸水溶液20gを混合して調製した。
【0046】(5)保護層形成用塗布液の調製 PVA110(クラレ社製、重合度1000、鹸化度9
8.5%)の10%水溶液100g、水6g、澱粉20
%分散液2.6g、40%カオリン分散液(粒径1.
2)2.9g、更にステアリン酸亜鉛の21%分散液
(商品名:ハイドリンF115、中京油脂株式会社製)
4.0g、3%フッ素系ラテックス(商品名:ダイフリ
ーME313、ダイキン社製)14g、2%ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム17.9gを添加して混合
し、該混合液に、架橋調節剤として、クエン酸(10
%)を添加した。クエン酸の添加により、保護層形成用
塗布液のpHは7.0になった。
【0047】(6)感熱記録材料の作製 塗布厚み75μmのポリエチレンテレフタレート支持体
上に、スライドタイプホッパー式ビート塗布装置を用
い、スライド上で、シアン感熱記録層形成用塗布液、中
間層形成用塗布液1、マゼンタ感熱記録層形成用塗布
液、中間層形成用塗布液2、イエロー感熱記録層形成用
塗布液、保護層形成用塗布液の順に積層して、多層同時
塗布を行った。各塗布液の固形分(乾燥)塗布量は、下
層(シアン層)から順に、6.1g、3.0g、7.8
g、3.0g、7.2g、1.8gであった。塗布は極
めてスムースに行われ、塗布層の断面を走査型電子顕微
鏡にて確認したところ、極めて良好な層分離が行われて
いることが確認された。得られた感熱記録材料はほぼ透
明で光透過性であった。
【0048】(7)熱記録 京セラ株式会社製のサーマルヘッドKST型を用い、単
位面積あたりの記録エネルギーが34mJ/mm2とな
るように、サーマルヘッドに対する印加電力およびパル
ス幅を決め、試料の感熱記録材料に印字した(以下、
(I)という)。印字後の記録材料を、発光中心波長4
20nm、出力40Wの紫外線ランプ下に、10秒間さ
らした後、単位面積あたりの記録エネルギーが60mJ
/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力
およびパルス幅を決めて、再度印字した(以下、(I
I)という)。さらに、前記記録材料を発光中心波長3
65nm、出力40Wの紫外線ランプ下に15秒間さら
した後、単位面積あたりの記録エネルギーが83mJ/
mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力お
よびパルス幅を決めて更に印字した(以下、(III)
という)。
【0049】得られた記録画像は、(I)のみの記録が
行われた部分は黄色に、(II)のみの記録が行われた
部分はマゼンタ色に、(III)のみの記録が行われた
部分はシアン色に発色しており、(I)と(II)の記
録が重複した部分は赤に、(II)と(III)の記録
が重複した部分は緑に、(I)と(III)の記録が重
複した部分は青に、(I)(II)(III)の記録が
重複した部分はほぼ黒に発色したものであった。また、
記録された画像には白濁が生じず、光透過性が高く、透
過光での観察も可能であった。更に、保護層と記録層の
密着も良好で、粘着テープを保護層に接着し、その後粘
着テープを剥離しても保護層の損傷は認められなかっ
た。また、記録後のサーマルヘッドを顕微鏡で観察した
ところ、汚れの付着が無かった。さらに、保護層形成用
塗布液を長期保管しも、塗布液中に凝集体等の沈殿は見
られず、経時安定性が高かった。
【0050】<実施例2〜6>実施例1の保護層形成用
塗布液の調製で使用したクエン酸の代わりに、各々、酢
酸〔実施例2〕、塩酸〔実施例3〕、硫酸〔実施例
4〕、硝酸〔実施例5〕、p−トルエンスルホン酸〔実
施例6〕を使用した以外は、実施例1と同様の方法によ
り感熱記録材料を得た。
【0051】<実施例7>実施例1の保護層形成用塗布
液の調製で使用したポリビニルアルコールの代わりに、
重合度1750のポリビニルアルコール(鹸化度98.
5モル%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法に
より感熱記録材料を得た。 <実施例8〜9>実施例2の保護層形成用塗布液の調製
で、保護層形成用塗布液のpHを7.5([実施例
8])、6.5([実施例9])になるように酢酸を添
加した以外は、実施例1と同様の方法により感熱記録材
料を得た。
【0052】<実施例10〜14>実施例2の保護層形
成用塗布液の調製で使用したポリビニルアルコールを、
各々、カルボキシ変性(イタコン酸1モル%)〔実施例
10〕、一級アミノ基変性(2モル%)〔実施例1
1〕、シラノール変性(1モル%)〔実施例12〕、ス
ルホン酸変性(1モル%)〔実施例13〕、エチレン変
性(5モル%)〔実施例14〕したポリビニルアルコー
ルに代えた以外は、実施例2と同様の方法により感熱記
録材料を製造した。
【0053】<比較例1>実施例2の保護層形成用塗布
液の調製において、架橋調節剤を使用しなかった以外
は、実施例2と同様の方法により感熱記録材料を得た。
このとき、保護層形成用塗布液のpHは8.5であっ
た。この保護層形成用塗布液を塗布したところ、塗布の
最中に、保護層形成用塗布液が凝集し、安定に塗布する
ことができなかった。 <比較例2>実施例2の中間層形成用塗布液2の調製で
ホウ酸を使用せず、さらに、保護層形成用塗布液の調製
で、架橋調節剤を使用しなかった以外は、実施例2と同
様の方法により感熱記録材料を得た。
【0054】<実施例15>実施例14の保護層形成用
塗布液の調製において、架橋調節剤を添加して、液のp
Hを7.0に調整後、ホウ酸4%液を7.45g、撹拌
しながら、徐々に添加し保護層形成用塗布液を調製し
た。さらに中間層形成用塗布液2の代わりに、中間層形
成用塗布液1を用いた以外は、実施例14と同様の方法
により感熱記録材料を得た。
【0055】<実施例16>実施例14の保護層形成用
塗布液の調製において、架橋調節剤を添加してpHを
6.5に調整後、ホウ酸4%液を7.45g、撹拌しな
がら、徐々に添加し、保護層形成用塗布液を調製した。
さらに中間層形成用塗布液2の代わりに、中間層形成用
塗布液1を用いた以外は、実施例14と同様の方法によ
り感熱記録材料を得た。
【0056】<実施例17>実施例15の中間層形成用
塗布液1の調製において使用した15%ゼラチン溶液の
代わりに、水酸化カルシウム/ゼラチン固形分比が1%
になるように水酸化カルシウムを添加したゼラチン溶液
を用いた以外は、実施例15と同様の方法により感熱記
録材料を得た。
【0057】<実施例18>実施例17の中間層形成用
塗布液1の調製において、水酸化カルシウムを添加する
代わりに、水酸化カルシウムの固形分塗布量を変えない
ように、シアン感熱記録層液に添加した以外には、実施
例17と同様の方法により感熱記録紙を得た。
【0058】<比較例3>実施例15の保護層形成用塗
布液の調製において、架橋調節剤を使用せず、4%のほ
う酸を添加した以外は、実施例15と同様にして保護層
形成用塗布液を調製した。該塗布液は、塗布の最中で、
凝集し、安定に塗布することができなかった。
【0059】実施例2〜18、および比較例1〜3で得
られた感熱記録材料についても、実施例1と同様に印画
性能、保護層形成用塗布液の安定性、および塗布安定性
を評価した。結果を以下の表1に示す。尚、表中、印画
性能の欄には、得られた画像を目視にて観察して、A〜
Eの5段階で評価した結果を示す。評価Aが最も高画質
であったこと、Eが最も低画質であったことを示し、評
価結果がC以上(A、B、C)のものが実用可能であ
る。塗布液の安定性の欄には、保護層形成用塗布液を4
0℃で24時間保管し、塗布液の状態をA〜Eの5段階
で評価した結果を示す。評価Aが凝集体等の発生がな
く、最も経時安定性が高かったことを示し、評価Eが凝
集体等の発生が著しく、経時安定性が最も低かったこと
を示す。評価結果がC以上(A、B、C)のものが実用
可能である。塗布安定性の欄には、多層同時塗布時の塗
布安定性を、A〜Eの5段階で評価した結果を示す。評
価Aが塗布の安定性が最も高かったことを示し、評価E
が塗布の安定性が最も低かったことを示す。評価結果が
C以上(A、B、C)のものが実用可能である。
【0060】
【表1】
【0061】実施例15の保護層形成用塗布液の調製に
おいて、架橋調節剤の添加のタイミングを、ホウ酸を添
加する前からホウ酸を添加した後に代えて、保護層形成
用塗布液を調製した。この場合、実施例15の保護層形
成用塗布液と比較して、塗布液の経時安定性、塗布安定
性が若干低下していた。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、表面平滑性に優れると
ともに、サーマルヘッドのヘッド面に対する付着が軽減
される感熱記録材料を安定的に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H026 AA07 AA28 BB01 BB41 BB46 CC05 CC07 DD08 DD09 DD31 DD48 DD53 DD55 FF01 FF07 FF11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも感熱記録層形成
    用塗布液および保護層形成用塗布液を含む2以上の層形
    成用塗布液を塗布して、感熱記録層および保護層を含む
    2以上の層を形成する感熱記録材料の製造方法におい
    て、 前記保護層形成用塗布液にポリビニルアルコールを含有
    させ、前記2以上の層形成用塗布液のいずれかに前記ポ
    リビニルアルコールを架橋し得る架橋剤を含有させ、か
    つ、前記2以上の層形成用塗布液のいずれかに前記ポリ
    ビニルアルコールと前記架橋剤との反応を調節する架橋
    調節剤を含有させるとともに、 前記2以上の層形成用塗布液を塗布した後、前記架橋調
    節剤の存在下で、前記ポリビニルアルコールを前記架橋
    剤によって架橋することを特徴とする感熱記録材料の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 架橋調節剤が保護層形成用塗布液に含有
    され、かつ、架橋剤が保護層形成用塗布液以外の層形成
    用塗布液に含有されていることを特徴とする請求項1に
    記載の感熱記録材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 架橋剤を含有する層形成用塗布液が、ゼ
    ラチンあるいはその誘導体を含有することを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の感熱記録材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 架橋調節剤および架橋剤を、保護層形成
    用塗布液に含有させることを特徴とする請求項1に記載
    の感熱記録材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリビニルアルコールと架橋調節剤の混
    合物に架橋剤を添加して、または架橋剤と架橋調節剤の
    混合物にポリビニルアルコールを添加して調製された保
    護層形成用塗布液を用いることを特徴とする請求項4に
    記載の感熱記録材料の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004052970A1 (en) * 2002-12-12 2004-06-24 Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Surface protective film
WO2008038774A1 (fr) 2006-09-28 2008-04-03 Fujifilm Corporation Instrument pour une utilisation biochimique ayant une surface empêchant une adsorption non spécifique
WO2016167323A1 (ja) * 2015-04-17 2016-10-20 Jsr株式会社 立体造形物の製造方法

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