JP2000300528A - 水面ゆらぎ測定装置及び測定方法 - Google Patents

水面ゆらぎ測定装置及び測定方法

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JP2000300528A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水面に発生する波(水面ゆらぎ)により、心
拍、呼吸等の情報を測定する。 【解決手段】 光源部1からのレーザー光を水面に照射
すると、光の一部は水面で鏡面反射し、浴槽の壁面6に
達し、水面ゆらぎを反映しながら平面上を動く。この反
射光の動きを受光部2のCCDカメラで受光し、録画部
3のビデオカメラ等で撮影し、その記録された動画像を
処理部4で処理して解析することにより水面ゆらぎに含
まれる情報を評価する。処理部4は、動画像の2次元座
標の一方又は両方の軸方向についての1次元投影分布に
空間フィルタをかけ、高速フーリエ変換を行うことによ
り、水面ゆらぎに含まれる情報を解析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水面ゆらぎ測定装
置及び測定方法に係り、特に、水面ゆらぎを計測・処理
することにより心拍数や呼吸数を測定する水面ゆらぎ測
定装置及び測定方法に関する。また、本発明において、
水面とは、水に限らず、広く液体の表面を含むものとす
る。さらに、本発明は、その他の身体に関する測定や、
機械による振動等の適宜の要因による水面ゆらぎを測定
する水面ゆらぎ測定装置及び測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】入浴は、日本人特有の習慣であり、適度
の入浴は末梢の血流を良くし、血圧を下げる働きがあ
る。また、入浴は、最大酸素摂取量の50%程度、2〜
4METs(7〜14ml O/min/kg)程度
の負荷運動とされている。これは、5.6km/hで歩行して
いるのと同等程度の運動であり、循環器疾患の療法にも
応用されている。
【0003】図14に、入浴状態の説明図を示す。図1
4に示すように、身体は湯に浸かることにより、矢印の
ような静水圧の影響を受け、これにより血流の不均衡が
生じる。さらに、入浴中は、身体が温熱的な負荷を受け
るため、体温上昇、心拍数上昇、心拍出量の増加、皮膚
血流の増加、血圧低下などの生理的変化を引き起こす。
【0004】図15に、入浴状態と湯量との関係につい
ての説明図を示す。また、図15に示すように、湯に入
る深さによっても、心拍出量に違いが生じる。図15
(A)は、半身浴といわれているもので、水圧が身体に
適度で、血液がバランス良く全身に行き渡る。図15
(B)の全身浴といわれるような入り方の場合、水圧が
大きく、血液が下半身に行きにくい。したがって、心臓
にかかる負担も大きくなってくる。これらの諸要因によ
り、入浴中の突然死が問題となっている。さらに、近年
の高齢者の増加により、高齢者の入浴中の浴槽内におけ
る事故が増加する傾向にある。特に、高温の湯に長時間
入浴した場合、外気温との著しい差違により突発的事故
が生じることが報告されている。入浴中の死亡例では約
80%が浴槽内であり、特に高齢者の事故が多い。
【0005】したがって、入浴中に諸生理量を測定する
ことは、健康状態の把握や入浴中の突発的事故の防止、
事故発生時の病態の推測に役立つ。さらに、諸生理量に
ついての日常的な履歴を取ることにより、疾患の早期発
見にも役立つと考えられる。生理量のひとつとして心拍
数は、入浴中の変動が大きく応答性が良い上、身体や心
臓の負荷状態に大きく依存すると考えられる。また、心
拍数の測定は、入浴中の異常な脈拍や心停止の状態など
を検出できるため、非常に有効であると考えられる。こ
れまで、心拍数測定に関する研究では、光電脈波法を用
いた研究(中島一樹,田村 俊世,三池 秀敏,ディジ
タルフィルタを用いた光電脈波法による心拍数,呼吸数
同時モニタ,医用電子と生体工学Vol.31 No.4,pp.30-
36(1993)参照)などが知られている。日常行動下にお
ける心拍数ゆらぎの評価としては、ホルター心電計によ
る24時間計測などが行われている。しかし、入浴中の
心拍数ゆらぎに関する研究は少なく、浴槽内心電図法に
よるものなどが報告されているだけである。
【0006】一方、入浴は身体を清潔にするだけでな
く、心身をリラックスさせる効果がある。心身が好調な
時には、入浴中にマッサージやストレッチなどを行う
が、極度の肉体、精神疲労時には動かない傾向がある。
ストレスや快適度評価を目的とした血圧や心拍ゆらぎに
関する研究(吉村 拓巳,田村 俊世,長 篤志,中島
一樹,三池 秀敏,戸川 達男,入浴中の心拍変動と快
適度,東京医科歯科大学医用器材研究所報告第29巻、(1
995))が行なわれているが、入浴中の行動量評価を行な
えばこれらの評価の一助にも成り得る可能性がある。ま
た、一般家庭において、心拍数や呼吸数などの生体信号
を計測する場合、測定を意識させず無拘束で計測するこ
とが望ましい。生体信号の無拘束計測に関する研究で
は、オプティカルフロー検出(三池 秀敏,古賀 和
利,パソコンによる動画像処理,森北,pp.133-178(199
3)参照)による呼吸・体動計測の研究(K.Nakajima, T.
Maekawaand H.Miike, Detection of apparent skin mot
ion using optical flow analysis:Blood pulsation si
gnal obtained from optical flow sequence,Rev.Sci.I
nstrum. Vol.68, pp.1331-1336 (1997),K. Nakajima,
A. Osa, S. Kasaoka, K.Nakashima, T. Maekawa, T. Ta
mura and H. Miike, Detection of Physiological Para
meters without Any Physical Constraints in Bed Usi
ng Sequential Image Processing, Japanese Journal o
f Applied Physics, Vol.35, pp.L269-L272 (1996)参
照)が報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の浴
槽内心電図法による計測システムは、比較的容易に計測
ができ、無意識のうちに心電図波形を測定することが可
能である。しかしながら、従来においては、浴槽内に電
極を埋め込む必要があり、心電図波形は湯を介して測定
するため、体表面心電図と比較すると波形が歪んでしま
う。また、従来においては、心電図波形の計測は可能で
あるが、心拍数と同様に人間の生存には欠かせない呼吸
数の計測はできない。さらに、従来においては、浴槽の
材質、構造、大きさ、電極位置、湯の電気伝導率などの
影響を受ける。
【0008】一般に、浴槽に浸かった際、静止状態を保
っていても、心臓の動き、呼吸などによって水面はわず
かに波立っている。この波には、心拍や呼吸、行動の情
報も含まれていると考えられる。そこで、本発明は、水
面に発生する波(水面ゆらぎ)にどのような情報が含ま
れるかを動画像計測・処理により解析・検討することに
より、入浴中の人の生理量、行動、健康状態を無拘束状
態で評価することを目的とする。
【0009】また、本発明は、水面上の微小なゆらぎか
ら水位変動まで高精度に計測可能とすること(広ダイナ
ミックレンジ及び高精度)を目的とする。また、本発明
は、光源からの鏡面反射光をビデオカメラで撮影するだ
けであり、設置を簡単とすることを目的とする。さらに
は、本発明は、フローターなどを用いない非接触式とす
ることで(非接触計測法)、センサー部分を汚すことな
く、メンテナンスを不要とすることを目的とする。
【0010】さらに、本発明は、入浴中の水面ゆらぎを
完全な無拘束状態で計測するために、半導体レーザー光
を水面に入射させ、その反射光を撮影し、動画像計測・
処理により解析を行い、半導体レーザー光の反射像を撮
影し、実画像ではなく処理データにより解析を行なうこ
とにより、個人のプライバシーを保護することを目的と
する。また、本発明は、一般家庭での諸生理量の無拘束
計測を容易にすることを目的とする。
【0011】さらに、本発明は、空間フィルタ法、FF
Tについて並列計算システム等を用いることで、または
ラインセンサアレイと電子回路による処理を用いること
で、より高速でリアルタイム処理を可能とした測定装置
及び測定方法を提供することを目的とする。また、本発
明は、リアルタイム処理により、インターネットの普及
を背景に、高齢化社会にも対応した在宅医療システムへ
の応用を可能とした測定装置及び測定方法を提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の解決手段
によると、水面に出力光を照射する光源と、前記光源か
らの出力光が水面により反射された光を受光し、反射位
置を含む2次元画像データを出力する受光部と、前記受
光部から出力された2次元画像データに基づいて、2次
元座標の一方又は両方の軸方向についての1次元投影分
布に空間フィルタをかけることにより、水面ゆらぎに含
まれる情報を解析する処理部とを備えた水面ゆらぎ測定
装置を提供する。
【0013】本発明の第2の解決手段によると、水面か
らの反射光の反射位置を含む2次元画像データを取り込
むステップと、取り込まれた2次元画像データに基づ
き、一方又は両方の軸方向について、該2次元画像デー
タの輝度の和をとった1次元投影分布を計算するステッ
プと、計算された1次元投影分布に、所定波形の空間フ
ィルタをかけることにより、積算データを求めるステッ
プと、求められた積算データについて所定期間の総和を
とり、複数の時系列データを求めるステップと、求めら
れた複数の時系列のデータを、それぞれフーリエ変換す
るステップと、フーリエ変換された複数の時系列データ
に基づいて、平均パワースペクトルを計算し、水面ゆら
ぎに含まれる情報を求めるステップとを備えた水面ゆら
ぎ測定方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】(1)測定装置の概要 図1に、本発明に係る水面ゆらぎ測定装置の構成図を示
す。水面ゆらぎ測定装置は、光源部1、受光部2、録画
部3、処理部4、表示部5を備える。処理部4は、記憶
部31、A/D変換部33及びデータ処理部32を備え
る。
【0015】光源部1としては、半導体レーザー等が用
いられる。ここでは、一例として、波長が635nmの赤色
光のものを使用し、三脚等により取り付けられ固定され
ている。また、この例では、半導体レーザーのビーム形
状は、ドット照射(照射サイズ最小)で10m離れた位置
で直径14mmの円状であった。受光部2は、例えば、CC
Dビデオカメラ等が用いられる。ここでは、CCDカメ
ラのAGC(オートゲインコントロール)スイッチはOF
F、ゲインは0dB、CCD IRISスイッチ(入射光量に応じ
て自動的に感度調整を行う機能)もOFFとした。また、
受光部2は、電子シャッターを備えることができる。こ
こでは、1000分の1秒の電子シャッターを使用した。こ
れは、速度計測を行なう場合、対象物(ここでは、レー
ザー反射光)の正確な位置変化を捕らえることが必要に
なってくるからである。水面がゆらぐと壁面6で得られ
る反射光が動くので、ビデオレートで撮影した場合、1
フレームが1/30秒であるため、壁面6上の反射光は軌
跡を描く。この軌跡を含んだままの画像では、反射光の
正確な位置変化の情報が得られないので、電子シャッタ
ーを使用することにより、軌跡を取り除いた。また、浴
槽の壁面6には、半導体レーザーの反射光のコントラス
トを高めるために、ホワイトボードを取り付けた。録画
部3は、S−VHS等のビデオデッキ等のビデオ装置を
用いることができる。
【0016】また、処理部4内のデータ処理部32は、
パーソナルコンピュータを用いることができる。ここで
は、一例として、メインメモリ約128Mbyteを実装で、サ
イズ128×128pixelsモノクロ256階調の画像が、サンプ
リング周波数30Hzで約4分33秒間取り込み可能であるも
のを使用した。また、記憶部31は、パーソナルコンピ
ュータ内部のメモリ又は外部のメモリを適宜使用でき
る。表示部5は、TVモニター等の表示装置が用いられ
る。
【0017】つぎに、この水面ゆらぎ測定装置の動作概
要について説明する。
【0018】まず、浴槽の斜め上方から光源部1のレー
ザー光を水面に照射すると、光の一部は水面で鏡面反射
する。そして、この鏡面反射光は、浴槽の壁面6に達
し、水面ゆらぎを反映しながら平面上を動く。この反射
光の動きを受光部2のCCDカメラで受光し、録画部3
のビデオカメラ等で撮影する。この録画部3で記録した
動画像を処理部4で処理して解析することにより水面ゆ
らぎに含まれる情報を評価する。処理部4は、動画像の
2次元座標の一方又は両方の軸方向についての1次元投
影分布に空間フィルタをかけ、高速フーリエ変換を行う
ことにより、水面ゆらぎに含まれる情報を解析する(詳
細は後述する)。
【0019】なお、受光部2は、適宜光学系を介して直
接又は間接的にレーザ光を受光できる位置に配置するこ
ともできる。さらに、受光部2は、水面における屈折に
よる光源部1からのレーザー光を受光できるように、浴
槽の下方や水中等に適宜配置することも可能であり、ま
た、光源部1からのレーザー光の鏡面反射光を壁面6で
受けることはなく、曲面や上部に配置された面等の適宜
の面で受けるようにすることもできる。また、受光部2
として、壁面6上に受光素子をマトリックス状に並べる
ようにすることもできる。なお、この際、ビデオカメラ
等の記録部3を省略することもできる。また、受光部2
の受光素子に対して電気的な空間フィルタの役目をなす
電圧をかけることにより、処理のリアルタイム化を図る
こともできる。
【0020】(2)解析方法 ここで、本発明の水面ゆらぎ測定装置における処理部4
でのデータ処理アルゴリズムについて説明をする。
【0021】一般に、局所的な速度を非接触で解析する
方法として、レーザー・ドップラー法(Cummins.H.Z, K
nable.N, and Yeh.Y, Observation of Diffusion Broad
ening of Rayleigh Scattered Light,Phys.Rev.Lett12
6,pp.150-153(1964),Stevenson W.H、Laser Doppl
er Velocimetry, A status Report, Pro IEEE 70 6,pp.
652-658(1982)参照)や、空間フィルタ法(Aizu.Y and
Asakura.K,Principles and Development of Spatial F
iltering Velocimetry, Appl.Phys.B43, pp.209-224(19
87),小林 彬,計測用空間フィルタ法の進展,応用物
理Vol52No.12,pp.1007-1014(1983))が知られている。
いずれの手法も観測対象とする小領域に格子じま状の空
間パターンを作り、この中を通過する運動物体より放射
される総光量の時間変化をとらえ、この周波数スペクト
ルを解析することにより、速度の検出を行うものであ
る。
【0022】また、近年、マイクロエレクトロニクスの
発達を背景に、ビデオ信号処理による二次元速度計測の
試みが行われてきた。CCDカメラなどで画像を取り込
み、マイクロプロセッサなどでプログラム的に処理を行
なうこの手法は、幅広い柔軟性と測定の高精度化の可能
性をもっている。従来のシステムは、リアルタイム処理
のためハードウェアによるアナログ処理で実現されてき
たが、この手法は、そのほとんどをソフトウェアによ
り、ディジタル処理を行なうものである。そのため、ソ
フトウェア処理により、ハードウェアでは実現困難であ
る正、負の値をもつ理想的な正弦波状の空間フィルタを
実現できる。加えて、ソフトウェア処理では、空間フィ
ルタリングや信号の積算処理をすべてディジタル化する
ことや、測定対象の速度やサイズに応じて空間フィルタ
の波長や移動速度を任意に変えることができ、運動方向
の正負の判別はもちろん、計測のダイナミックレンジを
大きく改良できるなどの利点をもつことから、高精度の
速度解析が可能になる。
【0023】本発明においては、以上の技術を、処理部
4におけるデータ処理に応用したもので、以下に詳述す
る。図2に、処理部におけるデータ処理のフローチャー
トを示す。また、図3に、空間フィルタの説明図を示
す。
【0024】まず、画像サイズN×N(pixels)、画像
枚数L(frames)の動画像を考える。そして、このよう
な2次元動画像データS(x,y,t)(図3(A)参
照)を、録画部3におけるビデオ等で撮影し、Lフレー
ムの画像を、画像入力インターフェースボード等を介し
て適宜のサンプリング間隔(例えば、30Hz)で、処理部
4の記憶部31に取り込む(ステップS100)。
【0025】つぎに、図3(A)の2次元動画像データ
S(x,y,t)の各画面についてx軸方向、y軸方向の
それぞれの投影分布B(x,t)、By(y,t)の一
方又は両方を、数式(1)により計算する(ステップS
102)。なお、図3では、一例として、画面上の1つ
の方向(図3(B)においてはy軸方向)への輝度の和
(投影分布)を、1次元画像データ(図3(B)におい
てはB(y,t))としてとらえ、これを速度解析用の
基本情報とした場合を示している。
【0026】
【数1】
【0027】つぎに、ステップS102で得られたx軸
方向又はy軸方向のそれぞれの投影分布であるB
(x,t)又はBy(y,t)に、1次元の正弦波状の
空間フィルタを通す(ステップS104)。なお、ここ
では空間フィルタとして正弦波を用いたが、これに限ら
れず短形波等の適宜の波形を用いても良い。
【0028】つぎに、その積和を計算する処理をx軸方
向又はy軸方向の1次元データに対して行う。この操作
を時系列方向L(frames)について行い、時系列データ
A(t)を得る(ステップS106)。
【0029】
【数2】
【0030】図3を参照すると、例えば、y軸方向に積
和した時系列データであるA(t)の速度成分を検出
したい場合、数式(2)は、波数ベクトルK=(0,K
)、並進速度V=(0,0)の空間フィルタsin
(K・y)(図3(C))を用いて、以下のような数
式(3)に変形することができる。
【0031】
【数3】 すなわち、x軸方向にあらかじめ輝度の和をとった信号
(y,t)に、後で、正弦波フィルタを通した積算
データB(y,t)・sin(K・y)を求め(図
3(D))、さらにその総和をとれば良い(図3
(E))ことになる。
【0032】また、ステップS106では、x軸方向、
y軸方向の両者の総和をとらず、x軸方向又はy軸方向
それぞれの時系列データ(A(t)、A(t))に
対しても同様の処理を行っても良い。
【0033】ここで、空間フィルタの波長の決定は、計
測対象の直径と移動速度が関係する。空間フィルタの波
長が対象の直径より小さくなるとスペクトルも小さくな
る。特に、空間フィルタの定数倍がおおよそ直径と一致
するときは、パワースペクトルが極小となる。このこと
から、信号成分を大きくし、雑音を小さくするために
は、計測対象物の直径より小さい波長の空間フィルタを
かけることはできるだけ避けたほうがよく、数式(4)
を満足する波長の空間フィルタを選択する必要がある。
【0034】
【数4】 ここで、ρは対象物の流径直径とする。
【0035】つぎに、上述のような空間フィルタ法によ
り得られた時系列データであるA(t)の周波数スペク
トルを、FFT(Fast Fourier Transform)によって解析
する(ステップS108)。時間tの関数x(t)をフー
リエ変換したものをX(ω)とすると、以下の数式
(5)のように表される。
【0036】
【数5】
【0037】ここで、ディジタル化された離散的な信号
列を、コンピュータでフーリエ変換するためには、数式
(5)のフーリエ変換の定義式を書き改めなければなら
ない。k個目のサンプル値が、xで表されるとする
と、離散的なフーリエ・スペクトルXは、以下のよう
な数式(6)で表される。
【0038】
【数6】
【0039】ここで、Qは有限であり、Wは位相回転
因子である。この数式(6)が離散フーリエ変換(DF
T:Discrete Fourier Transform)の定義式である。例
えば、Q=8の場合を考えると、数式(6)より関係式
には、8個の複素数の掛け算の項が含まれている。一
般に、データ点数Qに対してそのDFTを行なうために
は、Q回の複素数の掛け算x・WQ が必要であるこ
とがわかる。この膨大な計算時間を短縮できる方法が、
CooleyとTukeyによって提唱された。これが、FFTア
ルゴリズムである。WQ は指数関数であるから、U<
Qである任意の数式(7)のように分解できる。
【0040】
【数7】
【0041】Q=8のXを求める場合の、xにかか
る計数W 15は、例えば、以下の数式(8)のように分
解できる。
【0042】
【数8】
【0043】さらに、数式(6)より、周期Qの周期関
数であることから、任意の整数nに対して、以下の数式
(9)が成り立つ。
【0044】
【数9】 これを数式(8)の例に当てはめると、
【0045】
【数10】 となる。このようにQ個ある位相回転因子W を、
その指数性と周期性を利用して分割する。その結果、同
じ掛け算項がたくさんでき、これをうまく括弧でくくる
ことにより、合計の掛け算回数を大幅に減らすことがで
き、高速な処理が可能になる。
【0046】ここでは、FFTを、空間フィルタ法によ
り求めた時系列データA(t)に用いる。A(t)
({0≦t≦T})をフーリエ変換したものをA
(ω)とすると、このA(ω)の二乗平均値がパワ
ースペクトルとなる。そして、以下の数式(11)のよ
うな平均パワースペクトルP(ω)が求められる。そし
て、水面ゆらぎの情報を持った平均パワースペクトルを
得る(ステップS110)。
【0047】
【数11】
【0048】ここで、図4に、平均パワースペクトルの
時系列データの説明図を示す。この図は、観測時間内の
L点の時系列データをZ個のオーバーラップを許しなが
ら、1系列Q点のR個の時系列に分割し、それぞれ離散
フーリエ変換し、平均パワースペクトルを求めた。厳密
に言えば、平均パワースペクトルを求めるためには、数
式(11)に示されるようにTを無限大としなければな
らないが、FFT演算上の制限により不可能である。し
かし、Rを無限大とすることにより、パワースペクトル
は一定の分布に収束する。このため平均回数Rは、でき
るだけ大きくとる必要がある。
【0049】以上のようなデータ処理(解析)アルゴリ
ズムによって、測定対象の速度やサイズに応じて、空間
フィルタの波長を変化させ、レーザー光の反射像の速度
解析を行なった。
【0050】(3)特性評価装置 つぎに、本装置が、周波数既知の波により、どの程度の
周波数と振幅を検出する測定能力を持っているかを検討
するための特性評価について説明をする。
【0051】図5に、測定装置の特性評価装置の構成図
を示す。特性評価装置は、ピンポン玉20、オーディオ
・スピーカー21、正弦波発振器22、オーディオ・ア
ンプ23、シンクロ・スコープ24及び棒25を備え
る。正弦波発振器22からの信号をオーディオ・アンプ
23により増幅し、オーディオ・スピーカー21を駆動
する。オーディオ・スピーカー21のウーファー(直径
14.5cm)部分には、長さ14.8cmの軽量の棒(ストロ
ー)25を介して連結したピンポン玉20(直径3.5c
m)を取り付ける。
【0052】なお、光源部1からのレーザー光は、一例
として、例えば、ピンポン球20から15.3cm離れた位
置に入射させて評価を行ったが、レーザー光の入射位置
は、これに限られるものではなく、適宜の位置に入射さ
せてもよい。また、浴槽7の水の水位は、一例として、
例えば、34cmとしたがこれに限られるものではない。
【0053】図6に、ピンポン球と水面との関係につい
ての説明図を示す。特性評価においては、一例として、
ピンポン球20の半分が水面60より水中に入るように
オーディオ・スピーカー21を設置し、シンクロ・スコ
ープ24によりオーディオ・スピーカー21への入力電
圧を読み取った。以上のようなシステムを用いて、水面
に機械的な振動を発生させ、周波数特性と電圧特性を調
べる。ピンポン球20、棒25等は、一例にすぎず、適
宜のものを用いることができる。
【0054】上述のような特性評価装置による評価を行
うにあたって、まず、建物の振動等によるバックグラウ
ンドノイズの影響を調べた。すなわち、意図的に振動を
加えない時の解析を行うもので、機械的振動を一切加え
ず、水面には何も触れていない状態で2分間撮影した。
解析には、サイズ64×64pixels、サンプリング周波数30
Hzで2分間(3600flames)取り込んだ画像を用いた。空
間フィルタには、1.0波長(64pixels)、2.0波長(32pi
xels)のものを使用した。そして、512点のFFTを30
点のオーバーラップを許しながら、100回の平均パワー
スペクトルを得た。これにより、全てにおいて際立った
ピークが見られず、平坦なパワースペクトルが得られ
た。このパワースペクトルの際立ったピークが見られな
いことから、バックグラウンドノイズとしての建物の振
動による影響は、計測に関してほとんどないと言える。
【0055】つぎに、水面に機械的な振動を加えた場合
における周波数既知の波により、特性評価装置の周波数
に対する応答を調べた。オーディオ・スピーカー21へ
の入力電圧をシンクロ・スコープ24で確認しながら、
全周波数で3.4V一定とした。周波数を1.0Hzから10.0Hz
まで1.0Hzずつ増加させ、正弦波発振器22で与えた周
波数において、解析後にパワースペクトルのピークが得
られるか調べた。解析には、一例として、サイズ100×1
00pixels、サンプリング周波数30Hzで130秒間(3900fla
mes)取りこんだ画像を用いた。
【0056】図7に、周波数と強度との関係を表すパワ
ースペクトルの説明図を示す。この図は、図3における
投影分布をx軸方向、y軸方向それぞれ積算し、それら
の総和をとった時系列データA(t)の解析結果を表し
ている。この図は、オーディオ・スピーカー21への入
力電圧が3.4Vで周波数が5.0Hzとした場合、図中の矢印
のように、パワースペクトルのピークが5.0Hzとなった
ことを示している。他の周波数の場合も、ほぼ同様に、
正弦波発振器22で与えた周波数と同じ周波数でピーク
を示す。
【0057】なお、図7においては、一例として、投影
分布をx軸方向とy軸方向にそれぞれ積算し、それらの
総和をとった時系列データの解析結果を示しているが、
x軸方向又はy軸方向の一方について積算した時系列デ
ータの解析結果でも、同様に測定することができる。
【0058】なお、周波数によってピーク強度が明瞭に
示されない場合には、ひとつの対策として、空間フィル
タを変化させることで、さらに明瞭なピーク強度を測定
することができる。ここでは、例えば、周波数が1.0Hz
のときに明瞭なピーク強度が示されない状態がある場
合、空間フィルタを変えることで、明瞭なピーク強度を
測定できることを示した例を説明する。
【0059】図8に、空間フィルタの波長を変えた場合
の周波数と強度との関係を表すパワースペクトルの説明
図を示す。各図のいずれも周波数1.0Hzにおいての空間
フィルタが、(a)約1.5波長(66pixels)、(b)2.0波
長(50pixels)、(c)約2.5波長(40pixels)、
(d)3.0波長(33pixels)、(e)約3.6波長(28pixe
ls)、(f)4.0波長(25pixels)と変えた場合の解析
結果を表している。解析には、一例として、512点のF
FTを33点のオーバーラップを許しながら、100回の平
均パワースペクトルを得た。
【0060】図8(e)において、空間フィルタが約3.
6波長(28pixels)のとき、矢印で示したように、周波
数が1.0Hzでのパワースペクトルのピークが1.0Hzとなっ
たことを示している。このことから、レーザ反射光の最
大移動距離が28pixelsだということが考えられる。
【0061】なお、図8において各図とも、一例とし
て、投影分布をy軸方向に積算した時系列データの解析
結果を示しているが、x軸方向に積算した時系列データ
の解析結果でも、x軸方向、y軸方向それぞれ積算し、
それらの総和をとった時系列データの解析結果による結
果でも同様なものが得られる。
【0062】以上のように、空間フィルタを適宜のもの
に選択することで、所望のデータを検出することができ
る。
【0063】図9に、ピーク強度とスピーカーへの入力
電圧との関係についての説明図を示す。この図におい
て、丸印はx軸方向に積算した時系列データを用いた解
析結果を、四角印はy軸方向に積算した時系列データを
用いた解析結果を、ひし形印はx軸方向及びy軸方向に
それぞれ積算し、それらの総和をとった時系列データの
解析結果を表している。
【0064】この評価では、一例として、正弦波発振器
22からの周波数を5.0Hzとし、オーディオ・スピーカ
ー21への入力電圧を0.2Vから4.0Vまで0.2Vずつ増加さ
せた。また、解析には、一例として、サイズ100×100pi
xels、サンプリング周波数30Hzで130秒間(3900flame
s)取り込んだ画像を用いた。空間フィルタは、すべて
1.0波長(100pixels)とした。それぞれの時系列デー
タにおいて、512点のFFTを33点のオーバーラップを許し
ながら、100回の平均パワースペクトルを得た。図から
もわかるように、入力電圧とパワースペクトルのピーク
強度は、ほぼ直線関係にあることがわかる。これらによ
り、波のゆらぎ強度の定量評価の可能性が示された。
【0065】また、図7乃至図9に示したものと同様
に、x軸方向に積算した時系列データでも、y軸方向に
積算した時系列データでも、x軸方向、y軸方向それぞ
れ積算し、それらの総和をとった時系列データのいずれ
においても平均パワースペクトルを得ることができる。
【0066】なお、浴槽内の水位変化だけに対するレー
ザー光の反射光の垂直位置変化量の関係を調べると、浴
槽の水位変化に対して、レーザー反射光の垂直位置も線
形的に変化していることがわかった。
【0067】(4)入浴中の水面ゆらぎ計測 図10に、心拍数及び呼吸数の計測装置の説明図を示
す。この計測装置は、実際の心拍数及び呼吸数を測定す
る装置であり、図1に示した測定装置による入浴中の水
面ゆらぎ計測の解析結果と比較するための装置である。
この計測装置は、テレメータ心電計52、その送信機5
1、呼吸サーミスタ50、サーミスタ・アンプ53、P
Cカード式A/D変換器55、パーソナル・コンピュー
タ56及びシンクロ・スコープ54を備える。
【0068】心拍数を計測するテレメータ心電計52
は、無線方式のものを用いており、商用電源を用いず電
池によって送信機51を働かせるので、感電の恐れがな
く計測ができる。そして、送信機51から送られた心電
図(ECG)は、テレメータ心電計52のモニタに表示
されると共に、アナログ出力を外部に取り出すことがで
きる。呼吸数を計測するためには、呼吸サーミスタ50
を被験者70の鼻孔に留置した。この呼吸サーミスタ5
0は、Mo、Mn等の酸化物を焼結したもので半導体の
1つであり、金属とは逆に負の温度係数を持っており、
感度がよく、ここでは電池により駆動する。この呼吸サ
ーミスタ50の温度により抵抗値変化する特性を用い
て、呼吸サーミスタの両端の抵抗値を電位差として計測
し、サーミスタによる電圧変化をシンクロ・スコープ5
4により表示させた。テレメータ心電計52とサーミス
タのアナログ出力を、PCカード式A/D変換器55に
よりパーソナル・コンピュータ56に取り込み、解析結
果の比較値とした。サンプリング間隔は、一例として、
33msとし、9000点を取り込んだ。
【0069】浴槽内の湯温は、強制追焚付給湯器を用い
て入浴直前の温度を一例として、40℃一定とし、強制追
焚は行なわなかった。測定中、浴室内及び実験室の換気
扇はOFFとした。また、浴室内の温度は、23〜26℃、浴
槽内の湿度は、43〜68%であった。測定中の浴室内の明
るさは、一例として3.0ルクス、浴室外は、一例とし
て、26ルクスであった。テレメータ心電計52は、CM5
誘導(日本医師会, 健康運動のガイドライン, 医学書
院, pp.34−39(1994))により測定を行なった。
【0070】さらに、被験者70の呼吸によるパワース
ペクトルピークを明確にするために、メトロノームに合
わせて被験者の呼吸を一定にさせた。そして、被験者を
心臓位置まで浴槽に沈む姿勢を保たせた。レーザー光
は、各被験者の心臓位置の皮膚表面から3.0cm離れた
所に照射した。測定時間は、浴槽内で安静座位状態で5
分間として、CCDカメラのレンズは、望遠(20.0mm)
に調節し、心拍数、呼吸数の計測を行った。また、心拍
数、呼吸数の比較データ(心電図、サーミスタ)との同
期を図るため、浴室内の照明をOFFとすると同時に、画
像及び比較データの計測を開始した。
【0071】図11に、呼吸数及び心拍数のパワースペ
クトルの説明図を示す。図12に、図11の呼吸数に関
する拡大説明図を示す。
【0072】図11及び図12ともに解析に用いた画像
データは、一例として、サイズ100×100pixelsの画像を
30Hz(33.333…ms)で297秒間(8910flames)取り込ん
だものである。比較データは、サンプリング間隔33.0ms
で9000点の計測を行なったものを用いている。時系列デ
ータは、x軸方向を積算したもの、y軸方向を積算した
もの、x軸方向及びy軸方向それぞれに対して積算し、
それらの総和をとったものを用いている。画像データ
は、4096点のFFTを48点のオーバーラップを許しなが
ら、100回の平均パワースペクトルを得た。また、これ
らの図は、測定時間5分間での安静座位状態の解析結果
を表している。
【0073】図11において、(a)はテレメータ心電
計52により検出された心拍を、(b)はサーミスタ5
0により検出された呼吸を、(c)〜(f)は本発明の
水面ゆらぎ測定装置により解析された空間フィルタをそ
れぞれ(c)1.0波長(100pixels)、(d)2.0波長(50p
ixels)、(e)4.0波長(25pixels)、(f)5.0波長
(20pixels)、(g)10波長(10pixels)というように
変えた場合の結果を表している。時系列データはx軸方
向、y軸方向それぞれに対して積算し、それらの総和を
とったものを用いた。また、図12は、図11における
特に呼吸数についての比較を表している。
【0074】図11及び図12ともに画像解析結果に
は、空間フィルタの波長が(g)10波長以外のものに
は、比較値と同周波数付近に際立ったピークが見られ
る。図11の図中、RRは呼吸数のパワースペクトル
を、HRは心拍数のパワースペクトルをそれぞれ矢印で
表している。今回の実験については空間フィルタの波長
が、4.0波長と5.0波長が、特に有効であった。雑音も少
なく、比較値とほぼ同じ周波数に際立ったピークが見ら
れ、これは、今回用いた動画像のサイズ、反射光の大き
さ及び移動距離によるものであると考えられる。解析に
用いた動画像は、一例として、サイズ100×100pixels、
サンプリング周波数30Hzであり、空間フィルタの正弦波
の1波長が25pixels又は20pixelsである。空間フィルタ
の原理から、計測対象(ここでは、心拍数と呼吸数)の周
波数と同周波数の画像における時系列データ値の絶対値
が大きければ、際立ったピークの検出が可能であるから
である。
【0075】つぎに、図13に、周波数と強度との関係
を対数で表したパワースペクトルの説明図を示す。
【0076】これは、マッサージ運動など常に動いてい
る行動状態(図中右側)及び、マッサージ後の浴槽内で
の座位している安静状態(図中左側)において、行動量
の比較を行なったものである。解析に用いた画像データ
は、一例として、サイズ100×100pixelsの画像をサンプ
リング周波数30Hzで297秒間(8910flames)取り込んだ
ものである。空間フィルタは、1.0波長(100pixels)のも
のを用いて、x軸方向、y軸方向にそれぞれ積算し、そ
れらの総和をとった。この8910点の時系列データにおい
て、4096点のFFTを48点のオーバーラップを許しなが
ら、100回の平均パワースペクトルを得た。この周波数
とパワースペクトルの自然対数をとり、線形回帰直線を
用いてフィッティングを行なった。
【0077】このような解析の結果について、回帰直線
を求めて比較する。すなわち、回帰直線を、Y=M0+
M1*Xとして求めた場合(回帰直線は、図中破線参
照)、傾きM1は、次のようになる。被験者T.Oの場
合、行動状態(右側)では-1.1147、安静状態(左側)
では-1.0275であった。また、図13(B)に示される
ように、被験者K.Sの場合、行動状態では-1.1142、
安静状態では-1.0397であった。このように、被験者の
回帰直線の傾きを比較すると、行動状態(右側)の方の
傾きが、安静状態(左側)より、常に大きくなってい
る。この傾向はすべての被験者に見られた。すなわち、
行動量が多い時には、周波数とパワースペクトルの関係
における回帰曲線の傾きが大きくなることが分かる。
【0078】行動量によって、以下の点を計測すること
ができる。 (1)浴槽内での被検査者の行動強さの評価から、動い
ているかどうかがわかる。 (2)一般的に入浴中にはマッサージや顔洗いなどの行
動を行うが、その頻度や強さを評価できる。 (3)逆に、浴槽内で失神して被検査者が動かなくなっ
ている場合には、パワースペクトラムの傾きが水平に近
くなる。 (4)被検査者が水中に沈んでしまい、立ち上がれなく
なりもがいている場合は、一時的に水面ゆらぎが非常に
大きくなると考えられる。つまり、パワースペクトラム
の傾きが強くなる。 (5)被検査者が精神的にひどく疲れている場合、浴槽
内では動かない傾向がある。逆に、気分が良く、心身と
もに快適なときは鼻歌を歌ったり、マッサージ運動を行
う。そのため、パワースペクトルの傾きを計算すれば、
被検査者のストレスを評価できる。
【0079】以上のように、本発明によると、動画像処
理によって心拍数と呼吸数と行動量を計測できることが
わかる。また、入浴中の水面ゆらぎには、心拍数、呼吸
数及び行動量等の情報が含まれており、それらの計測が
可能であることもわかる。また、安静座位状態における
計測だけでなく、入浴中にマッサージなどの行動を行っ
た場合でも心拍数と呼吸数を計測することは可能であ
る。さらに、本発明によると、水面にゆらぎを与えるも
のに関しては、心拍、呼吸以外の生理量等の身体に関す
る情報や、身体に関する情報に限らず、例えば、機械的
な振動等の水面にゆらぎを与える適宜の情報の測定に応
用できる。さらに、本発明の応用としては、ダム、貯水
池(湖)、港、プール等における水位監視や、酒、しょ
うゆ等の発酵製品の炭酸ガス発生状況(発砲状況の把
握)等におけるゆらぎ監視等がある。
【0080】
【発明の効果】本発明によると、水面に発生する波(水
面ゆらぎ)にどのような情報が含まれるかを動画像計測
・処理により解析・検討することができ、入浴中の人の
行動を無拘束状態で評価することができる。
【0081】また、本発明によると、水面上の微小なゆ
らぎから水位変動まで高精度に計測可能とすること(広
ダイナミックレンジ及び高精度)ができる。また、本発
明によると、光源からの鏡面反射光をビデオカメラで撮
影するだけであり、設置を簡単とすることができる。さ
らには、本発明によると、フローターなどを用いない非
接触式とすることで(非接触計測法)、センサー部分を
汚すことなく、メンテナンスを不要とすることができ
る。
【0082】さらに、本発明によると、入浴中の水面ゆ
らぎを完全な無拘束状態で計測するために、半導体レー
ザー光を水面に入射させ、その反射光を撮影し、動画像
計測・処理により解析を行い、半導体レーザー光の反射
像を撮影し、実画像ではなく処理データにより解析を行
なうことにより、個人のプライバシーを保護することが
できる。また、本発明によると、一般家庭での諸生理量
の無拘束計測を容易にすることができる。
【0083】さらに、本発明によると、空間フィルタ
法、FFTについて並列計算システム等を用いること
で、またはラインセンサアレイと電子回路による処理を
用いることで、より高速でリアルタイム処理を可能とし
た測定装置及び測定方法を提供することができる。ま
た、本発明によると、リアルタイム処理により、インタ
ーネットの普及を背景に、高齢化社会にも対応した在宅
医療システムへの応用を可能とした測定装置及び測定方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水面ゆらぎ測定装置の構成図。
【図2】処理部におけるデータ処理のフローチャート。
【図3】空間フィルタの説明図。
【図4】平均パワースペクトルの時系列データの説明
図。
【図5】測定装置の特性評価装置の構成図。
【図6】ピンポン球と水面との関係についての説明図。
【図7】周波数と強度との関係を表すパワースペクトル
の説明図。
【図8】空間フィルタの波長を変えた場合の周波数と強
度との関係を表すパワースペクトルの説明図。
【図9】ピーク強度とスピーカーへの入力電圧との関係
についての説明図。
【図10】心拍数及び呼吸数の計測装置の説明図。
【図11】呼吸数及び心拍数のパワースペクトルの説明
図。
【図12】図11の呼吸数に関する拡大説明図。
【図13】周波数と強度との関係を対数で表したパワー
スペクトルの説明図。
【図14】入浴状態の説明図。
【図15】入浴状態と湯量との関係についての説明図。
【符号の説明】
1 光源部 2 受光部 3 録画部 4 処理部 5 表示部 6 壁面 7 浴槽 31 記憶部 32 データ処理部 33 A/D変換部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水面に出力光を照射する光源と、 前記光源からの出力光が水面により反射された光を受光
    し、反射位置を含む2次元画像データを出力する受光部
    と、 前記受光部から出力された2次元画像データに基づい
    て、2次元座標の一方又は両方の軸方向についての1次
    元投影分布に空間フィルタをかけることにより、水面ゆ
    らぎに含まれる情報を解析する処理部とを備えた水面ゆ
    らぎ測定装置。
  2. 【請求項2】前記処理部は、 水面からの反射光の反射位置を含む2次元画像データを
    取り込む手段と、 取り込まれた2次元画像データに基づき、一方又は両方
    の軸方向について、該2次元画像データの輝度の和をと
    った1次元投影分布を計算する手段と、 計算された1次元投影分布に、所定波形の空間フィルタ
    をかけることにより、積算データを求める手段と、 求められた積算データについて所定期間の総和をとり、
    複数の時系列データを求める手段と、 求められた複数の時系列のデータを、それぞれフーリエ
    変換する手段と、 フーリエ変換された複数の時系列データに基づいて、平
    均パワースペクトルを計算し、水面ゆらぎに含まれる情
    報を求める手段とを備えたことを特徴とする請求項1に
    記載の水面ゆらぎ測定装置。
  3. 【請求項3】前記処理部で解析される水面ゆらぎに含ま
    れる情報は、 水中に少なくとも一部がある身体からの呼吸、心拍、行
    動量、又は、これら複数であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の水面ゆらぎ測定装置。
  4. 【請求項4】前記光源は、スポット光を出力し、 前記受光部は、該スポット光の動きを離散的に受光し、
    所定期間内に受光したひとつ又は複数のスポットをひと
    つの2次元画像データとして複数フレームを出力するこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水面
    ゆらぎ測定装置。
  5. 【請求項5】水面により反射された光を投影する面をさ
    らに備え、 前記受光部は、前記面の画像を受光するように配置され
    たことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の
    水面ゆらぎ測定装置。
  6. 【請求項6】前記受光部は、光源からの光が水面により
    反射された光を受光する代わりに、水面により屈折され
    て透過した光を受光し、透過位置を含む2次元画像デー
    タを出力するようにしたことを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれかに記載の水面ゆらぎ測定装置。
  7. 【請求項7】水面からの反射光の反射位置を含む2次元
    画像データを取り込むステップと、 取り込まれた2次元画像データに基づき、一方又は両方
    の軸方向について、該2次元画像データの輝度の和をと
    った1次元投影分布を計算するステップと、 計算された1次元投影分布に、所定波形の空間フィルタ
    をかけることにより、積算データを求めるステップと、 求められた積算データについて所定期間の総和をとり、
    複数の時系列データを求めるステップと、 求められた複数の時系列のデータを、それぞれフーリエ
    変換するステップと、 フーリエ変換された複数の時系列データに基づいて、平
    均パワースペクトルを計算し、水面ゆらぎに含まれる情
    報を求めるステップとを備えた水面ゆらぎ測定方法。
  8. 【請求項8】前記時系列データはx軸方向の1次元投影
    分布又はy軸方向の1次元投影分布のいずれか、又は、
    x軸方向の1次元投影分布とy軸方向の1次元投影分布
    との総和に基づいて求められることを特徴とする請求項
    7に記載の水面ゆらぎ測定方法。
  9. 【請求項9】Lフレームの2次元画像データに対応する
    L点の時系列データを、1系列Q点の時系列データとし
    て、必要に応じてオーバーラップすることで、R個に分
    割し、 1系列Q点に分割されたR個の時系列データについて、
    高速フーリエ変換を用いて平均パワースペクトルを求め
    るようにしたことを特徴とする請求項7又は8に記載の
    水面ゆらぎ測定方法。
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