JP2000292594A - 放射性廃棄物の溶融処理装置および処理方法 - Google Patents

放射性廃棄物の溶融処理装置および処理方法

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JP2000292594A
JP2000292594A JP11099072A JP9907299A JP2000292594A JP 2000292594 A JP2000292594 A JP 2000292594A JP 11099072 A JP11099072 A JP 11099072A JP 9907299 A JP9907299 A JP 9907299A JP 2000292594 A JP2000292594 A JP 2000292594A
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slag
furnace
solidified
radioactive waste
melting
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Naotada Yoshida
直嗣 吉田
Tsutomu Tanaka
努 田中
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炉壁の熱変形を抑制し、放射能で汚染されたス
ラグなどを周囲に飛散させず、固化金属をそのままの大
きさで保管でき、新たな二次放射性廃棄物の発生を減ら
せる溶融処理装置および処理方法の提供。 【解決手段】内部が水冷された導電性材料からなる炉壁
2および内部が水冷され昇降可能な炉底3で構成された
炉体1の上方に、廃棄物装入装置13、反応剤供給装置
21、内部が水冷され昇降可能なスラグ冷却装置9およ
び固化スラグ回収装置12を備え、炉壁2の外周に高周
波コイル4を備え、高周波コイルに対向する炉壁2には
スリット24を配置し、これらの炉体、高周波コイル、
廃棄物装入装置、反応剤供給装置、スラグ冷却装置、固
化スラグ回収装置などが、一つの容器14内に配置され
ている溶融処理装置およびその装置を用いる処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射性廃棄物を溶
融し、固化金属および固化スラグなどを回収する溶融処
理装置およびその装置を用いる処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電力による金属の溶融には、たとえば、
耐火物などで構成される炉壁を備える誘導溶解炉などが
用いられる。耐火物製の炉壁が用いられるのは、耐熱性
があることと、断熱性が高いために金属の溶融が効果的
に行えるからである。しかし、金属が放射能に汚染され
ている場合には、耐火物が放射能で汚染される。そのた
め、耐火物の定期的な交換時に、新たな二次放射性廃棄
物が発生する。
【0003】近年、放射能で汚染された金属などの放射
性廃棄物を溶融し、管理すべき放射性廃棄物の体積や重
量を減らす方法として、内部が水冷された炉壁や炉底な
どで構成される、いわゆる、冷却坩堝(コールドクルー
シブル)を用い、誘導加熱装置により放射性廃棄物を溶
融する方法が採られている。この冷却坩堝の炉壁は、電
気的にお互いに絶縁され、内部が水冷された導電性材料
の複数のセグメントを連結することによって構成されて
いる。このような炉壁の外周に配置した通電コイルに高
周波電流を通電すると、冷却坩堝内の金属には誘導電流
が発生する。発生した誘導電流によるジュール熱によっ
て、金属などが溶融する。冷却坩堝では、耐火物の炉壁
などを用いないので、新たな二次放射性廃棄物としての
耐火物は発生しない。
【0004】このような冷却坩堝方式では、放射性廃棄
物を溶融した後の溶融金属や溶融スラグを固化する方法
として、当初、冷却坩堝を傾動し、溶融金属やスラグを
造塊用鋳型などに注入して固化する方法が採られてい
た。しかし、溶融金属やスラグを注入するときに、ヒュ
ームやダストが大量に発生する。したがって、環境保全
のために過大な集塵装置および排ガス処理装置が必要に
なるなどの問題があった。さらに、造塊用に用いられる
湯道などの耐火物が新たな二次放射性廃棄物になるとい
う問題があった。
【0005】特開平5−157897号公報では、炉壁
の外周に高周波コイルを備えた冷却坩堝に放射性破棄物
を連続して装入しながら、溶融した後、冷却坩堝の底部
に備えた引抜き棒を下方に連続的に引抜きながら、溶融
金属などを固化し、固化金属およびスラグを取り出す方
法が提案されている。
【0006】図4は、この特開平5−157897号公
報で提案された放射性廃棄物の連続処理装置の概要を説
明する模式図である。炉体1の上部の廃棄物装入口から
放射性廃棄物6を連続的に装入し、炉壁2の外周に備え
た高周波コイル4に通電して、廃棄物を溶融する。溶融
金属7および溶融スラグ8は、炉体1の下方に連続的に
引き抜かれるとともに、固化する。
【0007】この方法では、溶融金属やスラグを造塊し
ないので、過大な集塵装置や排ガス処理装置は不要であ
る。また、造塊用に用いる耐火物などの新たな二次放射
性廃棄物は発生しない。
【0008】しかし、この方法では、固化金属10の周
囲に固化スラグ11が付着した状態の鋳塊となるので、
その後の鋳塊の取り扱いを容易にするためには、鋳塊表
面に付着したスラグを破砕する必要がある。このとき、
放射能で汚染されたスラグが周囲に飛散するという問題
がある。
【0009】また、同一の炉体で溶融処理と固化処理が
連続して行なわれるため、炉体の炉壁などが熱変形しや
すい。熱変形しやすいのは、炉体の炉壁の構造が分割さ
れた構造になっていることも一因である。炉体の炉壁に
熱変形が生じると、極端な場合には、引き抜きができな
くなったり、まだ固化していない金属やスラグなどが、
炉体外に漏れる事故が発生するという問題がある。
【0010】さらに、固化金属を所定の大きさに揃えて
保管する必要があることから、引き抜かれた鋳塊を所定
の長さに切断する必要がある。鋳塊の切断方法には、鋸
等を用いて機械的に切断する方法やレーザやプラズマト
ーチにより溶断する方法がある。鋸により切断する場合
には、屑、鋸、切削用の水、油などが管理すべき新たな
二次放射性廃棄物となる。また、レーザなどで溶断する
場合には、ダストなどの新たな二次放射性廃棄物が発生
するという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、内部が
水冷された炉壁や炉底で構成される炉体を用いる従来の
放射性廃棄物の溶融および固化の処理には、次に示すよ
うな問題点がある。 連続して溶融し、連続して引き抜きする場合、炉体の
炉壁が熱変形し、引抜きが困難になったり、溶融金属な
どが炉体外に漏れる場合がある。 溶融金属と溶融スラグを連続して引き抜き、固化した
鋳塊の表面に付着したスラグを破砕するとき、放射能で
汚染されたスラグが周囲に飛散する。また、引き抜いた
鋳塊を所定の長さに機械的またはレーザなどで切断する
とき、放射能で汚染された屑や鋸などが発生する。上述
のように、管理すべき新たな二次放射性廃棄物が発生す
る。
【0012】本発明は、放射性廃棄物を溶融および固化
処理するとき、固化金属や固化スラグを溶融処理装置外
に取り出したままで保管でき、管理すべき新たな二次放
射性廃棄物の発生を極力減らすことができる溶融処理装
置およびその溶融処理装置を用いた処理方法の提供を目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)に示す放射性廃棄物の溶融処理装置および(2)
に示すその溶融処理装置を用いた処理方法にある。
【0014】(1)下記〜に示す特徴を備える溶融
処理装置(図1〜図3参照)。 炉体1は、内部が水冷された導電性材料からなる炉壁
2および内部が水冷され昇降可能な炉底3で構成されて
いること。 炉体1の上方には、廃棄物装入装置13、反応剤供給
装置21、内部が水冷され昇降可能なスラグ冷却装置9
および炉体1の中心軸に向かって水平方向に移動可能な
固化スラグ回収装置12を備えていること。 炉壁2の外周には、高周波コイル4を備えているこ
と。 炉壁2の高周波コイル4に対向する部分には、高周波
コイル4の巻き方向と交差する方向のスリット24を備
えていること。 これらの炉体1、高周波コイル4、廃棄物装入装置1
3、反応剤供給装置21、スラグ冷却装置9および固化
スラグ回収装置12が、雰囲気調整が可能な一つの容器
14内に配置されていること。
【0015】(2)上記(1)に記載の溶融処理装置を
用いる処理方法であって、廃棄物装入装置を用いて放射
性廃棄物を炉体内に装入し、高周波コイルに高周波電流
を通電し、放射性廃棄物を溶融後、または、溶融途中
に、反応剤供給装置を用いて反応剤を炉体内に供給し、
放射性廃棄物を溶融した後、高周波電流の通電を停止
し、スラグ冷却装置を下方に移動して溶融スラグに接触
させて溶融スラグを固化し、炉底を上方に移動した後、
固化スラグ回収装置により小片状スラグを回収し、その
後、固化金属および固化スラグを溶融処理装置外に取り
出す放射性廃棄物の処理方法。
【0016】本発明者らは、前述の本発明の課題を、次
のようにして解決した。 (a)炉体の炉壁が熱変形したり、溶融金属などが炉体
外に漏れる事故の防止対策として、放射性廃棄物の溶融
の後に、同一の炉体内で溶融した放射性廃棄物を固化さ
せる。その後、固化させた炉体内の放射性廃棄物を取り
出した後、新たな放射性廃棄物を炉体内に装入して、溶
融する。すなわち、炉体の炉壁は、いったん冷却される
ので、熱変形しにくく、炉壁と炉底との間に隙間ができ
にくい。したがって、溶融金属などが炉体外に漏れるこ
ともない。
【0017】(b)固化金属の表面に付着する固化スラ
グを処理する際に、放射能で汚染されたスラグが周囲に
飛散することの防止対策として、次のようにスラグを処
理する。炉体内で放射性廃棄物を溶融した後、炉体の上
部にあるスラグ冷却装置を下方に移動して溶融スラグに
接触させ、溶融スラグを固化する。スラグ冷却装置を溶
融スラグに接触させることにより、溶融スラグの冷却を
促進させる。
【0018】このとき、表層部の固化スラグが急冷され
るため、その一部が小片状スラグとなる。その後に、炉
底を上方に移動させた上で、固化スラグ回収装置により
炉体内で小片状スラグを回収する。残りの固化スラグ
は、固化金属とともに溶融処理装置外に取り出す。
【0019】(c)管理すべき新たな二次放射性廃棄物
の発生を極力減らす対策として、炉体の構造を内部が水
冷された炉壁や炉底などで構成する構造とし、また、同
じ炉体内で放射性廃棄物を溶融し、かつ固化させ、ま
た、炉底を上方に移動させた上で、固化金属および固化
スラグを炉体外に取り出す。取り出した固化金属および
固化スラグは、そのままの大きさで保管できる。
【0020】(d)さらに、本発明の方法では、溶融時
に反応剤を反応剤供給装置により炉体内に供給して、放
射性廃棄物に含まれる放射性核種を金属またはスラグの
いずれかの相に移行させることなどにより、管理すべき
放射性廃棄物の体積や重量を減らすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の溶融処理装置お
よびその装置を用いる処理方法を説明する。図1は、本
発明の放射性廃棄物の溶融処理装置の例を示す模式図で
ある。炉体1は、内部が水冷された導電性材料からなる
炉壁2および内部が水冷された炉底3などで構成され
る。
【0022】内部が水冷された炉壁2を構成する導電性
材料としては、銅合金がよい。銅合金は熱伝導率が高
く、効率よく水冷できるため、炉壁自体が誘導加熱され
温度上昇することを抑制でき、また、溶融金属などを急
速に固化できる。また、銅合金は、溶融スラグなどと反
応しにくいので浸食されにくい。
【0023】炉壁2の水平方向の断面形状は、とくに限
定するものでないが、後述する固化スラグ回収装置12
の取り扱いの容易さ等から、円形とするのがよい。
【0024】図2は、炉壁2の水平方向の断面形状が円
形の場合の炉壁の横断面構造を模式的に示す図である。
炉壁は、スリット24により複数に分割された構造と
し、分割された個々の炉壁部分23には、通水するため
の冷却水用孔25を備える。これらスリット24を炉壁
に備えることにより、炉壁の外周に備えた高周波コイル
4を作用させる際に、炉体内の放射性廃棄物の金属の表
面に、誘導電流が流れるようになる。このスリット24
の隙間の寸法は、とくに限定しないが、0.2mm程度
でよい。溶融金属などが、炉体1から外部に漏出しない
程度の隙間であればよい。炉壁2において、スリット2
4を備える範囲は、少なくとも高周波コイル4を取り付
ける範囲に相当する炉壁の領域とするのがよい。
【0025】炉壁2の水平方向の横断面形状が円形の場
合の直径は、炉壁の上部になるほど、大きくすることが
望ましい。後述するように固化金属などを炉体の上部に
移動させて炉体外に取り出すためである。炉壁2の大き
さ、厚みなどは、処理する放射性廃棄物の大きさ、量、
処理能力などにより決定すればよい。なお、試験に用い
た装置のサイズなどについては、後述のとおりである。
【0026】図1に示す内部が水冷された炉底3は、炉
底の昇降装置5により上下方向の移動が可能であり、固
化金属や固化スラグを炉体1の上部まで押し上げること
ができる。炉底3の上面に備えられた炉底配置板27
は、その一部が溶融金属7と融着することにより、炉壁
2と炉底3との隙間から、溶融金属7が流出することを
防止する役割を持つ。炉底3の材質は、とくに限定しな
いが、炉壁2と同じ銅合金がよい。溶融金属などを急速
に固化できるからである。
【0027】炉体1の上部には、廃棄物装入装置13お
よび反応剤供給装置21を備えており、遠隔操作で放射
性廃棄物や反応剤22を炉体1内に供給できる。また、
炉体1の上部の内部が水冷されたスラグ冷却装置9は、
溶融スラグの冷却を促進するための装置であり、スラグ
冷却装置の昇降装置19により、炉体内を上下方向に移
動が可能である。
【0028】炉壁の上部にある固化スラグ回収装置12
は、冷却促進時に小片状となったスラグを回収して溶融
処理装置外に取り出すための装置であり、固化スラグ回
収装置の移動装置20により、炉体1の垂直方向の中心
軸に向かって移動可能とする。移動後、炉体の上部にあ
る固化スラグの外周を効果的に取り囲めるように、この
回収装置は複数配置するのがよい。配置する基数は、と
くに限定しないが、2つでもよい。炉壁2の水平方向の
断面形状を円形とした場合には、固化スラグなどの水平
方向の断面形状は円形になるので、固化スラグ回収装置
12の内の固化スラグなどと接する部分の水平方向の断
面形状は、円弧状とするのがよい。
【0029】上述する炉体、高周波コイル、廃棄物装入
装置、反応剤供給装置、スラグ冷却装置および固化スラ
グ回収装置などを、雰囲気調整が可能な同一の容器14
内に配置する。放射性廃棄物の溶融処理および固化処理
を安全に行うためである。容器14の上部は、移動でき
る構造とするのがよい。上述した各装置の保守、点検、
修理や後述するように、固化金属やスラグを溶融処理装
置外に取り出すためである。また、容器14には、真空
排気装置26、不活性ガス供給装置15および排気装置
16を備えるのがよい。雰囲気調整を行うためである。
【0030】容器14の外に備えた冷却水供給装置18
から、容器14内の冷却が必要な炉壁2、高周波コイル
4、炉底3、炉底の昇降装置5、スラグ冷却装置9、ス
ラグ冷却装置の昇降装置19などに冷却水を供給する。
【0031】次に、本発明の処理方法を説明する。図3
は、炉体内に装入した放射性廃棄物の溶融および固化処
理の状況を模式的に示す図である。図3(a)は、放射
性廃棄物6が廃棄物装入装置13により炉体1内に装入
された状態を示す図である。放射性廃棄物には、木材な
どの可燃物、ビニールシートなどの難燃物、金属を含む
コンクリートなどの不燃物などが混在している。これら
放射性廃棄物は炉体1の大きさに合わせて、事前に細か
く分断するのがよい。
【0032】図3(b)に示すように、高周波コイル4
に高周波電流を通電することにより、放射性廃棄物6の
内の金属の温度が上がり、溶融する。その後、その他の
放射性廃棄物6が溶融する。溶融スラグ8の比重は、溶
融金属7の比重より小さいため、溶融金属7の上部に溶
融スラグ8の層が形成される。
【0033】図3(c)に示すように、放射性廃棄物が
全て溶融した後、高周波電源17の出力を下げ、その
後、通電を停止する。このとき、溶融金属7と溶融スラ
グ8は固化し始める。次に、スラグ冷却装置9を下方に
移動して、スラグ冷却装置9の先端に表面が固化したス
ラグを接触させる。溶融スラグ8が完全に固化するとと
もに、急激な冷却により固化スラグ11の表層部の一部
が小片状となる。小片状スラグは、スラグ冷却装置9で
押さえられているので飛散しにくい。
【0034】図3(d)に示すように、溶融金属7およ
び溶融スラグ8が完全に固化した後、炉底3を上方に移
動させるとともに、固化スラグ11を押さえているスラ
グ冷却装置11も、炉底3の移動に同期して上方に移動
させる。上方への移動が停止した固化スラグ11の周囲
に、固化スラグ回収装置12を移動させ、小片状スラグ
を回収する。回収した小片状スラグは、遠隔操作により
容器内14で専用の小型の保管箱(図示していない)に
回収するのがよい。
【0035】その後、固化金属10と残りの固化スラグ
11および上述した小型の保管箱を容器14の系外に取
り出す。これら固化金属や固化スラグを溶融処理装置外
に取り出す際には、容器14の上部を移動して取り外し
た後に、専用のクレーンなどで取り出すのがよい。
【0036】
【実施例】図1に示す装置構成の本発明の溶融処理装置
および図4に示す従来の溶融処理装置を用いて、放射性
廃棄物を溶融、固化および固化物の取り出しの試験を行
った。試験に用いた本発明の溶融処理装置の仕様を表1
に、従来の溶融処理装置の仕様を表2にそれぞれ示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】本発明の溶融処理装置を用い、かつ、本発
明の処理方法を行う試験を2種類、従来の溶融処理装置
を用いた試験を1種類、それぞれ実施した。試験条件お
よび試験結果を下記に説明する。各種類の試験では、す
べて各20ヒートを目標に溶融処理、固化処理および固
化物の取り出しの試験を行った。ただし、従来の溶融処
理装置を用いた試験は、連続した溶融、固化および引き
抜き処理であるので、本発明の試験の20ヒート分の溶
融処理量を目標に、連続して試験した。
【0040】(実施例1)原子力施設の解体時に、放射
性廃棄物として発生することが予想されるステンレス鋼
製の蒸気発生管を溶融すること想定して、図1に示す構
成の本発明の炉体を用いて、放射性を帯びていないステ
ンレス鋼製の蒸気発生管を溶融、固化し、固化物を取り
出す試験を行った。以下に説明する試験条件で20ヒー
ト試験を行った。
【0041】まず、炉壁、炉底および高周波コイルに冷
却水を供給し、容器内を真空排気装置により約20分間
減圧し、容器内の雰囲気圧力を0.1Pa以下で5分間
保持した。このとき、容器内にArガスを100リット
ル/分の速度で供給し、雰囲気圧力が大気圧より50h
Paを超えて高くならないように調整して保持した。廃
棄物装入装置から炉体内に、合計重量が20kgの細か
く解体した蒸気発生管を装入した。次に、高周波電源の
出力を徐々に増加し、最終的に実効値が2kAの高周波
電流を高周波コイルに通電した。
【0042】約1分間の通電で、当初装入した蒸気発生
管の一部が溶融し始めたため、さらに、合計重量が20
kgの細かく解体した蒸気発生管を徐々に炉体内に装入
した。通電を開始してから約15分後には、蒸気発生管
は完全に溶融した。放射温度計による計測では、溶融金
属の表面の温度は約1750℃であった。
【0043】次に、放射性核種を溶融金属から溶融スラ
グに移行させることを想定して、溶融スラグを生成させ
ることを目的に、反応剤供給装置から、重量%でSiO
2 30%、CaO30%、Al2 3 20%、残部Fe
2 およびMnOを主組成とする酸化物の混合物を2.
5kg炉体内の溶融金属に添加した。添加後に溶融した
スラグが形成された。高周波電源の出力を10分間保持
した後、通電を停止した。溶融金属が炉体外に漏れるこ
とはなく、安定した溶融処理を行うことができた。
【0044】通電を停止した後に、溶融スラグの表面が
固化し始めた。スラグ冷却装置を下降させ、この装置の
先端を固化し始めたスラグに押しつけ、まだ溶融してい
るスラグを強制的に固化させた。このとき、溶融してい
るスラグが急冷されるため、スラグの一部が小片状にな
った。スラグの一部が小片状になるとき、スラグ冷却装
置がスラグの上部を押さえているために、小片状スラグ
が周囲に飛び散ることはなかった。
【0045】溶融金属も固化した後、炉底を上方に移動
させ、同時に、スラグ冷却装置も固化スラグを押さえな
がら上方に移動させた。このとき、固化スラグ回収装置
を前進させ、小片状スラグを回収した。回収した小片状
スラグを、直径400mm、高さ400mmの円筒状の
小型の保管箱に容易に回収できた。
【0046】その後、容器の上部を移動させて、上述の
小型の保管箱、固化金属および残りの固化スラグを、ク
レーンにより炉体および容器の上方から安定して容易に
取り出すことができた。上述したような作業を20ヒー
トとも同様に実施できた。
【0047】試験終了後、炉体の炉壁および炉底を観察
したところ、変形などはなく、溶損などの発生もなかっ
た。その他の各装置などの損傷なども起こらなかった。
【0048】(実施例2)図1に示す構成の本発明の炉
体を用い、模擬の放射性廃棄物とし、Sr、Csおよび
Ceを含有する酸化物およびステンレス鋼製の蒸気発生
管を用い、実施例1とほぼ同様の条件で溶融と固化の処
理および取り出しの試験を行った。また、試験は20ヒ
ート行った。実施例1と違う試験条件を下記に説明す
る。
【0049】溶融しにくい酸化物を含んだ放射性破棄物
廃棄物の溶融処理を行うことから、初期の溶融を容易に
するために、まず、炉体内に合計重量が25kgの細か
く解体した蒸気発生管を装入し、高周波電源の出力を徐
々に増加し、最終的に実効値が2kAの高周波電流を高
周波コイルに通電した。
【0050】約1.5分間の通電で、蒸気発生管の一部
が溶融し始めたため、合計重量が5kgの上述した酸化
物および合計重量が15kgの細かく解体した蒸気発生
管を徐々に追加装入した。通電を開始してから、約15
分後には、装入した蒸気発生管および酸化物が完全に溶
融し、溶融金属の上部に溶融スラグが形成された。
【0051】次に、放射性核種を溶融金属から溶融スラ
グに移行させることを目的に、実施例1で用いたのと同
じ主成分の酸化物を添加した。添加直後に完全に溶融ス
ラグが形成された。高周波電源の出力を10分間保持し
た後、通電を停止した。溶融金属が炉体外に漏れること
はなく、安定した溶融処理を行うことができた。
【0052】その後、実施例1と同様の手順で、固化ス
ラグを破砕して後、回収した。また、その後、分割でき
る容器の上部を移動させて、小片状スラグを入れた小型
の保管箱、固化金属および残りの固化スラグを、安定し
て容易に容器外に取り出すことができた。上述したよう
な作業を20ヒートとも同様に実施できた。
【0053】回収したスラグおよび金属を分析したとこ
ろ、当初装入した酸化物に含まれたSr、CsおよびC
eの全量がスラグ中に存在することが確認できた。模擬
試験ではあるが、溶融時に反応剤を反応剤供給装置によ
り炉体内に供給して、放射性核種を金属またはスラグの
いずれかの相に移行させることができることが確認でき
た。
【0054】試験終了後、炉体の炉壁および炉底を観察
したところ、変形などはなく、溶損などの発生もなかっ
た。その他の各装置などの損傷なども起こらなかった。
【0055】実施例1および実施例2ともに、各ヒート
毎に、溶融処理後の固化金属や固化スラグを容器外に取
り出して後に、新たな放射性廃棄物想定のステンレス鋼
製の蒸気発生管を炉体内に装入したが、たとえば、廃棄
物装入装置や固化スラグ回収装置などの容量を大きくし
て、また、容器内に固化金属やスラグを仮置きできる程
度に容器の容量を大きくしておけば、容器を開閉するこ
となく数ヒートの溶融処理を連続して行うことができ
る。
【0056】(実施例3)図4に示す構成の従来の炉体
を用い、放射性を帯びていないステンレス鋼製の蒸気発
生管の溶融、固化の試験を実施例1の20ヒート分の溶
融処理量を連続処理する目標で試験した。この装置で
は、蒸気発生管を連続的に炉体内に装入でき、また、溶
融金属および溶融スラグは炉体の下方に連続的に引き抜
くことができる。その後、溶融金属および溶融スラグは
固化される。
【0057】細かく解体した蒸気発生管を2.2kg/
分の供給速度で連続的に炉体内に装入し、また、実施例
1で用いた酸化剤の混合物を0.1kg/分の速度で連
続的に供給し、蒸気発生管を溶融した。その後、溶融金
属および溶融スラグを引き抜き速度10mm/分で連続
的に引き抜きながら、これら溶融金属および溶融スラグ
を固化させた。固化金属の周囲に固化スラグが付着した
鋳塊が得られた。溶融に際しては、溶融金属が炉体外に
漏れることはなく、安定した溶融処理を行うことができ
た。
【0058】この鋳塊を300mm毎に鋸切断機で切断
し、得られた個々の鋳塊を搬送して、格納室に収納し
た。上述したような作業を14ヒートまで、同様に安定
して実施できた。また、連続的に溶融金属などを固化さ
せ、その後切断することまでは、安定して実施すること
ができた。
【0059】ただし、固化金属の周囲に固化スラグが付
着した鋳塊を、鋸切断機で切断するために移動させると
き、金属の屑やスラグが容器内の底部に飛散した。
【0060】さらに、15ヒート目の試験中に、鋳塊を
引き抜くときの引き抜き抵抗が著しく増大し、結局、引
き抜きが困難になった。連続して溶融処理および固化処
理を実施することにより、炉体が熱変形したためであ
る。
【0061】
【発明の効果】本発明の溶融処理装置およびその溶融処
理装置を用いた処理方法の適用により、放射能で汚染さ
れたスラグなどを周囲に飛散させることがなく、炉体内
で固化金属やスラグを炉体系外に取り出したままの大き
さで保管できる。連続的な溶融処理と固化処理を行わな
いので、炉体の熱変形が起こりにくく、炉体の寿命が長
いし、固化金属を切断することもないので、鋸などが不
要であり、管理すべき新たな二次放射性廃棄物の発生を
極力減らすことができる。連続処理する従来の炉体方式
に比べて、二次放射性廃棄物の量は約1/2とすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射性廃棄物の溶融処理装置の例を示
す模式図である。
【図2】水平方向の断面形状が円形の場合の炉壁の構造
を模式的に示す図である。
【図3】放射性廃棄物の溶融処理および固化処理の状況
を模式的に示す図である。
【図4】従来の放射性廃棄物の連続処理装置の概要を説
明する模式図である。
【符号の説明】 1:炉体 2:炉壁 3:炉
底 4:高周波コイル 5:炉底の昇降装置 6:放射性廃棄物 7:溶融金属 8:溶融スラグ 9:スラグ冷却装置 10:固化金属 11:固化スラグ 12:固化スラグ回収装置 13:廃棄物装入装置 14:容器 15:不活性ガス供給装
置 16:排気装置 17:高周波電源 18:冷却水供給装置 19:スラグ冷却装置の
昇降装置 20:固化スラグ回収装置の移動装置 21:反応剤供給装置 22:反応剤 23:分割された個々の炉壁部分 24:スリット 25:冷却水用孔 26:真空排気装置 27:炉底配置板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部が水冷された導電性材料からなる炉壁
    および内部が水冷され昇降可能な炉底で構成された炉体
    を備え、その炉体の上方に、廃棄物装入装置、反応剤供
    給装置、内部が水冷され昇降可能なスラグ冷却装置およ
    び炉体の中心軸に向かって水平方向に移動可能な固化ス
    ラグ回収装置を備え、炉壁の外周に高周波コイルを備
    え、この高周波コイルに対向する炉壁の部分には、高周
    波コイルの巻き方向と交差する方向のスリットがあり、
    これらの炉体、高周波コイル、廃棄物装入装置、反応剤
    供給装置、スラグ冷却装置および固化スラグ回収装置
    が、雰囲気調整が可能な一つの容器内に配置されている
    ことを特徴とする放射性廃棄物の溶融処理装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の溶融処理装置を用いる処
    理方法であって、廃棄物装入装置を用いて放射性廃棄物
    を炉体内に装入し、高周波コイルに高周波電流を通電
    し、放射性廃棄物を溶融後、または、溶融途中に、反応
    剤供給装置を用いて反応剤を炉体内に供給し、放射性廃
    棄物を溶融した後、高周波電流の通電を停止し、スラグ
    冷却装置を下方に移動して溶融スラグに接触させて溶融
    スラグを固化し、炉底を上方に移動した後、固化スラグ
    回収装置により小片状スラグを回収し、その後、固化金
    属および固化スラグを溶融処理装置外に取り出すことを
    特徴とする放射性廃棄物の処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103574619A (zh) * 2012-07-27 2014-02-12 苏州工业园区杰士通真空技术有限公司 高温焚烧炉
KR20210082836A (ko) * 2019-12-26 2021-07-06 주식회사 오르비텍 방사성 콘크리트 폐기물의 이동형 감용처리장치
CN113421683A (zh) * 2021-06-21 2021-09-21 中国原子能科学研究院 放射性碳的固化方法及固化设备

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