JP2000274392A - ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポンプサイズの大型化を防止しつつ、転がり
軸受に予圧を与えることのできるポンプを提供する。 【解決手段】 固定体４に対して回転体２を回転可能に
支持する上部軸受５と転がり軸受よりなる下部軸受６と
が備えられている。上部軸受５は、回転体２および固定
体４のそれぞれに互いに対向するように設けられた永久
磁石１を有する磁気軸受であり、回転体側永久磁石１と
固定体側永久磁石１とがアキシャル方向にずらして配置
されている。これにより、下部軸受６に予圧を与えるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ターボ分子ポンプ
またはヘリカル溝ポンプなどのポンプに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】図５は、従来のターボ分子ポンプの構成
を概略的に示す断面図である。図５を参照して、このタ
ーボ分子ポンプでは、上側ラジアル軸受５には永久磁石
反発方式を採用した磁気軸受が用いられており、下側ラ
ジアルおよびアキシャル軸受６には転がり軸受が用いら
れている。

【０００３】磁気軸受５は、回転体２と固定体４とのそ
れぞれに互いに対向するように設けられた永久磁石１に
より構成されており、この部分において回転体２は固定
体４に対し非接触支持されている。この回転体２には主
軸３が取付けられており、主軸３は上記転がり軸受６に
より固定体４に回転自在に支持されている。

【０００４】なお、主軸３は、モータ７により回転力を
与えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】図５に示す従来のター
ボ分子ポンプでは、２つの転がり軸受６を組合せること
で転がり軸受６に予圧を与えることができる。この場
合、図６に示すように定圧予圧にて、あるいは図７に示
すように定位置予圧にて予圧を与える方法が一般的であ
る。

【０００６】つまり図６では、ばね１１で付勢すること
により定圧予圧を与えることができ、図７では間座１２
を２つの転がり軸受６間に挟むことで定位置予圧を与え
ることができる。

【０００７】しかし、予圧を与えるために転がり軸受６
が２つ必要となるため、必然的にポンプサイズが大きく
なってしまうという問題点があった。

【０００８】それゆえ本発明の目的は、ポンプサイズの
大型化を防止しつつ、転がり軸受に予圧を与えることの
できるポンプを提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明のポンプは、固定
体と、回転体と、回転体を固定体に回転可能に支持する
ための第１および第２の軸受とを備えたポンプであっ
て、第１の軸受は転がり軸受であり、第２の軸受はラジ
アル軸受であるとともに回転体および固定体のそれぞれ
に互いに対向するように設けられた永久磁石を有する磁
気軸受であり、回転体に取付けられた永久磁石は固定体
に取付けられた永久磁石に対して、第１の軸受に予圧を
かけるためにアキシャル方向にずらして配置されてい
る。

【００１０】本発明のポンプでは、回転体側永久磁石と
固定体側永久磁石とがアキシャル方向にずれているた
め、双方の永久磁石間で働く反発力として、ラジアル方
向の反発力だけでなくアキシャル方向の反発力も発生す
る。このアキシャル方向の反発力により、回転体は第２
の軸受側から第１の軸受側へ押しつけられ、第１の軸受
に予圧が加わる。

【００１１】磁石をずらすことで予圧を発生させるた
め、従来例のように第１の軸受部に複数個の軸受を配置
する必要はない。よって、ポンプサイズの大型化を防止
することができる。

【００１２】上記のポンプにおいて好ましくは、回転体
に取付けられた永久磁石は、固定体に取付けられた永久
磁石よりも第１の軸受側にずらして配置されている。

【００１３】この磁石配置によっても予圧を発生させる
ことができる。上記のポンプにおいて好ましくは、固定
体に取付けられた永久磁石は、回転体に取付けられた永
久磁石よりも第１の軸受側にずらして配置されている。

【００１４】この磁石配置によっても予圧を発生させる
ことができる。上記のポンプにおいて好ましくは、第１
の軸受の予圧量は、永久磁石のずれ量により調整でき
る。

【００１５】これにより、適正な予圧量に設定すること
が容易となる。上記のポンプにおいて好ましくは、回転
体に取付けられた永久磁石および固定体に取付けられた
永久磁石の個数はいずれも１つまたは複数である。

【００１６】これにより、各種設計に対応することがで
きる。上記のポンプにおいて好ましくは、永久磁石は、
ラジアル方向およびアキシャル方向のいずれかの方向に
着磁されている。

【００１７】いずれの着磁でも、第１の軸受に予圧を与
えることができる。上記のポンプにおいて好ましくは、
第１の軸受は、深溝ベアリングおよびアンギュラベアリ
ングのいずれかである。

【００１８】これにより設計に合わせてベアリングの種
類を選択することができる。上記のポンプにおいて好ま
しくは、ポンプは、ターボ分子ポンプまたはヘリカル溝
ポンプである。

【００１９】これにより、ポンプの種類を選択すること
ができる。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図に基づいて説明する。

【００２１】図１は、本発明の一実施の形態におけるタ
ーボ分子ポンプの構成を概略的に示す断面図である。図
１を参照して、このターボ分子ポンプは、ターボ翼２ａ
を有する回転体２と、固定翼４ａを有する固定体４とを
備えている。

【００２２】固定体４は、円筒状の外筒部４ｂの一端に
端板部４ｃを有する底付円筒体状に形成され、端板部４
ｃの内面からは、回転体１の回転主軸３を支持する筒部
４ｄが一体に突出している。前記固定翼４ａは、外筒部
４ｂの内径面に、軸方向に並ぶように複数設けられてい
る。固定体４の開口端４ｅは吸引口となり、固定体４内
におけるターボ翼２ａの収納部よりも外側の空間がポン
プ背圧部８となる。固定体４には、ポンプ背圧部８に開
口した排気口９が設けられている。

【００２３】回転体２は、筒部４ｄの外周を取囲む円筒
状の周壁部２ｂと、この周壁部２ｂの一端近傍を閉じる
側板部２ｃとを有する底付の円筒状に形成され、周壁部
２ｂの外周には前記ターボ翼２ａが軸方向に並ぶように
複数個設けられている。このターボ翼２ａと固定翼４ａ
とは、互いに交互に配置されている。回転主軸３は、筒
部４ｄを貫通し、かつ１つの転がり軸受よりなる下部軸
受６を介して固定体４に回転可能に支持され、かつモー
タ７により回転駆動される。

【００２４】なお、下部軸受６は、ラジアルおよびアキ
シャル軸受である。またモータ７は、エアタービンであ
ってもよい。

【００２５】筒部４ｄの外周面と周壁部２ｂの内周面と
には、回転体２の回転を支持するためのラジアル軸受よ
りなる上部軸受５が設けられている。この上部軸受５
は、永久磁石反発方式を採用した非接触の磁気軸受であ
り、筒部４ｄ外周面に取付けられたリング状の永久磁石
（固定体側永久磁石）１と周壁部２ｂ内周面に取付けら
れたリング状の永久磁石（回転体側永久磁石）１とによ
り構成されている。つまり、固定体側永久磁石１と回転
体側永久磁石１との間で反発力を発生させることで、非
接触の磁気軸受が構成される。本実施の形態では、固定
体側永久磁石１と回転体側永久磁石１とが回転主軸３の
軸方向（アキシャル方向）に互いにずらして配置されて
いる。

【００２６】なお、磁石１の着磁方向は、図２に示すよ
うにアキシャル方向であってもよく、また図３に示すよ
うにラジアル方向であってもよい。

【００２７】本実施の形態では、図４に示すように磁気
軸受を構成する固定体側永久磁石１と回転体側永久磁石
１との取付位置がアキシャル方向にずらして配置されて
いる。これにより、固定体側永久磁石１と回転体側永久
磁石１との間で働く反発力として、ラジアル方向の反発
力だけでなく、アキシャル方向の反発力も発生する。こ
のアキシャル方向の反発力によって、回転主軸３を含む
回転体２は、固定体４に対して図中右側へ押しつけら
れ、それにより下部軸受６に予圧が加わる。

【００２８】このように回転体側永久磁石１と固定体側
永久磁石１の配置位置をずらすことで予圧を発生させる
ため、従来例のように下部軸受に複数の転がり軸受を用
いる必要はない。よって、ポンプサイズの大型化を防止
することができる。

【００２９】なお、本実施の形態では、回転体側永久磁
石１が固定体側永久磁石１よりも下部軸受６側にずれた
構成について説明したが、下部軸受６に予圧を与えられ
るのであれば固定体側永久磁石１が回転体側永久磁石１
よりも下部軸受６側へずれていてもよい。

【００３０】また、下部軸受６に与えられる予圧量は、
この固定体側永久磁石１と回転体側永久磁石１とのずれ
量Ｌ（図４）によって調整することができる。

【００３１】また本実施の形態では、永久磁石１がたと
えば３つの場合について説明したが、この永久磁石１の
個数は１つまたは複数、すなわちいくつであってもよ
い。

【００３２】また下部軸受６は深溝ベアリング、アンギ
ュラベアリングのどちらでもよい。また本実施の形態で
は、ターボ分子ポンプについて説明したが、本発明はヘ
リカル溝ポンプに適用されてもよい。

【００３３】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。

【００３４】

【発明の効果】本発明のポンプでは、回転体側永久磁石
と固定体側永久磁石とがアキシャル方向にずれて配置さ
れているため、双方の永久磁石間で働く反発力として、
ラジアル方向の反発力だけでなくアキシャル方向の反発
力も発生する。このアキシャル方向の反発力により、回
転体は第２の軸受側から第１の軸受側へ押しつけられ、
第１の軸受に予圧が加わる。

【００３５】磁石をずらすことで予圧を発生させるた
め、従来例のように第１の軸受部に複数個の軸受を配置
する必要はない。よって、ポンプサイズの大型化を防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態におけるターボ分子ポン
プの構成を概略的に示す断面図である。

【図２】永久磁石がアキシャル方向に着磁されている様
子を示す部分断面図である。

【図３】永久磁石がラジアル方向に着磁されている様子
を示す部分断面図である。

【図４】本発明の一実施の形態におけるターボ分子ポン
プによって下部軸受に予圧を与える様子を示す部分断面
図である。

【図５】従来のターボ分子ポンプの構成を概略的に示す
断面図である。

【図６】従来のターボ分子ポンプにおいて定圧予圧を与
える様子を示す部分断面図である。

【図７】従来のターボ分子ポンプにおいて定位置予圧を
与える様子を示す部分断面図である。

【符号の説明】

１ 永久磁石 ２ 回転体 ３ 回転主軸 ４ 固定体 ５ 上部軸受 ６ 下部軸受

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定体と、回転体と、前記回転体を前記
   固定体に回転可能に支持するための第１および第２の軸
   受とを備えたポンプであって、 前記第１の軸受は転がり軸受であり、 前記第２の軸受はラジアル軸受であるとともに、前記回
   転体および前記固定体のそれぞれに互いに対向するよう
   に設けられた永久磁石を有する磁気軸受であり、 前記回転体に取付けられた前記永久磁石は、前記固定体
   に取付けられた前記永久磁石に対して、前記第１の軸受
   に予圧をかけるためにアキシャル方向にずらして配置さ
   れている、ポンプ。
2. 【請求項２】 前記第１の軸受の予圧量は、前記永久磁
   石のずれ量により調整できる、請求項１に記載のポン
   プ。
3. 【請求項３】 前記回転体に取付けられた前記永久磁石
   および前記固定体に取付けられた前記永久磁石の個数
   は、いずれも１つまたは複数である、請求項１に記載の
   ポンプ。
4. 【請求項４】 前記永久磁石は、ラジアル方向およびア
   キシャル方向のいずれかの方向に着磁されている、請求
   項１に記載のポンプ。
5. 【請求項５】 前記第１の軸受は、深溝ベアリングおよ
   びアンギュラベアリングのいずれかである、請求項１に
   記載のポンプ。
6. 【請求項６】 前記ポンプは、ターボ分子ポンプまたは
   ヘリカル溝ポンプである、請求項１に記載のポンプ。