JP2000264355A - 正内圧缶用開口容易缶蓋 - Google Patents

正内圧缶用開口容易缶蓋

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JP2000264355A
JP2000264355A JP11069598A JP6959899A JP2000264355A JP 2000264355 A JP2000264355 A JP 2000264355A JP 11069598 A JP11069598 A JP 11069598A JP 6959899 A JP6959899 A JP 6959899A JP 2000264355 A JP2000264355 A JP 2000264355A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スコア溝の破断時に開口片がパネル部から分
離することを抑制する。 【解決手段】 パネル部2に対して接続され、かつ、つ
なぎ部16を除く開放形状のスコア溝17により区画さ
れた開口片13と、パネル部2に対してリベット1Bに
より連結され、かつ、持ち上げ部および押し下げ部48
を有するタブ1Cとを備え、スコア溝17が、第1湾曲
部19および第2湾曲部21を有する缶蓋において、リ
ベット1Bのリベット中心A1を基準とする第1湾曲部
19の開き角度α1が110度乃至130度の範囲に設
定され、スコア溝17における第1湾曲部19と第2湾
曲部21との間に接続部20が形成され、第2湾曲部2
1における接続部20側の近接位置に、パネル部2と開
口片13との接続部分にせん断応力を作用させて破断す
る際の破断進行方向の先端を、スコア溝17の幅方向に
移動させる隆起部が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パネル部と開口
片とを区画しているスコア溝を、タブを引き起こすこと
により破断するとともに、開口片を缶内部に吊り下げ状
態にして開缶(開蓋)する形式の正内圧缶用開口容易缶
蓋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コーラやサイダー、ビール等に代表され
る炭酸含有飲料が封入された正内圧缶の缶胴に固着され
る缶蓋としては、開口片に固着されているタブを缶体上
方に引き起こした後、開口片を上方に引っ張ることによ
って開蓋するプルタブ式の缶蓋と、タブを引き起こした
際の梃子の原理により、開口片を缶体内方に押し込んで
開蓋するステイオンタブ式の缶蓋とが例示される。
【0003】このうち、プルタブ式の缶蓋においては、
開蓋後にタブおよび開口片が、パネル部から離脱するた
め、開口片およびタブの散乱等により、環境への影響が
憂慮される。そのため、最近では、ステイオンタブ式の
缶蓋が多く使用されるようになってきている。このよう
な缶蓋の一例が、特開昭51−82188号公報、特開
昭52−29385号公報に記載されている。このステ
イオンタブ式の缶蓋は、プルタブ式の缶蓋とは異なり、
同一のタブにより二つの梃子作用を生じさせ、パネル部
と開口片とを区画している環状のスコア溝を破断するも
のである。そして、スコア溝を全て破断した状態におい
ても、パネル部とタブおよび開口片とがつなぎ部により
接続された状態に維持される。
【0004】ところで、上記のような正内圧缶において
は、缶内部のガスが飲料の液面上の空間に作用してい
る。このため、ステイオンタブ式の缶蓋において、スコ
ア溝の初期破断(ポップ)時に、ガスの排気とともに、
そのガス圧により開口片が急激に上方に押し上げらてス
コア溝が一瞬で破断されてしまい、その破断の勢いによ
り、パネル部のスコア溝以外の領域(つまり、つなぎ
部)まで切断されてしまい、開口片がパネル部から分離
して吹き飛ばされるという、いわゆるポップミサイル現
象が生じる可能性がある。
【0005】このポップミサイル現象に対処するための
缶蓋の一例が、特開平10−101104号公報、およ
び特開平6−321238号公報に記載されている。特
開平10−101104号公報に記載された缶蓋は、端
末パネルと、この端末パネルに対して環状の主刻み線を
残して接続された引き裂きストリップと、端末パネルに
対してリベットにより固定され、かつ、端末パネルの上
面側に配置されたフィンガー部分、および引き裂きスト
リップの上面側に配置されたノーズ部を有する引っ張り
つまみとを備えている。
【0006】また、引っ張りつまみを引っ張ることによ
り、ノーズ部が引き裂きストリップを押し下げて主刻み
線を破断してガス抜き領域が形成されるが、引き裂きパ
ネルにおけるガス抜き領域と隣接する位置に、ガス抜き
領域の少なくとも一部分に沿って延びる噴出作用防止刻
み線が形成されている。
【0007】そして、特開平10−101104号公報
に記載された缶蓋によれば、引っ張りつまみの引っ張り
によりガス抜き領域を破断する際に、噴出作用防止刻み
線が、引き裂きストリップの端縁を端末パネルの下方に
一時的に移動させる。この移動により、引き裂きストリ
ップが端末パネルから迅速に分裂されることを防止し、
引き裂きストリップが端末パネルから分裂して射出する
こと(つまりポップミサイル現象)を防止できるとされ
ている。
【0008】一方、特開平6−321238号公報に記
載された缶蓋は、円板形状の端部パネルと、端部パネル
に対してリベットを介して固着された操作タブとを有す
る。また、端部パネルには接続領域を残してスコアライ
ンが形成され、このスコアラインにより、端末パネルと
引きちぎりパネルとが区画されている。この引きちぎり
パネルには、スコアラインと相互に平行な凹みまたは排
気ビードが、圧印加工により形成されている。この特開
平6−321238号公報に記載された缶蓋によれば、
操作タブの操作により引きちぎりパネルを押圧してスコ
アラインを破断した場合に、凹みまたは排気ビードによ
って引きちぎりパネルの金属の一部が、スコアラインの
近傍にて下方に動く傾向になる。この動作により、缶の
内部圧力が排気されるまで、スコアラインの分離を妨害
または遅らせ、タブの引き上げにともなう開放力を制御
することができるものとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−101104号公報に記載された缶蓋において
は、主刻み線の他に別途噴出作用防止刻み線を形成しな
ければならず、缶蓋の一部の強度が弱められてしまう問
題があった。また、噴出作用防止刻み線を成形する工程
を特別に設けなければならず、その工具(設備)数が増
加する問題があった。
【0010】また、最近では、缶内から容易に飲料を取
り出す目的、あるいは他の商品の缶との差別化を図ると
いう目的から、開口片の平面積を可及的に広く設定し
て、スコア溝の破断後に形成される開口部を広くするこ
との可能な缶蓋の要求が高まりつつある。しかしなが
ら、特開平10−101104号公報に記載された缶蓋
においては、開口片の平面積を広くすると、必然的にス
コア溝の長さも長くなり、その開蓋性が低下する可能性
がある。そこで、スコア溝を深くしてスコア溝の残存部
分の厚さ(以下、残厚という)を薄く設定することによ
り、開蓋性を良好に維持することも考えられるが、材料
コスト低減化のために板厚の薄い材料を使用した場合
は、パネル部の板厚の減少もしくは残厚の減少にともな
ってパネル部の強度が低下し、前記ポップミサイル現象
が発生しやすくなるという問題があった。
【0011】さらに、特開平6−321238号公報に
おいては、端末パネルを圧印加工して凹みまたは排気ビ
ードを形成しているために、端末パネルの成形工程にお
いて、スコアラインに圧縮荷重による加工硬化などのス
トレスが発生する。その結果、端末パネルの内面側に歪
みやくびれが発生しやすく、端末パネルの内面を保護す
るために施されている内面被膜が損傷するおそれがあっ
た。
【0012】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たものであり、スコア溝以外に格別の要素を設けること
なく、スコア溝の破断時に開放片がパネル部から分離す
ることを抑制でき、かつ、開蓋性を良好に維持すること
ができ、さらには、パネル部の内面に施されている内面
被膜の損傷を防止することの可能な正内圧缶用開口容易
缶蓋を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、円板形状のパ
ネル部と、このパネル部に対して接続され、かつ、つな
ぎ部を除く開放形状のスコア溝により区画された開口片
と、前記パネル部のほぼ中央で前記開口片の外側に対し
てリベットにより連結されるとともに、前記パネル部側
に配置された持ち上げ部と、前記開口片側に配置された
押し下げ部とを有するタブとを備え、前記スコア溝が、
前記パネル部側の曲率中心を基準として湾曲された第1
湾曲部と、この第1湾曲部における前記つなぎ部とは反
対側の端部に接続され、かつ、前記開口片側の曲率中心
を基準として湾曲された第2湾曲部とを有する正内圧缶
用開口容易缶蓋において、前記第1湾曲部が、前記リベ
ットの中心を通過し、かつ、前記タブの長手方向に延び
る線分を境として実質的に線対称に配置されているとと
もに、前記第1湾曲部の両端と前記リベットの中心とを
結ぶ2つの線分の前記開口片側における開き角度が11
0度乃至130度に形成され、前記スコア溝における前
記第1湾曲部と前記第2湾曲部との間に、前記スコア溝
を隔てて前記リベットの中心とは反対側の曲率中心を基
準として湾曲された接続部が形成され、この接続部の曲
率半径が前記第1湾曲部の曲率半径よりも小さく設定さ
れているとともに、前記第2湾曲部における前記接続部
側の近接位置に、前記スコア溝の残存部分にせん断応力
を作用させて破断する際の破断進行方向の先端を、前記
スコア溝の幅方向に移動させる破断誘導部が設けられて
いることを特徴とするものである。
【0014】請求項1の発明によれば、タブの持ち上げ
部を持ち上げると、押し下げ部が開口片に当接するとと
もに、押し下げ部と開口片との当接部分を支点とし、リ
ベットを作用点とする梃子の原理により、パネル部の一
部が上方に持ち上げられてスコア溝の第1湾曲部および
接続部ならびに第2湾曲部の残存部分にせん断応力が作
用してスコア溝が初期開口(ポップ)される。ここで、
第1湾曲部の開き角度が110度乃至130度に設定さ
れているため、ポップ時にスコア溝を可及的に長く破断
することができ、缶内部のガス抜きが促進されてガス圧
と大気圧とが迅速に平衡化される。ついで、リベットを
支点とし、かつ、押し下げ部を作用点とする梃子の原理
により、開口片が押し下げられて、スコア溝の破断(テ
ィア)が進行する。また、接続部が第1湾曲部とは逆方
向に湾曲されているとともに、破断誘導部が形成されて
いるため、スコア溝の残存部分の破断進行方向の先端
(以下、破断先端と略記する)がスコア溝の幅方向に移
動する。このため、せん断応力が分散されてスコア溝の
破断が遅延し、ガス圧により開口片が急激に上方へ押し
上げられて生じるポップミサイル現象を起こす前に、ガ
ス圧と大気圧との圧力差が解消された状態、いわゆる平
衡状態にすることができる。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の構成に加え
て、前記接続部の曲率半径が1.2mm未満であることを
特徴とするものである。
【0016】請求項2の発明によれば、請求項1と同様
の作用が生じるほか、第2湾曲部が、リベットの中心を
通過し、かつ、タブの幅方向に延びる線分に近接して配
置されることが抑制される。このため、スコア溝の第2
湾曲部を破断させるためのせん断力の上昇を防ぎ、開蓋
性の低下が抑制される。
【0017】請求項3の発明は、請求項1または2の構
成に加えて、前記第2湾曲部の深さ方向における前記破
断誘導部の残厚が、この破断誘導部以外のスコア溝の残
厚よりも厚く設定されていることを特徴とするものであ
る。
【0018】請求項3の発明によれば、請求項1または
2と同様の作用が生じるほか、スコア溝の第2湾曲部に
おける破断面の面積が可及的に拡大される。このため、
一旦押し下げられた開口片が、内圧により上方に押し上
げられようとする際に、開口片とパネル部との破断面に
おける摩擦抵抗が高められる。したがって、開口片がガ
ス圧により上方に押し上げられることにともなうスコア
溝の破断、つまり開口操作により制御することが困難な
スコア溝の破断を防ぐことができる。
【0019】請求項4の発明は、請求項1乃至3のいず
れかの構成に加えて、前記スコア溝の幅方向の中心線
と、前記スコア溝に臨む前記パネル部側の傾斜面とによ
り設定される傾斜角度が、前記中心線と前記スコア溝に
臨む前記開口片側の傾斜面とにより設定される傾斜角度
よりも大きく設定されていることを特徴とするものであ
る。
【0020】請求項4の発明によれば、スコア溝の幅方
向の中心線と、スコア溝に臨むパネル側の傾斜面とより
設定される傾斜角度を、中心線と、スコア溝に臨む開口
片側の傾斜面とにより設定される傾斜角度よりも大きく
設定することにより、スコア溝の残存部分に作用するせ
ん断応力が開口片側に集中される。これにより、スコア
溝のポップ時に、第1湾曲部のリベット側(パネル側)
で発生したスコア溝の破断先端が、接続部を経由して第
2湾曲部にまで移動してスコア溝の破断が進行する間
に、この破断先端が、スコア溝の幅方向において開口片
側に確実に移動される。
【0021】さらに、第2湾曲部の破断誘導部の手前で
パネル側に戻されたスコア溝の破断先端を、再び破断誘
導部において開口片側に確実に移動させる。このように
して、スコア溝の破断先端を、積極的にスコア溝の幅方
向に移動させることを繰り返しおこなうことが可能にな
り、スコア溝の破断速度が遅延されてガス抜きが促進さ
れる。
【0022】さらにまた、せん断応力が分散緩和される
ことにより、スコア溝の始端側に向かう破断先端が、パ
ネル部側から開口片側に移動する。このため、破断先端
が始端から逸脱して、つなぎ部が破断されたり変形した
りすることが防止される。言い換えれば、つなぎ部の破
断や変形にともない、タブとの重なりで押えられていた
開口片が、タブによる押さえ込みが効かなくなりポップ
ミサイル現象を起こすという事態を抑制できる。また、
この傾斜角度の変更は、スコア溝の形状自体の設計変更
により可能であるため、缶蓋の製造工程において、缶蓋
に無用な圧縮荷重や加工硬化などのストレスが作用する
窪みや排気ビードなどを成形する必要がない。
【0023】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明の実施例を図面を
参照して説明する。図2は、この発明の一実施例を示す
ステイオンタブ式のイージーオープン缶蓋(以下、缶蓋
と略記する)1の平面図である。この缶蓋1は、常温で
内圧が大気圧以上になる正圧缶に適用される。この缶蓋
1は、蓋部1Aと、蓋部1Aに対してリベット1Bによ
り固着されたタブ1Cとを有する。蓋部1Aの内面(言
い換えれば下面)には、缶の内部に収容される飲料など
に対応して、フェノール−エポキシ塗料、または塩化ビ
ニルオルガノゾル塗料等の塗料を選択して塗布され、か
つ、この塗料を焼き付け硬化した内面被膜(図示せず)
が形成されている。
【0024】また、図3は、タブ1Cを省略した缶蓋1
の平面図である。蓋部1Aは、例えばアルミニウム合金
製の厚さ0.235mm乃至0.260mmの板材をプレ
ス成形したものである。蓋部1Aは、円板形状のパネル
部2と、このパネル部2の外周に形成された環状溝3
と、環状溝3の外周端に接続された環状の傾斜部4A
と、傾斜部4Aの上端に接続されたフランジ部4とを有
する。環状溝3は、この缶蓋1が固定される缶胴(図示
せず)側に向けてほぼU字形状に屈曲されている。ま
た、傾斜部4Aはパネル部2から離れるにともなって拡
径する方向に傾斜している。さらに、フランジ部4は、
缶胴の下方および内方に向けてほぼC字形状に屈曲され
ている。このフランジ部4と、有底円筒状の缶胴の開口
端とを、密封材(図示せず)を介して巻き締めることに
より、缶胴に缶蓋1が固着された缶体が形成される。
【0025】一方、パネル部2には、蓋部1Aのリベッ
ト中心A1よりも外側に第1補強ビード5が形成されて
いる。この第1補強ビード5は、パネル部2の一部を厚
さ方向に屈曲させて、具体的には、缶胴の内側に向けて
突出させて成形したものである。この第1補強ビード5
は、リベット中心A1を隔てて配置された大湾曲部6お
よび小湾曲部7を有する。大湾曲部6および小湾曲部7
は、リベット中心A1を通過する線分(直線)B1に対
応する位置に配置され、大湾曲部6および小湾曲部7
は、いずれも缶蓋1の外周に向けて突出する方向に湾曲
されている。また、大湾曲部6および小湾曲部7の両端
が、直線部8,9により相互に接続されている。さら
に、小湾曲部7の内側には、平面形状が楕円形の指進入
用凹部11が形成されている。上記のように構成された
第1補強ビード5および直線部8,9は、線分B1を中
心としてほぼ線対称に構成されている。
【0026】前記第1補強ビード5の内側、具体的には
パネル部2のリベット中心A1と、第1補強ビード5の
大湾曲部6との間の領域にはスコア溝(言い換えればス
コア線)12が形成され、このスコア溝12により、缶
蓋1の一部をパネル部2と開口片13とに区画してい
る。このスコア溝12は、せん断力により缶蓋1を容易
に破断して、缶蓋1の一部に開口部を形成するためのも
のである。
【0027】図1は、開口片13近傍の拡大平面図であ
り、スコア溝12は、ほぼ環状に構成されている。具体
的には、スコア溝12はつなぎ部(言い換えれば、不連
続部もしくはヒンジ部)16を残してほぼC字形状に設
定され、その外側が主スコア溝17により構成され、そ
の内側が副スコア溝18により構成されている。また、
主スコア溝17と副スコア溝18とが、つなぎ部16に
臨む領域において、始端14および終端15により接続
されている。このようにして、パネル部2と開口片13
とが、スコア溝12およびつなぎ部16を介して接続さ
れている。そして、主スコア溝17と副スコア溝18と
がほぼ平行に配置されている。これに対して、始端14
付近においてはスコア溝12が円弧形状に湾曲され、主
スコア溝17と副スコア溝18との幅が、これ以外の領
域の幅よりも広く設定されている。
【0028】さらに、主スコア溝17は、パネル部2側
の曲率中心を基準として湾曲された第1湾曲部19と、
第1湾曲部19におけるつなぎ部16とは反対側の端部
に接続され、かつ、第1湾曲部19とは反対方向に湾曲
された接続部20と、接続部20における第1湾曲部1
9とは反対側の端部に接続され、かつ、第1湾曲部19
の湾曲方向と反対方向に湾曲された第2湾曲部21と、
第2湾曲部21と終端15との間に形成された第3湾曲
部17Aとを有する。そして、第1湾曲部19の全部、
および接続部20の全部、ならびに第2湾曲部21の一
部が、蓋部1Aの厚さ方向におけるタブ1Cの投影領域
内に配置されている。これに対して、第3湾曲部17A
は、蓋部1Aの厚さ方向におけるタブ1Cの投影領域外
に配置されている。
【0029】具体的には、第1湾曲部19の湾曲範囲
が、リベット中心A1を通過する軸線B1の両側にほぼ
均等に設定されているとともに、リベット中心A1と、
第1湾曲部19の長手方向の両端とを結ぶ線分X1およ
びX2とのなす開口片13側の開き角度α1が、下限値
である110度から上限値である130度の範囲に設定
されている。なお、この実施形態においては、第1湾曲
部19の曲率半径が、例えば2.4mmに設定されてい
る。なお、接続部20の曲率半径は第1湾曲部19の曲
率半径よりも小さく設定されている。
【0030】さらに、前記接続部20の曲率中心C1
は、主スコア溝17と副スコア溝18との間、または副
スコア溝18の内側に設定されている。そして、接続部
20の曲率半径は、1.2mm未満であり、かつ、0.5
mm以上に設定されている。さらにまた、第2湾曲部21
の曲率中心D1は副スコア溝18の内側に設定され、第
2湾曲部21の曲率半径は、第1湾曲部19の曲率半径
よりも大きく設定されている。このようにして、線分B
1に直交し、かつ、リベット中心A1を通過する線分G
1(後述する図4参照)と、第2湾曲部21における接
続部20側の端部との間隔が、所定値以上離れた値にな
るように設定されている。
【0031】なお、第3湾曲部17Aの基準となる曲率
中心は複数あり、この曲率中心はパネル部2および開口
片13上にそれぞれ設定されているが、ここではその説
明を省略する。また、終端15は、第3湾曲部17Aと
同方向に湾曲され、かつ、副スコア溝18に対して滑ら
かに接続されているが、その曲率半径は極めて小さく設
定されている。なお、後述する始端14は第1湾曲部1
9と反対方向に湾曲しているが、その曲率半径は第1湾
曲部19よりも小さく、終端15の曲率半径よりも大き
く設定されている。
【0032】つぎに、スコア溝12の幅方向の断面形状
およびその深さについて具体的に説明する。図4は、図
1の要部を示す拡大平面図、図5乃至図7は蓋部1Aの
拡大断面図である。図5は、図4のV−V線における断
面図、具体的には、蓋部1Aを線分B1に沿って切断し
た状態を示している。主スコア溝17および副スコア溝
18の断面形状は、蓋部1Aの上面22から下面23側
に向けて次第に細くなる逆台形に設定されている。具体
的には、主スコア溝17の第1湾曲部19は、底面24
と、底面24の両側に形成された一対の傾斜面25,2
6とを有する。そして、主スコア溝17の幅方向の中心
線E1と、一対の傾斜面25,26のうち、リベット中
心A1に近い位置に配置されている傾斜面26とのなす
外側の角度(傾斜角)β1が、副スコア溝18側に配置
されている傾斜面25と、中心線E1とのなす内側の角
度(傾斜角)β2よりも大きく設定されている。
【0033】これに対して、副スコア溝18は、底面2
7と、底面27の両側に形成された一対の傾斜面28,
29とを有する。そして、副スコア溝18の幅方向の中
心線F1と傾斜面28とのなす内側の角度(傾斜角)β
2が、中心線F1と傾斜面29とのなす外側の角度(傾
斜角)β2が同一に設定されている。また、第1湾曲部
19の深さW1は、副スコア溝18の深さW2よりも深
く設定されている。言い換えれば、第1湾曲部19の底
面24と下面23との間の残厚t1よりも、副スコア溝
18の底面27と下面23との間の残厚t2の方が厚く
設定されている。
【0034】つぎに、第2湾曲部21の断面形状につい
て説明する。第2湾曲部21には、接続部20から離れ
るにともないその深さが浅くなる方向に傾斜された第1
傾斜底面30と、この第1傾斜底面30に接続され、か
つ、その深さがほぼ一定に設定された底面31と、この
底面31に接続され、かつ、第1傾斜底面30から離れ
るにともないその深さが深くなる方向に傾斜した第2傾
斜底面32とを有する。また、第1傾斜底面30の両側
には一対の傾斜面33,34が形成され、底面31の両
側には一対の傾斜面35,36が形成され、第2傾斜底
面32の両側には傾斜面37,38が形成されている。
【0035】一対の傾斜面33,34同士の幅は、一対
の傾斜面35,36に近づくにともない幅広となるよう
に設定され、一対の傾斜面35,36同士の幅は、長手
方向に亘りほぼ均一に設定され、一対の傾斜面37,3
8同士の幅は、一対の傾斜面35,36から離れるにと
もない幅狭となるように設定されている。
【0036】図6は、図4のVI−VI線における断面図で
あり、中心線E1と、主スコア溝17の外周側に位置し
ている傾斜面36とのなす角度β1が、中心線E1と他
方の傾斜面35とのなす角度β2よりも大きく設定され
ている。なお、副スコア溝18の幅方向における断面形
状および寸法は、第1湾曲部19における副スコア溝1
8と同様に構成されている。また、底面31の深さW3
は、第1湾曲部19の深さW1よりも浅く設定されてい
る。言い換えれば、底面31と下面23との間の残厚t
3は、第1湾曲部19の残厚t1よりも厚く設定されて
いる。これら、第1傾斜底面30、底面31、第2傾斜
底面32、傾斜面33,34,35,36,37,38
は、蓋部1Aの厚さ方向におけるタブ1Cの投影領域内
に配置されている。
【0037】さらに、図7は、図4のVII−VII線にお
ける断面図であり、この図7は、蓋部1Aの厚さ方向に
おけるタブ1Cの投影領域外における主スコア溝17お
よび副スコア溝18の断面形状を示している。主スコア
溝17の第2湾曲部21は、底面39と、底面39の両
側に形成された一対の傾斜面40,41とを有する。そ
して、中心線E1と、一対の傾斜面40,41のうち、
主スコア溝17の外周側に配置されている傾斜面41と
のなす角度β1が、他方の傾斜面40と中心線E1との
なす角度β2よりも大きく設定されている。なお、副ス
コア溝18の断面形状および寸法は、第1湾曲部19に
おける副スコア溝18と同様に構成されている。また、
第2湾曲部21の深さW4は、第1湾曲部19の深さW
1よりも深く設定されている。言い換えれば、第2湾曲
部21の底面39と下面23との間の残厚t4は、第1
湾曲部19の残厚t1よりも薄く設定されている。
【0038】このように、主スコア溝17は、中心線E
1を中心とする幅方向の断面形状が、非対称に設定され
ている。また、副スコア溝18は、中心線F1を中心と
する幅方向の断面形状が対称に設定されている。さら
に、底面24に対応する残厚t1と、底面31に対応す
る残厚t3と、底面39に対応する残厚t4とが、残厚
t3>残厚t1>残厚t4の関係に設定されるととも
に、底面30,31,32が蓋部1Aの厚さ方向に隆起
して、いわゆる隆起部R1を構成している。
【0039】なお、スコア溝12の始端14は、第1湾
曲部19とは反対方向に湾曲されて副スコア溝18に接
続されている。すなわち、始端14は一旦つなぎ部16
側に向けて湾曲するとともに、ついで、リベット中心A
1に向けて湾曲している。そして、始端14と第1湾曲
部19との接続部分から、始端14の最も大湾曲部6に
近い位置、つまり点14Aの位置までの間における始端
14の断面形状および寸法は、第1湾曲部19の幅方向
の断面形状と寸法と同様に設定されている。この点14
Aから、副スコア線18に接続される部分、つまり、ほ
ぼ6分の1円上の点14Bまでの間における溝の深さと
傾斜角とが、副スコア溝18の深さW2と傾斜角β2と
に移行するように設定され、上記構成の始端14の底面
および傾斜面がなだらかに接続されている。
【0040】一方、前記開口片13には、環状の補強ビ
ード42が形成されている。この補強ビード42は、蓋
部1Aの厚さ方向におけるタブ1Cの投影領域外に設け
られている。また、リベット1Bと指進入用凹部11と
の間における線分B1の両側には、平面形状がほぼ円形
のタブアップ用突起44が形成されている。このタブア
ップ用突起44は、蓋部1Aの厚さ方向におけるタブ1
Cの投影領域内に設けられている。
【0041】前記タブ1Cは、蓋部1Aと同様の金属材
料により構成されており、このタブ1Cは、指が掛けら
れる持ち上げ部45と、切り込み46により形成された
舌片47と、開口片13を押圧する押し下げ部48とを
有する。舌片47がリベット1Bに対して固着され、切
り込み46がリベット1Bを取り囲むようにほぼU字形
状に配置されている。切り込み46は指進入用凹部11
側に向けて突出する方向に湾曲している。
【0042】また、持ち上げ部45と切り込み46との
間には指掛け用穴49が設けられている。持ち上げ部4
5と押し下げ部48とはリベット1Bを隔てて反対側に
配置され、持ち上げ部45の端部からリベット中心A1
までの距離よりも、押し下げ部48の端部からリベット
中心A1までの距離の方が短く設定されている。また、
押し下げ部48の端部の形状は、リベット中心A1の近
傍を曲率中心とする円弧形状に設定されている。この押
し下げ部48が前記補強ビード42の手前まで到達して
いる。上記のタブ1Cの平面形状は、線分B1を中心と
して線対称に構成されている。上記のように構成された
蓋部1Aは、初期開口時において、スコア溝17に作用
するせん断力の作用領域が、第1湾曲部19と始端14
との間の領域、および第1湾曲部19、ならびに第2湾
曲部21になるように、タブ1Cの形状および寸法、主
スコア溝17および副スコア溝18の曲率中心、または
曲率半径などが設定されている。
【0043】つぎに、缶蓋1を開蓋する動作を説明す
る。まず、タブ1Cの持ち上げ部45に指をかけるとと
もに、持ち上げ部45を上方に持ち上げる(缶蓋1から
離れる方向に引く)。すると、押し下げ部48の端部が
開口片13の上面に当接するとともに、押し下げ部48
と開口片13との当接部分を支点とし、リベット1Bを
作用点とする梃子の原理により、パネル部2の中央部分
(リベット1B付近)が上方に持ち上げられて主スコア
溝17にせん断力が作用し、第1湾曲部19が破断され
て長手方向の両端まで破断が進行するとともに、この破
断が接続部20を経由して第2湾曲部21にまで破断が
進行して初期開口(ポップ)がおこなわれる。なお、ス
コア溝12が最初に破断される部位は、第1湾曲部19
の底面24のうち、梃子の原理の作用点であるリベット
1Bに近い領域に相当する部位(図5の底面24の右
端)である。
【0044】そして、第1湾曲部19の湾曲範囲が11
0度乃至130度の広範囲に設定されているため、上記
ポップ時に、主スコア溝17を円弧形状に可及的に長く
破断することができ、ガス抜きが促進されてガス圧と大
気圧とが同じになりやすい。ところで、接続部20が、
第1湾曲部19とは反対方向に湾曲されているととも
に、底面30,31,32により隆起部R1が形成され
ているため、スコア溝17の破断進行方向の先端(つま
り、破断起点)の移動軌跡が、主スコア溝17の幅方向
に誘導(具体的には、スコア溝17の底面の外周側から
内周側に移動)される(言い換えればせん断応力が分散
される)。その結果、主スコア溝17の破断速度が可及
的に遅延される。このため、上記ガス抜きが一層促進さ
れるとともに、缶の内圧が開口片13の内面に作用した
場合においても、主スコア溝17の破断速度が低下し
て、一瞬でスコア溝17の全部が破断されることを回避
でき、いわゆるポップミサイル現象を防止することがで
きる。
【0045】その後、さらに持ち上げ部45を持ち上げ
ると、リベット1Bを支点とし、押し下げ部48を作用
点とする梃子の原理により、開口片13が押し下げられ
て、第3湾曲部17Aが破断(ティア)される。そし
て、前記破断起点が終端15に到達すると、その曲率半
径の急激な減少と、スコア溝12の深さの減少とにより
せん断抵抗が増加して主スコア溝17の破断が終了し、
つなぎ部16の破断が防止されて、開口片13とパネル
部2とがつながったままに維持される。
【0046】また、接続部20および底面30,31,
32により形成されている隆起部R1は、主スコア溝1
7の一部であるために、缶蓋1の製造工程において、主
スコア溝17の加工と同時に隆起部R1を成形すること
ができ、工具(設備)数の増加が抑制されるとともに、
主スコア溝17以外の領域の蓋部1Aの強度の低下が抑
制される。
【0047】また、接続部20の曲率半径が1.2mm未
満に設定されているために、線分B1に直交し、かつ、
リベット中心A1を通過する線分G1と、第2湾曲部2
1における接続部20側の端部との間隔が、所定値以上
離れた値になるように設定されている。このため、タブ
1Cから開口片13に作用する押し下げ力が第2湾曲部
21側に伝達されやすくなり、主スコア溝17の開蓋性
が良好に維持される。したがって、開口面積を広くする
ために開口片13の平面積が拡大されて主スコア溝17
の長さが長くなった場合、あるいは第2湾曲部21の曲
率半径が大ききくなった場合においても、開蓋性を維持
することができる。なお、接続部20の曲率半径が0.
5mm以上に設定されているために、主スコア溝17の破
断が円滑におこなわれ、接続部20を破断する際にその
破断進行方向の先端が主スコア溝17から逸脱すること
が抑制される。
【0048】さらに、第2湾曲部21の底面30,3
1,32を、第2湾曲部21の底面の他の部位よりも隆
起させて隆起部R1を形成しているため、その隆起部R
1の残厚が、第2湾曲部21における隆起部R1以外の
領域の残厚よりも厚くなっている。このため、開口片1
3の押圧時に、開口片13の破断面と、パネル部2の破
断面とが摺動する面の面積が可及的に拡大され、その摩
擦抵抗が上昇する。したがって、内圧により開口片13
が上方に押し上げられようとする力が生じた場合でも、
主スコア溝17の破断を一層確実に遅延させることがで
きる。さらにまた、主スコア溝17の幅方向の中心線E
1と傾斜面26,36,41とにより設定される傾斜角
度β1が、中心線E1と傾斜面25,35,40とによ
り設定される傾斜角度β2よりも大きく設定されてい
る。
【0049】したがって、パネル部2側の傾斜角度β1
を大きく設定することにより、主スコア溝17の底面の
外周側にせん断応力が集中することが緩和される。この
ため、破断進行方向の先端が、主スコア溝17の幅方向
に移動する作用が一層促進される。またスコア溝12の
始端14からつなぎ部16が破断されたり、変形したり
するのを防ぐことにより、主スコア溝17の破断進行を
抑制する。しかも、開口片13がタブ1Cの投影領域か
ら外れる方向に移動することを防ぐため、タブ1Cによ
る押さえ込みが有効に作用する。
【0050】さらにまた、この傾斜角度の変更は、主ス
コア溝17の形状自体の設計変更により達成可能である
ため、蓋部1Aの製造工程において、蓋部1Aに無用な
圧縮荷重や加工硬化などのストレスが作用することはな
く、蓋部1Aの内面に施されている内面被膜の損傷が抑
制される。
【0051】つぎに、この実施形態の効果を確認するた
め、所定の特徴を有する実施例の缶蓋と比較例の缶蓋と
を用意し、各種の実験をおこなった。
【0052】(具体例1) A.缶蓋の特徴(実施例および比較例共通) ◆缶蓋の呼び径;204径 ◆缶蓋の材質;アルミニウム合金 A5182−H39
厚さ0.235mm ◆缶蓋の開口部の面積;365mm2 (通常開口部よりも
約1.3倍広い) ◆主スコア溝における円周方向の各部位の残厚と底面幅
(単位:μm)
【表1】 ◆第1湾曲部の曲率半径;2.4mm(曲率中心はリベッ
トの中心から若干偏心できる範囲) ◆第2湾曲部の曲率半径;9.4mm ◆接続部と隆起部との距離;約1.0mm(テーパの起点
で) ◆缶蓋の内面被膜;ビール用のフェノール−エポキシ塗
料を、35mg/dm2の状態で塗布した後、焼き付け
硬化(焼付硬化条件…180〜290℃×10〜40
秒)
【0053】B.実験結果 上記缶蓋に対して各種の実験をおこなった結果を表2に
示す。
【表2】
【0054】この表2のように、実施例1においては、
ポップミサイルが全く発生しなかったのに対して、隆起
部のない比較例1においてはポップミサイル現象が生じ
ていることがわかり、隆起部がなく開き角が小さい比較
例2では、さらにその現象が強くなる傾向にあることが
わかる。
【0055】(具体例2) A.缶蓋の特徴(実施例および比較例共通) ◆缶蓋の呼び径;202径 ◆缶蓋の材質;アルミニウム合金 A5182−H39
厚さ0.235mm ◆缶蓋の開口部の面積;338mm2 (通常開口部よりも
約1.2倍広い) ◆主スコア溝における円周方向の各部位の残厚と底面幅
(単位:μm)
【表3】 ◆第1湾曲部の曲率半径;2.4mm(曲率中心はリベッ
トの中心から若干偏心できる範囲) ◆第2湾曲部の曲率半径;7.0mm ◆接続部と隆起部との距離;約1.1mm(テーパの起点
で) ◆缶蓋の内面被膜;炭酸用の塩化ビニルオルガノゾル塗
料を140mg/dm2の状態で塗布した後、焼き付け
硬化(焼付硬化条件…180〜285℃×10〜40
秒)
【0056】B.実験結果 上記缶蓋に対して各種の試験をおこなった結果を表4に
示す。
【表4】
【0057】この表4のように、実施例2、3において
は、ポップミサイルが全く発生しなかったのに対して、
隆起部のない比較例3においてはポップミサイル現象が
生じていることがわかる。また、実施例3においては内
面品位が合格(○印)であるのに対して、内側傾斜角を
外側傾斜角よりも大きく設定した比較例5においてはポ
ンプミサイル現象が生じるとともに、内面品位が不合格
(×印)であった。その理由は、接続部20の曲率中心
が開口片13側にあり、しかも小さな曲率半径を有する
とともに、さらに接続部20がリベット成形にともない
加工硬化した領域にあるため、スコア溝12の開口片1
3側傾斜角を大きく設定すると、接続部20およびその
近辺の金属の塑性流動がスコア溝12の長手方向に亘り
不均一に発生し、その結果、内面塗膜にストレスが生じ
て内面品位が悪くなるものと推測される。なお、□印に
ついては後述する。
【0058】つぎに、各具体例において缶蓋の機能を評
価するためにおこなった各種の試験について説明する。
【0059】*ブローオフ試験について この試験は、ポップミサイルの有無を判定するためのも
のであり、まず、図8に示すように、圧力テスター10
0に缶蓋101をセットするとともに、圧力室102に
空気を供給して缶蓋101の内面に圧力を付与する。そ
の後、圧力室102を所定の試験耐圧(後述)に設定
し、圧力室102に空気を供給している供給通路のコッ
ク(図示せず)を閉める。つぎに、タブ103の持ち上
げ部104にチェーンフック105を掛けるとともに、
チェーンフック105を缶蓋101の厚さ方向(上方)
に引き上げる。
【0060】このようにして、缶蓋101のスコア溝に
せん断力を与えて初期開口(ポップ)させることによ
り、この開口部分からの空気を噴出(ブローオフ)させ
ると同時に、ポップミサイルの有無を評価した。そし
て、このブローオフ試験の結果、開口片がパネル部から
分離して吹き飛ぶ「ポップミサイル」が発生した缶蓋に
ついては、不良「×」と判定している。具体例1,2で
は、各実施例および各比較例共に20枚づつについて、
この試験をおこなっている。すなわち、分母が試験個数
であり、分子が不良個数を示している。なお、具体例1
においては、試験耐圧が5.5kg/cm2 に設定さ
れ、具体例2においては、試験耐圧が6.3kg/cm
2 に設定されている。
【0061】*開蓋性試験について 図9に示すように、傾斜引張試験機110を使用して、
鉛直線H1に対する缶蓋106の傾斜角θ3が20度に
なるように、缶蓋106を保持している缶蓋セット台
(図示せず)を傾けるとともに、缶蓋106を、タブ1
07の持ち上げ部108が、図9で上方に向くようにセ
ットする。そして、持ち上げ部108のリングにチェー
ンフック109を掛け、その状態で、缶蓋106を図9
において右方向に水平移動させ、その開蓋の状態を確認
した。この試験の結果、主スコア溝が終端(ヒンジ部直
前)まで破断させることができなかった場合は、開蓋不
良と判定した。ちなみに、具体例1,2では各実施例お
よび比較例とも各20枚づつ試験をおこなった。すなわ
ち、分母が試験個数であり、分子が不良個数を示してい
る。
【0062】*内面品位検査試験について アセトン硫酸銅試験液(純水約500 mlに、界面活性剤1
gと、CuSO4 を50gと、HClを35%含有する水溶液
(12規定)200 mlとを加えて撹拌し、さらに純水を加
えてトータル1000mlにして、これにアセトン1000mlを加
えて試験液を作成)を缶蓋内面に注いで10分間浸漬
し、その後、缶蓋を水洗し、実体顕微鏡によって缶蓋の
スコア溝付近の内面の腐蝕状態を観察した。そして、腐
蝕している箇所で所定値以下の点蝕が1点発生した場
合、または発生しない場合は「○」、所定値以下の大き
さの点蝕が2点または3点発生した場合や、あるいは所
定値を越える大きさの点蝕が1点発生した場合は「□」
と判定し、「○」または「□」と判定された缶蓋はいず
れも合格と判定している。これに対して、腐食点が4つ
以上発生している場合や、腐食が点でなく連続して発生
している場合は、その缶蓋を不良「×」と判定した。
【0063】ここで、上記実施形態の缶蓋において、そ
の構成の一部を変更する例について説明する。すなわ
ち、主スコア溝を長さ方向に断続的に形成することも可
能である。ただし、開口片の押圧時に、蓋部が主スコア
溝以外の箇所で破断されることのない程度にする必要が
ある。また、主スコア溝の幅を長手方向の全域において
同一に設定し、残厚のみを異ならせることも可能であ
る。なお、底面30,31,32は、接続部20に近接
した領域、具体的には蓋部1Aの厚さ方向におけるタブ
1Cの投影領域以外の領域に設けないようにすることが
好ましい。その理由は、底面30,31,32を、蓋部
1Aの厚さ方向におけるタブ1Cの投影領域以外の領域
に設けると、タブ1Cの押圧力が底面30,31,32
に作用しにくくなり、開蓋性が低下するからである。
【0064】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、第1湾曲部の湾曲範囲が、リベットの中心を基準と
して110度乃至130度の広範囲に設定されているた
めに、スコア溝の初期破断時にそのスコア溝を可及的に
長く破断することができ、ガス抜きが促進されてガス圧
と大気圧とが同じになりやすい。また、接続部が第1湾
曲部とは逆方向に湾曲されているとともに、破断誘導部
が形成されているため、スコア溝の破断進行方向の先端
がスコア溝の幅方向に積極的に移動し、スコア溝の破断
が遅延される。したがって、缶の内容物の圧力が開口片
の裏面に作用したとしても、つなぎ部の破断が回避さ
れ、開口片がパネル部から離脱する、いわゆるポップミ
サイル現象を防止することができる。
【0065】請求項2の発明によれば、請求項1と同様
の効果を得られるほか、第2湾曲部が、リベットの中心
を通過し、かつ、タブの幅方向に延びる線分に近接する
ことが抑制されるため、スコア溝の第2湾曲部に作用し
て第2湾曲部を破断するためのせん断力の上昇が防止さ
れる。したがって、スコア溝の初期開口に要する荷重の
増加が抑制され、開口面積を拡大した缶蓋の場合でも、
開蓋性を良好に維持することができる。
【0066】請求項3の発明によれば、請求項1または
2と同様の効果を得られるほか、開口片とパネル部との
破断面積が可及的に拡大される。したがって、缶の内容
物の圧力によりパネル部より下方に押し下げられている
開口片が、ガスの圧力により押し上げられる際に、パネ
ル部と開口片との破断面同士の摩擦抵抗が高められ、ス
コア溝の破断を一層確実に遅延させることができ、ポッ
プミサイル現象の防止機能が向上する。
【0067】請求項4の発明によれば、スコア溝の底面
の外周側にせん断応力が集中することが緩和されるた
め、破断進行方向の先端が、開口片側に移動することを
一層促進することができる。また、この傾斜角度の変更
は、スコア溝の形状自体の設計変更により可能であるた
め、缶蓋の製造工程において、缶蓋に無用な圧縮荷重や
加工硬化などのストレスが作用することはなく、缶蓋の
内面に施されている内面被膜の損傷が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る缶蓋の部分的な平面図であ
る。
【図2】 この発明に係る缶蓋の全体的な平面図であ
る。
【図3】 この発明に係る缶蓋であり、タブを省略した
状態の全体的な平面図である。
【図4】 この発明に係る缶蓋のリベット付近における
スコア溝付近の拡大平面図(説明の都合上、スコア溝の
幅を強調して図示している)である。
【図5】 図4のV−V線における断面図である。
【図6】 図4のVI−VI線における断面図である。
【図7】 図4のVII−VII線における断面図である。
【図8】 缶蓋の初期開口時におけるポップミサイルの
有無を評価するための試験状態を示す概略断面図であ
る。
【図9】 缶蓋の開蓋性を評価するための試験状態を示
す説明図である。
【符号の説明】
1…缶蓋、 1B…リベット、 1C…タブ、 2…パ
ネル部、 13…開口片、 16…つなぎ部、 17…
主スコア溝、 18…副スコア溝、 19…第1湾曲
部、 21…第2湾曲部、 20…接続部、 24,3
1,39…底面、E1…中心線、 25,26,35,
36,40,41…傾斜面、 45…持ち上げ部、 4
8…押し下げ部、 A1…リベット中心、 B1…線
分、 C1,D1…曲率中心、 R1…隆起部、 X
1,X2…線分、 t1,t2,t3t4…残厚、 β
1,β2…傾斜角。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E084 AA02 AA12 AA22 AB01 BA02 CA01 CB01 CB02 CB04 CC02 DA01 DC02 FA09 FD08 GB08 GB17 KB01 LA03 LB02 LB07 3E093 AA02 BB02 DD01 EE05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円板形状のパネル部と、 このパネル部に対して接続され、かつ、つなぎ部を除く
    開放形状のスコア溝により区画された開口片と、 前記パネル部のほぼ中央で前記開口片の外側に対してリ
    ベットにより連結されるとともに、前記パネル部側に配
    置された持ち上げ部と、前記開口片側に配置された押し
    下げ部とを有するタブとを備え、 前記スコア溝が、前記パネル部側の曲率中心を基準とし
    て湾曲された第1湾曲部と、この第1湾曲部における前
    記つなぎ部とは反対側の端部に接続され、かつ、前記開
    口片側の曲率中心を基準として湾曲された第2湾曲部と
    を有する正内圧缶用開口容易缶蓋において、 前記第1湾曲部が、前記リベットの中心を通過し、か
    つ、前記タブの長手方向に延びる線分を境として実質的
    に線対称に配置されているとともに、前記第1湾曲部の
    両端と前記リベットの中心とを結ぶ2つの線分の前記開
    口片側における開き角度が110度乃至130度に形成
    され、 前記スコア溝における前記第1湾曲部と前記第2湾曲部
    との間に、前記スコア溝を隔てて前記リベットの中心と
    は反対側の曲率中心を基準として湾曲された接続部が形
    成され、この接続部の曲率半径が前記第1湾曲部の曲率
    半径よりも小さく設定されているとともに、 前記第2湾曲部における前記接続部側の近接位置に、前
    記スコア溝の残存部分にせん断応力を作用させて破断す
    る際の破断進行方向の先端を、前記スコア溝の幅方向に
    移動させる破断誘導部が設けられていることを特徴とす
    る正内圧缶用開口容易缶蓋。
  2. 【請求項2】 前記接続部の曲率半径が1.2mm未満で
    あることを特徴とする請求項1に記載の正内圧缶用開口
    容易缶蓋。
  3. 【請求項3】 前記第2湾曲部の深さ方向における前記
    破断誘導部の残厚が、この破断誘導部以外のスコア溝の
    残厚よりも厚く設定されていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の正内圧缶用開口容易缶蓋。
  4. 【請求項4】 前記スコア溝の幅方向の中心線と、前記
    スコア溝に臨む前記パネル部側の傾斜面とにより設定さ
    れる傾斜角度が、前記中心線と前記スコア溝に臨む前記
    開口片側の傾斜面とにより設定される傾斜角度よりも大
    きく設定されていることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の正内圧缶用開口容易缶蓋。
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