JP2000252548A - 磁気抵抗効果素子及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子及び磁気記録装置

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JP2000252548A
JP2000252548A JP11374033A JP37403399A JP2000252548A JP 2000252548 A JP2000252548 A JP 2000252548A JP 11374033 A JP11374033 A JP 11374033A JP 37403399 A JP37403399 A JP 37403399A JP 2000252548 A JP2000252548 A JP 2000252548A
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口 裕 三 上
Hiromi Yuasa
浅 裕 美 湯
Masashi Sahashi
橋 政 司 佐
Hitoshi Iwasaki
崎 仁 志 岩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペキュラースピンバルブ膜の大きなMR変
化率を維持したうえで、良好な磁化固着膜のバイアス特
性と両立させるとともに、軟磁気特性を改善した磁気抵
抗効果素子を具備する磁気ヘッド及び磁気記録装置を提
供することを目的とする。 【解決手段】 磁化固着層と、フリー層と、これらの間
に設けられた非磁性中間層と、を有し、磁化固着層が、
第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁性体金属層の
上に設けられた第1の非金属層と、前記第1の非金属層
の上に設けられ前記第1の非金属層とは異なる組成を有
する第2の非金属層と、前記第2の非金属層の上に設け
られた第2の強磁性体金属層と、を有する磁気抵抗効果
素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素子
及び磁気記録装置に関し、より詳細には、本発明は、ス
ピンバルブ膜を用いた磁気抵抗効果素子及びこの磁気抵
抗効果素子を磁気ヘッドに搭載した磁気記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気記録媒体に記録された情報
の読み出しは、コイルを有する再生用磁気ヘッドを記録
媒体に対して相対的に移動させ、そのときに発生する電
磁誘導でコイルに誘起される電圧を検出する方法によっ
て行われてきた。一方、情報を読み出す場合に、磁気抵
抗効果素子(以下、「MR」素子と呼ぶ)を用いること
も知られている。(IEEE MAG−7,150(1
971)等参照)。MR素子を用いた磁気ヘッド(以
下、「MRヘッド」と呼ぶ)は、ある種の強磁性体の電
気抵抗が外部磁界の強さに応じて変化するという現象を
利用したものである。
【0003】近年、磁気記録媒体の小型化・大容量化が
進められ、情報読み出し時の再生磁気信号が極めて微弱
になってきており、より高感度に大きな出力が取り出せ
るMRヘッドヘの期待が高まっている。とくに、強磁性
体/非磁性体/強磁性体のサンドイッチ構造の積層膜
で、大きな磁気抵抗効果が得られている。すなわち、非
磁性層を挟んだ2つの強磁性層の一方に、交換バイアス
を及ぼして磁化を固定しておき、他方の強磁性体を外部
磁界(信号磁界等)により磁化反転させる。これによ
り、非磁性層を挟んで配置された2つの強磁性層の磁化
方向の相対的な角度を変化させることによって、大きな
磁気抵抗効果が得られる。この様なタイプの多層膜はス
ピンバルブ膜と呼ばれている(Phys.Rev.B.,Vo1.45,p80
6(1992)、J.Appl.Phys.,Vol.69,p4774(1991)等参照)。
【0004】スピンバルブ膜の磁気抵抗変化率は、5〜
8%と大きく低磁場で磁化を変化させることが出来るた
め、MR素子に適している。ただし、記録密度のさらな
る高密度化に対応するためには、さらに大きなMR変化
率をえる必要があり、現在の2倍から3倍以上のMR変
化率を得ることが望まれている。しかし、単純な金属積
層タイプのスピンバルブ膜では、10%以上のMR変化
率を得ることは困難となっている。それに対して最近、
バイアス膜として、NiO,Fe などの酸化物
からなる絶縁性の反強磁性体を用い、もう片方の磁性体
の表面にも酸化物層を積層した、「スペキュラースピン
バルブ膜」が注目を集めている。スペキュラースピンバ
ルブ膜では、磁性体/非磁性体/磁性体のサンドイッチ
膜をさらに絶縁体で挟み込むことにより、金属/絶縁体
界面で電子を鏡面反射させ、約20%程度の大きな磁気
抵抗効果が得られることが知られている。スペキュラー
スピンバルブ膜では、磁性体/非磁性体/磁性体サンド
イッチ膜の両側を酸化物層で挟む必要があるが、同時
に、少なくとも片方の磁性体に接して磁化を固着するた
めのバイアス膜を積層する必要がある。そのため、現在
ではNiO,Fe などの酸化物反強磁性体が用
いられているが、現在のところ、十分に良好なバイアス
特性を持った酸化物反強磁性体は知られておらず、実用
化のネックになっている。すなわち十分に大きな交換バ
イアス磁場と十分に高いブロッキング温度を持った絶縁
性の反強磁性体がないため、スペキュラースピンバルブ
膜を実用材料として使用することが困難になっている。
【0005】これに対して、最近、磁性体層の中に極薄
の酸化物を挿入することによって、金属反強磁性体を用
いながらスペキュラー効果を得る方法が提案されてい
る。この方法を用いれば、大きな交換バイアス磁場と十
分に高いブロッキング温度を持った金属反強磁性体を用
いながら大きなMR効果を得ることが可能になる。しか
し、この場合極薄の酸化物層を精度良く作成することが
重要であり、十分な再現性をもって良好な酸化物層を作
成する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課
題に鑑みてなされたものである。すなわち、その目的
は、スペキュラースピンバルブ膜の大きなMR変化率を
維持したうえで、良好な磁化固着膜のバイアス特性と両
立させるとともに、軟磁気特性を改善した磁気抵抗効果
素子を具備する磁気ヘッド及び磁気記録装置を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の磁気抵抗効果素子は、第1の磁性層と、第
2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層と
の間に設けられた非磁性中間層と、を有するスピンバル
ブ膜を備えた磁気抵抗効果素子であって、前記第1の磁
性層と前記第2の磁性層の少なくともいずれかは、第1
の強磁性体金属層と、前記第1の強磁性体金属層の上に
設けられた第1の非金属層と、前記第1の非金属層の上
に設けられ前記第1の非金属層とは異なる組成を有する
第2の非金属層と、前記第2の非金属層の上に設けられ
た第2の強磁性体金属層と、を有することを特徴とし、
電子を鏡面反射させる非金属層を極めて薄く且つ再現性
良く形成することできる。
【0008】または、本発明の磁気抵抗効果素子は、第
1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前
記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、を
有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗効果素子であっ
て、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくとも
いずれかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁
性体金属層の上に設けられ前記第1の強磁性体金属層と
は異なる組成を有する第2の強磁性体金属層と、前記第
2の強磁性体金属層の上に設けられた非金属層と、前記
非金属層の上に設けられた第3の強磁性体金属層と、を
有することを特徴とし、電子を鏡面反射させる非金属層
を極めて薄く且つ再現性良く形成することできる。
【0009】または、本発明の磁気抵抗効果素子は、第
1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前
記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、を
有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗効果素子であっ
て、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくとも
いずれかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁
性体金属層の上に設けられた第1の非金属層と、前記第
1の非金属層の上に設けられた第2の強磁性体金属層
と、前記第2の強磁性体金属層の上に設けられた第2の
非金属層と、前記第2の非金属層の上に設けられた第3
の強磁性体金属層と、を有することを特徴とし、電子の
鏡面反射を極めて効果的に生じさせることができる。
【0010】または、本発明の磁気抵抗効果素子は、第
1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前
記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層と、を
有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗効果素子であっ
て、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくとも
いずれかは、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、
ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニ
ウム(Al)、シリコン(Si)、りん(P)、カリウ
ム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(S
c)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロ
ンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、セシウム(C
s)、バリウム(Ba)及びランタン系列に属する元素
からなる群から選択された少なくともいずれかの元素を
1%以上含有した第1の強磁性体金属層と、前記強磁性
体金属層の上に設けられた非金属層と、前記非金属層の
上に設けられた第2の強磁性体金属層と、を有すること
を特徴とし、電子を鏡面反射させる非金属層を極めて薄
く且つ再現性良く形成することできる。
【0011】特に、前記第1の強磁性体金属層は、アル
ミニウム(Al)、シリコン(Si)及びランタン系列
に属する元素からなる群から選択された少なくともいず
れかの元素を1%以上含有したものであることが望まし
い。
【0012】または、本発明の第5の磁気抵抗効果素子
は、第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第1の磁性
層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層
と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗効果素子
であって、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少な
くともいずれかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1
の強磁性体金属層の上に設けられた非金属層と、前記非
金属層の上に設けられた第2の強磁性体金属層と、を有
し、前記非金属層は、反強磁性体であり、且つ、その膜
厚をT、その磁気的周期をP、整数をnとした時に、式
P×(n+0.3)≦T≦P×(n+0.7)が満足さ
れることを特徴とし、シンセティック反強磁性体を形成
してさらに高性能化することができる。
【0013】ここで、前記非金属層の厚さは、例えば、
NiOの(111)配向膜のように、Ni原子層/酸素
原子層/ニッケル原子層/酸素原子層/ニッケル原子層
という積層構造を持ってる場合には、一番界面に近い酸
素原子層の強磁性金属層側に接している金属原子層の中
心位置から、中心位置までの距離で定義する。また、よ
り複雑な結晶構造を持った非金属層の場合も、一番界面
に近い酸素原子層の金属層側に接している金属原子層の
中心位置から、中心位置までの距離で定義する。
【0014】または、本発明の第6の磁気抵抗効果素子
は、第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第1の磁性
層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性中間層
と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗効果素子
であって、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少な
くともいずれかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1
の強磁性体金属層の上に設けられた非金属層と、前記非
金属層の上に設けられた第2の強磁性体金属層と、を有
し、前記非金属層は、反強磁性体であり、且つ、その膜
厚をT、その磁気的周期をP、整数をnとした時に、式 P×(n−0.2)≦T≦P×(n+0.2) が満足されることを特徴とし、安定な強磁性的結合を得
ることができる。
【0015】一方、本発明の磁気記録装置は、磁気記録
媒体に対して情報を記録または再生する磁気ヘッドを備
えた磁気記録装置であって、前記磁気ヘッドは、前述し
たいずれかの磁気抵抗効果素子を有することを特徴と
し、大きな再生信号出力と、良好な熱安定性とを実現さ
せることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の
実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面構造を表す
概念図である。すなわち、本発明の磁気抵抗効果素子
は、所定の基板の上に、反強磁性層10、第1の磁性層
20、非磁性中間層30、第2の磁性層40、及び非金
属層50がこの順に積層された構造を有する。
【0017】さらに、この積層構造の両側には、硬磁性
膜80、80が設けられ、それぞれの硬磁性膜の上に
は、電極82、82が設けられている。
【0018】本具体例においては、第1の磁性層20
は、磁化が固定され一方向異法性によるバイアスがかれ
られた「磁化固着層」として作用する。また、第2の磁
性層40は、図示しない磁気記録媒体などから発生され
る外部磁場(例えば信号磁界など)により磁化反転され
る「磁場感受層」あるいは「フリー層」として作用す
る。
【0019】「磁化固着層」である第1の磁性層20
は、強磁性体金属層22と非金属層24と強磁性層金属
層26をこの順に積層した構造を有する。さらに、本実
施形態においては、非金属層24が、第1の非金属層2
4Aと第2の非金属層24Bとを積層した構造を有す
る。
【0020】本発明の磁気抵抗効果素子においては、電
極82、82を介して図1に向かって左右方向にバイア
ス電圧を印加して磁気抵抗の変化を測定することによ
り、第2の磁性層40に印加される磁場強度を検出する
ことができる。この時に、バイアス電圧により生ずる電
流は、主に第2の強磁性体金属層26、非磁性中間層3
0、及び第2の磁性層40において面内方向に流れる。
【0021】ここで、磁気抵抗効果をより顕著に得るた
めには、バイアス電圧の印加に伴って面内方向に流れる
電子の運動量の損失を低減する必要がある。本発明によ
れば、まず、第2の磁性層40の上に非金属層50を設
けることにより、これらの層の間で電子の鏡面反射を生
じさせることができる。この結果として、電子の運動量
の損失を低減することができる。
【0022】さらに、本発明によれば、第1の磁性層2
0の中間に非金属層24を設けることにより、第2の強
磁性体金属層26と非金属層24との界面においても電
子の鏡面反射を生じさせることができる。つまり、反強
磁性層10の材料として、NiMn,PtMn,IrM
nなどの金属性の反強磁性体を用いた場合には、反強磁
性層10と第1の磁性層20との間において電子の鏡面
反射を生じさせることは困難であり電子の運動量の損失
が生ずるのに対して、本発明によれば、金属性の反強磁
性体を用いながら電流経路の上下いずれの磁性層の界面
においても電子反射を起こすことができる。
【0023】その結果として、電子の運動量の損失を極
小化させ、反強磁性体を用いつつ、良好なバイアス磁場
特性を実現することができる。さらに、250℃以上の
高いブロッキング温度を保ちつつ、MR変化率として1
5%以上の大きな値を得ることが可能になる。
【0024】ここで、第1の磁性層20の中間に設ける
非金属層24は、その層厚が厚すぎるとその上下の強磁
性体金属層22と26との磁気的なカップリングを妨害
し、良好な磁化固着特性を得ることができないという問
題を生ずる。一方、非金属層24の層厚が薄すぎると、
均一で連続的な薄膜の形成が困難となり、電子の鏡面反
射を十分に生じさせることができない。つまり、非金属
層24として、極めて薄く且つ均一な薄膜を再現性良く
形成する必要が生ずる。
【0025】一般に、極薄の非金属層を形成する場合に
は、まず非金属層を形成するための下地の金属層を形成
し、その表面を酸素(O)、窒素(N)、あるいはフッ
素(F)などを含有した気体、もしくはそのプラズマな
どの雰囲気に曝して反応させることより、形成すること
が望ましい。ただし、この場合に反応が進みすぎると、
非金属層の厚さが厚くなりすぎるため、非金属層で磁気
カップリングが切れてしまい、良好な磁化固着特性を得
ることが難しくなってしまう。この為、再現性良く反応
の進行を制御する必要があるが、従来の構成では反応の
精密な制御は容易でなかった。
【0026】これに対して、本実施形態によれば、非金
属層24を第1の第1の非金属層24Aと第2の非金属
層24Bとの積層構造とすることにより、非金属層24
の全体の層厚を再現性良く薄く形成することが可能とな
る。すなわち、本実施形態では、非金属層24を形成す
るための材料として2種以上の材料の積層構成を用い
る。第1の非金属層24Aの材料としては、酸化や窒化
などの反応に対してより耐性の強い材料を用いる。ま
た、第2の非金属層24Bの材料としては、反応の後
に、良好な電子反射を起こすことができる材料を用い
る。
【0027】図2は、非金属層24の形成方法を概念的
に表す工程断面図である。まず、図2(a)に表したよ
うに、下地層22と薄膜Xとの積層構造を用意する。こ
こで、下地層22は、第1の強磁性体金属層の一部を兼
ねるものであり、且つ酸化や窒化あるいはフッ化に対し
て耐性の大きい材料からなることが望ましい。その材料
としては、ニッケル(Ni)を含有したものであること
が望ましく、例えば、ニッケル・鉄(NiFe)合金を
用いることができる。
【0028】また、薄膜Xは、酸化、窒化またはフッ化
により、良好な電子反射を起こすことができる材料から
なる。その材料としては、例えば、コバルト鉄(CoF
e)に、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナト
リウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム
(Al)、シリコン(Si)、りん(P)、カリウム
(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、
ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウ
ム(Sr)、イットリウム(Y)、セシウム(Cs)、
バリウム(Ba)及びランタン系列に属する元素の少な
くともいずれかの元素を添加したものを用いることがで
きる。
【0029】また、薄膜Xの堆積は、例えば、スパッタ
リング、真空蒸着、CVDなどの方法により行うことが
できる。この際に、薄膜Xを十分に薄く堆積することは
比較的容易である。
【0030】次に、図2(b)に表したように、第1の
非金属層24Aと第2の非金属層24Bを形成する。具
体的には、酸素(O)、窒素(N)あるいはフッ素
(F)を含有した雰囲気に曝すことにより、薄膜Xと下
地22の表面を反応させる。この際に、薄膜Xは、反応
性が比較的高いために全体が反応し、第2の非金属層2
4Bが形成される。しかし、その下の下地層22は反応
の耐性が大きい材料を含有するため、反応の進行が阻止
され、極薄の非金属層24Aが形成される。つまり、非
金属層24の全体の膜厚は、薄膜Xの膜厚により実質的
に決定される。このため、極薄且つ均一な非金属層24
を再現性良く形成することができる。
【0031】本発明によれば、下地が反応に対するスト
ッパ層として作用し、極薄且つ均一な非金属層を再現性
よく形成することができる。その結果として、電子の鏡
面反射を生じさせつつ、第1の強磁性体金属層22と第
2の強磁性体金属層26との磁気的なカップリングを確
保して良好な磁化固着特性を得ることができる。
【0032】また、図1乃至図2においては、非金属層
24が2種類の非金属層からなる場合を例示したが、本
発明はこれに限定されるものではない。すなわち、非金
属層24の構造として、3種類あるいはそれ以上の非金
属層からなる積層構造を採用しても良い。このような場
合においても、上側に電子の鏡面反射を確保する層を設
け、下側に過度の反応を阻止する役割を有する層を設け
ることにより、同様の効果を得ることができる。
【0033】以下に、本実施形態にかかる磁気抵抗効果
素子を構成する各層の構成についてさらに詳細に説明す
る。
【0034】まず、非金属層24の材料としては、酸化
物、窒化物、あるいはフッ化物などを用いることができ
る。これらのうちで、非磁性材料(室温でスピンの強磁
性磁化配列も、反強磁性配列もしない材料)を用いる場
合は、非金属層24のトータル厚さは3nm以下とする
ことが望ましい。これは、非金属層24の厚さがこれ以
上に厚くなると非金属層24を挟んだ両側の強磁性体金
属層22、26の間での磁気的結合力が小さくなり、非
磁性中間層30に接した強磁性体金属層26の磁化の固
着が困難になるためである。また、より良好な磁化固着
を得るためには、非金属層24の合計厚さを2nm以下
とすることがより望ましい。
【0035】非金属層24の材料として反強磁性体、も
しくは強磁性体を用いる場合には、非金属層24を介し
て上下の磁性層22、26を磁気的に固着出来る。従っ
て、非金属層24の合計の膜厚が5nm以下であれば十
分に非磁性中間層30に接した強磁性体金属層26の磁
化を固着することが可能である。ただし、より強固な磁
性的結合を得るためには、非金属層24の合計の厚さは
3nm以下であることが望ましい。
【0036】特に、強磁性体を用いることより大きなM
R変化率と層間結合を得ることができる。
【0037】また、非金属層24の材料が反強磁性体で
ある場合には、動作環境温度を考えるとネール温度が2
50℃以上であることが望ましく、300℃以上である
ことがより望ましい。これは、ネール温度が低いと、上
下の強磁性体層22、26の結合の熱的安定性が劣化す
るためである。
【0038】ただし、本発明においは、電子を鏡面反射
させる非金属層24を両側から強磁性体22、26で挟
むため、強磁性体からの分子磁界によってバルク値より
もネール温度が上昇する。このため、電子反射層となる
非金属層24の両側は、キューリー点の高いFe(鉄)
系またはCo(コバルト)系合金によってサンドイッチ
することが望ましい。この方法によって、NiO(酸化
ニッケル)のような材料においても、組成を適宜調整す
ることによって十分に高いネール点を確保することが出
来る。
【0039】一方、非金属層24の材料が強磁性体であ
る場合には、動作環境温度を考えるとキューリー温度が
100℃以上であることが望ましく、200℃以上であ
ることがさらに望ましい。この場合も、電子反射層とな
る非金属層24を両側から強磁性体層22、26で挟む
ため、強磁性体からの分子磁界によってバルク値よりも
キュリー点は上昇する。このため、非金属層24の両側
はキューリー点の高いFe系またはCo系合金でサンド
イッチすることが望ましい。この方法によって、例えば
ペロブスカイト系のような材料においても、組成を適宜
調整することによって十分に高いキューリー点を確保す
ることが出来る。また、フェライト系のような材料にお
いても、さらに十分なキューリー点を確保することが出
来る。
【0040】一方、上下の強磁性体金属層22、26の
磁気的な結合の形態は、磁化が平行になるように結合し
ていてもよく、磁化が反平行に結合していてもよい。ま
た、磁化が略90度の角度をなして結合していても良
い。または、それ以外の角度をなしていても問題はな
い。結合の強さは、400Oeの外部磁場で10度以内
の角度変化となることが望ましい。
【0041】上下磁性層の結合を平行にするためには、
非金属層24の材料として強磁性体、もしくはフェリ磁
性体を用いることが望ましい。ただし、反強磁性体を用
いることもできる。その場合には、NiOのように原子
のスタック(積層)に対して各原子層の磁化が反平行に
配列するような絶縁体を用いることが望ましい。その場
合に、磁性原子層の数が偶数に近くなるように非金属層
24の膜厚を設定することが望ましい。
【0042】すなわち、非金属層24の材料としては、
強磁性体であり、且つ、その膜厚をT、その時期的周期
をP、整数をnとした時に、式P×(n−0.2)≦T
≦P×(n+0.2)が満足されるようなものを用いる
ことが望ましい。ここで、時期的周期とは、非金属層の
膜厚方向において生ずる磁化スピンの周期のことであ
り、例えば、磁気的な1周期が数原子層にわたってスパ
イラル状に変化するような場合も含む。
【0043】具体的には、例えば、NiO(酸化ニッケ
ル)のように、原子スタックに対して各原子層の磁化が
反平行に配列している絶縁体を用いることができる。N
iOの(111)配向膜はNi原子層/酸素原子層/ニ
ッケル原子層/酸素原子層/ニッケル原子層という積層
構造を持っている。この場合の時期的周期は、酸素原子
層/ニッケル原子層/酸素原子層/ニッケル原子層であ
る。従って、非金属層の膜厚方向にみた酸素原子層の数
が偶数に近くなるように、非金属層24の膜厚を設定す
ることが望ましい。但し、トータルとしての磁気的結合
が平行であればよいため、必ずしもぴったりと偶数であ
る必要はない。
【0044】ここで、前記非金属層の厚さは、一番界面
に近い酸素原子層の強磁性金属層側に接している金属原
子層の中心位置から、中心位置までの距離で定義する。
また、より複雑な結晶構造を持った非金属層の場合も、
一番界面に近い酸素原子層の金属層側に接している金属
原子層の中心地位から、中心位置までの距離で定義す
る。また、より複雑な結晶構造を有する酸化物の場合に
おいても、上記定義は同様に適用することができる。
【0045】上下の強磁性体金属層22、26の結合を
反平行にするためには、非金属層24の材料として、反
強磁性体であり、且つ、その膜厚をT、その磁気的周期
をP、整数をnとした時に、式P×(n+0.3)≦T
≦P×(n+0.7)が満足されるようなものを用いる
ことが望ましい。ここで、「磁気的周期」とは、非金属
層の膜厚方向において生ずる磁化スピンの周期のことで
あり、例えば、磁気的な1周期が数原子層に渡ってスパ
イラル状に変化するような場合も含む。
【0046】具体的には、例えば、NiO(酸化ニッケ
ル)のように、原子スタックに対して各原子層の磁化が
反平行に配列している絶縁体を用いることができる。こ
の場合の「磁気的周期」は、酸素原子層/ニッケル原子
層/酸素原子層/ニッケル原子層である。従って、非金
属層の膜厚方向にみた原子層の数が奇数に近くなるよう
に非金属層24の膜厚を設定することが望ましい。但
し、トータルとしての磁気結合が反平行であればよいた
め、からなずしもぴったりと奇数である必要はない。
【0047】また、フェリ磁性体を用いる場合も、強磁
性体と電子反射層となる非金属層24との界面での電子
反射層の磁性サイトが一方向のスピンサイトが多くなる
ような面を選び、その上側界面と下側界面とでその方向
が反平行となるよう、膜厚を選択することが望ましい。
【0048】また、非金属層24は、アモルファス(非
晶質)状態であってもよいが、微結晶状態または多結晶
状態であることが望ましく、磁性体層とエピタキシャル
関係にあることがさらに望ましい。特に、上下磁性層2
2、26の結合を強くし、かつ電子反射係数を増大させ
るためには、エピタキシャル関係にあることが望まし
い。
【0049】また、非金属層24は、完全に連続的な薄
膜の状態であってもよいが、ピンホールがあいていても
よい。ピンホールが開いていると、その穴を通して上下
磁性層22、26が磁気的に結合することが可能になる
ため、強い磁気結合を得ることが出来る。ただし、あま
りピンホールの存在が多いと電子反射効果が小さくなる
ため、ピンホールの割合は面積にして全体の50%以下
であることが望ましい。さらに電子反射効果を上昇させ
るためには、ピンホールの割合は20%以下であること
が望ましく、10%以下であることがさらに望ましい。
【0050】また、電子を鏡面反射する界面すなわち、
第2の非金属層24Bと強磁性体金属層26との界面の
平均の凹凸は2nm以上あってもよいが、2nm以下で
あることがより望ましい。界面の凹凸が2nm以上であ
ると、電子反射係数が劣化するためにMR変化率は減少
してしまう。図1に例示したように、反強磁性層10を
下側に設けた場合にはスピンバルブ膜の平滑性が上昇
し、表面、もしくは界面の凹凸が減少するため、より大
きな電子反射効果を得ることができる。この場合に界面
の凹凸をさらに減少させるために、反強磁性層10の下
地としては、タンタル(Ta),チタン(Ti),クロ
ム(Cr),アルミニウム(Al)などを用いることが
できる。
【0051】また、基板との濡れ性を向上させる下地層
を設け、さらに、その上に銅(Cu),金(Au),銀
(Ag)のような結晶配向性を向上させる材料を積層し
た上に反強磁性層10を堆積しても良い。このとき下地
と、その上に積層される金属層との格子定数の差は、5
%以内とすることが望ましい。このことによって、全体
の平滑性と配向性を向上させることが可能となり、電子
反射係数が上昇し、より大きなMR効果を得ることがで
きる。
【0052】電子反射層としての非金属層24は、必ず
しも配向している必要はないが、より望ましくは最密面
配向している方がよい。電子反射層を最密面に配向させ
ることにより、より大きな電子反射率を得ることが可能
となる。また、その上に積層する強磁性体金属層26の
膜質が向上し、図1のような反強磁性層10を下側に設
けた構造では、軟磁気特性を向上させることも可能であ
る。
【0053】強磁性体金属層22、26、あるいは第2
の磁性層40の材料としては、ニッケル(Ni)、コバ
ルト(Co)、鉄(Fe)などの磁性体を用いることが
できるが、NiFe、CoFeなどのような2元系磁性
合金でも良い。特に大きなMR変化率と良好な軟磁気特
性を得るためには、コバルト(Co)を含んだ磁性合金
を用いることが望ましい。コバルト系合金を用いること
により大きなスピン依存散乱と、良好な電子反射効果と
を得ることが可能となり、大きなMR効果を得ることが
できる。また、同様に3元以上の磁性体合金を用いても
良い。
【0054】また、強磁性体金属層22、26の材料
は、必ずしも同一である必要はなく、一方がNiFe
で、他方がCoFeというように変えてもよい。この場
合には、非磁性中間層30に接していない強磁性体金属
層22の抵抗が高い方がシャントの効果を低減すること
ができるため、強磁性体金属層22には、クロム(C
r)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、タングステン(W)、ロジウム(Rh)、ルテ
ニウム(Ru)などの高抵抗化添加物を添加することが
望ましい。
【0055】特に、図1に例示した構造において、第1
の強磁性体金属層22を2層構造とし、その下側の層
を、磁気固着層として実質的に作用する層、上側の層を
反応を阻止する層として作用させることができる。この
場合の下側の層の材料としては、MR変化量に影響を及
ぼすバルク効果が大きいものが望ましい。具体的には、
例えば、コバルト(Co)系磁性合金を挙げることがで
き、その層厚は相対的に厚く形成することが望ましい。
一方、この場合の上側の層の材料としては、前述したよ
うに、ニッケル系の磁性合金とすることができ、その層
厚は反応を阻止することができる範囲で薄く形成するこ
とが望ましい。
【0056】さらに、これらの磁性層22、26、40
は、それぞれ2層以上の磁性体と非磁性体の積層構造と
なっていても良い。例えば、CoFe/Cuのような2
層構造とされていても良い。または、CoFe/Ru/
CoFeのような3層構造とされていても良く、また
は、4層以上の積層構造であっても良い。
【0057】また、これらの磁性層は、必ずしも配向し
ている必要はないが、最密面配向していることが望まし
く、結晶格子の構造がfccの磁性体では(111)面
配向していることが望ましく、bcc構造の磁性体では
(100)面配向していることが望ましく、hcp構造
の磁性体では、c面が面内配向していることが望まし
い。
【0058】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態にかかる
磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。すな
わち、本実施形態の磁気抵抗効果素子も、所定の基板の
上に、反強磁性層10、第1の磁性層20、非磁性中間
層30、第2の磁性層40、及び非金属層50がこの順
に積層された構造を有する。各層の具体的な構成や役割
は、図1乃至図2に関して前述したものと概略同様とす
ることができるので、同一の部分には同一の符号を付し
て詳細な説明は省略する。
【0059】また、図1に例示した硬磁性膜80、80
と電極82、82は、図3においては簡単のために省略
した。
【0060】本実施形態においては、第1の強磁性体金
属層22が、2種以上の強磁性体の積層構造からなるこ
とを特徴としている。すなわち、図3に表した具体例に
おいては、第1の強磁性体金属層22は、第1の層22
Aと第2の層22Bとを積層した構造を有する。
【0061】第1の層22Aは、磁気固着層として実質
的に作用し、その材料としては、大きな一方向異方性を
得られるものが望ましい。具体的には、例えば、コバル
ト(Co)系磁性合金を挙げることができ、コバルト
に、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀
(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(P
t)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニ
ウム(Ru)、オスミウム(Os)、ハフニウム(H
f)などの元素のいずれか1種あるいは2種以上を添加
した合金を挙げることができる。
【0062】第2の層22Bは、磁気固着層として作用
しうる強磁性特性を有するとともに、非金属層24の形
成の際の酸化、窒化またはフッ化反応に対する耐性が高
い材料からなる。つまり、第1実施形態に関して前述し
たように、非金属層24を反応により形成させる際に、
第2の層22Bの表面層が反応して非金属層24が形成
されるが、この際に過度の反応を阻止して、全体として
極薄且つ均一な非金属層24を再現性良く得ることがで
きる。第2の層22Bの材料としては、例えば、ニッケ
ル(Ni)系の合金を挙げることができる。
【0063】本実施形態によれば、第1実施形態に関し
て前述した種々の効果が同様に得られ、さらに、第1の
強磁性体金属層22において、バルク効果が高い第1の
層22Aを設けることにより、磁化固着特性を改善して
より大きな一方向異方性磁界を得ることができる。
【0064】次に、本発明の第3の実施の形態について
説明する。図4は、本発明の第3の実施の形態にかかる
磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。すな
わち、本実施形態の磁気抵抗効果素子も、所定の基板の
上に、反強磁性層10、第1の磁性層20、非磁性中間
層30、第2の磁性層40、及び非金属層50がこの順
に積層された構造を有する。各層の具体的な構成や役割
は、図1乃至図2に関して前述したものと概略同様とす
ることができるので、同一の部分には同一の符号を付し
て詳細な説明は省略する。
【0065】また、図1に例示した硬磁性膜80、80
と電極82、82は、図4においては簡単のために省略
した。
【0066】本実施形態においては、第1の磁性層20
が、少なくとも2層の非金属層と少なくとも3層の強磁
性体金属層とを交互に積層させた構造を有する。すなわ
ち、図4に表した具体例においては、第1の磁性層20
は、強磁性体金属からなる第1の層22A、第1の非金
属層24A、強磁性体金属からなる第2の層22B、第
2の非金属層24B及び、強磁性体金属からなる第3の
層26をこの順に積層した構造を有する。
【0067】磁化固着特性を確保するためには、強磁性
体金属からなる各層、すなわち第1〜第3の層22A、
22B、及び26の磁気的なカップリングを維持する必
要がある。このためには、これらの間に介在させる非金
属層24A及び24Bの膜厚を薄くする必要があるが、
あまりに薄く形成すると、ピンホールなどが生じやす
く、電子の鏡面反射の効率が低下する。
【0068】これに対して、本実施形態によれば、非金
属層24Aと24Bとを別個に設けることにより、強磁
性体層との界面が増え、電子が鏡面反射される確率を倍
増させることができる。つまり、本実施形態によれば、
複数の非金属層を強磁性体からなる層の間に別個に介在
させることにより、ピンホールなどが存在しうるような
極薄の非金属層を用いて強磁性体層の間の磁気的なカッ
プリングを確保しつつ、電子の鏡面反射の効率を倍増さ
せることができる。その結果として、磁気固着特性を維
持しつつ、電子の運動量の損失を大幅に低減して大きな
MR特性を実現することができる。
【0069】次に、本発明の第4の実施の形態について
説明する。図5は、本発明の第4の実施の形態にかかる
磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。すな
わち、本実施形態の磁気抵抗効果素子も、反強磁性層1
0、第1の磁性層20、非磁性中間層30、第2の磁性
層40、及び非金属層50がこの順に積層された構造を
有する。各層の具体的な構成や役割は、図1乃至図2に
関して前述したものと概略同様とすることができるの
で、同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省
略する。
【0070】また、図1に例示した硬磁性膜80、80
と電極82、82は、図5においては簡単のために省略
した。
【0071】本実施形態においては、第1の磁性層20
が、少なくとも1層の非金属層を中間に有し、この非金
属層に接して設けられた強磁性体金属層が、リチウム
(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、
マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコ
ン(Si)、りん(P)、カリウム(K)、カルシウム
(Ca)、スカンジウム(Sc)、ガリウム(Ga)、
ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イット
リウム(Y)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)及
びランタン系列に属する元素の少なくともいずれかを1
%以上含有することを特徴としている。例えば、図5に
表した具体例においては、第1の磁性層20は、第1の
強磁性体金属層22’と非金属層24と第2の強磁性体
金属層26とをこの順に積層してなる。そして、第1の
強磁性体金属層22’は、上記したいずれかの元素を1
%以上含有している。
【0072】非金属層24の形成は、第1の強磁性体金
属層22’の表面を酸化、窒化、またはフッ化させるこ
とにより行う。この形成工程において、クロム、アルミ
ニウム、またはシリコンが優先的に反応し、緻密で平滑
な非金属層24を形成することができる。その結果とし
て、良好なMR変化率を再現性良く得ることができる。
【0073】なお、図5に例示した構造の他にも、例え
ば、図4に例示した構造において、強磁性体金属層22
A及び22Bの少なくともいずれかに、リチウム(L
i)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグ
ネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、シリコン
(Si)、りん(P)、カリウム(K)、カルシウム
(Ca)、スカンジウム(Sc)、ガリウム(Ga)、
ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イット
リウム(Y)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)及
びランタン系列に属する元素の少なくともいずれかを1
%以上含有させても同様の効果を得ることができる。
【0074】次に、本発明の第5の実施の形態について
説明する。図6は、本発明の第5の実施の形態にかかる
磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。すな
わち、本実施形態の磁気抵抗効果素子も、反強磁性層1
0、第1の磁性層20、非磁性中間層30、第2の磁性
層40、及び非金属層50がこの順に積層されたスピン
バルブ構造を有する。各層の具体的な構成や役割は、図
1乃至図2に関して前述したものと概略同様とすること
ができるので、同一の部分には同一の符号を付して詳細
な説明は省略する。
【0075】また、図1に例示した硬磁性膜80、80
と電極82、82は、図6においては簡単のために省略
した。
【0076】本実施形態においても、第1の磁性層20
は、強磁性体金属層22と非金属層24’と強磁性体金
属層26とを積層した構造を有する。そして、非金属層
24’は、反強磁性体であり、且つ、その膜厚をT、そ
の磁気的周期をP、整数をnとした時に、式P×(n+
0.3)≦T≦P×(n+0.7)の範囲内とする。
【0077】このような構成とすることにより、非金属
層24′を挟んだ上下の強磁性体金属層22、26の磁
気的な結合を反平行とすることができる。すなわち、非
金属層24’の原子面の数を上記のように制御すると、
第1の磁性層20をいわゆる「シンセティック反強磁性
構造」とすることができる。そして、このように、上下
の磁性層22、26の磁化が打ち消しあうため、磁化固
着層すなわち第1の磁性層20がフリー層すなわち第2
の磁性層40に与える静磁場を十分に小さくすることが
できる。磁化固着層すなわち第1の磁性層20からの静
磁場による動作点のシフトは、実際の磁気ヘッドを製作
する上での大きな問題となっているが、本実施形態によ
れば、第1の磁性層20をシンセティック反強磁性体と
することにより、この問題を解消することができる。
【0078】また、いわゆるスペキュラースピンバルブ
では、フリー層の膜厚を薄くすることにより、より大き
なMR変化率を得ることが可能となるが、フリー層を単
純に薄くすると、前述したように静磁場の影響により動
作点がシフトするという問題が生ずる。これに対して、
本実施形態によれば、第1の磁性層20をシンセティッ
ク反強磁性体とすることよりフリー層を十分に薄くする
ことが可能となり、スペキュラ効果をより有効に利用す
ることができる。
【0079】非金属層24’の具体例としては、例え
ば、ニッケル(Ni)を含有した酸化物を挙げることが
できる。例えば、酸化ニッケルを最密面配向させた薄膜
を形成する場合には、ニッケルが含有された原子層と酸
素が主体となる原子層とが交互に積層される。本実施形
態においては、非金属層24’の膜厚方向にみて、これ
らの原子層の数を合計で偶数とすることにより、その上
下の強磁性体の磁化方向を反平行とすることができる。
【0080】次に、本第5実施形態の変型例について図
6を参照しつつ説明する。
【0081】すなわち、本変型例の磁気抵抗効果素子
も、反強磁性層10、第1の磁性層20、非磁性中間層
30、第2の磁性層40、及び非金属層50がこの順に
積層されたスピンバルブ構造を有する。各層の具体的な
構成や役割は、図1乃至図2に関して前述したものと概
略同様とすることができるので、同一の部分には同一の
符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】本実施形態においても、第1の磁性層20
は、強磁性体金属層22と非金属層24’と強磁性体金
属層26とを積層した構造を有する。そして、非金属層
24’は、反強磁性体であり、且つ、その膜厚をT、そ
の磁気的周期をP、整数をnとした時に、式P×(n−
0.2)≦T≦P×(n+0.2)の範囲内とする。
【0083】このような構成とすることにより、非金属
層24′を挟んだ上下の強磁性体金属層22、26の磁
気的な結合を平行とすることができる。すなわち、非金
属層24’の原子面の数を上記のように制御すると、反
強磁性体の磁気的結合を用いて、強磁性体22、26を
強く磁気結合させることが可能となり、良好な磁気的安
定性を得ることが可能となる。本変型例によれば、磁気
的安定性を改善することにより、より安定な磁気抵抗効
果素子を提供することができる。
【0084】非金属層24’の具体例としては、例え
ば、ニッケル(Ni)を含有した酸化物を挙げることが
できる。例えば、酸化ニッケルを最密面配向させた薄膜
を形成する場合には、ニッケルが含有された原子層と酸
素が主体となる原子層とが交互に積層される。本変型例
においては、非金属層24’の膜厚方向にみて、これら
の酸素原子層の数を合計で偶数とすることにより、その
上下の強磁性体の磁化方向を平行となることかできる。
NiOの場合には酸素原子層を挟んで磁化が反平行に結
合するため、これは酸素原子層がほぼ偶数層だけ含まれ
ていることに等しい。
【0085】次に、本発明の第6の実施の形態について
説明する。図7は、本発明の第6の実施の形態にかかる
磁気抵抗効果素子の断面構造を表す概念図である。すな
わち、本実施形態の磁気抵抗効果素子も、反強磁性層1
0、第1の磁性層20、非磁性中間層30、第2の磁性
層40、及び非金属層50を有する。各層の具体的な構
成や役割は、図1乃至図2に関して前述したものと概略
同様とすることができるので、同一の部分には同一の符
号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】また、図1に例示した硬磁性膜80、80
と電極82、82は、図7においては簡単のために省略
した。
【0087】本実施形態においては、各層の積層の順序
が逆転している。すなわち、前述した第1実施形態にお
いては、基板上に、反強磁性層10、第1の磁性層2
0、非磁性中間層30、第2の磁性層40、及び非金属
層50の順に積層されている。これに対して、本実施形
態においては積層の順序が逆であり、所定の下地層60
の上に、非金属層50、第2の磁性層40、非磁性中間
層30、第1の磁性層20、反強磁性層10がこの順に
積層されている。
【0088】但し、本実施形態においても、第1の磁性
層20を構成する層22、24A、24B、及び26の
積層の順序は、第1実施形態の場合と同様である。すな
わち、非金属層24Aは、酸化、窒化あるいはフッ化反
応を阻止して非金属層24の膜厚を薄く且つ均一に形成
するためのストップ層としての役割を有する。但し、本
実施形態においては、層24Aと強磁性体金属層22と
の界面において電子の鏡面反射が生ずる。
【0089】本実施形態によっても、非金属層24の膜
厚を極薄く且つ均一に形成することができ、第1実施形
態と同様の種々の効果を同様に得ることができる。
【0090】また、前述した第2〜第5実施形態に関し
て例示した各構造についても、同様に逆の順番に積層し
ても良い。つまり、図3〜図6に表した積層構造のそれ
ぞれについて、非金属層50、第2の磁性層40、非磁
性中間層30、第1の磁性層20、反強磁性層10の順
番に積層しても良い。但し、これらの場合にも、第1の
磁性層20を構成する各層の積層構造は、図3〜図6に
表したものと同様とする必要がある。
【0091】このように、積層の順番を逆転させても、
同様の効果を得ることができる。
【0092】以上、第1〜第6の実施の形態として、非
金属層を第1の磁性層の中間に設けた構成について説明
した。
【0093】一方、電子を鏡面反射する非金属層は、図
8に例示したように、反強磁性層と第1の磁性層との間
に設けても良い。すなわち、図8に表した例において
は、所定の基板上に、反強磁性層10、非金属層24、
第1の磁性層20、非磁性中間層30、第2の磁性層4
0、非金属層50がこの順に積層されている。同図に関
しても、各層の具体的な構成や役割は、図1乃至図2に
関して前述したものと概略同様とすることができるの
で、同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省
略する。また、図1に例示した硬磁性膜80、80と電
極82、82も、図8においては簡単のために省略し
た。
【0094】図8に例示した構造においては、電子は、
非金属層24と非金属層50との間で鏡面反射を繰り返
して流れる。ここで、反強磁性層10の材料としては、
例えば、IrMn、PtMn、NiMn、FeMn等を
用いることができる。特に、反強磁性を有する金属を用
いることにより、高いブロッキング温度をもち、大きな
一方向異方性をもつ、良好な磁化固着特性を得ることが
できる。
【0095】また、非金属層24の材料としては、例え
ば、NiO、CoO、Fe、Fe 等を用
いることができる。特に、非金属層24の材料として、
反強磁性を有する材料を選択することにより、金属反強
磁性体がもつ良好な磁化固着特性を損なうことなく良好
な電子反射効果を得ることができる。
【0096】図8の構成においては、良好なバイアス効
果を得るためには、電子反射層となる非金属層24は、
反強磁性体であるか、または強磁性体であることが望ま
しい。非金属層24として、反強磁性体を用いる場合に
は、その膜厚を5nm以下とすることが望ましく、さら
に2nm以下とすることによってさらに温度特性に優れ
たバイアス特性を得ることができる。
【0097】非金属層24として、強磁性体を用いる場
合にも、その膜厚は5nm以下とすることが望ましく、
さらに2nm以下とすることによってさらに温度特性に
優れたバイアス特性を得ることができる。
【0098】一方、図9に例示したように、電子を鏡面
反射する非金属層を反強磁性層の中間に設けても良い。
すなわち、図9に例示した構造においては、所定の基板
の上に、第1の反強磁性層10A、非金属層24、第2
の反強磁性層10B、第1の磁性層20、非磁性中間層
30、第2の磁性層40、非金属層50がこの順に積層
されている。同図に関しても、各層の具体的な構成や役
割は、図1乃至図2に関して前述したものと概略同様と
することができるので、同一の部分には同一の符号を付
して詳細な説明は省略する。また、図1に例示した硬磁
性膜80、80と電極82、82も、図9においては簡
単のために省略した。
【0099】このように、反強磁性層10の中間に電子
を鏡面反射させる非金属層24を設けることにより、反
強磁性体と強磁性体とを直接積層し、ダイレクトな交換
結合により、より良好な磁化固着特性を実現しつつ、鏡
面反射効果によるMRの増大を得ることができる。
【0100】また、第1の反強磁性層10A及び10B
の材料としては、IrMn、PtMn、NiMn、Fe
Mn等を用いることができる。特に、金属性の材料を用
いることにより、高いブロッキング温度をもち、大きな
一方向異方性をもつ、良好な磁化固着特性を得ることが
できる。
【0101】また、非金属層24の材料としては、例え
ば、NiO、CoO、Fe、Fe 等を用
いることができる。特に、非金属層24の材料として、
反強磁性を有する材料を選択することにより、金属反強
磁性体がもつ良好な磁化固着特性を損なうことなく、良
好な電子反射効果を得ることができる。
【0102】また、より大きなMR効果を得るために
は、第2の反強磁性層10Bの膜厚をできるだけ薄くす
ることが望ましく、3nm以下であることが望ましい。
また、第1の反強磁性層10Aについては、これよりも
厚くても良いが、電流のシャント効果を抑制するために
は、10nm以下であることが望ましい。さらに、十分
なバイアス効果が得られる場合には、第1の反強磁性層
10Aは、省略することもできる。
【0103】一方、磁化固着層を複数設けても良い。図
10は、磁化固着層を上下に設けた構造を例示する概念
図である。すなわち、同図に例示した構造においては、
例示したように、所定の基板の上に、バッファ層2、反
強磁性層10、第1の磁性層20、非磁性中間層30、
第2の磁性層40、非磁性中間層30、第1の磁性層2
0、反強磁性層10、保護層60がこの順に積層されて
いる。つまり、積層構造のほぼ中央に、フリー層となる
第2の磁性層40が設けられ、その上下に対称に中間層
30や固着層20などが設けられている。同図に関して
も、各層の具体的な構成や役割は、図1乃至図2に関し
て前述したものと概略同様とすることができるので、同
一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略す
る。また、図1に例示した硬磁性膜80、80と電極8
2、82も、図10においては簡単のために省略した。
【0104】ここで、図10に表した構造に対して、図
1〜図9に例示したようなそれぞれの積層構造を適用す
ることができる。すなわち、図1〜図9に関して前述し
たそれぞれの積層構造を第2の磁性層40を中心として
上下に対称に設けることができる。
【0105】このように、フリー層となる磁性層40の
上下に磁化固着層となる磁性層20を設けることによ
り、図1〜図9に関して前述した種々の効果に加えて、
やや低い反射率の場合でも大きなMR変化率を得ること
ができるという効果も得られる。また、フリー層が電流
の流路の中心付近に配置されるため、電流磁界によって
フリー層が受ける影響が少なく、動作が安定するという
効果も併せて得られる。
【0106】一方、このように、フリー層の上下に磁化
固着層を設けると、磁化固着層からの静磁気的結合が磁
化固着層が1層の場合の2倍になる。従って、磁化固着
層の内部において反平行の磁化を形成するために、いわ
ゆる「シンセティック反強磁性構造」を用いることがよ
り重要になる。図11は、このようなシンセティック反
強磁性構造を採用した変形例を表す断面概念図である。
すなわち、図11においては、磁化固着層となる第1の
磁性層20が、それぞれ第1の強磁性体金属層22A、
ルテニウム(Ru)層28、第2の強磁性体金属層22
B、非金属層24、第3の強磁性体金属層22Cを順に
積層した構造とされている。このように、ルテニウム
(Ru)層28を設けると、その上下の強磁性体層の磁
化方向が反平行となる。つまり、第1の強磁性体金属層
22Aの磁化方向に対して、第2の強磁性体金属層22
Bと第3の強磁性体金属層22Cの磁化方向が反平行と
なる。従って、層22Aの膜厚に対して、層22Bの膜
厚と層22Cの膜厚の合計がほぼ等しくなるようにすれ
ば、第1の磁性層20の内部において全体の磁化方向が
キャンセルされ、磁化固着層からの静電的カップリング
を解消することができる。
【0107】また、図11の構造においては、非金属層
24を設けることによって、電子を鏡面反射させるスペ
キュラ効果も同時に得ることができる。つまり、電子
は、フリー層すなわち第2の磁性層40の上下に設けら
れた2つの非金属層24の間において鏡面反射を受けな
がら流れる。このため、電子の運動量の損失が低減さ
れ、フリー層すなわち第2の磁性層40として膜厚2n
m以下の磁性層でも十分な感度を確保することができ、
さらに大きなMR効果を得ることができる。
【0108】また、図11の構造においては、非金属層
24をルテニウム層28と第2の磁性層40との間に設
けている。この理由は、ルテニウム層28は、電子を散
乱する性質を有するからである。すなわち、電流の主要
な経路内にルテニウム層を設けると、電子が散乱されて
損失が生ずる。これに対して、図11の構成において
は、非金属層24をルテニウム層28と第2の磁性層4
0との間に設けることにより、電流経路からルテニウム
層28を外して、電子の散乱による損失を解消すること
ができる。
【0109】次に、本発明の磁気記録装置について説明
する。以上説明した各実施形態の磁気抵抗効果素子は、
例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドに組み込まれ、磁
気記録装置に搭載される。
【0110】図12は、このような磁気記録装置の概略
構成を例示する要部斜視図である。すなわち、本発明の
磁気記録装置150は、ロータリーアクチュエータを用
いた形式の装置である。同図において、磁気ディスク1
51は、スピンドル152に装着され、図示しない駆動
装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータ
により回転する。磁気ディスク151が浮上した状態で
情報の記録再生を行うヘッドスライダ153は、薄膜状
のサスペンション154の先端に取り付けられている。
ここで、ヘッドスライダ153は、例えば、前述したい
ずれかの実施の形態にかかる磁気抵抗効果素子を磁気ヘ
ッドの一部として搭載している。
【0111】磁気ディスク151が回転すると、ヘッド
スライダ153の媒体対向面(ABS)は磁気ディスク
151の表面から所定の浮上量をもって保持される。
【0112】サスペンション154は、図示しない駆動
コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータ
アーム155の一端に接続されている。アクチュエータ
アーム155の他端には、リニアモータの一種であるボ
イスコイルモータ156が設けられている。ボイスコイ
ルモータ156は、アクチュエータアーム155のボビ
ン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、このコ
イルを挟み込むように対向して配置された永久磁石およ
び対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。
【0113】アクチュエータアーム155は、固定軸1
57の上下2箇所に設けられた図示しないボールベアリ
ングによって保持され、ボイスコイルモータ156によ
り回転摺動が自在にできるようになっている。
【0114】本発明によれば、前述した各実施形態にか
かる磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドの要部として採用す
ることにより、大きな再生出力信号と、良好な熱安定性
とを得ることができる。さらに、その結果として、再生
出力の経時変化を解消することもできる。また、アセン
ブリの際に印加されうるESD(electro-static disch
arge:静電気)に対する耐性も改善され、組立の際の歩
留まりも向上する。
【0115】以上の効果から、狭トラック化、低素子ハ
イト化が可能となり、高密度磁気記録に対応した磁気記
録装置を実現することができる。
【0116】以上、本発明の実施の形態について説明し
た。
【0117】次に、本発明の具体的な実施例を説明す
る。
【0118】(実施例1)図1及び図2を参照しつつ本
発明の第1の実施例について説明する。まず、熱酸化シ
リコン(Si)基板上にスパッタ法によって、Ta5n
m/NiFe2nm/IrMn5nm/NiFe1nm
/CoFe0.5nmという積層構造を成膜し、その表
面を1x10−4torrの酸素に60秒間さらし、非
金属層24を形成した。そして、その上にさらにCoF
e2nm/Cu2nm/CoFe2nmという積層構造
を成膜し、その表面を1x10−4torrの酸素に6
0秒間さらして非金属層50を形成した。そして、その
上に、保護膜としてTa0.4nmを堆積し、大気中に
取り出した。この結果、表面のTaも酸化されて酸化層
が形成された。この結果として、Ta5nm/NiFe
2nm/IrMn5nm/NiFe0.6nm/NiF
eO0.4nm/CoFeO0.5nm/CoFe2n
m/Cu2nm/CoFe1.6nm/CoFeO0.
4nm/TaO0.4nmという積層構造が得られた。
ここで、酸化しにくいNiFeをIrMn層とCoFe
層との間に挟んだことにより、非金属層24の膜厚は1
nmに抑制され、再現性良く極薄の非金属層を形成する
ことが可能となった。
【0119】このため、磁化固着層20における非金属
層24を介した磁気的結合は十分に強く、磁化固着特性
に優れたスピンバルブ構造を実現することができた。具
体的には、MR変化率18%、一方向異方性磁場(H
UA)400Oeを得ることができた。また、全体の結
晶性を改善するために、非金属層24の形成のための酸
化処理を200℃において実施した場合においても、固
着層20の磁化固着特性に劣化はみられなかった。
【0120】(比較例1)上記実施例1に対する比較の
ために、熱酸化シリコン(Si)基板上にスパッタ法に
よって、Ta5nm/NiFe2nm/IrMn5nm
/CoFe2.0nmという積層構造を成膜し、その表
面を1x10−4torrの酸素に60秒間さらし、非
金属層を形成した。そして、その上にさらにCoFe2
nm/Cu2nm/CoFe2nmという積層構造を成
膜し、その表面を1x10−4torrの酸素に60秒
間さらして非金属層を形成した。そして、その上に、保
護膜としてTa0.4nmを堆積し、大気中に取り出し
た。この結果、表面のTaも酸化されて酸化層が形成さ
れた。この結果として、Ta5nm/NiFe2nm/
IrMn5nm/CoFe0.5nm/CoFeO1.
5nm/CoFe2nm/Cu2nm/CoFe1.6
nm/CoFeO0.4nm/TaO0.4nmという
積層構造が得られた。すなわち、本比較例においては、
CoFeの酸化が進みすぎてしまい、得られたCoFe
O層の厚さは1.5nmと厚くなってしまった。このた
め、磁化固着層におけるCoFe層を介した磁気的結合
は弱く、磁化固着特性には劣化が見られた。具体的に
は、HUAは、200Oeに低下した。また、全体の結
晶性を改善するために、非金属層の形成のための酸化処
理を200℃において実施したところ、固着層の磁化固
着特性はさらに劣化してしまい、非金属層の酸化による
厚膜化がさらに進行したことがわかった。
【0121】(実施例2)図3を参照しつつ本発明の第
2の実施例について説明する。まず、熱酸化シリコン
(Si)基板上にスパッタ法によって、Ta5nm/N
iFe2nm/IrMn5nm/CoFe1nm/Ni
1nmという積層構造を成膜し、その表面を1x10
−4torrの酸素に60秒間さらし、非金属層24を
形成した。そして、その上にさらにCoFe2nm/C
u2nm/CoFe2nmという積層構造を成膜し、そ
の表面を1x10−4torrの酸素に60秒間さらし
て非金属層50を形成した。そして、その上に、保護膜
としてTa0.4nmを堆積し、大気中に取り出した。
この結果、表面のTaも酸化されて酸化層が形成され
た。この結果として、Ta5nm/NiFe2nm/I
rMn5nm/CoFe1nm/Ni0.5nm/Ni
O0.5nm/CoFe2nm/Cu2nm/CoFe
1.6nm/CoFeO0.4nm/TaO0.4nm
という積層構造が得られた。
【0122】本実施例においては、酸化しにくいNi層
を表面に設け、IrMn層と接する層にはCoFe層を
挟んだことにより、非金属層24の膜厚は1nmに抑制
され、再現性良く極薄の非金属層を形成することが可能
となった。
【0123】このため、磁化固着層20における非金属
層24を介した磁気的結合は十分に強く、磁化固着特性
に優れたスピンバルブ構造を実現することができた。ま
た、IrMn層とCoFe層との組み合わせにより、十
分に強い一方向異方性を得ることができた。具体的に
は、MR変化率として17%、一方向異方性磁場として
550Oeを得ることができた。さらに、全体の結晶性
を改善するために、非金属層24の形成のための酸化処
理を200℃において実施した場合においても、固着層
20の磁化固着特性に劣化はみられなかった。
【0124】(実施例3)図4を参照しつつ本発明の第
3の実施例について説明する。まず、熱酸化シリコン
(Si)基板上にスパッタ法によって、Ta5nm/N
iFe2nm/IrMn5nm/CoFe1nmという
積層構造を成膜し、その表面を1x10−5torrの
酸素に10秒間さらし、第1の非金属層24Aを形成し
た。そして、その上にさらにCoFe1nmを堆積し、
もう一度その表面を1x10−5torrの酸素に10
秒間さらし、第2の非金属層24Bを形成した。
【0125】さらにその上に、CoFe2nm/Cu2
nm/CoFe2nmという積層構造を成膜し、その表
面を1x10−4torrの酸素に60秒間さらして非
金属層50を形成した。そして、その上に、保護膜とし
てTa0.4nmを堆積し、大気中に取り出した。この
結果、表面のTaも酸化されて酸化層が形成された。こ
の結果として、Ta5nm/NiFe2nm/IrMn
5nm/CoFe0.7nm/CoFeO0.3nm/
CoFe0.7nm/CoFeO0.3nm/CoFe
2nm/Cu2nm/CoFe1.6nm/CoFeO
0.4nm/TaO0.4nmという積層構造が得られ
た。
【0126】本実施例においては、弱い酸化によりピン
ホールが存在しうる極薄のCoFeO層24A、24B
を設けるが、このように非金属層を2層とすることよ
り、全体の電子の鏡面反射率を改善し、約18%という
大きなMR効果を得ることができた。
【0127】(実施例4)図5を参照しつつ本発明の第
4の実施例について説明する。まず、熱酸化シリコン
(Si)基板上にスパッタ法によって、Ta5nm/N
iFe2nm/IrMn5nm/CoFeCr2nmと
いう積層構造を成膜し、その表面を1x10 −4tor
rの酸素に60秒間さらし、非金属層24を形成した。
そして、その上にさらに、CoFe2nm/Cu2nm
/CoFe2nmという積層構造を成膜し、その表面を
1x10−4torrの酸素に60秒間さらして非金属
層50を形成した。そして、その上に、保護膜としてT
a0.4nmを堆積し、大気中に取り出した。この結
果、表面のTaも酸化されて酸化層が形成された。この
結果として、Ta5nm/NiFe2nm/IrMn5
nm/CoFeCr1.2nm/CoFeCrO0.8
nm/CoFe2nm/Cu2nm/CoFe1.6n
m/CoFeO0.4nm/TaO0.4nmという積
層構造が得られた。
【0128】本実施例においては、Crが選択的に酸化
されて安定な酸化物を形成するため、極薄の非金属層2
4を再現性良く形成することができた。さらに、全体の
結晶性を改善するために、非金属層24の形成のための
酸化処理を200℃において実施した場合においても、
固着層20の磁化固着特性に劣化はみられなかった。
【0129】(実施例5)次に、図6を参照しつつ、本
発明の第5の実施例について説明する。まず、熱酸化シ
リコン(Si)基板上にスパッタ法によって、Ta5n
m/NiFe2nm/IrMn5nm/CoFe0.5
nm/Cr0.4nmという積層構造を成膜し、その表
面を1×10−5torrの酸素に10秒間さらし、非
金属層24’を形成した。
【0130】さらにその上に、CoFe2nm/Cu2
nm/CoFe2nmという積層構造を成膜し、その表
面を1×10−4torrの酸素にさらして非金属層5
0を形成した。そして、その上に、保護膜としてTa
0.4nmを堆積し、大気中に取り出した。この結果、
表面のTaも酸化されて酸化層が形成された。この結果
として、Ta5nm/NiFe2nm/IrMn5nm
/CoFe0.5nm/Cr0.5nm/CoF
e2nm/Cu2nm/CoFe1.6nm/CoFe
O0.4nm/TaO0.4nmという積層構造が得ら
れた。
【0131】本実施例においては、膜全体として(11
1)配向性を有し、CoFe層は、fcc構造をとり、
(111)面を積層させた構造となった。また、Cr
は、コランダム構造をとり、最密充填層が膜面に対
して平行に形成された。コランダム構造の場合には、酸
素層を介してCR層が反強磁性的結合をしており、最密
充填層に垂直な方向の磁気的周期は、0.452nmで
ある。このため、Cr 層の厚さを0.5nmとし
たときには、膜厚方向にほぼ酸素層が2層積層されるこ
とになる。この結果、Cr層を挟んだ上下CoF
e層は平行に磁化結合し、安定な磁気特性を得ることが
可能となった。具体的には、MR変化率として20%で
あり、一方向異方性磁場(HUA)として600Oeを
得ることができた。
【0132】(実施例6)次に、図6を参照しつつ本発
明の第6の実施例について説明する。まず、熱酸化シリ
コン(Si)基板上にスパッタ法によって、Ta5nm
/NiFe2nm/IrMn5nm/CoFe2nm/
Cr0.6nmという積層構造を成膜し、その表面を1
×10−5torrの酸素に10秒間さらし、非金属層
24’を形成した。
【0133】さらにその上に、CoFe2nm/Cu2
nm/CoFe2nmという積層構造を成膜し、その表
面を1×10−4torrの酸素にさらして非金属層5
0を形成した。そして、その上に、保護膜としてTa
0.4nmを堆積し、大気中に取り出した。この結果、
表面のTaも酸化されて酸化層が形成された。この結果
として、Ta5nm/NiFe2nm/IrMn5nm
/CoFe2nm/Cr0.7nm/CoFe2
nm/Cu2nm/CoFe1.6nm/CoFeO
0.4nm/TaO0.4nmという積層構造が得られ
た。
【0134】本実施例においても、膜全体として(11
1)配向性を有し、CoFe層は、fcc構造をとり、
(111)面を積層させた構造となった。また、Cr2
O3は、コランダム構造をとり、最密充填層が膜面に対
して平行に形成された。コランダム構造の場合には、酸
素層を介してCr層が反強磁性的結合をしており、最密
充填層に垂直な方向の磁気的周期は、0.452nmで
ある。このため、Cr 層の厚さを0.7nmとし
たときには、膜厚方向にほぼ酸素層が3層積層されるこ
とになる。この結果、Cr層を挟んだ上下CoF
e層は反平行に磁化結合し、シンセティック磁化配列を
得ることができ、MR変化率として19%を得ることが
できた。
【0135】(実施例7)次に、図6を参照しつつ本発
明の第7の実施例について説明する。まず、熱酸化シリ
コン(Si)基板上にスパッタ法によって、Ta5nm
/NiFe2nm/IrMn5nm/CoFe0.5n
m/Fe0.4nmという積層構造を成膜し、その表面
を1×10−5torrのラジカル酸素に10秒間さら
し、非金属層24’を形成した。
【0136】さらにその上に、CoFe2nm/Cu2
nm/CoFe2nmという積層構造を成膜し、その表
面を1×10−4torrの酸素にさらして非金属層5
0を形成した。そして、その上に、保護膜としてTa
0.4nmを堆積し、大気中に取り出した。この結果、
表面のTaも酸化されて酸化層が形成された。この結果
として、Ta5nm/NiFe2nm/IrMn5nm
/CoFe0.5nm/α−Fe0.5nm/C
oFe2nm/Cu2nm/CoFe1.6nm/Co
FeO0.4nm/TaO0.4nmという積層構造が
得られた。
【0137】本実施例においても、膜全体として(11
1)配向性を有し、CoFe層は、fcc構造をとり、
(111)面を積層させた構造となった。また、α−F
は、コランダム構造をとり、最密充填層が膜面
に対して平行に形成された。コランダム構造の場合に
は、酸素層を介してFe層が反強磁性的結合をしてお
り、最密充填層に垂直な方向の磁気的周期は、0.45
8nmである。このため、Fe層の厚さを0.5
nmとしたときには、膜厚方向にほぼ酸素層が2層積層
されることになる。この結果、Fe層を挟んだ上
下CoFe層は平行に磁化結合し、安定な磁気特性を得
ることが可能となった。具体的には、MR変化率として
20%、一方向異方性磁場(HUA)として600Oe
を得ることができた。
【0138】また、α−Feは、反強磁性が消失
する温度(ネール温度)が670℃と非常に高いため、
実際にデバイスとして使用される環境温度である100
℃においても、600Oeという大きな一方向異方性磁
場を得ることができた。
【0139】
【発明の効果】本発明は、以上説明した形態で実施さ
れ、以下に説明する効果を奏する。
【0140】まず、本発明によれば、磁化固着層の中間
に電子反射層としての非金属層を設け、且つその非金属
層の下地として、2種類の層を積層させることにより、
下側の層を反応に対するストッパ層として作用させ、極
薄且つ均一な非金属層を再現性よく形成することができ
る。その結果として、電子の鏡面反射を生じさせつつ、
第1の強磁性体金属層と第2の強磁性体金属層との磁気
的なカップリングを確保して良好な磁化固着特性を得る
ことができる。
【0141】また、本発明によれば、磁化固着層の非金
属層の下側の強磁性体金属層を多層構造とし、その下側
の層をバルク効果が高い強磁性体の層とすることによ
り、磁化固着特性をさらに改善してより大きなMR変化
量を得ることができる。
【0142】また、本発明によれば、磁化固着層におい
て、電子を反射させる複数の非金属層を別個に設けるこ
とにより、強磁性体層との界面が増え、電子が鏡面反射
される確率を倍増させることができる。つまり、ピンホ
ールなどが存在しうるような極薄の非金属層を用いて強
磁性体層の間の磁気的なカップリングを確保しつつ、電
子の鏡面反射の効率を倍増させることができる。その結
果として、磁気固着特性を維持しつつ、電子の運動量の
損失を大幅に低減して大きなMR特性を実現することが
できる。
【0143】また、本発明によれば、非金属層を中間に
含んだ磁化固着層をシンセティック反強磁性体とするこ
とにより、磁化固着層からの静磁場による動作点のシフ
トをを解消することができる。さらに、静磁場の影響が
なくなるため、フリー層を十分に薄くすることが可能と
なり、スペキュラ効果をより有効に利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる磁気抵抗効
果素子の断面構造を表す概念図である。
【図2】非金属層24の形成方法を概念的に表す工程断
面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる磁気抵抗効
果素子の断面構造を表す概念図である。す
【図4】本発明の第3の実施の形態にかかる磁気抵抗効
果素子の断面構造を表す概念図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態にかかる磁気抵抗効
果素子の断面構造を表す概念図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態にかかる磁気抵抗効
果素子の断面構造を表す概念図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態にかかる磁気抵抗効
果素子の断面構造を表す概念図である。
【図8】電子を鏡面反射する非金属層を反強磁性層と第
1の磁性層との間に設けた例を表す概念図である。
【図9】電子を鏡面反射する非金属層を反強磁性層の中
間に設けた例を表す概念図である。
【図10】磁化固着層を上下に設けた構造を例示する概
念図である。
【図11】シンセティック反強磁性構造を採用した変形
例を表す断面概念図である。
【図12】本発明の磁気記録装置の概略構成を例示する
要部斜視図である。
【符号の説明】
2 バッファ層 10、10A、10B 反強磁性層 20 第1の磁性層 22、22A、22B、22C 強磁性体金属層 24 非金属層 24A 第1の非金属層 24B 第2の非金属層 26 強磁性金属層 28 ルテニウム層 30 非磁性中間層 40 第2の磁性層 50 非金属層 60 下地層、保護層 80 硬磁性膜 82 電極 150 磁気記録装置 151 磁気ディスク 153 ヘッドスライダ 154 サスペンション 155 アクチュエータアーム 156 ボイスコイルモータ 157 固定軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐 橋 政 司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 岩 崎 仁 志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第
    1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁
    性中間層と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗
    効果素子であって、 前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくともいず
    れかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁性体
    金属層の上に設けられた第1の非金属層と、前記第1の
    非金属層の上に設けられ前記第1の非金属層とは異なる
    組成を有する第2の非金属層と、前記第2の非金属層の
    上に設けられた第2の強磁性体金属層と、を有すること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第
    1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁
    性中間層と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗
    効果素子であって、 前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくともいず
    れかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁性体
    金属層の上に設けられ前記第1の強磁性体金属層とは異
    なる組成を有する第2の強磁性体金属層と、前記第2の
    強磁性体金属層の上に設けられた非金属層と、前記非金
    属層の上に設けられた第3の強磁性体金属層と、を有す
    ることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第
    1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁
    性中間層と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗
    効果素子であって、 前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくともいず
    れかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁性体
    金属層の上に設けられた第1の非金属層と、前記第1の
    非金属層の上に設けられた第2の強磁性体金属層と、前
    記第2の強磁性体金属層の上に設けられた第2の非金属
    層と、前記第2の非金属層の上に設けられた第3の強磁
    性体金属層と、を有することを特徴とする磁気抵抗効果
    素子。
  4. 【請求項4】第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第
    1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁
    性中間層と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗
    効果素子であって、 前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくともいず
    れかは、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナト
    リウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム
    (Al)、シリコン(Si)、りん(P)、カリウム
    (K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、
    ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウ
    ム(Sr)、イットリウム(Y)、セシウム(Cs)、
    バリウム(Ba)及びランタン系列に属する元素からな
    る群から選択された少なくともいずれかの元素を1%以
    上含有した第1の強磁性体金属層と、前記強磁性体金属
    層の上に形成された非金属層と、前記非金属層の上に形
    成された第2の強磁性体金属層と、を有することを特徴
    とする磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】前記第1の強磁性体金属層は、アルミニウ
    ム(Al)、シリコン(Si)及びランタン系列に属す
    る元素からなる群から選択された少なくともいずれかの
    元素を1%以上含有したことを特徴とする請求項4記載
    の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第
    1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁
    性中間層と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗
    効果素子であって、 前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくともいず
    れかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁性体
    金属層の上に設けられた非金属層と、前記非金属層の上
    に設けられた第2の強磁性体金属層と、を有し、 前記非金属層は、反強磁性体であり、且つ、その膜厚を
    T、その磁気的周期をP、整数をnとした時に、式 P×(n+0.3)≦T≦P×(n+0.7) が満足されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第
    1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁
    性中間層と、を有するスピンバルブ膜を備えた磁気抵抗
    効果素子であって、 前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の少なくともいず
    れかは、第1の強磁性体金属層と、前記第1の強磁性体
    金属層の上に設けられた非金属層と、前記非金属層の上
    に設けられた第2の強磁性体金属層と、を有し、 前記非金属層は、反強磁性体であり、且つ、その膜厚を
    T、その磁気的周期をP、整数をnとした時に、式 P×(n−0.2)≦T≦P×(n+0.2) が満足されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】磁気記録媒体に対して情報を再生する磁気
    ヘッドを備えた磁気記録装置であって、 前記磁気ヘッドは、請求項1〜7のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果素子を有することを特徴とする磁気記録装
    置。
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