JP2000241079A - 被処理物の加熱処理方法と加熱処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素や硫化物等の有害物質を多量に含有する
廃棄物を熱分解などの熱処理を行って有害成分を分解析
出させ、これに処理剤を添加して分解ガスと反応させ
て、発生ガス又は残渣の無害化を図る試みがなされてい
る。このとき、加熱処理炉は、低酸素雰囲気を保持する
必要がある。しかし、被処理物を供給装置から供給する
場合、被処理物を全て加熱処理内に供給してしまうと、
ここから外部空気が入り反応に悪影響を及ぼす。 【解決手段】 被処理物を一旦供給装置９の貯留容器９
ａ内に貯留し、加熱処理炉１の処理運転を停止するとき
は、被処理物が貯留容器内に残存していることを確認し
て停止し、残存被処理物自体でシール効果を保持させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、各種の被処理物を
加熱処理目的に沿って加熱処理する被処理物の処理方法
と処理装置に関し、特に、被処理物を供給装置内に残存
した状態で供給装置による搬入を停止したとき、残存す
る被処理物で大気と加熱処理炉間を封止して加熱処理炉
を低酸素雰囲気に保持するようにした被処理物の処理技
術に関する。

【０００２】

【従来の技術】被処理物を加熱処理する場合に、回転ド
ラム（ロータリーキルン）内に被処理物を挿入して、回
転ドラム内を加熱しながら移動して処理することが一般
的に行われている。また、加熱のみならず冷却について
も回転ドラム内で行われている（例えば、特開平９−６
８３０５号）。

【０００３】被処理物としては、有機性物質（例えば、
有機塩素化合物等）を含む物質，汚泥，焼却灰，バグフ
ィルタ用処理剤，セメントクリンカー原料等で、これら
の被処理物を回転ドラム（ロータリーキルン）内に搬入
し、加熱目的、例えば、乾燥，脱塩素処理，乾留，炭
化，灰化，焼成等に適合した温度と時間で加熱して目的
の処理を行っている。

【０００４】産業廃棄物や一般廃棄物等の各種廃棄物は
多量の有機性物質を含有しており、これを被処理物とし
て加熱処理すると、各種の有害物質（例えば、塩化水
素，ダイオキシン類）が析出して排ガス中に含まれてい
ることは広く知られている。従って、この排ガスを大気
中にそのまま排出することはできないので、大気中に排
出する前段階で排ガスの浄化処理を行うこと（排出の抑
制）が一般に行われる。

【０００５】この排ガスの浄化装置として一般的な装置
として、特開平８−１０８０２６号などに示されている
バグフィルタ装置がある。この装置は、排ガスの浄化剤
として消石灰を使用して排ガス中の塩化水素，ダイオキ
シン類を除去するようにしている。

【０００６】また、加熱処理により多量に発生した塩化
水素は、苛性ソーダなどで中和するか、塩酸にして回収
することも一般に行われている。

【０００７】一方、本願の出願人は、ハロゲン物質であ
る有機塩素化合物（塩化水素）が、従来の「排出の抑
制」でなく、「発生の抑制」を行うことで、塩化水素な
どの有害物質の発生を抑制し、排ガスの無害化と残渣の
無害化、塩素による処理装置の損傷の低減を行うことを
提案している。

【０００８】即ち、被処理物にアルカリ物質を添加混合
して所定の温度で加熱することで塩化水素を分解析出さ
せると同時に、添加混合しているアルカリ物質と接触反
応させて無害な塩化物に置換生成する技術を見出し、既
に、特開平９−１５５３２６号，特開平１０−４３７１
３号，特開平１０−２３５１８６号，特開平１０−２３
５１８７号などで提案し、更に、薬剤を多孔質化して接
触反応する面積を増加させて反応効果を高めた薬剤も提
案している（特願平１０−１９３８４４号）。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】一般に、ロータリーキ
ルン方式による加熱処理装置は、回転ドラム（回転円筒
体）を一方向に回転させることで被処理物を回転させな
がら供給口側から排出口側に搬送し、その間において、
所定の加熱温度および加熱時間を制御して目的に応じた
加熱処理を行っている。

【００１０】このときの加熱時間の制御は、回転ドラム
の回転数を増減変更することで搬送時間を制御するか、
又は回転ドラムの傾斜角度を変えることで、被処理物の
搬送速度を増減して、処理時間を調整している。

【００１１】しかし、ロータリーキルン方式は連続処理
が基本であり、被処理物を大量に準備する必要がある。
従って、被処理物が一定量以上ある場合でも、被処理物
の収集量が不安定で、毎日の安定した運転には不足する
場合には適さない。また、ロータリーキルンの運転，停
止を断続的に行うと、今度は設備投資の割には処理効果
が期待できないばかりかダイオキシン類発生を惹起しや
すくなる。従って、従来のロータリーキルン方式では次
のような課題がある。

【００１２】（１）被処理物の処理量を事前に十分に把
握しておく必要があり、また、把握したとしても日々の
被処理物の蓄積量が予測に反して変動することがあり、
安定に十分、確実に処理するには限界がある。

【００１３】（２）また、処理量によって加熱処理炉の
運転日程に変動を来すことがある。

【００１４】（３）供給装置内の被処理物を全て加熱処
理炉内に供給してしまうと、投入装置内は空間となり、
外部空気が侵入して低酸素雰囲気を阻害し、加熱処理炉
における薬剤との反応に悪影響を与えることになる。

【００１５】以上のような従来技術の有する課題に鑑
み、本発明は、被処理物を供給装置内に残存した状態で
供給装置の運転を停止し、供給装置内の残存する被処理
物により大気の侵入を防止し、加熱処理炉の運転，停止
を断続的に行っても、常に低酸素雰囲気中で加熱処理
し、且つ有害成分を除去した処理方法および装置を提供
することを目的とするものである。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上記のように、供給装置
に被処理物が残存しているか、否かで加熱処理炉内にお
ける反応に影響することが判明し、安定した反応環境を
維持するには、被処理物を供給装置内に残存して被処理
物自身によるシール効果を利用することで解決できるこ
とを見出した。特に被処理物の処理を連続的に実施する
のではなく、１日で処理作業を終了し、これを繰り返す
処理施設においては、通常は供給装置内の被処理物を全
部処理した後運転を停止するが、このとき加熱処理炉内
には、空気が侵入し、翌日の運転時には、低酸素雰囲気
にするまでに相当時間がかかり、その間有害成分が排出
されること、並びに無駄な作業が強いられていることが
判明した。

【００１７】そこで、本発明は、１日で処理作業を終了
するとき、供給装置内に被処理物が残存していることを
確認して供給装置の運転を停止し、残存する被処理物で
空気の侵入を阻止し、常に加熱処理炉内の反応環境を維
持し、翌日の処理作業を良好な反応環境の下で即実行で
きるようにするものである。

【００１８】具体的には、有機性物質を含む被処理物に
薬剤を混合又は添加した混合被処理物を、被処理物の供
給手段によって加熱処理炉内に供給し、該加熱処理炉内
の低酸素雰囲気中で混合被処理物を加熱しながら加熱処
理炉の供給口側から排出口側に回転によって移送するよ
うにした被処理物の加熱処理方法において、前記供給手
段に、被処理物を一時保管し、該被処理物が供給手段内
に残存した状態で供給を停止してこの残存する被処理物
によって加熱処理炉内の低酸素雰囲気を損なわないよう
にする。

【００１９】この被処理物が残存した状態での供給停止
は、被処理物が残存している状態を監視する監視手段で
確認して自動又は手動で停止させるようにする。

【００２０】上記の被処理物に混合又は添加する薬剤と
しては、加熱により被処理物から分解析出する有害成分
と反応して無害な塩化物を生成するアルカリ物質を好適
とする。

【００２１】また、加熱処理装置としては、有機性物質
を含有する被処理物と薬剤を混合又は添加した混合被処
理物を加熱する加熱手段および前記混合被処理物を供給
側から排出側に回転することによって移送する移送手段
を備えた回転円筒体と、該回転円筒体内に被処理物を供
給する供給装置とを備え、回転円筒体内の低酸素雰囲気
中で被処理物を加熱処理する被処理物の加熱処理装置に
おいて、前記供給装置は、被処理物を貯留し、貯留した
被処理物を排出口から排出する貯留容器と、該貯留容器
の排出口と前記回転円筒体の供給側とを連通し、内部に
被処理物を搬送する搬送手段を有する供給導管とで形成
し、搬送手段の搬送停止で貯留容器内の残留被処理物で
外気を封止し、上記回転円筒体内の低酸素雰囲気を保持
するように構成する。

【００２２】また、供給装置から被処理物の供給を停止
するときに貯留容器内に被処理物が残存していることを
確認する必要がある。この確認は貯留容器に、被処理物
の残存状態を監視し得る透明窓、画像監視、光電監視の
いずれかによる監視手段を設けて行う。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。

【００２４】図１は本発明の加熱処理炉の基本構成の概
念図、図２および図３は加熱処理炉の加熱部分の説明図
で、図２は図１のＡ−Ａ断面矢視図を示す。これらの図
において、１は加熱処理炉を示し、該加熱処理炉１は、
回転自在な回転円筒体２と、この回転円筒体２の外周に
ガスダクトを形成し熱ガスを導入して回転円筒体２を加
熱する加熱ジャケット３と、回転円筒体２を両端側で回
転自在に支承する支持ローラ４，４′と、回転円筒体２
を回転駆動する回転駆動手段５，５′とで構成され、ま
た回転円筒体２には一端側に被処理物を搬入する供給口
６、他端側に被処理物を排出する排出口７を有し、内部
には図２および図３に示すように回転円筒体の軸線に対
して傾斜した送り羽根２ｂが径方向及び軸方向に複数枚
設けられ、回転円筒体２を回転することにより被処理物
を供給口６側から排出口７側に撹拌しながら移送する。

【００２５】加熱ジャケット３は、図示を省略してある
固定部材に固定支持され、回転円筒体２との接触部に
は、メカニカルシール８が施されている。

【００２６】９は被処理物を回転円筒体２内に供給する
供給装置で、該供給装置９は、被処理物を一時貯留し排
出口Ｄから排出する貯留容器９ａと、この貯留容器９ａ
の排出口Ｄと回転円筒体１１の供給口６とを連通し、内
部にスクリュー等からなる搬送手段９ｂを備えた供給導
管９ｃ，搬送手段９ｂを回転駆動する駆動手段（モー
タ）９ｄからなり、搬送手段９ｂを回転駆動することに
より、貯留容器９ａ内の被処理物を回転円筒体２内に供
給し、運転を停止すると、残存被処理物で排出口Ｄが塞
さがれ外気を封止（シール）する。

【００２７】９ｅは貯留容器９ａ内に残存している被処
理物の状態を監視する監視手段で、目視監視用の透明
窓，画像監視装置又は光電監視装置のいずれかで構成す
る。

【００２８】なお、供給導管９ｃは図示を省略した固定
手段で固定されているので、回転円筒体２との接合部に
はメカニカルシール８が設けられ、接合部の気密を保持
している。

【００２９】１０は排出口７側を覆い回転円筒体２内で
処理された被処理物を排出する排出側ダクトで、この排
出側ダクト１０には、間欠送り出し可能なロータリーバ
ルブ１１を有し、被処理物の排出量を調節したり、空気
の侵入を防止し、回転円筒体２内を低酸素雰囲気に保持
する。

【００３０】１２は熱ガス発生手段で、例えばＬＮＧ，
ＬＰＧ等の燃料を燃焼させて熱ガスを発生させ、加熱ジ
ャケット３内に供給する。

【００３１】支持ローラ４，４′は、図１および図２に
示すように、回転円筒体２の両端側に夫々４，４および
４′，４′の対の支持ローラからなり、また、回転駆動
手段５，５′は、両端側に設けられ、回転円筒体２を両
端側で駆動する構成としている。

【００３２】この上述した回転駆動手段は、駆動モータ
からの動力の伝達手段として歯車を使用した場合につい
て説明したが、必ずしも歯車による必要はなく、ローラ
チェーン用のスプロケットを設け、ローラチェーンで伝
達するようにしてもよい。

【００３３】以上の構成の加熱処理炉を、廃棄物処理施
設の分解反応処理炉に適用する場合は、まず熱ガス発生
手段１２で熱ガスを発生させ、これを加熱ジャケット３
内に送り込み、回転円筒体２を加熱処理目的に応じた温
度に加熱する。

【００３４】次に、被処理物（例えば、一般廃棄物）と
薬剤とを混合（又は添加）する。薬剤は、塩化水素と接
触反応して無害な塩化物を生成するアルカリ物質、例え
ば炭酸水素ナトリウム（ＮａＨＣＯ₃）を使用し、混合
機等に投入して両者を混合する。このとき、被処理物
は、破砕して細かくしておくか、又は混合しながら破砕
する。薬剤は被処理物に対して５〜３０重量％を混合又
は添加する。これらを十分混合した後、供給装置９の貯
留容器９ａに投入し、搬送手段９ｂを回転駆動して回転
円筒体２に搬入し、被処理物を乾燥し、次に熱分解して
被処理物から有害成分を析出すると同時に薬剤との反応
を行わせる。この分解反応処理は、被処理物から塩化水
素が析出する温度（２００℃〜３５０℃）と時間で処理
する。そして、所定時間回転円筒体内で加熱処理した
後、排出側ダクト１０から排出される。

【００３５】なお、加熱温度と時間は、被処理物の性
質、処理量、加熱炉の状態（性能、大きさ、加熱手段な
ど炉に依存する条件）などにも関係するので、事前調査
などを十分に行っておくこと、又はデータ取りしデータ
蓄積が大事である。

【００３６】次に、本発明の加熱処理炉を、ハロゲン物
質等の有害成分を多量に含有する廃棄物などの被処理物
を、熱分解などの熱的処理を行った後、減容化処理する
加熱処理装置に適用した実施例について説明する。

【００３７】図４はこの加熱処理装置の概念図で、図１
の加熱処理炉を２基用いて、第１の加熱処理炉で、後述
する被処理物の乾燥と無害化のための分解反応処理を行
い、第２の加熱処理炉で炭化等による減容化処理を行う
場合である。

【００３８】図４において１００は第１の加熱処理炉、
２００は第２の加熱処理炉を示す。これら第１および第
２の加熱処理炉１００および２００は、図１に示した加
熱処理炉１と同じ構成をなす。

【００３９】従って、図１と同じ部分には、１００およ
び２００の１の桁および１０の桁にこれと同じ符号を付
して詳細な説明を省略し、異なる部分を重点的に説明す
る。

【００４０】第１の加熱処理炉１００と第２の加熱処理
炉２００とは上下方向に配置し、且つ第２の加熱処理炉
２００は供給口２０６側を第１の加熱処理炉１００の排
出口１０７側に位置して配設し、排出側ダクト１０を供
給口２０６の部分まで延設し、該排出側ダクト１０で排
出口１０７と供給口２０６とを覆い、その中間にロータ
リーバルブ１１１を設ける。

【００４１】また、熱ガス発生手段１２で発生した熱ガ
スは、第２の加熱処理炉２００の加熱ジャケット２０３
に供給し、第２の加熱処理炉２００の回転円筒体２０２
を加熱した後、連絡管１５を介して第１の加熱処理炉１
００の加熱ジャケット１０３内に供給される。このと
き、温度調整用の空気２４を送り込み、熱ガスの温度を
調整する。

【００４２】供給装置９から、被処理物と脱塩素剤等の
薬剤とを混合した混合物、又は混合しながら回転円筒体
１０２内に供給する。

【００４３】１６はガス燃焼手段で、第１および第２の
加熱処理炉１００および２００で加熱処理中に発生した
分解ガス（排ガス）をガス導出管２５，２６で導出して
タール分等の可燃性分を燃焼させ、排ガス冷却手段１７
で冷却した後、バクフィルタ１８で浄化して煙突１９か
ら排出する。

【００４４】２０は溶解槽で、第２の加熱処理炉２００
で加熱処理した被処理物と反応によって生成された塩化
物等を排出側ダクト２１０から排出されるのを受け、こ
れを水洗いして塩化物等を除去した後、脱水手段２１で
脱水し、乾燥手段２２で乾燥して炭化物等を取り出す。
２３は排水処理手段で、溶液槽２０からの水および脱水
時に発生する水分を無害処理した後、排水する。

【００４５】第１の加熱処理炉１００を加熱した熱ガス
は、排気管１３からガス管２７を介して乾燥手段２２の
加熱源として利用した後、排ガス冷却手段１７で冷却し
た後、バクフィルタ１８を介して煙突１９より排出す
る。

【００４６】なお、排ガス冷却手段１７での冷却は残存
熱を熱交換器等により、熱を利用することで冷却すれ
ば、熱の有効利用が図れる。また、空気を混入すること
で、冷却するようにしてもよい。

【００４７】またガス燃焼手段１６を設けることなく、
第１および第２の加熱処理炉で発生した排ガスを熱ガス
発生手段１２に導入して燃料とともに燃焼させ、熱ガス
発生に利用してもよい。

【００４８】次に一連の処理方法について説明する。ま
ず、熱ガス発生手段１２でＬＮＧ等の燃料を燃焼して熱
ガスを発生させ、第２の加熱処理炉２００の加熱ジャケ
ット２０３に供給して回転円筒体２０２を加熱した後、
連絡管１５を介して第１の加熱処理炉１００の加熱ジャ
ケット１０３に送り込み、回転円筒体１０２を加熱す
る。

【００４９】次に、ハロゲン物質等の有害成分を含有す
る被処理物を破砕して細かくしたもの（または混合しな
がら破砕）と脱塩素剤等の薬剤とを混合したもの、又は
混合しながら供給装置９の貯留容器９ａに一時貯留し、
搬送手段９ｂを回転駆動して供給導管９ｃから第１の加
熱処理炉１００の回転円筒体１０２内に供給する。

【００５０】この第１の加熱処理炉１００での加熱処理
は、被処理物から塩素系ガスが析出する温度と時間を事
前に調査して、被処理物の性質を把握し、この調査結果
を十分にカバーできる温度（例えば、２００℃〜３５０
℃）と時間で処理する。この温度の調整は、連絡管１５
に供給する温度調整用の空気２４の供給量によって行
う。

【００５１】この第１の加熱処理炉での加熱は、燃焼，
焼却ではなく、低酸素雰囲気中での蒸し焼き、熱分解で
の処理とし、熱分解により析出したＨＣｌガス等の有害
成分と薬剤とを接触反応させる。

【００５２】被処理物と混合又は添加する薬剤は、少な
くともＨＣｌ（塩化水素）と接触反応して無害な塩化物
を生成するアルカリ物質を使用する。例えば、本願の出
願人が先に出願した特開平９−１５５３２６号，特開平
１０−４３７３１号，特開平１０−２３５１８６号，特
開平１０−２３５１８７号に示すように、アルカリ土類
金属，アルカリ土類金属化合物，アルカリ金属，アルカ
リ金属化合物で、具体的には、カルシウム、石灰、消石
灰、炭酸カルシウム、ドロマイト、珪酸塩（珪酸カルシ
ウムなど）、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セ
スキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムの中
から１種類選択するか、数種類混合して使用する。使用
量としては、被処理物に対して５〜３０重量％を混合又
は添加する。

【００５３】または、本願の出願人が先に出願した特願
平１０−１９３８４４号に示す多孔質化したアルカリ物
質（多孔質脱塩素剤）を使用する。多孔質化は、気化成
分（Ｏ，Ｈ，ＣＯ，ＣＯ₂等）を含有するアルカリ物質
を加熱して含有する気化成分をＨ₂Ｏ，ＣＯ₂として蒸発
分離し、この分離飛散によりアルカリ物質体に貫通孔，
凹部（穴）を形成することで多孔質化したものである。
この多孔質化により表面積が増加し、発生ガスとの接触
面積が増大する。この多孔質脱塩素剤を被処理物に対し
て５〜３０重量％を混合又は添加して使用する。

【００５４】上記のアルカリ物質体は、気化成分を含有
し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアル
カリ金属化合物、例えば、炭酸水素ナトリウム、セスキ
炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム１種類を選択、又は
２種類以上を混合したものを含む。

【００５５】上記の例えば炭酸水素ナトリウム（ＮａＨ
ＣＯ₃）を使用した場合、第１の加熱処理炉１００内に
おいてＨＣｌ成分の分解ガスが発生するが、直ちに炭酸
水素ナトリウムと反応して（ＮａＯＨ）＋（ＨＣｌ）→
（ＮａＣｌ）＋（Ｈ₂Ｏ）となり、無害な塩化ナトリウ
ム（ＮａＣｌ）を生成し、分解ガスから有害なＨＣｌが
無くなる。このことによって、分解ガス中のＨＣｌ成分
の無害化と残渣の無害化が同時に行われる。

【００５６】この有害成分を析出し、無害化した後の被
処理物（残渣）は、排出側ダクト１０，ロータリバルブ
１１１を介して第２の加熱処理炉２００の回転円筒体２
０２の供給口２０６に送り込まれ、ここで例えば、廃プ
ラスチックを減容化して燃料等に利用する場合は、被処
理物が炭化する直前でプラスチック等が減容化が進む程
度（３５０℃〜４００℃）、又は被処理物が炭化する温
度（紙類は３５０℃程度で炭化が始まる。）３５０℃〜
７００℃に加熱して炭化処理、又は８００℃以上に加熱
して灰化処理して減容化する。

【００５７】この場合、第２の加熱処理炉２００内に
は、ＨＣｌ成分を含む分解ガスは存在しないので、炭化
又は灰化した被処理物はこれを吸収することはない。

【００５８】この減容化した被処理物と、反応後の塩化
ナトリウムは、排出側ダクト２１０およびロータリーバ
ルブ２１１を介して溶解槽２０に排出される。この溶解
槽２０内で、減容化された被処理物，反応後の薬剤（塩
化ナトリウム）を水に溶解し、水に溶解した塩化ナトリ
ウムを排水処理手段２３に排出し、残りの固形物は脱水
手段２１で脱水してこれを乾燥手段２２で乾燥し、炭化
物等の固形物を取り出す。取り出され固形物は、物性に
応じて分別して、再利用に供する。

【００５９】一方、第１および第２の加熱処理炉１００
および２００で加熱処理中に発生した排ガス（分解ガ
ス，乾留ガス）は、ガス導出管２５および２６を介して
ガス燃焼手段１６に送り込み、ここで燃焼させる。

【００６０】この排ガスには、塩化水素などの有害成分
は、第１の加熱処理炉１００における反応処理によって
基本的には除去されているが、何等かの事由により反応
しきれず排ガス中に残存する可能性もある。また、ター
ル等の可燃性分も含まれているので、ガス燃焼手段１６
で燃焼した後、排ガス冷却手段１７で、バグフィルタ１
８の耐熱許容温度以下に下げて、バグフィルタ１８で清
浄して煙突１９から排出する。

【００６１】上記の処理作業を１日で終了する場合は、
供給装置９の搬送手段９ｂの運転を停止することで被処
理物の供給は停止するが、この際、監視手段９ｅによ
り、貯留容器９ａ内に被処理物が所定量残存しているこ
とを確認し、残存している状態で停止する。この残存す
る被処理物によって貯留容器９ａ側からの空気の侵入は
阻止され、加熱処理炉内は、低酸素雰囲気の良好な反応
環境を維持することができる。従って、次の日の加熱処
理炉での処理作業を良好な反応環境の下で即実行でき
る。

【００６２】

【発明の効果】以上のように本発明は、投入装置内に被
処理物が残存していることを確認し、被処理物が残存し
た状態で加熱処理炉への被処理物の供給を停止するよう
にしたので被処理物自体により大気間とのシールが行わ
れ次の効果を奏する。

【００６３】（１）被処理量の残存を把握して当日の処
理を行うことができるので運転管理が容易である。

【００６４】（２）被処理物を投入装置に残存させてい
るので被処理物自身によるシールができるので、加熱処
理炉内における反応環境を安定に確保・維持することが
でき、添加したアルカリ物質との反応を確実に行うこと
ができる。

【００６５】（３）従って、無害な排ガスを得ることが
できるので、ダイオキシン類の生成はなく、２１世紀の
子孫に有益な環境と技術を伝えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の基本構成の概念図。

【図２】図１のＡ−Ａ断面矢視図。

【図３】図１の回転円筒体の説明図。

【図４】本発明の実施の形態例の概念図。

【符号の説明】

１，１００，２００…加熱処理炉 ２，１０２，２０２…回転円筒体 ３，１０３，２０３…加熱ジャケット ４，１０４，２０４…支持ローラ ５，１０５，２０５…回転駆動手段 ６，１０６，２０６…供給口 ７，１０７，２０７…排出口 ８…メカニカルシール ９…供給装置 ９ａ…貯留容器 ９ｂ…搬送手段 ９ｃ…供給導管 ９ｄ…駆動手段 ９ｅ…監視手段 １０，２１０…排出側ダクト １１，１１１，２１１…ロータリーバルブ １２…熱ガス発生手段 １３…排気管 １５…連絡管 １６…ガス燃焼手段 １７…排ガス冷却手段 １８…バグフィルタ １９…煙突 ２０…溶解槽 ２１…脱水手段 ２２…乾燥手段 ２３…排水処理手段 ２４…冷却用空気 ２５，２６…ガス導出管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4D004 AA02 AA36 AB07 CA22 CA24 CA26 CA28 CA30 CA42 CB09 CC12 DA01 DA02 DA20 4K061 AA08 BA01 BA12 EA03 FA03 FA05 FA06 FA11 GA03 GA06

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有機性物質を含む被処理物に薬剤を混合
   又は添加した混合被処理物を、被処理物の供給手段によ
   って加熱処理炉内に供給し、該加熱処理炉内の低酸素雰
   囲気中で、混合被処理物を加熱しながら加熱処理炉の供
   給口側から排出口側に回転によって移送するようにした
   被処理物の加熱処理方法において、 前記供給手段に、被処理物を一時保管し、該被処理物が
   供給手段内に残存した状態で供給を停止してこの残存す
   る被処理物によって加熱処理炉内への空気の侵入を防止
   するようにしたことを特徴とする被処理物の加熱処理方
   法。
2. 【請求項２】 被処理物が残存した状態での供給停止
   は、被処理物が残存している状態を監視する監視手段で
   確認して、自動又は手動で停止させるようにしたことを
   特徴とする請求項１記載の被処理物の加熱処理方法。
3. 【請求項３】 被処理物に混合又は添加する薬剤は、加
   熱により被処理物から分解析出する有害成分と反応して
   無害な塩化物を生成するアルカリ物質であることを特徴
   とする請求項１記載の被処理物の加熱処理方法。
4. 【請求項４】 有機性物質を含有する被処理物と薬剤を
   混合又は添加した混合被処理物を加熱する加熱手段およ
   び前記混合被処理物を供給側から排出側に回転すること
   によって移送する移送手段を備えた回転円筒体と、該回
   転円筒体内に被処理物を供給する供給装置とを備え、回
   転円筒体内の低酸素雰囲気中で被処理物を加熱処理する
   被処理物の加熱処理装置において、 前記供給装置は、被処理物を貯留し、貯留した被処理物
   を排出口から排出する貯留容器と、該貯留容器の排出口
   と前記回転円筒体の供給側とを連通し内部に被処理物を
   搬送する搬送手段を有する供給導管とで形成し、搬送手
   段の搬送停止で貯留容器内の残留被処理物で外気を封止
   し、上記回転円筒体内の低酸素雰囲気を保持するように
   したことを特徴とする被処理物の加熱処理装置。
5. 【請求項５】 貯留容器に、被処理物の残存状態を監視
   し得る透明窓、画像監視、光電監視のいずれかによる監
   視手段を設けたことを特徴とする請求項４記載の被処理
   物の加熱処理装置。