JP2000239097A - 半導体用シリコン単結晶の引上げ方法 - Google Patents

半導体用シリコン単結晶の引上げ方法

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JP2000239097A
JP2000239097A JP11043654A JP4365499A JP2000239097A JP 2000239097 A JP2000239097 A JP 2000239097A JP 11043654 A JP11043654 A JP 11043654A JP 4365499 A JP4365499 A JP 4365499A JP 2000239097 A JP2000239097 A JP 2000239097A
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rotation
melt
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Manabu Nishimoto
学 西元
Hiroshi Morita
洋 森田
Shuichi Inami
修一 稲見
Toshiyuki Fujiwara
俊幸 藤原
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シリコン単結晶のチョクラルスキー法による引
上げ方法において、カスプ磁場の印加により、200mmな
いしはそれ以上の大径単結晶に対し、その引上げ軸に垂
直な面内における酸素濃度分布の均一性を改善し、さら
に引上げ速度を向上させる製造方法の提供。 【解決手段】(1)中心軸がるつぼの回転軸と同一のカス
プ型磁場を、磁場中心の位置が融液表面から20mm以上離
れた範囲にある状態として印加し、結晶回転とるつぼ回
転との方向を同じとし、結晶の回転数とるつぼの回転数
との比(結晶回転数/るつぼ回転数)を1.4以上とする
単結晶製造方法。 (2)るつぼの中心軸と融液面との交点における磁場の垂
直方向成分を50〜1000ガウスとする上記(1)の単結晶製
造方法。 (3)磁場中心の位置が融液表面より下の50〜200mmの範囲
とする上記(1)または(2)の単結晶製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体の基板など
に用いられるシリコン単結晶の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】半導体の基板材料となるシリコンの単結
晶製造方法としてチョクラルスキー法(CZ法)が広く
用いられている。CZ法は、原料の高純度シリコンを有
底円筒状の石英製るつぼ内で溶融しておき、特定結晶面
を向けた種結晶を融液面に浸し、そこから凝固成長する
結晶を、その成長速度に応じて徐々に引上げることによ
って単結晶を製造する。通常、種結晶から成長させた単
結晶は、まずシード絞りと称して、結晶を無転位化する
ための細長いネック部を形成させる。次いで目的とする
単結晶直径まで増径させる肩部を育成し、肩変えして直
径が一定状態の胴部育成工程へと移行する。胴長を所定
長さまで育成後、無転位の状態で融液から切り離すた
め、径を細くするテイルしぼりをおこなう。そして結晶
を融液から離した後、製造装置から取り出して所定条件
で冷却する。このようにして得られたシリコン単結晶
は、成長方向に垂直な面での切断片であるウェーハと
し、種々のデバイスの基板材料として用いる。
【0003】ウェーハ上に形成されるデバイスの製造工
数や歩留まりの点から、ウェーハの径、すなわち単結晶
の直径は大きい方が好ましく、以前は6インチであった
が、現状は8インチ(200mm)が主体であり、今後は1
2インチに移行していくと考えられている。このように
ウェーハ径を大きくすることに対し、単結晶の製造技術
においては幾つかの問題がある。
【0004】ウェーハの品質として酸素濃度のレベルが
重要であり、それに加えて酸素濃度のウェーハ内分布の
均一性も厳しく要求される。ウェーハ内の酸素はデバイ
ス製造時の種々な熱処理過程で析出物、転位ループ、積
層欠陥等を発生させ、デバイスの特性を劣化させる一
方、ウェーハの機械的強度を向上させたり、デバイス製
造過程における汚染などにより侵入した重金属不純物を
捕捉するトラップを形成して、デバイスの良品歩留まり
を向上させる効果がある。このため、デバイスの種類や
その製造プロセスによって必要とする酸素の濃度レベル
は種々異なるが、いずれにしてもそのウェーハ内の濃度
の均一性はその品質上極めて重要である。しかし、酸素
濃度をウェーハ内で均一にすることは、ウェーハ径が増
大するほど困難になり、ウェーハ径が200mm以上になっ
てくると、特にその不均一性が著しくなる。
【0005】CZ法における単結晶中の酸素は、シリコ
ン融液中の酸素から混入してくる。融液中の酸素は、原
料からのものもあるが多くは石英るつぼに起因してい
る。融液の接している石英るつぼの表面は徐々に溶解
し、それによって酸素が混入してくるのである。一方、
単結晶引上げの操業は減圧下の不活性雰囲気中にておこ
なわれ、融液が雰囲気に曝される自由表面では、蒸気圧
の高いSiOが容易に蒸発するため、酸素濃度が著しく
低下する。このように融液中の酸素濃度は、るつぼから
の混入と融液表面からの放散とのバランスによって決ま
るが、るつぼに接した高酸素濃度部と自由表面近傍の低
酸素濃度部とが共存しているため、育成中のるつぼ内の
融液流動の状況によっては、単結晶内に取り込まれる酸
素濃度分布の甚だしい不均一が発生する。一般的に、シ
リコン単結晶の引上げにおいては、融液内の温度差によ
って生ずる自然対流は、結晶中心部が高く周辺部が低い
という酸素の濃度分布をもたらす。
【0006】そこで引上げ中の単結晶およびるつぼを回
転させ、回転数(回/分)を制御することにより融液の
自然対流を抑制し、単結晶の酸素濃度分布を均一化させ
ることがおこなわれる。単結晶の回転は、ドーパントな
どウェーハの電導性を制御するための不純物の均一分布
化や、温度不均一による単結晶の変形防止の目的もあ
る。この単結晶の回転にさらにるつぼの逆方向の回転を
加え、その効果をより大きくさせることも一般におこな
われている。
【0007】るつぼ内の融液流動の制御には、磁場の印
加も活用される。磁場を横切って移動する導電体にはロ
ーレンツ力が発生しその移動を抑止するので、融液の流
動を抑止する作用があることから、CZ法に磁場を印加
するいわゆるMCZ法(Magnetic-field-applied CZ
法)が開発された。融液に与える磁場の方向は、るつぼ
内融液面に対し水平方向の磁場、垂直方向の磁場、さら
には相互に磁場の向きの異なるコイルを上下に対向して
配置して発生させるカスプ磁場がある。
【0008】それらのうち、カスプ磁場は、垂直方向と
水平方向の磁場を持っており、しかも回転軸に対し放射
状で軸対称性がよい。しかし、水平方向磁場印加や垂直
方向磁場印加に比して適用検討の開始が遅く、その効果
についてはまだ十分には明らかにされていない。まず特
公平2-12920号公報(特開昭58-217493号公報)には、C
Z法に対するカスプ磁場の適用が最初に提示されてい
る。これは単結晶引上げ炉の外壁の上下に同極対向磁石
を置いて、原料融液内に等軸対照的かつ放射状のカスプ
磁場を作ることにより、融液内の対流を抑制するもので
ある。この場合、るつぼ内で生ずる対流のるつぼ垂直壁
面に沿った下降流、融液自由表面およびるつぼ底面に沿
った水平流のいずれも磁場方向を直交することになり、
融液流を均一に抑制するので均一な結晶ができるとして
いる。しかし、結晶やるつぼの回転については全く記載
がない。またエッチピットで検出される欠陥の低減効果
は示されているが、不純物については低下したとの記載
はあってもその単結晶内分布は不明である。
【0009】特開平1-282185号公報および特公平8-1889
8号公報には、印加するカスプ磁場の垂直方向の磁場成
分が0である磁場中心(以下単に磁場中心という)を融
液表面位置におき、るつぼと単結晶とを反対方向に回転
させつつ引上げる方法の発明が開示されている。
【0010】特開平1-282185号公報では、水平磁場印加
の場合るつぼの回転数増加にともない単結晶の酸素量は
増すが、カスプ磁場とするとある回転数以上では逆に酸
素量が低下し、安定するとしている。同公報には、印加
するカスプ磁場の垂直方向の磁場成分が、融液表面位置
よりもるつぼ底面位置の方が大きいような分布を有する
ものであることとし、さらに磁場中心位置を融液面から
上または下にずらした図面が示されている。しかし、そ
こには具体的な位置やその場合の効果を示すデータは、
全く示されていない。また特公平8-18898号公報では、
単結晶をるつぼより5rpm速い速度で回転させるとよいと
している。
【0011】特開平10-114597号公報には、カスプ磁場
印加とるつぼおよび単結晶の回転とを組み合わせ、単結
晶シリコンの引上げ軸方向の酸素濃度を均一化する方
法、および装置の発明が開示されている。これは単結晶
成長により、融液量が減少していくのに応じて、カスプ
磁場の強さを低減したり磁場中心位置を融液面から融液
内に移動させるか、るつぼの回転数を増加させるもので
ある。その場合、単結晶とるつぼとは同方向に回転させ
るとしているが、単結晶の回転数は全く示されていな
い。るつぼと単結晶の回転を同じ方向とするのは、固液
界面にるつぼ下層の高濃度酸素融液が接するための障壁
となる、単結晶直下に発生するよどみをなくすためとし
ている。
【0012】このようにカスプ磁場印加を実施した例は
いくつかあり、それにより酸素濃度制御効果のあること
は開示されている。しかし、シリコン単結晶が200mm以
上に大径化した場合の、単結晶水平断面すなわちウェー
ハ内における酸素濃度分布に関しては明らかではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シリコン単
結晶のチョクラルスキー法による引上げ方法において、
カスプ磁場の印加により、200mmないしはそれ以上の大
径単結晶に対し、その引上げ軸に垂直な面内における酸
素濃度分布の均一性を改善し、さらに引上げ速度を向上
させる製造方法の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】200mmないしはそれ以上
の大径単結晶の製造に関し、生産性よく高品質のものを
得るために対処すべき問題は数多くある。その中で重要
なものは、引上げ速度の向上と、単結晶の引上げ軸に対
して垂直な面内、すなわち切り出されるウェーハ内にお
ける酸素濃度分布の均一化である。単結晶径が大きくな
ると、体積に対する表面積の比が低下してくるので、冷
却されにくく引上げ速度を遅くさせる。そのため引上げ
時間が長くなり、生産性が低下するばかりでなく、るつ
ぼの使用時間が長くなるのでその劣化が懸念される。ま
た、ウェーハ内における不純物の分布、とくに酸素の濃
度分布を均一にすることは、単結晶の径が増すほど困難
になってくる。
【0015】単結晶の引上げ速度を安定して向上させる
には、るつぼ内融液および単結晶の固液界面周辺の温度
分布を制御することが重要であり、ウェーハ相当面内に
おいて酸素の濃度分布を均一にするには、単結晶との固
液界面近傍における融液中の酸素含有量が均一であるこ
とが必要である。そのためにはるつぼ内融液の流動を十
分制御しなければならない。
【0016】本発明者らは、引き上げ速度を大きくして
酸素濃度分布の均一な大径の単結晶を製造することを目
標とし、融液の流動を十分制御するため、印加磁場には
カスプ磁場を用い、まずはじめに単結晶とルツボとは逆
回転にして相対回転速度を大きくする引き上げ方法を検
討した。カスプ磁場は、ルツボの側壁と底面との両方の
融液と接する面に垂直な磁場を与えることができ、磁場
強さおよび磁場中心位置を変えることにより、るつぼ内
融液の流動制御に効果的に活用できると考えられる。単
結晶とルツボの回転は、るつぼ内融液の自然対流を抑制
し温度の均一化やドーパントなどの均一分布をはかるた
めである。
【0017】このように、引き上げ速度に対するるつぼ
および単結晶の回転と磁場印加との組み合わせを種々検
討した結果、カスプ磁場の中心を融液面の高さから上ま
たは下に数十mm以上離すことにより、健全な単結晶を得
ることのできる最高速度をより大きくできることが見い
だされた。通常の、磁場印加のないるつぼと単結晶とを
逆方向に回転させて行うCZ法に比較すれば、引き上げ
を大幅に向上させることができたのである。これは単結
晶育成中の固液界面や融液の自由表面近傍に磁場の垂直
成分が加わることにより、引き上げ速度向上に好ましい
温度分布が得られたためと考えられる。
【0018】ところが、このように速度を速くして引き
上げた単結晶から、ウェーハを採取して酸素の濃度分布
を調べて見ると、通常のCZ法による大径の単結晶の場
合に比較して、ウェーハ面内での均一性がかなり劣って
いることがわかった。それは単結晶の中心部が高く、周
辺が低い濃度分布を呈しており、育成中の単結晶固液界
面近傍における中心部から周辺へ向けての、吐き出し流
が十分でないためと推定された。そこでこの吐き出し流
を大きくするため、単結晶の回転数を増すことを試みた
が、それほどは改善されなかった。その上、径が大きく
なると回転数増加には様々な不安定要素が加わることも
あって、形状的に健全な単結晶が得難くなってくる。
【0019】吐出し流が不十分である理由は必ずしも十
分明らかではないが、次のように考えられる。単結晶の
固液界面近くの融液は単結晶の回転に追随し、るつぼ壁
に近い融液はるつぼ回転に追随するので、結晶とるつぼ
の回転が逆向きの場合、単結晶の下方の融液には回転軸
を中心とした互いに反対方向の旋回流が接近して存在し
ている。融液流動のシミュレーション調査によると、向
きの異なる二つの旋回流の境界は、単結晶固液界面の直
下数mmの位置にあると推定される。カスプ磁場の磁場中
心の位置を、融液面あるいはそれとほぼ同じ高さにある
固液界面から数十mm以上離した場合、固液界面近傍には
磁場の垂直成分が存在することになり、この二つの旋回
流の両方に、同じ方向を向いた磁場の垂直成分が印加さ
れることになる。旋回流の向きはこの磁場の垂直成分と
直交しているため、ローレンツ力により旋回が抑止され
る。ローレンツ力は、磁場を横切って移動する導電体に
発生する電流と、与えられた磁場との相互作用によって
生じる。ここで、回転方向が逆の旋回流には相互に逆方
向の電流が流れるので、この二つの旋回流の間には電流
のループが形成されると推定される。ところが旋回流は
相互に接近していて電気抵抗が小さいので大きな電流が
流れ、電流が大きくなればその電流に比例してローレン
ツ力は増し、旋回流の強さを大きく抑止することにな
る。このため、単結晶回転による吐出し流は弱められ、
単結晶の回転速度を増しても、それに応じて拘束力が増
し、吐き出し流は強くならない。すなわち、引き上げ速
度向上に有効であった固液界面近傍の磁場の垂直成分の
存在は、ウェーハ面の酸素濃度分布には好ましくないの
である。
【0020】もしこのような推測が成り立つとすれば、
向きの異なる旋回流が接近して存在する状態を無くせば
よいと考えられた。そこで、逆方向としていた単結晶と
るつぼの回転を同じ方向に変え、単結晶育成をおこなっ
てみた。その結果、ウェーハ面における酸素の濃度分布
の均一性が、大きく改善されることが明らかになったの
である。るつぼと単結晶の回転を同一方向とすることに
より、固液界面近くの電流ループがなくなって、融液の
吐き出し流が増加し酸素濃度分布が改善されたと考えら
れる。
【0021】このようにして、引き上げ速度を大きくし
かつ酸素濃度分布が均一な大径単結晶が得られる手段が
見出されたので、さらに検討を進め、安定して良好な結
果が得られる、るつぼおよび単結晶の回転速度範囲と磁
場印加の条件範囲とを明確にして本発明を完成させた。
本発明の要旨は、 1)チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の引上げ
において、中心軸がるつぼの回転軸と同一のカスプ型磁
場を磁場中心の位置が融液表面から20mm以上離れた範囲
にある状態として印加し、結晶回転とるつぼ回転との方
向が同じで、結晶の回転数とるつぼの回転数との比(結
晶回転数/るつぼ回転数)を1.4以上とすることを特徴
とするシリコン単結晶の製造方法、 2)るつぼの中心軸と融液面との交点における磁場の垂
直方向成分が、50〜1000ガウスであることを特徴とする
上記1)のシリコン単結晶の製造方法、 3)磁場中心の位置が融液表面より下の50〜200mmの範
囲とすることを特徴とする上記1)または2)のシリコ
ン単結晶の製造方法、である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明はチョクラルスキー法によ
るシリコン単結晶引上げ育成方法において、るつぼの回
転軸と同軸のカスプ磁場をるつぼ周辺に印加しておこな
う、単結晶製造方法に関するものである。
【0023】図1に本発明の方法を適用した状況の例を
模式的に示す。大気から遮断された容器1内の減圧不活
性雰囲気中にて、保持軸2によって回転および上下させ
ることができる石英るつぼ3内で、ヒーター4により加
熱溶融されたシリコン融液5に、回転できる引き上げ用
ワイヤ6先端のシードチャックに取り付けられた種結晶
7を漬け、引き上げることによって単結晶8を育成す
る。育成の進行により、融液5は減少するが、融液面は
常に一定に保たれるよう、るつぼ3は保持軸2により上
方に押し上げられる。カスプ磁場は、るつぼの上下の位
置に磁場発生用コイル9および10をコイル面に平行か
つ同軸に配置し、同極を対向させるよう電流を流して磁
場を発生させる。磁場発生用コイル9および10は、通
常の導電体によるものでも超伝導によるものであっても
よい。
【0024】ここで、生じたカスプ磁場の仮想磁力線1
1を示すが、その中心位置12は図に示すように融液表
面の高さ位置より下方にずらすか、あるいは上方にずら
し、そのずらす距離は20mm以上あることとする。これ
は、融液の表面近傍部分に垂直方向の磁場成分を存在さ
せ、表面近傍の融液がマランゴニ流などによる流動によ
り、成長する結晶の固液界面へ流入することを抑止する
ためである。磁場中心12が融液自由表面に対し20mm未
満の位置にある場合は、この抑止効果が不十分となり、
単結晶8の引上げ軸に垂直な面、ないしはウェーハ面内
での場所による酸素濃度の差が大きくなる。
【0025】上記のカスプ磁場を印加した状態にて単結
晶引上げをおこなう際、単結晶8の回転方向と、るつぼ
3の回転方向とは同じにする。これは相互に逆方向とす
ると、単結晶の固液界面近傍における中央部から周辺部
へ向けての十分な吐出し流が得られず、ウェーハ面内で
の酸素濃度の均一性が悪くなるからである。
【0026】このように同一方向の回転とした上で、単
結晶の回転数とるつぼの回転数(いずれも回転数/分を
意味する)の比(単結晶回転数/るつぼ回転数)を1.4
以上とする。これは回転数の比が1.4を下回ると、単結
晶固液界面中央部から自由表面へ向けての融液の吐出し
流が不十分になり、酸素濃度の均一性が悪くなるからで
ある。この場合、るつぼの回転数としては、1〜7rpmの
範囲が望ましく、回転数の比は、大きくても6までとす
る。好ましいのは2〜4である。るつぼ回転数が1rpmを下
回る場合、単結晶とるつぼの回転を同方向にする効果が
無くなる。一方るつぼ回転数が7rpmを超えると、酸素濃
度均一性を得るための単結晶を高回転数にしなければな
らなくなり、多結晶化や結晶変形などの問題が生じ、引
き上げ速度を下げざるを得なくなる。また、回転数の比
は6を超えると、引き上げ速度を低下する必要が生じ、
その上、濃度分布の均一性もそれ以上の改善効果は得ら
れない。上述の磁場中心位置を融液自由表面位置からず
らす場合の、融液面と回転軸の交点における垂直方向の
磁場強度は50〜1000ガウスとするのがよい。50ガウスを
下回る場合、自由表面近くの融液の流動を抑止できず、
ウェーハ面の周辺部などに酸素濃度の低い部分が生じ、
酸素濃度分布がよくない。一方1000ガウスを超える磁場
になると、単結晶直下の吐出し流までも抑制してしまう
ようになり、これも酸素濃度分布を悪くする。また、こ
のように垂直方向の磁場強度を50〜1000ガウスに規制す
ることにより、融液の温度分布が改善され、多結晶化や
欠陥を発生することなく引上げ速度を向上させることが
できる。この酸素濃度分布の改善と、引き上げ速度向上
の効果をさらにより大きく発揮させるには、融液面と回
転軸の交点における垂直方向の磁場強度を100〜600ガウ
スとすることが望ましい。
【0027】融液面からずらすカスプ磁場の磁場中心の
位置は、前述のように融液の自由表面から20mm以上とす
るが、とくに融液表面の下の50〜200mmの範囲にすると
より効果的である。これは、るつぼの側壁の近傍にて壁
面に対する垂直方向の磁場を十分に存在させるためであ
り、これにより側壁に沿った融液の対流を抑制して、固
液界面近傍の融液温度を安定化させ、引上げ速度を大き
くしたり、酸素濃度の低減をはかることができるように
なる。融液が十分ある場合、磁場中心はできればるつぼ
の底面より50mm以上離れていることが望ましいが、引き
上げが進行し融液の深さが減少してくる育成の終期では
熱対流も小さくなるので、磁場中心がるつぼの底より下
方に位置したとしてもかまわない。なお、磁場中心は上
方にずらす場合、その距離が大きくなりすぎると、融液
に印加される磁場が垂直成分のみになってしまうので、
るつぼの側壁面に垂直な磁場成分が無くならない範囲に
とどめるべきである。
【0028】
【実施例】図1に模式的に示すようなCZ法による単結
晶引上げ装置を用い、高純度多結晶シリコン150kgを内
径650mm深さ520mmの石英るつぼ3内にて溶融し、20Torr
のAr雰囲気中にて、直径12in(実径310mm)の単結晶
8の引上げをおこなった。印加カスプ磁場11は、磁場
中心12を含む水平面内のるつぼの内壁位置(中心軸よ
り325mmの位置)にて、磁場の水平成分強度(垂直成分
は0)を1000ガウスとした。るつぼ3の回転数を4rpmの
一定とし、引上げ中の単結晶8の回転数、および磁場中
心位置12の高さを変え、胴長650mmの単結晶を作成し
た。得られた単結晶の直胴部の上端から200mmおよび400
mmの位置から採取したウェーハにて、酸素濃度の分布を
調査した。酸素濃度はウェーハの直径方向およびそれと
直交する方向に沿って、外周から5mmの部分を除き30mm
間隔で試料を採取し、FTIR法にて分析した。
【0029】表1に、印加磁場の磁場中心位置、単結晶
の回転数および融液面とるつぼ回転軸との交点における
垂直方向磁場強さと、得られた単結晶の200mmおよび400
mmの位置における酸素濃度の均一性を示す。酸素濃度の
均一性は、同一ウエーハの各位置における酸素濃度分析
値から 均一性(%)={(最高濃度−最低濃度)/平均濃度
}×100 として求めた。
【0030】
【表1】
【0031】表1の結果から本発明の効果は明らかであ
る。すなわち、試験番号9と番号10とは、カスプ磁場の
磁場中心位置を融液表面位置とし、融液面での垂直方向
の磁場強度を0としたものであるが、結晶の回転方向は
試験番号9ではるつぼと逆方向であるのに対し試験番号1
0では同一方向である。この場合、回転方向を同一方向
とすると、逆方向の場合より均一性は悪くなっている。
また、印加磁場の位置をずらすと、試験番号11に見られ
るように単結晶とるつぼの回転が逆であれば、均一性は
さらに悪くなっている。これに対し、例えば、試験番号
11と磁場印加位置がおなじで、回転数も同一であるが、
るつぼと単結晶の回転方向が異なる試験番号6の結果を
見ると、酸素濃度の均一性に大きな差のあることがわか
る。同様に、試験番号9〜12の単結晶の場合と、試験番
号1〜8の場合との、酸素濃度の均一性を比較すれば、カ
スプ磁場の磁場中心位置を融液表面位置からずらし、単
結晶の回転方向をるつぼと同一とし、その回転数比およ
び融液表面の垂直方向の磁場強度を本発明範囲内とする
ことにより、酸素濃度の均一性は大きく改善されてい
る。
【0032】試験番号1〜4、6、8、10および11について
は、引上げ速度を変え安定して引上げることのできる速
度の限界をさらに調査した。その結果も表1に合わせて
示すが、本発明範囲の条件とすれば、健全な単結晶の得
られる最大引上げ速度を大きくできることがわかる。
【0033】
【発明の効果】本発明方法の適用により、単結晶径が20
0mmないしはそれ以上の大径単結晶において、結晶引上
げ軸に対し垂直な面内における酸素濃度分布を改善し、
濃度の均一性が向上する。また、大径単結晶製造のため
の引上げ速度も向上するので、半導体基板としてのシリ
コンウェーハとそれを用いる半導体素子の品質向上、コ
スト低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カスプ磁場を印加した、チョクラルスキー法の
模式図である。
【符号の説明】
1…装置容器、2…るつぼ保持軸、3…石英るつぼ、4
…加熱ヒーター、5…シリコン融液、6…引上げ用ワイ
ヤ、7…種結晶、8…シリコン単結晶、9、10…磁場
発生用コイル、11…磁力線(仮想)、12…磁場中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲見 修一 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号住友金属工業 株式会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 藤原 俊幸 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号住友金属工業 株式会社エレクトロニクス技術研究所内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BA04 CF00 EH08 EJ02 HA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チョクラルスキー法によるシリコン単結晶
    の引上げにおいて、中心軸がるつぼの回転軸と同一のカ
    スプ型磁場を、磁場中心の位置が融液表面から20mm以上
    離れた範囲にある状態として印加し、結晶回転とるつぼ
    回転との方向が同じで、結晶の回転数と、るつぼの回転
    数との比(結晶回転数/るつぼ回転数)を1.4以上とす
    ることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】るつぼの中心軸と融液面との交点における
    磁場の垂直方向成分が50〜1000ガウスであることを特徴
    とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】磁場中心の位置が融液表面より下の50〜20
    0mmの範囲とすることを特徴とする請求項1または2に
    記載のシリコン単結晶の製造方法。
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