JP2000215988A - Elパネルおよびその製造方法 - Google Patents

Elパネルおよびその製造方法

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JP2000215988A
JP2000215988A JP11012232A JP1223299A JP2000215988A JP 2000215988 A JP2000215988 A JP 2000215988A JP 11012232 A JP11012232 A JP 11012232A JP 1223299 A JP1223299 A JP 1223299A JP 2000215988 A JP2000215988 A JP 2000215988A
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light
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panel
color filter
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Koichi Tanaka
康一 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 EL発光層のアニール処理によるオーバーコ
ート層表面の変質およびそれによるEL発光層の絶縁破
壊を防止する。 【解決手段】 ELパネル1は、基板部材28の上にE
L発光素子17を形成して成る。基板部材28は、透光
性基板2の上に無機系カラーフィルタ3をパターン形成
し、基板2の上にカラーフィルタ3を覆ってオーバーコ
ート層6を形成し、オーバーコート層6の上に高温安定
化層7を形成して成る。EL発光素子17は、透光性を
有する電極8と透光性を有するまたは金属膜から成る電
極12との間にEL発光層10を介在し、少なくともい
ずれか一方電極8,12とEL発光層10との間に絶縁
層9,11を配置して成る。EL発光層10の形成後に
600〜700℃でアニール処理してオーバーコート層
6が軟化しても、当該層上の高温安定化層7の表面の平
面性は高く保たれ、EL発光層10の絶縁破壊が防止で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示手段として適
用されるEL(エレクトロルミネッセンス)パネルおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ELパネルは自発光型で全体を固体素子
で構成でき、液晶表示パネルと比べてコントラストが高
く、視認性に優れるなどの利点を有することから、近
年、広く研究されており、その1つとしてカラー化が検
討されている。ELパネルのカラー化は、たとえば赤、
緑および青を呈するEL発光層をそれぞれ設けることで
実現され、特公平3−77640号公報にこのような手
法が開示されている。しかし、このようなカラー化では
充分に高い輝度が得られず、表示手段として実用化され
ていない。
【0003】また、たとえば白色を呈するEL発光層と
カラーフィルタとを組合わせることでカラー化が実現さ
れる。カラーフィルタ材料としては有機系と無機系とが
あり、特開昭64−40888号公報では有機系カラー
フィルタを用いている。特に該公報では、たとえば60
0℃〜700℃で行われるEL発光層のアニール処理で
カラーフィルタが変色しないように、EL発光素子を形
成した一方基板とカラーフィルタを形成した他方基板と
を互いに対向させて貼合わせている。しかしこのような
ELパネルでは、広視野角を得るために基板間隙を20
μm程度に狭くしなければならない。また、基板の貼合
わせ部分から浸入する水分のトラップ領域が確保でき
ず、シール寿命が短い。
【0004】一方、特開昭57−25692号公報やテ
レビジョン学会技術報告ED993IPD113-8では無機系カラ
ーフィルタを用いている。特に、後者には600℃程度
の高温にも耐え得る構造が開示されているが、2μm程
度の厚みの薄膜積層構造のEL発光素子に対して、カラ
ーフィルタの凹凸が大きく、カラーフィルタのエッジ部
分で断線などが生じる。
【0005】図9は、特開平8−220341号公報に
開示されたELパネル51の断面図である。ELパネル
51は、基板部材64の上にEL発光素子63を形成し
て構成される。ELパネル51の基板部材64は、透光
性基板52の上の無機系カラーフィルタ53を覆ってオ
ーバーコート層57を設けており、これによってカラー
フィルタ53の凹凸を平坦化して上述したような断線を
防止している。
【0006】具体的には、ガラスなどの透光性基板52
の上に、Crなどをベースとして成る遮光層54と、
R、GおよびBなどの無機顔料層55とで構成される無
機系カラーフィルタ53が設けられる。遮光層54を既
知の方法で形成した後、無機顔料、バインダー樹脂およ
び溶剤の混合物がスクリーン印刷法で所定のパターンに
印刷される。その後、焼成によってバインダー樹脂と溶
剤とが除去されて無機顔料層55が形成される。
【0007】カラーフィルタ53が形成された透光性基
板52の上には、カラーフィルタ53を覆って低融点ガ
ラスから成るオーバーコート層57が設けられる。低融
点ガラスと溶剤との混合物が塗布されてオーバーコート
層57が形成される。また、透明な無機酸化物から成る
オーバーコート層57を設けても構わない。このように
して基板部材64が完成する。
【0008】基板部材64のオーバーコート層57の上
に設けられるEL発光素子63は、たとえば2重絶縁層
構造を有し、オーバーコート層57の側から順番に、イ
ンジウム錫酸化物(ITO)などの透明電極で実現され
る下部電極58、下部絶縁層59、EL発光層60、上
部絶縁層61および高反射率の金属電極で実現される上
部電極62を積層して構成される。下部および上部電極
58,62の間に交流電圧を印加するとEL発光層60
が発光し、カラーフィルタ53を透過して透光性基板5
2の側から出射する光によってカラー表示が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記ELパネル51で
は、一般に、EL発光層60の結晶性を改善するため
に、EL発光層60の形成後直ちにまたは上部絶縁層6
1が形成された後に、真空中または不活性ガス中、たと
えば600℃〜700℃の所定温度で、アニール処理が
実施される。しかし、図9に示される従来技術のELパ
ネル51では、このアニール処理によってオーバーコー
ト層57の表面にしわが発生して変質し、さらにEL発
光素子63の絶縁破壊を引起こす。
【0010】本発明の目的は、EL発光層のアニール処
理によるオーバーコート層表面の変質およびそれによる
EL発光素子の絶縁破壊を防止し、信頼性の高いELパ
ネルを提供することおよびそのようなELパネルの効率
よく製造する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、透光性基板、
透光性基板上に設けられる無機系カラーフィルタおよび
カラーフィルタを覆って透光性基板上に設けられるオー
バーコート層を含む基板部材と、少なくとも透光性基板
側が透光性を有する一対の電極、電極間に配置されるE
L発光層および少なくともいずれか一方電極とEL発光
層の間に配置される絶縁層を含み、前記基板部材上に設
けられるEL発光素子とを備えるELパネルであって、
当該ELパネルにはEL発光層の形成後に所定温度でア
ニール処理が施されるELパネルにおいて、前記基板部
材は、オーバーコート層上に設けられる高温安定化層を
さらに含むことを特徴とするELパネルである。
【0012】本発明に従えば、EL発光層形成後の60
0℃〜700℃の高温で行われるアニール処理によって
オーバーコート層が軟化しても、その上に設けられる高
温安定化層表面の平面性は高く保たれる。したがって、
EL発光層の絶縁破壊を防止することができる。
【0013】また本発明は、前記高温安定化層は酸化物
系材料から成ることを特徴とする。本発明に従えば、酸
化物系材料から成る高温安定化層はバンドギャップが広
く、透過率が高い。したがって、発光輝度を低下するこ
となく高温安定化層表面の平面性を高く保ってEL発光
層の絶縁破壊を防止することができる。
【0014】また本発明は、前記高温安定化層はSiO
2、SiON、Al23、Ta25およびTiO2のうち
のいずれかから成ることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、上述のうちのいずれかか
ら成る高温安定化層は、その表面の平面性を高く保って
EL発光層の絶縁破壊を確実に防止できるとともに、真
空蒸着法、スパッタリング法、CVD(化学気相成長)
法およびディッピング法などを採用した汎用の生産設備
を用いて安価に製造することができる。
【0016】また本発明は、前記高温安定化層を20n
m以上の膜厚で設けたことを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、20μm以上の膜厚を有
する高温安定化層は、その表面の平面性を高く保ってE
L発光層の絶縁破壊を確実に防止できるとともに、アニ
ール処理によるクラックの発生を防止することができ
る。
【0018】また本発明は、前記高温安定化層を50n
m以上の膜厚で設けたことを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、50μm以上の膜厚を有
する高温安定化層は、アニール処理によるクラックの発
生をさらに防止することができる。なお、高温安定化層
の膜厚は、クラックの発生が防止できる上述の膜厚以上
であればいくらの膜厚に形成してもEL発光特性に影響
を及ぼすことはない。
【0020】また本発明は、前記オーバーコート層の熱
膨張率は透光性基板の熱膨張率の±10%以内であるこ
とを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、オーバーコート層と透光
性基板との熱膨張率を上述のように設定することによっ
て、EL発光層のアニール処理時に発生する基板部材の
反りを低減することができる。これによって、ELパネ
ルの製造工程で不可欠なフォトプロセスでの基板部材の
自動搬送を良好に行うことができる。
【0022】また本発明は、前記オーバーコート層を5
μm以上の膜厚で設けたことを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、オーバーコート層の膜厚
を5μm以上に設定したので、一般的に行われるEL発
光素子の電極のエッチングによるパターニングの際に、
エッチング液によってカラーフィルタが変質することを
防止することができる。なお、オーバーコート層の膜厚
は、カラーフィルタの凹凸が平坦化でき、かつエッチン
グ液によるカラーフィルタの変質を防止できる上述の膜
厚以上であればいくらの膜厚に形成してもEL発光特性
に影響を及ぼすことはない。
【0024】また本発明は、透光性を有する基板部材
と、少なくとも透光性の基板部材側が透光性を有する一
対の電極、電極間に配置されるEL発光層および少なく
ともいずれか一方電極とEL発光層の間に配置される絶
縁層を含むEL発光素子とを備えるELパネルの製造方
法であって、EL発光層の形成後に所定温度でアニール
処理が施されるELパネルの製造方法において、(a)
基板部材を形成する工程と、(b)形成した基板部材に
対してアニール処理温度よりも高温の所定温度で前アニ
ール処理を施す工程と、(c)前アニール処理終了後、
基板部材上にEL発光素子を形成する工程とを備えるこ
とを特徴とするELパネルの製造方法である。
【0025】本発明に従えば、基板部材の形成後、アニ
ール処理の温度よりも高温の所定温度で前アニール処理
を行うことによって、基板部材にEL発光素子を形成す
る前に、基板部材の不良品を除くことができる。したが
って、ELパネルの生産歩留りを大きく向上することが
できる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1(A)は本発明の実施の一形
態であるELパネル1の部分断面図であり、図1(B)
はその全体を示す断面図である。ELパネル1は、基板
部材28の上にEL発光素子17を形成して構成され
る。基板部材28は、たとえばガラスで実現される透光
性基板2の上に無機系カラーフィルタ3を形成し、透光
性基板2の上にカラーフィルタ3を覆ってオーバーコー
ト層6を形成し、オーバーコート層6の上に高温安定化
層7を形成して構成される。EL発光素子17は、透光
性を有する電極8と透光性を有するまたは金属膜から成
る電極12との間にEL発光層10を介在し、少なくと
もいずれか一方電極8,12とEL発光層10との間に
絶縁層9,11を配置して構成される。
【0027】このようなELパネル1のEL発光素子1
7は、たとえばガラスで実現される封止部材13で覆わ
れている。封止部材13は、ガラス基板にEL発光素子
17よりも大きい凹所を掘込み加工したものであり、ま
た注入孔14を有する。注入孔14から、たとえばシリ
コンオイルと脱水処理したシリカゲル粉末とを混合して
成る絶縁オイル15が注入されてEL発光素子17と封
止部材13とによって形成される空間に充填され、注入
孔14が封止部材16で封止されている。このようにE
L発光素子17を封止することによって、EL発光素子
17への水分の浸入が抑制でき、たとえば10万時間以
上のシール寿命が得られる。
【0028】まず、基板部材28について説明する。透
光性基板2の上に形成される無機系カラーフィルタ3は
ガラス4と無機顔料5とから成り、たとえばガラス4G
と緑色の無機顔料5Gとから成るカラーフィルタ3G
と、ガラス4Rと赤色の無機顔料5Rとから成るカラー
フィルタ3Rとで構成される。各カラーフィルタ3G,
3Rは帯状に形成され、所定の間隔をあけて交互に配置
される。
【0029】具体的には、日本電気硝子株式会社製OA
−2で実現されるガラス基板が透光性基板2として使用
され、該透光性基板2の上にまず緑色のカラーフィルタ
3Gが形成される。すなわち、日本電気硝子株式会社製
SM−900/LRで実現されるホウケイ酸鉛ガラス7
5重量部と、関東化学株式会社製のエチルセルロースを
関東化学株式会社製2−(2−エトキシエトキシ)エタ
ノールに溶解した10重量%溶液25重量部とを混合し
てボールミルで練り合わせ、さらに大日精化工業株式会
社製TMグリーン3320で実現される緑色の無機顔料
1重量部を加えてロールミルでさらに練り合わせてペー
ストを作製する。このペーストを300メッシュのスク
リーン印刷版を用いて透光性基板2の上に420μm幅
に印刷した後、580℃で20分間焼成する。このよう
にして、カラーフィルタ3Gが形成される。
【0030】次に、同様にして赤色のカラーフィルタ3
Rが形成される。すなわち、前記緑色の無機顔料に代え
てBASF社製SICOTRSNS RED L281
7で実現される赤色の無機顔料1重量部を加えてペース
トを作製し、このペーストを前記スクリーン印刷版を用
いて透光性基板2の上のカラーフィルタ3Gの間に42
0μm幅に印刷した後、580℃で20分間焼成する。
このようにして、カラーフィルタ3Rが形成される。
【0031】オーバーコート層6によって、カラーフィ
ルタ3の凹凸が平坦化され、かつEL発光素子17の電
極8,12をパターニングする際に使用されるエッチン
グ液によるカラーフィルタ3の変質が防止される。
【0032】オーバーコート層6は、具体的に、前記ホ
ウケイ酸鉛ガラス75重量部と、前記エチルセルロース
を前記2−(2−エトキシエトキシ)エタノールに溶解
した10重量%溶液25重量部とを混合してボールミル
で練り合わせてペーストを作製し、このペーストを前記
スクリーン印刷版を用いて透光性基板2の上のカラーフ
ィルタ3の間に印刷し、さらに前記スクリーン印刷版を
用いてカラーフィルタ3を覆う全面に10μm〜20μ
mの厚さに印刷した後、580℃で20分間焼成して形
成される。
【0033】高温安定化層7によって、EL発光素子1
7のEL発光層10の形成後に行われるEL発光層10
の結晶性を改善するためのアニール処理時の600℃〜
700℃の高温によるオーバーコート層6の表面の変質
およびこれによるEL発光素子17の絶縁破壊が防止さ
れる。高温安定化層7は酸化物系の材料から成り、生産
性の点からSiO2、SiON、Al23、Ta25
よびTiO2のうちのいずれかから成ることが特に好ま
しい。また、アニール処理によるクラックの発生を防止
するために、高温安定化層7は20nm以上、特に50
nm以上の膜厚で設けることが好ましい。高温安定化層
7は、具体的に、オーバーコート層6の上に、SiO2
膜を高周波(RF)スパッタリング法で150nmの膜
厚に形成して形成される。
【0034】なお、前記アニール処理による基板部材2
8の反りを低減するために、オーバーコート層6の熱膨
張率を透光性基板2の熱膨張率の±10%以内とするこ
とが好ましい。
【0035】次に、高温安定化層7の材料および膜厚の
検討結果について具体的に説明する。透光性基板2の上
にカラーフィルタ3とオーバーコート層6とを形成した
基板部材に対して、真空中、620℃で2時間アニール
処理を行った。その結果、オーバーコート層6の表面に
は図2に示されるような多数の微細なしわ31が発生
し、このようなオーバーコート層6の上にはEL発光素
子17の電極8,12のパターニングが不可能であっ
た。前記しわ31は、オーバーコート層6の主材料とし
て使用した前記ホウケイ酸鉛ガラスの軟化点が590℃
であることから、620℃でアニール処理することによ
って、オーバーコート層6の表面が溶解し、降温時に固
まる際、表面に発生する応力や溶融度の分布に起因して
発生したものと推測される。
【0036】さらに、透光性基板2の上にカラーフィル
タ3、オーバーコート層6および高温安定化層7を形成
した基板部材28に対して、真空中、620℃で2時間
アニール処理を行った。高温安定化層7としては、Si
2、SiON、Al23、Ta25およびTiO2から
成る膜をRFスパッタリング法によって所定の膜厚にそ
れぞれ形成した。図3は、しわ31は発生していない
が、クラック32が発生した高温安定化層7の表面を示
す図であり、図4は、しわ31およびクラック32がと
もに発生していない高温安定化層7の表面を示す図であ
る。
【0037】各材料から成る高温安定化層7におけるし
わ31およびクラック32の発生状況を以下の表1〜表
5に示す。表1〜表5中、「○」は、しわ31およびク
ラック32が発生ぜす、EL発光素子17を問題なく形
成可能なものであり、「△」は、しわ31およびクラッ
ク32が若干発生するがEL発光素子17の形成には特
に問題のないものであり、「×」は、しわ31およびク
ラック32が発生しEL発光素子17が形成できないも
のである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】表1〜表5から、酸化物系材料から成る高
温安定化層7をオーバーコート層6の上に設けることに
よって、アニール処理によるしわ31およびクラック3
2の発生が低減または防止できることが判る。また、使
用した材料によるけれども、高温安定化層7の膜厚を2
0nm以上とすることで、しわ31およびクラック32
の発生が改善され、さらに50nm以上とすることで、
EL発光素子17の形成が可能であることが判る。
【0044】次に、オーバーコート層6と透光性基板2
との熱膨張率の検討結果について具体的に説明する。本
形態で、オーバーコート層6の主材料として日本電気硝
子株式会社製SM−900/LRで実現されるホウケイ
酸鉛ガラスを使用し、透光性基板2として日本電気硝子
株式会社製OA−2で実現されるガラス基板を使用した
のは、オーバーコート層6と透光性基板2との熱膨張率
の整合性をとるためである。
【0045】一般に、熱膨張率の異なる材料を貼合わせ
た状態で熱プロセス(昇降温サイクル)を経た場合、昇
温温度に依存した量の歪み、すなわち反りが発生する。
透光性基板2のガラスとオーバーコート層6のガラスと
が異なるので、各ガラス材料の熱膨張率の違いに伴っ
て、基板部材28に反りが発生する。
【0046】ここで、透光性基板2として使用した日本
電気硝子株式会社製OA−2で実現されるガラス基板を
ベースとし、この基板とは熱膨張率が異なるガラス基板
をエポキシ樹脂で貼合わせた基板部材について、昇降温
プロセスを通した後の基板部材の反りを測定した結果を
表6に示す。なお、反り量は、基板部材を水平に置いた
場合の長辺方向中央部の基板部材面と載置台との距離で
示している。各ガラス基板の大きさは、縦170mm×
横230mm×厚さ1.1mmまたは0.7mmであ
る。温度サイクル条件としては、室温から180℃まで
昇温し、2時間後に室温まで降温する条件を採用した。
また、表6中、反り量の下に示した数値は、OA−2で
実現されるガラス基板の熱膨張率に対する貼合わせた各
ガラス基板の熱膨張率の比である。
【0047】
【表6】
【0048】表6から、貼合わせるガラス基板の熱膨張
率の違いによって、様々な反りが発生することが判る。
基板部材28の上にEL発光素子17を形成するフォト
プロセスにおける基板部材28の反りの許容スペックは
0.3mmであり、これを考慮すると、透光性基板2の
材料の熱膨張率の±10%以内の熱膨張率を有する材料
がオーバーコート層6の材料として好ましいことが判
る。本形態で、オーバーコート層6の主材料として使用
した日本電気硝子株式会社製SM−900/LRで実現
されるホウケイ酸鉛ガラスの熱膨張率は、47×10-7
(/℃)であり、透光性基板2として使用した日本電気
硝子株式会社製OA−2で実現されるガラス基板の熱膨
張率は、47×10-7(/℃)であり、上述した条件を
満たすものである。
【0049】続いて、EL発光素子17について説明す
る。EL発光素子17は、たとえば2重絶縁層構造を有
し、下部電極8、下部絶縁層9、EL発光層10、上部
絶縁層11および上部電極12をこの順番に積層して構
成される。
【0050】具体的には、高温安定化層7の上にITO
およびZnO:Al,Gaなどの透明電極で実現される
下部電極8が形成される。たとえば、ITO膜またはZ
nO:Al,Ga膜をスパッタリング法、電子ビーム蒸
着法およびスプレー法などの各種薄膜形成法によって1
00nm〜400nmの膜厚に成膜した後、フォトエッ
チング工程によってストライプ状にパターニングするこ
とによって、下部電極8が形成される。下部電極8が形
成された高温安定化層7の上には、下部電極8を覆っ
て、たとえばSiO2、SiN、Ta25およびSrT
iO3から成る下部絶縁層9が形成される。たとえばス
パッタリング法によって、200nm〜500nmの膜
厚に形成される。
【0051】下部絶縁層9の上には、ZnS:Mnなど
から成るEL発光層10が形成される。たとえば、電子
ビーム蒸着法によって、EL発光層10を形成すべき基
板部材を200℃〜300℃に保持し、ZnSに0.2
wt%〜0.6wt%のMnを添加したZnS:Mnペ
レットを蒸着源とし、700nm〜1000nmの膜厚
に形成される。EL発光層10の上には、下部絶縁層9
と同様にして上部絶縁層11が形成される。
【0052】上部絶縁層11の形成後、EL発光層10
の結晶性を改善するために、真空中、600℃〜620
℃で、1時間〜2時間アニール処理が施される。アニー
ル処理後、上部絶縁層11の上には、Alなどから成る
上部電極12が形成される。たとえば、Al膜を抵抗線
加熱法によって100nm〜500nmの膜厚に形成
し、フォトエッチング工程によって下部電極8とは直交
する方向にストライプ状にパターニングすることによっ
て、上部電極12が形成される。
【0053】このようにしてEL発光素子17が形成さ
れ、下部および上部電極8,12の間に交流電圧を印加
することによって、電極の交点に配置されるEL発光層
10が発光する。上述したZnS:Mnから成るEL発
光層10は、黄橙色の発光を呈する。したがって、緑色
のカラーフィルタ3Gおよび赤色のカラーフィルタ3R
で分光することによって、R(赤色)、G(緑色)およ
びY(黄色)のマルチカラーELパネルが実現できる。
【0054】本形態のELパネル1は基板部材28に特
徴を有する。すなわちオーバーコート層6の上に高温安
定化層7を設けたことを特徴とする。基板部材28は現
在生産されている白黒ELパネルの基板部材にカラーフ
ィルタ3、オーバーコート層6および高温安定化層7を
組込んで実現されるのもであり、EL発光素子17やそ
の駆動回路は従来技術と同様にして実現することができ
る。したがって、高い信頼性を有するR、GおよびYの
マルチカラーELパネル1を安価に製造することができ
る。
【0055】図5は、本発明の実施の他の形態であるE
Lパネル18の部分断面図である。図5中、前記ELパ
ネル1と同様の部材には同じ参照符号を付して示す。E
Lパネル18は、基板部材29の上にEL発光素子17
を形成して構成される。基板部材29は、透光性基板2
の上に無機系カラーフィルタ19を形成し、透光性基板
2の上にカラーフィルタ19を覆ってオーバーコート層
6を形成し、オーバーコート層6の上に高温安定化層7
を形成して構成される。
【0056】まず、基板部材29について説明する。透
光性基板29の上に形成される無機系カラーフィルタ1
9は遮光層20と無機顔料層21とから成り、無機顔料
層21は、たとえば青色の無機顔料層21Bと、緑色の
無機顔料層21Gと、赤色の無機顔料層21Rとで構成
される。各無機顔料層21B,21G,21Rは、たと
えば帯状に形成され、所定の間隔をあけて順次的に配置
され、各無機顔料層21B,21G,21Rの間に遮光
層20が配置される。
【0057】具体的には、日本電気硝子株式会社製OA
−2で実現されるガラス基板を透光性基板2として使用
し、該透光性基板2の上にまず遮光層20が形成され
る。すなわち、スパッタリング法によって金属クロムお
よび酸化クロムを積層構造に形成し、フォトプロセスに
よって560μm間隔で140μm幅のストライプ状に
パターニングして遮光層20が形成される。
【0058】次に、青色顔料ペーストとしてのアサヒ化
成株式会社製アサヒスーパーブルーCRで実現される青
色顔料15重量部と、感光性樹脂としての和光純薬株式
会社製ヒドロキシプロピルセルロース30重量部および
東亜合成株式会社製アロニックスM−400で実現され
るジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量
部と、溶剤としての関東化学株式会社製2−(2−エト
キシエトキシ)エタノール90重量部とを混合してロー
ルミルで練り合わせた後、反応開始剤としての東亜合成
株式会社製アロニックスC−101で実現されるベンジ
ルジメチルケタール5重量部を加え、300メッシュの
スクリーン印刷版を用いて透光性基板2の上に全面印刷
した後、420μm幅の所定のフォトマスクパターンを
用いて露光し現像し、空気中、580℃で10分間焼成
する。
【0059】さらに、緑色顔料ペーストとしての大日精
化工業株式会社製TMグリーン3320で実現される緑
色顔料15重量部と、感光性樹脂としての前記ヒドロキ
シプロピルセルロース30重量部および前記ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート30重量部と、溶剤と
しての前記2−(2−エトキシエトキシ)エタノール9
0重量部とを混合してロールミルで練り合わせた後、反
応開始剤としての前記ベンジルジメチルケタール5重量
部を加え、前記スクリーン印刷版を用いて透光性基板2
の上に全面印刷した後、420μm幅の所定のフォトマ
スクパターンを用いて露光し現像し、200℃で30分
間加熱して感光性樹脂分を熱重合させる。
【0060】さらに、赤色顔料ペースととしてのBAS
F社製SICOTRSNS REDL2817で実現さ
れる赤色顔料15重量部と、感光性樹脂としての前記ヒ
ドロキシプロピルセルロース30重量部および前記ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量部と、
溶剤としての前記2−(2−エトキシエトキシ)エタノ
ール90重量部とを混合してロールミルで練り合わせた
後、反応開始剤としての前記ベンジルジメチルケタール
5重量部を加え、前記スクリーン印刷版を用いて透光性
基板2の上に全面印刷した後、420μm幅の所定のフ
ォトマスクパターンを用いて露光し現像し、200℃で
30分間加熱して感光性樹脂分を熱重合させる。
【0061】続いて、昇温速度4℃/分で加熱して42
0℃で60分間焼成し、連続して昇温速度4℃/分で加
熱して580℃で20分間焼成した後、降温速度4℃/
分で冷却した。このような工程によって、有機化合物が
蒸発または燃焼し、無機顔料のみが残り、無機顔料層2
1B,21G,21Rが形成される。なお、上記条件で
有機化合物が残留する場合、加熱焼成雰囲気中に微量の
酸素を含有させることによって、効率的に有機化合物を
除去することができる。
【0062】オーバーコート層6は、カラーフィルタ1
9の凹凸の平坦化効果およびエッチング液によるカラー
フィルタ19の変質防止効果を確実に得るために、5μ
m以上の膜厚のオーバーコート層6を設けることが好ま
しい。具体的には、前記形態と同様のペーストを300
メッシュのスクリーン印刷版を用いて透光性基板2の上
のカラーフィルタ19を覆って透光性基板2の上の全面
に10μmの厚さに印刷した後、580℃で20分間焼
成することによって、オーバーコート層6が形成され
る。高温安定化層7は、たとえば100nmの膜厚のA
23膜によって実現される。
【0063】次に、オーバーコート層6の膜厚の検討結
果について具体的に説明する。オーバーコート層6は、
カラーフィルタ19の凹凸を平坦化し、かつエッチング
液によるカラーフィルタ19の変質を防止するために設
けられる。オーバーコート層6にピンホールなどがある
と、電極8,12を形成する際に使用されるエッチング
液がピンホールを通じてカラーフィルタ19に到達し、
カラーフィルタ19が変質し、光透過特性が低下してし
まう。
【0064】ここで、オーバーコート層6の膜厚と、該
オーバーコート層6の上に形成される高温安定化層7と
の組合せ構造とにおけるカラーフィルタ19の変質の改
善効果を評価した結果を以下の表7に示す。なお、高温
安定化層7としては、100nmまたは200nmのS
iO2膜を形成した。また、しわ(凹凸)の発生状況と
変色の発生状況とを評価した。表7中、「○」はEL発
光素子17を問題なく形成可能なものであり、「△」は
EL発光素子17の形成に影響はあるが形成可能なもの
であり、「×」はEL発光素子17が形成できないもの
である。
【0065】
【表7】
【0066】表7および前記表1〜表5から、カラーフ
ィルタ19の凹凸を平坦化し、かつエッチング液による
カラーフィルタ19の変質を確実に防止するためには、
5μm以上の厚さのオーバーコート層6が必要であるこ
とが判る。本形態のオーバーコート層6の膜厚は10μ
mであり、条規の条件を満たすものである。
【0067】続いてEL発光素子17について説明す
る。EL発光素子17は、前記形態と同様に、たとえば
2重絶縁層構造を有する。前記形態と同様にして、高温
安定化層7の上に下部電極8が形成され、下部電極8が
形成された高温安定化層7の上に下部電極8を覆って下
部絶縁層9が形成される。
【0068】下部絶縁層9の上には、SrS:CeNや
ZnS:Mnなどから成るEL発光層10が形成され
る。たとえば、EL発光層10を形成すべき基板部材を
450℃〜650℃に保持し、SrSに0.05wt%
〜0.3wt%のCeNを添加したSrS:CeNペレ
ットを蒸着源とし、電子ビーム蒸着法によって800n
m〜1500nmの膜厚のSrS:CeN膜を形成し、
さらにEL発光層10を形成すべき基板部材を200℃
〜300℃に保持し、ZnSに0.2wt%〜0.6w
t%のMnを添加したZnS:Mnペレットを蒸着源と
し、電子ビーム蒸着法によって200nm〜500nm
の膜厚のZnS;Mn膜を形成して、EL発光層10が
形成される。
【0069】さらに前記形態と同様にしてEL発光層1
0の上に上部絶縁層11が形成され、アニール処理が施
された後、上部絶縁層11の上に上部電極12が形成さ
れる。このようにしてEL発光素子17が形成され、下
部および上部電極8,12の間に交流電圧を印加するこ
とによって、電極の交点に配置されるEL発光層10が
発光する。上述したSrS:CeN膜とZnS:Mn膜
とを積層して成るEL発光層10では、SrS:CeN
膜で青緑色の発光を呈し、ZnS:Mn膜で黄橙色の発
光を呈し、全体として白色の発光を呈する。したがっ
て、青色、緑色および赤色の無機顔料層21B,21
G,21Rで分光することによって、R(赤色)、G
(緑色)およびB(青色)のマルチカラーELパネルが
実現できる。
【0070】本形態のELパネル18も基板部材29に
特徴を有し、該基板部材29は現在生産されている白黒
ELパネルの基板部材にカラーフィルタ19、オーバー
コート層6および高温安定化層7を組込んで実現され、
EL発光素子17やその駆動回路は従来技術と同様にし
て実現できる。したがって、高い信頼性のR、Gおよび
YのマルチカラーELパネル18を安価に製造すること
ができる。
【0071】図6は、本発明の実施のさらに他の形態で
あるELパネル23の部分断面図である。図6中、前記
ELパネル1と同様の部材には、同じ参照符号を付して
示す。ELパネル23は、基板部材30の上にEL発光
素子17を形成して構成される。基板部材30は、透光
性基板2の上に無機系カラーフィルタ24を形成し、透
光性基板2の上にカラーフィルタ24を覆ってオーバー
コート層6を形成し、オーバーコート層6の上に高温安
定化層7を形成して構成される。
【0072】まず基板部材30について説明する。透光
性基板2の上に形成される無機系カラーフィルタ24は
遮光層25と、緑色のカラーフィルタ24Gと、赤色の
カラーフィルタ24Rと、青色のカラーフィルタ24B
とで構成される。各色のカラーフィルタ24G,24
R,24Bは、ガラス26G,26R,26B(総称す
るときには「ガラス26」という)と、各色の無機顔料
27G,27R,27B(総称するときには「無機顔料
27」という)とから成る。各色のカラーフィルタ24
G,24R,24Bは、たとえば帯状に形成されて、所
定の間隔をあけて順次的に配置され、各色のカラーフィ
ルタ24G,24R,24Bの間に遮光層25が配置さ
れる。
【0073】具体的には、日本電気硝子株式会社製OA
−2で実現されるガラス基板を透光性基板2として使用
し、該透光性基板2の上にまず緑色のカラーフィルタ2
4Gが形成される。すなわち、日本電気硝子株式会社製
SM−900/LRで実現されるホウケイ酸鉛ガラス7
5重量部と、関東化学株式会社製のエチルセルロースを
関東化学株式会社製2−(2−エトキシエトキシ)エタ
ノールに溶解した10重量%溶液25重量部とを混合し
てボールミルで練り合わせ、さらに大日精化工業株式会
社製TMグリーン3320で実現される緑色の無機顔料
1重量部を加えてロールミルでさらに練り合わせてペー
ストを作製する。このペーストを300メッシュのスク
リーン印刷版を用いて透光性基板2の上に420μm幅
に印刷した後、580℃で20分間焼成する。このよう
にして、カラーフィルタ24Gが形成される。
【0074】次に、赤色のカラーフィルタ24Rが形成
される。すなわち、前記緑色の無機顔料に代えてBAS
F社製SICOTRSNS RED L2817で実現
される赤色の無機顔料1重量部を加えてペーストを作製
し、このペーストを前記スクリーン印刷版を用いて透光
性基板2の上の緑色のカラーフィルタ24Gの間に14
0μmの間隔をあけて420μm幅に印刷した後、58
0℃で20分間焼成してカラーフィルタ24Rが形成さ
れる。
【0075】さらに、青色のカラーフィルタ24Bが形
成される。すなわち、前記緑色および赤色の無機顔料に
代えてアサヒ化成株式会社製アサヒスーパーブルーCR
で実現される青色の無機顔料1重量部を加えてペースト
を作製し、このペーストを前記スクリーン印刷版を用い
て透光性基板2の上の赤色のカラーフィルタ24Rの間
に140μmの間隔をあけて420μm幅に印刷した
後、580℃で20分間焼成してカラーフィルタ24B
が形成される。
【0076】さらに、遮光層25が形成される。すなわ
ち、前記緑色、赤色および青色の無機顔料に代えてカー
ボンブラック顔料1重量部を加えてペーストを作製し、
このペーストを前記スクリーン印刷版を用いて透光性基
板2の上の各色のカラーフィルタ24G,24R,24
Bの140μmの間に印刷した後、580℃で20分間
焼成して遮光層25が形成される。このような遮光層2
5を形成することによって、第1番目に説明した形態よ
りもコントラストを向上することができる。
【0077】オーバーコート層6は、たとえば前記緑
色、赤色および青色の無機顔料およびカーボンブラック
顔料を含まないペーストを前記スクリーン印刷版を用い
て透光性基板2の上のカラーフィルタ24を覆って全面
に10μmの厚さに印刷した後、580℃で20分間焼
成することによって形成される。高温安定化層7は、た
とえばRFスパッタリング法によってSiO2膜を15
0nmの膜厚に形成して実現される。
【0078】次にEL発光素子17について説明する。
EL発光素子17は、たとえば2重絶縁層構造を有す
る。前述した形態と同様にして、高温安定化層7の上に
下部電極8が形成され、下部電極8が形成された高温安
定化層7の上に下部電極8を覆って下部絶縁層9が形成
される。
【0079】下部絶縁層9の上には、ZnS:PrF3
やZnS:TbF3などから成るEL発光層10が形成
される。たとえば、EL発光層10を形成すべき基板部
材を200℃〜300℃に保持し、ZnSに0.1wt
%〜4.0wt%のPrF3を添加したZnS:PrF3
ペレットを蒸着源とし、電子ビーム蒸着法によって30
0nm〜800nmの膜厚のZnS:PrF3膜を形成
し、さらにEL発光層10を形成すべき基板部材を20
0℃〜300℃に保持し、ZnSに0.5wt%〜5.
0wt%のTbF3を添加したZnS:TbF3ペレット
を蒸着源とし、電子ビーム蒸着法によって300nm〜
500nmの膜厚のZnS:TbF3膜を形成して、E
L発光層10が形成される。
【0080】前述した形態と同様にして、EL発光層1
0の上に上部絶縁層11が形成され、アニール処理が施
された後、上部絶縁層11の上に上部電極12が形成さ
れる。このようにしてEL発光素子17が形成され、下
部および上部電極8,12の間に交流電圧を印加するこ
とによって、電極の交点に配置されるEL発光層10が
発光する。上述したZnS:PrF3膜とZnS:Tb
3膜とを積層して成るEL発光層10では、ZnS:
PrF3膜で青緑色と赤色の発光を呈し、ZnS:Tb
3膜で緑色の発光を呈し、全体として白色の発光を呈
する。したがって、緑色、赤色および青色のカラーフィ
ルタ24G,24R,24Bで分光することによって、
R、GおよびBのマルチカラーELパネルが実現でき
る。
【0081】本形態のELパネル23も基板部材30に
特徴を有し、該基板部材30は現在生産されている白黒
ELパネルの基板部材にカラーフィルタ24、オーバー
コート層6および高温安定化層7を組込んで実現され、
EL発光素子17やその駆動回路は従来技術と同様にし
て実現することができる。したがって、高い信頼性の
R、GおよびBのマルチカラーELパネル23が安価に
製造できる。
【0082】なお、上述した形態ではアニール処理温度
として600℃〜620℃を採用しているが、それ以下
の温度でアニール処理しても同様の効果が得られる。
【0083】図7および図8は、ELパネル1,18,
23の製造方法を示す工程図である。まず図7を参照し
て、工程a1では透光性基板2の上にカラーフィルタ
3,19,24が形成され、工程a2では透光性基板2
の上にカラーフィルタ3,19,24を覆ってオーバー
コート層6が形成され、工程a3ではオーバーコート層
6の上に高温安定化層7が形成され、このようにして基
板部材28,29,30が完成する。基板部材28,2
9,30には工程a4で所定温度T1で前アニール処理
が施され、その後工程a5で高温安定化層28,29,
30の上にEL発光素子17が形成される。形成された
EL発光素子17は、工程6でシリコンオイルと脱水処
理されたシリカゲル粉末を含む絶縁オイル15で封止さ
れる。
【0084】次に図8を参照して、EL発光素子17の
形成方法を説明する。工程b1では高温安定化層28,
29,30の上に下部電極8がパターン形成され、工程
b2では高温安定化層28,29,30の上に下部電極
8を覆って下部絶縁層9が形成され、工程b3では下部
絶縁層9の上にEL発光層10が形成される。EL発光
層10の形成後、工程b4では所定温度T2(T2<T
1)でアニール処理が施される。その後、工程b5では
EL発光層10の上に上部絶縁層11が形成され、工程
b6では上部絶縁層11の上に上部電極12がパターン
形成される。なお、ここではアニール処理をEL発光層
10の形成後、直ちに行っているが、上部絶縁層11の
形成後に行っても構わない。
【0085】このように、基板部材28,29,30に
対して前アニール処理を行うことによって、基板部材2
8,29,30の形態で不良品を除くことができ、製品
歩留りを向上することができる。
【0086】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、オーバー
コート層上に高温安定化層を設けたので、アニール処理
によってオーバーコート層が軟化しても高温安定化層表
面の平面性を高く保って、EL発光層の絶縁破壊を防止
することができる。
【0087】また本発明によれば、酸化物系材料によっ
て上述の効果が得られる高温安定化層を実現することが
できる。
【0088】また本発明によれば、酸化物系材料として
SiO2、SiON、Al23、Ta25およびTiO2
のうちのいずれかを用いると、汎用の生産設備で安価に
高温安定化層を製造できるので、特に好ましい。
【0089】また本発明によれば、20nm以上、特に
50nm以上の膜厚を有する高温安定化層を設けたの
で、アニール処理によるクラックの発生が防止できる。
【0090】また本発明によれば、オーバーコート層の
熱膨張率を透光性基板の熱膨張率の±10%以内とした
ので、アニール処理による基板部材の反りが低減でき
る。
【0091】また本発明によれば、オーバーコート層の
膜厚を5μm以上に設定したので、カラーフィルタの凹
凸が平坦化でき、かつ高温安定化層上の電極のパターニ
ング時に使用されるエッチング液によるカラーフィルタ
の変質が防止できる。
【0092】また本発明によれば、前アニール処理を行
うようにしたので、基板部材の状態での不良品を除くこ
とができ、歩留りを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明の実施の一形態であるEL
パネル1の部分断面図であり、図1(B)はその全体を
示す断面図である。
【図2】透光性基板2の上にカラーフィルタ3とオーバ
ーコート層6とを形成した基板部材を真空中、620℃
で2時間アニール処理を行ったときのオーバーコート層
6の表面を示す図である。
【図3】透光性基板2の上にカラーフィルタ3、オーバ
ーコート層6および高温安定化層7を形成した基板部材
28を真空中、620℃で2時間アニール処理を行った
ときの、しわがなく、クラックがある高温安定化層7の
表面を示す図である。
【図4】前記基板部材28をアニール処理を行ったとき
の、しわおよびクラックがともにない高温安定化層7の
表面を示す図である。
【図5】本発明の実施の他の形態であるELパネル18
の部分断面図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態であるELパネ
ル23の部分断面図である。
【図7】ELパネルの製造方法を示す工程図である。
【図8】EL発光素子の製造方法を示す工程図である。
【図9】特開平8−220341号公報に開示された従
来技術のELパネル51の断面図である。
【符号の説明】
1,18,23 ELパネル 2 透光性基板 3,19,24 カラーフィルタ 5,27 無機顔料 6 オーバーコート層 7 高温安定化層 8 下部電極 9 下部絶縁層 10 EL発光層 11 上部絶縁層 12 上部電極 17 EL発光素子 21 無機顔料層 28,29,30 基板部材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性基板、透光性基板上に設けられる
    無機系カラーフィルタおよびカラーフィルタを覆って透
    光性基板上に設けられるオーバーコート層を含む基板部
    材と、少なくとも透光性基板側が透光性を有する一対の
    電極、電極間に配置されるEL発光層および少なくとも
    いずれか一方電極とEL発光層の間に配置される絶縁層
    を含み、前記基板部材上に設けられるEL発光素子とを
    備えるELパネルであって、 当該ELパネルにはEL発光層の形成後に所定温度でア
    ニール処理が施されるELパネルにおいて、 前記基板部材は、オーバーコート層上に設けられる高温
    安定化層をさらに含むことを特徴とするELパネル。
  2. 【請求項2】 前記高温安定化層は酸化物系材料から成
    ることを特徴とする請求項1記載のELパネル。
  3. 【請求項3】 前記高温安定化層はSiO2、SiO
    N、Al23、Ta25およびTiO2のうちのいずれ
    かから成ることを特徴とする請求項1記載のELパネ
    ル。
  4. 【請求項4】 前記高温安定化層を20nm以上の膜厚
    で設けたことを特徴とする請求項1記載のELパネル。
  5. 【請求項5】 前記高温安定化層を50nm以上の膜厚
    で設けたことを特徴とする請求項1記載のELパネル。
  6. 【請求項6】 前記オーバーコート層の熱膨張率は透光
    性基板の熱膨張率の±10%以内であることを特徴とす
    る請求項1記載のELパネル。
  7. 【請求項7】 前記オーバーコート層を5μm以上の膜
    厚で設けたことを特徴とする請求項1記載のELパネ
    ル。
  8. 【請求項8】 透光性を有する基板部材と、少なくとも
    透光性の基板部材側が透光性を有する一対の電極、電極
    間に配置されるEL発光層および少なくともいずれか一
    方電極とEL発光層の間に配置される絶縁層を含むEL
    発光素子とを備えるELパネルの製造方法であって、E
    L発光層の形成後に所定温度でアニール処理が施される
    ELパネルの製造方法において、 (a)基板部材を形成する工程と、 (b)形成した基板部材に対してアニール処理温度より
    も高温の所定温度で前アニール処理を施す工程と、 (c)前アニール処理終了後、基板部材上にEL発光素
    子を形成する工程とを備えることを特徴とするELパネ
    ルの製造方法。
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