JP2000213313A - 電磁駆動弁 - Google Patents

電磁駆動弁

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JP2000213313A
JP2000213313A JP11084896A JP8489699A JP2000213313A JP 2000213313 A JP2000213313 A JP 2000213313A JP 11084896 A JP11084896 A JP 11084896A JP 8489699 A JP8489699 A JP 8489699A JP 2000213313 A JP2000213313 A JP 2000213313A
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JP
Japan
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valve
armature
lash adjuster
valve body
electromagnetically driven
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JP11084896A
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English (en)
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Masaji Katsumata
正司 勝間田
Yoshihiro Iwashita
義博 岩下
Isao Matsumoto
功 松本
Masaaki Tanaka
正明 田中
Keiji Yotsueda
啓二 四重田
Hideyuki Nishida
秀之 西田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は電磁駆動弁に関し、アーマチャと弁
体との間に隙間を生じさせることなく、弁体を確実に開
閉駆動することを目的とする。 【解決手段】 アーマチャシャフト42と、弁体12の
弁軸26とは離間して設けられ、この離間部分にゼロラ
ッシュアジャスタ40が配設される。ゼロラッシュアジ
ャスタ40は、弁体12が開弁している状態では、油を
漏出させながら僅かに収縮し、弁体12が全閉位置に達
した際に、油圧が供給されることにより弁体12とアー
マチャシャフト42との間隔の増加に追従して伸長す
る。別の実施態様では、密閉式の油圧式ゼロラッシュア
ジャスタが用いられる。更に別の実施態様では、油圧式
ゼロラッシュアジャスタ及びスイングアームにより弁体
とアーマチャシャフトとの間隔変化が吸収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁駆動弁に係
り、電磁石に吸引されるアーマチャにより弁体を開閉駆
動する電磁駆動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平7−33204
4号に開示される電磁駆動弁が公知である。上記従来の
電磁駆動弁は、内燃機関の吸気弁又は排気弁として機能
する弁体と、弁体に連結されたアーマチャと、アーマチ
ャに弁体の開弁方向及び閉弁方向の電磁力をそれぞれ付
与する開弁用及び閉弁用の電磁石とを備えている。弁体
は、アーマチャが閉弁用電磁石に吸引された状態で、弁
体がシリンダヘッドに設けられたバルブシートに着座す
るように構成されている。従って、上記従来の電磁駆動
弁によれば、各電磁石を交互に励磁することにより弁体
を全閉位置と全開位置との間で往復移動させることがで
きる。
【0003】ところで、内燃機関のシリンダヘッドは燃
焼室での燃焼により高温となり、その熱が弁体に伝達さ
れることで弁体も高温となる。この場合、シリンダヘッ
ド及び弁体の熱容量の相違等により、両部材には熱膨張
差が発生する。かかる熱膨張差の影響で、アーマチャが
閉弁用電磁石に吸引された状態で、弁体がバルブシート
に完全に着座せず、弁体とバルブシートとの間に隙間が
生ずることがある。また、バルブシートあるいは弁体に
摩耗が生じた場合にも、同様に、弁体とバルブシートと
の間に隙間が生ずることになる。
【0004】かかる不都合を防止するうえでは、アーマ
チャが閉弁用電磁石に吸引され、かつ、弁体がバルブシ
ートに着座した状態で、アーマチャと弁体との間に隙間
が形成されるように弁体及びアーマチャを構成すること
が有効である。かかる構成によれば、上記の熱膨張差あ
るいは摩耗が生じた場合にも、弁体は、その変位がアー
マチャによって規制されることなく、バルブシートに着
座するまで変位することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如く、弁体が閉弁した状態で弁体とアーマチャとの間に
隙間が形成されると、弁体を開弁させる際には、アーマ
チャが弁体に衝突する際に衝突音が発生し、更に、アー
マチャが開弁用電磁石に衝突する際に衝突音が発生す
る。また、弁体を閉弁させる際には、弁体がバルブシー
トに衝突する際に衝突音が発生し、更に、アーマチャが
閉弁用電磁石に衝突する際に衝突音が発生する。このよ
うに、弁体とアーマチャとの間に隙間を設ける構成で
は、開弁時及び閉弁時にそれぞれ2回の衝突音が発生す
ることにより、作動音が増大してしまう。
【0006】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、アーマチャと弁体との間に隙間を生じさせること
なく、弁体を確実に開閉することが可能な電磁駆動弁を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、軸方向に変位可能に設けられた弁体
と、電磁石に吸引されることにより前記弁体を駆動する
アーマチャとを備える電磁駆動弁において、前記弁体と
前記アーマチャとを軸方向に離間して設けると共に、該
離間部分にゼロラッシュアジャスタ機構を設けた電磁駆
動弁により達成される。
【0008】請求項1記載の発明において、弁体とアー
マチャとは所定距離だけ離間して設けられ、この離間部
分にゼロラッシュアジャスタ機構が配設される。このた
め、ゼロラッシュアジャスタ機構により弁体とアーマチ
ャとの間隔変化が吸収されることで、弁体とアーマチャ
との間に隙間が生ずることが防止される。この場合、請
求項2に記載する如く、請求項1記載の電磁駆動弁にお
いて、前記ゼロラッシュアジャスタ機構は、前記弁体と
前記アーマチャとの間隔の増加に追従して伸長可能な変
位吸収機構であることとしてもよい。
【0009】請求項2記載の発明において、ゼロラッシ
ュアジャスタ機構は、弁体とアーマチャとの間隔の増加
に追従して伸長可能な変位吸収機構である。このため、
弁体とアーマチャとの間隔が増加した場合に、その増加
分が変位吸収機構の伸長により埋められることで、弁体
とアーマチャとの間に隙間が生ずることが防止される。
【0010】また、請求項3に記載する如く、請求項2
記載の電磁駆動弁において、前記変位吸収機構は、前記
弁体が閉弁位置にある場合に伸長可能であることとして
もよい。請求項3記載の発明において、弁体とアーマチ
ャとの間隔変化は、弁体が閉弁位置に達した際に生ず
る。従って、変位吸収機構が、弁体が閉弁位置にある場
合に伸長することで、弁体とアーマチャとの間の隙間の
発生が効果的に防止される。
【0011】また、請求項4に記載する如く、請求項2
又は3記載の電磁駆動弁において、前記変位吸収機構を
前記電磁石の内側に設けることとしてもよい。請求項4
記載の発明において、変位吸収機構が電磁石の内側に設
けられることで、電磁駆動弁の全高が変位吸収機構の長
さ分だけ大きくなることが防止される。従って、請求項
4記載の発明によれば、電磁駆動弁の全長の増大が抑え
られる。
【0012】また、請求項5に記載する如く、請求項1
記載の電磁駆動弁において、前記ゼロラッシュアジャス
タ機構は、圧縮力が付与されない状態で伸長可能な変位
吸収機構と、該変位吸収機構の一端に揺動可能に連結さ
れ、該変位吸収機構が伸長した場合に前記アーマチャが
開弁方向に変位するように、前記アーマチャ及び前記弁
体の双方に当接するスイングアームとよりなることとし
てもよい。
【0013】請求項5記載の発明において、変位吸収機
構は圧縮力が付与されない状態で伸長可能である。スイ
ングアームは、変位吸収機構の一端に、変位吸収機構が
伸長した場合にアーマチャが開弁方向に変位するよう
に、アーマチャ及び弁体の双方に当接する。このため、
アーマチャからスイングアームに付与される開弁方向の
力は、変位吸収機構に圧縮方向の力として伝達される。
従って、弁体が開弁している状態では、アーマチャから
スイングアームに開弁方向の力が付与されるので、変位
吸収機構が伸長することはない。一方、弁体が閉弁した
状態では、アーマチャからスイングアームに開弁方向の
力が付与されないので、変位吸収機構に圧縮力は作用し
ない。この場合、変位吸収機構の伸長が許容され、アー
マチャは開弁方向に変位することができる。すなわち、
弁体とアーマチャとの間隔が増加した場合に、変位吸収
機構が伸長することで、スイングアームに弁体及びアー
マチャの双方が当接した状態が維持されつつアーマチャ
は開弁方向に変位し、これにより、弁体とアーマチャと
の間に隙間が生ずることが防止される。また、弁体が開
閉駆動される場合に、スイングアームが弁体の変位に応
じて揺動し、変位吸収機構が弁体と共に変位することは
ない。このため、電磁駆動弁の可動部の慣性質量が低減
される。、また、請求項6に記載する如く、請求項2乃
至5のうち何れか1項記載の電磁駆動弁において、前記
変位吸収機構は油圧式ゼロラッシュアジャスタであるこ
ととしてもよい、更に、請求項7に記載する如く、請求
項2乃至4のうち何れか1項記載の電磁駆動弁におい
て、前記変位吸収機構は油圧式ゼロラッシュアジャスタ
であり、前記弁体が閉弁した状態で該油圧式ゼロラッシ
ュアジャスタに油圧を供給する油圧供給機構を有するこ
ととしてもよい。
【0014】請求項7記載の発明において、弁体が閉弁
された状態では、油圧式ゼロラッシュアジャスタには圧
縮力は作用しないため、油圧式ゼロラッシュアジャスタ
の油圧は低圧に保たれている。かかる状態で、油圧式ゼ
ロラッシュアジャスタに油圧を供給することで、油圧源
の油圧を低圧に抑制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例である電
磁駆動弁10の構成を示す。図1に示す如く、電磁駆動
弁10は弁体12を備えている。弁体12は内燃機関の
吸気弁又は排気弁として構成されている。弁体12は、
内燃機関の燃焼室14内に露出するようにロアヘッド1
6に配設されている。ロアヘッド16にはポート18が
形成されている。ポート18の燃焼室14への開口部に
は、弁体12に対する弁座20が形成されている。ポー
ト18は、弁体12が弁座20から離座することにより
導通状態となり、また、弁体12が弁座20に着座する
ことにより遮断状態となる。
【0016】ロアヘッド16の上部には、断熱プレート
22を介してシリンダヘッドスペーサ24が配設されて
いる。断熱プレート22は、例えばベークライト等の断
熱材料から構成されたシート状の部材であり、燃焼室1
4で発生した高熱がロアヘッド16からシリンダヘッド
スペーサ24へ伝達されるのを抑制する機能を有してい
る。シリンダヘッドスペーサ24の更に上部には、アッ
パヘッド25が固定されている。
【0017】弁体12は、上方に伸びる弁軸26を備え
ている。弁軸26はバルブガイド28により軸方向に摺
動可能に保持されている。バルブガイド28はロアヘッ
ド16に保持されている。ロアヘッド16の弁軸26の
略上半分を囲む部位には、円筒状に形成されたスプリン
グ保持空間30が設けられている。バルブガイド28の
上端部はスプリング保持空間30の内部に露出してい
る。スプリング保持空間30内のバルブガイド28の上
端部近傍の周囲には、バルブステムシール31が装着さ
れている。
【0018】弁軸26の上端部近傍には、コッタ32が
装着されている。コッタ32は、図1中上方ほど大径と
なるくさび状の外周面を有し、内周面には内向きの突起
が設けられた略円筒状の部材である。コッタ32内周面
の突起は、弁軸26の外周面に設けられた凹部に嵌合さ
れている。また、コッタ32の外周にはロアリテーナ3
4が嵌着されている。
【0019】スプリング保持空間30の底面にはスプリ
ングシート36が配設されている。スプリングシート3
6とロアリテーナ34との間には、両者を離間させる向
きの付勢力を発生するロアスプリング38が配設されて
いる。ロアスプリング38はロアリテーナ34を介して
弁体12を上向き、即ち、弁座20に向かう方向に付勢
している。以下、弁体12が弁座20に向かう方向を閉
弁方向と称し、また、弁体12が弁座20から離れる方
向を開弁方向と称する。
【0020】弁軸26の上方には、ゼロラッシュアジャ
スタ40を隔てて、アーマチャシャフト42が弁軸26
と同軸に配設されている。ゼロラッシュアジャスタ40
の構成については後に詳細に説明する。アーマチャシャ
フト42の上端部には、上記コッタ31と上下対称の構
成を有するコッタ44が装着されている。コッタ44の
周囲には、アッパリテーナ46が嵌着されている。アッ
パリテーナ46の上面には、アッパスプリング48の下
端部が当接している。アッパスプリング48の周囲に
は、円筒状のアッパケース50が配設されている。アッ
パケース50の上部にはアジャスタボルト52が螺着さ
れている。アッパスプリング48の上端部はスプリング
ガイド54を介してアジャスタボルト52に当接してい
る。アッパスプリング48はアッパリテーナ46を介し
てアーマチャシャフト42を下向きに付勢している。
【0021】アーマチャシャフト42の軸方向中央部の
外周にはアーマチャ56が接合されている。アーマチャ
56は軟磁性材料により構成された円盤状の部材であ
る。アーマチャ56の上方にはアッパコイル58及びア
ッパコア60が配設されている。また、アーマチャ56
の下方にはロアコイル62及びロアコア64が配設され
ている。アッパコイル58及びロアコイル62はそれぞ
れ、アッパコア60及びロアコア64に形成された環状
溝60a及び64aに収容されている。
【0022】アッパコア60及びロアコア64はそれぞ
れ、その中央部を貫通する貫通穴60b及び64bを備
えている。アッパコア60の貫通穴60bの上端にはア
ッパブッシュ66が配設されている。また、ロアコア6
4の貫通穴64bの下端にはロアブッシュ68が配設さ
れている。アーマチャシャフト42はアッパブッシュ6
6及びロアブッシュ68により軸方向に摺動可能に保持
されている。また、アッパコア60の上端部及びロアコ
ア64の下端部には、それぞれ、フランジ部60c及び
64cが設けられている。
【0023】シリンダヘッドスペーサ24には、その上
下を貫通する円筒状のラッシュアジャスタ保持空間24
aが、上記スプリング保持空間30と同軸に形成されて
いる。ラッシュアジャスタ保持空間24aの内部には、
上記したゼロラッシュアジャスタ40が保持されてい
る。シリンダヘッドスペーサ24の上面のラッシュアジ
ャスタ保持空間24aの開口部近傍には、上向きに隆起
した隆起部24bが設けられており、更に、隆起部24
bの頂部には円筒部24cが形成されている。
【0024】アッパヘッド25には、その上下を貫通す
る円筒状のコア保持空間25aが、上記スプリング保持
空間30及びラッシュアジャスタ保持空間24aと同軸
に形成されている。アッパコア60はそのフランジ部6
0cがシム70を介してアッパヘッド25に当接し、ま
た、ロアコア64はそのフランジ部64cがアッパヘッ
ド25に当接するように、それぞれコア保持空間25a
に挿入されている。アッパコア60のフランジ部60c
は、アッパヘッド25と、アッパケース50の下端部に
形成されたフランジ部50aとの間に挟持されている。
また、ロアコア64のフランジ部64cは、アッパヘッ
ド25とロアブラケット72との間に挟持されている。
そして、アッパケース50及びロアブラケット72が固
定ボルト74、76によりアッパヘッド25に固定され
ることで、アッパコア60とロアコア64とは所定の間
隔を隔てて固定されている。なお、アッパコア60及び
ロアコア64が上記の如く固定された状態で、シリンダ
ヘッドスペーサ24の隆起部24bとロアコア64の下
面との間には所定の隙間が形成されている。また、上記
したアジャスタボルト52は、アーマチャ56の中立位
置がアッパコア60とロアコア64との中間点となるよ
うに調整されている。
【0025】シリンダヘッドスペーサ24には、互いに
連通する油供給路80及び82が設けられている。油供
給路80には、図示しない油圧ポンプより油が供給され
る。また、油供給路82はラッシュアジャスタ保持空間
24aの所定位置に開口している。シリンダヘッドスペ
ーサ24には、更に、油回収穴84が設けられている。
油回収穴84は、その上端がシリンダヘッド24の隆起
部24bの周囲近傍に開口し、下端がスプリング保持空
間30内へ開口するように、シリンダヘッドスペーサ2
4を上下に貫通している。なお、油回収穴84の上部
は、加工穴84a、84bにより構成されることで、シ
リンダヘッドスペーサ24上面への開口面積が大きく確
保されている。
【0026】次に、電磁駆動弁10の動作について説明
する。アッパコイル58に励磁電流が供給されると、ア
ッパコイル58が発生する磁束によってアーマチャ56
にはアッパコア60に向かう方向の電磁力が作用する。
このため、図1に示されている如く、アーマチャ56は
アッパスプリング48による付勢力に抗してアッパコア
60に当接するまで変位する。以下、アーマチャ56が
アッパコア60に当接する位置を、アーマチャ56、ア
ーマチャシャフト42、又は弁体12の全閉位置と称す
る。この状態では、弁体12が弁座20に着座すること
で、弁体12は閉弁状態となる。
【0027】このように弁体12が閉弁された状態で、
アッパコイル58への励磁電流の供給が停止されると、
アーマチャ56を全閉位置に保持するのに必要な電磁力
は消滅する。このため、アッパコイル58への励磁電流
の供給が停止されると、アーマチャシャフト42は弁体
12と共に、アッパスプリング48に付勢されることに
より下方へ向けて変位を開始する。このため、弁体12
が弁座20から離座することで弁体12は開弁される。
アーマチャシャフト42の変位量が所定値に達した時点
でロアコイル62に励磁電流が供給されると、アーマチ
ャ56をロアコア64に向けて付勢する電磁力が発生す
る。
【0028】アーマチャ56に対して上記電磁力が作用
すると、アーマチャ56はロアスプリング38の発する
付勢力に抗してロアコア64に当接するまで変位し、弁
体12の開弁方向への変位量は最大となる。以下、アー
マチャ56がロアコア64に当接した位置を、アーマチ
ャ56、アーマチャシャフト42、又は弁体12の全開
位置と称す。かかる状態で、ロアコイル62への励磁電
流の供給が停止されると、アーマチャ56を全開位置に
保持するのに必要な電磁力が消滅する。このため、弁体
12及びアーマチャシャフト42はロアスプリング38
の発する付勢力により上方へ変位を開始する。これらの
変位量が所定値に達した時点でアッパコイル58に励磁
電流が供給されると、アッパコイル58が発する電磁力
によりアーマチャ56はアッパコア60へ向けて、アッ
パコア60に当接するまで変位する。アーマチャ56が
アッパコア60に当接した状態では、弁体12が弁座2
0に着座することで、弁体12は再び閉弁状態となる。
【0029】このように、本実施例によれば、アッパコ
イル58とロアコイル62とに、交互に適当なタイミン
グで励磁電流を供給することにより、弁体12を全閉位
置と全開位置との間で繰り返し往復運動させることがで
きる。ところで、上述の如く、弁体12は内燃機関の燃
焼室14に露出している。このため、燃焼室14内の高
熱は弁体12に伝達され、弁体12は速やかに昇温され
る。一方、ロアヘッド16は比較的大きな熱容量を有し
ているため、その昇温速度は弁体12と比較して緩やか
である。従って、弁体12はロアヘッド16に比して高
温となり、弁体12にはロアヘッド16に比して大きな
熱膨張が発生する。この場合、弁体12とアーマチャシ
ャフト42とが剛体的に連結されているものとすると、
弁体12の閉弁方向への変形は、アーマチャ56がアッ
パコア60に当接することにより規制されるため、弁体
12は開弁方向に伸張変形することとなる。すなわち、
熱膨張差に起因して、弁体12が弁座20に対して相対
的に開弁側に変位し、アーマチャ56がアッパコア60
に当接した状態で、弁体12が弁座20との間に隙間が
発生する。また、弁体12の開閉動作に伴って弁体12
と弁座20との着座面に摩耗が生じた場合にも、同様
に、アーマチャ56がアッパコア60に当接した状態で
弁体12と弁座20との間に隙間が発生することにな
る。このように、弁体12とアーマチャシャフト42と
を剛体的に連結すると、熱膨張差や摩耗に起因して弁体
12を確実に開閉させることができないという不都合を
招くことがある。
【0030】かかる不都合を回避する構成として、アー
マチャ56がアッパコア60に当接し、かつ、弁体12
が弁座20に着座した状態で、アーマチャシャフト42
と弁軸26との間に隙間(いわゆるタペットクリアラン
ス)を設けることが考えられる。しかしながら、タペッ
トクリアランスを設けた場合、以下の理由により電磁駆
動弁10の作動音が大きくなる。
【0031】すなわち、弁体12を全閉位置から開弁さ
せる場合には、先ず、アーマチャシャフト42が弁軸2
6に衝突することにより衝突音が発生し、更に、弁体1
2が全開位置に達する際にアーマチャ56がロアコア6
4に衝突することにより衝突音が発生する。また、弁体
12を全開位置から閉弁させる場合には、弁体12が全
閉位置に達する際に弁体12が弁座20に衝突すること
により衝突音が発生し、更に、アーマチャ56がアッパ
コア60に衝突することにより衝突音が発生する。この
ように、開弁時及び閉弁時にそれぞれ2回の衝突音が発
生することによって作動音が増大するのである。
【0032】図2は、タペットクリアランスと電磁駆動
弁10の作動音との関係を示す。図2に示す如く、タペ
ットクリアランスが増加するほど、大きな作動音が発生
することがわかる。これは、タペットクリアランスが増
加するほど、アーマチャシャフト42が高い速度で弁軸
26に衝突し、アーマチャシャフト42と弁軸26との
衝突音が大きくなることによるものである。従って、大
きな熱膨張差あるいは摩耗量を見込んで大きなタペット
クリアランスを設けると、それだけ大きな作動音が発生
することになる。このように、弁体12とアーマチャシ
ャフト42との間にタペットクリアランスを設ける構成
は、電磁駆動弁10の静粛性を確保するうえで適切では
ない。
【0033】本実施例の電磁駆動弁10は、アーマチャ
シャフト42と弁軸26との間にゼロラッシュアジャス
タ40を介装することで、作動音の増大を招くことな
く、上記熱膨張差や摩耗が生じた場合にも弁体12を確
実に弁座20に着座させ得る点に特徴を有している。以
下、本実施例の電磁駆動弁10の特徴部であるゼロラッ
シュアジャスタ40の構成及び動作について説明する。
【0034】図3は、ゼロラッシュアジャスタ40及び
その周辺部分を示す拡大断面図である。なお、図3は、
アーマチャ56がアッパコア60に当接した(すなわ
ち、弁体12が閉弁した)状況下で実現される状態を示
す。図3に示す如く、ゼロラッシュアジャスタ40は、
プランジャボディ100を備えている。プランジャボデ
イ100は、ラッシュアジャスタ保持空間24a内に軸
方向に摺動可能に配設されている。プランジャボディ1
00は一端(図3においては下端)が閉じた略円筒状の
部材である。プランジャボディ100は、その内部に、
下端部に設けられたスプリング保持部100aと、スプ
リング保持部100aに比して大径に形成されたプラン
ジャ保持部100bとを備えている。
【0035】プランジャボディ100のプランジャ保持
部100bには、プランジャ102が軸方向に摺動可能
に配設されている。プランジャ102の図3における下
底面と、スプリング保持部100aの下底面との間に
は、油圧室104が画成されている。プランジャ102
は、その外周面に、プランジャ保持部100bの内周面
に対して摺動する大径部102aと、図3における上端
部に設けられた小径部102bとを備えている。一方、
プランジャ収容部100bの内周面の上端には、ストッ
パリング106が圧入されている。ストッパリング10
6は、プランジャ102の大径部102aの外径に比し
て小さな内径を有している。従って、プランジャ102
のプランジャ保持部100b内部における上向きの変位
は、大径部102aと小径部102bとの間の段差と、
ストッパリング106とが当接することにより規制され
る。プランジャ102は、また、上方に向けて開口する
リザーバ室108、及び、リザーバ室108と油圧室1
04とを連通する連通路110を備えている。
【0036】油圧室104には、リテーナ112及びプ
ランジャスプリング114が配設されている。プランジ
ャスプリング114は、リテーナ112を介してプラン
ジャ102を上向きに付勢している。リテーナ112の
内側にはチェックボール116及びチェックボールスプ
リング118が配設されている。チェックボールスプリ
ング118は、チェックボール116を連通路110の
開口部に向けて付勢している。チェックボール116及
びチェックボールスプリング118は、油圧室104側
がリザーバ室108側に比して低圧になった場合にのみ
開弁するチェックバルブとして機能する。
【0037】ゼロラッシュアジャスタ40は、また、リ
ザーバキャップ120を備えている。リザーバキャップ
120は一端(図1における下端)が閉じた円筒状の部
材である。リザーバキャップ120は、その底面がプラ
ンジャ102の上端面に当接するように、ラッシュアジ
ャスタ保持空間24a内に摺動可能に配設されている。
リザーバキャップ120の下底面には、その一部が切り
欠かれてなるオーバフローリセス122が設けられてい
る。オーバーフローリセス122は、リザーバ室108
と常時連通している。
【0038】アーマチャシャフト42の下端面は、リザ
ーバキャップ120の内側底面に当接している。一方、
弁軸26の上端面は、プランジャボディ100の外側底
面に当接している。また、油供給路82は、図3に示す
状態(すなわち、アーマチャ56がアッパコア60に当
接し、弁体12が閉弁した状態)で、オーバフローリセ
ス122と連通するように、ラッシュアジャスタ保持空
間24aの内周面に開口している。
【0039】図3に示す状態から、アッパコイル58へ
の通電が遮断されると、上記の如く、アーマチャシャフ
ト42には開弁方向の付勢力が作用する。この開弁方向
の力はリザーバキャップ120からプランジャ102に
伝達される。プランジャ102に伝達される力がプラン
ジャスプリング114の付勢力を越えると、プランジャ
102が下向きに押圧されることで、油圧室104内の
油が加圧される。このため、油圧室104の油圧がリザ
ーバ室108の油圧に比して高圧となり、連通路110
はチェックボール116により閉塞される。連通路11
0が閉塞されると、油圧室104とリザーバ室108と
の間の油の授受は禁止される。このため、プランジャ1
02に伝達された駆動力は油圧室104を介してプラン
ジャボディ100に伝達され、ゼロラッシュアジャスタ
40は実質的に剛体となって、アーマチャシャフト42
及び弁体12と共に開弁方向に変位する。ゼロラッシュ
アジャスタ40が開弁方向に変位する過程では、油圧室
104の油が加圧されることで、プランジャ102とプ
ランジャボディ100との摺動面を介して油圧室104
から油が徐々に漏出し、ラッシュアジャスタ40は油の
漏出分に相当する僅かな量だけ収縮する。
【0040】アーマチャ56がロアコア64に当接する
まで変位し、ロアコイル62への通電が停止されると、
アーマチャ56は閉弁方向に変位する。そして、弁体1
2が弁座20に着座すると、プランジャボディ100に
ロアスプリング38の付勢力は作用しなくなる。一方、
弁体12が弁座20に着座した後も、アーマチャ56
は、弁体12が開弁方向に変位する過程でのラッシュア
ジャスタ40の収縮分に相当する微小量だけ更に閉弁方
向に変位する。この場合、プランジャ102はプランジ
ャスプリング114の付勢力により、リザーバキャップ
120に追従して、プランジャボディ100に対して上
向きに摺動しようとし、油圧室104内の油圧は低下す
る。そして、油圧室104がリザーバ室108よりも低
圧になると、チェックボール116が連通路110の開
口部から離座することで、油圧室104とリザーバ室1
08とが連通する。上述の如く、弁体12が弁座20に
着座した状態では、油供給路82とオーバーフローリセ
ス122とが連通する。このため、油圧室104とリザ
ーバ室108とが連通すると、油供給路82からリザー
バ室108を経て油圧室104に油が供給されること
で、プランジャ102はリザーバキャップ120に当接
した状態を維持しながら、アーマチャ56がアッパコア
60に当接するまで上向きに摺動する。
【0041】上述の如く、ゼロラッシュアジャスタ40
は、弁体12が開弁し、ロアスプリング38の付勢力に
対する反力としてリザーバキャップ120からプランジ
ャボディ100に開弁方向の力が作用する状態、つま
り、ゼロラッシュアジャスタ40に圧縮力が作用する状
態では、僅かずつ収縮しながらアーマチャシャフト42
及び弁体12と共に変位し、弁体12が弁座20に着座
し、プランジャボディ100に閉弁方向の力が付与され
ない状態、つまり、ゼロラッシュアジャスタ40に圧縮
力が作用しない状態では、プランジャ102がプランジ
ャボディ100に対して摺動するのを許容する機能を有
する機構である。かかるゼロラッシュアジャスタ40の
機能により、弁体12が閉弁した際に弁体12とアーマ
チャシャフト42との間に隙間が生ずることが防止され
る。
【0042】また、弁体12とロアヘッド16との熱膨
張差や弁体12と弁座20との着座面の摩耗に起因して
生ずる弁軸26とアーマチャシャフト42との間隔変化
は、時間的に緩やかに生ずるものであり、弁体12が全
閉位置と全開位置とを一往復する間に生ずる間隔変化量
は極く僅かである。このため、かかる間隔変化は、弁体
12が開弁している状態で僅かに収縮したゼロラッシュ
アジャスタ40が、弁体12が閉弁した際に伸長する過
程で吸収されることとなる。
【0043】従って、本実施例の電磁駆動弁10によれ
ば、アーマチャシャフト42と弁軸26との間に隙間を
生じさせることなく、弁体12を全閉位置と全開位置と
の間で確実に駆動することができる。図4は、弁体12
を開閉駆動する場合に電磁駆動弁10により発生する振
動の波形を、上記従来例の如くタペットクリアランスを
設けた場合(すなわち、ラッシュアジャスタ40を設け
ない場合)と比較して示す。図4において、(A)は、
弁体12が全閉位置と全開位置との間を変位する場合の
リフトを、(B)はラッシュアジャスタ40を設けない
場合の弁体12の開閉移動に伴って生ずる振動の波形
を、(C)は本実施例の電磁駆動弁10において弁体1
2の開閉移動に伴って生ずる振動の波形を、それぞれ示
す。
【0044】図4(B)に示すように、ラッシュアジャ
スタ40を設けない場合は、上記の如く、弁体12の開
弁時には、アーマチャシャフト42と弁軸26との衝突
に伴う振動(符号aで示す)及びアーマチャ56とロア
コア64との衝突に伴う振動(符号bで示す)が発生
し、また、弁体12の閉弁時には、弁体12と弁座20
との振動に伴う振動(符号cで示す)及びアーマチャ5
6とアッパコア60との衝突に伴う振動(符号dで示
す)が発生する。
【0045】これに対して、電磁駆動弁10によれば、
アーマチャシャフト42と弁軸26との間に隙間が存在
しないので、弁体12の開弁時にアーマチャシャフト4
2と弁軸26との衝突は生じない。また、ラッシュジャ
スタ40は、弁体12が開弁する過程での油の漏出に伴
う収縮量が、一般的なタペットクリアランスの値(例え
ば0.2〜0.3mm)に対して10分の1程度の微小
量となるように構成されている。このため、弁体12の
閉弁時には、弁体12と弁座20との衝突と、アーマチ
ャ56のアッパコア60との衝突とはほぼ同時に生ず
る。従って、図4(C)に示す如く、弁体12の開弁時
及び閉弁時にそれぞれ1回ずつの衝突音が発生するのみ
であり、これにより、電磁駆動弁10の作動音が低減さ
れる。このように、本実施例によれば、タペットクリア
ランスを設けた場合に比して、作動音が小さく、静粛性
に優れた電磁駆動弁10を実現することができる。
【0046】また、上述の如く、ゼロラッシュアジャス
タ40は、アーマチャ56がアッパコア60に着座した
状態、すなわち、弁体12が閉弁した状態で、油供給路
82からリザーバ室108及び油圧室104に油を供給
する構成である。アーマチャ56がアッパコア60に着
座した状態では、リザーバキャップ120に開弁方向の
力が付与されないため、油圧室104は低圧となってい
る。かかる状態で、油供給路82から油が供給されるた
め、油供給路80及び82へ供給すべき油圧を低圧とす
ることができるので、油供給路80へ油圧を供給する油
圧ポンプの小型化を図ることができる。また、以下に述
べるように、ゼロラッシュアジャスタ40へ供給された
油の一部は摺動面を介して漏出するが、ゼロラッシュア
ジャスタ40へ供給される油圧が低圧とされていること
で、漏出する油の量を低減することも可能となってい
る。
【0047】本実施例の電磁駆動弁10において、プラ
ンジャボディ100及びリザーバキャップ120と、ラ
ッシュアジャスタ保持空間24aとの間のクリアランス
は、極低温時にゼロとなるように設定されている。この
ため、常温時には上記クリアランスを介してゼロラッシ
ュアジャスタ40の上下に油が漏出する。本実施例で
は、ゼロラッシュアジャスタ40の上方に漏出した油
は、リザーバキャップ120に溜まり、アーマチャシャ
フト42とロアブッシュ68との間の潤滑に供せられる
と共に、シリンダヘッドスペーサ24の隆起部24bか
ら油回収穴84を介してスプリング保持空間30に流入
し、弁軸26とバルブガイド28との間の潤滑にも供せ
られる。このように、本実施例では、ゼロラッシュアジ
ャスタ40から漏出した油をアーマチャシャフト42及
び弁軸26の潤滑油として有効に使用することができ
る。
【0048】ところで、ゼロラッシュアジャスタ40の
油圧室104内の油にエアが混入すると、油圧室104
の加圧時に混入エアが圧縮されることで、ゼロラッシュ
アジャスタ40の剛性が低下する。かかる不都合を防止
するため、電磁駆動弁10の組み付け時に油にエアが混
入するのを防止する必要がある。図5は、本実施例の電
磁駆動弁10の組み付け工程を示す断面図である。図5
に示す如く、ゼロラッシュアジャスタ40の組み付け
は、シリンダヘッドスペーサ24の円筒部24cの周囲
に円筒状のキャップ122を嵌着し、プランジャボディ
100をラッシュアジャスタ保持空間24aに挿入した
後、油をラッシュアジャスタ保持空間24aに充填した
状態で、リザーバキャップ120をラッシュアジャスタ
保持空間24aに挿入することにより行われる。この場
合、電磁駆動弁10はその軸線が鉛直方向に対して傾斜
した状態で内燃機関に搭載されるので、ラッシュアジャ
スタ保持空間24aに充填された油の表面は円筒部24
cの頂面に対して傾斜する。このため、キャップ122
が設けられていなければ、ラッシュアジャスタ保持空間
24aに充填された油の油面は図5に破線Aで示す状態
となり、ラッシュアジャスタ保持空間24aの開口部が
油面の上に露出する。かかる状態でリザーバキャップ1
20が挿入されると、この露出部分からエアが油に混入
してしまう。これに対して、本実施例では、キャップ1
22が設けられていることで、図5に実線Bで示す如
く、油面が傾斜してもラッシュアジャスタ保持空間24
aの開口部は油面下に完全に没し、この状態でリザーバ
キャップ120を挿入することで、エアが油に混入する
のを防止することができる。
【0049】図6は、本実施例の変形例におけるゼロラ
ッシュアジャスタ40の組み付け工程を示す図である。
図6に示す変形例では、円筒部24cに代えて、隆起部
24bの頂面に環状溝が形成され、この環状溝に円筒状
のピンリング124が嵌着される。この場合も、上記図
5に示す場合と同様に、ピンリング124が設けられる
ことにより、ラッシュアジャスタ保持空間24aの開口
部が油面下に完全に没した状態でリザーバキャップ12
0を挿入できるため、エアが油に混入するのを防止する
ことが可能となる。
【0050】なお、図5及び図6に示す組み付け工程に
よりゼロラッシュアジャスタ40が組み付けられた後、
キャップ122又はピンリング124は取り外される。
このため、シリンダヘッドスペーサ24の全高を増加さ
せることなく、ゼロラッシュアジャスタ40組み付け時
にエアの混入を防止することが可能となっている。上述
の如く、図5又は図6に示す組み付け工程によれば、ゼ
ロラッシュアジャスタ40の組み付け時に油へのエアの
混入を防止することができる。しかしながら、油の温度
が上昇すると、油に溶け込んでいたエアが気泡となって
現れ、この気泡によりラッシャジャスタ40の剛性低下
を招く可能性がある。これに対して、本実施例では、ロ
アヘッド16とシリンダヘッドスペーサ24との間に断
熱プレート22が介装されていることで、燃焼室の高熱
がロアヘッド16からシリンダヘッドスペーサ24へ伝
達され難くされている。このため、油供給路80、82
内の油の温度上昇を抑制することができ、これにより、
油供給路80、82内に気泡が発生するのを防止するこ
とができる。
【0051】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。図7は、本実施例の電磁駆動弁200の構成図であ
る。なお、図7において、図1と同様の構成部分につい
ては同一の符号を付してその説明を省略する。図7に示
す如く、本実施例においては、上記第1実施例のシリン
ダヘッドスペーサ24が省略され、ロアヘッド16の上
面には断熱プレート22を介してアッパヘッド25が取
り付けられている。また、本実施例においては、上記第
1実施例のロアコア64に代えてロアコア202が設け
られている。ロアコア202は、その中心を軸方向に貫
通するラッシュアジャスタ保持穴203を備えている。
ラッシュアジャスタ保持穴203には、上記第1実施例
と同じゼロラッシュアジャスタ40が軸方向に摺動可能
に配設されている。
【0052】ゼロラッシュアジャスタ40のプランジャ
ボディ100には、弁軸26の上端面が当接している。
また、ゼロラッシュアジャスタ40のリザーバキャップ
120にはアーマチャシャフト204の下端面が当接し
ている。後述する如く、本実施例ではゼロラッシュアジ
ャスタ40がロアコア202の内部に配置される。この
ため、アーマチャシャフト204は、上記第1実施例の
アーマチャシャフト42の下端部を、ゼロラッシュアジ
ャスタ40の軸方向の長さ分だけ短縮した構成を有して
いる。
【0053】アッパヘッド25には、油供給路206、
207が設けられている。油供給路206は内燃機関の
各気筒に対応して設けられ、また、油供給路207は油
供給路206から各ゼロラッシュアジャスタ40に対応
して分岐されている。油供給路206には、図示しない
油圧ポンプより油圧が供給される。一方、ロアコア20
2には、互いに連通する油供給路208、210が設け
られている。油供給路208は主油供給路207に連通
している。また、油供給路210は、弁体12が全閉位
置にある状態で、ゼロラッシュアジャスタ40のオーバ
フローリセス122と連通するように、ラッシュアジャ
スタ保持穴203の内周面に開口している。従って、ゼ
ロラッシュアジャスタ40への油圧の供給は、主油供給
路206、207、及び油供給路208、210により
行われる。
【0054】ロアコア202のフランジ部と、アッパヘ
ッド25との当接面には、油供給路207と油供給路2
08との接続部を取り囲むように、Oリング212が設
けられている。Oリング212により、油供給路20
6、208を流れる油が周囲へ漏出することが防止され
る。本実施例の電磁駆動弁200においても、上記第1
実施例の電磁駆動弁10と同様に、弁体12が開弁して
いる状態ではプランジャボディ100とプランジャ10
2との摺動面から油が漏出することでゼロラッシュアジ
ャスタ40は僅かに収縮する。そして、弁体12が弁座
20に着座すると、ゼロラッシュアジャスタ40へ油圧
が付与されるのに伴って、アーマチャ56がアッパコア
60に当接するまでゼロラッシュアジャスタ40が伸長
する。従って、本実施例においても、弁体12とアーマ
チャシャフト204との間に隙間が生ずるのを防止しつ
つ、弁体12を全閉位置と全開位置との間で確実に駆動
することができる。
【0055】また、本実施例によれば、ゼロラッシュア
ジャスタ40がロアコア202の内部に収容されること
により、電磁駆動弁200の全長は、ゼロラッシュアジ
ャスタ40が設けられない場合と同等に抑えられてい
る。従って、本実施例によれば、内燃機関の全高が増加
するのを防止しつつ、ゼロラッシュアジャスタ40によ
る上記の効果を得ることができる。
【0056】また、本実施例において、ゼロラッシュア
ジャスタ40から上方に漏出した油の一部はロアコア2
02の上面に滞留する。かかる油は、アーマチャ56が
ロアコア202に当接する際に、両者間に介在すること
となる。従って、本実施例によれば、油の粘性による減
衰効果によってアーマチャ56とロアコア202との当
接音を緩和し、これにより、電磁駆動弁200の作動音
を低減することが可能となっている。なお、ゼロラッシ
ュアジャスタ40から下方に漏出した油はスプリング保
持空間30に流入し、弁軸26とバルブガイド28との
間の潤滑に供せられる。
【0057】更に、本実施例では、油供給路208、2
10がロアコア202の内部に設けられているので、油
によるロアコア202の冷却効果が得られる。特に、排
気弁を構成する弁体12の開弁時には、高い筒内圧に対
抗して弁体12を開弁方向に駆動することが必要とな
る。このため、ロアコイル62に供給すべき励磁電流が
大きくなり、それに伴って、ロアコア202の発熱量も
大きくなる。従って、本実施例では、油供給路208、
210を流れる油によりロアコア202が冷却されるこ
とで、ロアコア202の温度上昇が抑制され、これによ
り、電磁駆動弁200をより高回転・高負荷型の内燃機
関に適用することが可能となる。
【0058】次に、本発明の第3実施例である電磁駆動
弁300について説明する。図8は電磁駆動弁300の
構成図である。本実施例の電磁駆動弁300は、上記第
1実施例の電磁駆動弁10において、ロアコア64、ア
ーマチャシャフト42、弁軸28、及びゼロラッシュア
ジャスタ40に代えて、それぞれ、ロアコア302、ア
ーマチャシャフト304、弁軸306、ゼロラッシュア
ジャスタ308を設けた構成を有している。
【0059】ロアコア302は、その中心を軸方向に貫
通するラッシュアジャスタ保持穴310を備えている。
ラッシュアジャスタ保持穴310にはゼロラッシュアジ
ャスタ308が収容されている。アーマチャシャフト3
04は、アーマチャシャフト42のアーマチャ56より
下側の部分を除去した構成を有しており、ゼロラッシュ
アジャスタ308はアーマチャ56の直下に設けられ
る。このように、ゼロラッシュアジャスタ308がアー
マチャ56に接近して配置されるため、その分だけ弁軸
306は第1実施例の弁軸28よりも上方に延長されて
いる。アーマチャシャフト304の下端面には、ゼロラ
ッシュアジャスタ308の上端部が嵌合する円筒部30
4aが設けられている。
【0060】本実施例の電磁駆動弁300が備えるゼロ
ラッシュアジャスタ308は、密閉式の構造を有してい
る。図9は、ゼロラッシュアジャスタ308の軸方向断
面図である。図9に示す如く、ゼロラッシュアジャスタ
308は、プランジャボディ350を備えている。プラ
ンジャボディ350は一端(図9においては下端)が閉
じた略円筒状の部材である。プランジャボディ350の
外側の下底面には、下向きに突起する円筒部350aが
設けられている。円筒部350aの内周には弁軸306
の上端部が嵌合している。
【0061】プランジャボディ350の内側には、プラ
ンジャ352が軸方向に摺動可能に配設されている。プ
ランジャ352の図9における下底面と、プランジャボ
ディ350の内側底面との間には、油圧室354が画成
されている。プランジャ352は、上向きに開口するリ
ザーバ部356、及び、リザーバ部356と油圧室35
4とを連通する連通路360を備えている。
【0062】油圧室354には、リテーナ362及びプ
ランジャスプリング364が配設されている。プランジ
ャスプリング364は、リテーナ362を介してプラン
ジャ352を上向きに付勢している。リテーナ362の
内側にはチェックボール366及びチェックボールスプ
リング368が配設されている。チェックボールスプリ
ング368は、チェックボール366を連通路360の
開口部に向けて付勢している。チェックボール366及
びチェックボールスプリング368は、油圧室364側
がリザーバ室356側に比して低圧になった場合にのみ
開弁するチェックバルブとして機能する。
【0063】ゼロラッシュアジャスタ308は、また、
リザーバキャップ370を備えている。リザーバキャッ
プ370は、上端が閉じた略円筒状の部材であり、その
下端面がプランジャ352の上端面に当接するように、
プランジャボディ350の内側に摺動可能に配設されて
いる。プランジャ352のリザーバ部356とリザーバ
キャップ370の内部空間とは、リザーバ室372を構
成している。ゼロラッシュアジャスタ308の内部に
は、油が、リザーバ室372内の所定のレベルまで収容
されている。
【0064】リザーバキャップ370の上端部には小径
部370aが設けられている。小径部370aはプラン
ジャボディ350から上方へ突出してアーマチャシャフ
ト302の円筒部304aの内周に嵌合している。小径
部370aの下部には、リザーバ室372とリザーバキ
ャップ370の外部空間とを連通する連通穴374が設
けられている。
【0065】リザーバキャップ370の外周面には環状
溝376が設けられている。環状溝376はその底部に
設けられた連通穴378を介してリザーバ室372に連
通している。一方、プランジャボディ350の内周面に
は環状溝380が設けられている。環状溝376と環状
溝380とは、通常の動作状態において互いに連通する
ように配置されている。
【0066】プランジャボデイ350の上端には環状の
シール部材382が装着されている。シール部材382
の内周面は、リザーバキャップ370の小径部370a
の外周面に係合している。後述する如く、シール部材3
82は、リザーバキャップ370とプランジャボディ3
50との摺動面から上方へ漏出した油が、ゼロラッシュ
アジャスタ308の外部へ流出するのを防止する役割を
有している。
【0067】上記したゼロラッシュアジャスタ308の
構成によれば、弁体12を開弁方向に駆動する際には、
プランジャ370に開弁方向の力が作用することにより
油圧室354内の油が加圧される。この場合、連通路3
60がチェックボール366により閉塞されることで、
油圧室354とリザーバ室372との間の油の授受が禁
止される。このため、ゼロラッシュアジャスタ308
は、プランジャ352とプランジャボディ350との摺
動面から油を徐々に漏出させながら、アーマチャシャフ
ト302及び弁体12と共に開弁方向へ変位する。この
過程で、ゼロラッシュアジャスタ308は油の漏出分に
相当する僅かな量だけ収縮する。プランジャ352とプ
ランジャボディ350との摺動面から上方へ漏出した油
は連通穴378を介してリザーバ室372へ回収され
る。また、リザーバキャップ370とプランジャボディ
350との摺動面から上方へ漏出した油はオイルシール
382により外部へ流出することが防止され、この油は
連通穴374を介してリザーバ室372へ回収される。
【0068】弁体12が開弁した後、再び閉弁方向に変
位して弁座20に着座すると、プランジャボディ350
にロアスプリング38の付勢力は作用しなくなる。一
方、弁体12が弁座20に着座した後も、アーマチャ5
6は、ゼロラッシュアジャスタ308の上記収縮量に相
当する微小量だけ更に閉弁方向に変位する。この場合、
プランジャ350及びリザーバキャップ370はプラン
ジャスプリング364の付勢力によりアーマチャシャフ
ト302に追従して上向きに摺動しようとし、油圧室3
54の油圧は低下する。かかる油圧の低下によりチェッ
クボール366が連通路360の開口部から離座するこ
とで、油圧室354とリザーバ室372とが連通する。
このため、リザーバ室372から油圧室354へ油が流
入し、ゼロラッシュアジャスタ308は、アーマチャシ
ャフト304とリザーバキャップ370、及びプランジ
ャ352と弁軸306がそれぞれ互いに当接した状態を
維持しながら、アーマチャ56がアッパコア60に当接
するまで伸長する。また、弁体12とロアヘッド16と
の熱膨張差や弁体12と弁座20との着座面の摩耗に起
因して生ずる弁軸26とアーマチャシャフト42との間
隔変化は、ゼロラッシュアジャスタ40の場合と同様
に、弁体12が開弁している状態で僅かに収縮したゼロ
ラッシュアジャスタ308が弁体12が閉弁した際に伸
長する過程で吸収される。
【0069】このように、ゼロラッシュアジャスタ30
8によれば、ゼロラッシュアジャスタ40と同様に、ア
ーマチャシャフト302と弁体12との間に隙間が生ず
るのを防止しつつ、弁体12を全閉位置と全開位置との
間で確実に変位させることができる。また、密閉式のゼ
ロラッシュアジャスタ308においては、油圧室354
から漏出した油が全て連通穴378又は374を介して
リザーバ室372へ回収されるので、外部から油を供給
する必要はない。このため、上記第1及び第2実施例の
電磁駆動弁10、200のようにゼロラッシュアジャス
タへの油供給路及び油圧ポンプを設けることが不要とな
り、コストの低減が図られる。また、ゼロラッシュアジ
ャスタ308とラッシュアジャスタ保持穴310とを摺
動させることが不要となるため、摺動抵抗によるエネル
ギー損失を防止することができ、また、図8に示される
ように、弁体12が全閉位置にある状態でゼロラッシュ
アジャスタ308がロアコア202から突出する構成を
とることができる。
【0070】次に、本発明の第4実施例について説明す
る。図10は、本発明の第4実施例である電磁駆動弁4
00の構成図である。なお、図10において、図1と同
様の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略す
る。本実施例の電磁駆動弁400は、上記第1実施例の
電磁駆動弁10において、アーマチャシャフト42の中
心軸と弁軸26の中心軸とを互いオフセットさせると共
に、ゼロラッシュアジャスタ40に代えてスイングアー
ム402及びゼロラッシュアジャスタ404を設けた構
成を有している。
【0071】図10に示す如く、本実施例において、シ
リンダヘッドスペーサ24にはラッシュアジャスタ収容
空間406が設けられている。ラッシュアジャスタ収容
空間406にはスイングアーム402が収容されてい
る。また、ロアヘッド16の上面には、ラッシュアジャ
スタ保持穴408が設けられている。ラッシュアジャス
タ保持穴408にはゼロラッシュアジャスタ404が保
持されている。
【0072】図11はゼロラッシュアジャスタ404及
びその周辺部分の拡大図である。図11に示す如く、ゼ
ロラッシュアジャスタ404はプランジャボディ410
を備えている。プランジャボディ410は一端(図11
における下端)が閉じた略円筒状の部材であり、その上
端部が突出するようにラッシュアジャスタ保持穴408
に嵌入されている。プランジャボディ410の内側に
は、プランジャ412が軸方向に摺動可能に配設されて
いる。プランジャ412は略円筒状の部材であり、その
内部にリザーバ空間414を備えている。プランジャ4
12の上端には、球面状に形成されたピボット部412
aが設けられている。
【0073】プランジャボディ410の内部のプランジ
ャ412より下側の空間は油圧室416を構成してい
る。プランジャ412にはリザーバ空間414と油圧室
416とを連通する連通路418が設けられている。油
圧室416には、リテーナ420及びプランジャスプリ
ング422が配設されている。プランジャスプリング4
22はリテーナ420を介してプランジャ412を上向
きに付勢している。リテーナ420の内側にはチェック
ボール424及びチェックボールスプリング426が配
設されている。チェックボールスプリング426はチェ
ックボール424を連通路418の開口部に向けて付勢
している。
【0074】プランジャボディ410の外周面及び内周
面には、それぞれ、環状溝428及び430が設けられ
ている。環状溝428と環状溝430とは、連通穴43
2を介して互いに連通している。また、ロアヘッド16
には、互いに連通する油供給路434、436が設けら
れている。油供給路434は各気筒に対応して設けられ
ている。また、油供給路436は各ゼロラッシュアジャ
スタ404に対応して油供給路434から分岐し、ラッ
シュアジャスタ保持穴408の側面の環状溝428と連
通する位置に開口している。油供給路434には図示し
ない油圧ポンプより油が供給される。
【0075】プランジャ412の外周面には環状溝43
8が設けられている。環状溝438は、通常の動作状態
においてプランジャボディ410の環状溝430と連通
するように配置されている。また、環状溝438は、そ
の底面に開口する連通穴440を介してリザーバ空間4
14に連通している。スイングアーム402の下面に
は、アジャスタ連結面402a及び弁軸当接面402b
が設けられている。アジャスタ連結面402aは、図1
1における左端部近傍に略球面状に窪むように形成され
た凹部である。また、弁軸当接面402bは、図11に
おける右端部近傍に曲面状(例えば球面状)に突起する
ように形成された凸部である。更に、スイングアーム4
02の上面の、アジャスタ連結面402aと弁軸当接面
402bとの中間部に対応する位置には、緩やかに凸状
に湾曲する(又は平面状の)アーマチャ当接面402c
が設けられている。
【0076】スイングアーム402のアジャスタ連結面
402aには、プランジャ412のピボット部412a
が係合している。従って、スイングアーム402はゼロ
ラッシュアジャスタ404に対して、ピボット部402
aの頂点を中心に上下に揺動可能に保持される。一方、
弁軸当接面402bの頂部には弁軸26の上端面が、ま
た、アーマチャ当接面402cにはアーマチャシャフト
42の下端面が、それぞれ当接している。アーマチャシ
ャフト42の下端面は曲面状(例えば球面状)に形成さ
れている。弁軸当接面402b及びアーマチャシャフト
42の下端面が曲面状に形成されていることで、スイン
グアーム402はアーマチャシャフト42及び弁軸26
と当接した状態を維持しながら円滑に揺動することがで
きる。
【0077】なお、アーマチャ当接面402c及びアー
マチャシャフト42の当接部と、スイングアーム402
のゼロラッシュアジャスタ404に対する揺動中心との
距離をL1で表し、また、アーマチャシャフト42及び
アーマチャ当接面402cの当接部と、弁軸当接面40
2b及び弁軸28の当接部との距離をそれぞれL2で表
すものとする。
【0078】上記の構成によれば、アーマチャ56及び
弁体12が全閉位置に保持された状態でアッパコイル5
8への通電が停止されると、アッパスプリング48の付
勢力がアーマチャ56に開弁方向の力として伝達され
る。この力は、弁軸当接面402b及び弁軸28の当接
部を支点とする「てこ」の作用により、ラッシュアジャ
スタ404のプランジャ412に下向きの力として付与
される。プランジャ412に下向きの力が付与される
と、油圧室416が加圧されることで連通路418はチ
ェックボール424によって閉塞され、リザーバ室41
4と油圧室416との間の油の授受は禁止される。この
ため、ゼロラッシュアジャスタ404は、プランジャ4
12とプランジャボディ410との摺動面から漏出する
油の量に相当する僅かな量だけ収縮する。
【0079】従って、アーマチャ56に開弁方向の力が
付与されると、ゼロラッシュアジャスタ404がほぼ剛
体に保たれた状態で、スイングアーム402はプランジ
ャ412のピボット部412aを支点として下向きに揺
動する。そして、アーマチャ56に付与される開弁方向
の力(つまり、アーマチャシャフト42からスイングア
ーム402のアーマチャ当接面402cに伝達される
力)をスイングアーム402のレバー比R=(L1+L
2)/L1で除した力が、弁軸当接面402bから弁軸
26に伝達され、弁体12は開弁方向に駆動される。
【0080】また、弁体12が閉弁方向に駆動される場
合には、ロアスプリング38の付勢力が弁軸26からス
イングアーム402の弁軸当接面402bへ上向きの力
として伝達される。この場合、アーマチャシャフト42
及びアーマチャ当接面402cの当接部が支点となっ
て、アジャスタ連結面402aからゼロラッシュアジャ
スタ404のプランジャ412に下向きの力が作用す
る。このため、上記した開弁時と同様にゼロラッシュア
ジャスタ404がほぼ剛体に保たれた状態で、スイング
アーム402はプランジャ412のピボット部412a
を中心として上向きに揺動する。そして、弁軸当接面4
02bに伝達される力に上記レバー比Rを乗じた力がア
ーマチャシャフト42に伝達され、アーマチャシャフト
42は弁体12と共に閉弁方向に駆動される。
【0081】弁体12が弁座20に着座すると、スイン
グアーム402の弁軸当接面402bにロアスプリング
38の付勢力は伝達されなくなるため、ゼロラッシュア
ジャスタ404のプランジャ412に作用する下向きの
力は消滅する。一方、弁体12が全閉位置から開弁方向
に変位を開始する時点の状態と比べると、スイングアー
ム402はゼロラッシュアジャスタ404の収縮分だけ
弁軸当接面402bを中心に下向きに僅かに傾斜してい
る。このため、弁体12が弁座20に着座した後、アー
マチャ56はアッパコア60に着座するまで、スイング
アーム402の上記傾斜分だけ更に上向きに変位する。
この場合、プランジャ412はプランジャスプリング4
22の付勢力により上向きに変位しようとするため油圧
室416内の油圧は低下する。かかる油圧の低下により
チェックボール424が連通路418の開口部から離座
し、リザーバ空間414から油圧室416に油が流入す
ることで、プランジャ412は上向きに変位する。その
結果、スイングアーム402はアーマチャシャフト当接
面402cにアーマチャシャフト42が当接し、かつ、
弁軸当接面402bに弁軸26が当接した状態を維持し
ながら、弁軸当接面402bを中心に上向きに揺動す
る。
【0082】このように、本実施例の電磁駆動弁400
では、弁体12が弁座20に着座した後、ゼロラッシュ
アジャスタ404の伸長に伴ってスイングアーム402
が揺動することで、スイングアーム402とアーマチャ
シャフト42との間に隙間が生ずることが防止される。
また、弁体12とロアヘッド16との熱膨張差や弁体1
2と弁座20との着座面の摩耗に起因して生ずる弁軸2
6とアーマチャシャフト42との間隔変化は、上記ゼロ
ラッシュアジャスタ40の場合と同様に、弁体12が開
弁している状態で僅かに収縮したゼロラッシュアジャス
タ404が弁体12が閉弁した際に伸長する過程で吸収
される。
【0083】このように、本実施例によれば、弁体12
とアーマチャシャフト42との間に隙間を生じさせるこ
となく(つまり、弁体12及びアーマチャシャフト42
が共にスイングアーム402に当接した状態を維持しつ
つ)、弁体12を開閉駆動することができる。また、本
実施例では、弁体12とアーマチャシャフト42との間
には、スイングアーム402が介装されるのみであり、
スイングアーム402の上下方向の厚みはゼロラッシュ
アジャスタ404の高さに比して十分に小さい。このた
め、本実施例によれば、ゼロラッシュアジャスタを弁体
12とアーマチャシャフト42との間に介装する構成に
比して、電磁駆動弁400の全長を短くし、内燃機関の
全高の増大を抑えることが可能となっている。
【0084】また、本実施例では、弁体12を開閉駆動
に伴ってスイングアーム402が揺動し、ゼロラッシュ
アジャスタ404が運動することはない。すなわち、ゼ
ロラッシュアジャスタ404の質量は電磁駆動弁400
の可動部の質量に含まれず、スイングアーム402のピ
ボット部412aを中心とする揺動による等価慣性質量
のみが可動部の質量に加わることになる。従って、本実
施例によれば、電磁駆動弁400の可動部の慣性質量が
低減されることで、電磁駆動弁400の応答性を向上す
ることができる。
【0085】更に、本実施例では、ゼロラッシュアジャ
スタ404、アーマチャシャフト42及び弁体12の各
中心軸が互いにオフセットして配置されることで、電磁
駆動弁400の搭載性が向上している。すなわち、電磁
駆動弁400の内燃機関への搭載上の制約に応じて、ア
ーマチャシャフト42及びゼロラッシュアジャスタ40
4の弁体12に対するオフセット方向を任意に設定する
ことができるからである。
【0086】例えば、図12は、アーマチャシャフト4
2及びゼロラッシュアジャスタ404を弁体12に対し
て内燃機関のシリンダボア450の外径方向にオフセッ
トさせた場合の構成を上方から見た概略図である。図1
2において、アーマチャシャフト42、アッパコア60
及びロアコア64(コア452と総称する)の外径形
状、ゼロラッシュアジャスタ404の中心軸404a、
スイングアーム402、弁体12により構成される吸気
弁454、及び弁体12により構成される排気弁456
の位置関係が示されている。図12に示す構成では、弁
体12に対してアーマチャシャフト42及びゼロラッシ
ュアジャスタ404が外径側に配置されることで、各電
磁駆動弁400のコア452間に大きな距離が確保さ
れ、電磁駆動弁400の体格を大きくすることが可能と
なっている。
【0087】なお、上記第1〜第4実施例においては、
アッパコア60とアッパコイル58及びロアコア64、
202、302とロアコイル62が特許請求の範囲に記
載した電磁石に、アーマチャ56及びアーマチャシャフ
ト42、204、304が特許請求の範囲に記載したア
ーマチャに、油供給路80、82、又は油供給路20
6、207、208、210が特許請求の範囲に記載し
た油圧供給機構に、それぞれ相当している。
【0088】ところで、上記実施第1、第2、及び第4
実施例では、ゼロラッシュアジャスタ40を外部(油供
給路82)から油が供給される外部供給式のゼロラッシ
ュアジャスタとして構成したが、これに限らず、上記第
3実施例のゼロラッシュアジャスタ308の如き密封式
のゼロラッシュアジャスタを用いても良い。また、上記
第1〜第4実施例においては、油圧式のゼロラッシュア
ジャスタを用いることとしたが、これに限らず、メカ式
のゼロラッシュアジャスタを用いてもよい。メカ式ゼロ
ラッシュアジャスタは、駆動機構(すなわち、上記第1
実施例ではアーマチャシャフト42)側に連結される第
1の部材と、弁体側に連結される第2の部材とが、軸方
向の隙間を隔てて互いに噛合するねじ山を介して連結さ
れた構成を有するゼロラッシュアジャスタである。上記
のねじ山は、第1の部材に開弁方向の力が付与される
と、第1及び第2の部材の相対回転を禁止し、第1の部
材に開弁方向の力が付与されない状態では、第1及び第
2の部材の相対回転を許容するように構成されている。
このため、弁体が開弁する場合は、第1及び第2の部材
は軸方向の相対変位を生ずることなく、両部材は剛体と
なって弁体と共に変位する。一方、弁体が閉弁する場
合、又は変位端に保持されている場合は、第1及び第2
の部材が相対回転し、ねじの作用により両部材が軸方向
に相対変位することで、弁体と駆動機構との間の隙間が
ゼロに調整される。かかるメカ式ゼロラッシュアジャス
タによれば、油圧室や逆止弁等を設けることが不要とな
るので、ゼロラッシュアジャスタの軽量化を図ることが
できる。このため、電磁駆動弁の応答性を向上させるこ
とができ、高回転型の内燃機関への適用が可能となる。
【0089】また、上記実施例においては、電磁駆動弁
10、200、300、400が内燃機関の排気弁又は
吸気弁として適用されるものとしたが、本発明はこれに
限定されるものではなく、弁体の軸方向変位により開閉
を行う他の任意の弁装置として適用が可能である。
【0090】
【発明の効果】上述の如く、請求項1乃至3記載の発明
によれば、弁体とアーマチャとの間に隙間を生じさせる
ことなく弁体を開閉駆動することができる。従って、本
発明によれば、電磁駆動弁の作動音を小さく抑制するこ
とができる。また、請求項4記載の発明によれば、更
に、電磁駆動弁の全長の増加を抑えることができる。
【0091】また、請求項5記載の発明によれば、電磁
駆動弁の可動部の慣性質量を低減しつつ、弁体とアーマ
チャとの間に隙間を生じさせることなく弁体を開閉駆動
することができる。また、請求項6記載の発明によれ
ば、変位吸収機構として油圧式ゼロラッシュアジャスタ
を用いることができる。
【0092】また、請求項7記載の発明によれば、変位
吸収機構として油圧式ゼロラッシュアジャスタを用いた
場合に、油圧式ゼロラッシュアジャスタに供給すべき油
圧を低く抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電磁駆動弁の構成図で
ある。
【図2】本実施例の電磁駆動弁が備えるゼロラッシュア
ジャスタ及びその周辺部分の拡大断面図である。
【図3】弁体とアーマチャシャフトとの間に隙間を設け
た場合の、隙間の大きさと電磁駆動弁の作動音との関係
を示す図である。
【図4】(A)は、弁体が全閉位置と全開位置との間を
変位する際のリフト示す。(B)は、ラッシュアジャス
タを設けない場合に弁体の開閉に伴って生ずる振動波形
を示す。(C)は、本実施例において弁体の開閉に伴っ
て生ずる振動波形を示す。
【図5】本実施例におけるゼロラッシュアジャスタの組
み付け工程を示す断面図である。
【図6】本実施例の変形例におけるゼロラッシュアジャ
スタの組み付け工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施例である電磁駆動弁の構成図
である。
【図8】本発明の第3実施例である電磁駆動弁の構成図
である。
【図9】本実施例の電磁駆動弁が備えるゼロラッシュア
ジャスタの構成図である。
【図10】本発明の第4実施例である電磁駆動弁の構成
図である。
【図11】本実施例の電磁駆動弁が備えるゼロラッシュ
アジャスタ及びその周辺部分の拡大図である。
【図12】本実施例の電磁駆動弁を内燃機関に搭載する
場合の弁体、スイングアーム、及びコアの位置関係の一
例を示す図である。
【符号の説明】
10 電磁駆動弁 12 弁体 26、306 弁軸 40、308、404 ゼロラッシュアジャスタ 42、204、304 アーマチャシャフト 56 アーマチャ 58 アッパコイル 60 アッパコア 62 ロアコイル 64、202、302 ロアコア 402 スイングアーム
フロントページの続き (72)発明者 松本 功 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 田中 正明 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 四重田 啓二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 西田 秀之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に変位可能に設けられた弁体と、
    電磁石に吸引されることにより前記弁体を駆動するアー
    マチャとを備える電磁駆動弁において、 前記弁体と前記アーマチャとを前記軸方向に離間して設
    けると共に、 該離間部分にゼロラッシュアジャスタ機構を設けたこと
    を特徴とする電磁駆動弁。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電磁駆動弁において、 前記ゼロラッシュアジャスタ機構は、前記弁体と前記ア
    ーマチャとの間隔の増加に追従して伸長可能な変位吸収
    機構であることを特徴とする電磁駆動弁。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の電磁駆動弁において、 前記変位吸収機構は、前記弁体が閉弁位置にある場合に
    伸長可能であることを特徴とする電磁駆動弁。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の電磁駆動弁におい
    て、 前記変位吸収機構を前記電磁石の内側に設けたことを特
    徴とする電磁駆動弁。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の電磁駆動弁において、 前記ゼロラッシュアジャスタ機構は、 圧縮力が付与されない状態で伸長可能な変位吸収機構
    と、 該変位吸収機構の一端に揺動可能に連結され、該変位吸
    収機構が伸長した場合に前記アーマチャが開弁方向に変
    位するように、前記アーマチャ及び前記弁体の双方に当
    接するスイングアームとよりなることを特徴とする電磁
    駆動弁。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至5のうち何れか1項記載の
    電磁駆動弁において、 前記変位吸収機構は油圧式ゼロラッシュアジャスタであ
    ることを特徴とする電磁駆動弁。
  7. 【請求項7】 請求項2乃至4のうち何れか1項記載の
    電磁駆動弁において、 前記変位吸収機構は油圧式ゼロラッシュアジャスタであ
    り、 前記弁体が閉弁した状態で該油圧式ゼロラッシュアジャ
    スタに油圧を供給する油圧供給機構を有することを特徴
    とする電磁駆動弁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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