JP2000211905A - フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法 - Google Patents

フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法

Info

Publication number
JP2000211905A
JP2000211905A JP68353A JP2000068353A JP2000211905A JP 2000211905 A JP2000211905 A JP 2000211905A JP 68353 A JP68353 A JP 68353A JP 2000068353 A JP2000068353 A JP 2000068353A JP 2000211905 A JP2000211905 A JP 2000211905A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sulfate
aqueous solution
ammonia
reaction
free hydroxylamine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP68353A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3394980B2 (ja
Inventor
Kumiko Bansho
久実子 番匠
Yoshio Noguchi
義夫 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Fine Chemicals Co Ltd filed Critical Toray Fine Chemicals Co Ltd
Priority to JP2000068353A priority Critical patent/JP3394980B2/ja
Priority to US09/619,159 priority patent/US6485700B1/en
Publication of JP2000211905A publication Critical patent/JP2000211905A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3394980B2 publication Critical patent/JP3394980B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01CAMMONIA; CYANOGEN; COMPOUNDS THEREOF
    • C01C1/00Ammonia; Compounds thereof
    • C01C1/24Sulfates of ammonium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B21/00Nitrogen; Compounds thereof
    • C01B21/082Compounds containing nitrogen and non-metals and optionally metals
    • C01B21/14Hydroxylamine; Salts thereof
    • C01B21/1409Preparation
    • C01B21/1445Preparation of hydoxylamine from its salts

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、分離された該硫酸塩にアルカリを反
応させることにより、アンモニアと窒素原子を含まない
硫酸塩に変換し、高価なアンモニアを回収し、これを反
応系にリサイクルして有効利用するフリーヒドロキシル
アミン水溶液の製造方法を提供する。 【解決手段】硫酸ヒドロキシルアンモニウムを含む水溶
液またはスラリーとアンモニアを主とするガスとを反応
後、生成した水溶液またはスラリーに低級アルコールを
主とした液を混合し、析出する硫酸アンモニウムを含む
硫酸塩を分離してフリーヒドロキシルアミン水溶液を得
る方法において、分離された該硫酸塩とアルカリとを混
合して水分を含んだガス状のアンモニアを発生させ、該
アンモニアを上記反応系にリサイクルするフリーヒドロ
キシルアミン水溶液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フリーヒドロキシ
ルアミン水溶液の製造方法に関するものであり、詳しく
は、本発明は、硫酸ヒドロキシルアンモニウムとアンモ
ニアとの反応からフリーヒドロキシルアミンを得る方法
に於いて、反応で生じる硫酸アンモニウムを含む硫酸塩
を、低級アルコールの混合により析出させて分離し、分
離した該硫酸アンモニウムにアルカリを混合してアンモ
ニアを発生させ、発生したアンモニアを回収・リサイク
ルする、フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ヒドロキシルアミンは、医農薬中間原料
や金属表面処理剤等、工業的に幅広い用途で使用されて
いる。
【0003】しかしながら、フリーヒドロキシルアミン
は、非常に不安定な性質で容易に分解するため、一般的
には比較的安定なヒドロキシルアミンの塩(ヒドロキシ
ルアンモニウム塩)として合成され、あるいは使用され
てきた。フリーヒドロキシルアミンの分解は、重金属イ
オン共存下、高濃度の状態、強アルカリ中、あるいは比
較的高い温度等の条件において特に起こり易い。
【0004】ところで、ヒドロキシルアミンが実際にこ
のような用途に用いられる際には、ヒドロキシルアンモ
ニウム塩ではなく、フリーのヒドロキシルアミンが好ま
しく用いられ、それもより高濃度の水溶液が必要とされ
ることが多く、このようなフリーヒドロキシルアミン水
溶液を得る試みは従来からいくつかの方法でなされてき
た。
【0005】最近のフリーヒドロキシルアミンを得る方
法として、ヒドロキシルアンモニウム塩とアルカリとの
反応による方法が挙げられる。例えば、硫酸ヒドロキシ
ルアンモニウムとアンモニアとの反応の場合、この反応
後、系中には目的のフリーヒドロキシルアミンの他に、
多量の硫酸アンモニウムが含まれることとなる。そこ
で、フリーヒドロキシルアミンと硫酸アンモニウムとを
分離し、より高純度で高濃度のフリーヒドロキシルアミ
ンの溶液を得ることが、提案された。
【0006】米国特許第4956168号明細書に記載
の方法では、アルコール中で硫酸ヒドロキシルアンモニ
ウムとアンモニアとの反応から、析出する硫酸アンモニ
ウムを取り除いて、フリーヒドロキシルアミンのアルコ
ール溶液を得ている。このアルコール溶液は、引き続き
硫酸以外の酸と混合されて、硫酸ヒドロキシルアンモニ
ウム以外のヒドロキシルアンモニウム塩を合成するため
に用いられている。
【0007】また、ドイツ国特許公開第1247282
号公報やドイツ国特許公開第3601803号公報(日
本国特開昭62−171905号公報、米国特許第47
78669号明細書)には、アルコール中で硫酸ヒドロ
キシルアンモニウムとアンモニアとを反応させ、析出す
る硫酸アンモニウムを取り除いて、フリーヒドロキシル
アミンのアルコール溶液を得る方法が示されている。
【0008】ドイツ国特許公開第19547758号公
報(米国特許第5837107号明細書)では、硫酸ヒ
ドロキシルアンモニウムとアルカリとをアルコールを含
まない水中で反応させ、析出した塩を取り除いた後、カ
ラムの中段から反応液を供給し、上段から塩を含まない
ヒドロキシルアミン水溶液と下段から塩を含む水溶液と
に分離している。
【0009】ところで、硫酸ヒドロキシルアンモニウム
とアンモニアとの反応によりフリーヒドロキシルアミン
を得る方法に於いて、従来の発明では、反応によって生
じるフリーヒドロキシルアミンと硫酸アンモニウムとを
分離することを主な問題点としてきたが、分離された方
の硫酸アンモニウムの行方については触れていない。
【0010】特に、反応に用いられる硫酸ヒドロキシル
アンモニウムがラシッヒ法から得られたものである場
合、最近では亜硝酸アンモニウムを原料とするのではな
く亜硝酸ナトリウム水溶液を外部から購入し、原料とす
る場合が多い。この場合、反応後の硫酸塩には、硫酸ア
ンモニウムだけでなく原料に含まれていた硫酸ナトリウ
ムまでも含まれている。硫酸塩がこれらの混合物の場合
には、硫酸アンモニウムと硫酸ナトリウムとを分離する
ことは非常に困難であり、またそのまま有価物として使
用するには不適切である。これら硫酸塩を溶解し、排水
として廃棄する場合には、硫酸アンモニウムは窒素原子
を含むために環境問題につながる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、硫酸ヒ
ドロキシルアンモニウムをアンモニアで処理すると、硫
酸アンモニウムを含む硫酸塩が多量に生じる。従来、該
硫酸塩を予め分離除去し、この後に続くフリーヒドロキ
シルアミンを得るための操作を簡単にすることが行なわ
れてきた。そして、分離された硫酸塩中の硫酸アンモニ
ウムは、これを排水として廃棄する場合、窒素原子を含
むために環境を考慮した何らかの処理を必要とする。
【0012】本発明の目的は、このようにして分離され
た該硫酸塩にアルカリを反応させることにより、アンモ
ニアと窒素原子を含まない硫酸塩に変換し、そこから高
価なアンモニアを回収し、これを反応系にリサイクルし
て有効利用するフリーヒドロキシルアミン水溶液の製造
方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、反応後の硫酸塩が分
離困難な硫酸アンモニウムと硫酸ナトリウムとの混合物
からなる場合に特に有効利用することができるフリーヒ
ドロキシルアミン水溶液の製造方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するものであって、本発明のフリーヒドロキシルアミ
ン水溶液の製造方法は、硫酸ヒドロキシルアンモニウム
を含む水溶液またはスラリーとアンモニアを主とするガ
スとを反応後、生成した水溶液またはスラリーに低級ア
ルコールを主とした液を混合し、析出する硫酸アンモニ
ウムを含む硫酸塩を分離してフリーヒドロキシルアミン
水溶液を得る方法であって、分離された該硫酸塩とアル
カリとを混合して水分を含んだガス状のアンモニアを発
生させ、該アンモニアを上記反応系にリサイクルするフ
リーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法である。
【0015】本発明は、さらに次の有効な実施態様を有
している。 (a) 硫酸ヒドロキシルアンモニウムを含む水溶液または
スラリーとして、ラシッヒ法で得られた硫酸ナトリウム
を含む硫酸ヒドロキシルアンモニウムの一部または全部
を用いること。 (b) アルカリが、水酸化ナトリウムまたは酸化カルシウ
ムおよび/または 水酸化 カルシウムであること。 (c) 水酸化ナトリウムとして、水酸化ナトリウム水溶液
を用いること。 (d) 酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウムと
して、水酸化カルシウムスラリーを用いること。 (e) 硫酸アンモニウムを含む硫酸塩を水溶液とした後に
アルカリと混合すること。(f) アンモニア反応時に析出
した硫酸アンモニウムを含む硫酸塩を分離除去した
反応液に、低級アルコールを主とした液を混合するこ
と。 (g) 分離して得られた硫酸塩とアルカリとを混合し、発
生したアンモニアを回収し反応系のリサイクルするこ
と。 (h) アンモニア反応時に析出した硫酸アンモニウムを含
む硫酸塩を分離除去した反応液に、粉末硫酸ヒドロキシ
ルアンモニウムを添加後に、再度アンモニアを反応させ
ること。 (i) 上記(h)の操作を複数回繰り返し行なうこと。 (j) 上記(f)〜(i)で得られた反応液と低級アルコー
ルを主とした液を混合すること。 (k) 低級アルコールがメタノールであること。 (l) 硫酸ヒドロキシルアンモニウムとアンモニアとの反
応をヒドロキシルアミンの安定剤存在下で行なうこと。 (m) 硫酸塩とアルカリとの混合を、常温以上の温度で行
なうこと。 (n) 硫酸塩とアルカリとを混合した液に、窒素ガスまた
は空気を液に吹き込み、反応により発生したアンモニア
を脱気すること。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明では、まず、硫酸ヒドロキ
シルアンモニウムとアンモニアとを反応させる。硫酸ヒ
ドロキシルアンモニウムとアンモニアとの反応で生じる
硫酸アンモニウムは、必要量のメタノール等の低級アル
コールを反応系中に混合することでその大部分を析出さ
せ、固体状硫酸アンモニウムとして分離することができ
る。
【0017】スラリーとして得られた硫酸アンモニウム
を工業的に価値あるものにするためには、固液分離後の
硫酸アンモニウムを乾燥する手間が必要であり、工業的
に有利な方法とは言えない。また、硫酸アンモニウムス
ラリーをそのまま廃棄する場合、排水中の窒素分が環境
上非常に問題である。本発明は、副生物としてやっかい
な硫酸アンモニウムから価値あるアンモニアを発生さ
せ、これを回収し、反応系へリサイクルする方法を示し
たものである。アンモニア発生に際して副生した硫酸
塩、例えば、硫酸ナトリウムは、窒素分を含まないため
そのまま排水とすることも可能であり、また水溶液のま
ま工業的に使用することも可能である。
【0018】また通常、副生成物から有価物を回収しリ
サイクルする場合、回収有価物を全量リサイクル使用す
ると、品質および工業的操作および不純物の系内への蓄
積等、問題が生じるものである。ところが驚くべきこと
に、本発明者らは、回収されたアンモニアをほぼ全量リ
サイクルしても、反応がスムーズに進行するとともに、
高純度のフリーヒドロキシルアミンが得られることを見
いだした。アンモニアのリサイクルは、省資源の観点か
らも望ましく、本発明によりプロセスの経済性が飛躍的
に向上した。
【0019】かかる本発明のフリーヒドロキシルアミン
水溶液の製造法の基本工程は、次の(1)〜(5)の工程から
なるものである。また、図1は、本発明のフリーヒドロ
キシルアミン水溶液の製造法における、操作の概要を説
明するためのモデル図であり、図中の番号(1)〜(5)は、
それぞれ次の工程の番号(1)〜(5)に該当している。 (1) 硫酸ヒドロキシルアンモニウムを含む水溶液または
スラリーとアンモニアを主とするガスとを反応させる。 (2) 得られた反応液に低級アルコールを主とした液を混
合して硫酸アンモニウムを含 む固体状硫酸塩を析出
させる。 (3) 析出した硫酸アンモニウムを含む固体状硫酸塩を分
離する。 (4) 該固体状硫酸塩とアルカリとを混合し、水分を含ん
だガス状のアンモニアと硫酸アンモニウムをほとんど含
まない硫酸塩とを生じさせる。 (5) 発生させたアンモニアを回収し、硫酸ヒドロキシル
アンモニウムとの反応系にリサイクルする。
【0020】本発明は、フリーヒドロキシルアミン水溶
液の合成プロセスに関するものであるが、効率よく且つ
安全に合成するために以下に述べるような条件で行なう
ことが好ましい。
【0021】本発明で用いられる硫酸ヒドロキシルアン
モニウム水溶液またはスラリーは、例えば、ラシッヒ法
により得られたものが好適であるが、その一部が粉末硫
酸ヒドロキシルアンモニウムを水に溶解したものであっ
てもよい。また、全てが粉末硫酸ヒドロキシルアンモニ
ウムを水に溶解したものであっても良い。
【0022】 また、これらに一部低級アルコールを混合
していてもよく、フリーヒドロキシルアミン、または硫
酸ナトリウムや硫酸アンモニウムのような無機物を一部
含有していてもよい。
【0023】ここでいうラシッヒ法とは、以下の反応に
よって硫酸ヒドロキシルアンモニウムを合成する方法で
ある。硫黄を燃焼して亜硫酸ガスを発生させ、亜硝酸ナ
トリウムを水酸化ナトリウム共存下該亜硫酸ガスと反応
させてヒドロキシルアミンジスルホン酸ナトリウムを生
じさせた後、これを加水分解すると、硫酸ヒドロキシル
アンモニウムと硫酸ナトリウムが得られる。この方法で
得られた2種類の硫酸塩は、水に対する溶解度の差で分
離されることが多く、精製された硫酸ヒドロキシルアン
モニウムであっても往々にして(精製時の水温における
溶解度分の)硫酸ナトリウムが含まれていることがあ
る。
【0024】本発明における硫酸ヒドロキシルアンモニ
ウムとアンモニアとの反応は、発熱を伴うので、安全・
防災のために温度管理が重要である。具体的には、硫酸
ヒドロキシルアンモニウムとアンモニアとの水中におけ
る反応温度は60℃以下、より好ましくは40℃以下が
適切である。実用的に好ましい温度範囲は、20〜40
℃程度である。
【0025】また、発生するフリーヒドロキシルアミン
の分解を防ぐために、硫酸ヒドロキシルアンモニウム水
溶液またはスラリーに、予めヒドロキシルアミンの安定
剤を添加しておくことが望ましい。
【0026】ヒドロキシルアミンの安定剤としては、8
−アミノキノリン、8−ヒドロキシキノリンが挙げられ
るが、特に8−アミノキノリンが好ましく用いられる。
また、安定剤の添加量は、フリーヒドロキシルアミンに
対して50ppm以下で効果があり、好ましくは5〜2
0ppmの範囲で用いられる。
【0027】硫酸塩析出のために混合される低級アルコ
ールを主とした液は、アンモニア反応時に硫酸アンモニ
ウムを主とする硫酸塩が析出している場合に於いて、こ
れを分離除去した後の水溶液に混合することが好ましい
が、分離しないままのスラリーに混合してもよい。
【0028】また、ここで用いられる低級アルコールと
しては、炭素数1〜3の脂肪族アルコールが好ましく、
特にメタノールが好適である。
【0029】本発明においては、硫酸ヒドロキシルアン
モニウムとアンモニアとを水溶液中で効率よく反応させ
た後、この反応系に低級アルコールを混合することで生
じる、多量の硫酸アンモニウムを含む硫酸塩の一部を、
固体状の硫酸塩として析出させ、これを分離除去するこ
とができる。
【0030】また、本発明においては、上記のように硫
酸塩を分離除去して得られた水溶液に、粉末硫酸ヒドロ
キシルアンモニウムを添加後に、再度アンモニアを反応
させて、ここで析出する硫酸塩を再度分離除去した後、
低級アルコールを主とした液を混合して、水溶液中のフ
リーヒドロキシルアミン濃度を上げることができる。こ
のような操作は1回でもよいが、複数回、例えば、2〜
4回繰り返し行なうことができる。
【0031】本発明では、このようにして、析出した硫
酸塩の分離除去および粉末硫酸ヒドロキシルアンモニウ
ム添加後のアンモニアとの反応という操作を繰り返し
て、系中のフリーヒドロキシルアミン濃度を更に高めた
後、低級アルコールを混合して効率を上げることができ
る。
【0032】硫酸アンモニウムを含む硫酸塩と反応させ
るアルカリは、この反応によって生じる新たな硫酸塩が
有効活用できるものならば何でもよいが、アンモニアよ
り安価な水酸化ナトリウムあるいは酸化カルシウム お
よび/または 水酸化カルシウムなどが好ましい。
【0033】アルカリとして、水酸化ナトリウムを用い
る利点は、ラシッヒ法によって得られた硫酸ヒドロキシ
ルアンモニウムに、硫酸ナトリウムが含まれている場合
に発揮される。硫酸アンモニウムと硫酸ナトリウムの混
合物は、工業的に利用することが困難であり、水酸化ナ
トリウムを混合してアンモニアを発生させ、塩のすべて
を硫酸ナトリウムの塩とすることが好ましい。更に、ア
ルカリが水酸化ナトリウムの場合、生じる硫酸ナトリウ
ムの水に対する溶解度が比較的高く、析出しにくいの
で、連続操作が容易となる。これらの硫酸塩、特に硫酸
ナトリウムは33%水溶液として一般に使用されている
が、硫酸ナトリウム水溶液の濃度は何%であってもよ
い。また、必要に応じて溶液から再結晶などによって精
製し、固体製品とすることもできる。
【0034】また、アルカリとして酸化カルシウムおよ
び/または 水酸化カルシウムを用いる場合は、石膏が
副生するので、これをセメント工業等で有効利用するこ
とができる。
【0035】硫酸塩とアルカリとの反応は発熱を伴うの
で、より穏和な条件で行なうためには、アルカリを水溶
液またはスラリーとして使用することが望ましい。アル
カリは、アンモニアを遊離するために、反応によって生
じると推測される硫酸塩に対して当量以上が必要であ
る。
【0036】反応によって生じる水分を含んだアンモニ
アガスを、効率よく発生させて脱気回収するための好ま
しい方法の一つは、窒素ガスまたは空気を反応系に吹き
込むことである。
【0037】本発明において、硫酸アンモニウムを含む
硫酸塩とアルカリとを反応させる場合、硫酸塩はいった
ん水溶液としてアルカリと反応させた方が、反応がスム
ーズに進み、アンモニアを効率よく発生させることがで
きる。また、硫酸塩とアルカリとの反応は常温でも進行
するが、反応を速やかに進行させ、発生したアンモニア
を効率よく水溶液から放出させるには、常温以上の条件
で行なうことが好ましい。特に好ましい条件は、該水溶
液の沸点で行なうことが好ましい。
【0038】本発明の製造方法で最終的に得られるフリ
ーヒドロキシルアミン水溶液においては、溶液中の不純
物が、Fe含有量は1ppmであり、SO4 2-含有量は
50ppm以下と少なく、高品質である。また、製品の
蒸留留出速度の速度を抑えるなどの工夫をすることによ
り、Fe含有量を10ppm以下とすることが可能であ
り、これらの製品は、電子工学用材料として好適に使用
される。特に、半導体またはLCDにおけるレジスト剥
離液の1成分として、本発明により得られた高純度で、
低Fe含有量の製品を使用することは、特別の意味があ
る。すなわち、電子工学用材料業界では、金属含有量の
少ない高純度のフリーヒドロキシルアミン水溶液の供給
が長い間望まれていたが、本発明の方法によりこれが工
業的に安価に供給されるようになった。
【0039】
【実施例】(実施例1)気体吹き込み口、温度計、pH
計及び撹拌器を備えた2L容の四つ口フラスコに、硫酸
ヒドロキシルアンモニウム234.5gと硫酸ナトリウ
ム58.5g及び水234.5gからなる硫酸ヒドロキ
シルアンモニウム水溶液を仕込み、次いで、キレート生
成安定剤として8−ヒドロキシキノリンを硫酸ヒドロキ
シルアンモニウム1モルに対し約0.0006モル量添
加した。撹拌下、20乃至25℃において気体状アンモ
ニアをpH9.2になるまで給送後、粉末硫酸ヒドロキ
シルアンモニウム234.5gを投入し、再び20乃至
25℃において気体状アンモニアをpH9.2になるま
で給送した。析出した固体状硫酸塩でスラリー化した反
応混合物に、メタノール545gを20乃至25℃にお
いて1.5時間かけて滴下し、大部分の硫酸塩を析出さ
せた後、スラリーを濾過し、分離されたケークを200
gのメタノールで濾過洗浄した。洗浄液と併せた濾液
は、184.6gの遊離ヒドロキシルアミンを含有して
いた。一方、洗浄後のケーク446gには、0.4gの
遊離ヒドロキシルアミンが付着していたので、原料とし
て使用された189.8gのヒドロキシルアミン分に対
し合計して、185.0gの遊離ヒドロキシルアミンが
生成したことになる。上記の遊離化反応フラスコに、上
記と同様の組成からなる硫酸ヒドロキシルアンモニウム
水溶液と8−ヒドロキシキノリンを、上記と同一量仕込
み撹拌下、待機した。別に、還流冷却器、温度計、滴下
ロートおよび撹拌器を備えた2L容の四つ口フラスコ
に、上記の分離硫酸塩ケーク全量と水447gを仕込
み、撹拌下、70℃まで昇温した。続いて硫酸塩ケーク
中の硫酸アンモニウム分に対し、2.2倍モル量に相当
する48%水酸化ナトリウム水溶液501gを、70乃
至80℃を維持しながら滴下ロートで滴下した。硫酸ア
ンモニウムの分解により生成する気体状アンモニアを、
還流冷却器の頂部を経由し、前記硫酸ヒドロキシルアン
モニウム水溶液を仕込んである遊離化反応フラスコの気
体吹き込み口から、20乃至25℃においてpH9.2
になるまで給送した。所定のpHに達した時点で、水酸
化ナトリウム水溶液の滴下を一旦中断し、遊離化反応フ
ラスコ側に粉末硫酸ヒドロキシルアンモニウム234.
5gを投入後、水酸化ナトリウム水溶液の滴下を再開し
生成する気体状アンモニアを給送した。水酸化ナトリウ
ム水溶液の全量を滴下後、滴下ロートから気体吹き込み
口に切り替え70乃至80℃を維持しながら窒素ガスを
30ml/分流量で30分間液中に吹き込み残存する気
体状アンモニアを遊離化反応に給送した。この時点での
遊離化反応液のpHは7.8であったので、新品の気体
状アンモニアをpH9.2になるまで給送し反応を終結
した。原料として使用された硫酸ヒドロキシルアンモニ
ウムの遊離化に必要なアンモニア量に対し、分離硫酸塩
中の硫酸アンモニウムのアルカリ分解により回収したア
ンモニアが使用された割合は、96.5%あった。反応
混合物に、メタノール545gを20乃至25℃におい
て1.5時間かけて滴下した。途中、溶解していた硫酸
塩が析出してきたが、撹拌性状は新品の気体状アンモニ
アのみで遊離化した場合と同様に特に悪化することな
く、メタノールの滴下は終了した。次いで、スラリーを
濾過し、分離されたケークをメタノール200gで濾過
洗浄した。洗浄液と併せた濾液は、183.8gの遊離
ヒドロキシルアミンを含有していた。洗浄後のケークに
は、0.8gの遊離ヒドロキシルアミンが付着していた
ので、合計して184.6gの遊離ヒドロキシルアミン
が生成したことになり、新品の気体状アンモニアのみで
遊離化した場合と同等の反応成績であった。
【0040】本実施例はスラリー操作があるが、つまり
やその他の操作上の問題はなかった。また、得られたフ
リーヒドロキシルアミン水溶液の品質は新品の気体状ア
ンモニアのみを使用した場合と、硫酸アンモニウムから
発生させたアンモニアを使用した場合とで同等のものが
得られた。
【0041】
【発明の効果】フリーヒドロキシルアミンを得る方法と
して一般的となった硫酸ヒドロキシルアンモニウムとア
ンモニアとの反応は、この反応から生じる多量の硫酸ア
ンモニウムを含む硫酸塩の一部を、固体状硫酸塩とし
て、反応系中から分離除去する操作、およびこの硫酸塩
を処理する方法が重要となっている。
【0042】本発明によれば、硫酸ヒドロキシルアンモ
ニウムとアンモニアとを水溶液中で効率よく反応させた
後、この反応系に低級アルコールを混合することで生じ
る塩のほとんどを析出させ、これを分離除去することが
可能になる。これにより後に続くフリーヒドロキシルア
ミンを得るための操作が簡単になり、製品のフリーヒド
ロキシルアミン水溶液の純度が高まるという利点もあ
る。更に、本発明では分離された硫酸アンモニウムを含
む硫酸塩にアルカリを反応させることにより、アンモニ
アガスと窒素を含まない硫酸塩とを生じさせ、該アンモ
ニアガスは反応へリサイクル、該硫酸塩は場合によって
は製品として有効活用させることができる。
【0043】このようにして本発明では、分離された硫
酸アンモニウムにアルカリを混合して高価なアンモニア
を回収し、これを反応系にリサイクルし、有効利用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のフリーヒドロキシルアミン
水溶液の製造方法における、操作の概要を説明するため
のモデル図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸ヒドロキシルアンモニウムを含む水
    溶液またはスラリーとアンモニアを主とするガスとを反
    応後、生成した水溶液またはスラリー(反応液)に低級
    アルコールを主とした液を混合し、析出する硫酸アンモ
    ニウムを含む硫酸塩を分離してフリーヒドロキシルアミ
    ン水溶液を得る方法において、分離された該硫酸塩とア
    ルカリとを混合して水分を含んだガス状のアンモニアを
    発生させ、該アンモニアを上記反応系にリサイクルする
    ことを特徴とするフリーヒドロキシルアミン水溶液の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 硫酸ヒドロキシルアンモニウムを含む水
    溶液またはスラリーとして、ラシッヒ法で得られた硫酸
    ナトリウムを含む硫酸ヒドロキシルアンモニウムの一部
    または全部を用いる請求項1記載のフリーヒドロキシル
    アミン水溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】 アンモニア反応時に析出した硫酸アンモ
    ニウムを含む硫酸塩を分離除去した反応液に低級アルコ
    ールを主とした液を混合し、一方分離された硫酸塩とア
    ルカリとを混合して発生させたアンモニアを回収後、反
    応系にリサイクルする請求項1または2記載のフリーヒ
    ドロキシルアミン水溶液の製造方法。
  4. 【請求項4】 アンモニア反応時に析出した硫酸アンモ
    ニウムを含む硫酸塩を分離除去した反応液に、粉末硫酸
    ヒドロキシルアンモニウムを添加し、その後に、再度ア
    ンモニアを反応させる請求項1または2記載のフリーヒ
    ドロキシルアミン水溶液の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の操作を複数回繰り返し行なう
    請求項1または2記載のフリーヒドロキシルアミン水溶
    液の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれかで得られた反応
    液と低級アルコールを主とした液とを混合する請求項1
    または2記載のフリーヒドロキシルアミン水溶液の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 硫酸ヒドロキシルアンモニウムとアンモ
    ニアとの反応を、ヒドロキシルアミンの安定剤存在下で
    行なう請求項1〜6のいずれかに記載のフリーヒドロキ
    シルアミン水溶液の製造方法。
JP2000068353A 2000-03-12 2000-03-13 フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法 Expired - Fee Related JP3394980B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000068353A JP3394980B2 (ja) 2000-03-13 2000-03-13 フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法
US09/619,159 US6485700B1 (en) 2000-03-12 2000-07-19 Process for producing free hydroxylamine aqueous solution

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000068353A JP3394980B2 (ja) 2000-03-13 2000-03-13 フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000211905A true JP2000211905A (ja) 2000-08-02
JP3394980B2 JP3394980B2 (ja) 2003-04-07

Family

ID=18587415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000068353A Expired - Fee Related JP3394980B2 (ja) 2000-03-12 2000-03-13 フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6485700B1 (ja)
JP (1) JP3394980B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002012415A (ja) * 2000-06-27 2002-01-15 Toray Fine Chemicals Co Ltd フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法
CN109809376A (zh) * 2019-03-13 2019-05-28 湖北仙粼化工有限公司 一种盐酸羟胺连续化生产系统及其工艺

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7491846B2 (en) 2003-08-13 2009-02-17 Showa Denko K.K. Process for producing hydroxylamine

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2182078A (en) * 1936-09-28 1939-12-05 American Smelting Refining Production of ammonia from ammonium sulphate
DE3601803A1 (de) * 1986-01-22 1987-07-23 Basf Ag Verfahren zur herstellung von waessrigen loesungen von freiem hydroxylamin
US5837107A (en) * 1995-12-20 1998-11-17 Basf Aktiengesellschaft Process for production of aqueous solutions of free hydroxylamine
DE19733681A1 (de) * 1997-08-04 1999-02-11 Basf Ag Verfahren zur Herstellung einer wäßrigen Lösung von freiem Hydroxylamin

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002012415A (ja) * 2000-06-27 2002-01-15 Toray Fine Chemicals Co Ltd フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法
CN109809376A (zh) * 2019-03-13 2019-05-28 湖北仙粼化工有限公司 一种盐酸羟胺连续化生产系统及其工艺
CN109809376B (zh) * 2019-03-13 2022-08-12 湖北仙粼化工有限公司 一种盐酸羟胺连续化生产系统及其工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP3394980B2 (ja) 2003-04-07
US6485700B1 (en) 2002-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4045543A (en) Production of potassium sulfate and hydrogen chloride
JP2002518281A (ja) 硫酸カリウムの製造法
JP3394981B2 (ja) フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法
US3718453A (en) Production of potassium dihydrogen phosphate fertilizers
JP2000211905A (ja) フリーヒドロキシルアミン水溶液の製造方法
TWI535662B (zh) Method for recovering dihydrate gypsum from ammonium sulfate
JPS5939719A (ja) 高純度炭酸リチウムの製造法
JP2002047258A (ja) N−イソプロピルグリシンの製造方法
US4906778A (en) Process for the production of aminoguanidine bicarbonate
US4435576A (en) Process for the production of 2-amino-4-methyl-benzothiazole
JP2864617B2 (ja) 珪弗化水素酸、珪弗化アンモニウム及び高純度シリカの製造法
JPH05186216A (ja) 硫酸カリウムと塩酸の製造方法
US4666637A (en) Process for producing chlorobenzene sulfochloride
US4042674A (en) Process for treating the mother liquor by cooling in the production of anhydrous sodium dithionite
US3748355A (en) Crystallization process for the recovery of alkaline nitrilotriacetates
EP0008510A1 (en) Preparing o-chloranil by oxidising tetrachlorocatechol
JP6983256B2 (ja) 精製メチオニンの製造方法
JPS636545B2 (ja)
JPH07101931A (ja) 2−アミノエチルスルホン酸の製造法
EP0399780A1 (en) Method for re-use of aqueous co-product from manufacture of sodium dithionite
JPH0664908A (ja) アジ化ナトリウムの連続的製造方法
JP2002068718A (ja) フリーヒドロキシルアミン水溶液の高収率製造法
JPH0648979A (ja) クエン酸の精製方法
JPS629522B2 (ja)
JPH09124619A (ja) 5・アセトアミド・1h・テトラゾ−ルの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees