JP2000202941A - 透明導電性薄膜積層体 - Google Patents

透明導電性薄膜積層体

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JP2000202941A JP11005105A JP510599A JP2000202941A JP 2000202941 A JP2000202941 A JP 2000202941A JP 11005105 A JP11005105 A JP 11005105A JP 510599 A JP510599 A JP 510599A JP 2000202941 A JP2000202941 A JP 2000202941A
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文晴 山▲崎▼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】銀原子の凝集が発生しない透明導電性薄膜積層
体を提供する。 【解決手段】透明導電性薄膜積層体最表面の透明高屈折
率薄膜層上またはその透明高屈折率薄膜層と金属薄膜層
との間に金属層(c)を形成する。この金属層(c)は
元素周期表4族から12族のうち、銀以外の、少なくと
もひとつの金属から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性に優れた透
明導電性薄膜積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】透明導電性薄膜は、透明であるにもかか
わらず導電性を有する薄膜であり、その代表例は、イン
ジウムとスズとの酸化物(ITO)からなる薄膜であ
る。その用途は幅広い。主な用途は、表示パネルの透明
電極用や電磁波遮断用である。表示パネルの透明電極用
途としては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロ
ルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディス
プレイパネル(PDP)等に現在、広く用いられてい
る。
【0003】最近、表示パネルの大型化及び小型携帯化
ニーズが非常に高まっている。これを実現するために
は、表示素子の低消費電力化が必要である。この目的の
ためには、可視光線透過率を維持しつつ、抵抗値が低い
透明導電性薄膜の開発が有効である。特に最近開発され
つつある、有機エレクトロルミネッセンス素子に関して
は、自発光タイプであり、小型携帯端末向けに主に開発
されたいるため、透明導電性薄膜の低抵抗化への期待は
大きい。また、現在、市場に広まりつつあるプラズマデ
ィスプレイパネル(PDP)や次世代のディスプレイと
して開発されつつあるフィールドエミッションディスプ
レイ(FED)に関しても、それらが高消費電力な構造
であるため、低抵抗透明導電性薄膜開発に対する期待は
大きい。
【0004】電磁波遮断は、重要な課題である。電磁波
は、計器に障害を及ぼすことが知られており、最近で
は、電磁波が人体にも障害を及ぼす可能性もあるとの報
告もされている。このため、電磁波放出に関しては、法
的に規制される方向になっている。例えば、現在日本で
は、VCCI(Voluntary ControlC
ouncil for Interference b
y data processing equipme
nt electronic officemachi
ne)による規制があり、米国では、FCC(Fede
ral Communication Commiss
ion)による製品規制がある。
【0005】電磁波遮断用途としては、テレビやコンピ
ューター用CRTモニター向けの電磁波遮断フィルター
として広く用いられている。プラズマディスプレイパネ
ル(PDP)は、その発光原理上強度の電磁波を表示部
分から外部に放出する。強度の電磁波を遮断するために
は、低抵抗であり透明な電磁波遮断フィルターが必要で
ある。
【0006】低抵抗透明導電性薄膜の開発にあたって
は、金属薄膜層、特に純物質中で最も比抵抗が小さい銀
を用いた金属薄膜層の利用が有効である。さらに透過率
上昇及び金属薄膜層の安定性向上の目的で、金属薄膜層
を透明高屈折率薄膜層で挟み込み透明導電性薄膜積層体
を形成することが非常に効果的である。この透明導電性
薄膜積層体は、各薄膜層の材料や膜厚を選ぶことによっ
て、用途に応じて最適な光学特性及び電気特性を持つよ
うに設計することができる。
【0007】金属薄膜層材料としてその比抵抗の低さ故
に好適に用いられる銀は、反面原子の凝集を生じやすい
という面を持つ。銀薄膜中の銀原子が凝集すると銀白色
の点を生じ、本来持つ高透明性や、低抵抗性を失ってし
まう。銀薄膜中の銀原子の凝集は、塩化物イオンの存在
下において発生し易い。大気中に塩化物イオンは、少量
存在する。人体からや海水からの塩化ナトリウムの放出
等が主な原因として挙げられる。
【0008】透明導電性薄膜積層体において、銀薄膜層
に塩化物イオンが到達するのを防止するためにITO等
の透明高屈折率薄膜層で保護されているが、光学設計
上、高透過性を維持するためには、厚さを数nmにせざ
る得ず、防止能が不十分である場合が多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の透明導電性薄膜
積層体は、塩化物イオンの影響を受けて銀薄膜層におい
て銀原子の凝集を生じた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、透明導電性
薄膜積層体最表面の透明高屈折率薄膜層上またはその透
明高屈折率薄膜層と金属薄膜層との間に、金属付着位置
を形成することにより、銀または銀を含む合金薄膜層の
銀原子凝集を防止することができることを見いだし、本
発明に至った。
【0011】すなわち本発明は、(1)透明基体(A)
の少なくとも一方の主面上に、透明高屈折率薄膜層
(a)と、銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層
(b)とおよび、元素周期表の4族から12族のうち、
銀以外の、少なくとも一つの金属が含まれている金属層
(c)とが、A/b/a/c、A/b/c/a、A/a
/b/a/c、A/a/b/c/a、A/b/a/b/
a/c、A/b/a/b/c/a、A/a/b/a/b
/a/c、A/a/b/a/b/c/a、A/b/a/
b/a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/c/
a、A/a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b
/a/b/a/b/c/a、A/b/a/b/a/b/
a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/a/b/c
/a、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/c、
A/a/b/a/b/a/b/a/b/c/a、A/a
/b/a/b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/
a/b/a/b/a/b/a/b/a/b/c/aのい
ずれかに構成されていることを特徴とする透明導電性薄
膜積層体、(2)金属層(c)に、元素周期表の4族か
ら7族の金属または銅、パラジウム、プラチナ、金から
選ばれた少なくとも一つの金属が含まれている、(1)
に記載の透明導電性薄膜積層体、(3)金属層(c)
に、元素周期表の4族から7族の金属が含まれている、
(1)または(2)に記載の透明導電性薄膜積層体、
(4)金属層(c)における主たる金属の元素組成が、
3.0%(原子数割合)以上、99.9%(原子数割
合)以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の透明
導電性薄膜積層体、(5)透明高屈折率薄膜層(a)
が、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛の中の少なく
ともいずれか一つからなる、(1)から(4)のいずれ
かに記載の透明導電性薄膜積層体に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における透明導電性薄膜積
層体は、透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に、
透明高屈折率透明薄膜層(a)と、銀または銀を含む合
金からなる金属薄膜層(b)とおよび、金属層(c)と
を、A/b/a/c、A/b/c/a、A/a/b/a
/c、A/a/b/c/a、A/b/a/b/a/c、
A/b/a/b/c/a、A/a/b/a/b/a/
c、A/a/b/a/b/c/a、A/b/a/b/a
/b/a/c、A/b/a/b/a/b/c/a、A/
a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b
/a/b/c/a、A/b/a/b/a/b/a/b/
a/c、A/b/a/b/a/b/a/b/c/a、A
/a/b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/
b/a/b/a/b/a/b/c/aのいずれかの構成
で積層されていることを特徴とするものであり、塩化物
イオンにより銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層
(b)が、銀原子の凝集を生じることがない。
【0013】本発明を添付図面でもって説明する。図1
〜4は、本発明における透明導電性薄膜積層体の一例を
示す断面図である。図1においては、透明基体(A)1
0上に透明高屈折率透明薄膜層(a)20、金属薄膜層
(b)30、金属付着位置(c)40を積層構造A/a
/b/a/cとした透明導電性薄膜積層体が挙げられて
いる。また、その他の構造は、A/a/b/a/b/a
/c(図2)、A/a/b/a/b/a/b/a/c
(図3)、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/
c(図4)等である。
【0014】本発明に用いられる透明基体としては、主
にフィルム状態及び板の状態のものが使用され、透明性
に優れ、用途に応じた十分な機械的強度を持つものであ
ることが好ましい。ここで、透明性に優れるとは、使用
される状態での厚さにおいて、視感透過率が、40%以
上であることを指す。また、透明基体の主面と反対面に
は、反射防止層や防幻層が形成されていても構わない。
【0015】透明基体用フィルムとしては、高分子フィ
ルムが好適に用いられる。具体的に例示すると、ポリイ
ミド、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルフ
ォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリ
カーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチル
セルロース(TAC)等が挙げられる。中でもポリエチ
レンテレフタレート(PET)及びトリアセチルセルロ
ース(TAC)は特に好適に用いられる。透明基体用フ
ィルムの厚さに特に制限はない。通常は、20〜500
μm程度である。
【0016】板状の透明基体としては、高分子成形体及
びガラス等が挙げられる。透明高分子成形体は、ガラス
に比較して、軽い、割れにくい等の理由でより好適に用
いられる。好ましい材料を例示すれば、ポリメタクリル
酸メチル(PMMA)を始めとするアクリル樹脂、ポリ
カーボネイト樹脂等が挙げられるが、これらの樹脂に特
定されるわけではない。中でもPMMAは、その広い波
長領域での高透明性と機械的強度の高さから好適に使用
することができる。また、透明高分子成形体には、表面
の硬度または密着性を増す等の理由でハードコート層が
設けられることが多い。
【0017】ガラスは、熱及び湿気による形状変化が少
ないため、微妙な精度を必要とする光学用途に対して好
適に用いられる。機械的強度を持たせるために、化学強
化加工または風冷強化加工を行い、半強化ガラスまたは
強化ガラスにして通常もちいられる。板状透明基体の厚
さに特に制限はなく、十分な機械的強度と、たわまずに
平面性を維持する剛性が得られれば良い。通常は、0.
5〜10mm程度である。
【0018】本発明における透明導電性薄膜層は、透明
高屈折率薄膜層と金属薄膜層とを十分な透過率及び表面
抵抗値が得られる膜厚組み合わせで透明基体上に積層し
て得られる。透明導電性薄膜層の好ましい透過率は、4
0%以上、99%以下、より好ましくは、50%以上、
99%以下、さらに好ましくは、60%以上、99%以
下である。また、好ましい表面抵抗値は、0.2(Ω/
□)以上、100(Ω/□)以下、好ましくは、0.2
(Ω/□)以上、10(Ω/□)以下、さらに好ましく
は、0.2(Ω/□)以上、3(Ω/□)以下、さらに
より好ましくは、0.2(Ω/□)以上、0.5(Ω/
□)以下である。
【0019】透明高屈折率薄膜層(a)に用いられる材
料としては、できるだけ透明性に優れたものであること
が好ましい。ここで透明性に優れるとは、膜厚100n
m程度の薄膜を形成したときに、その薄膜の視感透過率
が60%以上であることを指す。また、高屈折率材料と
は、550nmの光に対する屈折率が、1.4以上の材
料である。これらには、用途に応じて不純物を混入させ
ても良い。
【0020】透明高屈折率薄膜層用に好適に用いること
ができる材料例示すると、インジウムとスズとの酸化物
(ITO)、カドミウムとスズとの酸化物(CTO)、
酸化アルミニウム(Al2 3 )、酸化亜鉛(Zn
2 )、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸
化マグネシウム(MgO)、酸化トリウム(Th
2 )、酸化スズ(SnO2 )、酸化ランタン(LaO
2 )、酸化シリコン(SiO2 )、酸化インジウム(I
2 3 )、酸化ニオブ(Nb2 3 )、酸化アンチモ
ン(Sb2 3 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸
化セシウム(CeO2 )、酸化チタン(TiO2 )、酸
化ビスマス(BiO2 )等である。また、透明高屈折率
硫化物を用いても良い。具体的に例示すると、硫化亜鉛
(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化アンチモ
ン(Sb2 3 )等があげられる。
【0021】透明高屈折率薄膜材料としては、中でも、
ITO、TiO2 、ZnOが特に好ましい。ITO及び
ZnOは、導電性を持つ上に、可視領域における屈折率
が、2.0程度と高く、さらに可視領域にほとんど吸収
を持たない。TiO2 は、絶縁物であり、可視領域にわ
ずかな吸収を持つが、可視光に対する屈折率が2.3程
度と大きい。透明高屈折率薄膜層の厚さに関しては、透
明導電性薄膜層全体の透過性及び電気伝導性を考慮して
決定される。通常は、0.5〜100nm程度である。
【0022】本発明において用いられる、金属薄膜層
(b)の材料としては、できるだけ電気伝導性の良い材
料が好ましく、銀または銀の合金が用いられる。銀は、
比抵抗が、1.59×10-6(Ω・cm)であり、あら
ゆる材料の中で最も電気伝導性に優れる上に、薄膜の可
視光線透過率が優れるため、最も好適に用いられる。但
し、銀は、薄膜とした時に安定性を欠き、硫化や塩素化
を受け易いという問題を持っている。この為、安定性を
増すために、銀の替わりに銀と金の合金または、銀と銅
の合金または銀とパラジウムの合金または銀と白金の合
金等を用いてもよい。但し、合金を用いた場合は、透過
性及び電気伝導性の低下を招くので、低抵抗かつ光透過
性を必要とする用途に用いるには好ましくない。金属薄
膜層の厚さに関しては、透明導電性薄膜層全体の透過性
及び電気伝導性を考慮して決定される。通常は、0.5
〜100nm程度である。
【0023】本発明における金属層(c)の材料として
は、薄膜状態において、塩化物イオンに対する耐食性に
優れ、かつできるだけ透明なものが好ましい。ここで塩
化物イオンに対する耐食性に優れるとは、後述する塩化
ナトリウム水溶液浸漬試験において、表面抵抗値低下率
が30%以下であることである。また、ここで透明性に
優れるとは、金属付着位置を形成することによる透明導
電性薄膜層の視感透過率の低下率が30%以下であるこ
とである。
【0024】金属付着位置に用いられる材料を例示する
と、周期表の4族から12族の銀以外の金属である。こ
こで4族〜6族の元素、中でもチタン、ジルコニウム、
バナジウム、タンタル、モリブテン、タングステンは、
特に好適に用いられる。
【0025】金属層(c)の厚さに関しては、塩化物イ
オンに対する耐食性及び透明導電性薄膜層全体の透過性
を用途に応じて考慮して決定される。金属層(c)を厚
くすれば塩化物イオンに対する耐食性は、増すが、透過
性が低下する。透過性低下割合に関しては、視感透過率
低下率が、40%以下であることが好ましい。このた
め、金族層(c)の厚さは、材料により異なるが、通常
は、0.2〜20nm程度である。ここで厚さ2nm程度
以下の場合は、数原子層の厚みにしか相当せず、緻密な
薄膜が形成されておらず、島状に原子が付着していると
考えられる。この場合は、金属層(c)の元素組成によ
って、定量的に扱えばよい。
【0026】本発明においては、最表面に金属層(c)
を設けている場合は、最表面における主金属の元素組成
が、3〜99%(原子割合)であれば良い。また、金属
薄膜は、大気中では、最表面は酸化されやすく、通常
は、最表面には、その金属層(c)の酸化物薄膜が自動
的に形成されている場合がほとんどである。この場合
は、金属層(c)が、より安定な状態になっており、塩
化物イオンに対する耐食性が増すのでより効果的であ
る。また、通常、金属酸化物は、酸化されていない状態
に比較して透過性に優れるので、透過性の面でもより効
果的である。もちろんこの金属付着位置を形成する時
に、酸素ガス導入を行ったり、酸化物部材を使用したり
して、意図的に酸化物金属層(c)を形成しても構わな
い。
【0027】透明高屈折率薄膜層、金属薄膜層及び金属
層(c)の形成には、真空蒸着法、イオンプレーティン
グ法、スパッタリング法等の従来公知の手法によればよ
い。透明高屈折率薄膜層の形成には、イオンプレーディ
ング法または反応性スパッタリング法が好適に用いられ
る。イオンプレーティング法では、反応ガスプラズマ中
で所望の金属または焼結体を抵抗加熱したり、電子ビー
ムにより加熱したりすることにより真空蒸着を行う。反
応性スパッタリング法では、ターゲットに所望の金属ま
たは焼結体を使用し、スパッタリングガスにアルゴン、
ネオン等の不活性ガスを用い、反応に必要なガスを加え
て、スパッタリングを行う。例えば、ITO薄膜を形成
する場合には、スパッタリングターゲットにインジウム
とスズとの酸化物を用いて、酸素ガス中で直流マグネト
ロンスパッタリングを行う。
【0028】金属薄膜層及び金属層(c)の形成には、
真空蒸着法またはスパッタリング法が、好適に用いられ
る。真空蒸着法では、所望の金属を蒸着源として使用
し、抵抗加熱、電子ビーム加熱等により、加熱蒸着させ
ることで、簡便に金属薄膜を形成することができる。ま
た、スパッタリング法を用いる場合は、ターゲットに所
望の金属材料を用いて、スパッタリングガスにアルゴ
ン、ネオン等の不活性ガスを使用し、直流スパッタリン
グ法や高周波スパッタリング法を用いて金属薄膜を形成
することができる。成膜速度を上昇させるために、直流
マグネトロンスパッタリング法や高周波マグネトロンス
パッタリング法が用いられることも多い。
【0029】上記の方法により作製した、透明導電性薄
膜積層体の薄膜層表面の原子組成は、オージェ電子分光
法(AES)、蛍光X線法(XRF)、X線マイクロア
ナライシス法(XMA)、荷電粒子励起X線分析法(R
BS)、X線光電子分光法(XPS)、真空紫外光電子
分光法(UPS)、赤外吸収分光法(IR)、ラマン分
光法、2次イオン質量分析法(SIMS)、低エネルギ
ーイオン散乱分光法(ISS)等により測定できる。ま
た、膜中の原子組成及び膜厚は、オージェ電子分光法
(AES)や2次イオン質量分析(SIMS)を深さ方
向に実施することによって調べることができる。
【0030】透明導電性薄膜積層体の構成及び各層の状
態は、断面の光学顕微鏡測定、走査型電子顕微鏡(SE
M)測定、透過型電子顕微鏡測定(TEM)を用いて調
べることができる。また、透明導電性薄膜積層体の塩化
物イオンに対する耐食性は、塩化ナトリウム水溶液浸漬
試験によって調べることができる。ここで塩化ナトリウ
ム水溶液浸漬試験とは、塩化ナトリウム水溶液に透明導
電性薄膜を浸し、塩化物イオンによる透明導電性薄膜の
銀または銀合金薄膜層の銀凝集状態を調べる試験であ
る。塩化ナトリウム水溶液に対する透明導電性薄膜の浸
し方に特に制限はない。通常は、塩化ナトリウム水溶液
を入れた容器内に、透明基体ごと沈めることが行われ
る。
【0031】試験に用いられる塩化ナトリウム水溶液の
濃度は、透明導電性薄膜積層体の用途に応じて適当な値
を選択すればよい。透明導電性薄膜は、大気に長時間さ
らしておくと薄膜が凝集または化学変化を生じ、劣化す
る場合が多いので、通常は、大気を遮断した状態で用い
られる。そのため、製造段階において、透明導電性薄膜
が大気に対してむき出しになる短時間の間に透明導電性
薄膜に到達する塩化物イオンの量に匹敵する状態を再現
することができる濃度の塩化ナトリウム水溶液を用いて
試験を実施すれば、実用に耐え得る能力をもっているか
どうか判別することができる。通常は、濃度が0.00
3mol/l水溶液に17時間程度浸すことによって、
判別することができる。
【0032】塩化ナトリウム水溶液浸漬試験による塩化
物イオンに対する耐食性の定量的判断は、透明導電性薄
膜の表面抵抗値上昇率を調べることによって行うことが
できる。表面抵抗値上昇率とは、試験前の表面抵抗値に
対する試験後の表面抵抗値上昇割合である。表面抵抗値
は、通常四端子法を用いて測定される。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 (実施例1)透明基体(A)としてポリエチレンテレフ
タレートフィルム[厚さ75μm]を使用し、その一方
の主面に、直流マグネトロンスパッタリング法を用い
て、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層
(a)、銀薄膜層(b)、チタン層をA/a[厚さ40
nm]/b[厚さ15nm]/a[厚さ80nm]/b
[厚さ20nm]/a[厚さ80nm]/b[厚さ15
nm]/a[厚さ40nm]/b[厚さ15nm]/a
[厚さ40nm]/c[厚さ1nm]なる順に積層し、
透明導電性薄膜積層体フィルムを形成した。インジウム
とスズとの酸化物からなる薄膜層は透明高屈折率薄膜層
を、銀薄膜層は金属薄膜層を、チタン層は金属層(c)
を構成する。インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜
層の形成には、ターゲットとして、酸化インジウム・酸
化スズ焼結体[In2 3 :SnO2 =90:10(重
量比)]、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素混
合ガス(全圧266mPa、酸素分圧5mPa)を用い
た。また、銀薄膜層の形成には、ターゲットとして銀を
用い、スパッタガスにはアルゴンガス(全圧266mP
a)を用いた。チタン層の形成には、ターゲットとして
チタンを用い、スパッタガスにアルゴンガス(全圧26
6mPa)を用いた。
【0034】上記により、作製した透明導電性薄膜積層
体の視感透過率を測定した[日立製作所製分光光度計U
−3400を用い、全光線透過率を測定し、視感透過率
を求めた。]。作製した透明導電性薄膜積層体に塩化ナ
トリウム水溶液浸漬試験を施した。透明導電性薄膜を塩
化ナトリウム水溶液[0.003mol/l]に17時
間浸した。その後、透明導電性薄膜の表面抵抗値を四端
子法により測定した。 (実施例2)チタン層の替わりに、ジルコニウムを用い
てジルコニウム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施
例1と同様に実施した。
【0035】(実施例3)チタン層の替わりに、ハフニ
ウムを用いてハフニウム層[厚さ1nm]を形成した以
外は実施例1と同様に実施した。 (実施例4)チタン層の替わりに、バナジウムを用いて
バナジウム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1
と同様に実施した。
【0036】(実施例5)チタン層の替わりに、ニオブ
を用いてニオブ層[厚さ1nm]を形成した以外は実施
例1と同様に実施した。 (実施例6)チタン層の替わりに、タンタルを用いてタ
ンタル層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同
様に実施した。
【0037】(実施例7)チタン層の替わりに、クロム
を用いてクロム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施
例1と同様に実施した。 (実施例8)チタン層の替わりに、モリブテンを用いて
モリブテン層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1
と同様に実施した。
【0038】(実施例9)チタン層の替わりに、タング
ステンを用いてタングステン層[厚さ1nm]を形成し
た以外は実施例1と同様に実施した。 (実施例10)チタン層の替わりに、マンガンを用いて
マンガン層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と
同様に実施した。
【0039】(実施例11)チタン層の替わりに、パラ
ジウムを用いてパラジウム層[厚さ1nm]を形成した
以外は実施例1と同様に実施した。 (実施例12)チタン層の替わりに、プラチナを用いて
プラチナ層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と
同様に実施した。
【0040】(実施例13)チタン層の替わりに、銅を
用いて銅層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と
同様に実施した。 (実施例14)チタン層の替わりに、金を用いて金層
[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施
した。
【0041】(実施例15)チタン層の替わりに、亜鉛
を用いて亜鉛層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例
1と同様に実施した。 (比較例)チタン層を形成しない点を除いて、実施例1
と同様に実施した。作製した透明導電性薄膜積層体の表
面抵抗値は、1.1(Ω/□)、視感透過率は、60%
であった。以上の結果を表1に示した。
【0042】
【表1】 表1から分かるように、全ての実施例で、視感透過率の
大幅な低下なしに、透明導電性薄膜積層体の塩化物イオ
ンに対する耐食性が、金属層(c)の形成によって向上
していることが分かる。
【0043】
【発明の効果】本発明は、銀または銀を含む合金薄膜層
を構成層に持つ、透明導電性薄膜積層体の最表面の透明
高屈折率透明薄膜層上またはその透明高屈折率透明薄膜
層と金属薄膜層の間に金属層(c)を形成することによ
って、透過性の大幅な低下なしに、透明導電性薄膜積層
体の塩化物イオンに対する耐食性を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図であ
る。
【図2】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図であ
る。
【図3】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図であ
る。
【図4】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10 透明基体(A) 20 透明高屈折率薄膜層(a) 30 金属薄膜層(b) 40 金属層(c)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA17B AA25B AA28B AA33 AB01D AB12 AB17D AB24C AB24D AB25D AB31C AK42 BA04 BA05 BA10A BA10B BA10C BA10D BA13 EH66 GB41 JB02 JG01 JM02B JM02C JN01A JN01B JN18B YY00D 5G307 FA01 FA02 FB02 FC09 FC10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基体(A)の少なくとも一方の主面上
    に、透明高屈折率薄膜層(a)と、銀または銀を含む合
    金からなる金属薄膜層(b)とおよび、元素周期表の4
    族から12族のうち、銀以外の、少なくとも一つの金属
    が含まれている金属層(c)とが、A/b/a/c、A
    /b/c/a、A/a/b/a/c、A/a/b/c/
    a、A/b/a/b/a/c、A/b/a/b/c/
    a、A/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b
    /c/a、A/b/a/b/a/b/a/c、A/b/
    a/b/a/b/c/a、A/a/b/a/b/a/b
    /a/c、A/a/b/a/b/a/b/c/a、A/
    b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/b/a/b
    /a/b/a/b/c/a、A/a/b/a/b/a/
    b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a
    /b/c/a、A/a/b/a/b/a/b/a/b/
    a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/b
    /a/b/c/aのいずれかに配置されていることを特
    徴とする透明導電性薄膜積層体。
  2. 【請求項2】金属層(c)に、元素周期表の4族から7
    族の金属または銅、パラジウム、プラチナ、金から選ば
    れた少なくとも一つの金属が含まれている、請求項1に
    記載の透明導電性薄膜積層体。
  3. 【請求項3】金属層(c)に、元素周期表の4族から7
    族の金属が含まれている、請求項1または2のいずれか
    に記載の透明導電性薄膜積層体。
  4. 【請求項4】金属層(c)における主たる金属の元素組
    成が、3.0%(原子数割合)以上、99.9%(原子
    数割合)以下である請求項1〜3のいずれかに記載の透
    明導電性薄膜積層体。
  5. 【請求項5】透明高屈折率薄膜層(a)が、酸化インジ
    ウム、酸化スズ、酸化亜鉛の中の少なくともいずれか一
    つからなる、請求項1から4のいずれかに記載の透明導
    電性薄膜積層体。
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