JP2000192996A - 磁気吸引式連結装置 - Google Patents

磁気吸引式連結装置

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JP2000192996A
JP2000192996A JP10368971A JP36897198A JP2000192996A JP 2000192996 A JP2000192996 A JP 2000192996A JP 10368971 A JP10368971 A JP 10368971A JP 36897198 A JP36897198 A JP 36897198A JP 2000192996 A JP2000192996 A JP 2000192996A
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気吸引式連結装置について、部品数の削減・
永久磁石の組付難度の緩和・組立工数の減少・強度保証
・磁気特性の安定性・防塵・節電・温度上昇の防止・コ
ストダウンなどをはかる。 【解決手段】バネ材59を介してアーマチュア57をア
ーマチュアハブ54で支持している被吸引体51と、半
径方向に着磁された永久磁石41を内外周部間に嵌め込
み保持している主吸引体31と、永久磁石41の磁束と
同方向および逆方向の磁束を流すための電磁石25を有
する補助吸引体21との組み合わせからなる。被吸引体
51と補助吸引体21との間に主吸引体31を介在して
これらが同一軸線上に配列されている。永久磁石41の
一側面と電磁石25の吸引面および永久磁石41の他側
面とアーマチュア57の被吸引面とがこれらの間に間隙
を介在して相互に対面している。アーマチュア57を主
吸引体31側から引き離す方向の力をバネ材59がアー
マチュア57に付与している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は「動力の伝達と遮
断」「制動」「機器や部材などの連結」に用いて好適な
磁気吸引式連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】動力を伝達・遮断するための手段として
電磁クラッチが広く用いられている。これは周知のとお
り、同心軸上にある駆動側から被動側へ電磁吸引によっ
て動力を伝達したりこれを遮断したりするためのもので
ある。
【0003】電磁クラッチに関する公知文献(技術文
献)の一つとして米国特許第3263784号明細書が
ある。この文献に開示された電磁クラッチは図3を参照
して以下のようなものである。図3において、ロータ1
はピン2で駆動軸3に固定されている。ロータ1は外周
部1aと内周部1bとを有するものであり、軸方向に着
磁された永久磁石4や非磁性コンパウンド5・6がこれ
らの間に充填されているため内外周部1a・1bが相互
に隔離されている。駆動軸3上には、また、アーマチュ
ア7を備えたアーマチュアハブ8が右端外周部に組み付
けられている。この場合のアーマチュア7はバネ材9で
アーマチュアハブ8に支持されてロータ1の右側(永久
磁石4側)と対面している。さらにコイルヨーク10と
コイル11とからなる電磁石12もロータ1の左側にお
いて駆動軸3の外周部に組み付けられている。かくて組
み立てられた電磁クラッチの場合は、駆動軸3上におい
てアーマチュア7と電磁石12との間にロータ1が介在
している。
【0004】この種の電磁クラッチは実公昭63−11
394号公報にも開示されている。かかる電磁クラッチ
について図4を参照していえば以下のようなものであ
る。図4において、コンプレッサ13の端面からは中空
軸部14やフランジ部15をもつ支持部材16が突出し
ている。コンプレッサ13の軸心部と支持部材16の中
空軸部14とを貫通した駆動軸3上にはロータ1・アー
マチュア7・電磁石12などが配置されていてこれらが
所定の部位に組み付けられている。具体的には支持部材
16のフランジ部15に電磁石12が固定されている。
ロータ1は、これの外周部1a・内周部1b・フランジ
部1cで囲われた環状空間17を有するものであり、二
つの磁性板1d・1eで挟まれた永久磁石4が環状空間
17内に圧着固定されている。このロータ1はベアリン
グ18を介して支持部材16の中空軸部14に回転自在
に装着されている。バネ材9でアーマチュア7を支持し
たアーマチュアハブ8は駆動軸3の端部外周に嵌め込み
固定されている。かくて組み立てられた電磁クラッチの
場合も、駆動軸3上におけるアーマチュア7と電磁石1
2との間にロータ1が介在している。
【0005】図3・図4に示された電磁クラッチにおい
ては、実線や破線の矢印方向に磁束が流れるというもの
である。ちなみに電磁石12のコイル11に電圧を印加
していないときは、永久磁石4の磁束(実線矢印方向)
によって生じる磁気吸引力により、アーマチュア7がバ
ネ材8に抗してロータ1側に吸着される。このときは電
磁クラッチが結合状態になるから、ロータ1から駆動軸
3へ動力が伝達される。これに対し、電圧を電磁石12
のコイル11に印加して上記と逆向きの磁束(破線矢印
方向)を発生させたときは、これによる磁気吸引力とバ
ネ材8の復元力とを合わせた力が永久磁石4の磁気吸引
力を上回るようになるためアーマチュア7がロータ1か
ら離脱する。このときは電磁クラッチが解除状態になる
ので、ロータ1から駆動軸3への動力伝達が遮断され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した各電磁クラッ
チはロータ1を構成している部品数が多く、永久磁石4
をロータ1に組み付けるときの難度も高いため組立工数
が増加する。しかも図3の電磁クラッチにおける外周部
1a・内周部1b・非磁性コンパウンド5・6や図4の
電磁クラッチにみられる磁性板1d・1eが永久磁石4
の固定手段として十分な強度をもたないし、これらによ
って生じた多くの境界部分が磁気抵抗を高くして磁束を
弱めてしまう。上述した各電磁クラッチは、また、ロー
タ1と電磁石12との間とくに半径方向にみた各部材間
に間隙があり、磁束の通る磁気回路がこれらの間隙をも
含んで構成されている。このような構成のものは長期間
にわたる使用中、回転時のロータ1に振れが生じるため
当該間隙を一定に保持することができず、これが磁気特
性を変化させる原因にもなる。それにそのような間隙内
に粉塵が混入するという不具合も生じる。しかも課題は
これらにとどまらない。たとえばクラッチ解除状態を保
持するというとき、電磁石12を常にONの状態にしな
ければならいため電力を多く消費してしまう。また、こ
れによってコイル11が温度上昇するので、温度上昇の
回避が条件に課せられているという場合に電磁クラッチ
の使用が制限される。
【0007】発明の目的:本発明はこのような技術的課
題に鑑み、部品数の削減・永久磁石の組付難度の緩和・
組立工数の減少・強度保証・磁気特性の安定性・防塵・
節電・温度上昇の防止・コストダウンなどをはかること
のできる磁気吸引式連結装置を提供しようとするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
磁気吸引式連結装置は、所期の目的を達成するために下
記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1記載
の磁気吸引式連結装置は、バネ材を介してアーマチュア
をアーマチュアハブで支持している被吸引体と、半径方
向に着磁された永久磁石を内外周部間に嵌め込み保持し
ている主吸引体と、永久磁石の磁束と同方向や逆方向の
磁束を流すための電磁石を備えた補助吸引体との組み合
わせからなること、および、被吸引体と補助吸引体との
間に主吸引体を介在してこれらが同一軸線上に配列され
ているとともに永久磁石の一側面と電磁石の吸引面なら
びに永久磁石の他側面とアーマチュアの被吸引面とがこ
れらの間に間隙を介在して相互に対面していること、お
よび、アーマチュアを主吸引体側から引き離す方向の力
をバネ材がアーマチュアに付与していることを特徴とす
る。
【0009】本発明の請求項2に係る磁気吸引式連結装
置は、請求項1記載のものにおいて、主吸引体が駆動側
の回転体からなり、被吸引体が被動側の回転体からな
り、補助吸引体が固定体からなることを特徴とする。
【0010】本発明の請求項3に係る磁気吸引式連結装
置は、請求項1または2記載のものにおいて、磁性流体
・粘性材・非磁性材のうちから選択された任意の充填材
が永久磁石の片面側および/または両面側にある間隙内
に充填されていることを特徴とする。
【0011】作用:本発明装置における永久磁石の磁気
吸引力とバネ材の弾発力とはこれらの力がほぼ拮抗して
いる。それで電磁石を通電状態にして永久磁石の磁束と
同方向の磁束流を電磁石に発生させたときは、永久磁石
の磁気吸引力と電磁石の磁気吸引力とを合わせた力がバ
ネ材の弾発力を大きく上回るためにアーマチュアがバネ
材に抗して主吸引体側へ吸引保持される。そして永久磁
石がバネ材の復元力を上回る磁気吸引力でアーマチュア
を保持し続ける。したがって該吸引後に電磁石を非通電
状態にしてその磁気吸引力を消去したとしてもアーマチ
ュアは永久磁石から離脱しない。上記吸引状態のアーマ
チュアを永久磁石から引き離すときは、電磁石を再度通
電状態にして永久磁石の磁束と逆方向の磁束流を電磁石
に発生させる。こうしたときは電磁石の磁束と永久磁石
の磁束とが打ち消し合うためにアーマチュアがバネ材の
復元力で永久磁石から離脱する。この離脱状態のとき
は、アーマチュアに対する永久磁石の磁気吸引力がバネ
材の力を上回るほどには及ばない。したがって該離脱後
に電磁石を非通電状態にしてその磁気吸引力を消去した
としてもアーマチュアは永久磁石に吸着されない。ゆえ
に本発明装置によるときは、被吸引体を主吸引体側に吸
引保持するということや被吸引体を主吸引体側から離脱
させるということが電磁石を一時的に通電するだけで行
える。一例として本発明装置が電磁クラッチであり、か
つ、吸引体が駆動系に組み込まれていたりアーマチュア
等を備えた被吸引体が被動系に組み込まれていたりする
という場合には、上記吸引状態のときに駆動側から被動
側へ動力が伝達され、上記離脱状態のときに駆動側から
被動側への動力伝達が遮断される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る磁気吸引式連結装置
の一実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【0013】図1・図2において、21は補助吸引体、
31は主吸引体、51は被吸引体をそれぞれ示す。
【0014】図1に例示された補助吸引体21は支持部
材22・電磁石取付板24・電磁石25などを主要な構
成部材にしている。支持部材22としては機器のボディ
・ハウジング・ケーシングなど任意のものが利用されて
いる。支持部材22の一端面からはこれと一体に形成さ
れた中空軸23が突出している。中空軸23の基端部外
周面には、円形または多角形をなす電磁石取付板24が
周知の固定手段で取り付けられている。電磁石25はコ
イルヨーク26とコイル27とが接着剤28で一体に組
み合わされたもので、後述する永久磁石41の磁束と同
方向や逆方向の磁束を流すことができる。電磁石25の
代表的な形態はリング形である。電磁石25は周知の固
定手段で電磁石取付板24の板面に取り付けられ、その
リード線29が図示しない電源に接続されている。
【0015】図1に例示された主吸引体31の構成部材
は回転部材32や永久磁石41である。回転部材32は
外周部33・内周部34と当該両部33・34にわたる
フランジ部35とを主体にして形成された円形のもので
ある。回転部材32の一側面には外周部33・内周部3
4・フランジ部35で囲われた環状空間36があり、回
転部材32の他側面には環状凹部37が形成されてい
る。回転部材32の外周面には伝動ベルトを掛けるため
の溝38が図示のごとく形成されている。また図2にも
示されているように、回転部材32のフランジ部35に
は円を複数に等分したような円弧形の孔39が形成され
てこれらが周方向に等間隔で分布しており、相互に隣接
する各孔39間にリブ40が介在している。永久磁石4
1はフランジ部35の孔39と対応する大きさや曲率を
有するリング形のもので、これは半径方向に着磁されて
いる。そして主吸引体31の場合は、一個の永久磁石4
1がフランジ部35の各孔39にそれぞれ嵌め込み固定
されて構成されている。
【0016】図1を参照して、被吸引体51を構成して
いる部材は回転軸52・アーマチュアハブ54・アーマ
チュア57・バネ材59・その他である。これらのうち
で回転軸52の場合は、その端面に一体形成されたボル
ト53が軸方向に突出している。アーマチュアハブ54
は管軸55とその一端外周部のフランジ板56とが一体
に形成されたものである。これに対するアーマチュア5
7は板状のリング形をなしており、その一側面に環状凹
部58が形成されている。バネ材59は図示例において
周知の板バネからなる。被吸引体51におけるアーマチ
ュアハブ54とアーマチュア57は、アーマチュアハブ
54のフランジ板56とアーマチュア57のリング板面
とが対面するという相対配置においてこれらの間に複数
のバネ材59を介在させ、かつ、各バネ材59の一端部
をピン60でフランジ板56にカシメ止めしたり各バネ
材59の他端部をピン60でアーマチュア57にカシメ
止めしたりすることにより結合されている。この場合の
各バネ材59は周方向に等間隔で分布している。かくて
アーマチュア57は複数のバネ材59を介してアーマチ
ュアハブ54に支持されている。アーマチュア57を支
持したアーマチュアハブ54と回転軸52との相対関係
では、回転軸52の端部が管軸55内に挿入されて回転
軸52端のボルト53が管軸55内の止具61を貫通す
るというものであり、そしてナット63がボルト53端
から締め付けられて回転軸52とアーマチュアハブ54
とが相互に連結されている。
【0017】上述した補助吸引体21・主吸引体31・
被吸引体51の組立態様は、図1を参照してつぎのよう
なものである。主吸引体31は補助吸引体21で支持さ
れる。具体的には、支持部材22における中空軸23の
外周部にベアリング64を嵌め付け、回転部材32の内
周部34をベアリング64の外周部に嵌め付けること
で、主吸引体31が補助吸引体21に回転自在に支持さ
れている。この場合の補助吸引体21・主吸引体31に
おいては、回転部材32の環状空間36内に嵌まり込ん
だ電磁石25の吸引面と永久磁石41の一側面とが相互
に対面している。そして環状空間36の残余空間(間隙
S1)や前記各孔39の残余空間(間隙S2)には、磁
性流体・粘性材・非磁性材のうちから選択された任意の
充填材65が充填されている。被吸引体51の場合は、
回転軸52が支持部材22の軸心部に介入していてアー
マチュア57が回転部材32の他側面(環状凹部37
側)と対面している。これをアーマチュア57と永久磁
石41との関係でいえば、アーマチュア57の被吸引面
(環状凹部58側)と永久磁石41の他側面とが相互に
対面している。そして図1の組立態様を全体的にみた場
合、補助吸引体21・主吸引体31・被吸引体51など
は、補助吸引体21と被吸引体51との間に主吸引体3
1を介在してこれらが同一軸線上に並んでいる。また、
アーマチュア57は各バネ材59の弾発力(図1の右方
向)を受けるものであるから、アーマチュア57が永久
磁石41で吸引されていないとき、アーマチュア57と
回転部材32との間に間隙Gが生じるものである。その
他について、上記の充填材65が回転部材32の環状凹
部37内にも充填されている。
【0018】図示例の本発明装置を具体的にいうと、こ
れは自動車のエアコンディショナに用いられる電磁クラ
ッチである。この場合の構成部品や構成部材はこの種の
技術分野で公知ないし周知の材料(材質)でつくられて
おり、その殆どが金属製・合成樹脂製・各種の複合材製
のいずれかである。永久磁石41の材料ついては炭素鋼
・MK鋼・NKS鋼のほかフェライト・アルニコ合金・
希土類コバルトなどがあるが、保持力や残留磁束密度の
点では後者が望ましい。また充填材65の一つである磁
性流体としては、ベースとなる液体中にマグネタイトな
どの強磁性体微粒子(固体微粒子)を界面活性剤で安定
に分散させてなる懸濁液をあげることができる。
【0019】本発明に係る磁気吸引式連結装置について
図1に例示された電磁クラッチを操作するときは以下の
ようになる。
【0020】主吸引体31の回転部材32は、図示しな
い原動側の回転をベルト伝動系で伝達されたときに回転
する。このとき電圧が電磁石25のコイル27に印加さ
れていないとすると、被吸引体51ではバネ材59がア
ーマチュア57をアーマチュアハブ54側へ引き寄せて
アーマチュア57と回転部材32との間に間隙Gを生じ
させる。アーマチュア57と回転部材32とがこのよう
に遊離しているときは、自明のとおり、主吸引体31側
の回転が被吸引体51側へ伝達されない。主吸引体31
側の回転を被吸引体51側へ伝達するときには、図1に
おいて破線矢印の逆方向に流れる磁束すなわち永久磁石
41の磁束(図1の実線矢印参照)と同方向の磁束が発
生するように電圧を電磁石25のコイル27に印加す
る。こうしたときは永久磁石41の磁気吸引力と電磁石
25の磁気吸引力とを合わせた力がバネ材59の弾発力
を大きく上回るようになるためアーマチュア57がバネ
材59に抗して主吸引体31側へ吸引保持される。この
状態になると、永久磁石41がバネ材59の復元力を上
回る磁気吸引力でアーマチュア57を保持し続ける。こ
れは電磁石25を非通電状態にしてもアーマチュア57
が永久磁石41から離脱しないということであるからそ
のようにする。かくてクラッチの結合が成立すると、主
吸引体31側の回転が被吸引体51側へ伝達されて回転
軸52が回転する。かかるクラッチ結合を解除するため
上記吸引状態のアーマチュア57を永久磁石41から引
き離すときは、図1の破線矢印方向に流れる磁束すなわ
ち永久磁石41の磁束と逆方向の磁束流が発生するよう
に電磁石25のコイル27に電圧を印加する。この場合
は電磁石25の磁束と永久磁石41の磁束とが打ち消し
合うためアーマチュア57がバネ材59の復元力で永久
磁石41から離脱し、アーマチュア57と回転部材32
との間に間隙Gが再び生じる。この間隙Gが生じると、
アーマチュア57に対する永久磁石41の磁気吸引力が
バネ材59の力を上回るほどにはならない。これは電磁
石25を非通電状態にしてもアーマチュア57が永久磁
石41に吸着されないということであるから、この場合
もそのようにする。かくてクラッチの結合が断たれる
と、主吸引体31側から被吸引体51側への動力伝達が
遮断される。
【0021】上記において磁性流体・粘性材・非磁性材
などの充填材65が間隙S1および/またはS2に充填
されている場合は、装置内部への粉塵侵入を防止するこ
とができる。とくに充填材65が磁性流体からなる場合
は、これが粉塵の侵入を防止するだけでなく回転部材3
2の振れや偏心をも防止する。
【0022】図示例の本発明装置は、回転部材32とア
ーマチュア57との間を磁束が一回だけ迂回するシング
ルフラックス型のものである。これ以外の例として、磁
束が2回または3回ぐらい迂回できるプレート(図示せ
ず)を回転部材32の一側面(アーマチュア57との対
向面)に固定し、アーマチュア57の形状も同程度の迂
回ができるダブルフラックス型またはトリプルフラック
ス型にするという実施態様もある。図示例の本発明装置
については、また、補助吸引体21の軸心部でなく、ア
ーマチュアハブ54の外側面(図1の右側面)からその
右方へ回転軸52を突出させることもある。この場合の
補助吸引体21は回転部材32から動力の伝達を受ける
コンプレッサということにはならず、動力伝達を受ける
機器ないし部材がアーマチュアハブ54の外側面側に配
置される。主吸引体31と被吸引体51との関係では、
動力伝達するものを被吸引体51、動力伝達を受けるも
のを主吸引体31としてもよい。さらに本発明装置につ
ては、既述の電磁クラッチ以外に制動手段や連結手段と
しても利用することができる。たとえば主吸引体31・
被吸引体51のうちのいずれか一方が固定体でその他方
が回転体であるという場合に、これらを相対的に吸引
(吸着)させることにより回転体を固定体で制動するこ
とができる。また連結手段の場合は、主吸引体31と被
吸引体51とを軸方向に連結したり切り離したりすると
いう利用になる。この場合の主吸引体31や被吸引体5
1はつぎのようなものである。一つは主吸引体31・被
吸引体51がいずれも非回転体で軸方向に動くというも
のである。他の一つは主吸引体31・被吸引体51のう
ちのいずれか一方が固定体であり、その他方が非回転体
で軸方向に動くというものである。永久磁石41につい
ても、図示例のようなリング形のものが一つだけ用いら
れるほか、円弧形・多角形・それ以外の形状をしたもの
が一つまたは複数用いられることがある。
【0023】以上で明らかなように、本発明に係る磁気
吸引式連結装置は動力の伝達や遮断をする装置、制動す
るための装置、機器や部材などを連結するための装置な
ど、これらを総称する装置ということができる。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る磁気吸引式連結装置はつぎ
の効果を有する。
【0025】永久磁石を主吸引体の内外周部間に嵌め込
み保持した構成であるため、主吸引体における永久磁石
以外の部品(部材)を一部品にすることができる。この
一部品化は部品数の削減に通じ、これで永久磁石を簡易
に嵌め込み保持することできるからその組付難度も緩和
される。したがって複数部品による既存の各種保持手段
と比べ、これらにみられない組立工数の減少やコストダ
ウンをはかることができる。永久磁石を保持するための
部品(部材)の一部品化は、また、設計上だけでなく実
際の製作面でも機械的特性の高いものが得やすく、かか
る高度の機械的特性に依存して主吸引体を強度を保証す
ることができる。
【0026】永久磁石と協同して主吸引体・被吸引体を
相対吸引したりこれらを相対離脱させたりするための電
磁石は、これを一時的に通電状態にするだけで定常的な
いし長時間の通電を必要としないから節電に役立つ。ま
た電磁石を一時的に通電するだけのときは、定常通電す
る場合のような温度上昇も実質的に生じない。したがっ
て主要な部品が経時的に熱劣化しがたい。実用面でも、
温度上昇を望まない使用条件が課せられている場合にこ
れに適うものとなる。
【0027】主吸引体において永久磁石は半径方向に着
磁されている。しかも永久磁石を保持している部材は既
述のように一部品化されていて接合部が殆どない。こう
したものは磁路の磁気抵抗が低く永久磁石を通る磁気回
路も短くできるから、高い磁気吸引力すなわち高度の磁
気特性を安定して確保することができる。
【0028】そのほか、永久磁石の片面側および/また
は両面側にある間隙内に所定の充填材が充填されている
場合は、そのような間隙内に粉塵などが殆ど侵入しな
い。とくに充填材が磁性流体からなる場合は、かかる防
塵だけでなく主吸引体の振れや偏心を防止することにも
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施形態を略示した縦断面図で
ある。
【図2】本発明装置における主吸引体の一部を略示した
断面図である。
【図3】従来の電磁クラッチについて一例を略示した縦
断面図ある。
【図4】従来の電磁クラッチについて他例を略示した縦
断面図ある。
【符号の説明】
21 補助吸引体 22 支持部材 25 電磁石 26 コイルヨーク 27 コイル 31 主吸引体 32 回転部材 33 回転部材の外周部 34 回転部材の内周部 35 回転部材のフランジ部 39 フランジ部の孔(永久磁石の嵌め込み用孔) 41 永久磁石 51 被吸引体 52 回転軸 54 アーマチュアハブ 57 アーマチュア 59 バネ材 64 ベアリング 65 充填材 G 間隙 S1 間隙 S2 間隙
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月27日(1999.9.2
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】作用:本発明装置における永久磁石の磁気
吸引力とバネ材の弾発力とはこれらの力がほぼ拮抗して
いる。それで電磁石を通電状態にして永久磁石の磁束と
同方向の磁束流を電磁石に発生させたときは、永久磁石
の磁気吸引力と電磁石の磁気吸引力とを合わせた力がバ
ネ材の弾発力を大きく上回るためにアーマチュアがバネ
材に抗して主吸引体側へ吸引保持される。そして永久磁
石がバネ材の復元力を上回る磁気吸引力でアーマチュア
を保持し続ける。したがって該吸引後に電磁石を非通電
状態にしてその磁気吸引力を消去したとしてもアーマチ
ュアは主吸引体から離脱しない。上記吸引状態のアーマ
チュアを主吸引体から引き離すときは、電磁石を再度通
電状態にして永久磁石の磁束と逆方向の磁束流を電磁石
に発生させる。こうしたときは電磁石の磁束と永久磁石
の磁束とが打ち消し合うためにアーマチュアがバネ材の
復元力で主吸引体から離脱する。この離脱状態のとき
は、アーマチュアに対する永久磁石の磁気吸引力がバネ
材の力を上回るほどには及ばない。したがって該離脱後
に電磁石を非通電状態にしてその磁気吸引力を消去した
としてもアーマチュアは主吸引体側へ吸引されない。ゆ
えに本発明装置によるときは、被吸引体を主吸引体側に
吸引保持するということや被吸引体を主吸引体側から離
脱させるということが電磁石を一時的に通電するだけで
行える。一例として本発明装置が電磁クラッチであり、
かつ、吸引体が駆動系に組み込まれていたりアーマチュ
ア等を備えた被吸引体が被動系に組み込まれていたりす
るという場合には、上記吸引状態のときに駆動側から被
動側へ動力が伝達され、上記離脱状態のときに駆動側か
ら被動側への動力伝達が遮断される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】主吸引体31の回転部材32は、図示しな
い原動側の回転をベルト伝動系で伝達されたときに回転
する。このとき電圧が電磁石25のコイル27に印加さ
れていないとすると、被吸引体51ではバネ材59がア
ーマチュア57をアーマチュアハブ54側へ引き寄せて
アーマチュア57と回転部材32との間に間隙Gを生じ
させる。アーマチュア57と回転部材32とがこのよう
に遊離しているときは、自明のとおり、主吸引体31側
の回転が被吸引体51側へ伝達されない。主吸引体31
側の回転を被吸引体51側へ伝達するときには、図1に
おいて破線矢印の逆方向に流れる磁束すなわち永久磁石
41の磁束(図1の実線矢印参照)と同方向の磁束が発
生するように電圧を電磁石25のコイル27に印加す
る。こうしたときは永久磁石41の磁気吸引力と電磁石
25の磁気吸引力とを合わせた力がバネ材59の弾発力
を大きく上回るようになるためアーマチュア57がバネ
材59に抗して主吸引体31側へ吸引保持される。この
状態になったとき、永久磁石41はバネ材59の復元力
を上回る磁気吸引力でアーマチュア57を主吸引体31
の回転部材32側に保持し続ける。これは電磁石25を
非通電状態にしてもアーマチュア57が主吸引体31の
回転部材32から離脱しないということであるからその
ようにする。かくてクラッチの結合が成立すると、主吸
引体31側の回転が被吸引体51側へ伝達されて回転軸
52が回転する。かかるクラッチ結合を解除するため上
記吸引状態のアーマチュア57を主吸引体31の回転部
材32から引き離すときは、図1の破線矢印方向に流れ
る磁束すなわち永久磁石41の磁束と逆方向の磁束流が
発生するように電磁石25のコイル27に電圧を印加す
る。この場合は電磁石25の磁束と永久磁石41の磁束
とが打ち消し合うためアーマチュア57がバネ材59
の復元力で主吸引体31の回転部材32から離脱し、ア
ーマチュア57と回転部材32との間に間隙Gが再び生
じる。この間隙Gが生じたときは、アーマチュア57に
対する永久磁石41の磁気吸引力がバネ材59の力を上
回るほどにはならない。これは電磁石25を非通電状態
にしてもアーマチュア57が永久磁石41に吸着されな
いということであるから、この場合もそのようにする。
かくてクラッチの結合が断たれると、主吸引体31側か
ら被吸引体51側への動力伝達が遮断される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】図示例の本発明装置は、回転部材32とア
ーマチュア57との間を磁束が一回だけ迂回するシング
ルフラックス型のものである。これ以外の例として、磁
束が2回または3回ぐらい迂回できるプレート(図示せ
ず)を回転部材32の一側面(アーマチュア57との対
向面)に固定し、アーマチュア57の形状も同程度の迂
回ができるダブルフラックス型またはトリプルフラック
ス型にするという実施態様もある。図示例の本発明装置
については、また、補助吸引体21の軸心部でなく、ア
ーマチュアハブ54の外側面(図1の右側面)からその
右方へ回転軸52を突出させることもある。この場合の
補助吸引体21は回転部材32から動力の伝達を受ける
コンプレッサということにはならず、動力伝達を受ける
機器ないし部材がアーマチュアハブ54の外側面側に配
置される。主吸引体31と被吸引体51との関係では、
動力伝達するものを被吸引体51、動力伝達を受けるも
のを主吸引体31としてもよい。さらに本発明装置に
いては、既述の電磁クラッチ以外に制動手段や連結手段
としても利用することができる。たとえば主吸引体31
・被吸引体51のうちのいずれか一方が固定体でその他
方が回転体であるという場合に、これらを相対的に吸引
(吸着)させることにより回転体を固定体で制動するこ
とができる。また連結手段の場合は、主吸引体31と被
吸引体51とを軸方向に連結したり切り離したりすると
いう利用になる。この場合の主吸引体31や被吸引体5
1はつぎのようなものである。一つは主吸引体31・被
吸引体51がいずれも非回転体で軸方向に動くというも
のである。他の一つは主吸引体31・被吸引体51のう
ちのいずれか一方が固定体であり、その他方が非回転体
で軸方向に動くというものである。永久磁石41につい
ても、図示例のようなリング形のものが一つだけ用いら
れるほか、円弧形・多角形・それ以外の形状をしたもの
が一つまたは複数用いられることがある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】
【発明の効果】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、被吸引体はバネ材を介してアーマチュアをアーマチ
ュアハブで支持しており、主吸引体は半径方向に着磁さ
れた永久磁石を該主吸引体の内外周部間に嵌め込み保持
しており、補助吸引体は永久磁石の磁束と同方向および
逆方向の磁束を流すための電磁石を有している。この主
要な各構成部材は、また、被吸引体と補助吸引体との間
に主吸引体を介在して同一軸線上に配列されていて、永
久磁石の一側面と電磁石の吸引面および永久磁石の他側
面とアーマチュアの被吸引面とがこれらの間に間隙を介
在して相互に対面しており、アーマチュアを主吸引体側
から引き離す方向の力をバネ材がアーマチュアに付与し
ている。かかる構成の本発明装置については既述のとお
り、被吸引体を主吸引体側に吸引保持したり被吸引体を
主吸引体側から離脱させたりすることが補助吸引体側の
電磁石を一時的に通電するだけで行え、しかも、被吸引
体を主吸引体側に吸引した後の該吸引保持が、補助吸引
体側の電磁石に依存することなく主吸引体側の永久磁石
だけで行える。本発明装置がこのように優れた機能を有
するのは、被吸引体・主吸引体・補助吸引体が上記のよ
うに配列されたことで、電磁石や永久磁石を主体にした
所定の磁気回路が成立するからである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】本発明に係る磁気吸引式連結装置は、永久
磁石を主吸引体の内外周部間に嵌め込み保持した構成で
あるため、主吸引体における永久磁石以外の部品(部
材)を一部品にすることができる。この一部品化は部品
数の削減に通じ、これで永久磁石を簡易に嵌め込み保持
することできるからその組付難度も緩和される。したが
って複数部品による既存の各種保持手段と比べ、これら
にみられない組立工数の減少やコストダウンをはかるこ
とができる。永久磁石を保持するための部品(部材)の
一部品化は、また、設計上だけでなく実際の製作面でも
機械的特性の高いものが得やすく、かかる高度の機械的
特性に依存して主吸引体を強度を保証することができ
る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、永久磁石と協同して主吸引体・被吸引体を相対吸引
したりこれらを相対離脱させたりするための電磁石は、
これを一時的に通電状態にするだけで定常的ないし長時
間の通電を必要としないから節電に役立つ。また電磁石
を一時的に通電するだけのときは、定常通電する場合の
ような温度上昇も実質的に生じない。したがって主要な
部品が経時的に熱劣化しがたい。実用面でも、温度上昇
を望まない使用条件が課せられている場合にこれに適う
ものとなる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、主吸引体に保持された永久磁石は半径方向に着磁さ
れている。しかも永久磁石を保持している部材は既述の
ように一部品化されていて接合部が殆どない。こうした
ものは磁路の磁気抵抗が低く永久磁石を通る磁気回路も
短くできるから、強い磁気吸引力すなわち高度の磁気特
性を安定して確保することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、永久磁石の片面側および/または両面側にある間隙
内に所定の充填材が充填されている場合は、そのような
間隙内に粉塵などが殆ど侵入しない。とくに充填材が磁
性流体からなる場合は、かかる防塵だけでなく主吸引体
の振れや偏心を防止することにも効果がある。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月14日(2000.1.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】磁気吸引式連結装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は「動力の伝達と遮
断」「制動」「機器や部材などの連結」に用いて好適な
磁気吸引式連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】動力を伝達・遮断するための手段として
電磁クラッチが広く用いられている。これは周知のとお
り、同心軸上にある駆動側から被動側へ電磁吸引によっ
て動力を伝達したりこれを遮断したりするためのもので
ある。
【0003】電磁クラッチに関する公知文献(技術文
献)の一つとして米国特許第3263784号明細書が
ある。この文献に開示された電磁クラッチは図3を参照
して以下のようなものである。図3において、ロータ1
はピン2で駆動軸3に固定されている。ロータ1は外周
部1aと内周部1bとを有するものであり、軸方向に着
磁された永久磁石4や非磁性コンパウンド5・6がこれ
らの間に充填されているため内外周部1a・1bが相互
に隔離されている。駆動軸3上には、また、アーマチュ
ア7を備えたアーマチュアハブ8が右端外周部に組み付
けられている。この場合のアーマチュア7はバネ材9で
アーマチュアハブ8に支持されてロータ1の右側(永久
磁石4側)と対面している。さらにコイルヨーク10と
コイル11とからなる電磁石12もロータ1の左側にお
いて駆動軸3の外周部に組み付けられている。かくて組
み立てられた電磁クラッチの場合は、駆動軸3上におい
てアーマチュア7と電磁石12との間にロータ1が介在
している。
【0004】この種の電磁クラッチは実公昭63−11
394号公報にも開示されている。かかる電磁クラッチ
について図4を参照していえば以下のようなものであ
る。図4において、コンプレッサ13の端面からは中空
軸部14やフランジ部15をもつ支持部材16が突出し
ている。コンプレッサ13の軸心部と支持部材16の中
空軸部14とを貫通した駆動軸3上にはロータ1・アー
マチュア7・電磁石12などが配置されていてこれらが
所定の部位に組み付けられている。具体的には支持部材
16のフランジ部15に電磁石12が固定されている。
ロータ1は、これの外周部1a・内周部1b・フランジ
部1cで囲われた環状空間17を有するものであり、二
つの磁性板1d・1eで挟まれた永久磁石4が環状空間
17内に圧着固定されている。このロータ1はベアリン
グ18を介して支持部材16の中空軸部14に回転自在
に装着されている。バネ材9でアーマチュア7を支持し
たアーマチュアハブ8は駆動軸3の端部外周に嵌め込み
固定されている。かくて組み立てられた電磁クラッチの
場合も、駆動軸3上におけるアーマチュア7と電磁石1
2との間にロータ1が介在している。
【0005】図3・図4に示された電磁クラッチにおい
ては、実線や破線の矢印方向に磁束が流れるというもの
である。ちなみに電磁石12のコイル11に電圧を印加
していないときは、永久磁石4の磁束(実線矢印方向)
によって生じる磁気吸引力により、アーマチュア7がバ
ネ材8に抗してロータ1側に吸着される。このときは電
磁クラッチが結合状態になるから、ロータ1から駆動軸
3へ動力が伝達される。これに対し、電圧を電磁石12
のコイル11に印加して上記と逆向きの磁束(破線矢印
方向)を発生させたときは、これによる磁気吸引力とバ
ネ材8の復元力とを合わせた力が永久磁石4の磁気吸引
力を上回るようになるためアーマチュア7がロータ1か
ら離脱する。このときは電磁クラッチが解除状態になる
ので、ロータ1から駆動軸3への動力伝達が遮断され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した各電磁クラッ
チはロータ1を構成している部品数が多く、永久磁石4
をロータ1に組み付けるときの難度も高いため組立工数
が増加する。しかも図3の電磁クラッチにおける外周部
1a・内周部1b・非磁性コンパウンド5・6や図4の
電磁クラッチにみられる磁性板1d・1eが永久磁石4
の固定手段として十分な強度をもたないし、これらによ
って生じた多くの境界部分が磁気抵抗を高くして磁束を
弱めてしまう。上述した各電磁クラッチは、また、ロー
タ1と電磁石12との間とくに半径方向にみた各部材間
に間隙があり、磁束の通る磁気回路がこれらの間隙をも
含んで構成されている。このような構成のものは長期間
にわたる使用中、回転時のロータ1に振れが生じるため
当該間隙を一定に保持することができず、これが磁気特
性を変化させる原因にもなる。それにそのような間隙内
に粉塵が混入するという不具合も生じる。しかも課題は
これらにとどまらない。たとえばクラッチ解除状態を保
持するというとき、電磁石12を常にONの状態にしな
ければならいため電力を多く消費してしまう。また、こ
れによってコイル11が温度上昇するので、温度上昇の
回避が条件に課せられているという場合に電磁クラッチ
の使用が制限される。
【0007】発明の目的:本発明はこのような技術的課
題に鑑み、部品数の削減・永久磁石の組付難度の緩和・
組立工数の減少・強度保証・磁気特性の安定性・防塵・
節電・温度上昇の防止・コストダウンなどをはかること
のできる磁気吸引式連結装置を提供しようとするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
磁気吸引式連結装置は、所期の目的を達成するために下
記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1の磁
気吸引式連結装置は、バネ材を介してアーマチュアをア
ーマチュアハブで支持している被吸引体と、半径方向に
着磁された永久磁石を内外周部間に嵌め込み保持してい
る主吸引体と、永久磁石の磁束と同方向や逆方向の磁束
を流すための電磁石を備えた補助吸引体とが、被吸引体
と補助吸引体との間に主吸引体を介在して同一軸線上に
並んでいること、および、互いに隣接する補助吸引体と
主吸引体との相対関係では、磁束の通る間隔の一定な定
間隙が電磁石と主吸引体との間に介在していること、お
よび、互いに隣接する被吸引体と主吸引体との相対関係
では、磁束の通る間隙であって間隔の変化自在な可変間
隙がアーマチュアと主吸引体との間に介在しているとと
もにアーマチュアを主吸引体側から引き離す方向の力を
バネ材がアーマチュアに付与していること、および、電
磁石の非通電状態においてバネ材がアーマチュアをアー
マチュアハブ側に引き寄せていて主吸引体とアーマチュ
アとの間に可変間隙が介在しているときは、バネ材の力
が永久磁石の磁気吸引力を上回るため、アーマチュアが
主吸引体側から遊離する状態を保持するものであるこ
と、および、アーマチュアが主吸引体側から遊離してい
る場合に電磁石を通電状態にして電磁石の磁束方向を永
久磁石の磁束方向と同じにしたときは、永久磁石の磁気
吸引力と電磁石の磁気吸引力とを合わせた力がバネ材の
力を上回るため、これら永久磁石・電磁石の両磁気吸引
力により、バネ材に抗してアーマチュアを主吸引体側へ
吸引保持するとともにアーマチュアを主吸引体側へ吸引
した分だけ可変間隙が小さくなるものであること、およ
び、該吸引保持状態において電磁石を非通電状態にした
ときは、可変間隙が小さくなったことで永久磁石の磁気
吸引力がバネ材の力を上回るため、永久磁石の磁気吸引
力のみでアーマチュアを主吸引体側へ吸引保持し続ける
ものであること、および、永久磁石のみの磁気吸引力で
アーマチュアが主吸引体側に吸引保持している場合に電
磁石を通電状態にして電磁石の磁束方向を永久磁石の磁
束方向と逆にしたときは、永久磁石の磁気吸引力と電磁
石の磁気吸引力とが互いに打ち消し合うことでバネ材の
復元力が永久磁石の吸引保持力を上回るため、永久磁石
に抗してアーマチュアが主吸引体から遊離し、かつ、可
変間隙が復元するものであることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項2に係る磁気吸引式連結装
置は、請求項1記載のものにおいて、主吸引体が駆動側
の回転体からなり、被吸引体が被動側の回転体からな
り、補助吸引体が固定体からなることを特徴とする。
【0010】本発明の請求項3に係る磁気吸引式連結装
置は、請求項1または2記載のものにおいて、磁性流体
・粘性材・非磁性材のうちから選択された任意の充填材
が永久磁石の片面側および/または両面側にある間隙内
に充填されていることを特徴とする。
【0011】作用:本発明装置における永久磁石の磁気
吸引力とバネ材の弾発力とはこれらの力がほぼ拮抗して
いる。それで電磁石を通電状態にして永久磁石の磁束と
同方向の磁束流を電磁石に発生させたときは、永久磁石
の磁気吸引力と電磁石の磁気吸引力とを合わせた力がバ
ネ材の弾発力を大きく上回るためにアーマチュアがバネ
材に抗して主吸引体側へ吸引保持される。そして永久磁
石がバネ材の復元力を上回る磁気吸引力でアーマチュア
を保持し続ける。したがって該吸引後に電磁石を非通電
状態にしてその磁気吸引力を消去したとしてもアーマチ
ュアは主吸引体から離脱しない。上記吸引状態のアーマ
チュアを主吸引体から引き離すときは、電磁石を再度通
電状態にして永久磁石の磁束と逆方向の磁束流を電磁石
に発生させる。こうしたときは電磁石の磁束と永久磁石
の磁束とが打ち消し合うためにアーマチュアがバネ材の
復元力で主吸引体から離脱する。この離脱状態のとき
は、アーマチュアに対する永久磁石の磁気吸引力がバネ
材の力を上回るほどには及ばない。したがって該離脱後
に電磁石を非通電状態にしてその磁気吸引力を消去した
としてもアーマチュアは主吸引体側へ吸引されない。ゆ
えに本発明装置によるときは、被吸引体を主吸引体側に
吸引保持するということや被吸引体を主吸引体側から離
脱させるということが電磁石を一時的に通電するだけで
行える。一例として本発明装置が電磁クラッチであり、
かつ、吸引体が駆動系に組み込まれていたりアーマチュ
ア等を備えた被吸引体が被動系に組み込まれていたりす
るという場合には、上記吸引状態のときに駆動側から被
動側へ動力が伝達され、上記離脱状態のときに駆動側か
ら被動側への動力伝達が遮断される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る磁気吸引式連結装置
の一実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【0013】図1・図2において、21は補助吸引体、
31は主吸引体、51は被吸引体をそれぞれ示す。
【0014】図1に例示された補助吸引体21は支持部
材22・電磁石取付板24・電磁石25などを主要な構
成部材にしている。支持部材22としては機器のボディ
・ハウジング・ケーシングなど任意のものが利用されて
いる。支持部材22の一端面からはこれと一体に形成さ
れた中空軸23が突出している。中空軸23の基端部外
周面には、円形または多角形をなす電磁石取付板24が
周知の固定手段で取り付けられている。電磁石25はコ
イルヨーク26とコイル27とが接着剤28で一体に組
み合わされたもので、後述する永久磁石41の磁束と同
方向や逆方向の磁束を流すことができる。電磁石25の
代表的な形態はリング形である。電磁石25は周知の固
定手段で電磁石取付板24の板面に取り付けられ、その
リード線29が図示しない電源に接続されている。
【0015】図1に例示された主吸引体31の構成部材
は回転部材32や永久磁石41である。回転部材32は
外周部33・内周部34と当該両部33・34にわたる
フランジ部35とを主体にして形成された円形のもので
ある。回転部材32の一側面には外周部33・内周部3
4・フランジ部35で囲われた環状空間36があり、回
転部材32の他側面には環状凹部37が形成されてい
る。回転部材32の外周面には伝動ベルトを掛けるため
の溝38が図示のごとく形成されている。また図2にも
示されているように、回転部材32のフランジ部35に
は円を複数に等分したような円弧形の孔39が形成され
てこれらが周方向に等間隔で分布しており、相互に隣接
する各孔39間にリブ40が介在している。永久磁石4
1はフランジ部35の孔39と対応する大きさや曲率を
有するリング形のもので、これは半径方向に着磁されて
いる。そして主吸引体31の場合は、一個の永久磁石4
1がフランジ部35の各孔39にそれぞれ嵌め込み固定
されて構成されている。
【0016】図1を参照して、被吸引体51を構成して
いる部材は回転軸52・アーマチュアハブ54・アーマ
チュア57・バネ材59・その他である。これらのうち
で回転軸52の場合は、その端面に一体形成されたボル
ト53が軸方向に突出している。アーマチュアハブ54
は管軸55とその一端外周部のフランジ板56とが一体
に形成されたものである。これに対するアーマチュア5
7は板状のリング形をなしており、その一側面に環状凹
部58が形成されている。バネ材59は図示例において
周知の板バネからなる。被吸引体51におけるアーマチ
ュアハブ54とアーマチュア57は、アーマチュアハブ
54のフランジ板56とアーマチュア57のリング板面
とが対面するという相対配置においてこれらの間に複数
のバネ材59を介在させ、かつ、各バネ材59の一端部
をピン60でフランジ板56にカシメ止めしたり各バネ
材59の他端部をピン60でアーマチュア57にカシメ
止めしたりすることにより結合されている。この場合の
各バネ材59は周方向に等間隔で分布している。かくて
アーマチュア57は複数のバネ材59を介してアーマチ
ュアハブ54に支持されている。アーマチュア57を支
持したアーマチュアハブ54と回転軸52との相対関係
では、回転軸52の端部が管軸55内に挿入されて回転
軸52端のボルト53が管軸55内の止具61を貫通す
るというものであり、そしてナット63がボルト53端
から締め付けられて回転軸52とアーマチュアハブ54
とが相互に連結されている。
【0017】上述した補助吸引体21・主吸引体31・
被吸引体51の組立態様は、図1を参照してつぎのよう
なものである。主吸引体31は補助吸引体21で支持さ
れる。具体的には、支持部材22における中空軸23の
外周部にベアリング64を嵌め付け、回転部材32の内
周部34をベアリング64の外周部に嵌め付けること
で、主吸引体31が補助吸引体21に回転自在に支持さ
れている。この場合の補助吸引体21・主吸引体31に
おいては、回転部材32の環状空間36内に嵌まり込ん
だ電磁石25の吸引面と永久磁石41の一側面とが相互
に対面している。この場合の環状空間36には複数の
余空間(間隙)がある。その一つは定間隙S1である。
この定間隙S1は電磁石25と環状空間36との内外周
面間にあって間隔が一定している。定間隙S1は、ま
た、電磁石25の磁束が流れる間隙でもある。他の一つ
は定間隙S2である。この定間隙S2は電磁石25の一
側面(図1の右側面)と環状空間36の他側面(図1の
左側面)との間にあって空間の大きさが一定している。
さらに他の一つは前記各孔39の残余空間たる定間隙S
3である。これらの定間隙S1・S2・S3には、磁性
流体・粘性材・非磁性材のうちから選択された任意の充
填材65が充填されている。被吸引体51の場合は、回
転軸52が支持部材22の軸心部に介入していてアーマ
チュア57が回転部材32の他側面(環状凹部37側)
と対面している。これをアーマチュア57と永久磁石4
1との関係でいえば、アーマチュア57の被吸引面(環
状凹部58側)と永久磁石41の他側面とが相互に対面
している。そして図1の組立態様を全体的にみた場合、
補助吸引体21・主吸引体31・被吸引体51などは、
補助吸引体21と被吸引体51との間に主吸引体31を
介在してこれらが同一軸線上に並んでいる。また、アー
マチュア57は各バネ材59の弾発力(図1の右方向)
を受けるものであるから、アーマチュア57が永久磁石
41で吸引されていないとき、アーマチュア57と回転
部材32との間に間隙Gが生じるものである。その他に
ついて、上記の充填材65が回転部材32の環状凹部3
7内にも充填されている。
【0018】図示例の本発明装置を具体的にいうと、こ
れは自動車のエアコンディショナに用いられる電磁クラ
ッチである。この場合の構成部品や構成部材はこの種の
技術分野で公知ないし周知の材料(材質)でつくられて
おり、その殆どが金属製・合成樹脂製・各種の複合材製
のいずれかである。永久磁石41の材料ついては炭素鋼
・MK鋼・NKS鋼のほかフェライト・アルニコ合金・
希土類コバルトなどがあるが、保持力や残留磁束密度の
点では後者が望ましい。また充填材65の一つである磁
性流体としては、ベースとなる液体中にマグネタイトな
どの強磁性体微粒子(固体微粒子)を界面活性剤で安定
に分散させてなる懸濁液をあげることができる。
【0019】本発明に係る磁気吸引式連結装置について
図1に例示された電磁クラッチを操作するときは以下の
ようになる。
【0020】主吸引体31の回転部材32は、図示しな
い原動側の回転をベルト伝動系で伝達されたときに回転
する。このとき電圧が電磁石25のコイル27に印加さ
れていないとすると、被吸引体51ではバネ材59がア
ーマチュア57をアーマチュアハブ54側へ引き寄せて
アーマチュア57と回転部材32との間に可変間隙Gを
生じさせる。可変間隙Gはアーマチュア57の変位によ
って間隔が変化するものである。アーマチュア57と回
転部材32とがこのように遊離しているときは、自明の
とおり、主吸引体31側の回転が被吸引体51側へ伝達
されない。主吸引体31側の回転を被吸引体51側へ伝
達するときには、図1において破線矢印の逆方向に流れ
る磁束すなわち永久磁石41の磁束(図1の実線矢印参
照)と同方向の磁束が発生するように電圧を電磁石25
のコイル27に印加する。こうしたときは永久磁石41
の磁気吸引力と電磁石25の磁気吸引力とを合わせた力
がバネ材59の弾発力を大きく上回るようになるためア
ーマチュア57がバネ材59に抗して主吸引体31側へ
吸引保持される。この状態になったとき、永久磁石41
はバネ材59の復元力を上回る磁気吸引力でアーマチュ
ア57を主吸引体31の回転部材32側に保持し続け
る。これは電磁石25を非通電状態にしてもアーマチュ
ア57が主吸引体31の回転部材32から離脱しないと
いうことであるからそのようにする。かくてクラッチの
結合が成立すると、主吸引体31側の回転が被吸引体5
1側へ伝達されて回転軸52が回転する。かかるクラッ
チ結合を解除するため上記吸引状態のアーマチュア57
主吸引体31の回転部材32から引き離すときは、図
1の破線矢印方向に流れる磁束すなわち永久磁石41の
磁束と逆方向の磁束流が発生するように電磁石25のコ
イル27に電圧を印加する。この場合は電磁石25の磁
束と永久磁石41の磁束とが打ち消し合うためアーマ
チュア57がバネ材59の復元力で主吸引体31の回転
部材32から離脱し、アーマチュア57と回転部材32
との間に可変間隙Gが再び生じる。可変間隙Gが生じ
ときは、アーマチュア57に対する永久磁石41の磁気
吸引力がバネ材59の力を上回るほどにはならない。こ
れは電磁石25を非通電状態にしてもアーマチュア57
が永久磁石41に吸着されないということであるから、
この場合もそのようにする。かくてクラッチの結合が断
たれると、主吸引体31側から被吸引体51側への動力
伝達が遮断される。
【0021】上記において磁性流体・粘性材・非磁性材
などの充填材65が定間隙S1・S2および/または
に充填されている場合は、装置内部への粉塵侵入を防
止することができる。とくに充填材65が磁性流体から
なる場合これが粉塵の侵入を防止するだけでなく
転部材32の振れや偏心をも防止することとなる
【0022】図示例の本発明装置は、回転部材32とア
ーマチュア57との間を磁束が一回だけ迂回するシング
ルフラックス型のものである。これ以外の例として、磁
束が2回または3回ぐらい迂回できるプレート(図示せ
ず)を回転部材32の一側面(アーマチュア57との対
向面)に固定し、アーマチュア57の形状も同程度の迂
回ができるダブルフラックス型またはトリプルフラック
ス型にするという実施態様もある。図示例の本発明装置
については、また、補助吸引体21の軸心部でなく、ア
ーマチュアハブ54の外側面(図1の右側面)からその
右方へ回転軸52を突出させることもある。この場合の
補助吸引体21は回転部材32から動力の伝達を受ける
コンプレッサということにはならず、動力伝達を受ける
機器ないし部材がアーマチュアハブ54の外側面側に配
置される。主吸引体31と被吸引体51との関係では、
動力伝達するものを被吸引体51、動力伝達を受けるも
のを主吸引体31としてもよい。さらに本発明装置に
いては、既述の電磁クラッチ以外に制動手段や連結手段
としても利用することができる。たとえば主吸引体31
・被吸引体51のうちのいずれか一方が固定体でその他
方が回転体であるという場合に、これらを相対的に吸引
(吸着)させることにより回転体を固定体で制動するこ
とができる。また連結手段の場合は、主吸引体31と被
吸引体51とを軸方向に連結したり切り離したりすると
いう利用になる。この場合の主吸引体31や被吸引体5
1はつぎのようなものである。一つは主吸引体31・被
吸引体51がいずれも非回転体で軸方向に動くというも
のである。他の一つは主吸引体31・被吸引体51のう
ちのいずれか一方が固定体であり、その他方が非回転体
で軸方向に動くというものである。永久磁石41につい
ても、図示例のようなリング形のものが一つだけ用いら
れるほか、円弧形・多角形・それ以外の形状をしたもの
が一つまたは複数用いられることがある。
【0023】以上で明らかなように、本発明に係る磁気
吸引式連結装置は動力の伝達や遮断をする装置、制動す
るための装置、機器や部材などを連結するための装置な
ど、これらを総称する装置ということができる。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、被吸引体はバネ材を介してアーマチュアをアーマチ
ュアハブで支持しており、主吸引体は半径方向に着磁さ
れた永久磁石を該主吸引体の内外周部間に嵌め込み保持
しており、補助吸引体は永久磁石の磁束と同方向および
逆方向の磁束を流すための電磁石を有している。この主
要な各構成部材は、また、被吸引体と補助吸引体との間
に主吸引体を介在して同一軸線上に配列されていて、永
久磁石の一側面と電磁石の吸引面および永久磁石の他側
面とアーマチュアの被吸引面とがこれらの間に間隙を介
在して相互に対面しており、アーマチュアを主吸引体側
から引き離す方向の力をバネ材がアーマチュアに付与し
ている。かかる構成の本発明装置については既述のとお
り、被吸引体を主吸引体側に吸引保持したり被吸引体を
主吸引体側から離脱させたりすることが補助吸引体側の
電磁石を一時的に通電するだけで行え、しかも、被吸引
体を主吸引体側に吸引した後の該吸引保持が、補助吸引
体側の電磁石に依存することなく主吸引体側の永久磁石
だけで行える。本発明装置がこのように優れた機能を有
するのは、被吸引体・主吸引体・補助吸引体が上記のよ
うに配列されたことで、電磁石や永久磁石を主体にした
所定の磁気回路が成立するからである。
【0025】本発明に係る磁気吸引式連結装置は、永久
磁石を主吸引体の内外周部間に嵌め込み保持した構成で
あるため、主吸引体における永久磁石以外の部品(部
材)を一部品にすることができる。この一部品化は部品
数の削減に通じ、これで永久磁石を簡易に嵌め込み保持
することできるからその組付難度も緩和される。したが
って複数部品による既存の各種保持手段と比べ、これら
にみられない組立工数の減少やコストダウンをはかるこ
とができる。永久磁石を保持するための部品(部材)の
一部品化は、また、設計上だけでなく実際の製作面でも
機械的特性の高いものが得やすく、かかる高度の機械的
特性に依存して主吸引体を強度を保証することができ
る。
【0026】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、永久磁石と協同して主吸引体・被吸引体を相対吸引
したりこれらを相対離脱させたりするための電磁石は、
これを一時的に通電状態にするだけで定常的ないし長時
間の通電を必要としないから節電に役立つ。また電磁石
を一時的に通電するだけのときは、定常通電する場合の
ような温度上昇も実質的に生じない。したがって主要な
部品が経時的に熱劣化しがたい。実用面でも、温度上昇
を望まない使用条件が課せられている場合にこれに適う
ものとなる。
【0027】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、主吸引体に保持された永久磁石は半径方向に着磁さ
れている。しかも永久磁石を保持している部材は既述の
ように一部品化されていて接合部が殆どない。こうした
ものは磁路の磁気抵抗が低く永久磁石を通る磁気回路も
短くできるから、強い磁気吸引力すなわち高度の磁気特
性を安定して確保することができる。
【0028】本発明に係る磁気吸引式連結装置におい
て、永久磁石の片面側および/または両面側にある間隙
内に所定の充填材が充填されている場合は、そのような
間隙内に粉塵などが殆ど侵入しない。とくに充填材が磁
性流体からなる場合は、かかる防塵だけでなく主吸引体
の振れや偏心を防止することにも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施形態を略示した縦断面図で
ある。
【図2】本発明装置における主吸引体の一部を略示した
断面図である。
【図3】従来の電磁クラッチについて一例を略示した縦
断面図ある。
【図4】従来の電磁クラッチについて他例を略示した縦
断面図ある。
【符号の説明】 21 補助吸引体 22 支持部材 25 電磁石 26 コイルヨーク 27 コイル 31 主吸引体 32 回転部材 33 回転部材の外周部 34 回転部材の内周部 35 回転部材のフランジ部36 環状空間 37 環状凹部 39 フランジ部の孔(永久磁石の嵌め込み用孔) 41 永久磁石 51 被吸引体 52 回転軸 54 アーマチュアハブ 57 アーマチュア 59 バネ材 64 ベアリング 65 充填材 G 磁束が流れる可変間隙 S1 磁束が流れる定間隙 S2 間隙S3 定間隙
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バネ材を介してアーマチュアをアーマチュ
    アハブで支持している被吸引体と、半径方向に着磁され
    た永久磁石を内外周部間に嵌め込み保持している主吸引
    体と、永久磁石の磁束と同方向や逆方向の磁束を流すた
    めの電磁石を備えた補助吸引体との組み合わせからなる
    こと、および、被吸引体と補助吸引体との間に主吸引体
    を介在してこれらが同一軸線上に配列されているととも
    に永久磁石の一側面と電磁石の吸引面ならびに永久磁石
    の他側面とアーマチュアの被吸引面とがこれらの間に間
    隙を介在して相互に対面していること、および、アーマ
    チュアを主吸引体側から引き離す方向の力をバネ材がア
    ーマチュアに付与していることを特徴とする磁気吸引式
    連結装置。
  2. 【請求項2】主吸引体が駆動側の回転体からなり、被吸
    引体が被動側の回転体からなり、補助吸引体が固定体か
    らなる請求項1記載の磁気吸引式連結装置。
  3. 【請求項3】磁性流体・粘性材・非磁性材のうちから選
    択された任意の充填材が永久磁石の片面側および/また
    は両面側にある間隙内に充填されている請求項1または
    2記載の磁気吸引式連結装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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