JP2000191388A

JP2000191388A - 高温発酵堆肥及びその製法

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Publication number: JP2000191388A
Application number: JP10378386A
Authority: JP
Inventors: Etsuo Kobayashi; 悦雄小林
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1998-12-24
Filing date: 1998-12-24
Publication date: 2000-07-11

Abstract

(57)【要約】（修正有）【解決手段】街路樹などの生樹木の枝木を切断した繊維
状物と、それに絡み付いている切断された葉との混合物
を、予め底含分率の有機系廃棄物により水分調整された
高含分率の有機系廃棄物に混合して、場合によれば、多
孔物質を混入して、腐朽し製造した高温発酵堆肥であ
る。【効果】切断された葉には、蛋白質、脂肪、炭水化物な
どの栄養源が豊富にあり、低エネルギー源しか含まれて
いない有機系廃棄物へ栄養を補給すること、枝木を切断
された繊維状物は、堆肥中の通気性の改善をはかり、好
気性微生物に必要な酸素を補給することにより、好気性
微生物の活動が活発になり高温発酵堆肥になる。従来に
ない８０℃以上の高温発酵温度が維持されＯ−１５７大
腸菌のような病原菌は皆無となる高品質で安全な高温発
酵堆肥である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高温発酵堆肥とそ
の製法に関するものであり、特に施設園芸用、露地用堆
肥として最適なものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、家畜糞尿、キノコ栽培済み廃培
地、オガコ、モミガラ、コーヒーの絞りカスなどの有機
系廃棄物は、これらの廃棄物を適当に混合して最適発酵
するように水分率とＣ／Ｎ比を調整し堆積発酵する。こ
の際、好気性発酵を目指し、バケットにより５〜６回切
り返し、酸素を適当に供給することにより、好気性微生
物の環境を定期的に維持して、有機系廃棄物を発酵し堆
肥として田畑に使用されている。この中で、家畜系堆肥
に含まれるＯ−１５７の大腸菌は懸念される問題であ
る。

【０００３】家畜糞尿や食品加工残渣などの高含水率有
機系廃棄物は、モミガラ、オガコなどの低含水率有機系
廃棄物と混合して、発酵に最適な６０％前後に水分調整
する。堆肥化は微生物が有機物を分解する過程である。
従って、微生物の餌が豊富にあることが重要であるが、
通常、家畜糞尿や食品加工残渣は、蛋白質類、脂肪類、
炭水化物類など家畜の生産物や食品加工物に利用された
滓で栄養源が少ないことが欠点である。また、水分調整
材のモミガラ、オガコは、一般的に乾物であり表面硬化
を起こしたもので腐りにくい欠点がある。更にリグリン
やセルロースが分解しにくい欠点がある。

【０００４】有機系廃棄物を堆肥化した場合、発酵の上
限温度は６０℃前後しかない。この温度では、Ｏ−１５
７の大腸菌の殺菌は期待できないとともに、リグリンや
セルロースの効率分解も期待できない。堆肥設備能力に
余裕のない施設では、低温発酵の堆肥は未分解の物質が
残り、田畑に施用した場合には、土壌中で分解が進み有
害ガスが発生して、ミミズや善玉微生物を殺し土壌の団
粒化を阻害するとともに、作物の根が痛み致命傷となっ
ている。また、未熟堆肥による悪臭公害が発生し地域住
民との争いが絶えなく起こり、畜産農家、キノコ栽培農
家、食品加工企業などの経営を圧迫している。

【０００５】家畜糞尿、食品加工残渣、キノコ栽培済み
廃培地、脱水ケーキなどの有機系廃棄物から生産される
堆肥は、ほとんどが細粒状堆肥である。一部、バーク堆
肥は、製材工場からでる針葉樹の樹皮を入れているが、
針葉樹はリグリンが多く熱分解されない未分解堆肥とし
て使用されているのが実情である。堆肥の目的として、
田畑の土壌の膨軟化がある。当該発明の堆肥のような切
断された枝木の繊維状腐朽物の粗大有機物を含む堆肥
は、土壌中に鋤き混まれると土壌が固まるを防ぐ膨軟化
性、通気性、保水性がある。一方、細粒状堆肥は直ぐに
土壌が硬化し土壌の膨軟化性、通気性、保水性が失われ
てしまう欠点がある。

【０００６】具体例１として、エノキやナメコの人工栽
培の培地素材としては、近年、樹木のオガコからトウモ
ロコシの芯を粉砕したコーン・コブが大幅に使用されて
きている。この理由は、オガコよりもコーン・コブの培
地の方がキノコの収量が高いことと、廃培地の処理がし
易いことによる。バージンのコーン・コブはキノコ培地
として利用し、廃コーン・コブは廃オガコより腐朽化し
易いことから、いわゆる有機循環系農業を目指したシス
テム化が図られている。キノコ栽培済み廃コーン・コブ
は、山積みされ、数回切り返されて、堆肥化されてい
る。この堆肥の問題点として、コーン・コブが粉末状で
保水性が高いことから、嫌気性発酵に傾き悪臭と団子状
の堆肥となる。従って、周辺へ悪臭公害が発生すること
と、粉末状堆肥は土壌の団粒化を阻害することで改善す
る必要があった。

【０００７】具体例２として、搾乳牛の糞尿は水分が多
く、大量にオガコを混ぜて、数回切り返して堆肥化して
いるが、悪臭の発生とともに、６０℃以下と発酵温度が
低く、完全にＯ−１５７の大腸菌の殺菌はできていな
い。さらに、オガコのセルロースやリグリンの分解が行
われていない熟成度が低い堆肥となっている。堆肥の水
分が高いときは、一見黒色の堆肥にみえて、完成度が高
く見えるが、乾燥してくるとオガコの元の色が目立ち、
完全に腐朽していないことがわかる。このような未熟堆
肥を田畑に施用すれば、作物を痛めるとともに土壌も壊
すことはいうまでもない。前記と同様に、堆肥化過程
で、周辺へ悪臭公害が発生すること、粉末状堆肥は土壌
の団粒化を阻害することで改善する必要があった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】近年、家畜系堆肥のＯ
−１５７の大腸菌の問題がクローズ・アップされてきて
いる。この解決はいかに堆肥化の発酵温度を高めるかに
ある。高エネルギー源の生樹木の切断した枝葉を混入し
た堆肥及び敷料による堆肥は８０℃以上の高温発酵が維
持され、この問題を解決できる。第１の目的は、家畜糞
尿、キノコ栽培済み廃培地などの低エネルギー源の有機
系廃棄物に、高エネルギー源の生樹木の切断された枝葉
を混入して生産した高品質な高温発酵堆肥を開示するこ
とである。第２の目的は、有機系廃棄物の水分調整材と
して利用する難分解性のオガコやモミガラをできるだけ
少なくすること、微生物の住処として、多孔物質を混入
して環境改善をすることにより生産した高品質な高温発
酵堆肥を開示することにある。第３の目的は、高エネル
ギー源の生樹木の切断された枝葉を低エネルギー源の有
機系廃棄物に混入して、熟成発酵させた高品質な高温発
酵堆肥の製造方法を開示することにある。

【０００９】

【発明が解決するための手段】本発明の第１の要旨は、
家畜糞尿やキノコ栽培済み廃培地などの有機系廃棄物に
は栄養分が少なく、微生物による堆肥化が速やかに行わ
れるように高エネルギー源の生樹木の切断された枝葉を
混入し生産したことを特徴とした高温発酵堆肥にある。

【００１０】搾乳牛は牧草や濃厚飼料を餌にして、消化
器官を通じて蛋白質、脂肪、炭水化物を摂取して体を作
り牛乳を生産する。従って、消化器官を通して排泄した
糞尿にはほとんど栄養分が残っていない。また、人工栽
培のキノコは、トウモロコシの芯を粉砕したコーン・コ
ブ、オガコ、米ぬかの混合培地を栄養にして成長するこ
とでキノコ栽培済み廃培地にもほとんど栄養が残ってい
ない。また、コーヒー滓や豆腐滓のような食品加工廃棄
物も同様に栄養分が少ない。通常、家畜の飼料や食品加
工原料、食品は、それぞれ生産された生産物に栄養分が
極力利用されるもので、廃棄物には極力栄養分を少なく
するのは当然である。堆肥発酵は、様々な嫌気性、好気
性微生物が栄養源を利用して、代謝熱が発生し繊維質や
リグリンを分解する過程である。悪臭は嫌気性微生物に
よる発酵過程で著しく発生し、好気性微生物による発酵
過程で著しく少なくなる。従って、良好な堆肥発酵は、
好気性微生物による増殖を大幅に促進する必要がある。
切断された生枝葉は、この好気性微生物の活動を著しく
促進する効果を有している。

【００１１】昔から行われている堆肥として、野原や田
畑から刈り取られた雑草と稲ワラとをサンドイッチにし
て、腐朽した堆肥がある。通常、稲ワラは乾燥してい
て、表面硬化を起こし、腐朽しにくい。そこで、生の雑
草の葉に含まれている蛋白質、脂肪、炭水化物などの栄
養を微生物が利用して、発生した発酵熱で稲ワラの繊維
やリグリンを熱分解することに速やかに堆肥化できる。
現在は人手不足によりこの堆肥はあまり普及していな
い。また、昔から行われていた養蚕は、桑の生葉を蚕の
飼料として利用されていた。桑の生葉は、蚕の体を作る
のとともに蛋白質の絹糸を作る栄養源が豊富に含まれて
いる。毛虫、アメリカヒヨシドリなどの害虫類も同様に
広葉樹の生葉を好んで餌としている。これらから理解さ
れるように、樹木の生葉には蛋白質、脂肪、炭水化物が
豊富に含まれている。

【００１２】街路樹は殆どが広葉樹で信号が街路樹の枝
葉で自動車等の運転手の視界が妨げられないように１年
中枝下ろしをしている。近年のダイオキシン問題でこの
枝葉の焼却処分が難しくなってきている。また、土手草
などの大量に出る雑草の処理も適当な方法がなく関係者
の頭の痛い問題となっている。街路樹や山の下草刈りな
どから得られる生の枝葉を切断し、家畜糞尿やキノコ栽
培済み廃培地などの有機系廃棄物に混入して、１カ月に
１回程度切り返しして３〜４カ月すると悪臭のない良好
な堆肥が出来上がる。有機系廃棄物に混入された、切断
された生枝葉の葉の部分は、切り傷がつけられ、速やか
に、微生物の餌に利用され高温の代謝熱が発生して腐朽
が進むとともに、切断された生枝木は樹皮の部分から速
やかに腐朽が始まり、切断された生枝木は、有機系廃棄
物の通気性の改善が図られ、好気性微生物の増殖を大幅
に向上し悪臭の発生を抑え、さらに、家畜系堆肥の場合
には、高温の代謝熱でＯ−１５７大腸菌の殺菌と、難分
解性のセルロースやリグリンを高効率で分解し、通常、
得られないカーボンのように黒づんだ高品質な高温発酵
堆肥ができる。

【００１３】この高温発酵堆肥を田畑に施用すると、土
壌と速やかに同化し、腐朽枝は、土壌の膨軟化、通気
性、保水性を大幅に向上する。２カ月ぐらい経過する
と、ミミズが大量に発生してくる。ミミズは土壌を表面
深耕する働きとともにミミズの糞に微生物が大量に発生
する効果がある。これらの物理的、小動物、微生物の相
乗効果による土壌の団粒化効果が一層進み作物の根にと
っては最適な土壌となる。さらに、腐朽した枝葉が土壌
に同化すると枝葉に含まれるミネラルが作物に吸収され
香りと味に深みのある農産物が生産できる堆肥である。

【００１４】また、家畜の敷料として、廃オガコ、モミ
ガラ、チップが使用されている。これらの敷料は、尿の
吸水率が低いことと、脱臭効果が少ないことにより、畜
舎が汚れ、大量の蝿と悪臭が発生して、家畜が糞尿に塗
れ健康が損なわれること、地域住民に多大な迷惑をかけ
ているのが現状である。生樹木の切断された枝葉は、生
葉のフチンチッドの香りと生枝木の繊維状物により、粘
性状態の生糞尿を適当な固形状に維持して、家畜の汚れ
を極力少なくするとともに、蝿や悪臭の発生の少ない環
境に改善できる。このように、適当な期間、家畜の敷料
として切断された生枝葉が混入した糞尿は堆積され、数
回切り返しすることで生産された高温発酵堆肥は、Ｏ−
１５７大腸菌が殺菌される。家畜の衛生管理、悪臭公害
のない一貫管理ができる。もちろん、糞尿の堆肥化にお
ける切断された生枝葉の発酵効果は前記の通りの機能を
有する高温発酵堆肥である。

【００１５】本発明の第２の要旨は、有機系廃棄物の水
分調整材として使用する難分解性のオガコ、モミガラ、
キノコ栽培廃培地などを極力少なくすること、高効率発
酵化に必要な好気性微生物の住処を提供すること、田畑
に施用した後、化学肥料の流失を極力少なくすることの
ために、多孔物質を混入したことを特徴した高温発酵堆
肥。

【００１６】搾牛乳や鶏の家畜糞尿は、水分が多く堆肥
化には、かなりの低含水率の大量な有機系廃棄物が必要
である。しかし、一般的には、モミガラ、針葉樹の樹
皮、水分率の高いキノコ栽培済み廃オガコしか農業地域
では調達できない。乾物のモミガラや針葉樹の樹皮は吸
水率が低い欠点がある。また、キノコ栽培済み廃オガコ
は、含水率が糞尿より僅か低いだけでなので、水分調整
には大量に必要なるという欠点がある。また、現在の農
地は、化学肥料の多量施肥の結果、土壌の団粒構造が失
われ保肥力がなくなっている。これらの有機系廃棄物に
より生産された堆肥は、施用を継続することで、土壌の
保肥力が緩効的に増して行くが速効性がない欠点があ
る。家畜糞尿もしくは生ゴミと、切断された生枝葉に多
孔物質の混入により生産された堆肥は、大量に必要な難
分解性の有機系廃棄物の量を抑え、好気性微生物の大幅
な増殖を促進し良好な発酵状態を維持し、保肥力に優れ
た高品質な堆肥となる。また、生樹木の不朽葉と、生樹
木の枝の繊維状不朽物と、有機系廃棄物とからなる堆肥
は、土壌との同化が速く、保肥力の継続から多孔物質の
混入は化学肥料の無駄遣いが防止できる利点がある。

【００１７】多孔物質として、パーライト、ゼオライ
ト、シリカゲル、ケイソウ土、ベントナイトなどの細粒
多孔質鉱物を使用する。または、木質炭、モミガラ炭、
コーヒー絞り滓炭、廃オガコ炭などの細粒植物質炭を使
用する。細粒の大きさは５ｍｍ以下のものが好ましい。
多孔質鉱物は特別なものは必要なく、一般に使用されて
いるものでよいが、連続性のある多孔質鉱物が好まし
い。植物質炭は、炭焼き釜により製造されるくん炭、静
地式くん炭炉によるくん炭、連続式炭化炉によるくん
炭、野焼きによる消し炭でもよい。

【００１８】本発明の第３の要旨は、高エネルギー源の
生樹木の切断された枝葉を低エネルギー源の有機系廃棄
物に混入して、熟成発酵した高品質な高温発酵堆肥を製
造することを特徴とする製造方法にある。

【００１９】一般的に、高含水率の家畜糞尿はオガコや
モミガラを混合して水率を６０％前後に調整し、堆肥舎
の床に堆積する。床から空気をブロアーにより堆積物に
強制的に通気し、好気性微生物の増殖を促進し、悪臭の
発生を少なくし、良質な堆肥の生産をしようとしてい
る。しかしながら、糞尿中及び水分調整材のオガコやモ
ミガラには、微生物の栄養源となる蛋白質、脂肪、炭水
化物が極めて少ないために、一次発酵の温度は６０℃前
後であり、二次発酵の温度は４０℃前後であり、良質な
堆肥発酵には温度が低いすぎる。良質堆肥の生産は発酵
温度をできるだけ高める必要がある。目標温度として、
８０℃以上あれば最適である。高エネルギー源として、
生樹木の切断された枝葉を家畜糞尿、キノコ栽培済み廃
オガコなどの有機系廃棄物に混合する。切断された葉に
より、エネルギー源が堆肥に供給されること、切断され
た枝木により、堆肥に隙間ができて、空気が堆肥に供給
されることで、高温発酵を維持し、家畜糞尿の場合に
は、Ｏ−１５７大腸菌を殺菌できる発酵を特徴とした高
温発酵堆肥の製造方法である。

【００２０】高含水率の有機系廃棄物を堆肥発酵する
際、低含水率の有機系廃棄物の混合は、基本である。通
気性のある高エネルギー源を有する生樹木の枝葉を混入
しても、低含水率の有機系廃棄物の混合は大量に必要と
なる。低含水率の有機系廃棄物の混合をできるだけ抑
え、高温発酵をより一層高めＯ−１５７大腸菌を殺菌
し、速効的に堆肥化するために、多孔物質の混入をす
る。多孔物質はパーライト、ゼオライト、ケイソウ土、
ベントナイトなどの多孔質鉱物及び木質炭、モミガラ
炭、コーヒー炭、オガコ炭などの植物炭を使用する。こ
の多孔物質は、有機系廃棄物の堆肥化過程において、微
生物の増殖に必要な住処を提供する機能と、有機系廃棄
物の水分を低水分化する調整機能と、熟成済み堆肥の保
肥力を大幅に向上する保肥機能がある。これらの特徴を
生かし、生樹木の切断された枝葉と、有機系廃棄物と
に、多孔質鉱物を混入して生産したことを特徴とする高
温発酵堆肥の製造方法である。

【００２１】一般的に、有機系廃棄物の堆肥は完全に無
臭になっていない堆肥が多く、利用者から嫌われてい
る。このため、堆肥生産者は、品質管理に極めて神経を
使っているが、堆肥作りは、有機系廃棄物の原料やその
時の天候に支配されるために均一で、無臭の完熟堆肥を
作ることは難しい。未熟堆肥を完熟堆肥化するために、
有機系廃棄物の発酵材及び水分調整材として、熟成した
樹木の腐朽葉と枝の繊維状腐朽物の混合物を使用する。
熟成した樹木の腐朽葉と枝の繊維状腐朽物の混合物は、
予め生樹木の切断された枝葉のみで山積みして、数回切
り返し、好気微生物により発酵した熟成堆肥である。既
に大量に増殖した好気性微生物が付着している腐朽葉と
枝の繊維状腐朽物との混合物を有機系廃棄物に混合し
て、通気性を確保すること、及び種菌の好気性微生物を
補給することにより、速効的に生産できることを特徴と
する高温発酵堆肥の製造方法である。

【００２２】

【発明の実施形態】本発明の具体的実施例を説明する。（実施例１）エノキやナメコの人工栽培済み廃コーン・
コブに、街路樹の広葉樹例えば、ケヤキ、カシ、クスノ
キ、モクレンなどの枝打ちされ生枝葉を捩り切りし、切
断した生枝葉の葉と枝の繊維状物にする。枝の繊維状物
は、直径８ｍｍ長さ５ｃｍ程度に切断され、切断された
葉は枝の繊維状物に絡み付いた混合物に状態となってい
る。この混合物は、２〜３日で発酵温度が４０℃程度に
すぐになる。廃コーン・コブと切断された葉は枝の繊維
状物に絡み付いた混合物とを２対１程度に混合して、露
天に堆積し５〜８回切り返し発酵すると、一次発酵温度
が８０℃前後になり、二次発酵温度が６０℃前後で３カ
月で堆肥化が終了する。発酵中に全く悪臭の発生が無
く、黒色の腐朽葉の粉と黒色の繊維状腐朽物と黒色のコ
ーン・コブの完全混合の高温発酵堆肥が完成する。

【００２３】堆肥作りのコストを低減するために、切り
返しをしない目的で、廃コーン・コブと生枝葉の切断し
た葉と枝の繊維状物の混合物との混合物をそれぞれ１０
０ｌづつ８試験区分で畑の土壌表面に静置して、堆肥化
の発酵状態及び完成堆肥の品質を調査した。試験開始日
は９月３日で試験終了は１２月３日とした。その結果は
次の表の通りである。被覆なしは露天で堆肥化することを想定してのものであ
り、被覆ありは堆肥舎で堆肥化することを想定した。通
常、コーン・コブ１００％物は３カ月経過ののち堆肥に
ヒトヨタケが発生する。従って、コーン・コブ：生枝葉
の切断混合物２対１の物は７日後にヒトヨタケが発生し
極めて堆肥化が速いこと、３カ月で堆肥化が終了して、
ミミズが大量発生してしていること、外見上で繊維状腐
朽物も適当にあり、土壌の物理性を改善する優秀な高温
発酵堆肥であることが示された。

【００２４】（実施例２）ドロドロ状態である搾乳牛の
糞尿に廃オガコ、モミガラを混合して水分率８０％程度
に調整した糞尿と生枝葉の切断した葉と枝の繊維状物の
混合物とを７対３で混合して水分率を６０％前後に調整
して５〜７回切り返し堆肥化した。一次発酵温度は８０
℃前後に維持され、二次発酵温度は６０℃前後に維持さ
れ、堆肥化の過程では、オガコにも十分に熱がかかりリ
グリンの分解もスムーズに行われ、枝の繊維状物により
通気性が確保でき、好気性発酵が十分に行われた。糞尿
とオガコの混合物の堆肥には、比較にならない黒色でし
かも無臭の繊維状腐朽物を含む高温発酵堆肥が得られ
た。Ｏ−１５７大腸菌の検出もなかった。

【００２５】搾乳牛の糞尿と生枝葉の切断した葉と枝の
繊維状物の混合物との混合物をそれぞれ１００ｌづつ８
試験区分で畑の土壌表面に静置して、堆肥化の発酵状態
及び完成堆肥の品質を調査した。試験開始日は８月１０
日で試験終了は１２月１０日とした。その結果は次の表
の通りである。被覆なしは露天で堆肥化することを想定してのものであ
り、被覆ありは堆肥舎で堆肥化することを想定した。通
常、糞尿７０％、オガコ３０％物は５カ月経過しても良
質な堆肥ならない。従って、糞尿８５％、オガコ１５
％：生枝葉の切断混合物７対３の物は７日後に腐朽が始
まり堆肥化が速いこと、４カ月で堆肥化が終了して、ミ
ミズが大量発生してしていること、また、外見上で繊維
状腐朽物も適当にあり、土壌の物理性を改善する優秀な
高温発酵堆肥であることが示された。

【００２６】（実施例３）搾乳牛及び肥育牛の家畜畜舎
の床に生樹木の切断した枝葉を敷料として使用した。７
０頭の牛に対して、重量４トンの敷料を二週間踏ませ
て、野積みして堆肥化した。糞尿と枝葉の敷料の割合は
８対２程度である。３カ月程度で良質な堆肥となった。
この敷料の効果は畜舎には蝿の発生が全く無く、悪臭も
ほとんど無い状態で、露天で野積みしても発酵温度は８
５℃以上に達し良好な堆肥となった。Ｏ−１５７の大腸
菌の検出では皆無であった。

【００２７】（実施例４）ドロドロ状態である搾乳牛の
糞尿に廃オガコ、モミガラを混合して水分率６０％程度
に調整して発酵した未熟堆肥と、生枝葉の切断した葉と
枝の繊維状物の混合物の熟成堆肥とを７対３で混合して
水分率を６０％前後に調整して１〜２回切り返し堆肥化
した。一次発酵温度は８０℃前後に維持され、二次発酵
温度は６０℃前後に維持され、堆肥化の過程では悪臭の
発生は全く無く、未熟堆肥にも十分に熱がかかりリグリ
ンの分解もスムーズに行われ、黒色の良質な堆肥ができ
た。特に、枝の繊維状物により通気性が確保でき、好気
性発酵が十分に行われた。Ｏ−１５７大腸菌の検出のな
い高温発酵堆肥となった。

【００２８】搾乳牛の糞尿と廃オガコ、モミガラとの混
合物の未熟堆肥と、生枝葉の切断した葉と枝の繊維状物
の混合物との混合物をそれぞれ１００ｌづつ８試験区分
で畑の土壌表面に静置して、堆肥化の発酵状態及び完成
堆肥の品質を調査した。試験開始日は８月１０日で試験
終了は１２月１０日とした。その結果は次の表の通りで
ある。被覆なしは露天で堆肥化することを想定してのものであ
り、被覆ありは堆肥舎で堆肥化することを想定した。通
常、糞尿７０％、オガコ３０％の未熟堆肥は１カ月経過
しても堆肥化が進むかなかった。従って、糞尿８５％、
オガコ１５％の未熟堆肥：生枝葉の切断され混合堆肥７
対３の物は７日後に腐朽が始まり堆肥化が速いこと、１
カ月で堆肥化が完全終了して、ミミズが大量発生してし
ていること、また、外見上で繊維状腐朽物も適当にあ
り、土壌の物理性を改善する黒色の優秀な高温発酵堆肥
であることが示された。

【００２９】

【発明の効果】本発明によれば、生樹木の切断された葉
と、切断された枝木の繊維状物とを有機系廃棄物に混合
することで、生枝葉の有するエネルギーが有機系廃棄物
に補給される。さらに、多孔物質の混入により、微生物
の環境が改善される。この結果、有機系廃棄物の通気性
と栄養性が高まり、好気性微生物が活発にしかも急速に
増殖して、発酵温度が高まり良質な堆肥が生産できる。
また、多孔物質の効果は、ミネラルと保肥力に優れ、環
境汚染を少なくし、おいしい農作物が生産できる。特
に、家畜糞尿堆肥の場合には、Ｏ−１５７の大腸菌は高
温発酵のため完全に死滅する。この堆肥は、腐朽葉と繊
維状腐朽物が混ざっているので、田畑に施されると、土
壌の膨軟化、通気性、保水性が増し、ミミズ、土壌微生
物の働きにより、団粒化した土壌が作られることを特徴
とする堆肥である。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｃ０５Ｆ 9/04 Ｂ０９Ｂ 3/00 ＺＡＢＡ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】生樹木の葉の腐朽葉と、生樹木の枝木の
繊維状腐朽物と、有機系廃棄物の腐朽物とからなること
を特徴とする高温発酵堆肥。
【請求項２】生樹木の葉の腐朽葉と、生樹木の枝木の
繊維状腐朽物と、有機系廃棄物の腐朽物と、多孔物質と
からなることを特徴とする高温発酵堆肥。
【請求項３】多孔物質として、細粒多孔質鉱物または
／および細粒植物炭からなることを特徴とする請求項２
に記載の高温発酵堆肥。
【請求項４】有機系廃棄物として、家畜糞尿、キノコ
廃培地、食品加工残渣から選ばれる１以上からなること
を特徴とする請求項１〜３に記載の高温発酵堆肥堆肥。
【請求項５】生樹木の切断された葉と、生樹木の枝木
の繊維状物と、有機系廃棄物とを混合して、堆積発酵し
たことを特徴とする高温発酵堆肥の製造法。
【請求項６】生樹木の切断された葉と、生樹木の枝木
の繊維状物と、有機系廃棄物と、多孔物質を混合して、
堆積発酵したことを特徴とする高温発酵堆肥の製造法。
【請求項７】生樹木の葉の腐朽葉と、生樹木の枝木の
繊維状腐朽物との混合物を有機系廃棄物または有機系廃
棄物の腐朽物に混合して、堆積発酵したことを特徴とす
る高温発酵堆肥の製造方法。