JP2000179575A - 車両用摩擦クラッチ装置 - Google Patents

車両用摩擦クラッチ装置

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JP2000179575A
JP2000179575A JP10324632A JP32463298A JP2000179575A JP 2000179575 A JP2000179575 A JP 2000179575A JP 10324632 A JP10324632 A JP 10324632A JP 32463298 A JP32463298 A JP 32463298A JP 2000179575 A JP2000179575 A JP 2000179575A
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vehicle
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lever
pressure plate
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Genryu Nakane
源隆 中根
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正憲 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通の車両への搭載性の点で優れ、フェーシ
ングの挟み付け力とレリーズシリンダー装置の油圧との
間の相関を簡単にかつ安定して求めることができ、か
つ、ストローク効率が良い車両用摩擦クラッチ装置を提
供する。 【解決手段】 クラッチディスク12のフェーシング1
2bの挟み付け力を、レバー機構13dのレバー部材1
3hの半径方向内端部に、油圧シリンダー装置18等に
より、外力を加えることによって発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、車両の変
速機の入力軸と一体に回転するクラッチディスクのフェ
ーシングを、車両のエンジンの出力軸と一体に回転する
フライホイールとこのフライホイールと一体に回転する
がフライホイールに対して進退可能なプレッシャープレ
ートとで挟み付けることによってエンジンと変速機との
間のトルク伝達を行わせる車両用摩擦クラッチ装置に関
し、特に、伝達トルクを自動制御するのに好適な車両用
摩擦クラッチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の車両用摩擦クラッチ装置は、一
般的に、プレッシャープレートをフライホイールに向け
て付勢するスプリングによりフェーシングの挟み付け力
を発生させると共に、スプリングの力と対抗する力を発
生させるレリーズレバーを設けてフェーシングの挟み付
け力を制御可能とし、フェーシングの挟み付け力に比例
する伝達トルクを制御可能としており、スプリングとし
てダイヤフラムスプリングを使用したものはダイヤフラ
ムスプリング式摩擦クラッチ装置と呼ばれ、またスプリ
ングとしてコイルスプリングを使用したものはコイルス
プリング式摩擦クラッチ装置と呼ばれている。ダイヤフ
ラムスプリング式摩擦クラッチ装置は、小型、中型の車
両に広く使用されており、ダイヤフラムスプリングとレ
リーズレバーとが一体に形成されている。そして、ダイ
ヤフラムスプリング式摩擦クラッチ装置とコイルスプリ
ング式摩擦クラッチ装置の何れにおいても、プレッシャ
ープレート、スプリング、レリーズレバーをカバープレ
ートに組付けてクラッチカバー組立体とし、このクラッ
チカバー組立体のカバープレートとフライホイールとを
結合するようになっている。
【0003】そして、伝達トルクを制御するために、上
記レリーズレバーの力点に力を加えるレリーズベアリン
グを変速機のケースにより摺動自在に支持させ、変速機
のケースにより揺動自在に支持させたレリーズフォーク
を介してレリーズベアリングと変速機のケースに固定し
た油圧作動のレリーズシリンダー装置のピストンとを機
械的に連結するか、或いはレリーズベアリングと同軸的
に変速機のケースに固定した油圧作動のレリーズシリン
ダー装置のピストンとレリーズベアリングとを機械的に
連結し、レリーズシリンダー装置に油圧を供給すること
によりスプリングの力に対抗する力を発生させ、フェー
シングの挟み付け力、即ち伝達トルクを制御可能として
いる。
【0004】レリーズシリンダー装置に供給する油圧
は、車両用摩擦クラッチ装置の伝達トルクを運転者が制
御する場合には車両のクラッチペダルに機械的に連結さ
れたマスターシリンダー装置によりレリーズシリンダー
装置に油圧を供給することにより制御され、また車両用
摩擦クラッチ装置の伝達トルクを発進時や変速時に自動
制御する場合には、油圧源からの油圧を圧力制御弁によ
り所望の油圧に減圧してレリーズシリンダー装置に供給
するか、或いはレリーズシリンダー装置の油圧を検出し
て所望の油圧となるように油圧源からの圧油を給排制御
弁によりレリーズシリンダー装置に給排することによっ
て制御される。
【0005】また、実開平4−90736号公報には、
フライホイールと一体に回転する油圧シリンダー装置に
よりフェーシングの挟み付け力を発生させるように構成
した車両用摩擦クラッチ装置が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のダイヤフラムス
プリング式摩擦クラッチ装置やコイルスプリング式摩擦
クラッチ装置は、レリーズシリンダー装置を変速機のケ
ースに支持させているため、レリーズシリンダー装置と
その油圧制御装置との油圧的接続構造が簡単であり、普
通の車両への搭載性の点で優れている。これに対し、実
開平4−90736号公報に記載の摩擦クラッチ装置
は、油圧シリンダー装置がフライホイールと一体回転す
るため、油圧シリンダー装置とその油圧制御装置との油
圧的接続構造が複雑である上、油圧シリンダー装置の油
圧が遠心力の影響を受けるので、遠心力の影響を打消す
ための装置を必要とし、従って普通の車両への搭載性の
点で劣る。
【0007】車両の駆動系における急激なトルク変動は
車両のショックをもたらすので、車両用摩擦クラッチ装
置の伝達トルクを自動制御する場合には、フェーシング
の挟み付け力とレリーズシリンダー装置の油圧との間の
相関を簡単にかつ安定して求めることができることが望
まれる。
【0008】しかしながら、従来のダイヤフラムスプリ
ング式摩擦クラッチ装置やコイルスプリング式摩擦クラ
ッチ装置では、上記相関を簡単に求めることができな
い。即ち、車両の走行によってクラッチディスクのフェ
ーシングが摩耗し、やがては摩滅する。フェーシングの
摩耗が進行するのに伴い、フェーシングを挟み付けてい
るプレッシャープレートの位置がフライホイール側へず
れ、スプリングの撓み量が減少してスプリングの力が変
化する。従って、フェーシングの挟み付け力を任意の値
に調節するためにレリーズシリンダー装置に供給しなけ
ればならない油圧の値は、フェーシングの摩耗によるプ
レッシャープレートの位置の変動を検出し、プレッシャ
ープレートの位置の変動によるスプリングの力の変動分
を補正しなければならない。特に、ダイヤフムスプリン
グ式摩擦クラッチ装置のダイヤフラムスプリングの撓み
量と力との関係は非線形であるので、フェーシングの摩
耗によるプレッシャープレートの位置ずれを高精度で検
出することが重要となる。
【0009】また、車両用摩擦クラッチ装置において
は、(油圧シリンダー装置の作動ストローク量−プレッ
シャープレートのストローク量×レバー比)/油圧シリ
ンダー装置の作動ストローク量で表わされるストローク
効率が良いことが望まれる。しかし、従来のダイヤフラ
ムスプリング式摩擦クラッチ装置やコイルスプリング式
摩擦クラッチ装置は、レリーズシリンダー装置のピスト
ンのストローク量がレリーズレバーやカバープレート等
の撓みにより消費され、特にトルク伝達状態とトルク伝
達の遮断状態とではレリーズレバーの支点部に加わる力
の方向が反転することからカバープレートの撓みが大き
く、従って無効ストローク量が大きいことから、ストロ
ーク効率が悪い。特に、ダイヤフラムスプリング式摩擦
クラッチ装置はダイヤフラムスプリングとレリーズレバ
ーとが一体である関係上、レリーズレバーの曲げ剛性が
低くならざるを得ず、レリーズレバーの撓みが大きい。
【0010】ストローク効率が悪いことは、レリーズシ
リンダー装置を含む油圧系の大型化を招き、多くの不利
益を招く。
【0011】この出願の発明は、普通の車両への搭載性
の点で優れ、フェーシングの挟み付け力と油圧シリンダ
ー装置の油圧等との間の相関を簡単にかつ安定して求め
ることができ、かつ、ストローク効率が良い、車両用摩
擦クラッチ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この出願の請求項1の発
明は、車両の変速機の入力軸と一体に回転するクラッチ
ディスクのフェーシングを、車両のエンジンの出力軸と
一体に回転するフライホイールとこのフライホイールと
一体に回転するがフライホイールに対して進退可能なプ
レッシャープレートとで挟み付けることによってエンジ
ンと変速機との間のトルク伝達を行わせる車両用摩擦ク
ラッチ装置であって、前記フライホイールと一体的に結
合するカバープレートと、前記カバープレートと一体に
回転するが軸方向へ移動可能に連結したプレッシャープ
レートと、前記プレッシャープレートを前記フライホイ
ールから離間させるように付勢させる付勢部材と、前記
カバープレートと前記プレッシャープレートの軸方向対
向部間に配置し、前記カバープレートとの当接部を支点
とするとともに前記プレッシャープレートとの当接部を
作用点としたレバー機構とを設け、このレバー機構の力
点に、前記車両に対して固定の部材により支持させたア
クチュエータの出力を加えることで前記プレッシャープ
レートを前記フライホイールに向けて押して前記フェー
シングの前記挟み付け力を発生させることを特徴とする
車両用摩擦クラッチ装置である。この場合、レバー機構
の力点に力を加えるアクチュエータとしては、油圧シリ
ンダー装置、電動アクチュエータ等がある。
【0013】この出願の請求項2の発明は、請求項1に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記付勢部材
を前記カバープレートと前記プレッシャープレートとの
間で作用するように配設し、前記カバープレート、前記
プレッシャープレート、前記付勢部材および前記レバー
機構をクラッチカバー組立体としたことを特徴とする車
両用摩擦クラッチ装置である。
【0014】この出願の請求項3の発明は、請求項1に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記レバー機
構を、放射状に配置しその半径方向内端部の反プレッシ
ャープレート側に前記力点を設定した板状の多数のレバ
ー部材と、これらレバー部材の半径方向外端部の反プレ
ッシャープレート側を前記カバープレートにピボット運
動可能に支持させる支点部または支点部材と、前記プレ
ッシャープレートに形成した作用点部とで構成したこと
を特徴とする車両用摩擦クラッチ装置である。
【0015】この出願の請求項4の発明は、請求項3に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記カバープ
レートに円筒部とこの円筒部の反クラッチディスク側端
から半径方向内方に延在するフランジ部を形成し、この
円筒部の内周側に前記レバー部材を配置し、前記支点部
材を前記円筒部と前記フランジ部の境界のコーナー部の
内周側に配置したことを特徴とする車両用摩擦クラッチ
装置である。
【0016】この出願の請求項5の発明は、請求項3に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記複数のレ
バー部材の全数の半径方向外端部を1つまたは複数の可
撓な連結部材により相互に連結して1組のレバー部材組
立体としたことを特徴とする車両用摩擦クラッチ装置で
ある。
【0017】この出願の請求項6の発明は、請求項5に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記連結部材
を弾性のある薄板で形成するとともに周方向長さを可変
とさせるためのウェーブを付与し、前記エンジンの前記
出力軸の回転時に前記レバー部材に働く遠心力により前
記連結部材の周方向長さが増加されて前記レバー部材の
半径方向外端が前記カバープレートの前記円筒部の内周
に当接するようにしたことを特徴とする車両用摩擦クラ
ッチ装置である。
【0018】この出願の請求項7の発明は、請求項1に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記レバー機
構を、放射状に配置しその半径方向内端部のプレッシャ
ープレート側に前記力点を設定した板状の多数のレバー
部材と、これらレバー部材の半径方向両端部間を前記カ
バープレートにピボット運動可能に支持させる支点部材
と、前記プレッシャープレートに形成した作用点部とで
構成したことを特徴とする車両用摩擦クラッチ装置であ
る。
【0019】この出願の請求項8の発明は、請求項7に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記プレッシ
ャープレートに円筒部を形成し、この円筒部の内周側に
前記レバー部材の半径方向外端部を配置したことを特徴
とする車両用摩擦クラッチ装置である。
【0020】この出願の請求項9の発明は、請求項7に
記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記複数のレ
バー部材の全数の半径方向外端部を1つまたは複数の可
撓な連結部材により相互に連結して1組のレバー部材組
立体としたことを特徴とする車両用摩擦クラッチ装置で
ある。
【0021】この出願の請求項10の発明は、請求項9
に記載の車両用摩擦クラッチ装置であって、前記連結部
材を弾性のある薄板で形成するとともに周方向長さを可
変とさせるためのウェーブを付与し、前記エンジンの前
記出力軸の回転時に前記レバー部材に働く遠心力により
前記連結部材の周方向長さが増加されて前記レバー部材
の半径方向外端が前記プレッシャープレートの前記円筒
部の内周に当接するようにしたことを特徴とする車両用
摩擦クラッチ装置である。
【0022】この出願の請求項1の車両用摩擦クラッチ
においては、クラッチディスクのフェーシングの挟み付
け力をレバー機構の力点に、油圧シリンダー装置や電動
アクチュエータ等により、外力を加えることによって発
生させるようにしたことから、普通の車両への搭載性の
点で優れると共に、フェーシングの挟み付け力を任意の
値に調節するために油圧シリンダー装置に供給しなけれ
ばならない油圧や電動アクチュエータに供給しなけれな
ならない電流の値は、フェーシングの摩耗量の如何に拘
わらず、略一定となり、フェーシングの挟み付け力と油
圧シリンダー装置の油圧或いは電動アクチュエータの電
流との間の相関を簡単にかつ安定して求めることができ
る。そして、レバー機構の支点に加わる力の方向がトル
ク伝達状態とトルク伝達の遮断状態とで反転することが
ないので、トルク伝達状態とトルク伝達の遮断状態との
間で切換える際のカバープレートの撓みによる無効スト
ローク量が低減し、従ってストローク効率を向上させ、
油圧シリンダー装置を含む油圧系や電動アクチュエータ
を含む電気系を小型化することができる。それに加え
て、レバー機構の撓みが、フェーシング挟み付け力のス
テップ的な変化を抑制して伝達トルクのステップ的な変
化を抑制するためにクラッチディスクのフェーシングに
一般的に付与してあるクッショニング撓み量と直列に作
用するから、クッショニング撓み量を少なくし、相当量
のレバー比を大きくすることにより、油圧シリンダー装
置を小径化したり、或いは作動油圧や作動電力を低くす
ることができる。
【0023】この出願の請求項2の車両用摩擦クラッチ
装置は、プレッシャープレートをフライホイールから離
間させるように付勢させる付勢部材を、カバープレート
とプレッシャープレートとの間で作用するように配設
し、前記カバープレート、前記プレッシャープレート、
前記付勢部材および前記レバー機構をクラッチカバー組
立体としたので、車両への搭載性の点で優れる。
【0024】この出願の請求項3の車両用摩擦クラッチ
装置は、放射状に配置した板状の多数のレバー部材を用
いてレバー機構を構成させているので、その軸方向長さ
を、従来のダイヤフラムスプリング式摩擦クラッチ装置
と同程度の短いのものとすることができる。また、レバ
ー部材の板厚を大きくしたり、その断面形状を曲げ剛性
の高い形状とすることにより、軸方向長さの大幅な増加
を伴うことなく、レバー部材の撓みによる無効ストロー
クを低減することができる。尚、レバー部材は耐摩耗性
の高いものとするため、焼き入れや硬質クロームメッキ
を施すことが望ましい。
【0025】この出願の請求項4の車両用摩擦クラッチ
装置は、カバープレートの円筒部の内周側にレバー部材
を配置すると共に、円筒部とフランジ部の境界のコーナ
ー部の内周側にレバー部材の支点部または支点部材を配
置したので、組立が容易である。尚、支点部材が当接す
るコーナー部の内周側面は切削仕上げすることが望まし
く、支点部材は焼き入れ等を施して耐摩耗性の高いもの
とすることが望ましい。また、支点部材を1個所で切断
したリング状に形成し、切断部の対抗端を折り曲げてカ
バープレートの孔に係止させ、カバープレートからの脱
落を防止させることとしてもよい。
【0026】この出願の請求項5の車両用摩擦クラッチ
装置は、複数のレバー部材の全数の半径方向外端部を1
つまたは複数の可撓な連結部材により相互に連結して1
組のレバー部材組立体としたので、組立がより容易とな
る。複数の連結部材を用いた場合は、1つの連結部材を
用いた場合に比べて、板状素材から連結部材を打ち抜き
形成するときの材料の歩留まりが良いので、材料費を低
減できる。
【0027】この出願の請求項6の車両用摩擦クラッチ
装置は、連結部材を弾性のある薄板で形成するとともに
周方向長さを可変とさせるためのウェーブを付与し、前
記エンジンの前記出力軸の回転時に前記レバー部材に働
く遠心力により前記連結部材の周方向長さが増加されて
前記レバー部材の半径方向外端が前記カバープレートの
前記円筒部の内周に当接するようにしたので、高速回転
時に各レバー部材に働く遠心力をカバープレートへ逃が
すことができる。また、連結部材の各レバー部材と連動
した軸方向の変位による荷重を小さくできるので、油圧
シリンダーの油圧や電動アクチュエータの電流と伝達ト
ルクの相関を容易に得ることができる。
【0028】この出願の請求項7の車両用摩擦クラッチ
装置は、放射状に配置した板状の多数のレバー部材を用
いてレバー機構を構成させているので、その軸方向長さ
を、従来のダイヤフラムスプリング式摩擦クラッチ装置
と同程度の短いのものとすることができる。また、レバ
ー部材の板厚を大きくしたり、その断面形状を曲げ剛性
の高い形状とすることにより、軸方向長さの大幅な増加
を伴うことなく、レバー部材の撓みによる無効ストロー
クを低減することができる。尚、レバー部材は耐摩耗性
の高いものとするため、焼き入れや硬質クロームメッキ
を施すことが望ましい。
【0029】この出願の請求項8の車両用摩擦クラッチ
装置は、プレッシャープレートの円筒部の内周側にレバ
ー部材の半径方向外端部を配置したので、組立が容易で
ある。
【0030】この出願の請求項9の車両用摩擦クラッチ
装置は、複数のレバー部材の全数の半径方向外端部を1
つまたは複数の可撓な連結部材により相互に連結して1
組のレバー部材組立体としたので、組立がより容易とな
る。複数の連結部材を用いた場合は、1つの連結部材を
用いた場合に比べて、板状素材から連結部材を打ち抜き
形成するときの材料の歩留まりが良いので、材料費を低
減できる。
【0031】この出願の請求項10の車両用摩擦クラッ
チ装置は、連結部材を弾性のある薄板で形成するととも
に周方向長さを可変とさせるためのウェーブを付与し、
前記エンジンの前記出力軸の回転時に前記レバー部材に
働く遠心力により前記連結部材の周方向長さが増加され
て前記レバー部材の半径方向外端が前記プレッシャープ
レートの前記円筒部の内周に当接するようにしたので、
高速回転時に各レバー部材に働く遠心力をプレッシャー
プレートへ逃がすことができる。また、連結部材の各レ
バー部材と連動した軸方向の変位による荷重を小さくで
きるので、油圧シリンダーの油圧や電動アクチュエータ
の電流と伝達トルクの相関を容易に得ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、この出願の発明に係る車両
用摩擦クラッチ装置の実施形態について、図を参照して
説明する。
【0033】図1は、車両用摩擦クラッチ装置を示す。
図1において、11は図示しないエンジンの出力軸と一
体に回転するフライホイール、12は図示しない変速機
(そのケースは車両に固定される)の入力軸にスプライ
ン連結されたクラッチディスク、13はクラッチカバー
組立体、14は変速機の入力軸の外周を取り囲むように
変速機ケースに固定された支持スリーブ、15は支持ス
リーブ14により摺動自在に支持されたベアリング組立
体、16は変速機ケース或いは車両に固定のクラッチハ
ウジング(図示省略)に固定されたピボット支持部材、
17は半径方向に横たわりかつその中間部をピボット支
持部材16によりピボット運動自在に支持されたフォー
ク部材、18はフォーク部材17の外端を押す油圧シリ
ンダー装置である。
【0034】クラッチディスク12は外周部の薄い板ば
ね材製のクッショニングスプリング12aの両側に取付
けられたフェーシング12b、12bを備えている。
【0035】クラッチカバー組立体13は、図1〜図5
に示すように、外周部にてフライホイール11にボルト
結合されるカバープレート13aと、プレッシャープレ
ート13bと、カバープレート13aとプレッシャープ
レート13bと一体に回転するように連結すると共にプ
レッシャープレート13bをフライホイール11から離
間するように軸方向に付勢するストラップ(薄い板ばね
材を複数枚積層してなる)13cと、カバープレート1
3aとプレッシャープレート13bの軸方向対向部間に
位置するレバー機構13dとを主たる構成要素としてい
る。
【0036】カバープレート13aは、円筒部13e
と、フランジ部13fと、それらの境界のコーナー部1
3gを有している。レバー機構13dは、カバープレー
ト13aの円筒部13eの内周側に、円筒部13eの内
周に沿って放射状に配置された板材製の12本のレバー
部材13h〜13hと、カバープレート13aのコーナ
ー部13gの内周側に配置された線材製のリング状の支
点部材13jと、プレッシャープレート13bに形成さ
れた12個の突起状の作用点部13k〜13kと、12
本のレバー部材13h〜13hの半径方向外端部を相互
に連結する薄い板ばね材製のリング状の連結部材13m
とを主たる構成要素としている。各レバー部材13hの
内端部はベアリング組立体15によってフライホイール
11側へ押される力点部とされている。
【0037】ストラップ13cは、図1および図3に示
すように、その一端をリベット13nによりカバープレ
ート13aに結合され、またその他端をリベット13o
によりプレッシャープレート13bの外周の突出部に結
合されている。連結部材13mは、図2、図4および図
5に示すように、リベット13p、13pにより各レバ
ー部材13hと結合されている。高速回転時に各レバー
部材に働く遠心力をカバープレートへ逃がすするため、
連結部材13mは弾性を有する薄板で形成されるととも
に、連結部材13mのレバー部材13hと対向する部分
と対向しない部分とが軸方向でずれているように、ウェ
ーブが付与されている。エンジン出力軸の非回転時に図
4中に示した距離Aは、エンジン出力軸の回転時にはレ
バー部材13hに働く遠心力により図5中に示した距離
B(但し、A<B)となる。つまり、レバー部材13h
に働く遠心力により連結部材13mの周方向長さが増加
されてレバー部材13hの半径方向外端がカバープレー
ト13aの円筒部13eの内周に当接する。ウェーブ
は、また、連結部材13mの応力集中を回避し、連結部
材13mのレバー部材13hと連動した軸方向の変位に
よる荷重を小さくする。
【0038】支点部材13jが当接するカバープレート
13aのコーナー部13gの内側面は切削仕上げされて
いる。そして、支点部材13jと各レバー部材13h
は、耐摩耗性を高くするために、焼き入れが施されてい
る。
【0039】ピボット支持部材16による支持点を中心
としたフォーク部材17のピボット運動によりベアリン
グ組立体15は軸方向へ摺動するように、フォーク部材
17の内端はベアリング組立体15と連結されている。
フォーク部材17は、スプリング20によりベアリング
組立体15との当接を維持され、またスプリング19に
よりレバー部材13hとの当接を維持されている。
【0040】油圧シリンダー装置18は、変速機ケース
に固定されたシリンダー18aと、このシリンダー18
a内に摺動自在に嵌合され作動油圧室18bを区画形成
するピストン18cと、このピストン18cとフォーク
部材17の外端との間で力の伝達を行うプッシュロッド
18dと、作動油圧室18b内に設置されてピストン1
8cをフォーク部材17の外端に向けて付勢してプッシ
ュロッド18dとピストン18cおよびフオーク部材1
7との当接状態を維持するスプリング18eを主たる構
成要素としている。作動油圧室18bの油圧を排出した
ときのピストン18cの盲動は、スプリング18eによ
り規制される。
【0041】図6に示すように、油圧シリンダー装置1
8には、作動油圧室18bの油圧を排出したときのピス
トン18cの復帰位置を、フェーシング12bの摩耗に
追従して、作動油圧室18bの容積が拡大する方向へ移
動させる位置調節装置20が附設されている。この位置
調節装置20は、シリンダー18aの開口寄りの拡大さ
れた内径部18a1とプッシュロッド18dの外周との
間の環状空間20aに収容された皿ばね(リング状のば
ね板)20bを備える。この皿ばね20bは、図7に示
すように、その外周縁に、内径部18a1に対して図6
の右方向へは所定値以上の軸方向の力が加わることで移
動可能であるが図6の左方向へは移動不能なように係合
される舌状部21b1を8個、周方向に等間隔で有して
いる。舌状部21b1の数は任意に設定し得るものであ
る。作動油圧室18bの油圧によりピストン18cを図
6の右方向に押す力は、皿ばね20bの舌状部20b1
を内径部18a1に対して図6の右方向に移動させるの
に十分である。皿ばね20bの内径は、ピストン18c
の往復運動に伴い発生するプッシュロッド18dの、ピ
ストン18dとの当接点を中心としたピボット運動によ
りプッシュロッド18dの外周と皿ばね20bの内周と
が干渉することのないような大きさに選定されている。
プッシュロッド18dの外周には、皿ばね20bの内径
よりも大きな外径を有する鍔部(ストッパ部)18d1
が形成されると共に、この鍔部18d1から所定間隔だ
け油圧シリンダー装置18の軸方向に隔ててスナップリ
ング(ストッパ部)20cが固定されている。このスナ
ップリング20cはプッシュロッド18dの外周に形成
されたリング状の溝にその内周縁部を嵌入されることで
プッシュロッド18dに対して固定されているものであ
り、その外径も皿ばね20bの内径より大きくされてお
り、皿ばね20bの内周縁部は油圧シリンダー装置18
の軸方向において鍔部18d1とスナップリング20c
との間に位置している。フェーシング12bの挟み付け
力を最大にするべく作動油圧室18bに最高の油圧が供
給されている図6の状態では、皿ばね20bの内周縁と
スナップリング20cとの間に所定ストロークに対応す
る間隔Sが存在する。
【0042】以上に説明した構成の車両用摩擦クラッチ
装置においては、油圧シリンダー装置18の作動油圧室
18bに油圧を供給しなければ、ストラップ13cによ
ってプレッシャープレート13bに加えられる力がスプ
リング18eの力やベアリング組立体15、フォーク部
材17、ピストン18cの摺動抵抗に打ち勝ってプレッ
シャープレート13bはフライホイール11から遠ざか
る方向へ動かされ、プレッシャープレート13bがプレ
ッシャープレート側のフェーシング12bから離間する
と共にフライホイール側のフェーシング12bがフライ
ホイール11から離間するので、フェーシング12b、
12bの挟み付け力がゼロとなり、伝達トルクがゼロと
なる。この場合のプレッシャープレート13b、ベアリ
ング組立体15、フォーク部材17、プッシュロッド1
8d、ピストン18cの移動は、プッシュロッド18d
に固定されたスナップリング20aが皿ばね20bの内
周縁に当接してそれ以上の移動を規制されることによっ
て終了する。
【0043】油圧シリンダー装置18の作動油圧室18
bに油圧を供給すると、油圧によってピストン18cに
推進力が発生し、この推進力(油圧シリンダー装置18
の出力)がプッシュロッド18d、フォーク部材17、
ベアリング組立体15およびレバー機構13dを順次介
してプレッシャープレート13bに、これをフライホイ
ール11側へ押すように伝達される。ピストン18cの
推進力に基づきプレッシャープレート13bに加えられ
る力がストラップ13cによりプレッシャープレート1
3bに加えられる力を上回ると、プレッシャープレート
13bがフライホイール側へ動く。従って、作動油圧室
18bの油圧の上昇によりプレッシャープレート13b
がフライホイール側側へ動き、フェーシング12bをフ
ライホイール11との間で挟み付け、このフェーシング
の挟み付け力に応じたトルクがフラーホイール11から
変速機の入力軸に伝達される。
【0044】ストラップ13cによりプレッシャープレ
ート13bに加えられる力は油圧シリンダー装置18の
作動油圧によってプレッシャープレート13bに加えら
れる力に対して非常に小さいので、フェーシングの挟み
付け力は、油圧シリンダー装置18に供給する油圧に略
比例するので、伝達トルクの大きさは油圧シリンダー装
置18に供給する油圧によって制御することができる。
【0045】油圧シリンダー装置18に油圧を供給して
フェーシングの挟み付け力を発生させる場合、フォーク
部材17やレバー部材12hに曲げ力が加わるためこれ
らが撓むと共に、支点部材13jを支持するカバープレ
ート13aにも曲げ力が加わってカバープレート13a
が撓み、ピストン18cのストローク量の一部が無効と
なる。しかし、カバープレート13aに加わる力の方向
は常に一定であり、カバープレート13aの撓みに起因
する無効ストローク量は、カバープレート13aに加わ
る力の方向が反転する場合に比べれば少ない。また、こ
れら撓みは、クッショニングスプリング12aによりフ
ェーシングに付与されるクッション撓みと直列である。
【0046】フェーシングの挟み付け力を最大にするべ
く作動油圧室18bに最高の油圧を供給したときのピス
トン18cの位置は、フェーシング12bが新品の状態
であって摩耗していない場合には、プッシュロッド18
dの鍔部18d1が皿ばね20bの内周縁に所定値未満
の力で当接する位置である。
【0047】他方、車両用摩擦クラッチ装置をトルク伝
達状態と非トルク伝達状態との間で繰り返し切換えるこ
とによってフェーシング12bが摩耗すると、作動油圧
室18bに最高の油圧を供給したときのピストン18c
の位置は、フェーシング12bが摩耗していないときの
位置に比べて、フェーシング12bの摩耗量に対応した
量だけ図6で右方向にずれる。従って、この場合におい
ては、プッシュロッド18dの鍔部18d1が皿ばね2
0bの内周縁に所定値以上の力で当接し、皿ばね20b
が、ピストン18cの摺動が止まるまで、換言するとフ
ェーシング12bの摩耗量に対応するピストン18cの
位置ずれ量だけ図6で右方向へ動かされる。
【0048】而して、フェーシング挟み付け量の最大値
および最小値のそれぞれに対するプレッシャープレート
13b、ベアリング組立体15、フォーク部材17、プ
ッシュロッド18d、ピストン18cの位置は、フェー
シング12bの摩耗量に対応して調節され、ピストン1
8cについて見れば、作動油圧室18bの油圧を排出し
たときのピストン18cの復帰位置は、フェーシング1
2bの摩耗に追従して、作動圧力室18bの容積が拡大
する方向へ移動される。これにより、車両用摩擦クラッ
チの伝達トルクを最大と最小との間で切換える際に油圧
シリンダー装置18の作動油圧室18bに給排すべき作
動油の量は一定となる。
【0049】トルク伝達状態からトルク伝達の遮断状態
に切換えるために油圧シリンダー装置18の作動油圧室
18bをリザーバ(図示省略)に連通すると、撓みが発
生していた部材の復元作用やストラップ13cの作用に
よってピストン18cが迅速に復帰させられ、従ってフ
ェーシングの挟み付け力が迅速に減少する。
【0050】尚、油圧シリンダー装置18の作動油圧室
18bの油圧の制御は、エンジンにより電磁クラッチ等
を介して駆動されるか、電動機により直接駆動される油
圧ポンプによりアキュームレータに所定レベルの油圧を
蓄積するようにした油圧源と、アキュームレータから導
いた油圧をリニアソレノイドにより駆動する圧力制御弁
により所望の油圧に減圧して供給することで行ったり、
アキュームレータからの作動圧油をリニアソレノイドに
より駆動する流量制御弁によって作動油圧室に給排させ
ると共に作動油圧室の油圧を検出して流量制御弁を制御
することで行ったり、或いはエンジン直結の油圧ポンプ
の吐出油をリニアソレノイドにより駆動する流量制御弁
によって作動油圧室に給排させると共に作動油圧室の油
圧を検出して流量制御弁を制御することで行うこととす
ればよい。
【0051】図8および図9は、この出願の発明の車両
用摩擦クラッチ装置であるが図1〜図7に示すものとは
異なる車両用摩擦クラッチ装置を示す。この図8および
図9の車両用摩擦クラッチ装置と図1〜図7の車両用摩
擦クラッチ装置との相違点は、油圧シリンダー装置によ
ってベアリング組立体を動かす構成および位置調節装置
の構成の点にある。図8および図9に示すように、変速
機ケースの支持スリーブ114に固定的に支持させる環
状のシリンダー118a内に環状のピストン118cを
摺動可能に嵌合して環状の作動油圧室118bを区画形
成させ、ピストン118cのシリンダー118aからの
小径の突出端部にベアリング組立体115を、ピストン
118cに固定したスナップリング120cおよびばね
板118fとにより一体に動くように結合し、レバー部
材13hとベアリング組立体115との当接を維持させ
るスプリング118eをシリンダー118aの外周側に
配置している。そして、位置調節装置120は、ピスト
ン118bの突出端部の付け根部分の外周とシリンダー
118aの開口寄りの拡大された内径部との間の環状空
間120a内に皿ばね120bを配置し、この皿ばね1
20bをその外周縁に一体に形成した複数の舌状部12
0b1により、シリンダー118aに対して、油圧シリ
ンダー装置118の軸方向の一方向(図9で左方向)へ
は所定値以上の軸方向の力が加わることによって移動可
能であるが他方向(図9で右方向)へは移動不能に係合
させている。皿ばね120aの内周縁は、ピストン11
8cに形成した段部(ストッパ部)118c1とスナッ
プリング(ストッパ部)120cとの間に配置し、フェ
ーシング12bの挟み付け力を最大にするべく作動油圧
室118bに最高の油圧が供給されている図8の状態で
は、皿ばね120bの内周縁とスナップリング120c
との間に所定ストロークに対応する間隔(図6の間隔S
に相当する)を存在させている。この図8および図9の
車両用摩擦クラッチ装置でも、図1〜図7に示す車両用
摩擦クラッチ装置と同等の作用、効果が得られる。
【0052】図10は、この出願の発明の車両用摩擦ク
ラッチ装置であるが図1〜図7に示す車両用摩擦クラッ
チ装置、および、図8および図9に示す車両用摩擦クラ
ッチ装置とは異なる車両用摩擦クラッチ装置を示す。こ
の図10の車両用摩擦クラッチ装置の、図1〜図7の車
両用摩擦クラッチ装置、図8及び図9の車両用摩擦クラ
ッチ装置との相違点は、油圧シリンダー装置の出力(作
動油圧室の油圧によるピストンの推進力)をプレッシャ
ープレートに伝達する伝達系にある。即ち、図1〜図7
に示す車両用摩擦クラッチ装置、および、図8および図
9に示す車両用摩擦クラッチ装置においては、油圧シリ
ンダー装置18、118の出力をベアリング組立体1
5、115からレバー機構13dのレバー部材13hの
半径方向内端部の反プレッシャープレート側に設定した
力点に加えてレバー部材13hの半径方向内端部をプレ
ッシャープレート13b側へ押すことによりプレッシャ
ープレート13bをフライホイール11側へ押すように
しているが、図10の車両用摩擦クラッチ装置は、油圧
シリンダー装置218の出力をベアリング組立体215
からレバー機構213dのレバー部材213hの半径方
向内端部のプレッシャープレート側に設定した力点に加
えてレバー部材213hの半径方向内端部を反プレッシ
ャープレート13b側へ引くことによりプレッシャープ
レート13bをフライホイール11側へ押すようにして
いる。
【0053】図10に示すように、クラッチカバー組立
体13のレバー機構213dの多数のレバー部材213
hのぞれぞれは、レバー機構13dの各レバー部材13
hとと同様に、それらの半径方向外端部寄りの部位にお
いて、弾性を有する薄板からなりかつウェーブが付与さ
れた連結部材により相互に連結されている。各レバー部
材213hは、カバープレート13bのフランジ部13
fの内周縁に周方向に等間隔で形成された複数の保持部
13qにより、各レバー部材213hの軸方向両側に配
置された一対のリング状の支点部材213jと一緒に挟
持されている。これにより各レバー部材213hは、カ
バープレート13bに対してピボット運動可能に支持さ
れている。各レバー部材213hの半径方向外端部は、
プレッシャープレート13bに形成された短い円筒部1
3rの内周側に配置されている。レバー機構13dと同
様に、高速回転時には連結部材の周方向長さが増加して
各レバー部材213hの半径方向外端が円筒部13rに
当接し、各レバー部材213hに働く遠心力が円筒部1
3rに負荷される。プレッシャープレート13bには、
円筒部13rの内径側に位置しかつ各レバー部材213
hのプレッシャープレート側面と当接する複数の作用点
部13sが形成されている。
【0054】支持スリーブ14により摺動自在に支持さ
れたベアリング組立体215は、各レバー部材213h
の半径方向内端部のプレッシャープレート側に設定され
た力点に力を加える、つまり図10において各レバー部
材213hの半径方向内端部を右方向へ引くのに適した
構成とされており、フォーク部材217の半径方向内端
と作用的に連結されている。フォーク部材217の中間
部はクラッチハウジングに固定されたピボット支持部材
216によりピボット運動自在に支持されており、フォ
ーク部材217の半径方向外端部には油圧シリンダー装
置218の出力が図10において左方向に加えられる。
【0055】図10において、油圧シリンダー装置21
8がその作動油圧室に供給される油圧によりフォーク部
材217の半径方向外端部を左方向へ押すと、フォーク
部材217がベアリング組立体215が右方向へ押し、
ベアリング組立体215が各レバー部材213hの半径
方向内端部を右方向へ引く。各レバー部材213hのて
こ作用により各レバー部材213hがプレッシャープレ
ート13bを左方向に押す。従って、フェーシング挟み
付け力は、油圧シリンダー装置218の作動油圧室に供
給する油圧に対応した大きさとなる。
【0056】図1および図8に示す支点部材13jに代
えて、カバープレートに一体形成した支点部を使用する
こととしてもよい。図1〜図10に示す車両用摩擦クラ
ッチ装置においては、レバー機構の力点に外力を加える
ものとして、油圧シリンダー装置18、118を使用し
ているが、油圧シリンダー装置18、118に代えて、
電動アクチュエータを使用することとしてもよい。ま
た、図1〜図10に示す車両用摩擦クラッチ装置におい
ては、カバープレートとプレッシャープレートとの間で
作用させるストラップ13cによりプレッシャープレー
ト13bを反フライホイール側へ付勢させているが、カ
バープレートとプレッシャープレートとの間で作用させ
るコイルスプリングによりプレッシャープレートを反フ
ライホイール側へ付勢させることとしてもよく、更には
フライホイールとプレッシャープレートとの間で作用さ
せる付勢部材によりプレッシャープレートを反フライホ
イール側へ付勢させることとしてもよい。
【0057】
【発明の効果】以上に説明したように、この出願の発明
に係る車両用摩擦クラッチ装置は、クラッチディスクの
フェーシングの挟み付け力を、レバー機構の力点に、油
圧シリンダー装置や電動アクチュエータ等により、外力
を加えることによって発生させるようにしたことから、
普通の車両への搭載性の点で優れると共に、フェーシン
グの挟み付け力を任意の値に調節するために油圧シリン
ダー装置に供給しなければならない油圧や電動アクチュ
エータに供給しなけれなならない電流の値は、フェーシ
ングの摩耗量の如何に拘わらず、略一定となり、フェー
シングの挟み付け力と油圧シリンダー装置の油圧或いは
電動アクチュエータの電流との間の相関を簡単にかつ安
定して求めることができる。そして、レバー機構の支点
に加わる力の方向がトルク伝達状態とトルク伝達の遮断
状態とで反転することがないので、トルク伝達状態とト
ルク伝達の遮断状態との間で切換える際のカバープレー
トの撓みによる無効ストローク量が低減し、従ってスト
ローク効率を向上させ、油圧シリンダー装置を含む油圧
系や電動アクチュエータを含む電気系を小型化すること
ができる。それに加えて、レバー機構の撓みが、フェー
シング挟み付け力のステップ的な変化を抑制して伝達ト
ルクのステップ的な変化を抑制するためにクラッチディ
スクのフェーシングに一般的に付与してあるクッショニ
ング撓み量と直列に作用するから、クッショニング撓み
量を少なくし、相当量のレバー比を大きくすることによ
り、油圧シリンダー装置を小径化したり、或いは作動油
圧や作動電力を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の車両用摩擦クラッチ装置を示
す図である。
【図2】図1中のクラッチカバー組立体を示す図であ
る。
【図3】図2のクラッチカバー組立体のストラップの取
付け関係を示す図である。
【図4】図2のクラッチカバー組立体の連結部材の取付
け関係を示す図である。
【図5】図4の連結部材の周方向長さが増加した状態を
示す図である。
【図6】図1中の油圧シリンダー装置の拡大図である。
【図7】図6中の皿ばねを図6の右方向から見た図であ
る。
【図8】この出願の発明の、図1のものとは異なる車両
用摩擦クラッチ装置を示す図である。
【図9】図8中の油圧シリンダー装置の拡大図である。
【図10】この出願の発明の、図1のものおよび図8の
ものとは異なる車両用摩擦クラッチ装置を示す図であ
る。
【符号の説明】
11・・・フライホイール 12・・・クラッチディスク 12b・・・フェーシング 13・・・クラッチカバー組立体 13a・・・カバープレート 13b・・・プレッシャープレート 13c・・・ストラップ 13d、213d・・・レバー機構 13e、13r・・・円筒部 13f・・・フランジ部 13g・・・コーナー部 13h、213h・・・レバー部材 13j、213j・・・支点部材 13m・・・連結部材 14・・・変速機ケースの支持スリーブ 15、115、215・・・ベアリング組立体 17、217・・・フォーク部材 18、118、218・・・油圧シリンダー装置

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の変速機の入力軸と一体に回転する
    クラッチディスクのフェーシングを、車両のエンジンの
    出力軸と一体に回転するフライホイールとこのフライホ
    イールと一体に回転するがフライホイールに対して進退
    可能なプレッシャープレートとで挟み付けることによっ
    てエンジンと変速機との間のトルク伝達を行わせる車両
    用摩擦クラッチ装置であって、前記フライホイールと一
    体的に結合するカバープレートと、前記カバープレート
    と一体に回転するが軸方向へ移動可能に連結したプレッ
    シャープレートと、前記プレッシャープレートを前記フ
    ライホイールから離間させるように付勢させる付勢部材
    と、前記カバープレートと前記プレッシャープレートの
    軸方向対向部間に配置し、前記カバープレートとの当接
    部を支点とするとともに前記プレッシャープレートとの
    当接部を作用点としたレバー機構とを設け、このレバー
    機構の力点に、前記車両に対して固定の部材により支持
    させたアクチュエータの出力を加えることで前記プレッ
    シャープレートを前記フライホイールに向けて押して前
    記フェーシングの前記挟み付け力を発生させることを特
    徴とする車両用摩擦クラッチ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記付勢部材を前記カバープレートと前記
    プレッシャープレートとの間で作用するように配設し、
    前記カバープレート、前記プレッシャープレート、前記
    付勢部材および前記レバー機構をクラッチカバー組立体
    としたことを特徴とする車両用摩擦クラッチ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記レバー機構を、放射状に配置しその半
    径方向内端部の反プレッシャープレート側に前記力点を
    設定した板状の多数のレバー部材と、これらレバー部材
    の半径方向外端部の反プレッシャープレート側を前記カ
    バープレートにピボット運動可能に支持させる支点部ま
    たは支点部材と、前記プレッシャープレートに形成した
    作用点部とで構成したことを特徴とする車両用摩擦クラ
    ッチ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記カバープレートに円筒部とこの円筒部
    の反クラッチディスク側端から半径方向内方に延在する
    フランジ部を形成し、この円筒部の内周側に前記レバー
    部材を配置し、前記支点部材を前記円筒部と前記フラン
    ジ部の境界のコーナー部の内周側に配置したことを特徴
    とする車両用摩擦クラッチ装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記複数のレバー部材の全数の半径方向外
    端部を1つまたは複数の可撓な連結部材により相互に連
    結して1組のレバー部材組立体としたことを特徴とする
    車両用摩擦クラッチ装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記連結部材を弾性のある薄板で形成する
    とともに周方向長さを可変とさせるためのウェーブを付
    与し、前記エンジンの前記出力軸の回転時に前記レバー
    部材に働く遠心力により前記連結部材の周方向長さが増
    加されて前記レバー部材の半径方向外端が前記カバープ
    レートの前記円筒部の内周に当接するようにしたことを
    特徴とする車両用摩擦クラッチ装置。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記レバー機構を、放射状に配置しその半
    径方向内端部のプレッシャープレート側に前記力点を設
    定した板状の多数のレバー部材と、これらレバー部材の
    半径方向両端部間を前記カバープレートにピボット運動
    可能に支持させる支点部材と、前記プレッシャープレー
    トに形成した作用点部とで構成したことを特徴とする車
    両用摩擦クラッチ装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記プレッシャープレートに円筒部を形成
    し、この円筒部の内周側に前記レバー部材の半径方向外
    端部を配置したことを特徴とする車両用摩擦クラッチ装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の車両用摩擦クラッチ装
    置であって、前記複数のレバー部材の全数の半径方向外
    端部を1つまたは複数の可撓な連結部材により相互に連
    結して1組のレバー部材組立体としたことを特徴とする
    車両用摩擦クラッチ装置。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の車両用摩擦クラッチ
    装置であって、前記連結部材を弾性のある薄板で形成す
    るとともに周方向長さを可変とさせるためのウェーブを
    付与し、前記エンジンの前記出力軸の回転時に前記レバ
    ー部材に働く遠心力により前記連結部材の周方向長さが
    増加されて前記レバー部材の半径方向外端が前記プレッ
    シャープレートの前記円筒部の内周に当接するようにし
    たことを特徴とする車両用摩擦クラッチ装置。
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