JP2000159001A - 排水ポンプ車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水ポンプの搭載を許容する荷台の有効利用
スペースを大きく確保して、通常排水能力の水中ポンプ
の搭載台数を増加させたりあるいは排水能力の大きい大
型の排水ポンプの搭載を可能にした高排水能力を備えた
排水ポンプ車を提供する。 【解決手段】 トラック型排水ポンプ車１の荷台１Ａ
に、複数台の軽量水中ポンプ２と、主排水ポンプとして
機能する大型のブーストポンプ１２を搭載する。排水ポ
ンプ車１の停止状態で運転される自走用エンジンＥの出
力を、ＰＴＯ｛（パワー・テイク・オフ）クラッチ内蔵
型動力取出装置｝１０を介して大型のブーストポンプ１
２の主軸に伝達して駆動し、排水運転を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水災害時の緊急排
水、土木仮設工事の排水あるいは農業用給排水などに好
適な排水ポンプ車に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、図５に示す水災害時の緊急排
水、土木仮設工事排水あるいは農業用給排水などに好適
な排水ポンプ車１の荷台１Ａには、大型の排水ポンプ２
が搭載され、この排水ポンプ２に内蔵されているかある
いは別途設置されるモータ（以下、電動機という）３に
電力を供給する大型の発電装置４と、この発電装置４と
電動機３の間に介設される操作盤５が搭載されていると
ともに、排水ポンプ２の吐出側に接続する排水ホース６
と、発電装置４と操作盤５および該操作盤５と電動機３
とを電気的に接続する断面積の大きいキヤブタイヤケ−
ブル７などが積載されている。排水ポンプ車１は、排水
または給排水現場まで走行し、ここで、発電装置４と操
作盤５および該操作盤５と電動機３とをキヤブタイヤケ
−ブル７で電気的に接続し、排水ポンプ２の吐出側に排
水ホース６を接続したのち、排水ホース６の先端部に取
付けられているストレーナ（図示省略）を水中の所定位
置にクレーン８によって投入し、発電装置４の起動によ
り電動機３に電力を供給して、排水ポンプ２を運転する
ことによって排水が行われる。当然、夜間作業のため
に、図示はしていないが、照明用の主投光器、スポット
照明用の補助投光器なども排水ポンプ車１に積載されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の排水ポ
ンプ車では、容積の大きい大型の発電装置および操作盤
を搭載しなければならない。しかも、大型の電動機内蔵
型排水ポンプあるいは別途設置型の大型の電動機が必要
になる。電動機内蔵型排水ポンプは、同じ排水能力を有
する電動機別途設置型の排水ポンプと比較してポンプ容
積が大きくなり、電動機別途設置型の排水ポンプは、同
じ排水能力を有する電動機内蔵型排水ポンプと比較して
ポンプ容積は小さく抑えられるものの、大型の電動機を
別途搭載しなければならない。さらに、クレーンを搭載
するスペースも必要になる。すなわち、従来の排水ポン
プ車では、排水ポンプの搭載を許容する荷台の有効利用
スペースが小さく制限されるので、さらに排水能力の大
きい大型の排水ポンプの搭載が妨げられる。このため、
高排水能力を備えた排水ポンプ車の提供が困難であっ
た。

【０００４】そこで、本発明は、排水ポンプの搭載を許
容する荷台の有効利用スペースを大きく確保して、通常
排水能力の水中ポンプの搭載台数を増加させたりあるい
は排水能力の大きい大型の排水ポンプの搭載を可能にし
た高排水能力を備えた排水ポンプ車を提供することを目
的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明に係る排水ポンプ車は、水災害時の緊急排
水、土木仮設工事排水あるいは農業用給排水などに使用
される排水ポンプ車であって、この排水ポンプ車の停止
状態で運転される自走用エンジンの出力により駆動され
る主排水ポンプが荷台に搭載されていることを特徴とし
ている。

【０００６】本発明によれば、荷台に搭載されている主
排水ポンプは、排水ポンプ車の停止状態で運転される自
走用エンジンの出力により駆動して排水することができ
るので、容積の大きい大型の発電装置および操作盤など
の搭載が不要になり、その分排水ポンプの搭載を許容す
る荷台の有効利用スペースを大きく確保することができ
る。しかも、クレーンの搭載スペースが不要になる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づいて説明する。なお、図５の従来例と同一部分
には同一符号を付して説明する。図１および図２におい
て、トラック型排水ポンプ車１は、自走用エンジンＥを
搭載し、このエンジンＥの出力を周知の動力伝達系を介
して駆動輪９に伝達して走行または停止させる。トラッ
ク型排水ポンプ車１の荷台１Ａには、複数台の軽量水中
ポンプ２が積載され、大型のブーストポンプ１２が主排
水ポンプとして搭載されている。また、軽量水中ポンプ
２の吐出側に着脱可能に接続される複数本の排ホース６
などが積載され、排水ポンプ車１の停止状態で運転され
る自走用エンジンＥの出力は、ＰＴＯ｛（パワー・テイ
ク・オフ）クラッチ内蔵型動力取出装置｝１０を介して
大型のブーストポンプ１２の主軸１２Ａに伝達されて大
型のブーストポンプ１２を駆動する。

【０００８】軽量水中ポンプ２は、口径１５０ｍｍφ×
排水量２ｍ^３／ｍｉｎ×揚程５ｍ×電動機出力３．７Ｋ
Ｗ×重量３０Ｋｇ程度のもので、作業者一人の人力によ
る積み降ろし、運搬、水中への投入および引上げなどの
作業が可能な仕様になっており、これら複数台の軽量水
中ポンプ２が前記排水ホース６などとともに、格納スペ
ース１１に格納した状態で荷台１Ａに積載されている。

【０００９】複数台の軽量水中ポンプ２には、図３に示
すように、吐出側にたとえば竹の子と称されるホース接
続用のカップリング１３が設けられている。また、図２
で明らかなように、大型のブーストポンプ１２の吸込側
には、二股Ｕ字状に分岐した吸込管１４が接続されてお
り、この吸込管１４の内部に連通して該吸込管１４の内
部に向かう流れの通過のみを許容し、該吸込管１４の内
部から外部に向かう流れの通過を遮断する複数個の逆止
弁によってなる吸込弁１５，１５が取付けられている。
また、荷台１Ａに搭載されている大型のブーストポンプ
１２の吐出側に流量制御弁１２Ａが設けられており、ブ
ーストポンプ１２の運転時には、流量制御弁１２Ａの出
口に二点鎖線で示す集合排水ホース１７が着脱可能に接
続される。この集合排水ホース１７および断面積の小さ
いキヤブタイヤケ−ブル７は、非使用時には格納スペー
ス１１に格納されている。なお、荷台１Ａには、軽量水
中ポンプ２の電動機３に電力を供給する小型の発電機４
と小型の操作盤５が搭載されている。小型の発電機４
は、小型のガソリンエンジン４Ａによって駆動される。
また、図１および図２において１９は夜間作業用の照明
装置を示し、図３において２０はストレーナを示す。

【００１０】前記構成において、トラック型排水ポンプ
車１は、排水または給排水現場の水際付近まで走行して
停止する。ここで、大型のブーストポンプ１２の吐出側
に集合排水ホース１７を接続する。一方、図４のよう
に、必要台数の軽量水中ポンプ２を作業者一人の人力に
よって格納スペース１１から荷降ろしし（ただし、図４
は、１台の軽量水中ポンプ２を荷降ろしした状態を示し
ている）、その吐出側に設けられているカップリング１
３に排水ホース６の先端部を着脱可能に接続し、排水ホ
ース６の後端部を複数の吸込弁１５のいずれかに着脱可
能に接続して弁開する。つぎに、各軽量水中ポンプ２の
電動機３と荷台１Ａに搭載されている小型の操作盤５を
断面積の小さいキヤブタイヤケ−ブル７によって電気的
に接続したのち、軽量水中ポンプ２を水中に投入して、
自走用エンジン８の起動により大型のブーストポンプ１
２を駆動し、小型の発電機４を起動して、軽量水中ポン
プ２を運転する。これにより、軽量水中ポンプ２の揚程
の範囲内で押し上げた水をブーストポンプ１２によって
吸い上げ、かつ該ブーストポンプ１２によって押し上げ
て集合排水ホース１７から排水する。

【００１１】排水運転の終了時には、自走用エンジン８
を停止して、運転大型のブーストポンプ１２の運転を停
止したのち、作業者一人の人力によって軽量水中ポンプ
２を水中から引上げ、ここで、軽量水中ポンプ２から排
ホース６などを取外し、軽量水中ポンプ２および排ホー
ス６などを個別に格納スペース１１に格納して荷台１Ａ
に積載する。この作業の前後に大型のブーストポンプ１
２から集合排水ホース１７を取外して格納スペース１１
に格納する。

【００１２】このように、荷台１Ａに搭載されている大
型のブーストポンプ１２は、排水ポンプ車の停止状態で
運転される自走用エンジン８の出力により駆動して排水
運転することができるので、従来の排水ポンプ車におい
て必要とされていた容積の大きい大型の発電装置４およ
び操作盤５などの搭載が不要になり、その分、荷台１Ａ
の有効利用スペースを大きく確保して、大型のブースト
ポンプ１２を搭載することができるとともに、多数の軽
量水中ポンプ２を積載できるので、高排水能力を備えた
排水ポンプ車の提供が可能になる。

【００１３】なお、前記実施の形態では、１台の大型の
ブーストポンプ１２における二股Ｕ字状に分岐した吸込
管１４の複数個の吸込弁１５に、排ホース６を介して軽
量水中ポンプ２を接続した構成で説明しているが、複数
個の吸込弁１５に吸込管を接続し、ブーストポンプ１２
を運転することで、軽量水中ポンプ２の使用を省略して
排水運転することができる。また、１台の大型のブース
トポンプ１２を搭載しているが、２台以上の中型のブー
ストポンプ１２，１２を搭載し、それぞれを自走用エン
ジン８の出力により駆動して排水運転するように構成し
てもよい。このように構成することで、２台以上の中型
のブーストポンプ１２，１２と、これらブーストポンプ
１２，１２それぞれの吸込管１４に接続した複数台の軽
量水中ポンプ２を同時に運転し、軽量水中ポンプ２の揚
程の範囲内で押し上げた水を２台以上の中型のブースト
ポンプ１２，１２によって吸い上げ、かつこれらブース
トポンプ１２，１２によって押し上げて集合排水ホース
１８，１８から排水することができる。しかも、２台以
上の中型のブーストポンプ１２，１２のみの運転によっ
ても排水運転することができる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、荷台に
搭載されている主排水ポンプは、排水ポンプ車の停止状
態で運転される自走用エンジンの出力により駆動して排
水運転することができるので、従来の排水ポンプ車にお
いて必要とされていた容積の大きい発電装置および操作
盤などの搭載が不要になり、その分、荷台の有効利用ス
ペースを大きく確保して、大型の主排水ポンプを搭載す
ることができるとともに、多数の軽量水中ポンプを積載
できるので、高排水能力を備えた排水ポンプ車の提供が
可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す側面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】軽量水中ポンプの一例を示す構成図である。

【図４】排水現場での排水状況の概念図である。

【図５】従来の排水ポンプ車の概略構成図である。

【符号の説明】

１ 排水ポンプ車 １２ ブーストポンプ（主排水ポンプ） Ｅ 自走用エンジン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 克巳 大阪府枚方市中宮大池１丁目１番１号 株 式会社クボタ枚方製造所内 (72)発明者 古川 博彦 大阪府枚方市中宮大池１丁目１番１号 株 式会社クボタ枚方製造所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水災害時の緊急排水、土木仮設工事排水
   あるいは農業用給排水などに使用される排水ポンプ車で
   あって、この排水ポンプ車の停止状態で運転される自走
   用エンジンの出力により駆動される主排水ポンプが荷台
   に搭載されていることを特徴とする排水ポンプ車。