JP2000131321A - 膀胱癌患者の予後診断薬 - Google Patents

膀胱癌患者の予後診断薬

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JP2000131321A
JP2000131321A JP10307087A JP30708798A JP2000131321A JP 2000131321 A JP2000131321 A JP 2000131321A JP 10307087 A JP10307087 A JP 10307087A JP 30708798 A JP30708798 A JP 30708798A JP 2000131321 A JP2000131321 A JP 2000131321A
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bladder cancer
concentration
fas
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serum
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Yoichi Mizutani
陽一 水谷
Osamu Yoshida
修 吉田
Bonabida Benjamin
ボナビダ ベンジャミン
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IGAKU SEIBUTSUGAKU KENKYUSHO K
Medical and Biological Laboratories Co Ltd
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IGAKU SEIBUTSUGAKU KENKYUSHO K
Medical and Biological Laboratories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膀胱癌患者の予後の診断を簡単に行うことの
できる膀胱癌患者の予後診断薬を提供する。 【解決手段】 膀胱癌患者から採取した血清中の可溶性
Fas濃度を、抗Fas抗体を用いて測定することによ
り、膀胱癌患者の予後の良否を診断する。例えば、表在
性膀胱腫瘍における原発性膀胱癌患者の血清中の可溶性
Fas濃度が7.7ng/ml未満の場合に予後良好と
判定し、7.7ng/ml以上の場合に予後不良と判定
する。そして、予後良好ならば、経尿道的膀胱腫瘍削除
術(TUR−Bt)のみを行い、予後不良ならば、TU
R−Btに加えて抗ガン剤の膀胱内注入療法を併用す
る。このように、膀胱癌患者の予後が不良になるおそれ
があるか否かを患者から採取した血液又は血清から短時
間に予測でき、それに応じた適切な処置を患者に施すこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膀胱癌患者の血中
又は血清中の可溶性Fas濃度を測定することにより予
後を診断するための膀胱癌患者の予後診断薬に関する。
【0002】
【従来の技術】多細胞生物においては個体発生の過程に
おいて多くの細胞が細胞死により除去される。この細胞
死は、あらかじめ決められたプログラムによって起こっ
ていると推測されている。また、生体においても、一方
で細胞分裂により細胞数が増えると、他方で細胞死が起
こり、全体の細胞数のバランスを保っていると考えられ
る。このようなプログラム細胞死はアポトーシスと呼ば
れている。このアポトーシスの制御に深く関連すると考
えられている生体構成細胞表層に存在する膜貫通性タン
パクは、細胞表面Fasと呼ばれている。一方、膜貫通
性部位を欠いているものも存在し、これは体液に可溶で
あることから可溶性Fasと呼ばれている。また、細胞
表面Fasに結合して細胞にアポトーシスを起こすよう
な物質は、Fasリガンドと呼ばれている。なお、本明
細書において、単に「Fas」という時、その意味は細
胞表面Fasと可溶性Fasの両方を含むものとする。
【0003】細胞表面FasとFasリガンドは、細胞
毒性T細胞(cytotoxic T lymphocytes;CTL)とナチ
ュラルキラー細胞(natural killer cell;NK細胞)の
両方によって媒介される細胞死活性に関与している。C
TLとNK細胞の活性化は、それらの膜表面にFasリ
ガンドを高発現させ、それにより細胞表面Fasを表出
したターゲット細胞にアポトーシスが誘導される。
【0004】細胞表面Fasは一本の膜貫通型ドメイン
により固定されており、さまざまな組織(胸腺・肝臓・
肺・心臓・卵巣)や癌細胞でも認められている。一方、
可溶性Fasは、オールターネエイティブスプライシン
グの段階で生成される。可溶性Fasには4つのアイソ
フォームが報告されていて、最も多い可溶性Fasアイ
ソフォームは、細胞外ドメインの最後の5残基と膜貫通
ドメインの17アミノ酸の内の16残基をコードするエ
クソン6の欠落したものである。このアイソフォーム
は、活性化したリンパ球の上清やいくつかの癌細胞セル
ラインで同定されている。加えて、可溶性Fas濃度の
亢進は、造血系悪性腫瘍や非造血系悪性腫瘍で観察され
ている。
【0005】細胞表面Fasの表出は、アポトーシスの
誘導には必要であるにもかかわらず、この蛋白の生物学
的な機能は予知できない。Fas抵抗性反応のメカニズ
ムは複雑で細胞表面レセプターの状態によるのかもしれ
ないし、細胞内情報経路の変化によるのかもしれない。
例えば、抵抗性のメカニズムは、Fas関連チロシンフ
ォスファターゼとBcl−2、Bcl−XLを含むアポ
トーシス抵抗性蛋白の過剰発現によるとの報告がある。
レセプターレベルにおいて、細胞死活性の抵抗性は可溶
性Fas蛋白が介在している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば前立
腺癌であればPSA(prostate-specific antigen、前
立腺特異抗原)のような診断マーカーが存在しているも
のの、膀胱癌には現在までこのような診断マーカーは知
られていない。このため、膀胱癌では、画像診断と病理
学的な診断で予後の予測(再発治療の予測を含む)を行
い、その予測に応じて例えば化学療法を行うか否かを決
定していた。
【0007】しかしながら、膀胱癌患者の予後の予測を
画像診断の結果に基づいて行う場合、設備として画像診
断装置が必要となるが、そのような設備を持たない医療
施設においては膀胱癌患者の予後の予測を行うことは困
難であった。また、画像診断には比較的長時間を要する
うえ判定が難しいため、膀胱癌患者から採取した血液等
により簡単に予後の予測を行える方法の開発が望まれて
いた。
【0008】本発明はこのような課題を解決するために
なされたものであり、膀胱癌患者の予後の診断を簡単に
行うことのできる膀胱癌患者の予後診断薬を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態及び発
明の効果】本発明は、膀胱癌患者から採取した血液又は
血清中の可溶性Fas濃度を測定する試薬であって、測
定した可溶性Fas濃度から膀胱癌患者の予後の良否を
診断するための膀胱癌患者の予後診断薬に関する。この
ような予後診断薬は、例えば、Fasリガンド又は抗F
as抗体を主成分とする。
【0010】本発明者は、膀胱癌患者の血液又は血清中
の可溶性Fas濃度が健常者のそれと比較して高いこと
を見い出し、また、可溶性Fas濃度の低い膀胱癌患者
はその濃度の高い膀胱癌患者と比較して生存率が高くし
かも再発期間が長いことを見い出した。一方、可溶性F
as濃度の高い膀胱癌患者の群と低い膀胱癌患者の群と
の間で、年齢、性別、膀胱癌の組織学的ステージ及びグ
レードの要因による偏りは見られず、可溶性Fas濃度
がこれらの要因に依存していないことを確認した。これ
らの事実から、膀胱癌患者から採取した血液又は血清中
の可溶性Fas濃度を測定し、その測定した濃度と所定
の判定基準値とを照らし合わせれば、予後の良否を簡単
に診断できる可能性が高い。そして、その診断結果に基
づいて、その後の最適な治療方針を立てることができ
る。このように、本発明によれば、膀胱癌患者の予後が
不良になるおそれがあるか否かを患者から採取した血液
又は血清から簡単に(つまり短時間かつ明瞭に)診断で
き、それに応じた適切な治療を患者に施すことが可能と
なる。
【0011】本発明では、例えば抗Fas抗体を用いて
ELISAなどの酵素免疫測定法等を行うことにより、
膀胱癌患者から採取した血液又は血清中の可溶性Fas
濃度を測定し、その測定結果に応じて、膀胱癌患者の予
後の良否を診断する。ここで、抗Fas抗体とは、Fa
sに特異的に結合する抗体であり、例えば、ハイブリド
ーマ(Mouse-Mouse hybridoma)CBE、WB3、VB
3、JAE、AX6、ZB4、UB2及びCH11から
なる群の中から選ばれた一つのハイブリド−マから産生
される抗体を用いることができる。ここで、例えば、ハ
イブリドーマZB4、UB2は、ヒトFas抗原cDN
Aで形質転換したマウス細胞より得たリコンビナントF
as抗原をBALB/cマウスに免疫後、その脾細胞と
マウスミエローマ細胞(NS−1)とを融合させること
により得ることができる。また、ハイブリドーマCB
E、WB3、VB3、JAE、AX6も、ハイブリドー
マZB4、UB2と同様に作製できる。一方、ハイブリ
ドーマCH11は、ヒト二倍体繊維芽細胞FS−7をB
ALB/cマウスに免疫後、その脾細胞とマウスミエロ
ーマ細胞(NS−1)とを融合させることにより得るこ
とができる(Yonehara, S., Ishii, A. & Yonehara, M.
:"A cell killing monoclonal antibody(anti-Fas) to
a cell surface antigen co-downregulated with the
receptorof tumor necrosis factor."J. Exp. Med., 16
9:1747-1756(1989))。
【0012】尚、ハイブリドーマCBE、WB3、VB
3、JAE、AX6、ZB4、UB2及びCH11の受
託番号は、それぞれFERM P−15701、FER
MP−15702、FERM P−15703、FER
M P−15704、FERM P−15705、FE
RM P−15706、FERM P−15707、F
ERM P−15708である。また、これらのうちハ
イブリドーマZB4、UB2、CH11から産生される
モノクローナル抗体は、(株)医学生物学研究所より市
販されており、それぞれのカタログ番号はMD−11−
3、MD−10−3、SY−001である。
【0013】この膀胱癌患者の予後診断薬は、第1の抗
Fas抗体を不溶性支持体に担持した固相化抗体と、第
2の抗Fas抗体を標識物質で標識化した標識化抗体と
を含むことが好ましい。固相化抗体は、第1の抗Fas
抗体が血液又は血清中の可溶性Fasに特異的に結合す
ることにより、可溶性Fasを不溶性支持体上にトラッ
プして複合体を形成するという作用を奏する。ここで不
溶性支持体としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂等のプラ
スチックや、ガラス等、水に不溶の材質からなる支持体
が挙げられる。この不溶性支持体に第1の抗Fas抗体
を担持する場合、物理吸着によって担持してもよいし、
化学吸着によって担持してもよい。また、標識化抗体
は、第2の抗Fas抗体が複合体上の可溶性Fasに特
異的に結合することにより、この複合体を標識化すると
いう作用を奏する。標識物質としては、ペルオキシダー
ゼ、β−ガラクトシダーゼ、マイクロペルオキシダー
ゼ、アルカリホスファターゼ等の各種酵素やアイソトー
プのほか、ビオチン化抗体を反応させた後にアビジンペ
ルオキシダーゼを反応させる方法も用いることもでき
る。また、放射性元素を用いれば、RIA法により可溶
性Fasの濃度を測定できる。この場合、管理された施
設内で資格を有する者が行う必要がある。
【0014】そして、このように標識化された複合体に
つき、その標識物質を定量することにより、可溶性Fa
s濃度を定量することができる。なお、定量するに当た
っては、予め標準となるスタンダードFasを用いて検
量線を作成しておき、膀胱癌患者から採取した血液又は
血清中の可溶性Fas濃度はこの検量線に基づいて算出
するのが好ましく、このため予後診断薬の構成品として
スタンダードFasを含ませておくのが好ましい。ま
た、第1、第2の抗Fas抗体は可溶性Fasの異なる
エピトープに結合することが好ましい。
【0015】この膀胱癌患者の予後診断薬では、表在性
膀胱腫瘍(Superficial bladder cancer)における膀胱
癌患者の血清中の可溶性Fas濃度が表在性膀胱腫瘍用
の判定濃度未満の場合に予後良好、上記判定濃度以上の
場合に予後不良と判定される。例えば、表在性膀胱腫瘍
の原発性膀胱癌患者の場合、予後良好と判定されたなら
ば経尿道的膀胱腫瘍削除術(TUR−Btという)のみ
を行い、予後不良と判定されたならばTUR−Btに加
えてアドレアマイシン、マイトマイシンC、BCG等の
抗ガン剤の膀胱内注入療法を併用する。
【0016】一方、浸潤性膀胱腫瘍(Invastive bladde
r cancer)における膀胱癌患者の血清中の可溶性Fas
濃度が浸潤性膀胱腫瘍用の判定濃度未満の場合に予後良
好、上記判定濃度以上の場合に予後不良と判定される。
例えば、浸潤性膀胱腫瘍の原発性膀胱癌患者の場合、予
後良好と判定されたならば膀胱全摘除術のみ行い、予後
不良と判定されたならば膀胱全摘除術に加えてネオアジ
ュバントやアジュバントを用いた全身化学療法を併用す
る。
【0017】なお、上記判定濃度としては、例えば予め
多数の膀胱癌患者の血清中の可溶性Fas濃度を測定し
その平均値を採用してもよい。但し、現在のところsF
asについては国際的な標準品が存在しないため、使用
する標準品によって判定濃度が異なる可能性がある。
【0018】このように、膀胱癌患者から採取した血液
又は血清中の可溶性Fas濃度と判定基準値とを比較す
ることで予後を予測できるため、その後のその患者に対
する処置を適切に行うことができる。
【0019】
【実施例】[実施例1] 膀胱癌患者及び健常者の血清 末梢血は、外科手術前又は腫瘍治療前の173人の原発
性膀胱癌患者から集めた。24歳から89歳までの男性
患者138名、女性患者35名である。組織学的な診断
法により、すべての患者は膀胱細胞変腫瘍であることが
明らかにされた。それらの組織学的な分類とTNM分類
にしたがった段階分けは、それぞれG1(n=50),
G2(n=59),G3(n=64)とTis(n=
7),Ta(n=85),T1(n=43),T2(n
=10),T3(n=18),T4(n=10)であっ
た。血液サンプルは、14人の健常者からも用意した。
採血後遠心分離したこれらの血清は、ELISAに使用
するまで−80℃で保存した。
【0020】[実施例2] 血清中の可溶性Fas濃度
の測定 [2−1] ELISAキット 血清中の可溶性Fas(以下「sFas」という)の濃
度は、サンドイッチELISAにより測定した。尚、E
LISAキットとして、市販されている商品名sFas
(s)ELISA Kit((株)医学生物学研究所)
を用いた。このELISAキットには、抗Fasポリク
ローナル抗体を担持した96ウェル平底マイクロタイタ
ープレート(固相化抗体)と、ペルオキシダーゼ標識抗
Fas抗体(標識化抗体)と、スタンダード・リコンビ
ナントFasが含まれている。
【0021】[2−2] 検量線の作成 スタンダードFasを一連に希釈率で希釈したものを、
抗Fasポリクローナル抗体を担持した96ウェル平底
マイクロタイタープレートに加えた。室温で1時間反応
後、プレートをPBSで3回洗浄後、ペルオキシダーゼ
標識抗Fasモノクローナル抗体溶液100μl加え、
さらに室温で1時間反応させた。PBSで3回洗浄後、
反応混合液(1.0mMテトラメチルベンジジン ペル
オキシダーゼ基質、10mMクエン酸、3.5mM H
22)100μlを発色反応のために加えた。室温で1
時間反応後、各ウェルに2N H2SO4を加え、酵素反
応を終了させ、発色を安定させた。マイクロカルチャー
・プレート・リーダー(イムノリーダー、(株)日本イ
ンターメッド)を用いて吸光度を450nmで測定し
た。標準曲線を作成するためにスタンダードFasを5
回測定した。
【0022】[2−3] 血清中のsFas濃度の測定 実施例1のそれぞれの血清サンプル100μlとその3
段階希釈品(3:4,1:2,1:4)を、抗Fasポ
リクローナル抗体を担持した96ウェル平底マイクロタ
イタープレートに加えた。室温で1時間反応後、プレー
トをPBSで3回洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗Fa
sモノクローナル抗体溶液100μl加え、さらに室温
で1時間反応させた。PBSで3回洗浄後、反応混合液
(1.0mMテトラメチルベンジジン ペルオキシダー
ゼ基質、10mMクエン酸、3.5mM H22)10
0μlを発色反応のために加えた。室温で1時間反応
後、各ウェルに2N H2SO4を加え、酵素反応を終了
させ、発色を安定させた。マイクロカルチャー・プレー
ト・リーダーを用いて吸光度を450nmで測定した。
血清中のsFas濃度は、スタンダードFasに基づい
て作成した投与量反応曲線から計算した。この方法は、
血清中のsFas濃度0.1ng/ml以上の濃度を評
価することを可能にした。0.1ng/ml以上の濃度
で標準偏差(SD)は、平均の8%以下であった。繰り
返しの測定で同じ結果が得られた。
【0023】健常者と膀胱癌患者の血清中のsFas平
均濃度は、それぞれ3.0ng/mlと8.2ng/m
lであり、膀胱癌患者の血清中のsFas濃度は健常者
の約3倍に増加していた(下記表1を参照)。また、膀
胱癌の組織学的なステージと重症度の分析は、膀胱癌患
者において疾患の進行とより高い重症度の患者が、血清
中のsFas濃度の増加を伴う傾向を示したが、その差
異は統計学的な優位性は認められなかった(下記表2を
参照)。更に、T4,N陽性あるいはM陽性を伴う膀胱
癌患者のsFas濃度は、特にデータを提示しないが、
浸潤性膀胱がん患者の濃度と同じくらいであった。予備
的な実験では、治癒性の外科手術後のsFas濃度は、
外科手術前のsFas濃度と比較して顕著に減少した
(下記表3参照)。なお、この予備的な実験は実施例1
の173名の検体の中から血清中sFas濃度の高いも
のを選んで行った。また、表2において表在性膀胱癌患
者のsFas濃度平均値が7.7ng/ml、浸潤性膀
胱癌患者のsFas濃度平均値が9.9ng/mlであ
ることから、これらの平均値を予後の良否の判定濃度と
して採用し得る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】[実施例3] 血清中のsFas濃度と予
後診断 173名の膀胱癌患者は、すでに術後臨床経過の評価が
終了しているが、保存されていた血清を用いてレトロス
ペクティブにsFas濃度と予後診断の検討を行った。
【0028】術後生存率と術後再発期間はカプラン−メ
イアー分析により評価された。この分析を基本に膀胱癌
患者は、2つのグループ、即ち、血清中のsFas濃度
が平均値(表在性膀胱腫瘍では7.7ng/ml、浸潤
性膀胱腫瘍では9.9ng/ml)以上の高濃度sFa
sグループと、血清中のsFas濃度が平均値未満の低
濃度sFasグループに分けた。
【0029】図1は膀胱癌患者の疾患特異生存率を表す
グラフであり、その生存率はカプラン−メイヤー法によ
って決定した。図1において、実線は低濃度sFasグ
ループ(患者数99)、点線は高濃度sFasグループ
(患者数74)を表す。血清中のsFas濃度の高い患
者と低い患者のそれぞれにつき、膀胱癌以外の疾患で死
亡した患者が3,4人いたが、術後5年で2つのグルー
プの間の生存率に顕著な差が見られた。即ち、低濃度s
Fasグループは高濃度sFasグループと比較して術
後5年での疾患特異生存率が約30%も高かった。
【0030】図2は、Ta膀胱癌患者の術後の腫瘍未再
発期間を表すグラフであり、その腫瘍未再発期間はカプ
ラン−メイヤー法によって決定した。図2において、実
線は血清中sFas濃度の低い43人の患者のデータで
あり、点線は血清中sFas濃度の高い42人の患者の
データである。この図2からわかるように、血清中のs
Fas濃度が高い患者と低い患者との間で、腫瘍未再発
のインターバルに違いが見られた。即ち、低濃度sFa
sグループのTa膀胱がん患者は、高濃度sFasグル
ープのTa膀胱癌患者と比較して術後再発までの期間が
長かった。
【0031】表4は、高濃度sFasグループと低濃度
sFasグループにおける年齢・性別・膀胱癌の組織学
的グレード及びステージの統計学的に有為な差は認めら
れなかった。
【0032】
【表4】
【0033】以上のことから、膀胱癌患者の血清中の
sFas濃度は、健常者ののそれと比較して高いことを
示した、sFas濃度の低い膀胱癌患者は、その濃度
の高い膀胱癌患者と比較して、生存率が高くなり、再発
期間も長かった、sFas濃度の高い患者群と低い患
者群との間で年齢/性別/膀胱がんの組織学的ステージ
及びグレードの有為な違いは見いだされなかった、とい
う3つに集約される。このことから、膀胱癌患者におい
て血清中のsFas濃度は重要で独立した予後パラメー
タの一つになる可能性が高く、血清中のsFas濃度が
低濃度であることは良い予後の兆候とみなすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 膀胱癌患者の疾患特異生存率を表すグラフで
ある。
【図2】 Ta膀胱癌患者の術後の腫瘍未再発期間を表
すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12Q 1/28 C12Q 1/28 (72)発明者 吉田 修 京都府京都市左京区聖護院川原町54 京都 大学医学部泌尿器科学教室内 (72)発明者 ベンジャミン ボナビダ アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼ ルスカリフォルニア州立大学ロサンゼルス 校医学部微生物学免疫学部門内 Fターム(参考) 2G045 AA13 AA26 CA25 CA26 DA36 DA78 FB01 FB03 FB07 4B063 QA01 QA07 QA18 QA19 QQ02 QQ79 QR84 QS03 QS15 QS28 QS33 QS36 QX01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膀胱癌患者から採取した血液又は血清中
    の可溶性Fas濃度を測定することにより、膀胱癌患者
    の予後の良否を診断するための膀胱癌患者の予後診断薬
    であって、 Fasリガンドを主成分とする膀胱癌患者の予後診断
    薬。
  2. 【請求項2】 膀胱癌患者から採取した血液又は血清中
    の可溶性Fas濃度を測定することにより、膀胱癌患者
    の予後の良否を診断するための膀胱癌患者の予後診断薬
    であって、 抗Fas抗体を主成分とする膀胱癌患者の予後診断薬。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の膀胱癌患者の予後診断薬
    であって、 第1の抗Fas抗体を不溶性支持体に担持した固相化抗
    体と、 第2の抗Fas抗体を標識物質で標識化した標識化抗体
    とを含むことを特徴とする膀胱癌患者の予後診断薬。
JP10307087A 1998-10-28 1998-10-28 膀胱癌患者の予後診断薬 Pending JP2000131321A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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