JP2000123978A - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

有機el素子およびその製造方法

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JP2000123978A
JP2000123978A JP10297893A JP29789398A JP2000123978A JP 2000123978 A JP2000123978 A JP 2000123978A JP 10297893 A JP10297893 A JP 10297893A JP 29789398 A JP29789398 A JP 29789398A JP 2000123978 A JP2000123978 A JP 2000123978A
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insulating film
organic
cathode
anodes
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Kenji Furukawa
顕治 古川
Yusho Izumisawa
勇昇 泉澤
Toshihiro Koike
俊弘 小池
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】陽極の段差に起因する発光のにじみ、クロスト
−ク、陰極の断線を改善した有機EL素子及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】透明基板の上にITO膜を形成し、ホトレ
ジストマスクを用いてエッチングにより帯状の陽極を間
隔をおいて平行に複数個形成する。次いでホトレジスト
マスクを残したまま、絶縁膜を前記陽極と陽極の間の間
隙に陽極の厚さと同じ厚さに被着し、ホトレジストマス
クをその上の絶縁膜と共に除去する。これにより陽極と
絶縁膜とが交互に並んだ平坦面が得られ、陽極による段
差がなくなる。陽極と絶縁膜の上に正孔注入輸送層、発
光層、電子注入輸送層を順次堆積する。電子注入輸送層
の表面の陰極形成予定領域に開口をを有するマスクを用
いて、導体を蒸着して陰極を形成する。全表面を絶縁膜
で被覆して有機EL素子にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL素子とそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】従来、有機EL素子は、ガラスのような透
明基板の上に陽極、有機発光層、陰極をこの順序に積層
した構造を有しており、文字や図形の表示を行う有機E
L素子は、陽極と陰極とを交差させてドット・マトリク
スが形成される構造になっている。有機発光層には、有
機化合物の単層、正孔注入輸送層と電子注入輸送層とか
らなる二層、正孔注入輸送層と発光層と電子注入輸送層
とからなる三層、正孔注入輸送層及び電子注入輸送層を
それぞれ複数層で構成した多層等の種類があり、さらに
正孔注入輸送層と電子注入輸送層との間に赤緑青の三色
の有機発光層を備えたフルカラー表示を可能にしたもの
もある。この構造において、陽極と陰極との間に通電す
ると、陽極と陰極とが交差した点以外の陽極と陰極との
間に漏れ電流が流れ、非所望点が発光してしまう、いわ
ゆるクロストークと呼ばれる現象が起こることがある。
また、発光の「にじみ」という現象も起こることがあ
る。
【0004】従来、知られている有機EL素子の第1の
例について図8を用いて説明する。
【0005】ガラス等の透明基板1の上にITO(イン
ジウム錫酸化物)の透明導体を用いて複数の帯状の陽極
2を各々が平行となるように形成する。該陽極2の上に
正孔注入輸送層4を形成する。正孔注入輸送層4の上に
発光層5を形成する。発光層5の上に電子注入輸送層6
を形成する。電子注入輸送層6の上に、陽極2とは直交
する方向に陰極7を形成する。正孔注入輸送層4、発光
層5、電子注入輸送層6は絶縁体である。
【0006】このように構成された有機EL素子は、陽
極2の端に段差を生じ、段差部分に形成された正孔注入
輸送層4、発光層5、電子注入輸送層6からなる有機層
および陰極7の厚さが薄くなる。有機層が薄くなると、
陽極2と陰極7との間の間隔が狭くなり、電界強度が増
大し、陽極2と陰極7との間に漏れ電流が流れ易くな
る。この漏れ電流がクロストークや発光のにじみの発生
の原因となる。また、有機層が薄くなると有機層の絶縁
破壊が起こり易くなり、陽極―陰極間の短絡が起こり、
有機EL素子が破壊してしまうという問題が起こる。
【0007】さらに、陰極7が薄くなると抵抗値が増大
し、発熱が増大するという問題が起こるのみならず、場
合によっては陰極7が断線し、有機EL素子が破壊され
てしまうという問題が起こる。かかる問題を解決するた
め、段差を小さくしようとすると、陽極2を薄くしなけ
ればならず、陽極2を薄くすると陽極の抵抗値が増大す
るという問題が起こる。陽極の抵抗値を小さくしようと
すると陽極を厚くしなければならず、陽極を厚くすると
段差が大きくなり、上記の問題が起こる。これらの問題
のうち、クロストークと発光のにじみを低減するための
提案がいくつかなされている。
【0008】従来からある有機EL素子の第2の例につ
いて図9を用いて説明する。この製造方法は、特開平3
−233891号公報に開示された方法である。
【0009】まず、図9(a)に示すように、ガラス基
板31の上にITO(インジウム錫酸化物)の透明導体
をスパッタリング法や蒸着法によって形成し、リソグラ
フィ法によって複数の帯状の陽極32を各々が平行とな
るように形成する。
【0010】次に、図9(b)に示すように、正孔輸送
層33を蒸着法等によって形成する。
【0011】次に、図9(c)に示すように、正孔輸送
層33の上に蒸着法等によって複数の島状のEL層34
を陽極32に沿って形成する。このようにして、マトリ
クス状に配置された独立した複数の発光領域のEL層3
4が形成される。
【0012】次に、図9(d)に示すように、EL層3
4を形成した正孔輸送層33の上に、陽極32とは直交
する方向に、かつEL層34のそれぞれが交点となるよ
うに対応させて陰極35を蒸着法により形成する。
【0013】次に、図9(e)に示すように、陰極35
を含む表面に絶縁体層36を形成する。
【0014】このように島状のEL層34を形成するこ
とにより発光領域の周囲のクロストークや発光のにじみ
が減少する効果があると言われている。しかしながら、
正孔輸送層33は段差部分で薄いまま残されており、そ
の上に陰極35が直接被着されるから、 EL層34が
無い分だけ陽極―陰極間の間隔が狭くなり、図8に示す
従来素子よりも電界強度が増大し、陽極32と陰極35
との間に漏れ電流が流れ易くなり、漏れ電流によるクロ
ストークや発光のにじみが増大するという問題が起こ
る。また、陽極―陰極間の間隔が狭くなっているから、
陽極―陰極間の短絡が起こり易くなり、有機EL素子が
破壊し易くなる。
【0015】さらに、陰極35については、陽極32と
EL層34によって二つの段差が形成されるため、図8
の従来素子よりも段差が大きくなり、段差部分での陰極
35の厚さが従来品より薄くなり、抵抗値がより増大
し、発熱が増大するのみならず、陰極35が断線し易く
なり、有機EL素子が破壊し易くなるという問題が起こ
る。
【0016】さらに、マトリクス状に配置された独立し
た複数の島状のEL層34を形成させるために余分のマ
スクを必要とし、マスクの開口部を陽極32と陰極35
との交差点に位置合わせするのに手間がかかるという問
題がある。また、このような微細な開口部を有するマス
クを製造するのに工数がかかり、マスクが高価になると
いう問題がある。
【0017】図11は従来からある有機EL素子の第3
の例を説明するために製造工程順に示した断面図であ
る。この有機EL素子の製造方法は、特開平3−250
583号公報に開示された方法である。
【0018】まず、図11(a)に示すように、ガラス
基板41の上にITOの透明導体で複数の陽極42を形
成する。その表面に感光性ポリイミドを塗布し、発光パ
ターンのマスクを通して露光し、現像して感光した部分
のポリイミドを除去した後、180℃のオ−ブン中で3
0分、300℃のオ−ブン中で30分加熱してポリイミ
ドの層間絶縁膜43を形成する。層間絶縁膜43の開口
部44は、陽極42の上の一部にのみ形成され、陽極4
2の端部は層間絶縁膜43で覆われている。
【0019】次に、図11(b)に示すように、蒸着マ
スク51の開口部52が層間絶縁膜43の開口部44を
内側に含むように位置合わせした後、密着させて所望の
色を発光する有機発光層、例えば赤色発光有機物の発光
層45aを蒸着により形成し、続いて同じ蒸着マスク5
1を設置したまま対向電極となる陰極46aを蒸着法な
どによって形成する。多色EL素子を製造する場合は、
緑色及び青色発光層が形成される隣の陽極42の上はマ
スク51で覆われている。
【0020】次に、図11(c)に示すように、発光層
45aと陰極46aが形成された部分を覆い、隣の陽極
42の上に開口部54を有するマスク53を、前と同様
に位置合わせした後、密着させて所望の色を発光する有
機発光層、例えば緑色発光有機物の発光層45bを蒸着
により形成し、続いて同じ蒸着マスク53を設置したま
ま対向電極となる陰極46bを蒸着法などによって形成
する。青色発光層とその上の陰極の形成も同様にして行
う。
【0021】この製造方法によれば、蒸着のだれが生じ
ないので発光面の均一性が高いという。また、発光層の
蒸着マスクと対向電極の蒸着マスクの交換を必要としな
いので、形成面の汚染がなく良品質の素子が製造できる
という。
【0022】上記第3の例の有機EL素子の製造方法に
おける問題点を図12に示す断面図を用いて説明する。
【0023】図12(a)に示すように、層間絶縁膜4
3bは、実際には陽極42の厚さの分だけ段差を生じ、
窪みを生じている。図11では、陽極42aと陽極42
bとの間の層間絶縁膜43は平坦に描いているが、実際
には図12(a)に示すように窪みを生じている。真空
蒸着やスパッタリング法で有機EL層や陰極を形成する
場合、蒸着源からの蒸着粒子は半球面に広がって行くか
ら、蒸着源の真上以外の場所では被蒸着物に対して蒸着
粒子は斜めに入射する。蒸着粒子の入射角は蒸着源の真
上から離れれば離れる程大きくなる。図12(a)に示
すように、蒸着粒子線47が傾斜入射した場合、マスク
51の影になる部分に空隙55が発生する。第3の例に
おいては、有機発光層45aと陰極46aとは同じ蒸着
マスク51を使用するから、蒸着マスク51の厚さは、
有機発光層45aの厚さと陰極46aの厚さとの和より
も厚くなければならない。実際には蒸着マスク51の厚
さは10μm以上あり、有機発光層45aと陰極46a
の厚さは0.2〜0.3μm程度であるから、空隙55
は大きいものとなる。それ故、図11(a)に示したよ
うな直線で仕切ったような空隙とはならず、蒸着粒子の
廻り込みにより、境界がぼやけた空隙となる。
【0024】図12(b)に示すように、隣の陽極42
bの上に別の色の有機発光層45bと陰極46bを形成
する場合、マスク53は陰極46aに密着して設置され
るから、絶縁膜43a〜43cとマスク53との間に空
隙56ができ、空隙55は広がる。この状態で蒸着を行
うと有機発光層45bと陰極46bの側面は傾斜面とな
り、さらに空隙57を生じる。これらの空隙56,57
のために蒸着粒子が廻り込み易くなり、蒸着だれが起こ
るのみならず、廻り込み粒子が陽極42bの露出面42
sに付着して、ここから発光して発光のにじみやクロス
トークを生じるという問題が起こる。
【0025】また、上記第3の例では、同じマスクを用
いて発光層の蒸着と対向電極の蒸着を行うので、陽極と
陰極とが同一方向になり、直角方向に交差しない。従っ
て、筋状(縞状)の発光パターンを得ることはできる
が、ドット・マトリクスの発光パターンを得ることはで
きず、文字や図形等の情報表示には使用できないという
欠点がある。
【0026】従来から知られている有機EL素子の第4
の例を図13に示す斜視図を用いて説明する。この有機
EL素子の製造方法は、特開平4−51494号公報に
開示された方法である。
【0027】ガラス基板61の上にITOの透明導体を
スパッタリング法や蒸着法によって形成し、リソグラフ
ィ法によって複数の帯状の陽極62を各々が平行となる
ように形成する。次に、後で作られる陰極と交差する位
置の陽極62の上に開口Wを有する絶縁膜63を形成す
る。開口Wは、その一辺が陽極62及び陰極の幅より小
さい四角形にする。
【0028】次に、正孔輸送層64を蒸着法などによっ
て形成し、その上に有機EL層65を形成する。正孔輸
送層64及び有機EL層65は、開口Wの所で落ち込
む。
【0029】次に、EL層65の上に、陽極62とは直
交する方向に、かつ開口Wが陽極62との交点となるよ
うに陰極66を形成する。陰極66は、開口Wの一辺よ
り大きい幅に作られているから開口Wを覆っており、開
口Wの所で落ち込んでいる。
【0030】この構造にすると、陽極62と陰極66と
が交差する位置にのみ開口Wが設けられているから、陽
極62からの電流は、開口Wのみを通って流れ、開口W
内の有機EL層65のみが発光するので、発光のにじ
み、やクロストークは起こらないという。また、陽極6
2の段差部分で絶縁膜63、陽極62、陰極65は薄く
なるが、絶縁膜63が加わったため、陽極―陰極間間隔
は従来より広くなっており、漏れ電流や陽極―陰極間短
絡は低減される。
【0031】しかしながら、絶縁膜63に開口Wを形成
する時、ホトレジストの塗布、露光現像、絶縁膜63の
エッチングというホトリソグラフィ工程を行うため余分
の工数がかかる上に露光用マスクが開口Wからずれない
ように位置合わせする必要があるから、位置合わせする
手間がかかるという問題がある。
【0032】また、陰極形成時にも陰極66が開口Wか
らずれないように陰極形成用マスクの位置合わせをする
必要があるから、位置合わせをするために2度手間がか
かるという問題がある。さらに、露光用マスクを新たに
必要とし、その上微細な孔部を有する露光用マスクを製
造しなければならないので、高価な露光用マスク代が余
分にかかるという問題がある。また、ITOの陽極62
の上で絶縁膜63に開口Wを形成するのは難しい作業と
思われるが、開口Wを形成方法については、特開平4−
51494号公報に開示されていない。
【0033】従来の有機EL素子の第5の例を図14に
示す一部切欠き斜視図および断面図を用いて説明する。
この有機EL素子の製造方法は、特開平7−22177
号公報に開示された方法である。
【0034】ガラス、プラスティック等の透明基板71
の上にITOの透明導体をスパッタリング法や蒸着法に
よって形成し、リソグラフィ法によって複数の帯状の陽
極72を各々が平行となるように形成する。次に、絶縁
性感光レジストを塗布し、露光現像するホトリソグラフ
ィ法によって陽極72上に孔部74を有する絶縁性の非
発光層73を形成する。電解重合法により発光層76を
形成する。発光層76は、図14(a)に示すように、
一層にすることもできるし、図14(b)に示すよう
に、発光層を正孔輸送層75,発光層76,電子輸送層
77からなるダブルヘテロ構造にすることもできる。絶
縁性の非発光層73は、陽極72と発光層76の合計厚
さ、または陽極72、正孔輸送層75,発光層76,電
子輸送層77の合計厚さと同じ厚さに形成する。次に、
非発光層73と電子輸送層77の上に、陽極72とは直
交する方向に陰極78を形成する。
【0035】この構造にすると、非発光層73が存在す
るから、電力線は陽極72から陰極78へ直線状に伸
び、一様電界が形成され、また、発光層が陽極72の上
にのみ存在するから、発光のにじみやクロストークが無
い優れた有機EL素子が得られるという。
【0036】しかしながら、絶縁性感光レジストに孔部
74を形成する時、絶縁性感光レジストの塗布、露光現
像、非発光層73のエッチングというホトリソグラフィ
工程を行うため余分の工数がかかる上に露光用マスクが
孔部74からずれないように位置合わせする必要がある
から、位置合わせする手間がかかるという問題がある。
また、陰極形成時にも陰極78が孔部74からずれない
ように陰極形成用マスクの位置合わせをする必要がある
から、位置合わせするために2度手間がかかるという問
題がある。さらに、露光用マスクを新たに必要とし、そ
の上微細な孔部を有する露光用マスクを製造しなければ
ならないので、高価な露光用マスク代が余分にかかると
いう問題がある。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
陽極の段差に起因するクロストーク、発光のにじみを解
決すべく種々の提案がなされているが、段差部分で有機
層が薄くなることによる漏れ電流、陽極―陰極間短絡の
発生、段差部分で陰極が薄くなることによる陰極抵抗値
の増大、陰極の断線という問題が未解決のまま残されて
いたり、上記問題は解決されたが、そのために製造工程
が増えて工数が増大し、高価なマスクを必要とし、コス
ト高になるという問題があった。
【0038】本発明の目的は、陽極の段差部分で有機層
が薄くなることによる漏れ電流、陽極―陰極間短絡の発
生、段差部分で陰極が薄くなることによる陰極抵抗値の
増大、陰極の断線という問題を簡単な手段で解決し、漏
れ電流によるクロストーク、発光のにじみ、陰極抵抗値
の増大、陰極の断線が無く、少ない工数で低コストで製
造できる有機EL素子及びその製造方法を提供すること
にある。
【0039】
【課題を解決するための手段】(1)本発明の第1の発
明は、透明基板の表面に間隔をおいて平行に複数個設け
られた帯状の透明導体の陽極と、該陽極と陽極との間を
埋める絶縁膜と、該陽極及び絶縁膜の表面に設けられた
発光層を含む有機多層膜と、該有機多層膜の表面に前記
陽極とは直角方向に間隔をおいて平行に複数個設けられ
た帯状の陰極とを備えたことを特徴とする有機EL素子
である。
【0040】(2)本発明の第2の発明は、前記絶縁膜
の屈折率が、前記陽極の屈折率と同等もしくはそれより
小さく、かつ前記透明基板の屈折率より大きいことを特
徴とする前記第1項記載の有機EL素子である。
【0041】(3)本発明の第3の発明は、透明基板の
表面に透明導体で帯状の陽極を間隔をおいて平行に複数
個形成する工程と、該陽極と陽極との間を埋めるように
絶縁膜を形成する工程と、該陽極及び絶縁膜の表面に発
光層を含む有機多層膜を形成する工程と、該有機多層膜
の表面に前記陽極とは直角方向に間隔をおいて平行に複
数個帯状の陰極を形成する工程とを備えたことを特徴と
する有機EL素子の製造方法である。
【0042】(4)本発明の第4の発明は、前記透明基
板の表面に透明導体で帯状の陽極を間隔をおいて平行に
複数個形成する工程と、該陽極と陽極との間を埋めるよ
うに絶縁膜を形成する工程とが、前記透明基板に前記透
明導体の膜を形成する工程と、該透明導体の膜の上にホ
トレジスト膜を形成する工程と、前記陽極を形成する領
域のみ前記ホトレジスト膜を残し他を除去する工程と、
前記ホトレジスト膜に覆われていない前記透明導体の膜
を除去する工程と、表面に前記陽極とほぼ同じ厚さに絶
縁膜を被着する工程と、前記陽極上のホトレジスト膜を
その上の絶縁膜と共に除去する工程とからなることを特
徴とする前記第3項記載の有機EL素子の製造方法であ
る。
【0043】(5)本発明の第5の発明は、前記陽極と
陽極との間を埋めるように絶縁膜を形成する工程が、前
記陽極が形成されている透明基板の表面に前記陽極とほ
ぼ同じ厚さに絶縁膜を形成する工程と、化学的機械的研
磨法を用いて前記陽極表面が露出するまで前記絶縁膜を
研磨除去する工程とからなることを特徴とする前記第3
項記載の有機EL素子の製造方法である。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明の第1の発明についてその
実施の形態及び実施例を図1に示す斜視図を用いて説明
する。
【0045】ガラスのような透明基板1の上にITO
(インジウム錫酸化物)の透明導体で帯状の陽極2を間
隔をおいて平行に複数個形成する。陽極の幅および陽極
間の間隔は特に限定されないが、通常陽極の幅は50μ
m〜5mm、陽極間の間隔は1μm〜1mmであり、本
実施例においては500μmとした。陽極2の厚さは、
例えば500nmの厚さに形成する。陽極2の厚さは、
従来100〜250nm程度であるが、本実施例では陽
極の抵抗値を従来の半分にするため厚さを500nmに
している。
【0046】抵抗値を従来の1/5にしたいときは、陽
極2の厚さを従来の5倍の厚さにすればよい。本発明で
は、後述のように陽極による段差の悪影響を消去できる
から、陽極の厚さを任意の厚さにすることができる。陽
極と陽極との間の露出している透明基板1の表面に陽極
2とほぼ同じ厚さに絶縁膜3を形成して陽極と陽極との
間を絶縁膜で埋める。絶縁膜で埋めるのは陽極2による
段差を小さくして段差による悪影響を消去するためのも
のであるから、陽極2と絶縁膜3の表面が同一平面とな
るのが望ましいが、同一平面にするのは難しいので、可
能な限り同一平面に近くなるように絶縁膜3の厚さを調
整する。
【0047】しかしながら、陽極2と絶縁膜3の表面が
同一平面に近くなければならないというものではない。
例えば、絶縁膜3の厚さを陽極2の厚さの半分あるいは
1.5倍にすると段差は半分になるので、段差が小さく
なった分だけの効果を生ずる。
【0048】陽極2と絶縁膜3の表面に、有機多層膜を
構成する正孔注入輸送層4を、本実施例では50nmの
厚さに形成する。該正孔注入輸送層4の厚みは、特に限
定されないが、通常10〜100nm程度である。陽極
2と絶縁膜3の表面はほぼ同一平面に形成されており、
段差がないから、正孔注入輸送層4はほぼ平坦となり、
従来のような波を打つことはない。正孔注入輸送層4の
材料として、例えば、N,N‘―ジフェニルーN,N’
―ビス(3−メチルフェニル)1,1‘−ビフェニルー
4,4’−ジアミン(TPD)を使用することができ
る。
【0049】正孔注入輸送層4の上に発光層5を、本実
施例では15nmの厚さに形成する。該発光層5の厚み
は特に限定されないが、通常2〜100nm程度で、該
発光層の材料としては例えば、トリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(III)(Alq3)を使用することが
できる。
【0050】発光層5の上に、有機多層膜を構成する電
子注入輸送層6を、例えば35nmの厚さに形成する。
該電子注入輸送層6の厚みも特に限定されないが、通常
10〜100nmであり、該電子注入輸送層の材料とし
ては、例えば、1,1−ジメチルー3,4−ジフェニル
ー2,5−ビス{6−(2−ピリジル)ピリジンー2−
イル}シラシクロペンタジエン(PyPySLPyP
y)を使用することができる。
【0051】電子注入輸送層6の表面に陽極2とは直角
方向に帯状の陰極7を間隔をおいて平行に複数個設け
る。該陰極の幅および陰極間の間隔は特に限定されず、
通常陰極の幅は50μm〜5mm、陰極間の間隔は1μ
m〜1mmであり、本実施例では500μmとした。該
陰極7は、例えばMgとAgとを共蒸着してMg―Ag
合金を200nmの厚さに堆積することにより形成され
る。該陰極の厚みも特に限定されないが、通常10nm
〜1μmであり、該陰極7の材料として、Mg―Ag以
外にAl、Mg、Ca、In、Al−Li、Mg−I
n、LiF/Al、Al23/Al等を使用することが
できる。ここで、LiF/Al、Al23/Alは、L
iFまたはAl23を0.5〜5nmの厚さに堆積し、
その上にAlを10〜200nmの厚さに堆積した構造
を意味する。
【0052】陰極7及び露出している電子注入輸送層6
の表面に絶縁膜8を、例えば300nmの厚さに形成す
る。絶縁膜8の厚みも特に限定はないが、通常1nm〜
1μmである。該絶縁膜の材料としては、例えばSi
O、SiO2,SiN,Si3 4,AlO2,Al23
23等の無機絶縁体やホトレジストとして使用される
感光性のポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド
等の有機絶縁体等を使用することができる。
【0053】上記の説明から明らかなように、陽極2と
陽極2との間に陽極2とほぼ同じ厚さの絶縁膜3を設け
て陽極による段差を極めて小さくしたので、正孔注入輸
送層4、発光層5、電子注入輸送層6等の有機層はいず
れもほぼ平坦な一様の厚さの層となり、薄い部分ができ
ないので、陽極と陰極との間に形成される電界は一様電
界となり、このため漏れ電流、絶縁破壊が起こり難くな
り、クロストークや発光のにじみを防ぐことができる。
【0054】また、陰極は平坦な有機多層膜の上に形成
されるから、薄い部分ができず、抵抗値の増大や陰極の
断線を生じない。絶縁膜3が無い従来の構造では、陽極
2の角で正孔注入輸送層4、発光層5、電子注入輸送層
6等の有機物層の厚さが極めて薄くなり、陽極2と陰極
7との間が狭くなり、電界強度が大きくなり、電流のリ
ークや絶縁破壊が起こり易かった。このため、クロスト
ークや発光のにじみが起こり易かった。また、段差部で
陰極の厚さが薄くなり、抵抗値の増大や断線を生じてい
た。
【0055】本発明では、陽極2と絶縁膜3の表面がほ
ぼ同一平面となるように形成したことにより有機物層の
厚さが均一になっており、薄い部分ができないから、陽
極2と陰極7との間に形成される電界は一様電界とな
り、電流のリーク、絶縁破壊、発光のにじみが生じな
い。また、陰極は平坦面に形成されるから、厚さが一定
になり、従来のような段差部での抵抗値の増大や断線を
生じない。
【0056】絶縁膜3を設けることは上述のような効果
があるのであるが、絶縁膜3の屈折率を選択すればさら
に発光のにじみを改良することができる。
【0057】次に、絶縁膜3の屈折率を特定の範囲内に
限定する第2の発明の実施の形態及び実施例を、光路を
示した図2の部分断面図(図1の有機EL素子の断面
図)を用いて説明する。
【0058】発光層5の一点Pから発光があったとす
る。陽極2、透明基板1に垂直に入射した光L1 は屈折
することなく透明基板正面から出て行く。陽極2に斜め
に入射した光L2 は屈折しながら透明基板正面から出て
行く。陽極2に入射しなかった光L3 は屈折しながら透
明基板正面から出て行くのであるが、光L3 は本来の発
光領域(陽極2と陰極7とが交差する領域)以外の非発
光領域に出る光であるから、発光のにじみとなるので、
このような光は少なくしたい。なるべく光L4 のように
透明基板1内で全反射を繰り返しながら側面に出て行く
ようにするか、光L5 のように絶縁膜3内で、あるいは
絶縁膜3と陽極2との内で全反射を繰り返しながら側面
に出て行くようにするか、あるいは光L6 〜L7 のよう
に発光領域に出て行くようにする。
【0059】一般に、屈折率n1 の媒体1と屈折率n2
の媒体2とが接しており、光が入射角θ1 で媒体1に入
射し、媒体2で角度θ2 で屈折したとするとき、屈折は
次式(1)で表される。
【0060】
【数1】sinθ1/sinθ2=n2/n1 (1)
【0061】そして、n1 >n2 のとき、全反射角をθ
cとすると、全反射角θcは次式(2)で表される。
【0062】
【数2】sinθc=n2/n1 (2)
【0063】上記第1の発明の実施例で用いた各物質の
屈折率は後述の表1の通りである。
【0064】
【表1】
【0065】まず、非発光領域に出る光L3 のような光
を少なくし、光L4 のような光を多くして発光のにじみ
を減らしたい。そのためには絶縁膜3の屈折率が透明基
板1の屈折率より大きいことが必要である。絶縁膜3の
屈折率が透明基板1の屈折率よりも大きければ大きい程
屈折角θ2 が大きくなるから、透明基板1内での全反射
が起こり易くなる。換言すれば、光L4 のような光が増
え、光L3 のような光が減ることになる。
【0066】表1に示したように、透明基板1の屈折率
は1.46,空気の屈折率はほぼ1であるから、絶縁膜
3の屈折率を透明基板1の屈折率より大きくすることに
よって光L4 のような光を増やし、図2に示す光L3
ような光を少なくし、発光のにじみを減らすことができ
る。
【0067】絶縁膜3の屈折率が透明基板1の屈折率よ
り大きいとき、光L5 のように絶縁膜3内で全反射を繰
り返しながら側面に(紙面に垂直な方向に)出て行く
か、あるいは図示するように陽極2に入ろうとする光が
生ずる。発光のにじみを減らすためには、光が非発光領
域に行かず、発光領域に行くようにするのが好ましい。
そのためには、絶縁膜3の屈折率が陽極2の屈折率と同
等かそれより小さければ光L5 のように陽極2に入り易
くなる。従って、絶縁膜3の屈折率は、透明基板1の屈
折率より大きく、かつ陽極2の屈折率と同等かそれより
小さいことが好ましい。
【0068】表1に示すように、正孔注入輸送層4の屈
折率は、材料の種類にもよるが1.7〜1.8程度のも
のが多く、、例えば、TPDの場合1.76で、透明基
板1の屈折率より大きく、ITO陽極の屈折率より小さ
い。もし絶縁膜3の屈折率が正孔注入輸送層4の屈折率
より大きければ、光L6 のように、全反射することなく
絶縁膜3に入り、続いて透明基板1に入る。
【0069】透明基板1に入った光は、透明基板と空気
との界面に対する入射角により透明基板内で全反射を繰
り返しながら側面に(紙面に垂直な方向に)出て行く
か、あるいは透明基板正面から出て行く。逆に、絶縁膜
3の屈折率が正孔注入輸送層4の屈折率より小さけれ
ば、光L7 のように、絶縁膜3との界面で全反射し易く
なる。通常、、陽極2の屈折率の方が正孔注入輸送層4
の屈折率より大きいから、正孔注入輸送層4から陽極2
に入り、続いて透明基板1に入り、透明基板正面から出
て行く光が増加する。
【0070】以上の説明から、絶縁膜3の屈折率を陽極
2の屈折率と同等もしくはそれより小さく、かつ透明基
板1の屈折率より大きくすると、非発光領域への光の射
出が低減し、発光のにじみが減少することが分かる。
【0071】第2の発明にあっては、絶縁膜3の屈折率
nは、1.46<n≦2.1の範囲にある物質を選択す
れば良いことが分かる。表2に上記範囲を満足する物質
名と屈折率を示す。
【0072】
【表2】
【0073】図3は図1に示す本発明の第1の発明の実
施例と従来品の電圧ー電流曲線の特性図である。
【0074】曲線21は第1の発明の実施例で得られた
有機EL素子の特性を示し、曲線22は従来品の特性を
示す。従来品は、陽極と陽極との間、及び陰極と陰極と
の間に絶縁膜3がない以外は第1の発明の実施例と同じ
構成である。図3から明らかなように、従来品は、漏れ
電流が低電圧領域で発生しているのに対して、本発明品
は漏れ電流がなく、良好な特性を示している。漏れ電流
がないということは、クロストークがないことを示して
いる。
【0075】次に、本発明の第3の発明の実施の形態及
び実施例について図4の斜視図を用いて説明する。
【0076】該第3の発明の実施の形態及びその実施例
は、正孔注入輸送層4と電子注入輸送層6の2層で発光
層を形成する例である。正孔注入輸送層4として、例え
ばN,N‘―ジフェニルーN,N’―ビス(3−メチル
フェニル)1,1‘−ビフェニルー4,4’−ジアミン
(TPD)を50nmの厚さに、電子注入輸送層6とし
て、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム
(III)(Alq3)を50nmの厚さに形成する。正孔
注入輸送層4および電子注入輸送層6の厚みは特に限定
されないが、上記本発明の第1の発明の実施の形態で示
した厚みを例示できる。それ以外は、第1の発明の実施
の形態の例と同じである。そして効果も同じである。
【0077】第3の発明の実施の形態の内、発光層5を
1層で形成した例を図5の斜視図を用いて説明する。
【0078】図5に示した例は、発光層5を1層で形成
した例である。発光層5は、例えばトリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム(III)(Alq3)を100n
mの厚さに形成するが該厚みは前記第1の発明の実施の
形態で説明したように特に限定されないが、通常30〜
300nmである。それ以外は、第1の発明の例と同じ
である。そして効果も同じである。
【0079】本発明の第4の発明の実施の形態及びその
実施例を図6の工程順に示した断面図を用いて説明す
る。
【0080】まず、図6(a)に示すように、ガラスの
ような透明基板1の上にITOの透明導体膜を蒸着法
で、例えば500nmの厚さに形成する。この上にホト
レジスト膜を塗布し、選択露光し現像してホトレジスト
のマスク11を形成する。マスク11を保護材にしてI
TOの透明導体膜をエッチングして陽極2を形成する。
陽極2は帯状で、間隔をおいて平行に複数個形成され
る。陽極の幅および陽極間の間隔は、それぞれ上記第1
の発明のそれと同じにすればよい。
【0081】次に、図6(b)に示すように、ホトレジ
ストのマスク11を残したまま、絶縁膜3として、例え
ばSiOを蒸着する。SiO膜は陽極2とほぼ同じ厚さ
に形成する。先に説明したように、絶縁膜3は、表2に
示した物質から選択すれば良い。
【0082】次に、図6(c)に示すように、ホトレジ
ストのマスク11を除去する。マスク11の上の絶縁膜
3はマスク11と共に除去され、陽極2と絶縁膜3とが
交互に並んだほぼ平坦な面が得られる。
【0083】次に、図6(d)に示すように、陽極2と
絶縁膜3の表面に正孔注入輸送層4、発光層5、電子注
入輸送層6を蒸着法により順次堆積する。正孔注入輸送
層4、発光層5、電子注入輸送層6の材質及び厚さは上
記図1で説明したものと同じである。
【0084】次に、図6(e)に示すように、陰極形成
予定領域に開口部13を有する金属マスク12を電子注
入輸送層6の表面に設ける。開口部13を通して、例え
ばMgとAgを共蒸着して厚さ200nmのMg―Ag
陰極7を形成する。理解し易いように、図6(e)で
は、金属マスク12を電子注入輸送層6の表面から離し
て描いているが、実際は金属マスク12を電子注入輸送
層6の表面に密着させている。
【0085】また、図6(e)〜(f)は、図6(a)
〜(d)とは直角方向の断面を示し、マスク12の開口
部13、複数の陰極7の断面が表示されるようにしてあ
る。電子注入輸送層6の表面はほぼ平面になっているか
ら、金属マスク12と電子注入輸送層6との間には隙間
が殆どなく、従って陰極形成時の蒸着粒子の廻り込みが
殆どなく、陰極が滲んだように広がることはない。その
ため、発光のにじみがなくなる。
【0086】次に、図6(f)に示すように、陰極7の
表面および電子注入輸送層6の露出面に絶縁膜8を30
0nmの厚さに被着する。絶縁膜8として、SiO、S
iO 2,SiN,Si34,AlO2,Al23,Y23
等の無機絶縁体あるいはホトレジストとして使用される
感光性のポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド
等の有機絶縁体等を使用することができる。
【0087】本発明の第5の発明の実施の形態及び実施
例を、工程順に示した図7の断面図を用いて説明する。
【0088】まず、図7(a)に示すように、ガラスの
ような透明基板1の上にITOの透明導体膜を蒸着法
で、例えば500nmの厚さに形成する。この上にホト
レジストのマスク11を形成し、これを用いて透明導体
膜をエッチングして陽極2を形成する。陽極2は帯状
で、間隔をおいて平行に複数個形成される。そして、ホ
トレジストのマスク11を除去する。
【0089】次に、図7(b)に示すように、絶縁膜3
を陽極2と同じ厚さに被着する。絶縁膜3は、、表2に
示した物質から選択すれば良い。
【0090】次に、図7(c)に示すように、化学的機
械的研磨法(CMP法)により陽極2の上の絶縁膜3を
除去する。これにより陽極2と絶縁膜3とがほぼ同一平
面を形成して並んだ平坦な面が得られる。
【0091】次に、図7(d)に示すように、陽極2と
絶縁膜3の表面に正孔注入輸送層4、電子注入輸送層6
を堆積する。正孔注入輸送層4、電子注入輸送層6の材
質及び厚さは、図4で説明したものと同じである。
【0092】次に、図7(e)に示すように、電子注入
輸送層6の表面の陰極形成予定領域に開口部13を有す
る金属マスク12を設ける。開口部13を通して、例え
ばMgとAgを共蒸着してMg―Ag陰極7を形成す
る。、理解し易いように、図7(e)では金属マスク1
2を電子注入輸送層6の表面から離して描いているが、
実際は金属マスク12を電子注入輸送層6の表面に密着
させている。
【0093】また、図7(e)〜(f)は、図7(a)
〜(d)とは直角方向の断面を示し、マスク12の開口
部13、複数の陰極7の断面が表示されるようにしてあ
る。陰極形成時の蒸着粒子の廻り込みが殆どなく、陰極
が滲んだように広がることがなく、発光のにじみがなく
なることは、図6(e)で説明した第4の発明の場合と
同じである。
【0094】次に、図7(f)に示すように、陰極7の
表面および電子注入輸送層6の露出面に絶縁膜8を被着
する。絶縁膜8は、図6(e)で説明した第4の発明の
場合と同じである。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機EL
素子は、陽極と陽極との間に陽極とほぼ同じ厚さの絶縁
膜を設けて陽極による段差を極めて小さくしたので、正
孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の有機層はい
ずれもほぼ平坦な一様厚さの層となり、薄い部分ができ
ないから、陽極と陰極との間に形成される電界は一様電
界となり、このため漏れ電流、絶縁破壊が起こり難くな
り、クロストークや発光のにじみを防ぐことができる。
また、陰極は平坦な有機層の上に形成されるから、薄い
部分ができず、抵抗値の増大や陰極の断線を生じない。
【0096】また、本発明の有機EL素子は、絶縁膜の
屈折率を選択することにより、非発光領域への光の射出
を低減できるので、発光のにじみを低減することができ
る。
【0097】本発明の有機EL素子の製造方法は、陽極
と陽極との間に陽極と同じ厚さの絶縁膜を容易に形成す
ることができるので、陽極による段差をなくすことがで
き、クロストーク、発光のにじみ、陰極抵抗値の増大、
断線を防止した有機EL素子を製造することができる。
【0098】また、本発明の有機EL素子の製造方法
は、ホトレジストのリフトオフ法を利用することができ
るので、陽極と陽極との間に陽極とほぼ同じ厚さの絶縁
膜を容易に形成することができる。
【0099】さらに、本発明の有機EL素子の製造方法
は、化学的機械的研磨法を利用することができるので、
陽極と陽極との間に陽極とほぼ同じ厚さの絶縁膜を容易
に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の有機EL素子の実施の形態の例の
斜視図である。
【図2】図1の第1の発明の実施の形態の例のうち、絶
縁膜の屈折率を選択した第2の発明の実施の形態におけ
る光路を説明するための部分断面図である。
【図3】図1の第1の発明の実施の形態の例と従来品の
電圧ー電流特性図である。
【図4】第3の発明の実施の形態の例の斜視図である。
【図5】第3の発明の実施の形態の内、発光層を1層に
した例の斜視図である。
【図6】第4の発明の形態の例を説明するための工程順
に示した断面図である。
【図7】第5発明の実施の形態の例を説明するための工
程順に示した断面図である。
【図8】従来の有機EL素子の第1の例の斜視図および
部分断面図である。
【図9】従来の有機EL素子の第2の例を説明するため
の製造工程順に示した断面図である。
【図10】図9で説明した方法によって製造した有機E
L素子の部分切欠き斜視図である。
【図11】従来の有機EL素子の第3の例を説明するた
めの製造工程順に示した断面図である。
【図12】従来の第3の例の有機EL素子の製造方法に
おける問題点を説明するための断面図である。
【図13】従来の有機EL素子の第4の例を説明するた
めの斜視図である。
【図14】従来の有機EL素子の第5の例を説明するた
めの一部切欠き斜視図および断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 陽極 3 絶縁膜 4 正孔注入輸送層 5 発光層 6 電子注入輸送層 7 陰極 8 絶縁膜化学式等を記載した書面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板の片側表面に間隔をおいて平行に
    複数個設けられた帯状の透明導体の陽極と、該陽極と陽
    極との間の間隔を埋める絶縁膜と、該陽極及び絶縁膜の
    表面に設けられた発光層を含む有機多層膜と、該有機多
    層膜の表面に前記陽極とは直角方向に間隔をおいて平行
    に複数個設けられた帯状の陰極とを備えたことを特徴と
    する有機EL素子。
  2. 【請求項2】絶縁膜の屈折率が、陽極の屈折率と同等も
    しくはそれより小さく、かつ、透明基板の屈折率より大
    きいことを特徴とする請求項1記載の有機EL素子。
  3. 【請求項3】透明基板の片側表面に帯状の透明導体の陽
    極を間隔をおいて平行に複数個形成する工程と、該陽極
    と陽極との間の間隔を埋めるように絶縁膜を形成する工
    程と、該陽極及び絶縁膜の表面に発光層を含む有機多層
    膜を形成する工程と、該有機多層膜の表面に前記陽極と
    は直角方向に間隔をおいて平行に複数個の帯状の陰極を
    形成する工程とからなることを特徴とする有機EL素子
    の製造方法。
  4. 【請求項4】透明基板の片側表面に帯状の透明導体の陽
    極を間隔をおいて平行に複数個形成する工程と、該陽極
    と陽極との間の間隔を埋めるように絶縁膜を形成する工
    程とが、透明基板の片側表面に透明導体の膜を形成する
    工程と、該透明導体の上にホトレジスト膜を形成する工
    程と、陽極を形成する領域のみホトレジスト膜を残し他
    を除去する工程と、該ホトレジスト膜が除去されてホト
    レジスト膜に覆われていない前記透明導体の膜を除去す
    る工程と、前記陽極とほぼ同じ厚さに絶縁膜を被着する
    工程と、前記陽極上のホトレジスト膜をその上の絶縁膜
    と共に除去する工程とからなることを特徴とする請求項
    3記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 【請求項5】陽極と陽極との間隔を埋めるように絶縁膜
    を形成する工程が、陽極が形成されている透明基板の表
    面に前記陽極とほぼ同じ厚さに絶縁膜を形成する工程
    と、化学的機械的研磨法を用いて前記陽極表面が露出す
    るまで前記絶縁膜を研磨除去する工程とからなることを
    特徴とする請求項3記載の有機EL素子の製造方法。
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